現代クレズマーの父(と言って良いと思います)デイヴ・タラスは19世紀末の生まれですが、90歳を越えて長生きしたので、晩年にリヴァイヴァル・クレズマーのムーヴメントにも立ち会うことになり、アンディ・スタットマンなど70、80年代のムーヴメントの中心人物も指導しています。そして、1978年の生映像もありました。この時は83歳前後だと思いますが、テクニックの衰えは全く感じさせず、矍鑠と言う表現が正にぴったりの舞台姿です。クレズマー演奏に入る前の序奏的な扱いで、随所にルーマニア周辺の有名曲も出て来ます。20分頃にはアコーディオン・ソロで「モンティのチャールダーシュ」が出て来ますが、この頃はまだ一般に広く知られる前だったのでは。ベンチャーズの「10番街の殺人」のドーナツ盤を思い出させる、バスドラ、スネア、シンバルだけの簡素なドラムセットも目を引きます(笑)
The Dave Tarras Trio features Dave Tarras (clarinet), Samuel Beckerman (accordion), and Max Goldberg (drums and voice)
Dave Tarras Trio, Klezmer Music- Dave Tarras Tribute Concert 1978
デイヴ・タラスのもう一枚のMaster Of Klezmer Music (Volume One) - 1929-1949も久々に聞き返しましたが、一番面白く聞いたのが、ギリシアのハサポセルヴィコとウクライナ~ルーマニアのユダヤのブルガールのどちらとも取れる舞踊曲のガラタでした。イスタンブールのガラタ橋で有名な曲名です。確かにハサポセルヴィコです! 90年代に聞いた時は気付いていませんでした。この曲以外の単品動画は見当たらないので、アルバム全編を2本目に上げておきます。(以下放送原稿を再度)
自身のアンサンブルによるMaster Of Klezmer Music (Volume One) - 1929-1949から、4曲おかけします。先程の盤と比べて純クレズマー寄りで、思う存分クレズマーしている印象が強い盤です。ギリシアのハサポセルヴィコとウクライナ~ルーマニアのユダヤのブルガールのどちらとも取れる舞踊曲のガラタ、ブコヴィナのフレイレフ、ロシアン・シェール、ブルガールのDuvid Shpil Es Nukh Amulと続きます。
では、他ジャンルとのセッション音源も多いヤズーのYiddish-American Klezmer Music - 1925-1956から、4曲続けておかけします。演奏は順にAbe Schwartz's Orchestra、Joseph Cherniavsky's Yiddish-American Jazz Band、Seymour Rechtzeit With Abe Ellstein Orchestra、Lou Lockett's Orchestraの一員としての演奏です。
<1 Abe Schwartz's Orchestra / Unzer Toirele 3分7秒>
<2 Joseph Cherniavsky's Yiddish-American Jazz Band / Yiddisher March 2分55秒>
<8 Seymour Rechtzeit With Abe Ellstein Orchestra / Hopkele 2分36秒>
<21 Lou Lockett's Orchestra / Freilachs 2分58秒>
自身のアンサンブルによるグローバル・ヴィレッジのMaster Of Klezmer Music (Volume One) - 1929-1949から、4曲おかけします。先程の盤と比べて純クレズマー寄りで、思う存分クレズマーしている印象が強い盤です。ギリシアのハサポセルヴィコとウクライナ~ルーマニアのユダヤのブルガールのどちらとも取れる舞踊曲のガラタ、ブコヴィナのフレイレフ、ロシアン・シェール、ブルガールのDuvid Shpil Es Nukh Amulと続きます。これらの曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。
ナフテュール・ブランドヴァインと言えば、パールマンの演奏などで何度か上げたFirn di Mekhutonim aheymがやはり一番だと個人的には思っていますが、そう言えばRounderのKing of the Klezmer Clarinetには入っていませんでした。代表曲なのに意外です。何かのコンピレーションには入っていたでしょうか。それがYouTubeに上がっています。2曲目は今回久々に聞き直して一番沁みたFufzehn Yahr Fon Dem Heim Awek (Fifteen Years Away From Home)です。ハシディック・ソングかアドン・オラムのような宗教歌に酷似して聞こえる3拍子の美しい旋律です。3本目はRounderのKing of the Klezmer Clarinet全曲です。
Naftule Brandwein - »Firn di Mekhutonim aheym«, 1923
