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2023年12月 4日 (月)

Brave Old Sirbas

ゼアミdeワールド388回目の放送、日曜夜10時にありました。6日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はBrave Old Sirbasだけにしておきます。

東欧系ユダヤ音楽の28回目になります。アメリカのリヴァイヴァル・クレズマーの代表的グループの一つ、ブレイヴ・オールド・ワールドの2回目です。1994年リリースのセカンドアルバムBeyond the Paleは前回取り上げましたので、今回はファーストとサードアルバムからおかけします。
1989年に結成されたブレイヴ・オールド・ワールドのは、マイケル・アルパートがまだカペリエ在籍中だった1990年にファーストアルバムKlezmer Musicをリリースしまして、こちらでは往年のクレズマー音楽家が演奏していた東欧の伝統音楽をクローズアップしています。
メンバーはピアノとアコーディオンのアラン・ベルン(英語圏ではバーン)、歌とヴァイオリンのマイケル・アルパート、クラリネットとその他のクルト・ビョルリンク、コントラバスとツィンバロムなどのステュアート・ブロットマンの4人ですが、ファーストアルバムの頃のクラリネットはJoel Rubinでした。

まず1曲目ですが、この曲は古い時期の2つのルーマニア系ユダヤのスルバの旋律で、往年のクレズマー・クラリネットの名人デイヴ・タラスの演奏にインスパイアされて作った曲とのことです。

<1 Brave Old Sirbas 2分50秒>

2曲目のタイトルはチェルノブイリですが、あの重大な原発事故からわずか4年後のリリースでしたから、まだ記憶が生々しかった頃です。ライナーノーツによると「この曲はポピュラーなウクライナ系ユダヤのメロディーで、パロディ的な社会批評の手段としてしばしば使われてきたため、かつて繁栄したユダヤ人居住区シュテトルであり、重要なハシディズムの本拠地であったチェルノブイリでの出来事を扱うには、痛烈に適格であるように思われ、特に皮肉なのは、チェルノブイリのハシディズムの伝統と、ユダヤの神秘主義や民間伝承における高潔な人々や安らぐ場所に輝きを放つと言われている女性的で神聖な存在の火のイメージとの親和性である」という風な意味深な解説がありました。マイケル・アルパートの歌声に、そういうアイロニーを感じながら聞くのは、音楽からは難しいと思いますが。

<2 Chernobyl 5分8秒>

この盤で個人的に一番好きな器楽曲は8曲目のコロメイカですが、コロメイカと言えば西ウクライナのポピュラーな民族舞曲です。彼らの演奏は往年のクレズマー・クラリネットの巨匠ナフテュール・ブランドヴァインの演奏からインスパイアされているそうです。

<8 Kolomeykes 3分11秒>

ブレイヴ・オールド・ワールドのサードアルバムBlood Orangesは、イディッシュ語ではロイテ・ポマランツンで、そのタイトルの彼らのオリジナル曲の12曲目をまずおかけしておきます。キーになる曲なのだろうと思います。

<12 Royte Pomarantsn (Blood Oranges) 4分34秒>

この盤では前半に有名なユダヤメロディが匿名のように名を伏せて出て来ますが、ジャズだけでなく、7曲目のThe Heretic (Hebre Libre)と言う曲ではラテン音楽のサルサまで登場して、驚きました。このタイトルを訳せば「異端者(ヘブライの書)」になると思います。歌詞にMy soul darkens, suffering from loveとか、My soul and my fate are in your powerとあるように、サルサにも出て来るだろう「愛の苦しみ」を歌う内容は、古今東西、また洋の東西を問わないということでしょう。古いスタイルのそのままの復元を拒み、「新しいクレズマー」を目指すブレイヴ・オールド・ワールドの面目躍如の曲かも知れません。その7曲目を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<7 The Heretic (Hebre Libre) 10分10秒~7分>

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