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2023年9月

2023年9月29日 (金)

Jiddischer TanzとOsse Schalom

フランソワ・リリエンフェルトについては、これ以上YouTubeには手掛かりがないので、今週かけた曲を他の人の演奏ですが、2曲上げておきます。主に母音唱法で歌われるハシディック・ニグンの中で、最もよく知られている旋律の一つ、イディッシュ・タンツ(A Jiddischer Tanz イディッシュの踊り、あるいはユダヤ人の踊り)ですが、ルスティヒ・ザイン(イディッシュ語Lustik zein?、英語be cheerful)と言う名称でも知られている名旋律です。クレズマー譜にも載っていたり有名なはずですが、意外にリヴァイヴァル・クレズマーのグループなどの演奏で聞いた記憶が、そう言えばほとんどないです。似た綴りのLustig zeinで検索すると、出てくるのはドイツの歌ばかりでした。クラリネット独奏で唯一ありましたので、上げておきました。
ヌリート・ヒルシュが書いたヘブライ語の名曲「オーセー・シャローム」については、シャンソン歌手として有名なエンリコ・マシアスの歌唱がありました。そう言えば、この人はアルジェリア生まれのセファルディ(スペイン系ユダヤ)の家系でした。彼の父はアンダルシア古典音楽のグループのバイオリン奏者だったそうです。立てて構えるスタイルだと思います。オーセー・シャロームは「平安を作り給うた方」と訳せます。

Gabriela Kaufmann | Jiddischer Tanz | Improvisation für Klarinette solo

Enrico Macias - Ose chalom

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2023年9月28日 (木)

Schnirele, perele(真珠の弦)

Schnirele, pereleの別映像がありました。帽子を被って歌っているのはフランソワ・リリエンフェルトのようですが、よく見えません。場所はキリスト教会のようです。アシュケナジームの、特にハシディックの旋律には、理屈抜きで好きで好きで堪らないものが幾つかありますが、Schnirele, pereleもその一つ。他はアドン・オラムとかヤー・リボンとか、個人的にはやはり世界中でも最も好きなメロディのタイプです。(アドン・オラムとヤー・リボンが正確にハシディック起源かどうかは精査が必要ですが)
Schnirele, pereleがハシディックの曲と言うのは、実は今日の映像の解説で知りました。更にはフランソワ・リリエンフェルトが1946年生まれという事も、初めて知りました。リリーフ盤の時は43歳だったという計算になりますが、確かにそのくらいに見えます。彼がクレズマティクスのロリン・スクランベルク(あるいはスクランバーグ)の歌唱を聞いていたか、歌うのに当たって意識していたか、気になります。その位の名唱だったと思います。1本目の解説には、trad. hassidic / François Lilienfeld (*1946). Yes, amen and amen, it is true: Messiah will be coming this very year. とありまして、歌詞の内容も分かります。2本目はクレズマティクスの2005年のライブ映像です。

Schnirele, perele

The Klezmatics with Joshua Nelson - Shnirele, Perele

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2023年9月27日 (水)

カントールのフランソワ・リリエンフェルト

ハシディック・ソングとイディッシュ・ソングの、ラフな演奏ながら味わい深い歌声をRelief盤で聞かせたフランソワ・リリエンフェルトが、カントールに転身していた(あるいは元々カントールでもあったのかも)のは、今回調べて初めて知りました。Relief盤には曲の解説だけで、プロフィールは載っていなかったので。映像の撮影年は2002年頃と言うことなので、1989年のRelief盤から13年経っています。名前もおそらく珍しい苗字でしょうし、テノールの声質を聞く限り、間違いなくフランソワ・リリエンフェルトだと思います。バンド名にガリツィアナーと付けていたくらいですから、おそらくポーランド南部~ウクライナ西部のガリツィア辺りから、スイスに逃れてきた家系ではないかと思います。来週取り上げるギオラ・ファイドマンは、ベッサラビア(現在のモルドヴァ共和国の辺り)系ユダヤ人の両親が迫害から逃れ移住したアルゼンチンのブエノスアイレスで1936年に生まれています。ガリツィアとベッサラビア(バサラビエ)は共に、戦前にユダヤ文化が花開いた地方です。
カントールの詠唱を2本と、3本目はクレズマティクスのロリン・スクランベルクの感動的な名唱が耳に残るShnirele perele(真珠の弦)です。この映像のように指揮者としても活動しているようです。

Kantor François Lilienfeld, France Part 1

Kantor François Lilienfeld, Narbonne, France Part 2

Shnirele perele

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2023年9月25日 (月)

Francois Lilienfeld und Galizianer / Dayne Oygn

ゼアミdeワールド378回目の放送、日曜夜10時にありました。27日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。予想通りRelief盤のYouTubeは見当たらず、おそらく一本だけ93年の音源がありました。PCに読み込ましてもジャケットが出てこないので、ストリーミングにも上がってないと思われます。Francois Lilienfeldはカントールに転身?したようで、映像が幾つかありましたので、水曜以降にまた見てみます。

