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2023年7月

2023年7月31日 (月)

リ・ラ・ロ(Li La Lo)/Mameloschiade,Masseltoffiade

ゼアミdeワールド370回目の放送、日曜夜10時にありました。2日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。リ・ラ・ロは、今の所3本見つかっています。今日は番組でかけた終曲2本だけ貼っておきます。1本目はCDの音源です。

370回目の放送になりました。東欧系ユダヤ音楽の10回目になります。前回はイディッシュ演劇の俳優兼歌手のボリス・ランダウのLP盤を取り上げましたが、今回も演劇風な歌唱を聞かせる音源です。リ・ラ・ロ(Li La Lo)/Mameloschiade,Masseltoffiadeと言う独Trikontの盤で、ヨッスィー&ジャック・ハラント夫妻(Jossy Und Jacques Halland)の、やはりミュージカル・コメディ感あふれる素晴らしい一枚でした。1982年までアムステルダムにあった西ヨーロッパ最後のイディッシュ・キャバレーでのライヴ録音です。1938年のユダヤ人街焼き討ちを描写するモルデカイ・ゲビルティグ作の有名な「エス・ブレント(燃えてる!)」に始まり、「カインとアベル」「パピロシュン」「アナテフカのテーマ」「アンティセミティズム」「ドレフュスのバラード」「ラビ・アリメレフ」「レハイム」等が入っています。
1894年当時フランス陸軍参謀本部の大尉だったユダヤ人のアルフレド・ドレフュスがスパイ容疑で逮捕された冤罪事件、ドレフュス事件をテーマにしたと思しき「ドレフュスのバラード」とか、ナチスの反セム主義(あるいは反ユダヤ主義)を批判する「アンティセミティズム」のような、政治的にアイロニカルな自作曲があるのが彼らのレパートリーの大きな特徴でしょう。アナテフカのテーマは、その名の通りで「屋根の上のヴァイオリン弾き」から引用されています。
時にユーモラスで風刺的なヨッスィー・ハラントのミュージカル・コメディ風の語り歌に、ジャック・ハラントのピアノが当意即妙な伴奏を付けています。彼は生まれ故郷のパリでは、ジャンゴ・ラインハルト、イヴ・モンタン、フェルナンデルと言った大御所の伴奏もしたそうです。グループ名のリ・ラ・ロとは、ヘブライ語で「私に、彼女に、彼に」の意味です。ヨッスィー・ハラントがポーランド系ユダヤ人、ジャック・ハラントはオランダの画家の息子ですが、祖父は詩人兼ラビとのことです。
それでは「エス・ブレント(燃えてる!)」、有名な「ユダヤの母」の旋律による「アレフ・ベート」「アンティセミティズム」「ドレフュスのバラード」の4曲を続けておかけします。

<1 Li La Lo - Mameloschiade - Jiddischkeiten ~Es Brennt 2分51秒>
<2 Li La Lo - Mameloschiade - Jiddischkeiten ~Aleph Beith 4分4秒>
<5 Li La Lo - Mameloschiade - Jiddischkeiten ~Antisemiten 6分17秒>
<20 Li La Lo - Mameloschiade - Jiddischkeiten ~Dreyfus Ballade 2分41秒>

演劇的な、またキャバレー・ソングのようなイディッシュ・ソングで思い出すのは、カルステン・トロイケです。独Raumer Recordsから出ているJidische Vergessene Lieder(イディッシュの忘れられた歌)では、公式に発表されていないイディッシュの歌を取り上げていました。Karsten Troykeは、ユダヤ系の血も引く東ドイツ出身の歌手、俳優、ソングライターで、クレズマー・ブームには乗らず、ひたすらイディッシュ・ソングを追究するタイプなので、クレズマーブームが落ち着いた今もずっとコンスタントに作品をリリースし続けています。この盤では13歳の時にドイツの軍人に連れ去られてしまったサラ・テネンベルク(ジャケット左の婦人)の記憶にあった歌の数々を蘇らせた内容だそうで、1曲目ではサラ・テネンベルクの歌も聞くことが出来ます。この盤の1曲目Sureleと、私の特にお気に入りの9曲目Mayn Vaybl Klareを続けておかけします。
もし時間が余りましたら、リ・ラ・ロ(Li La Lo)の楽しい終曲Massel Und Brocheまでおかけします。カルステン・トロイケは、次回もう少し他の盤からも取り上げる予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Karsten Troyke / Jidische Vergessene Lieder ~Surele 3分1秒>
<9 Karsten Troyke / Jidische Vergessene Lieder ~Mayn Vaybl Klare 2分48秒>

<23 Li La Lo - Mameloschiade - Jiddischkeiten ~Massel Und Broche 2分30秒>
Mazzel en Broche

Li La Lo - Masel en Broche (Yiddish Song/Cabaret)

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2023年7月28日 (金)

The Cantor's Son

ボリス・ランダウについては手掛かりがないまま、イディッシュ演劇で検索していたら、いつの間にか映画に移動していますが、続々と往年の映像が見つかっています。今日は随所にMoishe Oisherのカントールやイディッシュ民謡の素晴らしい歌唱を聞ける1937年の映画「カントールの息子」を上げておきます。以下は昨日の「テヴィエ」や今日の映画のようなイディッシュ語映画のアーカイヴを所蔵しているNational Center for Jewish Filmの解説の翻訳です。

