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2024年2月

2024年2月29日 (木)

Firn di Mekhutonimとヴァイオリンの話

今日は母が退院するため店は昼1時過ぎから休みますが、ブログは何とかそれまでに書けました。In the Fiddler`s Houseでは、7曲目のFirn di Mekhutonimは先日上げたクレズマー・コンサーヴァトリー・バンドとの演奏に出て来ますので、今日はスタジオ録音盤を上げておきます。この曲は往年のクレズマー・クラリネット名人のナフテュール・ブランドヴァインが書いたクレズマー屈指の名曲・名旋律だと思います。思い返せば、この曲とポルムベスクのバラーダ(望郷のバラード)弾きたさで10年ほど離れていたヴァイオリンに戻りました。2004年頃の話です。それがなかったら、戻ってなかったかも知れません。しばらく離れていたので、久々にヴァイオリンを構えると顎ががくがくしました(笑)
大学オケで始めたヴァイオリンは弦トレから教わる以外はほぼ自己流だったので、矯正しようと思って、1993年まで2年ほどの間にレッスンを受けたのは、バッハの無伴奏ヴァイオリンのパルティータ3番のプレリュードや、モーツァルトのK304のソナタ、ヘンデルのヘ長調のソナタ辺りでした。当時一番弾きたかったブラームスのヴァイオリン・ソナタ3曲を先生に教えて頂けなかったので(ブラームスのソナタは最後の最後に弾く曲だというお考えでした)、それも離れてしまった原因かなとは思いますが、93年~95年頃から10年間、タブラ、トンバク、ウード、謡曲、新内と、次々浮気してしまっていたのもあります。2004年になって、バッハの無伴奏チェロ組曲2番のプレリュードを、ヴァイオリン編曲版ではなく、チェロで弾いてみたいという事で、Uターン直前の2005年からチェロも弾くことになって、2008年から今治の弦楽合奏団にチェロで参加。2015年には合奏団でヴァイオリンも再開して、今に至るという次第です(笑) ゼアミを回しながら、色々とやったものだと思います。

Itzhak Perlman & Klezmer Conservatory Band - Firn Di Mekhutonim Aheym

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2024年2月28日 (水)

In the Fiddler`s House~バサラビエ(ベッサラビア)

この冒頭映像から何度見たか分からない程ですが、初めて見て30年近く経っても、まだまだ刺激的です。冒頭はブレイヴ・オールド・ワールドがまず登場します。3分20秒頃からはクラクフ・ゲットー跡での演奏で、女性ヴァイオリニスト、デボラ・シュトラウスがドイナで共演しています。瑞々しい演奏で、当時注目しました。来週彼女の音源も取り上げます。そして6分頃から、パールマンが入ってバサラビエの初?合わせ。このシーンから、アラン・ベルンのアコーディオン、マイケル・アルパートのイディッシュ語歌唱など最高で、パールマンも最初はメンデルスゾーンの一節で返すも(笑)、すぐにバサラビエに即興で対応していて凄すぎ。2本目は番組でかけたスタジオ録音です。

Itzhak Perelman in the Fiddler's House - 1

<6 Basarabye 6分59秒>

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2024年2月26日 (月)

In the Fiddler`s House ~ウェディング・ダンス

ゼアミdeワールド399回目の放送、日曜夜10時にありました。28日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はIn the Fiddler`s HouseのKCBとのウェディング・ダンスの部分を貼っておきます。3分30秒頃からです。続いてFirn di Mekhutonimも出て来ます。2本目は番組でかけた音源で、1分20秒からがウェディング・ダンスです。

