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2024年7月 1日 (月)

セオドア・ビケル or セオドア・バイケル

ゼアミdeワールド417回目の放送、日曜夜10時にありました。3日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は2曲目までです。

東欧系ユダヤ音楽の55回目になります。今回はオーストリア生まれで主にアメリカで活躍した俳優兼歌手のセオドア・ビケルの音源を取り上げます。前回のペーター・ローラントにも影響を与えた人で、1924年生まれで2015年に亡くなっています。彼はイディッシュ語、ヘブライ語、ドイツ語、ロシア語、ハンガリー語、ルーマニア語、フランス語、中世スペイン語、南アフリカのズールー語、英語など、何と21の言語で歌うことができたそうです。
セオドア・ビケルは、1959年にニューポート・フォーク・フェスティバルを、ピート・シーガー、ハロルド・レヴェンサル、オスカー・ブランド、ジョージ・ウェインと共同で設立し、その象徴的なエピソードとして、1963年に彼はボブ・ディラン、ピート・シーガー、ピーター・ポール&マリー、ジョーン・バエズと共にフェスティバルのグランドフィナーレに出演し、ボブ・ディランの「風に吹かれて」を歌っています。
この人の名前の読みですが、イディッシュ語的には「ビケル」だろうとは思いましたが、91年頃に勤務していた池袋のアール・ヴィヴァンに俳優兼歌手の上條恒彦さんがいらっしゃって「バイケル」と英語風に呼ばれていたので、それ以降はセオドア・バイケルと読み慣らしてきました。森繁さんの後で「屋根の上のヴァイオリン弾き」のテヴィエを演じられた上條さんですから、ユダヤの音楽にお詳しい様子でした。「お兄さん、お若いのにセオドア・バイケルなんて知ってるの?」と言いたげなような表情でした(笑) 今回のエレクトラ盤をお求めだったように記憶しています。ですので、ビケルと読むのは今でも少々抵抗がありますが、一般にはその表記が多いようですので、これ以降はビケルとしておきます。
俳優としては、セサミ・ストリートへの出演の情報もありましたが、映画やTVドラマでは『スパイ大作戦』、『チャーリーズ・エンジェル』、『スタートレック』、「刑事コロンボ」、「マイ・フェア・レディ」などに出られています。「屋根の上のヴァイオリン弾き」は、ブロードウェイで1969年からテヴィエを2000回以上演じたそうですが、何故か Fiddler on the Roofのウィキペディアには載っていませんでした。
イディッシュ・ソングではイディッシュ語の本場の発音を聞かせ、イスラエルのヘブライ語の歌や、ロシアのロシア語のロシア民謡やジプシー・ロマンスの音源も何枚も出ています。91年頃から手元にあるのはTheodore Bikel Sings Yiddish Theatre & Folk Songsですので、この盤中心におかけしていきます。

まずはいかにもクレズマーらしい1曲目の「結婚式の踊り」と、ベツニ・ナンモ・クレズマーの1枚目で巻上公一さんが歌っていたドイナが2曲目にありますので、この2曲からおかけします。巻上さんとベツニ・ナンモ・クレズマーはこの音源をカバーしたようです。

<1 Theodore Bikel Sings Yiddish Theatre & Folk Songs ~A Chasene Tants 2分23秒>

<2 Theodore Bikel Sings Yiddish Theatre & Folk Songs ~Doina 3分6秒>

次にツプフガイゲンハンゼルなどの歌唱を取り上げたDi grine kusineと、前にジョン・ゾーン・マサダの曲との類似を指摘したDire-gelt、シャベス・シャベスと歌っているシャバトの歌の3曲を続けておかけします。イディッシュ語では安息日シャバトはシャベスと発音します。最初の2曲は、これまでかけた音源のいずれも、このセオドア・ビケル版を元にしているようです。

<4 Theodore Bikel Sings Yiddish Theatre & Folk Songs ~Di grine kusine 2分14秒>
<6 Theodore Bikel Sings Yiddish Theatre & Folk Songs ~Dire-gelt 2分5秒>
<12 Theodore Bikel Sings Yiddish Theatre & Folk Songs ~Shabes Shabes 2分50秒>

先程の盤は1965年リリースのようですが、1958年リリースのSings Jewish Folk Songsからは、ユダヤ音階が特徴的なシャ・シュティルと、フライエ・ホルテ・アルカロンドやペーター・ローラントが歌っていたAchtsik Er Un Zibetski ZiとDi Mame Iz Gegangenの3曲を続けます。後の2曲は、セオドア・ビケルの歌唱がやはりオリジナルで、後続の歌い手はこれを模倣したのだろうと思います。イディッシュ名曲のMargaritkelechやLomir Zich Iberbeten、Tumbalalaykaなどもありますが、時間の都合で今回は省きます。

<3 Theodore Bikel Sings Jewish Folk Songs ~Sha Shtil 1分41秒>
<8 Theodore Bikel Sings Jewish Folk Songs ~Achtsik Er Un Zibetski Zi 4分16秒から1分>
<9 Theodore Bikel Sings Jewish Folk Songs ~Di Mame Iz Gegangen 1分6秒>

最後にロシア語とヘブライ語の歌も1曲ずつかけておきます。いずれも私の個人的な愛好曲ですが。ロシア語の方は1960年リリースのSongs of Russia Old & New / Russian Gypsyから、大変に美しい19世紀のロシアのロマンスGari Gari Maya Zvyezda (Twinkle, Twinkle, My Star)、ヘブライ語の方は1958年リリースのSings Songs of IsraelからShech Abrekです。Shech Abrekは、イスラエルの有名なフォーク・デュオDudaimの70年代に出ていた国内盤LPの冒頭を飾っていた曲です。時間が余りましたら、ロシア語の方ですが、Katiushaをおかけします。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<5 Theodore Bikel Songs of Russia Old & New / Russian Gypsy ~Gari Gari Maya Zvyezda 2分11秒>
<8 Theodore Bikel Sings Songs of Israel ~Shech Abrek  2分29秒>

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