このイディッシュ長編ミュージカル ドラマは、歌手兼カントールのモイシェ・オイシャー (『栄光への序曲』と『歌う鍛冶屋』) のスクリーン デビュー作です。 ペンシルベニア州のポコノ山脈近くで撮影されたこの映画では、オイシャーがタイトルロールでポーランドの住宅街からニューヨークのロウワー・イースト・サイドへと向かうわがままな若者を演じている(映画にはロウワー・イースト・サイドと、当時の劇場の名物だった二番街イディッシュ劇場の珍しい姿が含まれている)。 数年後、ナイトクラブで床を洗っているときに「発見」され、有名な歌手になります。 最終的に、オイシャーのキャラクターはオールド カントリーに戻り、両親と幼少期の恋人と再会します。

批評家のJ・ホバーマンは、イディッシュ映画に関する著書『光の橋』の中で、カントールの息子を「反ジャズ・シンガー」と呼び、さらにこの映画の物語は、カントールの使命とショー・ビジネスでのキャリアを両立させようとするオイシャー自身の葛藤と平行していると述べた。 映画の登場人物と同じように、ベッサラビアでカントールの息子であり孫として生まれたオイシャーは、マチネのアイドルであり、また著名なカントールでもありました。 オイシャーは共演者のフローレンス・ワイスと結婚していました。

映画監督シドニー・M・ゴールディン(『東と西』の「モーゼおじさん」)が『カントールの息子』の製作中に心臓発作で死亡したため、後任にスタニスラフスキーの弟子であり、本作の監督としてクレジットされているイリヤ・モトリエフが就任しました。 この映画の音楽(感傷的な歌「Mayn Shtetele Betz」を含む)は、コンサートヴァイオリニストであり、2番街イディッシュ劇場のベテランであるアレクサンダー・オルシャネツキーによって作曲されました。

The cantors son part 1

The cantors son part 2

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2023年7月27日 (木)

1939年の映画「テヴィエ」 イディッシュ語版

「屋根の上のヴァイオリン弾き」の原作は、ショーレム・アレイヘム作の「牛乳屋テヴィエ」ですが、何度か映画化されていて、1939年のイディッシュ語版(英語字幕付)がYouTubeにありました。今日の1本目です。音楽は、ドナ・ドナや「素敵なあなた」(Bei Mir Bistu Shein) を書いたショロム・セクンダ。冒頭いきなりエイブ・シュヴァルツによるクレズマーの有名曲Lebedik un Freylekhで始まりますが、これは後で付けられた部分でしょうか。
ウクライナが舞台なので、冒頭の麦の収穫シーンに大変有名なウクライナ民謡「ドニエプルは轟き呻く」(訳は色々あります)が出てきます。数年前のウクライナ音楽を取り上げた時と去年に、プラヤ盤や戦前の赤軍合唱団、ナターシャ・グジーなどの歌唱でかけました。まだ細かくは見れていませんが、音楽面で特筆すべき点は、子供たちにトーラーや詩篇の朗誦を教えているシーンで、なかなか聖書朗唱は聞ける機会がないので、貴重でしょう。祈祷歌を歌うシーンもありました。テヴィエに扮するのは監督のモーリス・シュヴァルツ。テヴィエの娘たち長女のツァイテルと三女のハヴァが見えますが、次女のホーデルは、この名では見えません。ハヴァは日本では長らくチャバと間違って発音されたままですが、ここでは正しくハヴァと呼ばれています。
2本目は大分前に話題に出たイディッシュ語版の「屋根の上のヴァイオリン弾き」の舞台稽古風景です。今回上げておきます。

טביה 1939 - סרטו של מוריס שווארץ



Fiddler on the Roof in Yiddish | "Traditsye" ("Tradition")

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2023年7月26日 (水)

1940年アメリカのイディッシュ語映画

やはりボリス・ランダウについては手掛かりがありませんので、今日は1940年のイディッシュ語による映画「THE GREAT ADVISOR」を上げておきます。冒頭でピアノ伴奏のカントールが聞けたり、何気ないイディッシュ語でのコミカルなやりとりも興味深いものがあります。英語版ウィキペディアによると、監督のJoseph Seidenは、「20世紀初頭の先駆的なアメリカのイディッシュ語映画プロデューサーでした。彼は1930年代から1940年代にかけて、低予算で感傷的なイディッシュ語のドラマを数多くリリースしました。彼はまた、アフリカ系アメリカ人のキャストによる1940年のミュージカル映画であるハーレムのパラダイスを監督しました。」とありました。 YouTubeでは、ヘブライ文字表記のイディッシュ語で検索すれば、更に色々出てきそうです。明日は1939年の映画「テヴィエ」です。

THE GREAT ADVISOR (1940) (IN YIDDISH)

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2023年7月24日 (月)

