ピアノ伴奏の物悲しくリリカルな2曲と言うのは、年老いた父を子供たちが匿うのは難しく(おそらく戦地に)一人残ることになるという7曲目のZet Nor Dem Altenと、「お休み、月や星がどんな風に輝くか見てね、でもお母さんの涙は見ないで。あなたのお父さんは帰ってこないの。」と出征した夫について子供に切々と語る13曲目のShluf Shoyn Kind Maynです。デュエットしている女性歌手はBettina Wegnerです。
ヘブライ語の歌では、ハティクヴァとエリ・エリが残りました。どちらも特別な曲で、他の大衆歌謡とは一緒に出来ません。ハンナ・セネシュのエリ・エリのこともここでは指しますが、番組でかけたカルステン・トロイケの曲は、そのハンナ・セネシュの有名なエリ・エリとは別の歌で、キリスト教側の聖書の言葉として有名な「エリ・エリ・ラマ・アザヴタニ」の文句が出て来たことにおいて、これは一体どういう歌だろうと一人驚いていました。この秘密を解き明かしたいものですが。カルステン・トロイケのハティクヴァは、YouTubeには見当たらないので、2本目に珍しいインド系ユダヤ人の歌唱で。
ハティクヴァで個人的に強く印象に残っているのは、1978年のTVドラマ「ホロコースト 戦争と家族」で、パルティザンの数人が捕まって銃殺される寸前までこの曲を歌っていたこと、女教師がガス室に送られる直前に子供たちが歌うハティクヴァのピアノ伴奏をしていたシーンです。モルダヴィア民謡「Cucuruz cu frunza-n sus」を基に、サミュエル・コーエンが編曲し、更に1897年に作曲家パウル・ベン=ハイムによって管弦楽曲に編曲されたという事で、そのモルダヴィア民謡を聞いてみましたが、ハティクヴァとはかなり違って聞こえました。(以下放送原稿を再度)
Karsten Troyke, Daniel Weltlinger & Daniel Pliner名義の2018年のThe World and Iと言う音源の最後には、Eli Eliと言う曲が入っていまして、これは有名なハンナ・セネシュの歌ではなく、歌詞の冒頭に「エリ・エリ・ラマ・アザヴタニ」と出て来る通り、イエス・キリストが処刑される際に言ったとされる言葉、「神よ、何故私を見捨てたもう」のヘブライ語ですから、聖書をテーマにしているのではと思いますが、新約聖書の福音書以外にこの文句が出てきたか、また調べてみます。Eli Eliは、どちらの場合も「わが神、わが神」の意味です。冒頭の文句とシェマー・イスラエルなどヘブライ語の定例文以外は、ほとんどがイディッシュ語のようです。新約聖書の福音書やバッハのマタイ受難曲などでは、「エリ・エリ・ラマ(レマ)・サバクタニ」と、元のヘブライ語から離れた発音がされています。
同じくドゥダイームがよく歌っていた「バラの夕べ」がYiddish Berlin (feat. Daniel Weltlinger & Harry Ermer)に入っていますので、続けておかけしておきます。とても美しい曲で、ヘブライ語タイトルはErev Shel Shoshanimと言います。Sharon Brauner & Karsten TroykeのYiddish Berlinと言う2018年の音源に入っています。二人のイディッシュ・ソング歌手のこの音源はCDがあるのか、ストリーミングだけかは不明です。
<Karsten Troyke / Yiddish Berlin ~Erev Shel Shoshanim 3分20秒>
<Karsten Troyke / Yiddish Berlin ~HaTikva (Die Hoffnung) 2分30秒>
Karsten Troyke, Daniel Weltlinger & Daniel Pliner名義の2018年のThe World and Iと言う音源の最後には、Eli Eliと言う曲が入っていまして、これは有名なハンナ・セネシュの歌ではなく、歌詞の冒頭に「エリ・エリ・ラマ・アザヴタニ」と出て来る通り、イエス・キリストが処刑される際に言ったとされる言葉、「神よ、何故私を見捨てたもう」のヘブライ語ですから、聖書をテーマにしているのではと思いますが、新約聖書の福音書以外にこの文句が出てきたか、また調べてみます。Eli Eliは、どちらの場合も「わが神、わが神」の意味です。冒頭の文句とシェマー・イスラエルなどヘブライ語の定例文以外は、ほとんどがイディッシュ語のようです。新約聖書の福音書やバッハのマタイ受難曲などでは、「エリ・エリ・ラマ(レマ)・サバクタニ」と、元のヘブライ語から離れた発音がされています。
ピアノ伴奏の物悲しくリリカルな2曲と言うのは、年老いた父を子供たちが匿うのは難しく(おそらく戦地に)一人残ることになるという7曲目のZet Nor Dem Altenと、「お休み、月や星がどんな風に輝くか見てね、でもお母さんの涙は見ないで、あなたのお父さんは帰ってこないの。」と出征した夫について子供に切々と語る13曲目のShluf Shoyn Kind Maynです。デュエットしている女性歌手はBettina Wegnerです。その後は、サラ・テネンベルクの独唱でアルバム最後の23曲目、強制収容所トレブリンカでの悲劇を歌ったTreblinkaですが、時間が余りましたら、19曲目のイディッシュ・タンゴまでおかけします。タンゴまで全てサラ・テネンベルクが記憶していた曲です。
Shir HaNoded(さすらい人の歌、放浪者の歌)は、忘れられない美しい歌で、イディッシュの歌手のカルステン・トロイケを聞いていて出て来るとは思ってなかったので、かなり驚きました。ドゥダイームが歌っていたShedematy (Mein Feld)も歌っていて、こちらは時間切れで入らなかったので来週に回しました。「さすらいの唄」と訳すと、同じタイトルの中山晋平の大正~昭和初期の歌がありまして、全く関係はありませんが、これも大変美しい曲でした。