東欧系ユダヤ音楽の37回目になります。やはりアメリカのクレズマーになりますが、大事な盤を忘れるところでした。クラシックの名ヴァイオリニストのイツァーク・パールマンが、リヴァイヴァル・クレズマーの代表的グループと共演したIn the Fiddler`s Houseのシリーズは、おそらくクレズマー音楽で一番売れたCDだろうと思います。1995年にスタジオ録音盤、続いて1996年にライブ盤が出ましたが、2006年から2008年頃に2枚組として再発されていたようです。同じ頃、95年に出たVHSの映像がDVD化されて出ていました。
このシリーズはもちろん95年頃に聞きましたが、一番面白く見たのがVHSでした。メイキング映像的なこのドキュメンタリーはとても秀逸で、後で知ったことですがイディッシュの往年の名歌手も出演していました。何よりもパールマンとリヴァイヴァル・クレズマーの代表的グループとの共演映像が大変楽しく、ビデオテープが擦り切れるほど見たものです。96年にゼアミを始めた頃は既に旧譜だったので、そう言えば、HPには載せてなかったと最近気づきました。
今回は1995年のスタジオ録音盤と1996年のライブ盤からセレクトしておかけします。まずライブ盤の方からA Heymisher Bulgarと言う曲ですが、ビデオでも演奏していたクレズマー・コンサーヴァトリー・バンドとの該当曲の「結婚式の踊り」は後半に出てきますので、その部分だけおかけします。後でおかけするFirn di Mekhutonimと並んで、多分個人的に最も好きなクレズマーの旋律です。

<14 A Heymisher Bulgar 1分20秒~3分14秒>
Itzhak Perlman in the Fiddler's House - 2

A Heymisher Bulgar

次にスタジオ録音盤の方から何曲か続けます。6曲目のバサラビエ(ベッサラビア)は、映像でも共演していたブレイヴ・オールド・ワールドとの演奏です。7曲目のFirn di Mekhutonimはナフテュール・ブランドヴァインが書いたクレズマー屈指の名曲・名旋律だと思いますが、こちらはクレズマー・コンサーヴァトリー・バンドとの演奏です。2曲続けてどうぞ。

<6 Basarabye 6分59秒>
<7 Firn di Mekhutonim 5分37秒>

続いて、11曲目のお馴染みのアレ・ブリダーと14曲目のジューイッシュ・ダンス・チューンのDer heyser Bulgarも、クレズマー・コンサーヴァトリー・バンドとの演奏です。典型的なクレズマー・チューンの演奏にパールマンが絶妙のソロを加えています。

<11 Ale Brider 3分45秒>
<14 Der heyser Bulgar 3分55秒>

では最後にクレズマティクスとの演奏で、釣り人のエレジーとでも言えそうなFisherlidをおかけします。この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9 Fisherlid - Klezmatics Khosidl 6分28秒>

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2024年2月22日 (木)

Yale Strom&Hot Pstromiの生映像

明日23日と29日は、ブログは書けないかも知れませんので、今日はイェール・ストロームの演奏を見られる動画を貼っておきます。放送で言いましたが、私が最初にイェール・ストロームの音源を聞いたのは、1993年にGlobal Villageから出たYale Strom&Hot Pstromi : with a little Horseradish on the sideと言う盤でした。ジャケットに写っている老フィドラーがイェール・ストロームと長い間勘違いしていました(笑)
この人のフィドリングは何か独特で、他のリヴァイヴァル・クレズマーのヴァイオリニストと比べると、とても個性的。細かい装飾技巧や、微妙にフラットする音が良いです。BOWのマイケル・アルパートは、やはりヴァイオリンより歌の人ですし、クレズマティクスのアリシア・スヴァイガルズはフラジオを多用する演奏で好みが分かれそう。KCBのヴァイオリンは誰だったかすぐに思い出せない位、個性は強くないと思います。このグループはホーンセクションが正統派で強力です。
Yale Strom&Hot Pstromi、長尺の映像と、レクチャー映像、いずれも大変面白く見ました。明日はもし書けたら、ビロビジャンのユダヤ音楽を当たってみます。番組で最後にかけたYale Strom&Hot Pstromi : with a little Horseradish on the sideのMeridianは、YouTubeには見当たりませんでした。

Intersections Concert with Hot Pstromi

Yale Strom and Hot Pstromi at The Museum at Eldridge Street

Yale Strom and Hot Pstromi

Yale Strom demonstrates Polish folk music vs Klezmer

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2024年2月21日 (水)

