バルトーク・アルバム
ゼアミdeワールド358回目の放送、日曜夜10時にありました。10日20時半に再放送があります。7日夜は大雨情報のため、最初の5分余りと終わりの2分ほどが放送されませんでした。最初の解説の部分が全て流れなかったので、何の曲か分からなかったと思います。10日の再放送では問題なく放送されると思います。宜しければ是非お聞き下さい。今日の動画は5,6曲目のみです。
GW中のため、久々に宅録しております。ハンガリー音楽の38回目になります。今回はハンガリートラッド界で最もよく知られているグループ、ムジカーシュ Muzsikásの重要作の一つである「バルトーク・アルバム Bartók Album」を取り上げたいと思います。20世紀ハンガリーの大作曲家ベラ・バルトークの収集した民族音楽と、その曲に基づく彼の作品にムジカーシュが向き合った盤でした。
バルトークがトランシルヴァニアで現地録音した蝋管録音は4曲入っていますが、男性の歌うPejparipám Rézpatkójaと言う民謡と、この旋律を元にバルトーク自身が2本のヴァイオリンのために書いた二重奏曲の28番が5,6曲目に続けて入っていますので、続けておかけします。CDが残念ながら行方不明のため解説は参照できていませんが、ヴァイオリニストの一人はバラネスクSQのAlexander Balanescuです。もう一人がムジカーシュのミハーイ・シポシュかどうか未確認です。
<5 Pejparipám Rézpatkója 1分10秒>
<6 28. Duó (feat. Alexander Balanescu) [Bánkódás] 2分27秒>
8曲目のポロンドーシュと言う曲は、前にフォンティ・ムジカーリ盤の冒頭のファビアン・エヴァの歌唱でかけたのと同じ曲です。ここではマルタ・セバスチャンが独唱しています。エルデーイのフォークロアの雰囲気が満点のモルドヴァのハンガリー系少数民族チャンゴーの哀歌です。
<8 Porondos Víz Martján 3分13秒>
10、11曲目にはバルトークの蝋管録音によるJocul Bãrbãtescに続いて、この曲を原曲とするバルトークの2本のヴァイオリンのための二重奏曲の32番が入っています。ヴァイオリニストの一人はバラネスクSQのAlexander Balanescuです。続く12曲目のMáramarosi Táncok (feat. Sebestyén Márta)も、同じ旋律による演奏で、マルタ・セバスチャンの独唱に始まり、ムジカーシュの演奏に移ります。
<10 Jocul Bãrbãtesc 35秒>
<11 32. Duó (feat. Alexander Balanescu) [Máramarosi Tánc] 42秒>
<12 Máramarosi Táncok (feat. Sebestyén Márta) 3分27秒>
13曲目は原題がJocul cu bâtăとありまして、このタイトルでピンと来ましたが、これはバルトークの有名なルーマニア民族舞曲の1曲目の棒踊りの原曲に当たるようです。元の演奏はヴェルブンコシュ風、つまりハンガリーの勇壮な舞曲の影響があるロマの二人のヴァイオリニストによる演奏だったそうです。ムジカーシュの演奏がそのロマの演奏をそのまま再現しているのかどうかは不明ですが、バルトークのあの有名な旋律が途中から出てきます。バルトークがこの曲を採集した場所は、Voiniceniと言うムレシュ県の村です。ムレシュ県はクルージュ県の東側になりますから、トランシルヴァニアのど真ん中辺りです。
<13 Botos Tánc (Jocul Cu Bata) 5分16秒>
15曲目のバルトークの蝋管録音は縦笛フルヤの独奏だと思いますが、16曲目にはこの曲に基づく44. Duó (feat. Alexander Balanescu) [Erdélyi Tánc]が入っています。やはりアレクサンダー・バラネスク他の演奏です。二つのヴァイオリンの44の二重奏曲のフィナーレを華やかに締め括るトランシルヴァニアの踊りです。2曲続けます。
<15 Ardeleana 38秒>
<16 44. Duó (feat. Alexander Balanescu) [Erdélyi Tánc] 1分46秒>
18曲目Pe Locはルーマニア民族舞曲の3曲目の足踏み踊りの原曲です。エキゾチックな増2度音程が大変印象的な曲です。ここでは原曲におそらくそっくりなスタイルの、牧笛とステップの音で表現しています。
<18 Pe Loc 1分22秒>
では最後に20曲目のDunántúli Ugrósokを時間まで聞きながら今回はお別れです。いかにもトランシルヴァニア(エルデーイ)のハンガリー音楽らしい5音音階の旋律です。これはバルトークが録音してきたHej, Dunáról Fúj A Szél(ドナウから風が吹いてくる)が原曲です。この旋律は、バルトークのピアノのための即興曲の第4曲目に使われています。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<20 Dunántúli Ugrósok 3分32秒>
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