hebrewsongsのサイトによると、作曲はNachum Nardi / traditional folk、作詞はDavid Shimoni、歌った歌手はEsther Ofarimだけでなく、Gil Ofarim、Monica Sex & Batzal Yarok、Ofra Haza And Daron Ashkenazi、Shoshana Damari、Ora Zitner、Susan Vafran、Aliza Azikri、Shalva Berti、Shlomit Aharonとありました。そう言えば、イエメン系ユダヤのオフラ・ハザやショシャナ・ダマリも歌っていました。原曲のtraditional folkがあるそうで、聞いてみたいものです。歌詞の英訳の和訳を下記に添えておきます。2本目は何度か上げていますが、エステル・オファリームの歌唱です。
11~16日はお盆休みのため、ブログは書けない日もあると思います。(以下放送原稿を再度)
Stiller Abendから、Ich will so gern ein Vogel seinと言う曲がありますが、これはイスラエルの女性歌手エステル・オファリームが歌っていたShir HaNoded(放浪あるいは、さすらいの歌)のカヴァーです。あの大変に美しい曲のカルステン・トロイケ版を聞くことが出来ます。トロイケのドイツ語タイトル(Ich will so gern ein Vogel sein)は「鳥になりたい」のような意味です。
<Stiller Abend ~Ich will so gern ein Vogel sein 4分1秒>
番組でかけたカルステン・トロイケのPapirosn、Dona Dona (Dus Kelbl)、IberbetnではYouTubeは見当たらずでした。ドナ・ドナだけ静止画ではありましたが。一方ベルツはCDジャケット入りで出てきました。イディッシュとタンゴは意外な組み合わせと昔思ったものですが、以下のような事情がありました。そう言えば、キング・オブ・クレズマー・クラリネットと呼ばれたギオラ・ファイドマンも、出身地はブエノスアイレスでした。2本目にその静止画のドナ・ドナを入れておきます。カルステン・トロイケ、若い頃はビジュアル系ですね。(以下放送原稿を再度)
2006年にはドイツのOriente Musikからイディッシュ・タンゴを集めたDus Gezang Fin Mayn Hartsをリリースしています。イディッシュ語による歌謡タンゴ集です。タンゴの故郷、アルゼンチンは南米最大のユダヤ人コミュニティが存在し、同地のイディッシュ劇場ではタンゴとも浅からぬ関係を築き、またイディッシュ文化の中心であったポーランドでは大量のタンゴが生み出された経緯がありまして、本作はそんなイディッシュ文化圏から生まれた往年のタンゴを聴かせる盤でした。14曲目にイディッシュ・ソングとして有名なBelzがありますので、こちらをおかけしておきます。
同じくStiller Abendから、Ich will so gern ein Vogel seinと言う曲がありますが、これはイスラエルの女性歌手エステル・オファリームが歌っていたShir HaNoded(放浪あるいは、さすらいの歌)のカヴァーです。あの大変に美しい曲のカルステン・トロイケ版を聞くことが出来ます。トロイケのドイツ語タイトルは「鳥になりたい」のような意味です。続けて入っているShedematy (Mein Feld)は、イスラエルの名フォーク・デュオ、ドゥダイームが歌っていた名曲です。古いユダヤ旋法を髣髴とさせる旋律と和声で知られる曲です。どちらもイスラエルの時にかけたと思います。この2曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<Stiller Abend ~Ich will so gern ein Vogel sein 4分1秒>
<Stiller Abend ~Shedematy (Mein Feld) 3分36秒>
2、8、11~16日が店の休みですので、今日は家からのUPです。リ・ラ・ロの独Trikont盤が出たのは94年前後だったと思いますが、LPは1980年に出ていて月曜の2本目はその中の曲でした。メノラー(ユダヤ教の7本の燭台)のジャケットの方は、Smith & Co.から2015年に出ていたようです。Jiddish Cabaret Li La Loのアカウントに4曲だけ上がっていて、内1曲(今日の4本目)は独Trikont盤には入ってなかった曲です。解説を入れ番組でかけた以下3曲「アンティセミティズム」「ドレフュスのバラード」「アナテフカのテーマ」も入れたかったのですが、YouTubeにデータは見当たりません。今日の1本目に唯一独Trikont盤のジャケットが上がっています。メノラーのジャケットの方は、月曜に上げたMazzel en Broche以外の3曲です。
とにかくヨッスィー・ハラントの語り歌が最高に面白く、そのミュージカル・コメディ感溢れる演奏風景や、ジャンゴ・ラインハルトの伴奏もしたというジャック・ハラントのピアノ演奏も見たいものですが、当時の映像を見るのはやはり難しいようです。西ヨーロッパ最後のイディッシュ・キャバレーのリ・ラ・ロは1982年に閉店、1986年にはヨッスィー・ハラントが亡くなったそうです。独Trikont盤にあるように、ヨッスィーさん、若い頃は相当美しい方でした。(以下放送原稿を再度)
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