ルスティヒ・ザイン

ルスティヒ・ザインは個人的に最も好きなハシディック・ソングの一つで、その旋律がARCのイェール・ストローム / The Devil's Brides - Klezmer & Yiddish Songsに登場して嬉しい限り。番組でも言いましたが、ARC盤ではもっと広く東欧音楽全般からユダヤの音楽を捉えているという印象で、その中で典型的なハシディック・ニグンとして知られるこの名旋律が上手く嵌っていました。
昨年の9月には、フランソワ・リリエンフェルトの演奏で、イディッシュ・タンツ(A Jiddischer Tanz イディッシュの踊り、あるいはユダヤ人の踊り)として上げましたので、聞き覚えの方もいらっしゃるでしょうか。ルスティヒ・ザイン(イディッシュ語Lustik zein?、英語be cheerful)は、ヘンリー・サポズニクのクレズマー譜にも載っていた有名な旋律ですが、リヴァイヴァル・クレズマーのグループなどの演奏で聞いた記憶はほとんどないです。

<Lustig Zayn? 3分43秒>

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2024年2月19日 (月)

Yale Strom&Hot Pstromi

ゼアミdeワールド398回目の放送、日曜夜10時にありました。21日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はAbsolutely Klezmer, Vol. 2から番組でかけた3曲です。http://www.baribari789.com/ なら、どこででもお聞き頂けます。

東欧系ユダヤ音楽の36回目になります。そろそろヨーロッパの新旧のクレズマーへと言いながら、今回もアメリカのクレズマー音楽家です。私が最初にイェール・ストロームの音源を聞いたのは、93年にGlobal Villageから出たYale Strom&Hot Pstromi : with a little Horseradish on the sideと言う盤でした。ゲストでアンディ・スタットマン、マーク・ドレッサーなどが参加していますが、最初はジャケットに写っている老フィドラーがイェール・ストロームと勘違いしていました。彼はクレズマー・ヴァイオリニストだけでなく、作曲家、映画製作者、作家、写真家、劇作家でもあるそうで、クレズマー音楽家としての活動開始は1981年のようです。
チャウシェスク時代のルーマニアから、何とロシア連邦の極東のハバロフスクに近いユダヤ自治州のビロビジャンまで歩いて集めたレパートリーが含まれるという事で、久々に聞き返してみました。1928年にスターリンの社会主義民族政策により、アムール川沿岸の中ソ国境地帯に設置されたユダヤ民族区には、西ウクライナから西ベラルーシにまたがるルテニアやガリツィア、ベッサラビアなどにあったユダヤ人コミュニティから多数のユダヤ人が移住しているので、古いイディッシュ民謡などが残っているのではと思います。ですので今回は知っている曲は外して、聞き慣れない曲を中心に選んでみました。

イェール・ストロームの盤は、その後イギリスのARCから2枚、The Devil`s Brides - Klezmer & Yiddish SongsとBorsht with Bread, Brothersがありましたが、現在手元にはデータのみになっていました。Transcontinental Musicと言うレーベルからもAbsolutely Klezmerと題する2枚の音源がありましたが、こちらは現物を見たことがないので解説は参照できませんが、ストリーミングで何曲か聞き慣れない曲の中から、めぼしい曲を3曲拾ってみました。曲名はそれぞれ、花嫁の嘆き、ルーマニアのホラとヴォレフ、戒律の踊り、と訳せるように思います。ホラだけでなくVolekhと言うのも踊りの種類でしょうか?

<Baveynen Di Kale 2 (The Bride's Lament) 4分40秒>

<Rumenishe Hora un Volekh 6分40秒>

<Mitsve Tants 4分10秒>

以上3曲は2007年リリースの2枚目のAbsolutely Klezmer, Vol. 2からですが、一枚目のThe Absolutely Complete Introduction to Klezmerが前年の2006年に出ていて、こちらからはRopshitser Nignと言う曲をおかけしておきます。

<Ropshitser Nign 2分9秒>

ARC盤ではもっと広く東欧音楽全般からユダヤの音楽を捉えているという印象ですが、今回はThe Devil's Brides - Klezmer & Yiddish Songsから、前に他の演奏をかけたことのあるLustig Zayn?をおかけしておきます。典型的なハシディック・ニグンとして知られる名旋律です。