イディッシュ演劇の露Melodya盤

ゼアミdeワールド369回目の放送、日曜夜10時にありました。26日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。予想通り1912年生まれのボリス・ランダウ関連のYouTubeは見つからずでした。代わりにイディッシュ演劇についてのドキュメンタリーを入れておきました。ドナ・ドナなどイディッシュ・ソングの名曲も、この伝統の中で生まれました。

Yiddish Theater

東欧系ユダヤ音楽の9回目になります。今回と次回はイディッシュ演劇の俳優兼歌手の音源2枚からおかけします。一枚目は1912年生まれのボリス・ランダウのLP盤「Favourite Images」で、ロシアのメロディアから出ていました。
Песенка Гершеле (Зиновий Заграничный - Моисей Гершензон) Борис Ландау Мелодия С30 27733 004
CD化はされてないようです。http://yiddishmusic.jewniverse.info/landauboris/index.html(イディッシュミュージック ジューニヴァース)と言うサイトによると、

ボリス・ザハロヴィッチ・ランダウは1925年から1926年にかけてアルバート・シガレスコの一座の俳優、1930 年から 1941年までは、ハリコフ GOSET 劇団の俳優でした。 1942年から1947年にかけて、彼はオデッサ・ハリコフのGOSET一座の俳優としてサマルカンドとタシケントで公演しました。
劇場が閉鎖された後、「コスモポリタニズム」に対する闘争をきっかけに、妻で女優のゲーニャ・レフとともにリトアニアのヴィリニュスへ向かい、そこで別の専門分野で働いた。 1950年代、ランダウとレフはウズベキスタンに戻り、そこでユダヤ人のミュージカル・コメディと演劇のアンサンブルを組織し、長年にわたってそのツアーに参加。 1970年代に彼らはヴィリニュスに戻り、共和国労働組合宮殿の舞台で行われたアマチュアのユダヤ人民劇場の公演に参加し、ユダヤのポップソング「フォイエレヒ」(Фейерлех)の声楽と器楽のアンサンブルとともにコンサートで演奏。ボリス・ランダウは1988年にヴィリニュスで亡くなり、地元のユダヤ人墓地に埋葬された。

とありました。

イディッシュ語の強烈なRの巻き舌音から始まるこの録音は、往時の雰囲気を偲ぶ貴重な記録だと思います。お見せできないのが残念ですが、裏ジャケットに出ている白塗りの二枚目だけでなく、女性や老婆(あるいは魔女?)などにも扮装したボリス・ランダウの写真も大変にインパクトがあります。A面の途中まで続けて11分程おかけします。

<Boris Landau / Favourite Images A面 ~11分35秒>

このLPは表記が全てロシア語ですし、他で聞かない曲ばかりで詳細が分かりませんが、B面もクレズマー色の溢れる前奏部分からすごく良いので、10分程おかけします。ボリス・ランダウについては、ゼアミブログの方で探ってみようと思います。

<Boris Landau / Favourite Images B面 ~10分30秒位>

もう一枚は、リ・ラ・ロ(Li La Lo)/Mameloschiade,Masseltoffiadeと言う独Trikontの盤で、ヨッスィー&ジャック・ハラント夫妻の、やはりミュージカル・コメディ感あふれる素晴らしい一枚でした。1982年までアムステルダムにあった西ヨーロッパ最後のイディッシュ・キャバレーでのライヴ録音です。モルデカイ・ゲビルティグ作の有名な「エス・ブレント」に始まり、「カインとアベル」「パピロシュン」「アナテフカのテーマ」「アンティセミティズム」「ドレフュスのバラード」「ラビ・アリメレフ」「レハイム」等が入っています。この中から、何度か他の人の演奏でかけているラビ・アリメレフを時間まで聞きながら今回はお別れです。次回はリ・ラ・ロの続きから始めて、他のイディッシュの音源に移る予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Li La Lo - Mameloschiade - Jiddischkeiten Jossy Und Jacques Halland ~Rebbe Elimeilach 3分52秒>

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2023年7月21日 (金)

BNKのドナ・ドナ

ベツニ・ナンモ・クレズマー(BNK)の締めは、ドナ・ドナです。先日うちの店のお客さんが「悲しいこの歌をこんな風に歌うのはどうか」と意見されていました。私はそんな風に思ったことはなかったのですが、確かにジョーン・バエズの楚々としたリリカルな歌い方に慣れていると、そう思うかなとも思いました。これまた超・久々にクレズマー・コンサーヴァトリー・バンドの87年リリースのオイ・ハヌカーを聞いていて、7曲目に入っているドナ・ドナはアレンジだけでなく東京ナミィさんの歌そっくりに聞こえました。東京ナミィさん程、妖艶でパンチは効かせてないですが。オイ・ハヌカー冒頭の名曲A Freylekhe Nakht In Gan Eydnなども、この曲の演奏のスタンダードだと思います。
クレズマー・コンサーヴァトリー・バンド(KCB)は、クレズマティクス、ブレイヴ・オールド・ワールドと並んでアメリカのリヴァイヴァル・クレズマーの3大グループと言って良いでしょう。この曲に限らず90年代のクレズマー演奏のスタンダードとしてよく聞かれていたと思います。BNKもKCBをかなり参考にしていると思います。ですので、パンチが効いたアレンジと言うのも、私は意識せず聞いていたことに今頃気が付きました。あるいは、ドナ・ドナ本来の「アドナイ」と神に呼びかける嘆き歌調と無意識に分けて聞いていた節もあります。
1本目は2014年のライブ、2本目はファーストアルバム「おめでと」全編です。「魔法使いサリー」もこの中に出てきます。

