« 2023年12月 | トップページ | 2024年2月 »

2024年1月

2024年1月31日 (水)

Woody Guthrie's Happy Joyous Hanukkahから

Wonder Wheelと同じ2006年にJMGから続けて出たクレズマティクスのWoody Guthrie's Happy Joyous Hanukkahは、タイトル通りユダヤの冬の祭り、ハヌカーに因んだ曲が中心です。ウディ・ガスリーがユダヤ人かどうか不明ですが、歌詞のほとんどは 1949 年にウディ・ガスリーによって書かれているそうです。(M大のK先生によると、ウディ・ガスリーの義理のお祖母さんかお母さんがユダヤ系だったのではとのことです。いつも情報有難うございます。)番組では7曲目と10曲目をかけましたが、YouTubeが出てきたのはアメリカのフォークっぽい曲調の7曲目のThe Many and the Fewだけでした。クレズマー調は珍しくないので、逆にアメリカ調の曲を選曲の際に探してかけたので、この曲があって良かったです。ウディ・ガスリーの歌唱もありましたので、2本目に入れておきます。3本目は番組ではかけなかった2曲目のHappy Joyous Hanukaのライブ映像です。典型的なハヌカーのパーティーソングと言う印象です。

<7 The Many and the Few 6分25秒>

The Many and the Few

HAPPY JOYOUS HANUKKAH - The Klezmatics (Hanukkah 2018 Official Video)

| | コメント (0)

2024年1月29日 (月)

クレズマティクスとウディ・ガスリー

ゼアミdeワールド395回目の放送、日曜夜10時にありました。31日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。< >を付けたのが番組でかけた曲、その他は時間の都合でかけなかった候補曲です。

 

東欧系ユダヤ音楽の33回目になります。アメリカのリヴァイヴァル・クレズマーの雄と呼ばれて久しいクレズマティクスの4回目になります。2枚ずつ6枚程を3回に分けて取り上げる予定でしたが、1回増えて今回はその4回目になります。
2006年にMUSIC & WORDSから出たWonder Wheel とWoody Guthrie's Happy Joyous Hanukkahの2枚は、どちらもアメリカ・フォーク界の巨人ウディ・ガスリーの詩に彼らがメロディを付けた企画アルバムでした。 2006年の第49回グラミー賞で最優秀コンテンポラリー・ワールド・ミュージック・アルバム賞を受賞したWonder Wheelは、7年の製作期間を費やして発表されたそうです。タイトルのワンダー・ホイールとは観覧車のことで、ウディが1940年代初めにマージョリー・マツィアや子供と友に住み始めたNYコニー・アイランドの名物、移動遊園地の観覧車に因んで付けられたようです。クレズマティックスは、ウディの社会的、政治的スタンスを含んだ普遍的な内容の詩に強く感化されたそうです。ウディ・ガスリーによる生前録音されなかった歌詞がフィーチャーされているとのことです。この盤から多少なりともユダヤ風に感じられる曲を中心に3曲選んでみました。1,4,11曲目を続けておかけします。

 

<1 Come When I Call You 4分21秒>

<4 Gonna Get Through This World 4分3秒>
 

 7 Goin' Away to Sea 3分45秒
 9 Wheel of Life 5分23秒
<11 Orange Blossom Ring 3分38秒>
 

14 I Take My Penny (Bonus Track) 3分3秒

 

同じ2006年にJMGから続けて出たWoody Guthrie's Happy Joyous Hanukkahは、タイトル通りユダヤの冬の祭り、ハヌカーに因んだ曲が中心です。彼がユダヤ人かどうか不明ですが、歌詞のほとんどは 1949 年にウディ ガスリーによって書かれているそうです。この盤から7曲目と10曲目を続けておかけします。曲調ではアメリカのフォークっぽい曲は7曲目のThe Many and the Fewだけでした。

 