<Lustig Zayn? 3分43秒>

最後に93年のGlobal Village盤からは、なるべく全曲近く入る曲で、かつユニークな曲として、ブダペストからベオグラードに向かう列車の中で書いたというMeridianと言う曲をおかけします。この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Meridian 4分42秒>

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2024年2月16日 (金)

コンポステラのプリパ他

度々書いていますが、80年代前半は大学のオーケストラでヴァイオリンを弾きながらも、ニューウェーヴ~インディーズにどっぷりで、まだ民族音楽に戻る前でした。その頃よくライブに通ったのは、インディーズではPhew、須山公美子、原マスミ、ローザ・ルクセンブルク(どんとのいたバンド)、たま辺りでした。じゃがたらは有名なのでフールズメイトなどで名前は知っていたものの、聞いた事はなかったのですが、動画を見ていたらA-Musikと共演している映像がありました。ここでは篠田昌已他のメンバーでクレズモリムと名乗っています。A-MusikはPhewとも共演していて、ブートレグカセットを今も持っています。90年に池袋の専門店に勤務するようになってコンポステラを知りまして、パフ・アップ盤は随分よく聞いたものです。特にプリパが好きだったので、YouTubeがあって良かったです。イディッシュ・ブルースはライブ映像だけありました。しあわせなユダヤ人は見当たらずでした。3本目はA-Musikとクレズモリムです。(以下放送原稿を再度)

じゃがたら等のメンバーだった篠田昌已率いるコンポステラの音源からも、クレズマー関連の曲を2曲おかけしておきます。クレズモリームから影響を受けたそうです。90年リリースのコンポステラのpuff up盤が出た頃は、まだ「クレッツマー」と呼ばれていました。コンポステラやベツニ・ナンモ・クレズマーのプロデューサーのNさんが、90年前半に勤務していた池袋の店によく来られていたので、私もクレッツマーからクレズマーへの改名に立ち会いましたし、当時は合同で雑誌ラティーナなどに寄稿しました。コンポステラのチンドンを取り入れたスタイルが当時は斬新でした。「プリパ」など、クレズマー曲以外にも素晴らしい曲が目白押しです。「しあわせなユダヤ人」と「イディッシュ・ブルース」の2曲を聞きながら今回はお別れです。もし入れば「プリパ」まで入れます。この曲は、古いアイルランドの民謡説がありますが、南北戦争時代のアメリカで「ジョニーが凱旋する時」(When Johnny comes marching home)として改作して歌われ、その後は韓国の民主化運動の中でも歌われた旋律だったそうです。

<12 コンボステラ / プリパ 3分35秒>

<2 コンボステラ / しあわせなユダヤ人 5分35秒>
<3 コンボステラ / イディッシュ・ブルース 2分38秒>
"YIDDISH BLUES /イーディッシ・ブルース" 〜 篠田昌已ユニット at MANDA-LA2, September 25, 1988

A ‐ Musik / クレズモリム 1988/12/16 東大駒場

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2024年2月15日 (木)

クレズモリームのライブ映像

クレズモリームは活動開始が1975年という事で、リヴァイヴァル・クレズマーの中で一番早かったのもあって、生映像を見た記憶はないです。一般にリヴァイヴァル・クレズマーは、1978年のTVドラマ「ホロコースト 戦争と家族」後にムーヴメントとして本格化したようなので、それよりも数年早い出だしと言う事になり、きっかけが何だったのかが気になります。サンフランシスコ近郊バークレーのグループと言うことですから、バークレー音楽院の出身者が多いのではと思いますが。
ウィキペディアでメンバーを見ると、後にブレイヴ・オールド・ワールドに参加するStuart Brotmanや、ファゴット奏者のPaul Hansonの名もありました。ポール・ハンソンと言えば、1995年頃に出たミディ盤の確かレビューを書いたので、メーカーの方からサンプルを頂きました。名前にリンクが入っているのはポール・ハンソンと後一人だけでした。それ程有名なミュージシャンがいないようなのに、あのクレズマーのグルーブ感は、どういう事でしょうか! 
Klezmorimと言うのは、単にクレズマーの男性複数形でもあるので、動画見つけた!と思ってもグループ名ではない場合がほとんどのようです。2004年にヨーロッパツアーのために再結成したようなので、Klezmorim CWBとかThe IC Klezmorimは、その流れを汲む後継バンドでしょうか? 一本だけこれはと言う生映像がありましたが、これも最初にロシア語のナレーションが入るので怪しいですが、とりあえず上げておきます。