Betsuni Nanmo Klezmer, "Dona Dona" ベツニナンモクレズマー”ドナドナ”

Omedeto (full album) - Betsuni Nanmo Klezmer & Kazutoki Umezu (1994)

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2023年7月20日 (木)

「アヒル」からトゥンバラライカ

今日のベツニ・ナンモ・クレズマーは、セカンドの「アヒル」です。番組でかけたのは、非常に有名なイディッシュ・ソングの一つ「トゥンバラライカ」でした。この曲がよく知られている理由の一つには、バラライカの名が入っているのもあるかと思いますが、ではトゥンと言うのは何でしょうか? 言うまでもなくバラライカはロシアの楽器で最も有名な弦楽器で、大小さまざまあり、コントラバス・バラライカは、足が付いていて立てて奏し、高さは170センチはあるでしょうか。バラライカ・アンサンブルの楽器で、名前からカザフのドンブラと明らかに繋がりを感じるのが、胴の丸いロシアのドムラですが、それが三角に変形したのでしょうか。19世紀のワシーリー・アンドレーエフが農奴の弾く楽器に感銘を受け改良し出来たのがバラライカですが、元も三角だったのか気になります。この薄く軽めの軽快な音色が、重厚なロシア民謡にぴったりです。コーカサスのジョージア(グルジア)やチェチェンでは、パンドゥリの代わりによく演奏され、コーカサスのハチロク・リズムにもよく馴染みます。
「トゥンバラライカ」と言う歌が生まれたのは、ロシアのユダヤ人社会ですが、ポグロム~ホロコーストより前の録音はほとんど残ってないので、ユダヤ人の間でも一般的な楽器だったのか確認は困難です。この歌の内容はいかにもイディッシュ民謡らしいエレジー風なラブソングですが、それがバラライカの軽快なリズムで表現されるところが大きな特徴です。トゥンバラライカはバラライカの掻き鳴らしのリズムをリアルに感じる曲です。(昨日指摘されて気が付きましたが、確かにチム・チム・チェリーに少し似てます。)
例によって1本目は2014年のライブ映像、2本目は「アヒル」全編です。オデッサ・ブルガールから始まり、トゥンバラライカは2曲目です。久々に聞いて思いましたが、2,3枚目はアレンジが凝ってますね。梅津さんのルーツのフリージャズ色も度々顔を出します。

Betsuni Nanmo Klezmer "Tum Balalayke" Vocal:Koichi Makigami&Tokyo Nammy

Ahiru (full album) - Batsuni Nanmo Klezmer & Kazutoki Umezu (1996)

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2023年7月19日 (水)

悲しき天使

「悲しき天使」ですが、私はメリー・ホプキンより前に、確か80年頃にシャンソン歌手ダニエル・ヴィダルのLPで聞きました。この曲だけでなく、ウクライナ絡みの詩も素晴らしい「天使のらくがき」とか、フランス・ギャルのヒット曲「恋のためいき(ポリシネル)」とか、オリジナルより良いのではと思う程、どれも非常に素晴らしかったです。その「悲しき天使」をクレズマーで聞くのは、ベツニ・ナンモ・クレズマーだけだったように思います。原曲のДорогой длинноюは、「ジプシー・ロマンス」についてのロシア語の本にも確か解説が載っていました。今回も2014年のライブ映像と、2本目は「ワルツ」全編です。非常に有名なイディッシュ・ソング、パピロシュン(煙草)から始まります。BNKの3枚ともに言えますが、クレズマーの重要曲は演奏時間が長いので、番組ではかけられず、今回は「悲しき天使」や「魔法使いサリー」などキャッチーな曲にしました。またオリジナルのデイヴ・タラスやナフテュール・ブランドヴァインなどの音源を取り上げる際にかけるかも知れません。(以下放送原稿を再度)

それでは最後に、「ワルツ」から「悲しき天使」を時間まで聞きながら今回はお別れです。「悲しき天使」は、イギリスのメリー・ホプキンが歌って60年代に大ヒットしましたが、原曲はクレズマーまたはジプシー音楽のスタイルで20世紀初頭に作られたロシア歌謡です。

<悲しき天使 8分23秒>
Betsuni Nanmo Klezmer "Those Were The Days" Vocal:Koichi Makigami & Tokyo Nammy ”悲しき天使”

Waltz (full album) - Betsuni Nanmo Klezmer & Kazutoki Umezu (1996)

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2023年7月17日 (月)

ベツニ・ナンモ・クレズマーのアレ・ブリダー

ゼアミdeワールド368回目の放送、日曜夜10時にありました。19日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は大好きな曲、アレ・ブリダー(アレ・ブリデル)のみです。2014年に再結成?ライブがあったのですね。知りませんでした。一枚目が出てから20年目です。