 1 Honeyky Hanuka 2分38秒
 2 Happy Joyous Hanuka 3分57秒
<7 The Many and the Few 6分25秒>
<10 Spin Dreydl Spin 2分35秒>

 

ウディ・ガスリー関係の2枚の後の10年の間にはベスト盤とライブ盤のみだったようですが、2016年になってApikorsimと言う盤がWorld Villageから出ています。アピコルシムと言う聞きなれないタイトルは、「異端者」の意味のヘブライ語のようですが、これはエピクロス派とも関係があるようです。この盤の後は2021年にLetters to Afarと言うインスト音源がアップルミュージックに出て来ますが、ウィキペディアのクレズマティクスのディスコグラフィーには載ってなくて、CDがあるのかどうか不明です。Apikorsimから、4曲目のKermeshl in Adesと、もし時間が余れば6曲目のApikorsimまでおかけします。

 

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

 

<4 Kermeshl in Ades 4分1秒>
<6 Apikorsim 5分1秒>

| | コメント (0)

2024年1月26日 (金)

Jewish Gospel singing

クレズマティクスの7作目、Brother Moses Smote the Waterからは、ソウルフルであると同時に高揚感のあるShnirele, PereleとAle Briderをかけました。既に何度か上げているお馴染みの2曲ですが、ゴスペル歌手との共演と言う異色の演奏でした。Shnirele, Pereleは、昨日アルベルシュタインの歌うハド・ガドゥヤーとの類似を話題にしたところです。ゴスペルと言っても、ジョシュア・ネルソンはゴスペルシンガーであるのと同時にヘブライ語の教師でもある、Jewish Gospel singingを聞かせる異色の存在のようです。だからクレズマティクスと共演していたことを、2004年頃は知りませんでした。確かにカントール(ハザン)のような歌い方です。ヘブライ大学在学中には、ヘブライ語のテキストとゴスペルのメロディーを融合させたり、ユダヤ人の宗教歌をゴスペル風にアレンジしたりしたそうです。ネルソンの両親は二人ともユダヤ人だそうですが、セネガル出身のようです。古来からの黒い肌のユダヤ人と言えばエチオピア系ユダヤ人が有名ですが、遠く離れたセネガルにもいたとは驚きでした。この独Piranha盤は2004年7月ベルリンでのフェスティヴァルでのライヴで、ゴスペル歌手ジョシュア・ネルソンとキャスリン・ファーマーを迎えての特別プロジェクトでした。1本目はShnirele, Pereleのライブ映像です。

The Klezmatics with Joshua Nelson - Shnirele, Perele

<4 Shnirele, Perele 8分31秒>

<10 Ale Brider 5分50秒>

| | コメント (0)

2024年1月25日 (木)

ハヴァ・アルベルシュタインのハド・ガドゥヤー

ハヴァ・アルベルシュタインについては、クレズマティクスの盤を通して知った人が日本ではほとんどではと思います。プロフィールを調べて一番気になったのが、一昨日書いた「彼女はアラブとイスラエルの統一を求める活動家として活動して来て、ハド・ガドゥヤと言う89年の自作の過ぎ越しの祭りの歌では、イスラエルのパレスチナ人に対する政策を批判する詩を追加したバージョンがイスラエル国営ラジオによって禁止されたことがあったそうです。」と言う部分で、件の曲ハド・ガドゥヤーを検索したらアップルミュージックではイスラエル盤の音源を聞くことが出来ました。1989年の「ロンドン」と言う盤の7曲目ですが、表記は全てヘブライ語です。この曲を聞いて、あれっ?と思ったのは、曲調がクレズマティクスのシュニーレレ・ペレレに似ている事でした。シュニーレレ・ペレレはハシディック・ソングが原曲と言う事でしたから、クレズマティクスの曲とハヴァ・アルベルシュタインのハド・ガドゥヤーは、共通の根を持つ2曲なのでしょうか? 1本目がハヴァ・アルベルシュタインのハド・ガドゥヤー、2本目は1973年のドキュメンタリーです。