東欧系ユダヤ音楽の18回目になります。今回も90年代によく聞いたハシディック・ソングとイディッシュ・ソングの89年に出ていた盤で、Francois Lilienfeld und Galizianer / Dayne Oygnと言うスイス盤です。メーカーはReliefと言うマイナー・レーベルで、ここから出ていたのはほとんどがクラシックですので、ワールドミュージックのリスナーにはほとんど知られてなかったのではと思います。90年代前半は、ワールドやエスニックのコーナーだけでなく、クレズマーはポピュラーやジャズ、カントールはオペラ、セファルディは古楽のコーナーにも紛れ込んでいて、ユダヤの音楽全てを見渡そうとすると、それらのジャンルとコーナーを全てチェックしないといけない時期でした。出ている盤も、特に東欧系ユダヤ宗教歌のカントール関係などは一般のオペラ・アリア盤とほとんど見分けがつかず、アルファベット表記のヘブライ語の曲名で見分けるしかないような盤が多かったように思います。今回のRelief盤も、確かクラシックのリストの中で偶然見つけたと思います。
フランソワ・リリエンフェルトは、見た目からしてハシディックそのもののような人で、彼の緩急自在なアコーディオン弾き語りに、女性のみの伴奏陣が上手く合わせています。バンド名のガリツィアナーは、戦前にポーランド~ウクライナ系ユダヤ人の中心地だったガリツィア地方の名から来ています。現在のウクライナ西部からポーランド南東部にかけてあった地方です。編成はフランソワ・リリエンフェルトのアコーディオンあるいはギターの弾き語りと、チェロ、ヴァイオリン、フルートです。

東欧系ユダヤ音楽の特徴について、99年に音楽之友社から出たユーロルーツポップサーフィンに書いた拙稿の一部を読み上げます。「ショスタコーヴィチの証言」から引用している部分です。内容の真偽について議論を呼んで以来、この本は賛否両論ありますが、少なくともこの部分はショスタコーヴィチの本音がそのまま綴られていると思います。

今世紀ソヴィエトの大作曲家ショスタコーヴィチは次のように語っている。「ユダヤの民族音楽を聞く度に、私はいつでも感動を覚えるが、それは非常に多様性を帯び、見た目には陽気でも、実際は悲劇的なのである。ほとんど常に、泣き笑いに他ならない。ユダヤの民族音楽のこの特性は、音楽がいかにあるべきかという私の観念に近い。音楽には常に二つの層がなければならない。ユダヤ人は非常に長い間苦しんできたので、自分の絶望を隠すすべを身につけていた。ユダヤ人は自分の絶望を舞踊音楽の中に表現している。」ソロモン・ヴォルコフ編/水野忠夫訳「ショスタコーヴィチの証言」(中公文庫)より
まさに慧眼だと思う。きっと彼は後にホロコーストでその大多数が亡くなるクレズマーやハシディームの歌や踊りを目の当たりにしたのだろう。

Francoise Lilienfeld - Her nor Du scheyn Meydele

それでは主に母音唱法で歌われるハシディック・ニグンの中で、最もよく知られている旋律の一つ、9曲目のイディッシュ・タンツ(イディッシュの踊り、あるいはユダヤ人の踊り)からおかけします。ルスティヒ・ザイン(イディッシュ語Lustik zein?、英語be cheerful)と言う名称でも知られている名旋律です。後半歌詞が出てきて、最初どきっとしました。その後、アルバムタイトルになっているイディッシュの隠れた名曲ダイネ・オイグンまで2曲続けておかけします。

<9 A Jiddischer Tanz 4分33秒>
<10 Dayne Oygn 2分14秒>

11曲目にイスマッフ・モイシェと言うハシディックな曲が入っていて、これは個人的にこの盤で一番気に入っている曲です。シナイ山で十戒を授かったモーセの喜びを表現している曲で、他では聞かない曲です。

<11 Jissmach Moische 2分53秒>

12曲目にはヌリート・ヒルシュが書いたヘブライ語の名曲「オーセー・シャローム」が来て、その後はイディッシュ名曲のオイフン・プリペチクと続きます。オイフン・プリペチクは、確か映画「シンドラーのリスト」に出てきたと思います。オーセー・シャロームは「平安を作り給うた方」と訳せますが、ここでは平安を得る対象がイスラエルだけでなく、世界の民まで歌詞に読み込まれています。アル・コール・ハオラムの部分です。

<12 Osse Schalom 2分35秒>
<13 Oyfn Pripitschik 2分51秒>

15曲目にはエイブ・シュヴァルツの演奏で有名なキシニョフ・バルガーが入っていて、戦前のエイブ・シュヴァルツやリヴァイヴァル・クレズマーの各グループの演奏との比較でも興味深い演奏です。

<15 Der Kischinever Bulgar 2分47秒>

この後は1,2曲目に戻りまして、ニグン・スィムホーとロミール・ズィッヒ・イーベルベトゥンと続けます。どちらもハシディック・スピリットたっぷりの演奏です。2曲目は何度か他の演奏家でかけましたが、「喜びのニグン」と訳せる1曲目は他では聞かない曲です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Niggun Simcho 2分49秒>
<2 Lomir sich Iberbeitn 3分16秒>

