今日は母が退院するため店は昼1時過ぎから休みますが、ブログは何とかそれまでに書けました。In the Fiddler`s Houseでは、7曲目のFirn di Mekhutonimは先日上げたクレズマー・コンサーヴァトリー・バンドとの演奏に出て来ますので、今日はスタジオ録音盤を上げておきます。この曲は往年のクレズマー・クラリネット名人のナフテュール・ブランドヴァインが書いたクレズマー屈指の名曲・名旋律だと思います。思い返せば、この曲とポルムベスクのバラーダ(望郷のバラード)弾きたさで10年ほど離れていたヴァイオリンに戻りました。2004年頃の話です。それがなかったら、戻ってなかったかも知れません。しばらく離れていたので、久々にヴァイオリンを構えると顎ががくがくしました(笑)
大学オケで始めたヴァイオリンは弦トレから教わる以外はほぼ自己流だったので、矯正しようと思って、1993年まで2年ほどの間にレッスンを受けたのは、バッハの無伴奏ヴァイオリンのパルティータ3番のプレリュードや、モーツァルトのK304のソナタ、ヘンデルのヘ長調のソナタ辺りでした。当時一番弾きたかったブラームスのヴァイオリン・ソナタ3曲を先生に教えて頂けなかったので(ブラームスのソナタは最後の最後に弾く曲だというお考えでした)、それも離れてしまった原因かなとは思いますが、93年~95年頃から10年間、タブラ、トンバク、ウード、謡曲、新内と、次々浮気してしまっていたのもあります。2004年になって、バッハの無伴奏チェロ組曲2番のプレリュードを、ヴァイオリン編曲版ではなく、チェロで弾いてみたいという事で、Uターン直前の2005年からチェロも弾くことになって、2008年から今治の弦楽合奏団にチェロで参加。2015年には合奏団でヴァイオリンも再開して、今に至るという次第です(笑) ゼアミを回しながら、色々とやったものだと思います。
Itzhak Perlman & Klezmer Conservatory Band - Firn Di Mekhutonim Aheym
ゼアミdeワールド399回目の放送、日曜夜10時にありました。28日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はIn the Fiddler`s HouseのKCBとのウェディング・ダンスの部分を貼っておきます。3分30秒頃からです。続いてFirn di Mekhutonimも出て来ます。2本目は番組でかけた音源で、1分20秒からがウェディング・ダンスです。
東欧系ユダヤ音楽の37回目になります。やはりアメリカのクレズマーになりますが、大事な盤を忘れるところでした。クラシックの名ヴァイオリニストのイツァーク・パールマンが、リヴァイヴァル・クレズマーの代表的グループと共演したIn the Fiddler`s Houseのシリーズは、おそらくクレズマー音楽で一番売れたCDだろうと思います。1995年にスタジオ録音盤、続いて1996年にライブ盤が出ましたが、2006年から2008年頃に2枚組として再発されていたようです。同じ頃、95年に出たVHSの映像がDVD化されて出ていました。
このシリーズはもちろん95年頃に聞きましたが、一番面白く見たのがVHSでした。メイキング映像的なこのドキュメンタリーはとても秀逸で、後で知ったことですがイディッシュの往年の名歌手も出演していました。何よりもパールマンとリヴァイヴァル・クレズマーの代表的グループとの共演映像が大変楽しく、ビデオテープが擦り切れるほど見たものです。96年にゼアミを始めた頃は既に旧譜だったので、そう言えば、HPには載せてなかったと最近気づきました。
今回は1995年のスタジオ録音盤と1996年のライブ盤からセレクトしておかけします。まずライブ盤の方からA Heymisher Bulgarと言う曲ですが、ビデオでも演奏していたクレズマー・コンサーヴァトリー・バンドとの該当曲の「結婚式の踊り」は後半に出てきますので、その部分だけおかけします。後でおかけするFirn di Mekhutonimと並んで、多分個人的に最も好きなクレズマーの旋律です。
<14 A Heymisher Bulgar 1分20秒~3分14秒>
Itzhak Perlman in the Fiddler's House - 2
A Heymisher Bulgar
次にスタジオ録音盤の方から何曲か続けます。6曲目のバサラビエ(ベッサラビア)は、映像でも共演していたブレイヴ・オールド・ワールドとの演奏です。7曲目のFirn di Mekhutonimはナフテュール・ブランドヴァインが書いたクレズマー屈指の名曲・名旋律だと思いますが、こちらはクレズマー・コンサーヴァトリー・バンドとの演奏です。2曲続けてどうぞ。
明日23日と29日は、ブログは書けないかも知れませんので、今日はイェール・ストロームの演奏を見られる動画を貼っておきます。放送で言いましたが、私が最初にイェール・ストロームの音源を聞いたのは、1993年にGlobal Villageから出たYale Strom&Hot Pstromi : with a little Horseradish on the sideと言う盤でした。ジャケットに写っている老フィドラーがイェール・ストロームと長い間勘違いしていました(笑)