חוה אלברשטיין - חד גדיא

A Night With Chava Alberstein 1973

| | コメント (0)

2024年1月22日 (月)

クレズマティクスwithハヴァ・アルベルシュタイン

ゼアミdeワールド394回目の放送、日曜夜10時にありました。24日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。水曜はアップ出来ないかも知れませんので、番組でかけたThe Wellの3曲を上げておきます。

東欧系ユダヤ音楽に戻りまして、32回目になります。アメリカのリヴァイヴァル・クレズマーをアンディ・スタットマン、カペリエ、クレズマー・コンセルヴァトリー・バンド、ブレイヴ・オールド・ワールド、クレズマティクスの順にご紹介してきました。この中でクレズマティクスはロック~アヴァン・ポップスに近いスタンスで、一般人気も一番高かったと思います。クレズマティクスの盤は、おそらく11枚出ていますが、手元に資料があるのは全てではないので、2枚ずつ6枚程を3回に分けて取り上げる予定で、今回はその3回目になります。

まず98年にXenophileから出た「クレズマティクスwithハヴァ・アルベルシュタイン/The Well」ですが、このクレズマティクスの5作目はイスラエルの人気女性歌手ハヴァ・アルベルシュタインとの共演盤でした。イツィク・フェフェル、ザーメ・テレジン、アブラハム・ライセン他の20世紀の偉大なイディッシュ詩人の詩にアルベルシュタインが曲を付けています。表面的には特にユダヤ伝統音楽を感じさせるものではなく、イディッシュ世界のシャンソンの様な感じですが、アルベルシュタインの歌が大変に味わい深い一枚でした。彼女はアラブとイスラエルの統一を求める活動家として活動して来て、ハド・ガドゥヤと言う89年の自作の過ぎ越しの祭りの歌では、イスラエルのパレスチナ人に対する政策を批判する詩を追加したバージョンがイスラエル国営ラジオによって禁止されたことがあったそうです。全15曲の中から、特に美しいイディッシュ・シャンソンのように聞こえた1,2,9曲目の3曲を続けておかけします。

<1 The Well 4分11秒>

<2 I Stand Beneath a Carob Tree 3分52秒>

<9 I'm Going To Take Off My Shoes 4分11秒>

6枚目に当たる2003年のRise Up! (Rounder)については、ストリーミングには見つからず、現物もデータも残ってなかったので、今回は飛ばしまして、7作目の「クレズマティクス/Brother Moses Smote the Water」に移ります。この独Piranha盤は2004年7月ベルリンでのフェスティヴァルでのライヴで、ゴスペル歌手ジョシュア・ネルソンとキャスリン・ファーマーを迎えての特別プロジェクトでした。Shnirele, PereleとAle Briderと言う、これまでに他の演奏者で取り上げたお馴染みの2曲を上げておきます。ソウルフルであると同時に高揚感のある、この2曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<4 Shnirele, Perele 8分31秒>
<10 Ale Brider 5分50秒>

| | コメント (0)

2024年1月19日 (金)