Klezmorim Freylechs

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2024年2月14日 (水)

クレズマーのハサポセルヴィコ

クレズマーにはギリシア・ダンス系も少なからずあるとは言え、東欧系の曲調がメインのクレズマー曲の中で、ハサポセルヴィコはやはり目立ちます。明らかに他とは異なる曲調で、セルヴィア系ハサピコとは言え、どこか地中海の雰囲気が感じられます。アメリカ西海岸のクレズモリームのArhoolieから出ていた1976~78年のファースト・レコーディングの頃、ハサポセルヴィコをクレズマー以外で耳にする機会があったのでしょうか。あるとすれば、映画「日曜はダメよ」とかでしょうか。番組ではフェイドアウトでしたから、全曲上げておきます。17曲目はAf Shabes In Vilnaでしたが、この曲は「ヴィルナのシャバト」と訳して良いものかどうか分からずでした。イディッシュ語の単語帳程度の辞書は日本語版、英語版2冊持っていますが、Afについては不明でした。ギリシアのハサポセルヴィコを2本目に、3本目はAf Shabes In Vilnaです。

<16 The Klezmorim / a) Trello Hasaposerviko b) Sonya / Anushke 7分41秒>

Hasaposerviko

<17 The Klezmorim / Af Shabes In Vilna 2分5秒>

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2024年2月12日 (月)

The Klezmorim 1976~78

ゼアミdeワールド397回目の放送、日曜夜10時にありました。14日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。

東欧系ユダヤ音楽の35回目になります。アメリカのリヴァイヴァル・クレズマーの主要グループについては一応一通り終わって、徐々にヨーロッパの新旧のクレズマーに移る予定でしたが、今回もアメリカのグループです。アメリカ西海岸のクレズモリームは、活動開始が1975年という事で、リヴァイヴァル・クレズマーの中で実は一番早かったサンフランシスコ近郊バークレーのグループです。Arhoolieから出ていた1976~78年のファースト・レコーディングと言う盤をおかけしますが、小編成のブラスサウンドのリズムが心地よく、他のリヴァイヴァル・クレズマーのグループよりも、やはり戦前のクレズマー録音に近いようにも聞こえます。じゃがたら等のメンバーだった篠田昌已率いるコンポステラにも影響を与えたそうです。ではクレズモリームの盤から1,7,9,15曲目の4曲を続けておかけしますが、これまでに聞いてきた旋律が何曲か登場します。

<1 The Klezmorim / Di Zilberne Khasene 3分21秒>

<7 The Klezmorim / Sherele 3分6秒>

<9 The Klezmorim / A Glezele Vayn 3分9秒>

<15 The Klezmorim / Firen Di Mekhutonim Aheym 3分8秒>

16曲目は曲名にHasaposervikoとあるように、ギリシア系の舞曲のようです。明らかに他とは異なる曲調です。この曲は長いので、3分程おかけして、次のAf Shabes In Vilna(ヴィルナのシャバト?)まで2曲続けます。

<16 The Klezmorim / a) Trello Hasaposerviko b) Sonya / Anushke 7分41秒 ~3分位>
<17 The Klezmorim / Af Shabes In Vilna 2分5秒>

