Miserlou(ミシルルー)は、ミザルーの呼び名でよく知られているでしょうか。日本では何より寺内タケシさんのエレキ演奏で有名でしょう。9枚目のタイトルは、レナード・コーエンの名曲Dance Me To the End of Loveから来ていて、この曲も演奏しています。迷った末にDer Gasn Nignを選びました。最近のKCBのライブでもDance Me To the End of Loveを取り上げていました。(以下放送原稿を再度)
1997年リリース、8枚目のDancing in the Aislesからは、Miserlou(ミシルルー)と言う曲を選びました。英語圏ではミザルーと一般に呼ばれていると思いますが、CDの解説によるとドゥルーズ派アラブの旋律で、1920年代からユダヤの結婚式でもポピュラーになったとありました。曲名はアラビア語で「エジプト」の意味の「ミスル」から来ていて、歌詞内容から「エジプト娘」と取るのが自然なようです。一方「エジプト」と言う呼び名は、ギリシア語由来です。旧オスマン帝国内にいたギリシア人、トルコ人、アラブ人、ユダヤ人の、いずれの間でも知られるようになったエキゾチックな曲です。
<8 Miserlou 4分19秒>
2000年リリース、9枚目のDance Me To the End of Loveからは、Der Gasn Nignを選びました。英訳ではStreet Melodyとして知られています。この曲はクレズマティクスの紅一点ヴァイオリニスト、アリシア・スヴァイガルズを思い出しましたが、他にもパールマンなどの名演がありました。KCB初期からのクラリネット奏者イレーネ・スタールの演奏のようです。
1991年リリース、6枚目のOld World Beatからは、A Yor Nokh Mayn Khaseneと言う曲をおかけします。久しぶりに聞き直して、ひっかかりのある曲を選びましたが、この曲は誰か他の演奏で聞き覚えがありまして、それが思い出せないのですが、大変懐かしく聞こえた一曲でした。
<7 A Yor Nokh Mayn Khasene 4分58秒>
1993年リリース、7枚目のLive!からは、Firn Di Mekhutonim Aheym (Live)を選びました。色々な人の演奏で聞く名旋律で、クレズマーらしいもの悲しい美しさ満点の曲です。往年の名クラリネット奏者、ナフテュール・ブランドヴァインの演奏の採譜がKlezmer Fiddlerと言うBoosey &Hawkesからの楽譜に載っていて、Leading the In-laws Homeと言うタイトルも付いています。ブランドヴァイン作曲なのかも知れませんが、確認は取れていません。
ゼアミdeワールド386回目の放送、日曜夜10時にありました。22日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。クレズマー・コンサーヴァトリー・バンドの残り6枚から一日一曲。今日は5枚目のA Jumpin' Night In the Garden of Edenから。
東欧系ユダヤ音楽の26回目になります。前回はクレズマー・コンサーヴァトリー・バンドの1枚目から4枚目まで、Yiddishe Renaissance、Klez!、A Touch of Klez!、Oy Chanukah!から抜粋しました。今回は5枚目から10枚目の中からピックアップしたいと思います。東欧系ユダヤ音楽シリーズの先はまだまだ長いので、それぞれから各1曲ずつにしました。
クレズマー・コンサーヴァトリー・バンド(略してKCB)は、ボストンを拠点とするグループで、1980年にニューイングランド音楽院のハンクス・ネツキーによって結成されました。元々1回のコンサートのために結成されましたが、現在までに11枚のアルバムをリリースしています。この内の2枚は、イツァーク・パールマンとの共演作です。ハンクス・ネツキーは伝統的なクレズマー音楽家の孫であり甥です。 彼はニューイングランド音楽院のサード・ストリーム部門からミュージシャンの多くを採用しましたが、その大半はジャズやフォークのバックグラウンドを持っていたとのことです。代々のメンバーの中には、クラリネットのドン・バイロンや、後にクレズマティクスに参加するトランペットのフランク・ロンドンのようなビッグネームも見えます。
1988年リリース、5枚目のA Jumpin' Night In the Garden of Edenからは、Shlof, Mayn Kind / Zibn Firtsik (Medley)と言う曲をおかけします。この曲は1920年代にエイブ・シュヴァルツが初めて録音した有名なロシア系ユダヤの曲です。最初のララバイは、ショレム・アレイヘムの子守歌としてよく使われたそうです。後半のZibn Firtsik(ズィブン・フィルツィク)と言うのは7時40分の意味のようですが、よく聞くクレズマー曲の一つです。