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2023年9月22日 (金)

ザハヴァ・ズィーヴァルトのその後

ザハヴァ・ズィーヴァルトのその後の活動を追ってみると、2003年のラディカル・ジューイッシュ・カルチャー盤から、ちょうど10年後の2013年(ストリーミングではそう表示されていますが)にリリースされたFrom My Mother`s Houseでは、このタイトル通り内容的にはセファルディ関連のはずですが、音的にはアシュケナジームはもちろんセファルディからも離れて、コンセプチュアルなコンテンポラリーミュージックに近づいているように聞こえました。その中からNiemand (Psalm)=詩篇と題する曲と、1999年にリリースされていてCDを入れられてなかったイディッシュの盤の2枚目からも一曲In Kamf、3本目Hamisha Asarは昨日のセファルディ関係のライブ映像のようですが、出てくる楽器が両方不明で、特に奇妙奇天烈な管楽器に目が行きます。クルムホルンの一種でしょうか? おそらく4コース8弦の弦楽器は、キテラでしょうか? 終わりまで見ると、弦楽器はリュート、管楽器はSerpent(蛇の意味)と出て来ました。セルペント(サーペント)と言うのは聞いたことがありましたが、この弦楽器がリュートと言うのは少々納得が行きません(笑)

Antiphona / Niemand (Psalm)

Zahava Seewald & Psamim — In Kamf

Hamisha Asar by Zahava Seewald, Michaël Grébil & Christophe Morisset

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2023年9月21日 (木)

ザハヴァ・ズィーヴァルトのセファルディ

やはりツァディクのZahava Seewald & Psamim / Kovedの方はYouTubeでは見当たりませんので、今日は彼女の動画を貼っておきます。1本目はSong based on a text from Samuel Hanagid. Melody by John Zornとありますので、ジョン・ゾーン関連です。2本目はセファルディ(スペイン系ユダヤ)関係ですが、1本目はどちらでしょうか。リズムはオリエンタルな感じですし、2本目のようにセファルディ関係では伴奏にウードが入ることが多いので、その方向性の作品ではと思います。2本目で弾かれているのは、一見ウードのように見えますが、リュートに似た細い音でフレットがあるのでラウートでしょうか。

Zahava Seewald & Zohara I would lay down

A la Puerta del Rio by Zahava Seewald & Michaël Grébil

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2023年9月20日 (水)

アニム・ズミロット

ザハヴァ・ズィーヴァルトのSub Rosa盤のラストに入っているシャバト(安息日)のヘブライ語の歌「アニム・ズミロット」ですが、いくつか旋律を知っていますが、これはこの盤だけで聞くメロディでした。彼女の両親がモロッコ系のセファルディとポーランド系のアシュケナジームなので、そのどちらかの旋律でしょうか。他に聞いた旋律は、CDではドイツのCalig(カーリヒ)から出ていた「シャローム イスラエルの歌」と言う盤に入っていたシュリ・ナタンの歌唱だけだったかも知れません。YouTubeにありましたので、そちらを一本目に、二本目はザハヴァ・ズィーヴァルトの歌唱です。この盤を締め括るに相応しい名旋律です。
ズミロットと言う言葉は「賛歌」のような意味ですが、これはクレズマーの後半のズマー(あるいはゼメル)と同語根で、3語根のZMR(ザイン、メム、レーシュ)が両方の単語に入っています。ズミロットの最後のTをSの音に替えるのは、イディッシュ語の特徴でしょう。
アニム・ズミロットですが、広尾のシナゴーグを知人とシャバトに訪問した際、93年前後に聞いたかも知れません。その時は、アドン・オラムなど、シャバトの名曲をたまたま日本に来られているユダヤ人の歌唱で聞き、何度も聞き惚れました。30年経っても忘れられない、素晴らしいバリトンヴォイスを何度か聞きました。ヤー・リボンなど、知っている曲は一緒に歌いました。

Shuly Nathan - An'im Zmirot (Israeli Song)

<21 Amim Zemiros 1分45秒>

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2023年9月18日 (月)

Zahava Seewald & Psamim

ゼアミdeワールド377回目の放送、日曜夜10時にありました。20日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。Amim Zemirosは、別メロと併せて水曜以降に。Zahava Seewaldは、英語風に読めばザハヴァ・スィーワルドかも知れませんが、イディッシュですからドイツ語風に読んでズィーヴァルトが近いと思います。ザハヴァは、「黄金のエルサレム」のヘブライ語タイトル、イェルシャライム・シェル・ザハヴのザハヴ(金)の女性形です。

東欧系ユダヤ音楽の17回目になります。今回は90年代前半によく聞いたイディッシュ・ソングの盤で、ザハヴァ・ズィーヴァルトと言う女性歌手のベルギーSub Rosa盤(Zahava Seewald & Psamim / Ashkenaz Songs)中心におかけしたいと思いますが、2003年にジョン・ゾーンのプロデュースするツァディク・レーベルのラディカル・ジューイッシュ・カルチャーからも彼女のCDが出ていますので、こちらからもかけたいと思います。サブローザ盤については、99年に音楽之友社から出たユーロルーツポップサーフィンにレビューを書いていましたので、読み上げてから、文中の数曲をまずおかけします。