雅歌に曲付けしたHinokh Yafo

久々にクレズマティクスの4枚目Possessedを聞き返して、最初のShprayz Ikh Mirと並んで特に強く印象に残ったのが、この盤の終わり近くに出て来る16曲目のHinokh Yafoでした。印象的なドラムロールから始まる、おそらくニグンが原曲と思われる15曲目のDer shvartser mi adir / Black Benedictionはブログでは省きますが、その後のロリン・スクランベルクが旧約聖書の雅歌に曲付けしたHinokh Yafoは、例によってイディッシュ訛りの強いヘブライ語で歌われていて、時々この盤以外でもスクランベルクの独唱を見かける曲です。ヘブライ語宗教歌が多く歌われている、ほぼ同メンバーの別ユニット、ズミロス・プロジェクト(ズミロスあるいはズミロットは「賛歌」のような意味でクレズマーのズマーと同語根の複数形)に繋がる歌唱のように思います。
Shprayz Ikh Mirについて、昨日は「「同じ旋律が5度上で繰り返されていて、この辺りがジプシー音楽(と言うよりチャールダーシュ)の特徴かと思います。谷本一之さんは5度ではなく4度と言っていたようにも思うのですが、確かテラス構造と説明されていたように思います。」と書きましたが、その77年のカセット音源を久々に聞いて、「ハンガリーとウラル地方のチェレミス(マリ)の、両ウラル系民族の古い民謡に共通してみられる、同じ旋律を5度下で繰り返す、いわゆるテラス式構造が聞き取れます。」と、チェレミス民謡をかけながら解説されている箇所を確認しました。ジプシー音楽ではなくウラル系の民謡についてで、「4」は音程ではなく詩のシラブルについてでした。5度上か下かの違いがありますが、これは関係があるのかないのか気になります。Shprayz Ikh Mirはよく知られた曲のようで、クレズマティクス以外にも色々動画がありました。

<16 Hinokh Yafo 4分6秒>

| | コメント (0)

2024年1月18日 (木)

「憑依」の一曲目 Shprayz Ikh Mir

1997年にXenophileから出たクレズマティクスの4枚目のPossessedのタイトルは「憑依」あるいは「憑依した」と訳せます。何に「憑依」するのか、大変に気になるところですが、解説からは今一つよく分かりませんでした。ジャケットを見ると、確かに顔がダブったように写っているものと、最初にリリースされた時は二本の燭台の前に二人の女性が写っていまして、その辺がヒントかと思います。
1曲目のShprayz Ikh Mirは、個人的にクレズマティクスで最も好きなメロディの一つですが、解説にAdaptation of a Gypsy Songとありますので、元はジプシーの歌なのでしょうか。この旋律を聞くと、ハンガリーの名曲「バラトン湖の思い出」のように同じ旋律が5度上で繰り返されていて、この辺りがジプシー音楽(と言うよりチャールダーシュ)の特徴かと思います。谷本一之さんは5度ではなく4度と言っていたようにも思うのですが、確か「テラス構造」と説明されていたように思います。平易な哀愁の旋律が高い音で繰り返される辺りが、非常に味わい深く思いますが、いかがでしょうか。

<1 Shprayz Ikh Mir 3分4秒>

| | コメント (0)

2024年1月17日 (水)

Fisherlid 釣り人のエレジー

今週の番組はクレズマティクスの3枚目のJews with Hornsで始めました。この盤の出た94年頃は東京でもクレズマーブーム真っ盛りで、ベツニ・ナンモ・クレズマーのライブを聞きに行ったのは、95年の最初頃だったかなと思います。Jews with Hornsの4曲目Simkhes-Toyreを聞いたのも、BNKだったかなと思いますが、30年近く前で記憶があやふやです。
番組で言いましたが、94年はちょうど名ヴァイオリニストのイツァーク・パールマンがリヴァイヴァル・クレズマーの各バンドとセッションするイン・ザ・フィドラーズ・ハウスのビデオがリリースされたばかりの頃で、パールマンがクレズマティクスとセッションしていた曲がこの盤の2曲目、Fisherlidです。「釣り人の歌」と訳せるでしょうか(「漁師」とまで言って良いか分からないので「釣り人」としておきます)。釣り人のエレジーとでも言えそうなこの曲は、アリシア・スヴァイガルズのヴァイオリンをフィーチャーしたmournfulなインストの前半と、ロリン・スクランベルクの歌が出て来る後半の2部構成で作られたユニークな曲です。
1本目がイン・ザ・フィドラーズ・ハウスの映像(Fisherlidは3分頃から)、2本目はJews with Hornsの音源です。1本目の後半は、このビデオの出演者全員そろってのアレ・ブリダーの大合唱でフィナーレ。

Itzhak Perlman in the Fiddler's House - 4

<2 Fisherlid 8分33秒>

| | コメント (0)