東欧系ユダヤ音楽の8回目になります。前回チェリストの新倉瞳さんが参加するスイスのクレズマー・バンドCheibe Balagan (ハイベ・バラガン)を取り上げましたので、今回は日本のクレズマーのパイオニア的なバンド、ベツニ・ナンモ・クレズマー(BNK)の3枚からご紹介したいと思います。1992年結成の梅津和時さん率いるグループです。一枚目の「おめでと」が出たのが94年です。ちょうどジョン・ゾーン・マサダの1枚目のライナーノーツ執筆を私が担当した年でした。95年だったと思いますが、ライブも聞きに行きました。それ以前に篠田昌已のいたコンポステラが類似の曲を取り上げることもありましたが、BNKはクレズマーを本格的に取り上げた日本初のグループでした。2枚目の「アヒル」と3枚目の「ワルツ」も、キャロサンプの野田さんプロデュースでディスクユニオンのNani Recordsから出ていました。(いずれも現在は廃盤だと思います)野田さんは池袋のアール・ヴィヴァンに私が勤務していた90年頃からよく来られていて、色々クレズマー話もしていたので、アヒルとワルツのジャケットのthanks toの所に、私の名前も載せて頂きました。

まずは、「おめでと」から、アレ・ブリダー(アレ・ブリデル)、ドナ・ドナ、魔法使いサリーの3曲を続けておかけします。ユダヤ版ウィー・アー・ザ・ワールドのようなアレ・ブリダーは、95年のライブで聞いて思わず目頭の熱くなるような演奏でした。この曲は、リヴァイヴァル・クレズマーの中心的バンドの一つ、クレズマティクスが1st.アルバムのShvaygn=Toyt で演奏していた曲です。「魔法使いサリー」は、曲調がロシア民謡風なので入れたのではと思います。

<アレ・ブリダー 5分16秒>
Betsuni Nanmo Klezmer "Ale Brider" Vocal:Koichi Makigami & Tokyo Nammy ベツニナンモクレズマー”我等皆兄弟”

<ドナ・ドナ 2分28秒>
<魔法使いサリー 4分15秒>

ベツニ・ナンモ・クレズマーは、70、80年代から生活向上委員会やどくとる梅津バンド等の活動で一部のフリークにはよく知られる梅津和時率いる19名の大所帯バンドで、梅津和時のアルトサックスを中心に、BNKの後継グループの「こまっちゃクレズマ」にも参加している松井亜由美 (vl)、張紅陽 (acc)、関島岳郎 (tuba)の他に、ヴァイオリンの向島ゆり子、シカラムータのクラリネット奏者、大熊亘(大熊ワタル)、ヴォーカル陣には、本格的ソプラノでセクシーな歌を聞かせる東京ナミィ、巧みなイディッシュ語歌唱と時折ホーミーやホーメイなどの倍音唱法交じりで歌うヒカシューの巻上公一などとなっています。余談ですが、六本木ウェイブ4階のストアデイズ勤務の94年前後に、巻上さんはよく店に来られてましたし、97年のタワーレコード渋谷店インストアライブを聞きに行っていて、ソウル・フラワー・モノノケ・サミットのメンバーとして大熊さんもお見かけしたことがあります。

2枚目の「アヒル」からは、「トゥンバラライカ」、3枚目の「ワルツ」からは、パピロシュン(煙草)をおかけします。いずれも非常に有名なイディッシュ・ソングです。

<トゥンバラライカ 4分46秒>
<パピロシュン 4分39秒>

それでは最後に、「ワルツ」から「悲しき天使」を時間まで聞きながら今回はお別れです。「悲しき天使」は、イギリスのメリー・ホプキンが歌って60年代に大ヒットしましたが、原曲はクレズマーまたはジプシー音楽のスタイルで20世紀初頭に作られたロシア歌謡です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<悲しき天使 8分23秒>

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2023年7月14日 (金)

メッツェナー氏のクラシック演奏 パッサカリアとイザイ

結局エドワード・メッツェナーさんのクレズマー・ヴァイオリンをフィーチャーした映像は見つけられず終いでした。何でクレズマーに目が向いたのかも謎のままです。クラシック演奏の方はかなりありますので、新倉瞳さんと夫婦でのヘンデル作曲ハルヴォルセン編曲のパッサカリアの一部と、イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ1番を上げておきます。このヴァイオリンとチェロ版のパッサカリアは前々から憧れの曲で、両パート練習していますが、人生の残り時間で果たして弾けるかどうかと思っている難曲です。全曲は10分余りあったと思いますので是非見たいものですが、アップされないでしょうか。イザイの無伴奏1番は、ヨーゼフ・シゲティに献呈された独奏曲で、この曲を暗譜出来る人の頭の中はどうなってるのだろうかと思う程の難解な難曲です。3本目はハイベ・バラガンで検索すると上位に上がっている動画ですが、大体この位の1,2分の映像がほとんどです。気に入ったらライブに足を運んでね、と言うことだと思います。それと番組でかけた音源はファーストアルバムのDer Nayer MantlからはYouTubeは見当たらず、2,3枚目がほとんどのようです。
ハイベ・バラガンは、ギタリストがイディッシュ語歌唱をよく聞かせているので、メッツェナーさんと二人は容貌からもユダヤ系ではと思いましたが。メッツェナーさんはフランス系スイス人とのことです。フランスのBudaから「フランスのユダヤ音楽の遺産」シリーズが出ているように、フランスでは戦後もドイツ程ユダヤ人人口が激減してないので、もしやと思いますが。