この盤は演奏の鮮烈さ、選曲の妙で光る。彼女はベルギーのアントワープの正統派ユダヤ教徒の家に生まれた。鮮やかな印象を残すゲットーの歌やハシディームのユダヤ神秘主義の歌の数々だが、あまり採り上げられない佳曲が多い。ベツニ・ナンモ・クレズマーの演奏で日本でも知られる「アレ・ブリデル」「パピロシュン(煙草)」、アハヴォ・ラボ旋法の結婚式の歌、最後のシャバトのヘブライ語の歌「アニム・ズミロット」の独唱も良い。モダン・ミュージックの良質なレーベルとして知られるサブローザ盤なので、パッケージもなかなかアーティスティック。

<8 Ale Brider 1分28秒>

<19 Papirosn 4分56秒>

<21 Amim Zemiros 1分45秒>

シャバトのヘブライ語の歌「アニム・ズミロット」は、いくつか旋律を知っていますが、これはこの盤だけで聞くメロディでした。1曲目の結婚式の歌は特に素晴らしいのでおかけしておきます。

<1 In Rod Arayn 2分28秒>

ザハヴァ・ズィーヴァルトが生まれたのはアントワープの正統派ユダヤ教徒の家と言うことですが、オランダPanのPlanet Flandersの解説によると、両親はモロッコ系の母とポーランド系の父とのことですから、モロッコ系のセファルディとポーランド系のアシュケナジームと言うことだと思います。ラディカル・ジューイッシュ・カルチャーから出ている盤(Zahava Seewald & Psamim / Koved)には、イディッシュだけでなくセファルディも16曲中2曲入っているのは、おそらくどちらにも馴染んできたからではと思います。ドイツ語に似たイディッシュ語とスペイン語に似たラディノ語の両方が、一人の歌い手によって一枚のCDから聞こえる不思議があります。今は東欧系ユダヤの特集ですので、今回はイディッシュ語の歌のみ取り上げます。まずは、ブレイヴ・オールド・ワールドの名演でも有名なルーマニアのドイナのスタイルによるバサラビエ(ベッサラビア)からおかけします。Sarah GorbyのLPを参考にしたという事で、他の演奏とは少し違っています。伴奏のサミームの編成はアコーディオン、ヴァイオリン、コントラバスです。

<1 Besarabye 4分31秒>

9曲目のヴェタヘル・リベイヌはヘブライ語の宗教歌、7曲目のHad Gadyaはアラム語の過ぎ越しの祭りの歌で、Vetaher Libeynuの旋律は東欧系ユダヤの有名なメロディです。ヴェタヘル・リベイヌに続いて、「ルーマニアのバルガー」は典型的なクレズマー・レパートリーで、その後はイディッシュの歌が続きます。12曲目のA Yidish Klarineteleと、16曲目のVesomahto Behogekhoを時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9 Vetaher Libeynu 2分48秒>
<10 Roumenian Bulgar 3分13秒>
<12 A Yidish Klarinetele 3分17秒>
<16 Vesomahto Behogekho 2分56秒>

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2023年9月14日 (木)

AlfieとClose To You

バート・バカラックの曲を聞いて思う事は、金管楽器やストリングスの印象的な使い方で、I Say A Little PrayerやAlfieはその代表曲でしょう。すかすかのトランペット(あるいはフリューゲルホルン?)の爽やかな音を聞いて「晴れた午後(放課後)の誰もいない校庭」を長年勝手に連想していました(笑) 究極のリラックス・サウンドと言えるでしょうか。独特なストリングスも、後のアメリカのTVドラマ(チャーリーズエンジェルとか)などで類似の音楽をよく耳にしたように思います。
彼はアカデミックな作曲技法をダリウス・ミヨー、ヘンリー・カウエルに師事したそうですが、そう言えば、ミヨーも金管を上手く使った作品がありました。ヘンリー・カウエルにも確か金管の曲がありました。今回調べて興味深かったのが、50年代に多くの曲を書きためながら不遇だった時期に大女優のマレーネ・ディートリヒがバカラックの才能を見抜いてバックに起用したことで、一緒に写っている写真も見かけました。余談ですが、マレーネ・ディートリヒは大阪万博にも来てコンサートを行ったそうです。これは聞きたかったです! リリアーナ・カヴァーニの映画「愛の嵐」の挿入歌も歌ったかも知れません。当時8歳ですから何も分からないでしょうが(笑) 
今日の2本は、トロンボーンによるジャズ風のアルフィーと、カーメン・マクレエによるClose To Youです。カーペンターズの歌唱の邦題は「遙かなる影」でした。明日Don't Go Breaking My Heartの動画が見つかって、上げる時間があれば良いのですが。

Alfie

They Long to Be Close to You (Live)

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2023年9月13日 (水)