2024年1月15日 (月)

Jews with Horns

ゼアミdeワールド393回目の放送、日曜夜10時にありました。17日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。http://www.baribari789.com/ なら、どこででもお聞き頂けます。今日はJews with Hornsの1,4曲目です。

東欧系ユダヤ音楽に戻りまして、31回目になります。アメリカのリヴァイヴァル・クレズマーをアンディ・スタットマン、カペリエ、クレズマー・コンセルヴァトリー・バンド、ブレイヴ・オールド・ワールド、クレズマティクスの順にご紹介してきました。この中でクレズマティクスはロック~アヴァン・ポップスに近いスタンスで、一般人気も一番高かったと思います。クレズマティクスの盤は、おそらく11枚出ていますが、手元に資料があるのは全てではないので、2枚ずつ6枚程を3回に分けて取り上げる予定で、今回はその2回目になります。

クレズマティクスの3枚目のJews with Hornsですが、1995年にFlying Fish出たとウィキペディアにはありますが、私が当時手に入れた盤は94年のPiranha盤でした。ちょうど名ヴァイオリニストのイツァーク・パールマンが各バンドとセッションするイン・ザ・フィドラーズ・ハウスのビデオがリリースされたばかりの頃で、パールマンがクレズマティクスとのセッションで演奏していた曲がこの盤にあります。最初のハシディック・ソングらしいノリが強く感じられるMan in a Hatから3曲続けます。2曲目のFisherlidがパールマンと共演していた曲です。4曲目のSimkhes-Toyreとは、ユダヤ新年の最後にトーラーを抱えて歌い踊り祝われるシムハット・トーラーのイディッシュ語訛りの言い方ですが、この曲はクレズマティクスだけでなく、他のバンドでも聞いたように思います。

<1 Man in a Hat 3分3秒>

<2 Fisherlid 8分33秒>

<4 Simkhes-Toyre 2分31秒>

1997年にXenophileから出たPossessedのタイトルは「憑依」と訳せます。1曲目のShprayz Ikh Mirは、個人的にクレズマティクスで最も好きなメロディの一つですが、解説にAdaptation of a Gypsy Songとありますので、元はジプシーの歌なのでしょうか。

<1 Shprayz Ikh Mir 3分4秒>

この後はドラムロールから始まる、おそらくニグンが原曲と思われる15曲目のDer shvartser mi adir / Black Benedictionに飛んで、その後のロリン・スクランベルクが旧約聖書の雅歌に曲付けした16曲目のHinokh Yafoと、ラスト17曲目のMipney Ma 2まで聞きながら今回はお別れです。ヘブライ語歌詞のHinokh Yafoは、時々この盤以外でもスクランベルクの独唱を見かける曲です。Possessedは、最初のShprayz Ikh MirとHinokh Yafoが特に強く印象に残っている盤です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<15 Der shvartser mi adir / Black Benediction 2分14秒>
<16 Hinokh Yafo 4分6秒>
<17 Mipney Ma 2 4分36秒>

| | コメント (0)

2024年1月12日 (金)

瞽女さんの歌う金毘羅船々と春駒

金毘羅船々で思い出すのは、97年の朝ドラ「あぐり」で、エイスケ(野村萬斎)と深川芸者の鈴音が、確か自棄酒を酌み交わしながら歌っているシーン。大変にインパクトがありまして、元々好きな民謡ですが、いよいよ好きになりました。瞽女さんの歌では長調と短調が入り混じるのが何とも不思議ですが、これが本来の姿でしょうか。杉本キクイさんの音源は全てありましたので、番組では時間切れでかけられなかった春駒も入れておきます。越後だけでなく能登など北陸から東北にも(北前船に乗って)、瞽女唄や各地の民謡を伝え歩いた瞽女さんの歌は、ここ2,30年脚光を浴びています。(以下放送原稿を再度)

