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2024年8月

2024年8月29日 (木)

新内節を語る

今現在台風は熊本だと思いますが、遠く離れた愛媛でも既にいつもの台風の最接近の時くらいの雨風です。一応店には出ていますが、自動で扉が何度も開くほどの強風です。明日は更に酷くなるでしょうから、ブログは今週は今日で終えたいと思います。濹東綺譚についての興味深い動画は色々ありますが、なかなか絞れないので、今日は新内についての長い映像を上げておきます。来週も新内ですので、予習的に見て頂いても良いかと思います。三味線と歌、講師は,岡本文弥さんの伴奏をよくされていた岡本宮之介さんです。四世・岡本宮染さんの孫で、岡本文弥さんは大叔父になります。文弥さんの奥さんは五世・岡本宮染さんです。後半に音楽学者の細川周平さんがゲストで出られています。

連続講座 新内節を語る 第2回「創作を語る」

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2024年8月28日 (水)

すまれらけぬ

永井荷風の「濹東綺譚」でYouTube検索すると、びっくりする映像が色々ありました。なかでも荷風の肉声の記録があったとは! 2本目も新藤兼人監督の「濹東綺譚」についても触れられていますし、元ソープ嬢による出色のルポです。松戸に住んでいた頃なら、東京に車で出る時はいつも6号(水戸街道)を通っていたから、いつでも玉の井(現在の東向島5丁目辺り)散策できたのにと、悔しさも覚えながら見ました。いつでも浅草や向島、葛飾柴又に行ける東京が懐かしくなってきました(笑)

永井荷風 肉声 昭和28年1月

迷宮の私娼街「玉の井」永井荷風「濹東綺譚」の街

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2024年8月26日 (月)

岡本文弥さんの新内 風物詩「お雪」

ゼアミdeワールド425回目の放送、日曜夜10時にありました。28日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。「新内・岡本文弥」は、96年に谷中の文弥さんのお宅に伺って購入しました。確か私家版CDでしたから、一般には市販されてなかったと思います。風物詩「お雪」もYouTubeには見当たりませんので、大分前にテレビで見た映像を上げておきます。水曜以降は濹東綺譚で検索してみます。

至芸の時 岡本文弥(1)

今回も遊廓関連の音源ですが、演奏時間が28分余りありますので、解説は次回入れることにしまして、全曲おかけしたいと思います。おかけするのは、新内節の往年の名人、岡本文弥さんの作った風物詩「お雪」と言う曲です。永井荷風の原作を読まれた方はすぐにお分かりと思いますが、玉の井を舞台にした濹東綺譚が原作です。この曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 新内・岡本文弥 ~風物詩「お雪」 28分25秒>

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2024年8月23日 (金)

長唄の三味線

今日は長唄の三味線の特徴がよく分かる一本を上げておきます。「綱館」と言うのは初めて聞きましたが、三味線の見せ場たっぷりの曲です。映像データに、杵屋邦寿一門会(2010.2.27in kyouto)にて 演奏:李家みわ(マーサ☆リノイエ)指導:杵屋邦寿、とあります。右で歌われている杵屋邦寿さんは、松永鉄九郎さんとの「伝の会」結成から10年目の99年に、邦ジャの集まりでお見かけしたことがあります。私の新内の師匠と一緒の訪問でした。新内や胡弓演奏家の杉浦聡さんにもお会いしました。
新内では一般に中棹を使いますが、私が持っている稽古三味線は長唄用の細棹。長唄らしい明るい音色のように思います。三線譜では新内に限らず長唄や義太夫、清元、津軽など色々な三味線譜を持っていますが、長唄の速弾きは新内をやっていても憧れではありました。今日の映像の左で弾いている李家みわ(マーサ☆リノイエ)さんの師匠は杵屋邦寿さんのようですが、マーサ☆リノイエさんも長唄三味線の演奏家や指導者として活躍されているようです。
今週取り上げた「高尾懺悔」ですが、長唄と言えばまず名の上がる大御所、七代目芳村伊十郎でもあれば聞いてみたいと思いましたが、全集にはありませんでした。あの明るく輝かしい声には合わない曲かも知れません。

長唄「綱館」

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2024年8月22日 (木)