I Say a Little Prayer

大体予想がついていたことですが、やはりジョン・ゾーンのラディカル・ジューイッシュ・カルチャーのGreat Jewish Music: Burt Bacharachの音源はYouTubeには上がっていないようですので、バート・バカラックの音源のみを上げることになりそうです。ジョン・ゾーンの解説にありますが、ジョージ・ガーシュウィンに始まり、アーヴィング・バーリン、リチャード・ロジャース、オスカー・ハマースタイン2世、クルト・ワイル、レナード・バーンスタイン、ステファン・ソンドハイムから、最近のボブ・ディラン、ルー・リードまで、アメリカのポピュラー音楽はユダヤ系の作曲家抜きには語れず、バート・バカラックはその中の最重要人物の一人です。今日の1本目は、番組でかけた自作自演音源で、2本目はアレサ・フランクリンの往年の歌唱です。1本目の音源、私はLPで持っています。以下、ジョン・ゾーンの解説の部分訳です。

予期せぬ展開や転調を伴う高度なハーモニーとコードの変化、珍しい変化をする拍子記号やリズミカルなひねりが、多くの場合小節数で不均等に行われます。 しかし、彼はそれをすべて自然に聞こえるようにしてくれるので、頭から離れなくなったり、口笛を吹くのをやめられなくなったりします。 (以下放送原稿を再度)

ラディカル・ジューイッシュ・カルチャー盤に移る前に、一曲だけバカラック自身の楽団の演奏で、I Say a Little Prayer(小さな願い)をおかけしておきます。ディオンヌ・ワーウィックやアレサ・フランクリンの歌唱で有名ですが、ブラックミュージックのイメージは最近まで余りなくて、このしゃれた曲調から多分バカラック作品で個人的に一番好きな曲です。変な喩えですが、放課後の誰もいない校庭を長年勝手に連想していました(笑) 脱力感のあるトランペット(あるいはフリューゲルホーン?)の音が最高です。

<8 Burt Bacharach / Reach Out ~I Say a Little Prayer 2分27秒>

Aretha Franklin - Say A Little Prayer 1974

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2023年9月11日 (月)

バハラフからバカラックへ

ゼアミdeワールド376回目の放送、日曜夜10時にありました。13日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。マサダのバハラフを聞いて、バカラックだ!と気づいた人は、どのくらいいるでしょうか? バカラックは水曜以降に。

東欧系ユダヤ音楽の16回目になります。ジョン・ゾーン・マサダの死海文書をジャケットにあしらった10枚シリーズで1曲もかけてないのは、6枚目ヴァヴ、8枚目ヘット、9枚目テットの3枚です。前回の最後に言いました通り、9枚目テットに入っている「死後」の意味のAcharei Motや、6枚目ヴァヴに入っている聖書によく出て来る地名のベエル・シェバと言う曲がタイトルで気になります。他には8枚目ヘットに入っているミシュナーとタルムードにも表れるコダシームとトホロットなどがあります。ミシュナーの中では、コダシームが生贄の儀式に関する、神殿と食事の法、トホロットは祭儀的な潔・不潔等の法に関係する部分ですが、死海文書の頃は違う意味で使われていたのかも知れません。ジョン・ゾーンの英訳を参照したと思われる例の10枚完結後のライナーノーツ集によると、コダシームが「神聖な場」、トホロットは「清浄」「純粋」となっていました。6枚目ヴァヴのMiktavは現代ヘブライ語なら「手紙」ですが何の手紙なのかとか、10枚目ユドのAbrakalaはアブラカダブラと関係があるのかとかも気になります。これらの曲については、長くなりますので今回は省略して、ゼアミブログの方で取り上げられればと思います。

今回聞き直して非常に驚いた一曲で、マサダのシリーズは一旦締めたいと思います。それは前回ゼメルと言う曲をかけた7枚目ザインに入っているバハラフと言う曲で、ジョン・ゾーンの英訳を参照したと思われる10枚完結後のライナーノーツ集によると、「長子相続権」「優先権」「長女」となっていますが、Bacharachと言う綴りを見れば一目瞭然で、英語読みすればバカラックと読めます。10枚完結後のライナーノーツ集では触れられていませんでしたが、軽快な曲調は明らかにバート・バカラックを意識して作られているように聞こえます。これは7枚目が出た96年頃には私も気が付きませんでした。
バハラフと読むと、最初はタルムードの大部分を占めているユダヤ教の法律の意味の「ハラハー」の頭に、「~に」の意味のバが付いたのかと思いましたが、動詞の「歩く」の意味のハラフに由来するハラハーの3語根はH・L・Chですから、バハラフのB・Ch・R・Chとは子音が食い違うことに気が付きました。加えて同じ綴りのバッハラッハと言う地名がドイツにあることを知ったので、ドイツ系ユダヤ人のバカラックの名前は、死海文書以来の古いヘブライ語もしくは、このドイツの地名から来ているのではと思いました。バッハラッハの地名はケルト語に由来すると思われているようですが、何を意味しているかは不明だそうで、ユダヤ人の多い時代もあったそうなので、もしかしてヘブライ語起源の可能性もありでしょうか? 
ジョン・ゾーンは曲名とバカラックの名が同じ綴りであることに気が付いて、このバカラック風の曲を書いたのではないかと思います。ではその7枚目ザインのバハラフと言う曲をまずおかけして、その後はジョン・ゾーンのプロデュースのTzadikのラディカル・ジューイッシュ・カルチャーのシリーズから出ていたバカラックの2枚組から抜粋していきます。ラディカル・ジューイッシュ・カルチャーのシリーズもディスクユニオンからサンプルをかなり頂きまして、まだじっくり聞けてない盤も多いのですが、バカラックの盤は特に注目の一枚だったと思います。