1991年リリース、6枚目のOld World Beatからは、A Yor Nokh Mayn Khaseneと言う曲をおかけします。久しぶりに聞き直して、ひっかかりのある曲を選びましたが、この曲は誰か他の演奏で聞き覚えがありまして、それが思い出せないのですが、大変懐かしく聞こえた一曲でした。
<7 A Yor Nokh Mayn Khasene 4分58秒>
1993年リリース、7枚目のLive!からは、Firn Di Mekhutonim Aheym (Live)を選びました。色々な人の演奏で聞く名旋律で、クレズマーらしいもの悲しい美しさ満点の曲です。往年の名クラリネット奏者、ナフテュール・ブランドヴァインの演奏の採譜がKlezmer Fiddlerと言うBoosey &Hawkesからの楽譜に載っていて、Leading the In-laws Homeと言うタイトルも付いています。ブランドヴァイン作曲なのかも知れませんが、確認は取れていません。
<10 Firn Di Mekhutonim Aheym (Live) 4分25秒>
1997年リリース、8枚目のDancing in the Aislesからは、Miserlou(ミシルルー)と言う曲を選びました。英語圏ではミザルーと一般に呼ばれていると思いますが、CDの解説によるとドゥルーズ派アラブの旋律で、1920年代からユダヤの結婚式でもポピュラーになったとありました。曲名はアラビア語で「エジプト」の意味のミスルから来ていて、歌詞内容から「エジプト娘」と取るのが自然なようです。旧オスマン帝国内にいたギリシア人、トルコ人、アラブ人、ユダヤ人の、いずれの間でも知られるようになったエキゾチックな曲です。
<8 Miserlou 4分19秒>
2000年リリース、9枚目のDance Me To the End of Loveからは、Der Gasn Nignを選びました。英訳ではStreet Melodyとして知られています。この曲はクレズマティクスの紅一点ヴァイオリニスト、アリシア・スヴァイガルズを思い出しましたが、他にもパールマンなどの名演がありました。KCB初期からのクラリネット奏者イレーネ・スタールの演奏のようです。
<16 Der Gasn Nign 2分52秒>
2003年リリース、10枚目のA Taste of ParadiseからはMayn Ershte Valsを選びました。クレズマティクスの1枚目Shvaygn = Toytのオープニングを飾っていた曲です。この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。
クレズマー・コンサーヴァトリー・バンド(KCB)の各アルバムの冒頭には、浮き立つようなアップテンポの結婚式のフレイレフが入っていることが多いのですが、意外にすぐには動画が見つからず、1枚目のYiddishe Renaissance冒頭のLebedik Un Freyleknでは、他の人の演奏が出て来るばかりなので諦めました。
4枚目のOy Chanukah!の冒頭に入っているA Freylekhe Nakht In Gan Eydnは、番組の後半でかけたCDの音源と、ドン・バイロンがいる頃の貴重なライブ映像もありました! この曲の演奏はハリー・カンデルの1926年の録音をベースにしていて、確か日本のベツニ・ナンモ・クレズマー(BNK)もやっていたと思います。他にもBNKはKCBの演奏を何曲もカバーしていると思います。余談ですが、この曲の後半のフレーズを聞くと、いつも年末のCMのフレーズを思い出してしまいます(笑)
A Freylekhe Nakht In Gan Eydn
klezmer conservatory band - a freiylekhe nakht in gan eydn
懐かしい動画が出て来ました。ゼアミを立ち上げる1年前の1995年に夢中になって見たVHSの映像で、当時ビデオが擦り切れないか心配な程でした(笑) 名ヴァイオリニスト、イツァーク・パールマンが共演しているのは、最初がブレイヴ・オールド・ワールド(BOW)とのバサラビエ、4分前位からクレズマー・コンサーヴァトリー・バンド(KCB)、6分前位からはクレズマティクスとのセッション映像です。それぞれのグループの個性全開で素晴らしい! この頃はKCBのハンクス・ネツキー(アコーディオンを弾きながら咆哮している人)も40歳くらいでしょう。BOWの面々も40代前半でしょう。当たり前ですが、あの頃は皆若かった(笑) パールマンもこの頃は50歳前後で、今はすっかり白髪。冒頭のBOWのアラン・ベルンはピアノも素晴らしく、2003年のBless the Fireではグルジェフのピアノ曲を聞いているのかと錯覚しそうでした。ドイツのマイナーレーベルで入れられてなかったBless the Fireも、何回か先に番組で取り上げます。
2021-2022 Concert Reel W/ The Klezmer Conservatory Band
