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2024年1月 8日 (月)

春の海 宮城道雄自作自演

ゼアミdeワールド392回目の放送、日曜夜10時にありました。10日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。2曲目からは水曜以降に。

明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。東欧系ユダヤ音楽シリーズの途中ですが、ちょうど本放送が1月7日に当たっていますので、お正月の音楽特集です。去年は喪中でしたので、2年ぶりです。
お正月と言えば、どこに行っても宮城道雄の「春の海」が聞こえてきますが、自作自演を聞く機会は割と少ないかと思います。この曲だけの色々な編成の録音を集めた「春の海 大響演」という2枚組から何度かご紹介してきました。今回も宮城道雄の自作自演をまずおかけしたいと思います。尺八は初演を勤めた吉田晴風です。

<春の海 宮城道雄自作自演 6分25秒>

宮城道雄の父の出身地である広島県鞆の浦を訪れた際の、瀬戸内海の印象を三部形式に乗せて標題音楽風に作曲したこの曲は、今では彼の代表作として親しまれていますが、吉田晴風との1930年の初演の評判は芳しくなかったそうです。
この曲が一躍有名になったのは、1932年に演奏旅行で来日していたフランスの女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと共演してからと言われています。日本音楽に触れるために宮城道雄を訪ねた彼女が一番感動したのが、この「春の海」で、早速尺八パートをヴァイオリン用に編曲して宮城道雄とコンサートで演奏したら、大喝采を受けたそうです。会場で聞いていた小説家の川端康成が、その感動の光景を小説「化粧と口笛」に記しています。その宮城道雄とルネ・シュメーの演奏を次にどうぞ。

<2 春の海(箏とヴァイオリンによる) 6分13秒>

次は、江戸の浄瑠璃の一つ、新内の曲で「廓七草」という曲をおかけします。新内も謡曲の後で私が東京にいる頃に習っていた音曲で、ちょうど放送されるのが七草がゆの頃ですので、この曲を選びました。廓(遊里)で流行った新内らしい哀切な曲調は、最も有名な蘭蝶や明烏以来のもので、艶美な節回しは古賀メロディなど、昔のナツメロ演歌のルーツにもなっているようです。歌っているのは、新内志寿さんで、往年の名人・新内志賀大掾中心のカセット「新内名曲選 子宝三番叟、広重八景」に入っていました。おそらく90年前後の録音で、新内志寿さんはその後、三味線弾き語りで重森三果のお名前で活動されていたと思います。

<新内 廓七草 9分34秒>

最後に民謡になりますが、新潟や日本海側中心に盲目の女性だけで組織を作り、唄をうたい歩いた芸能集団、瞽女(ごぜ)の杉本キクイさん他の三味線で、金毘羅船々をおかけしたいと思います。四国では正月に参ることも多い金毘羅山の有名な民謡で、キングの「名人による日本の伝統芸」シリーズの瞽女編に三味線練習曲として入っています。長調と短調が入り混じるのが、面白いところです。
時間が余りましたら、同じく瞽女の盤から祝い唄「春駒」までおかけします。春駒と言えば、今治の寿太鼓の定番曲としても知られていますが、瞽女の曲も正月にふさわしい祝言的な内容です。初春に訪れる養蚕祝言の門付芸で、高田瞽女は木製の春駒を手に持って唄うそうです。この2曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。

<4 瞽女歌 杉本キクイ 金毘羅船々 1分35秒>
<6 瞽女歌 杉本キクイ 祝い唄 春駒 6分29秒>

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