この人のフィドリングは何か独特で、他のリヴァイヴァル・クレズマーのヴァイオリニストと比べると、とても個性的。細かい装飾技巧や、微妙にフラットする音が良いです。BOWのマイケル・アルパートは、やはりヴァイオリンより歌の人ですし、クレズマティクスのアリシア・スヴァイガルズはフラジオを多用する演奏で好みが分かれそう。KCBのヴァイオリンは誰だったかすぐに思い出せない位、個性は強くないと思います。このグループはホーンセクションが正統派で強力です。
Yale Strom&Hot Pstromi、長尺の映像と、レクチャー映像、いずれも大変面白く見ました。明日はもし書けたら、ビロビジャンのユダヤ音楽を当たってみます。番組で最後にかけたYale Strom&Hot Pstromi : with a little Horseradish on the sideのMeridianは、YouTubeには見当たりませんでした。
Intersections Concert with Hot Pstromi
Yale Strom and Hot Pstromi at The Museum at Eldridge Street
Yale Strom and Hot Pstromi
Yale Strom demonstrates Polish folk music vs Klezmer
東欧系ユダヤ音楽の36回目になります。そろそろヨーロッパの新旧のクレズマーへと言いながら、今回もアメリカのクレズマー音楽家です。私が最初にイェール・ストロームの音源を聞いたのは、93年にGlobal Villageから出たYale Strom&Hot Pstromi : with a little Horseradish on the sideと言う盤でした。ゲストでアンディ・スタットマン、マーク・ドレッサーなどが参加していますが、最初はジャケットに写っている老フィドラーがイェール・ストロームと勘違いしていました。彼はクレズマー・ヴァイオリニストだけでなく、作曲家、映画製作者、作家、写真家、劇作家でもあるそうで、クレズマー音楽家としての活動開始は1981年のようです。
チャウシェスク時代のルーマニアから、何とロシア連邦の極東のハバロフスクに近いユダヤ自治州のビロビジャンまで歩いて集めたレパートリーが含まれるという事で、久々に聞き返してみました。1928年にスターリンの社会主義民族政策により、アムール川沿岸の中ソ国境地帯に設置されたユダヤ民族区には、西ウクライナから西ベラルーシにまたがるルテニアやガリツィア、ベッサラビアなどにあったユダヤ人コミュニティから多数のユダヤ人が移住しているので、古いイディッシュ民謡などが残っているのではと思います。ですので今回は知っている曲は外して、聞き慣れない曲を中心に選んでみました。
じゃがたら等のメンバーだった篠田昌已率いるコンポステラの音源からも、クレズマー関連の曲を2曲おかけしておきます。クレズモリームから影響を受けたそうです。90年リリースのコンポステラのpuff up盤が出た頃は、まだ「クレッツマー」と呼ばれていました。コンポステラやベツニ・ナンモ・クレズマーのプロデューサーのNさんが、90年前半に勤務していた池袋の店によく来られていたので、私もクレッツマーからクレズマーへの改名に立ち会いましたし、当時は合同で雑誌ラティーナなどに寄稿しました。コンポステラのチンドンを取り入れたスタイルが当時は斬新でした。「プリパ」など、クレズマー曲以外にも素晴らしい曲が目白押しです。「しあわせなユダヤ人」と「イディッシュ・ブルース」の2曲を聞きながら今回はお別れです。もし入れば「プリパ」まで入れます。この曲は、古いアイルランドの民謡説がありますが、南北戦争時代のアメリカで「ジョニーが凱旋する時」(When Johnny comes marching home)として改作して歌われ、その後は韓国の民主化運動の中でも歌われた旋律だったそうです。
<12 コンボステラ / プリパ 3分35秒>
<2 コンボステラ / しあわせなユダヤ人 5分35秒>
<3 コンボステラ / イディッシュ・ブルース 2分38秒>
"YIDDISH BLUES /イーディッシ・ブルース" 〜 篠田昌已ユニット at MANDA-LA2, September 25, 1988
クレズマーにはギリシア・ダンス系も少なからずあるとは言え、東欧系の曲調がメインのクレズマー曲の中で、ハサポセルヴィコはやはり目立ちます。明らかに他とは異なる曲調で、セルヴィア系ハサピコとは言え、どこか地中海の雰囲気が感じられます。アメリカ西海岸のクレズモリームのArhoolieから出ていた1976~78年のファースト・レコーディングの頃、ハサポセルヴィコをクレズマー以外で耳にする機会があったのでしょうか。あるとすれば、映画「日曜はダメよ」とかでしょうか。番組ではフェイドアウトでしたから、全曲上げておきます。17曲目はAf Shabes In Vilnaでしたが、この曲は「ヴィルナのシャバト」と訳して良いものかどうか分からずでした。イディッシュ語の単語帳程度の辞書は日本語版、英語版2冊持っていますが、Afについては不明でした。ギリシアのハサポセルヴィコを2本目に、3本目はAf Shabes In Vilnaです。
<16 The Klezmorim / a) Trello Hasaposerviko b) Sonya / Anushke 7分41秒>
