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2023年5月12日 (金)

44のヴァイオリン二重奏曲のフィナーレ エルデーイの踊り

バルトークの44のヴァイオリン二重奏曲の楽譜を手に入れたのは、1983年頃だったと思います。6つのルーマニア民族舞曲もその頃でした。バルトークのヴァイオリン作品のほとんどは、往年の名手ヨーゼフ・シゲティやユーディ・メニューインに献呈されたので、現代音楽リスナーでなくても意外と注目している人はいるようで、所属していた大学オーケストラのヴァイオリン・パートの同級生からコピーをもらいました。そのボロボロの楽譜はまだ手元にありますが、なかなかお披露目する機会もないまま、40年が経ちました。ヴァイオリン教育の目的で書かれた作品なので、最も難度の高い無伴奏ヴァイオリン・ソナタはもちろん、ラプソディー2曲や6つのルーマニア民族舞曲よりも遥かに取り組みやすい曲です。伴奏に回っているパートが、5度の開放弦の重音を効果的に入れる辺りは、やはり近現代作品の大きな特徴でしょう。

当時から44のヴァイオリン二重奏曲で特に注目した曲は、アルジェリアのビスクラでの音楽体験の影響があると思われるアラブの踊りと、44曲目のフィナーレ、トランシルヴァニア(エルデーイ)の踊りでした。この2曲は最も演奏効果が華やかに映えると思います。どちらも増二度音程のエキゾチックな音の動きが目立ちますが、アルジェリアとトランシルヴァニアでは、相当離れているのに両方にあるのは、ジプシーが媒介したのでしょうか。あるいは、バルトークの蝋管録音のように縦笛フルヤで演奏されるのが元のスタイルとすれば、同種の縦笛が多くみられる南のバルカン方面からの影響かも知れません。バルカンは20世紀初頭まではオスマン帝国領ですから、最大版図の時はアルジェリアまで一つの国でした。同じような旋律の動きが同じ国の中に広まるのは、自然なことのように思います。
1本目はこの曲の生演奏です。前にMargaréta Benkováの多重録画を上げましたが、今回はこちらで。(以下放送原稿を再度)

Bartók: from 44 Duos for Two Violins, Sz. 98 No. 44: Transylvanian Dance - Frautschi & Beilman

15曲目のバルトークの蝋管録音は縦笛フルヤの独奏だと思いますが、16曲目にはこの曲に基づく44. Duó (feat. Alexander Balanescu) [Erdélyi Tánc]が入っています。やはりアレクサンダー・バラネスク他の演奏です。二つのヴァイオリンの44の二重奏曲のフィナーレを華やかに締め括るトランシルヴァニアの踊りです。2曲続けます。

<15 Ardeleana 38秒>

<16 44. Duó (feat. Alexander Balanescu) [Erdélyi Tánc] 1分46秒>

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