8曲目のDer Terk In Americaは、「アメリカのトルコ人」の意味ですが、この曲は明らかに大変有名なイスタンブル民謡のウスクダラの旋律です。日本でも江利チエミの歌唱で知られていました。ブランドヴァインが生まれてから20世紀初頭位まではバルカン半島のかなりの地域がオスマン帝国領だったので、この曲も同じ国の中と言うことでかなり広まっていたのかも知れません。
ゼアミdeワールド411回目の放送、日曜夜10時にありました。22日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。ナフテュール・ブランドヴァインのKing of the Klezmer Clarinetですが、番組でかけた曲で今日の2曲以外のYouTubeは、オリジナルジャケットでは今の所見つかっていません。
東欧系ユダヤ音楽の49回目になります。クレズマーの100年位前の歴史的録音を聞いておりますが、今回は4回目になります。今回はいよいよクレズマー・クラリネットの往年の名人ナフテュール・ブランドヴァインの音源を聞いていきます。生没年は1884–1963なので、相当昔の人です。ウクライナ西部のクレズマーの家系に生まれ、現地での活動の後に1908年に渡米し、エイブ・シュヴァルツの楽団にもいたようです。生まれた場所はオーストリアと書かれていることもありますが、ウクライナ西部は19世紀末頃はオーストリア領だったということではと思います。高い音を小気味よくヒットする独特な張りのあるクラリネットの音で、少し聞いただけでブランドヴァインと分かる個性的な音だと思います。唯一の音源は米Rounderから97年に出ていたKing of the Klezmer Clarinetで、1922年から1941年までの間に残した録音集成です。彼は楽譜を読めなかったそうで、そのためにエイブ・シュヴァルツの楽団を首になり、楽譜を読める後輩のデイヴ・タラスが代わりを務めたというエピソードが残っています。しかし、楽譜を読めないことが、かえって演奏の生々しさを増していたのかも知れません。
8曲目のDer Terk In Americaは、「アメリカのトルコ人」の意味ですが、この曲は明らかに大変有名なイスタンブル民謡のウスクダラの旋律です。日本でも江利チエミの歌唱で知られていました。ブランドヴァインが生まれてから20世紀初頭位まではバルカン半島のかなりの地域がオスマン帝国領だったので、この曲も同じ国の中と言うことでかなり広まっていたのかも知れません。
<8 Der Terk In America 3分>
10曲目のDas Teureste In Bukowina (The Dearest One In Bukovina)は「ブコヴィナの親愛なる人へ」と言う意味です。引きずるようなリズムがいかにもクレズマー風ですが、旋律はルーマニア北東部ブコヴィナ地方の印象が強い曲です。
<10 Das Teureste In Bukowina (The Dearest One In Bukovina) 3分8秒>
13曲目のFun Tashlach (Returning From The River)は、クレズマティクスのセカンド・アルバムRhythm and Jewsの冒頭を飾っていたFun Tashlikhの原曲です。
<13 Fun Tashlach (Returning From The River) 3分3秒>
23曲目のFufzehn Yahr Fon Dem Heim Awek (Fifteen Years Away From Home)は、東欧系ユダヤのハシディック・ソングかアドン・オラムのような宗教歌に酷似して聞こえる3拍子の美しい旋律です。その後時間が余りましたら、7曲目に戻りまして、Oi Tate, S'is Gut (Oh Daddy, That's Good!)を時間まで聞きながら今回はお別れです。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<23 Fufzehn Yahr Fon Dem Heim Awek (Fifteen Years Away From Home) 3分12秒>
<7 Oi Tate, S'is Gut (Oh Daddy, That's Good!) 3分6秒>
スーザの楽団にいただけあって、管楽器を前面に出したサウンドは、ザ・クレズマーと言う印象で昔から私は大好きです。おそらく一番有名なハリー・カンデルの曲はA nakht in gan eydnでしょうか。クレズマー・コンサーヴァトリー・バンドのオイ・ハヌカーの冒頭を華々しく飾っていた曲ですが、残念ながら自演は見当たらず、番組でかけた2曲も見つからずでした。代わりに、たまたま見かけた最近の弦楽器中心の映像を上げておきます。スペインのグループのようです。2本目は解説で少し触れたRussian Komarinska(ロシアのカマリンスカヤ)の自演録音です。(以下放送原稿を再度)
