カントールの芸術 ジャン・ピアース
ユダヤ教の会堂の合唱長、カントール(ヘブライ語ではハザン)の音源は、90年頃に聞いたジャン・ピアースが最初で、その次にリチャード・タッカーだったでしょうか。二人ともオペラの世界の名テノール歌手でもありますが、カントールの曲では、ユダヤ的なエキゾチックな細かい節回しに驚いたものです。やはりコル・ニドレイやアヴィーヌ・マルケイヌなど、アハヴォ・ラボ旋法の部分で顕著です。
この二人を聞いた後で、オペラコーナーの中でアリア集の棚にカントールの歴史的録音が紛れ込んでいることを発見しました。分類困難のためアリア集に入れられていたのでしょう、Pearlなどヒストリカル専門のレーベルでGershon SirotaやJoseph Rosenblattなどの往年の名カントール音源がありまして、見つけた時は一人小躍りするように喜んだものです(笑) ジャン・ピアースも生没年は1904年 - 1984年なので、既に相当昔の人ですが、ヒストリカル録音の方は更に20年ほど年長のカントールで、何人もホロコーストの犠牲になっています。
今日の一本は、私が90年頃最初に聞いたジャン・ピアースの「カントールの芸術」と言う米Vanguardの盤です。今週の番組でかけたハヌカーの歌、マーオーズ・ツール ma‘oz tzur (『砦の岩よ』)は、15曲目に出てきます。この曲はハヌカー向きの明るい歌なので、ユダヤ的コブシは控えめです。
東方教会の方は余りに謎が多いので、またの機会にしたいと思います。今年は今日のアップが最後です。皆様、どうぞ良いお年をお迎え下さい。
Jan Peerce - The art of the Cantor
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