クレズモリームから影響を受けたと言う日本のコンポステラの音源からも、クレズマー関連の曲を2曲おかけしておきます。90年リリースのコンポステラのpuff up盤が出た頃は、まだ「クレッツマー」と呼ばれていました。コンポステラやベツニ・ナンモ・クレズマーのプロデューサーのNさんが、90年前半に勤務していた池袋の店によく来られていたので、私もクレッツマーからクレズマーへの改名に立ち会いましたし、当時は合同で雑誌ラティーナなどに寄稿しました。コンポステラのチンドンを取り入れたスタイルが当時は斬新でした。「プリパ」など、クレズマー曲以外にも素晴らしい曲が目白押しです。「しあわせなユダヤ人」と「イディッシュ・ブルース」の2曲を聞きながら今回はお別れです。もし入れば「プリパ」まで入れます。この曲は、古いアイルランドの民謡説がありますが、南北戦争時代のアメリカで「ジョニーが凱旋する時」(When Johnny comes marching home)として改作して歌われ、その後は韓国の民主化運動の中でも歌われた旋律だったそうです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<2 コンボステラ / しあわせなユダヤ人 5分35秒>
<3 コンボステラ / イディッシュ・ブルース 2分38秒>
<12 コンボステラ / プリパ 3分35秒>

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2024年2月 9日 (金)

David Krakauer / Klezmer Madness!

デヴィッド・クラカウアーは、97年のPossessedからはクレズマティクスから抜けているようですが、95年頃はフランク・ロンドンと並んでホーンセクションの中心メンバーでした。クレズマー・マッドネスの後、97年にはクロノス・カルテットと組んでノンサッチからオスバルド・ゴリホフの作品も出していました。この辺りからでしょうか、クレズマー・クラリネットをフィーチャーしたクラシック方面の活動も増えていたようです。ディスコグラフィにあったMagyar Madness by David Del Tredici (eOne, 2016)と言うのが、とても気になります。番組ではThe Ballad of Chernobylが途中までになりましたので、この曲から先に上げておきます。(以下放送原稿を再度)

95年に同じくツァディクから出たデヴィッド・クラカウアーのクレズマー・マッドネスですが、Bocota Bulgarと言う曲の、ラテンリズムに乗せての古い録音の残るクレズマー曲がクラリネット演奏では出色だと思いますが、ライナーノーツで歌詞と解説が見開きで入っている通り、おそらくこの盤の目玉は「チェルノブイリのバラード」と言う曲で、ブレイヴ・オールド・ワールドのマイケル・アルパートがゲスト・ヴォーカルで参加しています。ブレイヴ・オールド・ワールドのファーストアルバムに、かつて繁栄したユダヤ人居住区シュテトルであり、重要なハシディズムの本拠地でもあった町としての「チェルノブイリ」と言う曲があったことをすぐさま思い出させます。今では原発事故のみで知られるこの町に、そんな輝いた時期があったことが綴られています。

<7 David Krakauer / Klezmer Madness! ~The Ballad of Chernobyl 5分19秒>

<2 David Krakauer / Klezmer Madness! ~Bocota Bulgar 4分6秒>

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2024年2月 8日 (木)

カントールを伴奏するトランペット

このShir Hama'alos Pt. 2は、実際にシナゴーグでアドン・オラムなどを聞いた時の感動に近いものを覚える旋律です。旋律のバックを管楽器一本がなぞるように伴奏するというスタイルは、ジャズだけでなく、中東や日本でも見られます。イランのネイしかり、日本の尺八しかりで、東洋に多いように思います。旋律に沿うフランク・ロンドンの演奏が素晴らしく、思わず耳をそばだてました。(以下放送原稿を再度)

フランク・ロンドンが2005年にツァディクからリリースしたHazonosは、ジョン・ゾーンのレーベルですから、バックはアヴァンギャルドな装いになっていて、その上でオーソドックスなカントール(ハザン)の歌声にフランク・ロンドンのトランペットが伴奏で付いていくという斬新な試みが聞けました。特にカントールらしい旋律が美しいShir Hama'alos Pt. 2をおかけしておきます。

<7 Frank London / Hazonos ~Shir Hama'alos Pt. 2 5分22秒>

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2024年2月 7日 (水)