しかし、ルスティヒ・ザインの名旋律をリヴァイヴァル・クレズマーで余り聞く機会がなかったのは何故なのか、考えてみれば不思議です。エイブ・シュヴァルツの音源から番組でかけた残り3曲の内、Mitzvoh Tantz, Mit Der Kalehについては解説もしていませんでした。花嫁とのミツヴォーの踊りですから、「花嫁との戒律の踊り」と訳せると思います。このタイトルは、フランソワ・リリエンフェルトのイスマッフ・モイシェを思い出します。この曲はグローバル・ヴィレッジのカセットで最初に聞いたと思いますが、あれはエイブ・シュヴァルツだったかどうか。Mazel Tov (Good Luck)は、残念ながら検索して出てくるのは別の曲のMazel Tov Mechutonimばかりでした。(以下放送原稿を再度)
続く3曲もこれまでに出て来ましたが、最初のTantz, Tantz, Yiddelachは、何度も登場した有名なハシディック・ニグンのルスティヒ・ザインの旋律です。Mazel Tov (Good Luck おめでとう)と言う曲は、In the Fiddler`s Houseのビデオの中でイツァーク・パールマンがクレズマー・コンサーヴァトリー・バンドと演奏していた「結婚式の踊り」の旋律です。
<10 Tantz, Tantz, Yiddelach (Dance On, Dance On) 3分11秒>
<12 Mitzvoh Tantz, Mit Der Kaleh (Mitsce-tants With the Bride) 3分13秒>
エイブ・シュヴァルツ楽団の演奏には、本当にリヴァイヴァル・クレズマーで聞いた曲が次々登場します。今週の番組でかけた曲は、そういう曲を中心に選びましたが、今日の一本目は、そう言えばVolume One - First Recordings 1917には入っていませんでした。大分前に大昔の映画に使われていた映像を上げましたが、前過ぎてすぐには映画のタイトルを探し出せません(;'∀') 「屋根の上のヴァイオリン弾き」の原作による映画「牛乳屋テヴィエ」だったかも知れません。この曲は、どこか「青い山脈」に似て聞こえるのですが、いかがでしょうか。そのためもあってか、クレズマー曲で最も好きな曲の一つです。2,3本目は番組でかけたDie Ziberne Chassene (The Silver Wedding)とKeshenerevr Bulgarです。明るいキシニョフ・バルガーも聞く機会が多い曲です。(Bulgarはブルガールと読んで良いと思いますが、短縮する場合はバルガーよりもブルガーの表記の方が多いかも知れません。私がバルガーとしているのは、英語圏の発音でこう聞くことが多かったように思うためです。)
Abe Schwartz - Lebedik Un Freylach (Lively And Happy)
<4 Die Ziberne Chassene (The Silver Wedding) 3分9秒>
東欧系ユダヤ音楽の48回目になります。クレズマーの100年位前の歴史的録音を聞いておりますが、今回は3回目になります。米Rounderから93年に出ていたKlezmer Pioneers - European and American Recordings 1905-1952に入っていたエイブ・シュヴァルツ楽団とカンデル楽団(Kandel's Orchestra)の単発音源からおかけします。
まずエイブ・シュヴァルツの方は、Volume One - First Recordings 1917と言うGlobal Village盤です。ロシア革命の年の録音ですが、1880年生まれのエイブ・シュヴァルツは、既にロシアからアメリカに渡ってきた後ではないかと思います。
ゼアミブログに書いたことの繰り返しになりますが、Abe Schwartzは、英語読みで「エイブ・シュヴァルツ」とするのが一般的な表記になっていますが、正直に言いますとラウンダー盤が出た93年頃はアベ・シュヴァルツと読んでいました(笑) しかし、この人の出身はルーマニアなので、アベが正しいのではと思いますが、どうなのでしょうか。ルーマニアをはじめとして英語圏以外ではエイブとは読まないと思います。アブラハムのアブか、ヘブライ語で「父」の意味のアヴに「私の」の人称接尾辞が付いたアヴィと言うののどちらかが語源ではと思いますが、bとvの違いがありますので、おそらくアブラハムの省略形だと思います。何故それがアベとなっているのかは謎です。
この盤から、まず3曲おかけしますが、いずれもこれまでに出てきたクレズマー名曲ばかりです。
<1 Russian Sher 3分6秒>
<4 Die Ziberne Chassene (The Silver Wedding) 3分9秒>
<7 Keshenerevr Bulgar 3分10秒>
続く3曲もこれまでに出て来ましたが、最初のTantz, Tantz, Yiddelachは、何度も登場した有名なハシディック・ニグンのルスティヒ・ザインの旋律です。Mazel Tov (Good Luck おめでとう)と言う曲は、In the Fiddler`s Houseのビデオの中でイツァーク・パールマンがクレズマー・コンサーヴァトリー・バンドと演奏していた「結婚式の踊り」の旋律です。
<10 Tantz, Tantz, Yiddelach (Dance On, Dance On) 3分11秒>
<12 Mitzvoh Tantz, Mit Der Kaleh (Mitsce-tants With the Bride) 3分13秒>