早速1981年リリースのYiddishe Renaissanceから、往年のエイブ・シュヴァルツの演奏で有名なLebedik Un Freylekn、Yiddish Blues、ジュディ・ブレスラーの歌唱でイディッシュの名歌Rozhinkes Mit Mandlenと続けます。
Yiddishe Renaissanceの頃は、クラリネットのドン・バイロンや、後にクレズマティクスに参加するトランペットのフランク・ロンドンのようなビッグネームがメンバーに見えます。
<1 Lebedik Un Freylekn 2分24秒>
<6 Yiddish Blues 3分11秒>
<8 Rozhinkes Mit Mandlen 3分11秒>
1987年リリースのA Touch of Klez!からはウェディング・ダンスの曲、Di Zilberne Khaseneをおかけします。この曲はエイブ・シュヴァルツ楽団が1917年に初めて録音しました。
<1 Di Zilberne Khasene 2分14秒>
1987年リリースのOy Chanukah!からは、大分前にドナ・ドナをかけましたが、前回カペリエでかけて途中までになったイディッシュの名歌Abi Gezuntが、ジュディ・ブレスラーの名唱で入っていますので、こちらをまずおかけしてから、ハリー・カンデルの1926年の録音をベースにした1曲目のA Freylekhe Nakht In Gan Eydnと、3曲目のKhasidm Tantsをおかけします。これらの曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<21 Abi Gezunt 2分53秒>
<1 A Freylekhe Nakht In Gan Eydn 1分49秒>
<3 Khasidm Tants 1分55秒>
Kapelye Presents Levine and His Flying Machineと一昨日のチキンと、どちらを先に聞いたか記憶が定かではありませんが、1993年頃でした。当時はTara Publicationsから出ていたヘンリー・サポズニク編集の楽譜&解説のCompleat Klezmerの楽譜を見ながら、ヴァイオリンで音を取ったりもしていた時期です。戦前のクレズマー音源も続々と出揃っていた頃でした。やっぱり後で知って一番驚いたのは、カペリエでは紳士然とした装いでマイケル・アルパートが参加していたことで、後のブレイヴ・オールド・ワールドの時とは全く違った大人しい印象を持ちました。その位ブレイヴ・オールド・ワールド(BOW)での演奏(歌とヴァイオリン)は凄かったです。ブレイヴ・オールド・ワールドは、KCB(クレズマー・コンサーヴァトリー・バンド)の後で取り上げます。(以下放送原稿を再度)
1992年リリースの2枚目のKapelye Presents Levine and His Flying Machineからは、やはり1910年代のSP録音が残っている3拍子のモルダヴィアン・ホラと、マイケル・アルパートのカペリエ時代の独唱を聞けるDi Khasene Iz Geven in Der Kazarmeの2曲をおかけします。マイケル・アルパートの歌は、ブレイヴ・オールド・ワールドでのはじけた歌い方と比べると、別人かと思うほど行儀がいい感じに聞こえ、それが却って面白く聞ける一曲です。
1992年リリースの2枚目のKapelye Presents Levine and His Flying Machineからは、やはり1910年代のSP録音が残っている3拍子のモルダヴィアン・ホラと、マイケル・アルパートのカペリエ時代の独唱を聞けるDi Khasene Iz Geven in Der Kazarmeの2曲をおかけします。マイケル・アルパートの歌は、ブレイヴ・オールド・ワールドでのはじけた歌い方と比べると、別人かと思うほど行儀がいい感じに聞こえ、それが却って面白く聞ける一曲です。
<9 Moldavian Hora 3分5秒>
<10 Di Khasene Iz Geven in Der Kazarme 2分38秒>
アンディ・スタットマンの98年ヒドゥン・ライト以降のリリース作をウィキペディアで見てみました。16作ある中で、タイトルからすぐにユダヤ関係と分かるのは、1998 Holiday Tradition、1998 The Soul of Klezmer、2000 Klezmer: From Old World To Our World、2004 Wisdom, Understanding, Knowledge、2006 New Shabbos Waltz - with David Grisman、2005 Avodas Halevi、2014 Hallel V'zimrah — Ben Zion Shenker, vocals、2014 Songs of the Breslever Chassidim位でしょうか、8作品もありました。ツァディク・レーベルのAvodas Haleviは、千葉から愛媛にUターン移転した2005年のリリースという事で、DIWからサンプルを頂いてなかったようです。音楽はやはりフリージャズの入ったクレズマーで、オーネット・コールマンと言うより、曲によってはアルバート・アイラーを思い出しました。
