カライーム
ジョン・ゾーン・マサダの10枚で他にタイトルから気になるのは、来週の番組用に話した内容ですが、9枚目テットに入っている「死後」の意味のAcharei Motや、6枚目ヴァヴに入っている聖書によく出て来る地名のベエル・シェバ、8枚目ヘットに入っているミシュナーとタルムードにも表れるコダシームとトホロットなどがあります。ミシュナーの中では、コダシームが生贄の儀式に関する、神殿と食事の法、トホロットは祭儀的な潔・不潔等の法に関係する部分ですが、死海文書の頃は違う意味で使われていたのかも知れません。ジョン・ゾーンの英訳を参照したと思われる例の10枚完結後のライナーノーツ集によると、コダシームが「神聖な場」、トホロットは「清浄」「純粋」となっていました。6枚目ヴァヴのMiktavは現代ヘブライ語なら「手紙」ですが、何の手紙なのかも気になります。
更にカライームと言う曲も目立ちました。カライームと言えば、モーセ五書(トーラー)のみを権威と認めるユダヤ教の一派[で、口伝律法のミシュナーやタルムードの権威は一切認めないカライ派を一般には指しますが、ミシュナーやタルムード成立前の死海文書の頃は違う意味だったのかも知れません。カライ派は、イスラエル、カイロ、イスタンブール、クリミア、ポーランド、リトアニアにコミュニティーが残っているようです。10年前後前だったか、確かハザンの動画が見つかったクリミアのカライームについて、テュルク系の言葉を話すことから、コーカサス北部からヴォルガ中流域にかけて存在したハザール帝国の遺民ではないかと言う話題を上げたことがありました。ハザールは支配層がユダヤ教に改宗していた事で有名です。
今日の動画ですが、1本目の演奏は別ユニットのバル・コフバでしょうか。2本目がマサダのカライームです。カライームは動画がいくつもありました。この曲で一応マサダ・シリーズを締めます。
John Zorn - Karaim
Masada - karaim
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