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2023年9月11日 (月)

バハラフからバカラックへ

ゼアミdeワールド376回目の放送、日曜夜10時にありました。13日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。マサダのバハラフを聞いて、バカラックだ!と気づいた人は、どのくらいいるでしょうか? バカラックは水曜以降に。

東欧系ユダヤ音楽の16回目になります。ジョン・ゾーン・マサダの死海文書をジャケットにあしらった10枚シリーズで1曲もかけてないのは、6枚目ヴァヴ、8枚目ヘット、9枚目テットの3枚です。前回の最後に言いました通り、9枚目テットに入っている「死後」の意味のAcharei Motや、6枚目ヴァヴに入っている聖書によく出て来る地名のベエル・シェバと言う曲がタイトルで気になります。他には8枚目ヘットに入っているミシュナーとタルムードにも表れるコダシームとトホロットなどがあります。ミシュナーの中では、コダシームが生贄の儀式に関する、神殿と食事の法、トホロットは祭儀的な潔・不潔等の法に関係する部分ですが、死海文書の頃は違う意味で使われていたのかも知れません。ジョン・ゾーンの英訳を参照したと思われる例の10枚完結後のライナーノーツ集によると、コダシームが「神聖な場」、トホロットは「清浄」「純粋」となっていました。6枚目ヴァヴのMiktavは現代ヘブライ語なら「手紙」ですが何の手紙なのかとか、10枚目ユドのAbrakalaはアブラカダブラと関係があるのかとかも気になります。これらの曲については、長くなりますので今回は省略して、ゼアミブログの方で取り上げられればと思います。

今回聞き直して非常に驚いた一曲で、マサダのシリーズは一旦締めたいと思います。それは前回ゼメルと言う曲をかけた7枚目ザインに入っているバハラフと言う曲で、ジョン・ゾーンの英訳を参照したと思われる10枚完結後のライナーノーツ集によると、「長子相続権」「優先権」「長女」となっていますが、Bacharachと言う綴りを見れば一目瞭然で、英語読みすればバカラックと読めます。10枚完結後のライナーノーツ集では触れられていませんでしたが、軽快な曲調は明らかにバート・バカラックを意識して作られているように聞こえます。これは7枚目が出た96年頃には私も気が付きませんでした。
バハラフと読むと、最初はタルムードの大部分を占めているユダヤ教の法律の意味の「ハラハー」の頭に、「~に」の意味のバが付いたのかと思いましたが、動詞の「歩く」の意味のハラフに由来するハラハーの3語根はH・L・Chですから、バハラフのB・Ch・R・Chとは子音が食い違うことに気が付きました。加えて同じ綴りのバッハラッハと言う地名がドイツにあることを知ったので、ドイツ系ユダヤ人のバカラックの名前は、死海文書以来の古いヘブライ語もしくは、このドイツの地名から来ているのではと思いました。バッハラッハの地名はケルト語に由来すると思われているようですが、何を意味しているかは不明だそうで、ユダヤ人の多い時代もあったそうなので、もしかしてヘブライ語起源の可能性もありでしょうか? 
ジョン・ゾーンは曲名とバカラックの名が同じ綴りであることに気が付いて、このバカラック風の曲を書いたのではないかと思います。ではその7枚目ザインのバハラフと言う曲をまずおかけして、その後はジョン・ゾーンのプロデュースのTzadikのラディカル・ジューイッシュ・カルチャーのシリーズから出ていたバカラックの2枚組から抜粋していきます。ラディカル・ジューイッシュ・カルチャーのシリーズもディスクユニオンからサンプルをかなり頂きまして、まだじっくり聞けてない盤も多いのですが、バカラックの盤は特に注目の一枚だったと思います。

<5 John Zorn Masada / 7 ~Bacharach 1分25秒>

ラディカル・ジューイッシュ・カルチャー盤に移る前に、一曲だけバカラック自身の楽団の演奏で、I Say a Little Prayer(小さな願い)をおかけしておきます。ディオンヌ・ワーウィックやアレサ・フランクリンの歌唱で有名ですが、ブラックミュージックのイメージは最近まで余りなくて、このしゃれた曲調から多分バカラック作品で個人的に一番好きな曲です。変な喩えですが、放課後の誰もいない校庭を長年勝手に連想していました(笑) 脱力感のあるトランペット(あるいはフリューゲルホーン?)の音が最高です。

<8 Burt Bacharach / Reach Out ~I Say a Little Prayer 2分27秒>

では同じI Say A Little Prayerをラディカル・ジューイッシュ・カルチャーのGreat Jewish Music: Burt Bacharachに入っているMarie Mcauliffeの演奏でおかけします。この盤ではバカラック・ナンバーをジョン・ゾーン周辺の先鋭的な演奏家が、様々な実験的アレンジで披露しています。

<2-3 Great Jewish Music: Burt Bacharach ~Marie Mcauliffe / I Say A Little Prayer 6分12秒>

おそらくバカラックの曲で、「雨にぬれても」と並んで最も有名な曲と思われるClose To Youを次におかけします。カーペンターズの歌唱の邦題は「遙かなる影」となっていました。演奏はWayne Horvitzです。ジョン・ゾーンのネイキッド・シティに参加したことで有名な人です。

<1-1 Great Jewish Music: Burt Bacharach ~Wayne Horvitz / Close To You 2分24秒>

アルフィーも大好きな曲ですが、この盤では何とマサダのJoey Baronのドラム・ソロで入っています。さすがに旋律が分りかねますので(笑)、再度バカラックの自作自演を続けておかけしておきます。

<1-7 Great Jewish Music: Burt Bacharach ~Joey Baron / Alfie 3分28秒>
<2 Burt Bacharach / Reach Out ~/ Alfie 3分5秒>

では最後にMarc Ribotのギター中心の演奏でDon't Go Breaking My Heartを時間まで聞きながら今回はお別れです。マーク・リボーもジョン・ゾーン周辺の最重要ミュージシャンの一人です。面白いことに、この曲はマーク・リボーで1枚目に2回入っています。1回目はマカロニ・ウェスタンの曲のような軽快な調子ですが、2回目はスロー・テンポに落として、ギターで韓国の琴、カヤグムのような音を出しています。2回目まで入ると思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1-2 Great Jewish Music: Burt Bacharach ~Marc Ribot / Don't Go Breaking My Heart 2分52秒>
<1-9 Great Jewish Music: Burt Bacharach ~Marc Ribot / Don't Go Breaking My Heart 3分29秒>

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