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2023年12月 8日 (金)

Blood Oranges(ロイテ・ポマランツン)

そして今週の最後は、ブレイヴ・オールド・ワールドの99年リリースのサードアルバムBlood Orangesです。イディッシュ語ではロイテ・ポマランツンです。放送でも言いましたが、この盤では前半に有名なユダヤメロディが匿名のように名を伏せて出て来ますが、ジャズだけでなく、7曲目のThe Heretic (Hebre Libre)と言う曲では5分過ぎからラテン音楽のサルサまで登場して、驚きました。まさかマイケル・アルパートの歌唱でサルサを聞くことになるとは!と言う驚きです。解説によると、言葉はスペイン語に聞こえても、ラディノ語(ユダヤ・スペイン語)だそうです。番組には入りませんでしたが、この曲の後半(8分前後)は、2003年の4枚目のBless the Fireに登場するモーダルな(旋法音楽風な)アラン・ベルンのピアノ演奏が出て来ます。グルジェフのピアノ曲にも似た感じで、これは注目の演奏スタイルだと思います。イランのサントゥールを聞いているようなピアノと言えば、イメージ的に近いです。ペルシアン・ピアノの巨匠モルタザー・マハジュビーのように微分音は入れていませんが。
7曲目のThe Heretic (Hebre Libre)を訳せば「異端者(ヘブライの書)」になると思います。歌詞にMy soul darkens, suffering from loveとか、My soul and my fate are in your powerとあるように、サルサにも出て来るだろう「愛の苦しみ」を歌う内容は、古今東西、また洋の東西を問わないということでしょう。古いスタイルのそのままの復元を拒み、「新しいクレズマー」を目指すブレイヴ・オールド・ワールドの面目躍如の曲かも知れません。「異端者(ヘブライの書)」と言うタイトルが非常に気になりますが、手掛かりはありませんでした。
アシュケナジーム(東欧系ユダヤ)とセファルディ(スペイン系ユダヤ)を繋げる試みは他にもありましたが、これはブレイヴ・オールド・ワールドなりの回答と言う事でしょう。キーになる曲ではという事で、番組では先にかけたロイテ・ポマランツンと題する彼らのオリジナル・イディッシュ・ソングの12曲目を後に上げておきます。

<7 The Heretic (Hebre Libre) 10分10秒>

<12 Royte Pomarantsn (Blood Oranges) 4分34秒>

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