<15 The Klezmorim / Firen Di Mekhutonim Aheym 3分8秒>
16曲目は曲名にHasaposervikoとあるように、ギリシア系の舞曲のようです。明らかに他とは異なる曲調です。この曲は長いので、3分程おかけして、次のAf Shabes In Vilna(ヴィルナのシャバト?)まで2曲続けます。
<16 The Klezmorim / a) Trello Hasaposerviko b) Sonya / Anushke 7分41秒 ~3分位>
<17 The Klezmorim / Af Shabes In Vilna 2分5秒>
クレズモリームから影響を受けたと言う日本のコンポステラの音源からも、クレズマー関連の曲を2曲おかけしておきます。90年リリースのコンポステラのpuff up盤が出た頃は、まだ「クレッツマー」と呼ばれていました。コンポステラやベツニ・ナンモ・クレズマーのプロデューサーのNさんが、90年前半に勤務していた池袋の店によく来られていたので、私もクレッツマーからクレズマーへの改名に立ち会いましたし、当時は合同で雑誌ラティーナなどに寄稿しました。コンポステラのチンドンを取り入れたスタイルが当時は斬新でした。「プリパ」など、クレズマー曲以外にも素晴らしい曲が目白押しです。「しあわせなユダヤ人」と「イディッシュ・ブルース」の2曲を聞きながら今回はお別れです。もし入れば「プリパ」まで入れます。この曲は、古いアイルランドの民謡説がありますが、南北戦争時代のアメリカで「ジョニーが凱旋する時」(When Johnny comes marching home)として改作して歌われ、その後は韓国の民主化運動の中でも歌われた旋律だったそうです。
デヴィッド・クラカウアーは、97年のPossessedからはクレズマティクスから抜けているようですが、95年頃はフランク・ロンドンと並んでホーンセクションの中心メンバーでした。クレズマー・マッドネスの後、97年にはクロノス・カルテットと組んでノンサッチからオスバルド・ゴリホフの作品も出していました。この辺りからでしょうか、クレズマー・クラリネットをフィーチャーしたクラシック方面の活動も増えていたようです。ディスコグラフィにあったMagyar Madness by David Del Tredici (eOne, 2016)と言うのが、とても気になります。番組ではThe Ballad of Chernobylが途中までになりましたので、この曲から先に上げておきます。(以下放送原稿を再度)
このShir Hama'alos Pt. 2は、実際にシナゴーグでアドン・オラムなどを聞いた時の感動に近いものを覚える旋律です。旋律のバックを管楽器一本がなぞるように伴奏するというスタイルは、ジャズだけでなく、中東や日本でも見られます。イランのネイしかり、日本の尺八しかりで、東洋に多いように思います。旋律に沿うフランク・ロンドンの演奏が素晴らしく、思わず耳をそばだてました。(以下放送原稿を再度)
フランク・ロンドンが2005年にツァディクからリリースしたHazonosは、ジョン・ゾーンのレーベルですから、バックはアヴァンギャルドな装いになっていて、その上でオーソドックスなカントール(ハザン)の歌声にフランク・ロンドンのトランペットが伴奏で付いていくという斬新な試みが聞けました。特にカントールらしい旋律が美しいShir Hama'alos Pt. 2をおかけしておきます。
<7 Frank London / Hazonos ~Shir Hama'alos Pt. 2 5分22秒>
フランク・ロンドンが2005年にツァディクからリリースしたHazonosは、ジョン・ゾーンのレーベルですから、バックはアヴァンギャルドな装いになっていて、その上でオーソドックスなカントール(ハザン)の歌声にフランク・ロンドンのトランペットが伴奏で付いていくという斬新な試みが聞けました。特にカントールらしい旋律が美しいShir Hama'alos Pt. 2をおかけしておきます。
<7 Frank London / Hazonos ~Shir Hama'alos Pt. 2 5分22秒>
昨日のアピコルシムの英訳字幕付きがありました。思った通りですが、彼ら自身の事を歌っているのでしょう。Happy heretics don`t think about godの文句に集約されるでしょうか。やはりヘレシーと言う単語に、ヴァージン・プルーンズのような、ペイガン(異教)のイメージまで持たせるのは、ここでは行き過ぎでした。
2本目は最も有名なウディ・ガスリーの曲「This Land Is Your Land」を、ウディ・ガスリーの静止画像に始まり、息子のArlo Guthrieや、ピート・シーガー(バンジョー弾き語りの人)、フォーク歌手のJudy CollinsやJoan Baez等まで、次々名歌手が登場するお宝映像だと思います。私より少し上の世代にはThis Land Is Your Landは、お馴染みの曲だそうです。(私はよく知りませんでした)
The Klezmatics: Apikorsim - Heretics (official video)
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