最後に民謡になりますが、新潟や日本海側中心に盲目の女性だけで組織を作り、唄をうたい歩いた芸能集団、瞽女(ごぜ)の杉本キクイさん他の三味線で、金毘羅船々をおかけしたいと思います。四国では正月に参ることも多い金毘羅山の有名な民謡で、キングの「名人による日本の伝統芸」シリーズの瞽女編に三味線練習曲として入っています。長調と短調が入り混じるのが、面白いところです。
時間が余りましたら、同じく瞽女の盤から祝い唄「春駒」までおかけします。春駒と言えば、今治の寿太鼓の定番曲としても知られていますが、瞽女の曲も正月にふさわしい祝言的な内容です。初春に訪れる養蚕祝言の門付芸で、高田瞽女は木製の春駒を手に持って唄うそうです。

<4 瞽女歌 杉本キクイ 金毘羅船々 1分35秒>

<6 瞽女歌 杉本キクイ 祝い唄 春駒 6分29秒>

| | コメント (0)

2024年1月11日 (木)

新内志寿(重森三果)さんのその後

番組でかけた新内志寿さんの「廓七草」はカセット音源ですから、さすがにYouTubeには見当たりませんでした。その後どんな活動をされているのか気になったので調べてみましたら、新内志賀の名前で(師匠の志賀大掾に因んで改名されたのでしょうか)何と隠れキリシタン絡みの新作を発表されていました。他にも個性的な活動を展開されていて驚きました。今回は隠れキリシタン絡みの新作のみ上げておきます。

「新内志賀は、過去に五島列島の潜伏キリシタンのオラショを研究・演奏、映画「沈黙」にも参加、かねてより潜伏キリシタンをテーマとして新内の新作を作りたいと考えていた。~ 」<長いので続きはYouTubeの解説をご参照下さい>
(以下放送原稿を再度)

新内の楽しみ「茨木のマリア」

次は、江戸の浄瑠璃の一つ、新内の曲で「廓七草」という曲をおかけします。新内も謡曲の後で私が東京にいる頃に習っていた音曲で、ちょうど放送されるのが七草がゆの頃ですので、この曲を選びました。廓(遊里)で流行った新内らしい哀切な曲調は、最も有名な蘭蝶や明烏以来のもので、艶美な節回しは古賀メロディなど、昔のナツメロ演歌のルーツにもなっているようです。歌っているのは、新内志寿さんで、往年の名人・新内志賀大掾中心のカセット「新内名曲選 子宝三番叟、広重八景」に入っていました。おそらく90年前後の録音で、新内志寿さんはその後、三味線弾き語りで重森三果のお名前で活動されていたと思います。

| | コメント (0)

2024年1月10日 (水)

ヴァイオリンによる「春の海」

元旦の朝には、4日の弾き初めで「春の海」をやってみようと合奏団のメンバーにLINEしましたが、4時過ぎの能登の地震で正月気分は吹き飛びまして、すっかりそんな気は無くなっていました。しかしメンバーの一人が「FGでずっとかかっていました。やってみましょう」との返事。重い腰を上げて、まぁ一回やってみましょうかと言う事になりました。楽譜は全音から出ているヴァイオリン名曲集第1集のピアノ伴奏版で、ピアノパートの音をセカンドヴァイオリンとチェロで拾ってと言う実験でした。弾いてみて改めて思ったのは、冒頭は筝曲の名曲「六段」のような雅さと厳かさがあり、続いて出て来るソロパートは民謡音階なのに、途中で出て来る走句には長唄風な都節音階もあり、普通に考えれば合わない部品が巧みに組み合わされてできている、本当に奇跡的なワン&オンリーの正月名曲だという事でした。ルネ・シュメーがピチカートで弾いている部分とフラジオ(1と4の指で4度の音程の位置を4で軽く触れて出すハーモニクス)の部分は、今日の2本目のようにアルコ(弓)で弾いているものも結構ありました。伴奏との音量バランスもあるのだろうと思います。私もフラジオは上手く鳴らないので、実音で弾きました。
考えてみれば、この曲が生まれた1930年は、関東大震災から7年目かつ大恐慌の翌年で、軍靴の音が近づきつつある頃。今より大変に違いない時期に生まれたことを思い出し、新年を寿ぐこの曲について改めて考え直した年明けでした。やはり何よりも宮城道雄の琴の音の素晴らしさを味わいたいものです。(以下放送原稿を再度)