<13 Mazel Tov (Good Luck) 3分22秒>
最初にこの盤を聞いた91年頃から耳に残って仕方なかった7曲目のJewish Danceからおかけします。演奏はState Ensemble Of Jewish Folk Musiciansとありまして、この匿名のようなグループ名が興味をそそります。クラリネット名人のナフテュール・ブランドヴァインやデイヴ・タラスの音源もありますが、重複するように思いますので、やはり個人別の時にかけることにします。
Klezmer Pioneers - European and American Recordings 1905-1952から、番組でかけた残り2曲は以下です。コルネットのミュートプレイがユニークだった23曲目を先に入れておきます。それぞれ関連動画が他にあればと思いましたが、なさそうです。(以下放送原稿を再度)
23曲目のErinerung Fun Kishenev (Memories Of Kishenev)で面白いと思ったのは、ドイナ風のクラリネットよりも、ミュートをつけたコルネットの少々ユーモラスな演奏でした。キシニョフの思い出と、このコルネットのミュートプレイがどう繋がるのか(笑)気になります。演奏はAbe Katzman's Bessarabian Orchestraですから、キシニョフが首都のベッサラビアからやってきた楽団による1927年のニューヨークでの録音です。
<23 Erinerung Fun Kishenev (Memories Of Kishenev) 2分55秒>
1924年録音の21曲目のMit Der Kalle Tanzen (Dancing With The Bride)は、Art Shryer's Modern Jewish Orchestraの演奏と言うことですが、カントールの一声から始まり、演奏の合間合間にカントールの歌が入ってきます。こういうタイプは現在のクレズマーではほとんど聞くことのない、実際のユダヤの結婚式に即した演奏スタイルと言えるのではと思います。
<21 Mit Der Kalle Tanzen (Dancing With The Bride) 3分9秒>
オデッサ・ブルガール(あるいはバルガー)には、複数の旋律があるようです。前にオデッサ・ブルガーリッシュとの比較もしました。オデッサ・ブルガールと表記がある曲だけでも少なくとも2つメロディがありますが、現在聞くのはほとんどが1本目の旋律です。この旋律はエイブ・シュヴァルツ以降定着したということでしょうか? Klezmer Pioneers - European and American Recordings 1905-1952に入っている16曲目のMishka Ziganoffのアコーディオン独奏では、全く旋律が違っています。これは1920年ニューヨークでの録音で、エイブ・シュヴァルツ楽団より前と言うことかも知れません。当時エイブ・シュヴァルツはまだ30代です。1本目はドイツのグループのようですが、何故か掛け声はロシア語です。2本目はエイブ・シュヴァルツのオデッサ・ブルガール、3本目が番組でかけたMishka Ziganoffのオデッサ・ブルガールです。
東欧系ユダヤ音楽の47回目になります。前回からクレズマーの100年位前の歴史的録音を聞いておりますが、今回は米Rounderから93年に出ていたKlezmer Pioneers - European and American Recordings 1905-1952の続きからおかけします。プロデュースはカペリエのメンバーだったヘンリー・サポズニクです。これまで聞いてきたリヴァイヴァル・クレズマーの源は、ここにありと言う珠玉の音源ばかりです。この盤は、ヨーロッパのクレズマー音楽の最初のスタジオ録音であり、ヴァイオリン、ツィンブル、セクンド(コントラフィドル)、ベースという、ハンガリー辺りの楽器編成で演奏され、収録曲の半分は原盤のSPで初めて録音されています。クレズマー音楽がどこから来たのかを理解するのには、不可欠なアルバムの一つでした。
まずは前回最後に入らなかったカンデル楽団(Kandel's Orchestra)の、A Laibediga Honga (A Lively Honga)と言う曲からおかけしたいと思います。リーダーのハリー・カンデルはスーザの楽団にも在籍していたそうで、なるほど管楽器と打楽器のダイナミックな使い方に特徴があると思います。
クラリネット名人のナフテュール・ブランドヴァインやデイヴ・タラスの音源もありますが、個人別の時にかけることにします。1924年録音の21曲目のMit Der Kalle Tanzen (Dancing With The Bride)は、Art Shryer's Modern Jewish Orchestraの演奏と言うことですが、カントールの一声から始まり、演奏の合間合間にカントールの歌が入ってきます。こういうタイプは現在のクレズマーではほとんど聞くことのない、実際のユダヤの結婚式に即した演奏スタイルと言えるのではと思います。
<21 Mit Der Kalle Tanzen (Dancing With The Bride) 3分9秒>