<5 John Zorn Masada / 7 ~Bacharach 1分25秒>

ラディカル・ジューイッシュ・カルチャー盤に移る前に、一曲だけバカラック自身の楽団の演奏で、I Say a Little Prayer(小さな願い)をおかけしておきます。ディオンヌ・ワーウィックやアレサ・フランクリンの歌唱で有名ですが、ブラックミュージックのイメージは最近まで余りなくて、このしゃれた曲調から多分バカラック作品で個人的に一番好きな曲です。変な喩えですが、放課後の誰もいない校庭を長年勝手に連想していました(笑) 脱力感のあるトランペット(あるいはフリューゲルホーン?)の音が最高です。

<8 Burt Bacharach / Reach Out ~I Say a Little Prayer 2分27秒>

では同じI Say A Little Prayerをラディカル・ジューイッシュ・カルチャーのGreat Jewish Music: Burt Bacharachに入っているMarie Mcauliffeの演奏でおかけします。この盤ではバカラック・ナンバーをジョン・ゾーン周辺の先鋭的な演奏家が、様々な実験的アレンジで披露しています。

<2-3 Great Jewish Music: Burt Bacharach ~Marie Mcauliffe / I Say A Little Prayer 6分12秒>

おそらくバカラックの曲で、「雨にぬれても」と並んで最も有名な曲と思われるClose To Youを次におかけします。カーペンターズの歌唱の邦題は「遙かなる影」となっていました。演奏はWayne Horvitzです。ジョン・ゾーンのネイキッド・シティに参加したことで有名な人です。

<1-1 Great Jewish Music: Burt Bacharach ~Wayne Horvitz / Close To You 2分24秒>

アルフィーも大好きな曲ですが、この盤では何とマサダのJoey Baronのドラム・ソロで入っています。さすがに旋律が分りかねますので(笑)、再度バカラックの自作自演を続けておかけしておきます。

<1-7 Great Jewish Music: Burt Bacharach ~Joey Baron / Alfie 3分28秒>
<2 Burt Bacharach / Reach Out ~/ Alfie 3分5秒>

では最後にMarc Ribotのギター中心の演奏でDon't Go Breaking My Heartを時間まで聞きながら今回はお別れです。マーク・リボーもジョン・ゾーン周辺の最重要ミュージシャンの一人です。面白いことに、この曲はマーク・リボーで1枚目に2回入っています。1回目はマカロニ・ウェスタンの曲のような軽快な調子ですが、2回目はスロー・テンポに落として、ギターで韓国の琴、カヤグムのような音を出しています。2回目まで入ると思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1-2 Great Jewish Music: Burt Bacharach ~Marc Ribot / Don't Go Breaking My Heart 2分52秒>
<1-9 Great Jewish Music: Burt Bacharach ~Marc Ribot / Don't Go Breaking My Heart 3分29秒>

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2023年9月 8日 (金)

カライーム

ジョン・ゾーン・マサダの10枚で他にタイトルから気になるのは、来週の番組用に話した内容ですが、9枚目テットに入っている「死後」の意味のAcharei Motや、6枚目ヴァヴに入っている聖書によく出て来る地名のベエル・シェバ、8枚目ヘットに入っているミシュナーとタルムードにも表れるコダシームとトホロットなどがあります。ミシュナーの中では、コダシームが生贄の儀式に関する、神殿と食事の法、トホロットは祭儀的な潔・不潔等の法に関係する部分ですが、死海文書の頃は違う意味で使われていたのかも知れません。ジョン・ゾーンの英訳を参照したと思われる例の10枚完結後のライナーノーツ集によると、コダシームが「神聖な場」、トホロットは「清浄」「純粋」となっていました。6枚目ヴァヴのMiktavは現代ヘブライ語なら「手紙」ですが、何の手紙なのかも気になります。
更にカライームと言う曲も目立ちました。カライームと言えば、モーセ五書(トーラー)のみを権威と認めるユダヤ教の一派[で、口伝律法のミシュナーやタルムードの権威は一切認めないカライ派を一般には指しますが、ミシュナーやタルムード成立前の死海文書の頃は違う意味だったのかも知れません。カライ派は、イスラエル、カイロ、イスタンブール、クリミア、ポーランド、リトアニアにコミュニティーが残っているようです。10年前後前だったか、確かハザンの動画が見つかったクリミアのカライームについて、テュルク系の言葉を話すことから、コーカサス北部からヴォルガ中流域にかけて存在したハザール帝国の遺民ではないかと言う話題を上げたことがありました。ハザールは支配層がユダヤ教に改宗していた事で有名です。
今日の動画ですが、1本目の演奏は別ユニットのバル・コフバでしょうか。2本目がマサダのカライームです。カライームは動画がいくつもありました。この曲で一応マサダ・シリーズを締めます。