Edouard Mätzener and Hitomi Niikura @Rimini Bar

Edouard Maetzener - Ysaye Sonata No 1

Cheibe Balagan @ Schlauer Bauer Openair

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2023年7月13日 (木)

Sumer in Odes(オデッサの夏)

抱腹絶倒のハイベ・バラガンの動画はこちら。いつからクレズマーは冗談音楽になったのでしょうか(笑) と言うか、元々結婚式の盛り上げ音楽ですから、その面はあったということでしょう。それがユダヤの壁を越えて広まった(ように見えますが)理由の一つでしょうか。皆揃ってのコサックダンスで笑いが堪えられません(笑) クレズマーにありがちだった、左翼臭も雲散霧消した感じ。2本目も生身のメンバーによる楽しい一本。しかし、1本目が作られたのは4年前ですから、オデッサは今ではすっかり変わってしまったのでは。

Cheibe Balagan - Sumer in Odes

Tsipele - Klezmer Home Party!

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2023年7月12日 (水)

ハイベ・バラガン&新倉瞳

ハイベ・バラガンは2017年に来日、ジャパンツアーしていたのですね。地方にいると東京のライブ情報に疎くなりますし、ユダヤ音楽から久しく離れてもいたので、動画を調べるまで全く知りませんでした。シカラムータのお二人とセッションしている映像もありました。最近は95年頃のクレズマーの聴衆とは、かなり入れ替わっているでしょうか。
幾つか見た限りでは、ヴァイオリニストのメッツェナーさんは、コルンゴルドの難解なヴァイオリン協奏曲を弾く程の腕前なのに、クレズマーのライブでは、ヴァイオリンはむしろリズムセクション的な方に回って、歌って踊っている方が多い様にも見えました。このはっちゃけ具合は、どういうことでしょうか(笑) 最近作の幾つかの曲では、旋律は奥さんの新倉瞳さんのチェロに譲ってる感もあります。公式サイトに上がっているユーモラスな動画には、腹を抱えて笑ってしまいました(笑)が、やっぱりヴァイオリンのソロも見てみたいものですので、また探してみます。ユーモラスな動画は、また後日。
一本目は、2018年に出たセカンドアルバムのSumer in Odesから、Mayn Seideです。新倉さんのチェロが朗々と聞かせる旋律は、どこかハンガリーの時に聞いた作者不詳のチャールダーシュに似ています。2本目は日本ツアーのまとめ映像で、ここで流れている曲もMayn Seideです。

"Mein Seide" (My Grandfather)

Cheibe Balagan Japan Tour

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2023年7月10日 (月)

新倉瞳さんとクレズマーバンドCheibe Balagan

ゼアミdeワールド367回目の放送、日曜夜10時にありました。12日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は新倉瞳さんがクレズマーに関わるようになったきっかけについてのお話が中心の一本のみにしておきます。番組でかけた音源とライブ映像は水曜以降に。AI翻訳でしょうか、先週に続き相変わらず字幕は誤字だらけです(笑)

クレズマー音楽について話したり弾いたり歌ったり【Vlog #7 about Klezmer】

東欧系ユダヤ音楽の7回目になります。この後は、イディッシュの音源もまだまだありますし、その後は更に沢山出ているクレズマーを聞いていく予定ですが、その前にまず最近気になった音源を取り上げます。
クラシックの女性チェリストの名手として大活躍中の新倉瞳さんの演奏は、BSプレミアムのクラシック倶楽部やテレビ朝日系列の「題名のない音楽会」で見かけることも多いのですが、その中でクレズマーや東欧系ユダヤの音楽を取り上げられていて、それをたまたま「題名のない音楽会」で見かけてびっくりしました。クラシックのチェリストがクレズマーを演奏するとは、と言う新鮮な驚きがありました。クラシックにもエルネスト・ブロッホの作品のように、ユダヤ音楽そのもののような楽曲もありますが、そのままクレズマーを演奏しているというのは、多分初めて目にするように思います。
プロフィールを見てみると、スイス人ヴァイオリニストの旦那さんEdouard Mätzener氏が2014年に結成したクレズマーバンドCheibe Balagan (ハイベ・バラガン)のメンバーとしてもスイスで活動しているようで、二重に驚きました。年齢のことを言うのも何ですが、新倉さんが今年38歳、旦那さんは年下で34歳のようなので、その位の若い世代の方々は、70、80年代のクレズマー・リヴァイヴァルはもちろん、90年代の日本でもかなり盛り上がったクレズマー・ブームも、リアルタイムでは知らないのではと思いますから、何でクレズマーに目が向いたのかが、気になるところです。イディッシュ語の歌唱もあるので、もしかしたらメンバーの誰かがユダヤ系なのではとも思いました。
日本ではひと段落した感のあるクレズマーですが、ヨーロッパではもっとラディカルに潜行するように広まっていたのかも知れません。新倉さんと同じくEdouard Mätzener(エドワード・メッツェナー)さんも、数々の受賞歴と活動歴を持つプロのクラシック・ヴァイオリニストでありながら、20代前半でクレズマーのグループを作ったという人です。ヴァイオリンの場合は、イツァーク・パールマンのIn the Fiddler`s Houseがあるじゃないかと言う意見もあると思いますが、あの2枚はアメリカのクレズマー・バンドとのセッションで、独自のグループのメンバーと言う訳ではありませんでした。パールマンはユダヤ人ですから、イディッシュ語で歌まで歌うハイベ・バラガンの誰かもそのルーツを持つのかもと思った次第です。しかもよく知られたイディッシュ・ソングではなく、オリジナルと思われる曲にイディッシュ語の歌詞が付いているのが、更に驚きを新たにするポイントです。
Cheibe Balaganはチューリッヒ出身の若者たちにより結成されたクレズマーバンドで、ファーストアルバムDer Nayer Mantlは2016年にCDが出ていたようですが、今は入手困難になっているようです。この盤を含め3枚をストリーミングで確認しましたので、今回はその中から抜粋します。編成はヴァイオリン、チェロ、クラリネット、アコーディオン、ギター、ドラム、コントラバスと歌です。

