100年前のクレズマー
ゼアミdeワールド408回目の放送、日曜夜10時にありました。1日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は2曲目まで上げておきます。
東欧系ユダヤ音楽の46回目になります。これから数回クレズマーの100年前後前の歴史的録音を聞いて行きたいと思います。最初の音源はKlezmer Pioneers - European and American Recordings 1905-1952と言う93年の米Rounder盤で、プロデュースはカペリエのメンバーだったヘンリー・サポズニクです。これまで聞いてきたリヴァイヴァル・クレズマーの源泉は、ここにありと言う珠玉の音源ばかりです。曲によっては、徐々にジャズに同化されていく音楽としての側面も感じられます。この盤の後は、独Trikontから出ていたYikhes(1911-1939年の古いクレズマーの録音)や、ナフテュール・ブランドヴァインやデイヴ・タラスなどの各音楽家別の音源を予定しております。
ラウンダーのKlezmer Pioneersは、ヨーロッパのクレズマー音楽の最初のスタジオ録音であり、ヴァイオリン、ツィンブル、セクンド(コントラフィドル)、ベースという、ハンガリー辺りの楽器編成で演奏され、収録曲の半分は原盤のSPで初めて録音されています。この盤には、Mikhl GuzikowやAvram Moyshe Kholodenkoなど、19世紀のクレズマーの偉大な作曲家による器楽曲が収録されています。クレズマー音楽がどこから来たのかを理解するのには、不可欠なアルバムの一枚でした。
まず1曲目のDem Rebens Tanz (The Rabbi's Dance)ですが、405回目の放送でかけたDi Naye Kapelyeのファーストアルバムの1曲目の原曲です。100年くらい前のクレズマーの古い録音で聞いたハシディック・ソング、とコメントを入れていました。1929年のArt Shryer's Orchestraの演奏です。
<1 Dem Rebens Tanz (The Rabbi's Dance) 3分15秒>
3曲目のFon der choope (From the Wedding)と言う曲も、リヴァイヴァル・クレズマーの演奏でよく聞く曲です。これはAbe Elenkrig's Yiddishe Orchestraの1913年の録音です。
<3 Fon der choope (From the Wedding) 3分7秒>
5曲目のMa Yofus (How Beautiful)と言う曲は、ルスティヒ・ザインと言うタイトルのハシディック・ニグンの典型例として、これまで度々かけてきた曲ですが、曲名が違っています。演奏はBelf's Rumanian Orchestraで、1908-10年の録音です。
この旋律は独TrikontのYikhesにもGalitsyaner Khusidと言う曲名で入っていますので、続けておかけしておきます。Galitsyaner Khusidのタイトルは、文字通り「ガリツィアのハシッド」の意味ですが、メドレーになっていてルスティヒ・ザインの旋律は後半に出て来ます。演奏はMishka Ziganoff (acc)です。
<5 Yofus (How Beautiful) 2分41秒>
<13 Yikhes ~Galitsyaner Khusid 3分13秒>
エイブ・シュヴァルツ楽団(Abe Schwartz's Orchestra)の音源は2曲ありますが、8曲目のA Dreidele Far All-Freilachs (A Dance For Everyone)をおかけします。数多のクレズマーの名演奏家や名曲を残した名楽団の演奏です。この曲もリヴァイヴァル・クレズマーの演奏でよく聞く曲です。
<8 A Dreidele Far All-Freilachs (A Dance For Everyone) 3分8秒>
9曲目にはJoseph Cherniavsky and His Yiddish-American Jazz BandのKalle Bezetzns Un A Freilachs (The Bridal Serenade And Congratulations)が入っていますが、こういう変化に富んだ曲調は、リヴァイヴァル・クレズマーの演奏には少ないようにも思います。ヴァイオリンを始め、全てのパートの演奏技術の高さに驚かされる一曲です。
<9 Kalle Bezetzns Un A Freilachs (The Bridal Serenade And Congratulations) 3分11秒>
次のDie Chasidim Forren Tsum Rebbin (The Chasidim Visit The Rabbi)を演奏しているのは、カンデル楽団(Kandel's Orchestra)ですが、リーダーのハリー・カンデルはスーザの楽団にも在籍していたそうで、なるほど管楽器と打楽器のダイナミックな使い方に特徴があると思います。この曲のようにイディッシュ演劇的な曲にも、ぴったりはまっています。
<10 Die Chasidim Forren Tsum Rebbin (The Chasidim Visit The Rabbi) 4分11秒>
もう一曲カンデル楽団の演奏で、A Laibediga Honga (A Lively Honga)と言う曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。この盤から後3曲選んでいましたが、入りませんので、次回に回したいと思います。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<15 A Laibediga Honga (A Lively Honga) 3分17秒>
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