John Zorn - Karaim

Masada - karaim

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2023年9月 7日 (木)

アブラカラとアブラカダブラ

来週はバカラックと同じ綴りの7枚目ザインに入っているBacharachをもってマサダの10枚シリーズを終え、ラディカル・ジューイッシュ・カルチャーのバカラック作品集に移りますので、番組でかけてないマサダの曲に触れられるのは、一応今週までとなります。昨日のゼヴルの前に入っているのが今日のアブラカラですが、静謐で神秘的なアブラカラとの組み合わせはシリーズ最大の聴きどころの一つだと思います。
最初この曲名を聞いた時、(ジョン・ゾーンが94年にお会いした時に着ていたTシャツにプリントされていた)カバラーの文句アブラカダブラの関連の言葉かと思いましたが、どうなのでしょうか。後半の、カは「のように」、ダブラはヘブライ語ならダヴァル(話す)で、後半はヘブライ語から容易に推測が効きます。前半のアブラはアラム語(シリア語)では「物事をなす」のようですから、近い言葉のヘブライ語に訳せば、I will create as I speak(私が話すように物事が創造する)と取れるようです。キリスト教の異端であるグノーシス派の内のバシリデス派 (2~4世紀) に端を発し、中世にユダヤ神秘主義のカバラーを通して、おそらくイスラム世界にも広まり、60年代にはハクション大魔王でも聞いたように思いますから(笑)、すっかり「おまじない」や手品の文句として日本でも知られた言葉になりました。日本ではイスラム圏がルーツの言葉と勘違いされているように思います。
アブラカラだと、「~のように創造する」と、動詞の部分が隠れた形になっているようにも見えます。死海文書にアブラカラと出て来るのか、ジョン・ゾーンが後半の動詞の部分を隠したのか、どちらなのでしょうか。

Abrakala by John Zorn

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2023年9月 6日 (水)

マサダ10枚目ユドのフィナーレ ゼヴル

今回久々にマサダの死海写本ジャケットの10枚を聞き返して、10枚目ユド、7枚目ザイン、5枚目ヘイが特に素晴らしく、選曲以外でも聞き返しています。特に最後の10枚目ユドのアブラカダブラを思わせるタイトルの静謐なドラミングが聞きもののアブラカラと、その後のフィナーレ、ゼヴルの組み合わせが最高で、月曜に上げたゼメルと今日のゼヴルは、今ではマサダのベストと思っています。ゼヴルを聞いて思うのは拍子の不思議さで、8分の6のようにも聞こえながら、数えると10拍のようですから、5拍子と取れるかも知れません。これはオスマン音楽くらいにしかない拍子だと思いますが、決してとっつきにくくはならず、旋律はヘブライ的で極めて美しいです。10枚目ユドは曲名の英訳を聞いてないので、アブラカラとゼヴルの意味が分からないのが残念です。
10枚目ユドの冒頭はRuachでしたが、この曲だけのYouTubeは見当たりません。全ての曲が上がっている訳ではないようです。放送でも言いましたが、ルーアフとは空気や風を意味し、旧約聖書の中では魂や霊魂、精神を意味することが多く、非常に重要な単語です。「神の霊」の意味のルーアフ・エロヒームと言う形で出て来る箇所が沢山あったと思います。この曲も映像があって欲しかったのですが、曲自体はアブストラクトでフリーなエナジー溢れる演奏なので、耳に残る哀愁の名旋律と言う点では、ゼメルやゼヴルに軍配が上がると思います。

Masada - zevul

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2023年9月 4日 (月)

クレズマー後半のズマーあるいはゼメル(歌)

ゼアミdeワールド375回目の放送、日曜夜10時にありました。6日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はマサダ7枚目ザインのZemerのみです。Hobahは見当たりませんでした。

東欧系ユダヤ音楽の15回目になります。前々回にジョン・ゾーン・マサダの1枚目アレフ、前回は同じくマサダの2、3、4枚目のベイト、ギメル、ダレドからおかけしました。今回は続きの5~10枚目、ヘイ、ヴァヴ、ザイン、ヘット、テット、ユド(ヨド)から抜粋したいと思います。ユダヤ的な旋律だけでなく、ヘブライ語タイトルが気になる曲も幾つか選びました。ライナーノーツを担当した1枚目には、2、3、4枚目の曲のカタカナ表記と和訳も載りました。5枚目以降もディスクユニオンから曲名のカタカナ表記については聞かれたように思いますが、10枚目のルーアフがルーアクになっているところを見ると、終わりの辺りは違ったかも知れません。今回もライナーノーツから抜粋して少し読み上げます。