まずファーストアルバムのDer Nayer MantlからKostakovsky's Freylakh、Bay Mir Bistu Sheyn、Sherele、Korobeinikiの4曲を続けます。アルバム冒頭のKostakovsky's Freylakhの後のBay Mir Bistu Sheyn(「素敵なあなた」)は、イディッシュ・ソングで最も有名な曲の一つで、ドナ・ドナと同じくショロム・セクンダの作曲です。Shereleは必ずしもこのタイトルではなかったと思いますが、クレズマーの定番曲の一つです。最後のコロベイニキは、ロシア民謡の「行商人」の旋律で、ロシア語タイトルがコロベイニキでした。アラカン世代の方には「魔法使いサリー」の学芸会シーンに使われていて、お馴染みのメロディだと思います。

<Kostakovsky's Freylakh 1分48秒>
<Bay Mir Bistu Sheyn 3分1秒>
<Sherele 2分26秒>
<Korobeiniki 2分33秒>

おそらく2018年に出たセカンドアルバムのSumer in Odesからは、Mayn Seideと言う曲を選びました。前奏後奏で新倉さんのチェロが朗々と聞かせます。

<Mayn Seide 3分4秒>

2022年のDuschin Duschin Bum Bum Bumからは、Galop、Violinen、Kapelushの3曲を選びました。やはりファーストアルバムの時よりも新倉さんのチェロが絡む部分が増えて、低音で奏される哀愁の旋律に耳が惹き付けられます。これらの曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Galop 4分42秒>
<Violinen 4分1秒>
<Kapelush 4分39秒>

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2023年7月 7日 (金)

94年の「屋根の上のヴァイオリン弾き」

71年の映画版は断片的にしか見当たりませんし、67年のロンドンの舞台は古すぎて映像はないようですが、94年のトポル主演の舞台のフル動画がありますので予定通り上げておきます。2時間41分あります。80年代のアメリカツアーではテヴィエの妻のゴールデ役は、71年の映画で長女ツァイテルを演じていたロザリンド・ハリスが務めていたようですが、この舞台ではどうでしょうか。「屋根の上のヴァイオリン弾き」は、94年の前後に来日して見に行きましたが、ゴールデや娘たちが誰だったのか思い出せません。トポルの踊りながらの歌声は、昨日のように覚えていますが。
しかし、昨日の帝劇での映像は初めてみましたが、「日本のテヴィエ」になっていますが、森繁さんのいぶし銀の演技はやはり凄かったです。荻昌弘さんの熱い解説も久々に見ました。トポルがラザール・ウォルフとレ・ハイムを歌うシーンに乱入するコサックの朗々としたロング・トーンの美声にも驚きました。あの歌手は誰でしょうか。どちらもちゃんと見る時間を作りたいものですが、更に他の人の舞台まで見れるのは大分先になりそうです。最近の舞台のテヴィエ は市村正親さんが演じられています。

AMTSJ Fiddler on the Roof

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2023年7月 6日 (木)

森繁さんのテヴィエ

最初に「陽は昇りまた沈む」を1975年前後にTVで聞いたからでしょうか、森繁さんのテヴィエもイメージ的には好きで、若くして亡くなった叔父を思い出します。(前にも書きましたが、当時は東欧系ユダヤの話とは知らなかったと思います) 叔父が森繁さんの舞台を見たかどうか知りませんが、小学生の頃、森繁さんを尊敬するような発言を何度か聞いたことがあります。私らの世代では、森繁さんと言えばテヴィエと知床旅情のイメージが大きいでしょうが、上の世代ではとにかく映画界の大スターそのものでしょう。
帝国劇場での舞台の全編が上がっていました。サムネイルに出て来ているのは、益田喜頓さんでしょうか。見るからにラバイ(ラビ)役だと思いますが、ぴったりです。