他にストリーミングで聞ける中では、 Songs of Our Fathersの流れを汲む2006年のNew Shabbos Waltzが特に素晴らしく思いました。有名なピユートなどを実に上手くアレンジして聞かせます。2004年のWisdom, Understanding, Knowledgeも、ほとんどユダヤ宗教歌のニグン特集のような内容です。2014年のSongs of the Breslever Chassidim(ブラツラフのハシディームの歌)が、ラビ・ナフマン関係かと思わせるタイトルから一番気になりますが、ストリーミングには出ていないし、CD-Rでは手に入るらしいという事以外分かりません。昨日話題に出したBetween Heaven & Earthは、ヒドゥン・ライトの直前の97年リリースでしたから、やはりSongs of Our Fathersの後でした。幾つか聞いてみて、やはり舞踊音楽系のクレズマーと言うより、深くユダヤ教の中に降りていくような内容で、ダンス音楽系のクレズマーからジューイッシュ・ソウルフルの方向に舵を切ったと言う推測は、間違いなかったように思います。
Andy Statmanと検索して上位に上がっていた今日の動画は、「ヤコブの梯子」のジャケットのBetween Heaven & Earthから、旧約聖書のユダヤ人の預言者の一人ヨナを曲にしたと思われるYonahと、Wisdom, Understanding, KnowledgeからNiggun Simchah / Song of Joyです。
「ヤコブの梯子」と思われるジャケットの、アンディ・スタットマンのBetween Heaven & Earthもあったはずですが、行方不明のため今回取り上げられなくて残念です。実は98年にソニーから出たAndy Statman Bruce Barth, Scott Lee, Bob Weiner / The Hidden Light以降は、余りユダヤ音楽とクレズマー全体に耳をちゃんと傾けてなくて、明らかに中東やコーカサスと中央アジアの旧ソ連諸国方面の探索に耳が向かっていました。この「ヤコブの梯子」の盤がSongs of Our Fathersの前か後かで音楽のタイプが違ったのではと思います。タイトルが「ヤコブの梯子」だけに、非常に気になります。その位に95年のAcoustic DiscのSongs of Our Fathersは彼のターニングポイントになったと思われるのですが、最近の活動を余り知らなかったので、明日は98年以降の動きを少し追ってみます。(当時既に哲人のような風貌になっていました)
95年の「父祖の歌」以降、ルーツ回帰的なジューイッシュ・ソウルフルな演奏が目立っているように思いましたが、ヒドゥン・ライトはジャズを上手く取り入れながら更に内省的な趣きを深め、明らかに往年のクレズマーのほとんどそのままの再現からは遠く離れた音楽になっていました。Hidden Light(隠された光)と言うタイトルが、これ以上ないほど最適と思います。
この盤から、シャバトの祈祷文として有名なレハー・ドディに曲を付けた1曲目と、アンディ・スタットマンのコンサートで人気の曲だったと言う大変美しい5曲目のロシアン・ワルツの2曲を番組で取り上げました。
<1 Come, My Beloved (Lecha Dodi) [Instrumental] 4分44秒>
The Andy Statman Klezmer Orchestraは、番組でかけたShanachieから92年に出ていた盤はYouTubeには全く見当たらず、同じShanachie Recordsから1984年に出ていた方は沢山上がっています。これはどういう事でしょうか。内容は全く違いますが、編成はおそらく同じで、目立つのはホルンの存在です。トランペットと持ち替えのようですが、ホルンの時はベースに近い音域担当でしょう。(この曲でもホルンの音がよく聞こえます)
In Americaは、Terk in America(「アメリカのトルコ人」の意)と表記されることが多いと思いますが、これは余りに有名なイスタンブル民謡のウスクダラの旋律です。江利チエミさんもカバーしていました。トルコ音楽だけでなく、往年のクレズマー名人が取り上げて以来、クレズマーのレパートリーにもしっかり定着しています。何故この曲をクレズマーで取り上げるようになったのか、掘ってみたいところですが、今回はここで止めておきます。またデイヴ・タラスを聞く時にでも。
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