 ユダヤ人の言語であるヘブライ語はセム語族に属し、アラビア語、アラム語、エチオピア語等と兄弟言語である。西アジアの言語であるこれらの中でも、ヘブライ語は特異な歴史を持っている。古代においてはパレスチナから、中世においてはスペインからExile(追放)されたユダヤ人は、ユダヤ教と共にこのヘブライ語を離散先に携え、各々の地でこの言葉は少なからず変化してきた。今日、モスクワでもパリでもニューヨークでも、ユダヤ人コミュニティーのある所では何処でも、多少の発音の違いはあっても、例えば「こんにちわ」という意味の「シャローム」という西アジア起源の言葉が聞こえてくるのが、考えてみるとこれはなかなか不思議な光景だと思う。(対応するアラビア語は「アッサラーム」で、共に“平和”という意味の語根、S-L-Mの3子音から成っている。因みにエルサレム、イスラームも同語源である。)
 ユダヤ人は大きく3つのグループに分けられ、離散地ごとに音楽も変わってきたが、ヘブライ語によって結ばれる、何か共通したユダヤの“音調”が聞き取れる。クレッツマーはユダヤ教の祭日や結婚式などに演奏された音楽で、東欧の民族音楽や今世紀のアメリカではジャズを取り入れながらも、強烈に“ユダヤ”でしかありえないのは、クレッツマーの基本に、神への愛や戒律の喜びを調べに乗せて歌うハシディック・ソングの魂があるからだろう。ゾーンはアシュケナジーム(東欧系、ドイツ~ロシア出身)に属する人だが、クレッツマーと言うユダヤ音楽の一スタイルを彼独自の語法で展開する「マサダ」に聞かれる音楽も、限りなくユダヤ的でありながら、ユダヤの枠を越えたエネルギーを噴出させたものとなっている。クレッツマー音楽はクラリネットやヴァイオリンがソロを取ることが多いが、ここではアルト・サックスとトランペットがフロント楽器というのも新鮮だ。この二人の演奏はハシディック・ニーグン(東欧系の黒ずくめ髭面の正統派ユダヤ教徒の歌う母音唱法による賛歌)や、シナゴーグでの礼拝の祈りのようにヘテロ・フォニックに競い歌う。Dire Geld等の有名なイディッシュ・チューンも登場するが、ジャズ~ニーグン色の濃いスリリングなものになっている。

ではマサダ5枚目ヘイから、ホーンセクションの「叫び」が鮮烈なHobahからおかけします。この曲など聞くと、オーネット・コールマンだけでなくアルバート・アイラーやエリック・ドルフィーの演奏も近く感じます。実は私はエリック・ドルフィーの方が好きなのですが(笑)

<5 Hobah 11分38秒>

次は7枚目ザインのZemerと言う曲で、その名の通り、クレズマーの後半のズマーあるいはゼメルと同じで、「歌」の意味です。クレズマー(あるいはクレゼメル)は、「道具」の意味のクレと、「歌」の意味のゼメルから成っている言葉ですので、この曲は取り上げないとと思いました。クレズマーらしさ溢れる一曲です。

<9 Zemer 2分14秒>

次は先ほど表記の間違いを指摘した10枚目ユドのRuachです。ルーアフとは、空気や風を意味しますが、旧約聖書の中では魂や霊魂、精神を意味することが多く、非常に重要な単語です。「神の霊」の意味のルーアフ・エロヒームと言う形で出て来る箇所が沢山あったと思います。

<1 Ruach 4分7秒>

他にも「死後」の意味の9枚目テットのAcharei Motなど、タイトルで気になる曲もありますが、時間的に入らないので、今回は外します。聖書によく出て来る地名のベエル・シェバと言う曲も6枚目ヴァヴにありますが、これも外しました。では最後に10枚目ユドのラストを飾るZevulをおかけします。リズムのユニークな曲で、哀愁の旋律も耳に残ります。時間が余りましたら、同じく10枚目ユドからKilayimまで時間まで聞きながら今回はお別れです。これもクレズマーらしい旋律から始まり、フリージャズらしい流れに移る曲です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<11 Zevul 2分16秒>
<2 Kilayim 3分22秒>

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2023年9月 1日 (金)

Beeroth ベエロト

ジョン・ゾーン・マサダの5枚目ヘイから3日の放送用に選んだ1曲は、ホバーと言う曲でした。昨日のライブ映像の真ん中辺りで出てきたBeerothは、ヘイではホバーの前の曲です。ホーンセクションの咆哮が強烈なホバーのインパクトは、最初に聞いて30年近く経つ今でも覚えていましたので、番組用にはこの曲を流しました。Beerothはいかにもユダヤ的なハシディックな旋律の曲ですが、ドラムが躍動する曲で、ミドバルで検索しているのにベエロトの映像が沢山出てきました。4本上げておきます。特に1本目のドラムは凄まじいです。4本目はタイトルに5枚目ヘイのベエロトと出ているのに、ジャケットは何故か1枚目のアレフです。オーネット・コールマンと言うより、アルバート・アイラーとかエリック・ドルフィーの影響が頭をかすめるホバーは、再演が難しいのではと思う程の激しい長尺の曲なので、ライブのレパートリーとしてはドラムの見せ場のあるベエロトの方が定着したのかも知れません。

John Zorn - Masada - Live at Tonic 1999 - Beeroth

John Zorn - Beeroth - 12. - Live '99 (Masada)

Masada Sextet - Marciac 2008 - #3 Beeroth

John Zorn - Masada: Hei - Beeroth

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