コル・ニドライとコール・ニドレイ
チェロの定番曲として有名なマックス・ブルッフのコル・ニドライですが、原曲のコール・ニドレイはユダヤ新年(ローシュ・ハシャナー)の贖罪日(ヨム・キプール)に一回だけ唱えられる畏れ多い秘曲のイメージが強く、加えてブルッフのオペラ・アリアのような後半のアレンジに少々違和感もあって(シナゴーグで歌うカントールの技巧を模していると言うより、コロラトゥーラにさえ近づいているようにも聞こえまして)、楽譜はありますが、さらったことはほとんどないです。ユダヤ人ではないブルッフだから書けた曲なのかなと思います。逆にユダヤ人だったら、おいそれと近づけないはずです。私は90年頃にカザルスのビダルフ盤でコル・ニドライを聞く前に、ドハーニ街の音源で原曲のコール・ニドレイを聞いていたので、稀な例かも知れません(笑) と言う訳で、この曲はユダヤ人演奏家に登場頂きたいと思いまして、ミッシャ・マイスキーの演奏を一本目に上げました。弾きながらどんなことを思うのでしょうか? 2本目がドハーニ街シナゴーグの音源です。(以下放送原稿を再度)
Kol Nidoreiの「ei」の部分がドイツ語の場合、通常「アイ」と発音するので、コル・ニドライと言う発音がよく知られていますが、ヘブライ語本来の発音はコール・ニドレイです。ユダヤ新年(ローシュ・ハシャナー)の贖罪日(ヨム・キプール)の初めに歌われる厳粛な祈祷歌で、ユダヤ旋律らしいエキゾチックな増二度音程が特徴的です。カディッシュ同様、通常はアラム語で唱えられます。コール・ニドレイとは「すべての誓い」のような意味です。
Bruch: Kol Nidrei ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Mischa Maisky ∙ Paavo Järvi
<6 Kol Nidrei 6分31秒>
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