23曲目のErinerung Fun Kishenev (Memories Of Kishenev)で面白いと思ったのは、ドイナ風のクラリネットよりも、ミュートをつけたコルネットの少々ユーモラスな演奏でした。キシニョフの思い出と、このコルネットのミュートプレイがどう繋がるのか(笑)気になります。演奏はAbe Katzman's Bessarabian Orchestraですから、キシニョフが首都のベッサラビアからやってきた楽団による1927年のニューヨークでの録音です。
<23 Erinerung Fun Kishenev (Memories Of Kishenev) 2分55秒>
次は独TrikontのYikhesに移ります。このシリーズはYikhesが1枚目で、1907-1939年の古いクレズマーの録音ですから、時期は一番古いものでした。
シリーズ2枚目のDoyresは、1979-1994年のクレズマーの録音で、長生きした現代クレズマーの父デイヴ・タラスの晩年の録音が含まれていました。彼は晩年にアンディ・スタットマンも教えました。
3枚目Shteygersには、1991-1994年の新しいクレズマー音楽が収録されていて、KCB(クレズマー・コンサーヴァトリー・バンド)やクレズマティクス等の、現代クレズマーの代表的なグループの他に、エリオット・シャープやB.マルサリスのように他ジャンルが専門の人も出て来ました。
Yikhes以外は売り切れていまして、手元に資料が残っていませんでした。この3枚のシリーズが出たのは、前回のラウンダー盤が出た93年より早く、91年でした。解説はドイツ語のみだったので、ラウンダー盤が出てからは影が薄くなった感もありました。最初にこの盤を聞いた91年頃から耳に残って仕方なかった7曲目のJewish Danceからおかけします。演奏はState Ensemble Of Jewish Folk Musiciansとありまして、この匿名のようなグループ名が興味をそそります。クラリネット名人のナフテュール・ブランドヴァインやデイヴ・タラスの音源もありますが、重複するように思いますので、やはり個人別の時にかけることにします。
墓参り等のため、夜のアップになりました。今週の放送分の残り2曲の内、ハリー・カンデルについては来週もかけていますので、曲を上げるだけにしておきます。ラウンダー盤9曲目Joseph Cherniavsky and His Yiddish-American Jazz BandのKalle Bezetzns Un A Freilachs (The Bridal Serenade And Congratulations)などを聞くと、ヴァイオリンの本格的なジューイッシュ・フィドラー振りを始め、現代では再現が難しいのではと思うほど、全てのパートの演奏技術の高さに驚かされます。ベース音はスーザフォンでしょうか。非常に特徴があります。(以下放送原稿を再度)
<9 Kalle Bezetzns Un A Freilachs (The Bridal Serenade And Congratulations) 3分11秒>
次のDie Chasidim Forren Tsum Rebbin (The Chasidim Visit The Rabbi)を演奏しているのは、カンデル楽団(Kandel's Orchestra)ですが、リーダーのハリー・カンデルはスーザの楽団にも在籍していたそうで、なるほど管楽器と打楽器のダイナミックな使い方に特徴があると思います。この曲のようにイディッシュ演劇的な曲にも、ぴったりはまっています。
<10 Die Chasidim Forren Tsum Rebbin (The Chasidim Visit The Rabbi) 4分11秒>
Abe Schwartzは、英語読みで「エイブ・シュヴァルツ」とするのが一般的な表記になっていますが、正直に言いますとラウンダー盤が出た93年頃はアベ・シュヴァルツと読んでいました(笑) 当時は日本語資料は皆無でしたから。しかし、この人の出身はルーマニアなので、アベが正しいのではと思いますが、どうなのでしょうか。ルーマニアではエイブとは読まないと思います。それとA Dreidele Far All-Freilachsと言うタイトルですが、英訳はA Dance For Everyoneとだけなっていますが、Dreideleはおそらくハヌカーに回す駒の事だと思いますから、ハヌカー絡みの曲ではと思います。この曲の動画はラウンダー盤ジャケットのものもありますが、ヴァイオリニストとしてのエイブ・シュヴァルツが写っている方にしておきます。いつも気になりますが、ピアノ伴奏の黒髪の麗人はSchwartz婦人でしょうか?(以下放送原稿を再度)
エイブ・シュヴァルツ楽団(Abe Schwartz's Orchestra)の音源は2曲ありますが、8曲目のA Dreidele Far All-Freilachs (A Dance For Everyone)をおかけします。数多のクレズマーの名演奏家を育て、名曲を残した楽団の演奏です。この曲もリヴァイヴァル・クレズマーの演奏でよく聞く曲です。
<8 A Dreidele Far All-Freilachs (A Dance For Everyone) 3分8秒>
最近のコメント