長唄 高尾さんげ ヒュードロドロ~

ヒュードロドロの音と共に高尾の亡霊が出てくるまでの、三味線の三下り(本調子から3の糸を一音下げる平行4度調弦)の、寂しげでしっとりした音の流れが実に素晴らしいのですが、この映像ではその部分が入っていません。番組でかけた杵屋栄次郎師の摺り下げの音は、何とも味がありました。この映像では簡潔な曲解説の後、そのヒュードロドロから始まります。しかし、踊りと歌は大変美しいと思います。愛知県春日井市の舞踊家、藤間勘楊さんの踊りで、アップされているのは息子さんの藤間勘之介さんです。

【長唄 高尾さんげ】藤間勘楊

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2024年8月21日 (水)

二代目高尾太夫と八百屋お七

今回「高尾懺悔」について調べていて、箕輪の浄閑寺と並んで遊女の「投げ込み寺」として有名な西方寺が、まだ吉原の近くの日本堤にあると思っていたら、1926年に豊島区巣鴨に移転していたことを初めて知りました。八百屋お七の頃の住職、道哲の名前も「みちてつ」と間違えて30年間読んでいました。正しくは「どうてつ」でした。この西方寺に二代目高尾太夫(仙台高尾)の墓があります。1本目は「高尾懺悔」の主人公ですが、実は諸説ある二代目高尾太夫につていの話、2本目は八百屋お七についての一本です。火刑に処せられた八百屋お七関連で一番有名なのは、坂本冬美の「夜桜お七」でしょう。「西方寺の道哲」では何もYouTubeには出てこないようでした。

【江戸吉原知識】有名な吉原の遊女・仙台高尾について

【TBSスパークル】1683年3月8日 八百屋お七 火炙り(天和3年)

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2024年8月19日 (月)

高尾懺悔

ゼアミdeワールド424回目の放送、日曜夜10時にありました。21日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。高尾懺悔のCDは番組で書けた盤だけだったと思いますが、同じ音源はYouTubeには見当たらず、代わりに坂東玉三郎の映像で上げておきます。以下の「浅間もの」の解説の部分は、番組では時間切れのためカットしました。

夏らしく今回は怪談絡みの長唄をおかけします。曲名は高尾懺悔(高尾さんげ)と言います。「ざんげ」と書きますが、濁らず「さんげ」と読みます。演奏は、唄が芳村五郎治、三味線は杵屋栄次郎その他です。作曲は杵屋新右衛門、1744年初演の舞踊劇で、歌舞伎の演目にもなっています。
高尾とは吉原の名妓で、十一代目までありますが、この曲の高尾は、仙台の伊達侯の意に従わなかった(身請けを断った)ので、隅田川の船の中で斬り殺された二代目高尾だろうと言われています。以下解説から題材とあらすじを引用します。

「浅間もの」と言う歌舞伎舞踊の傍系に属する。「浅間もの」とは、浅間神社の開帳に因んで、浅間の煙を取り入れた芝居で、男が遊女の誓紙を焼くと、その煙の中から女の死霊または生霊が出て、恨み言を述べ、地獄の責め苦にあっているさまを見せて消えるという筋のもの。

初演の舞台では、隅田川の吉原堤のさびしい所に新しい高尾の塚があり、そこへ人々に追われた八百屋お七が逃げて来て倒れている。それを介抱しようと寺の庵室を出た道哲(どうてつ)も気を失って倒れる。
やがて、塚から高尾の亡霊が出て、お七を相手に、在りし日の勤めの辛さを歎き、四季折々の風物にかこつけて、男を恋い慕った頃の思い出を語り、今や地獄の責め苦に悩まされていることを物語る。

「鉦鼓の音も~」から始まる序の部分は三下りの三味線のしんみりした味わいがあり、続く「高尾の姿現れて」の所から大太鼓のドロドロと篠笛の「寝鳥笛」とで亡霊の出現を表しています。遊女の生活の辛さを歌いながらも、在りし日を懐かしみ、廓の四季の風情を踊る後半は、長唄の神髄が表れている名曲です。全曲を通して聴くと、怖さよりも遊女と言う存在の悲しさが痛切に感じられる曲です。それは特に「我は親同胞の為に沈みし恋の淵」の文句に集約されているでしょうか。この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