宮城道雄の父の出身地である広島県鞆の浦を訪れた際の、瀬戸内海の印象を三部形式に乗せて標題音楽風に作曲したこの曲は、今では彼の代表作として親しまれていますが、吉田晴風との1930年の初演の評判は芳しくなかったそうです。
この曲が一躍有名になったのは、1932年に演奏旅行で来日していたフランスの女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと共演してからと言われています。日本音楽に触れるために宮城道雄を訪ねた彼女が一番感動したのが、この「春の海」で、早速尺八パートをヴァイオリン用に編曲して宮城道雄とコンサートで演奏したら、大喝采を受けたそうです。会場で聞いていた小説家の川端康成が、その感動の光景を小説「化粧と口笛」に記しています。その宮城道雄とルネ・シュメーの演奏を次にどうぞ。

<2 春の海(箏とヴァイオリンによる) 6分13秒>
宮城道雄 Michio Miyagi(Koto), Renée Chemet ルネ・シュメー(Vn) - "春の海 Haru no Umi" (1932)電気再生

春の海 バイオリン 宮城道雄

| | コメント (0)

2024年1月 8日 (月)

春の海 宮城道雄自作自演

ゼアミdeワールド392回目の放送、日曜夜10時にありました。10日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。2曲目からは水曜以降に。

明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。東欧系ユダヤ音楽シリーズの途中ですが、ちょうど本放送が1月7日に当たっていますので、お正月の音楽特集です。去年は喪中でしたので、2年ぶりです。
お正月と言えば、どこに行っても宮城道雄の「春の海」が聞こえてきますが、自作自演を聞く機会は割と少ないかと思います。この曲だけの色々な編成の録音を集めた「春の海 大響演」という2枚組から何度かご紹介してきました。今回も宮城道雄の自作自演をまずおかけしたいと思います。尺八は初演を勤めた吉田晴風です。

<春の海 宮城道雄自作自演 6分25秒>

宮城道雄の父の出身地である広島県鞆の浦を訪れた際の、瀬戸内海の印象を三部形式に乗せて標題音楽風に作曲したこの曲は、今では彼の代表作として親しまれていますが、吉田晴風との1930年の初演の評判は芳しくなかったそうです。
この曲が一躍有名になったのは、1932年に演奏旅行で来日していたフランスの女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと共演してからと言われています。日本音楽に触れるために宮城道雄を訪ねた彼女が一番感動したのが、この「春の海」で、早速尺八パートをヴァイオリン用に編曲して宮城道雄とコンサートで演奏したら、大喝采を受けたそうです。会場で聞いていた小説家の川端康成が、その感動の光景を小説「化粧と口笛」に記しています。その宮城道雄とルネ・シュメーの演奏を次にどうぞ。

<2 春の海(箏とヴァイオリンによる) 6分13秒>

次は、江戸の浄瑠璃の一つ、新内の曲で「廓七草」という曲をおかけします。新内も謡曲の後で私が東京にいる頃に習っていた音曲で、ちょうど放送されるのが七草がゆの頃ですので、この曲を選びました。廓(遊里)で流行った新内らしい哀切な曲調は、最も有名な蘭蝶や明烏以来のもので、艶美な節回しは古賀メロディなど、昔のナツメロ演歌のルーツにもなっているようです。歌っているのは、新内志寿さんで、往年の名人・新内志賀大掾中心のカセット「新内名曲選 子宝三番叟、広重八景」に入っていました。おそらく90年前後の録音で、新内志寿さんはその後、三味線弾き語りで重森三果のお名前で活動されていたと思います。

