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2023年11月 6日 (月)

カペリエのチキン

ゼアミdeワールド384回目の放送、日曜夜10時にありました。8日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。昨日は何故かネットラジオの音が酷かったので、水曜に再度データ録り直しです。今日はチキンの3曲を上げておきます。

東欧系ユダヤ音楽の24回目になります。アンディ・スタットマンを取り上げましたので、次はカペリエの手持ち音源3枚からおかけします。この順番は、Seth Rogovoyの書いたEssential Klezmerの、リヴァイヴァルとルネサンスの記事を参考にしております。この2000年発行の本によると、アンディ・スタットマン、カペリエ、クレズマー・コンセルヴァトリー・バンド、ブレイヴ・オールド・ワールド、クレズマティクスの順になっていて、これはクレズマー活動歴の早い順という事かと思います。ブレイヴ・オールド・ワールドとクレズマティクスはルネサンスの扱いになっているので、往年のクレズマーの忠実な再現のリヴァイバル組よりは一歩進んだイメージなのかなと思います。これから順に取り上げますが、資料の少ないカペリエ以外は、それぞれ2回はかけると思います。ヘンリー・サポズニクが編集に関わった盤も多い往年のクレズマーは、その後で取り上げます。更にヨーロッパのクレズマーも入れると、それこそ星の数ほどありますので、手持ち音源の中から精選する予定です。なお、カペリエとはイディッシュ語で「クレズマー楽団」の意味です。
カペリエは、現代クレズマーの最重要人物の一人、ヘンリー・サポズニクが1979年に立ち上げたグループですが、注目のポイントは92年までマイケル・アルパートが参加している点だと思います。彼はブレイヴ・オールド・ワールドのメンバーでもあり、ヘンリー・サポズニクと同様にイディッシュ語話者の家庭に育ったので、大変素晴らしいイディッシュの歌唱を聞かせる人ですが、カペリエでは歌の方は控え目のようです。主にリズム担当のヴァイオリン演奏にも味があります。
ヘンリー・サポズニクはクレズマーだけでなくカントリー畑でも大御所ですので、カペリエでもバンジョーを弾いていますが、この明るいイメージの弦楽器をクレズマー風に聞かせる達人です。彼は1982年の設立から1994年まで、YIVOユダヤ研究所の録音アーカイブの初代所長を務めていました。カペリエの創立メンバーの一人ですが、マイケル・アルパートが抜けた後、メンバーとの摩擦などの理由で後に脱退しています。

まず1989年リリースのChickenから、1曲目のオット・アゾイと、2曲目のチキン、5曲目のバンジョー・ドイナの3曲をおかけします。オット・アゾイは往年のクレズマー・クラリネット奏者Shloimke Becdermanが演奏していたフレイレフで、78回転のSP録音が残っています。非常によく聞くクレズマー曲の一つです。この盤のタイトルと同じチキンは、Morris Goldsteinの演奏する有名なDi Grine KuzineのB面に収録されていた曲とのことです。バンジョーによるドイナは、この盤の最大の聞きものの一曲だと思います。カントールの歌を思わせ、デイヴ・タラスの演奏からインスパイアを受けたフリーリズムのドイナに始まり、後半のリズミカルな部分は、Jack Boogichの書いたBulgarです。バルガー(あるいはブルガール)は、ベッサラビア(現在はモルドヴァ)のブルガリア人に由来するクレズマーの舞曲の名前で、ルーマニアのスルバに関係のある舞曲です。いつも思う事ですが、ブルガールと言う名称からは、どことなく近くの同じテュルク系民族ハザールを連想させます。

<1 Ot Azoy (That's the Way) 4分7秒>

<2 Chicken 2分51秒>

<5 Banjo Doina 6分45秒>

1992年リリースの2枚目のKapelye Presents Levine and His Flying Machineからは、やはり1910年代のSP録音が残っている3拍子のモルダヴィアン・ホラと、マイケル・アルパートのカペリエ時代の独唱を聞けるDi Khasene Iz Geven in Der Kazarmeの2曲をおかけします。マイケル・アルパートの歌は、ブレイヴ・オールド・ワールドでのはじけた歌い方と比べると、別人かと思うほど行儀がいい感じに聞こえ、それが却って面白く聞ける一曲です。

<9 Moldavian Hora 3分5秒>
<10 Di Khasene Iz Geven in Der Kazarme 2分38秒>

1995年リリースの3枚目のOld-Time Jewish-American Radioからは、イディッシュ語のノスタルジックな名歌アビ・ゲズィントと、クレズマーらしいエキゾチックなBerditchever Khusidi/Mazel Tov Mekhutonimをおかけします。この2曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<16 Abi Gezint 4分18秒>
<19 Berditchever Khusidi/Mazel Tov Mekhutonim 4分16秒>

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