クレズマティクスによる詩篇23編 ミズモール・レダヴィッド

クレズマティクスのZmiros Projectからは、もう一曲、5曲目のミズモール・レダヴィッドと言う曲を番組でかけました。「アドナイ・ロイー・ロー・エフサル~」(主 は 羊 飼い、 わたし には 何 も 欠ける こと が ない。)と始まる旧約聖書の詩篇23編は、タイトルにあたるミズモール・レダヴィッド(ダヴィデの詩篇)から始まりますが、クレズマティクスはこの名高いヘブライ語原文を、ほぼそのまま歌っています。30年ほど前にヘブライ語教室で暗誦したので、今でもはっきり覚えています。こういうハシディックな旋律を付けて歌われていることに、新鮮な驚きを覚えました。「賛歌」の意味のミズモールも、クレズマーのズマーあるいはゼメルと同語根の言葉です。この詩篇の新共同訳を以下に転載しておきます。

<5 The Zmiros Project / Mizmoyr ledovid 4分23秒>

1. 主 は 羊 飼い、 わたし には 何 も 欠ける こと が ない。
2. 主 は わたし を 青草 の 原 に 休ま せ 憩い の 水 の ほとり に 伴い
3. 魂 を 生き返らせ てくださる。 主 は 御名 に ふさわしく わたし を 正しい 道 に 導か れる。
4. 死 の 陰 の 谷 を 行く とき も わたし は 災い を 恐れ ない。 あなた が わたし と 共に い て くださる。 あなた の 鞭、 あなた の 杖 それ が わたし を 力づける。
5. わたし を 苦しめる 者 を 前 に し ても あなた は わたし に 食卓 を 整え て くださる。 わたし の 頭 に 香油 を 注ぎ わたし の 杯 を 溢れ させ て くださる。
6. 命 の ある 限り 恵み と 慈しみ は いつも わたし を 追う。 主 の 家 に わたし は 帰り 生涯、 そこ に とどまる で あろ う。

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2024年2月 5日 (月)

Zmiros Project~Sholoym aleykhem

ゼアミdeワールド396回目の放送、日曜夜10時にありました。7日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はSholoym aleykhem2曲。

東欧系ユダヤ音楽の34回目になります。アメリカのリヴァイヴァル・クレズマーの「雄」と呼ばれて久しいクレズマティクスで4回続けましたが、今回はクレズマティクスの番外編としまして、メンバーであるロリン・スクランベルク、フランク・ロンドン、デヴィッド・クラカウアーのソロアルバムからおかけしたいと思います。

まずフランク・ロンドン&ロリン・スクランベルクのZmiros Projectと言う2002年のTraditional Crossroads盤です。ズミロスあるいはズミロットとは、「賛歌」のような意味でクレズマーの後半のズマーあるいはゼメルと同語根の複数形です。クレズマティクスの二人が作ったズミロット・プロジェクトのアルバムは、ヘブライ語の宗教的な歌とイディッシュ民謡、ハシディック・ニグンに特化した内容になっています。ブレイヴ・オールド・ワールドのマイケル・アルパートと肩を並べるほどの本格的Yiddish Singer、スクランベルクの歌がとにかく最高で、綴り自体そうですが、ヘブライ語と思えないほどアシュケナージ訛りの強い発音が興味深いです。リリース当時話題だったレトロ電子楽器テレミンは飛び出すわ、ダクソフォンや大正琴は入るわで、とても楽しいアルバムでした。収録曲は、Sholom aleykhem1&2, Veshomru, Azameyr bishvokhin, Mizmoyr ledavid, Omar hashem leyakoyv, Tsur misheloy, Eyliyohu hanovi, Az nisht keyn emune, A gute vokhとなっていまして、終わりの2曲はイディッシュ語ですが、他は全てヘブライ語歌詞です。編成は、フランク・ロンドン(tp,cornet,altoHn等)、ロリン・スクランベルク(歌、Accordeon)、ロブ・シュヴィムマー(Harmonium,pf,theremin,daxophone,大正琴等)となっています。ではこの盤から、シャバトの歌「ショロム・アレイヘム」2曲を続けておかけします。

<1 The Zmiros Project / Sholoym aleykhem I 3分29秒>

<2 The Zmiros Project / Sholoym aleykhem II 3分48秒>

もう一曲Zmiros Projectから、5曲目のミズモール・レダヴィッドと言う曲は、旧約聖書の詩篇23編のヘブライ語原文をほぼそのまま歌っています。30年ほど前にヘブライ語教室で暗誦したので、今でもはっきり覚えています。名高いダヴィデの詩篇に、こういうハシディックな旋律を付けて歌われていることに、新鮮な驚きを覚えました。「賛歌」の意味のミズモールも、クレズマーのズマーあるいはゼメルと同語根の言葉です。