<新内 廓七草 9分34秒>

最後に民謡になりますが、新潟や日本海側中心に盲目の女性だけで組織を作り、唄をうたい歩いた芸能集団、瞽女(ごぜ)の杉本キクイさん他の三味線で、金毘羅船々をおかけしたいと思います。四国では正月に参ることも多い金毘羅山の有名な民謡で、キングの「名人による日本の伝統芸」シリーズの瞽女編に三味線練習曲として入っています。長調と短調が入り混じるのが、面白いところです。
時間が余りましたら、同じく瞽女の盤から祝い唄「春駒」までおかけします。春駒と言えば、今治の寿太鼓の定番曲としても知られていますが、瞽女の曲も正月にふさわしい祝言的な内容です。初春に訪れる養蚕祝言の門付芸で、高田瞽女は木製の春駒を手に持って唄うそうです。この2曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。

<4 瞽女歌 杉本キクイ 金毘羅船々 1分35秒>
<6 瞽女歌 杉本キクイ 祝い唄 春駒 6分29秒>

| | コメント (0)

2024年1月 5日 (金)

山中節

東北の震災の時には、宮城の「大漁唄い込み(斎太郎節)」が復興への応援歌に、岩手の「南部牛追い唄」がレクイエムに聞こえて仕方ないという事で、3/11に何度か上げましたが、石川と言えば、有名な民謡に「山中節」があります。福井に近い石川県南部の民謡で、個人的に全国の民謡でも特に好きな一曲です。浴客相手のお座敷唄で、ゆったりとした三味線と長い節回しの歌の、しっとりはんなりした風情が何とも言えません。東北の民謡のようにカラーがはっきりし過ぎない、中間色のような穏やかな表情を聞くと、北陸らしいなとも思い、何度も泉鏡花の故郷の金沢も遠くにありて思いました。(新内節をやっていた頃の兄姉弟子に、富山、石川、福井の人がいました。この場でご無事を祈ります。兄弟子とは越中おわら節や佐渡の相川音頭と新内のジョイントステージでもご一緒しました。)
三隅治雄他著の日本民謡辞典によると、七七七五調歌詞の「薬師山から 湯座屋を見れば シシが髪結うて 身をやつす」は、近世の流行俗謡の「高い山から 谷底見れば 瓜や茄子の 花盛り」の類型の一つで、シシは浴客相手の遊女のことだそうです。今日の動画は、70年代にキンカン素人民謡名人戦の審査員をされていた佐藤松子さん(松子先生)のSP録音です。幾つか聞いた中ではこれが一番素晴らしかったので。民謡研究の大家、町田佳声時代のこの番組はさすがに知りませんが、70年代には三隅治雄さんも審査員でした。

山中節(佐藤松子)

| | コメント (0)

2024年1月 4日 (木)

Trio Mandili - Hey sokoły! (Polish folk song)

あけましておめでとうございます、と言うのも憚られるようなお正月になりましたが、本年もどうぞ宜しくお願い致します。元旦には「春の海」のソロパートをヴァイオリンで練習し、楽器をケースに収めた直後に、TVから能登の地震の警報。まさかと思いました。北陸・新潟にもゼアミのお客様はたくさんいらっしゃいました。皆様のご無事をお祈りしております。
せめて動画は爽やかに、先日ジョージア(グルジア)のトリオ・マンディリを久々に見ていて出てきたポーランド民謡の映像を上げておきます。東欧系ユダヤの後は、スロヴァキア、モラヴィア、チェコ、ポーランドと北上する予定です。先日告知しました通り、年末年始でスタジオがお休みですので、今週は私の番組もありません。新年の初回は7日になりますが、店は今日から開けております。

Trio Mandili - Hey sokoły! (Polish folk song)

| | コメント (0)

« 2023年12月 | トップページ | 2024年2月 »