屋根の上のヴァイオリン弾き 森繁久彌  帝国劇場 19830117 βⅡ MODE・Betamax収録

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2023年7月 5日 (水)

オリジナル・ブロードウェイ・キャスト版「屋根の上のヴァイオリン弾き」

「屋根の上のヴァイオリン弾き」について触れるのも、後3日ですが、面白そうな映像が色々あって迷っています。そのため放送でかけた音源は、月曜に全て入れました。そもそもの始まりは1964年のブロードウェイの舞台ですから、それがどういう風なのかがありますし、その後1967年にトポルのロンドンの舞台があって、同年に始まった森繁さんの舞台はトポルからも影響を受けたのかとか気になります。イディッシュ語でトラディションの部分を練習している映像とか、最近の演出と演奏の映像とか、この演目の音楽と舞台表現は今も脈々と生き続けています。
今日は聞いたことのなかった1964年のオリジナル・ブロードウェイ・キャスト版から、放送でかけた曲を上げておきます。60年近く前ですから、さすがに舞台の生映像はないと思います。このミュージカルには、その他にもシャバトの祈りとか、住み慣れたアナテフカからの追放のシーンの幕切れに一同が歌う「アナテフカ」とか、素晴らしい楽曲が色々ありますが、番組でかけるのは特にユダヤ的な曲調の部分を選びました。

Prologue: Tradition

If I Were a Rich Man

Sunrise, Sunset

Wedding Dance

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2023年7月 3日 (月)

オリジナル・ロンドン・キャスト版「屋根の上のヴァイオリン弾き」

ゼアミdeワールド366回目の放送、日曜夜10時にありました。5日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。紹介文は先週とほとんど同じで音源が1967年のものに変わっています。出ているトポルのジャケットはLPのもので、検索すると出て来る黄色の方はCDで出た時のジャケットです。放送用にLPからデジタル化しましたが、CDがあったので、ストリーミングにも上がっていたことを後で確認しました。ヴァイオリンはアイザック・スターンではないと思いますが、クレジットが確かなかったので、不明でした。森繁さんの音源以外の番組でかけた曲は、今日全部上げておきます。ボトル・ダンスだけYouTubeはLP版になかったのでCD版の画像になっています。

東欧系ユダヤ音楽の6回目になります。東欧系ユダヤ音楽と言えば、おそらくドナ・ドナと並んで有名な「屋根の上のヴァイオリン弾き」を前回取り上げました。このミュージカルは、森繫久彌さんの舞台が何と言っても日本では有名ですが、元は1964年初演のブロードウェイ・ミュージカルで、その後トポルがテヴィエを演じた1967年のロンドンの舞台と、同じくトポル主演の1971年のアメリカ映画で世界的に人気が定着しました。前回71年の映画版をかけましたが、予告通り今回はトポルの1967年オリジナル・ロンドン・キャストのLPと森繫久彌版のサントラから抜粋します。同じトポル主演でも、映画の方とは少し印象が異なります。

「屋根の上のヴァイオリン弾き」は、ウクライナのイディッシュ語作家ショーレム・アレイヘムの短篇小説『牛乳屋テヴィエ』が原作で、帝政ロシア領となったウクライナのシュテトルに暮らすユダヤ教徒の生活が描かれています。ウクライナの小さな架空の村『アナテフカ』が舞台ですが、当時の19世紀ロシアではユダヤ人迫害(ポグロム)が吹き荒れていた頃です。
まずは1967年のミュージカル版の序曲「しきたりの歌」からおかけします。

<A面 Prologue/Tradition/Main Title 最初~7分46秒> 7分45秒

次に「金持ちなら」と踊りながらテヴィエが歌うIf I Were A Rich Manですが、こういうコミカルな曲の端々にも東欧ユダヤの独特なリズムと節回しが聞き取れますし、シナゴーグの合唱長カントール(ヘブライ語ではハザン)を真似ている部分もあります。

<A面 If I Were A Rich Man 11分18秒~16分20秒> 5分2秒

次にこのミュージカルで一番有名な「サンライズ・サンセット」をおかけします。陽が昇り、陽が沈み、子供たちは大きくなり、いつしか嫁ぐ年頃になった。長女ツァイテルの結婚の直前になって、嬉しさの反面、両親の心淋しい複雑な心境が描かれている名曲です。
すぐに続けて結婚式のボトル・ダンスのシーンが入っていますが、本格的なクレズマー音楽が披露されます。当時のクレズマーの演奏スタイルを聞ける興味深い部分でもあります。2曲続けておかけします。

<B面 Sunrise, Sunset 6分15秒~9分42秒> 3分27秒

<B面 Wedding Celebration/The Bottle Dance 9分43秒~13分4秒> 3分21秒

では最後に森繫久彌版から、森繁さんのSunrise, Sunsetの歌唱と朗読による「プロローグ・陽は昇りまた沈む〜朗読」と、「金持ちなら」と踊りながらテヴィエが歌うIf I Were A Rich Manの部分を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<プロローグ・陽は昇りまた沈む〜朗読 3分56秒>
<テーマ〜金持ちなら 6分23秒>

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