<5 The Zmiros Project / Mizmoyr ledovid 4分23秒>

フランク・ロンドンが2005年にツァディクからリリースしたHazonosは、ジョン・ゾーンのレーベルですから、バックはアヴァンギャルドな装いになっていて、その上でオーソドックスなカントール(ハザン)の歌声にフランク・ロンドンのトランペットが伴奏で付いていくという斬新な試みが聞けました。特にカントールらしい旋律が美しいShir Hama'alos Pt. 2をおかけしておきます。

<7 Frank London / Hazonos ~Shir Hama'alos Pt. 2 5分22秒>

95年に同じくツァディクから出たデヴィッド・クラカウアーのクレズマー・マッドネスですが、Bocota Bulgarと言う曲の、ラテンリズムに乗せての古い録音の残るクレズマー曲がクラリネット演奏では出色だと思いますが、ライナーノーツで歌詞と解説が見開きで入っている通り、おそらくこの盤の目玉は「チェルノブイリのバラード」と言う曲で、ブレイヴ・オールド・ワールドのマイケル・アルパートがゲスト・ヴォーカルで参加しています。ブレイヴ・オールド・ワールドのファーストアルバムに、かつて繁栄したユダヤ人居住区シュテトルであり、重要なハシディズムの本拠地でもあった町としての「チェルノブイリ」と言う曲があったことをすぐさま思い出させます。今では原発事故のみで知られるこの町に、そんな輝いた時期があったことが綴られています。この2曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<2 David Krakauer / Klezmer Madness! ~Bocota Bulgar 4分6秒>
<7 David Krakauer / Klezmer Madness! ~The Ballad of Chernobyl 5分19秒>

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2024年2月 2日 (金)

アピコルシムの英訳字幕 This Land Is Your Land

昨日のアピコルシムの英訳字幕付きがありました。思った通りですが、彼ら自身の事を歌っているのでしょう。Happy heretics don`t think about godの文句に集約されるでしょうか。やはりヘレシーと言う単語に、ヴァージン・プルーンズのような、ペイガン(異教)のイメージまで持たせるのは、ここでは行き過ぎでした。
2本目は最も有名なウディ・ガスリーの曲「This Land Is Your Land」を、ウディ・ガスリーの静止画像に始まり、息子のArlo Guthrieや、ピート・シーガー(バンジョー弾き語りの人)、フォーク歌手のJudy CollinsやJoan Baez等まで、次々名歌手が登場するお宝映像だと思います。私より少し上の世代にはThis Land Is Your Landは、お馴染みの曲だそうです。(私はよく知りませんでした)

The Klezmatics: Apikorsim - Heretics (official video)

This Land Is Your Land: Woody and Arlo Guthrie

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2024年2月 1日 (木)

Apikorsim 異端者

2016年になってApikorsimと言う盤がWorld Villageから出ています。アピコルシムと言う聞きなれないタイトルは、「異端者」の意味のヘブライ語のようですが、これはエピクロス派とも関係があるようです。ジャケットのApikorsimの横にHereticsと言う英訳が出ていますが、これも「異端者」の意味です。語源はギリシア語(アッティカ方言?)のhairetikos「選ぶことができる」ですが、新約聖書のギリシア語(コイネー)では「異端的な」の意味合いが入って来たようです。そう言えばIrish post-punk bandのVirgin Prunesに、Heresy(heresie)と言う盤があったことを思い出しましたが、全くのジャンル違い。ですから、ここでクレズマティクスが言う「異端」が何を意味しているのか気になります。Apikorsimから、番組では時間切れでかけられなかった6曲目のApikorsimから先に上げておきます。2本目は番組の終わりに何とか入った4曲目のKermeshl in Adesです。

<6 Apikorsim 5分1秒>

<4 Kermeshl in Ades 4分1秒>

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