高尾懺悔 坂東玉三郎 TakaoZange Bando Tamasaburo

<1 長唄 高尾懺悔 一ツ鐘、前弾き 3分19秒>
<2 長唄 高尾懺悔 不思議や紅葉の・・・ 9分7秒>
<3 長唄 高尾懺悔 先ず春は 4分31秒>
<4 長唄 高尾懺悔 残る暑さを 6分11秒>
<5 長唄 高尾懺悔 早時来ぬと 3分3秒>

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2024年8月14日 (水)

亀田千巖と祖父江省念の節談説教

「お盆と正月」の間はブログアップも飛び飛びになると思いますが、何と亀田千巖師の節談説教がありましたので上げておきます。今週はこれがラストかと思います。ハナシがいつしかフシに、フシがハナシに変わる語り芸の凄さを、これほど感じた節談はありません。亀田千巖師の音源は「日本の放浪芸(7CD)~小沢昭一が訪ねた道の芸・街の芸」の3枚目に少しだけ入っていました。国書刊行会から2015年にこの5枚組CDブックが出ていたようで、ゲットできず残念この上なしです。2本目は「また又日本の放浪芸=節談説教(6CD)~小沢昭一が訪ねた旅僧たちの説法」のジャケットに出ていた祖父江省念師の説教です。この人の声を聴くと「節談説教は話芸の源流で、講談、落語、浪曲などの母体」と言うのがリアルに感じられます。YouTubeを見ると若手の節談が続々と出て来ているようですが、このお二人の古老のような味わいが出るのはまだまだ先ではと思いました。

亀田千巖説教集 第4巻第1席 堕ちるところがない

祖父江省念 節談説教「報恩の行」ダイジェスト

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2024年8月12日 (月)

能登の節談説教

ゼアミdeワールド423回目の放送、日曜夜10時にありました。14日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。CDと同じYouTubeは無さそうですので、広陵兼純師の映像を2本貼っておきます。

予告しました通り、これから8月と1月は、ほぼ丸一か月純邦楽を取り上げる予定です。今後の大体の予測ですが、東欧系ユダヤが終わって、この後ヨーロッパ巡りを終えてスペインから出るまで2,3年、北アフリカからアラビア半島が1年、インド周辺に2年、東南アジアと東北アジアに2年、南北アメリカに3年、ブラック・アフリカに1,2年、オセアニアに半年とすると、その後日本の音楽に入る頃は15年後くらいになると思います。大分先になってしまいますので、せめて「盆と正月」は日本に帰ろうという考えでおります。
これまで正月は「春の海」の色々な演奏やお能の祝言の謡い、お盆時には、阿波踊り、青森のねぶた・ねぷた、岐阜県・郡上八幡の盆踊り、越中おわら風の盆などを取り上げてきましたが、今年は能登の復興を願って、また能登にはこんな古い文化が残っていたことを知って頂きたいのもありまして、「小沢昭一が訪ねた能登の節談説教」をおかけしたいと思います。小沢昭一の、放浪芸や大道芸、節談説教の膨大なシリーズの続編です。浄土真宗の僧侶である茂利宗玄と広陵兼純、両氏の音源が入っていますが、今回は広陵兼純の方を時間までおかけします。
浄土真宗興隆の地である能登の仏教講話自体が大変面白いのですが、ハナシがいつしかフシに、フシはたちまちハナシに変わる語り芸の凄さをじっくり味わってみてください。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<5 小沢昭一が訪ねた能登の節談説教 ~広陵兼純 / 説教「弥陀の誓願不思議に助けられ」 39分5秒>

節談説教

節談説教「如来ひとり共なりき」(廣陵兼純師、真宗大谷派満覚寺住職)

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2024年8月 9日 (金)

三本締め ソロモン・ミホエルス サラ・ゴルビー バリー・シスターズ

いよいよ遂に、今日で東欧系ユダヤ音楽巡りは一応終わりにします。放送回数60回ですから、1年余りになりまして、422回の内「7分の1」程になりました。しかし、まだまだあれもこれも漏れたなと言う気もしております。最後に先週予告していた往年の貴重な映像を上げておきます。1900年生まれのサラ・ゴルビーが2本、1920年代生まれのバリー・シスターズはイディッシュ・ソングは1本でしたが(英語で歌っているジャズは何本かあります)、1890年生まれで1948年のスターリン時代末期に暗殺されてしまったソロモン・ミホエルスは、イディッシュ演劇の名優だけあって何本も見つかりました。中でも「ネイサン・ベッカーの帰還 Возвращение Нейтана Беккера」は映画丸々上がっています。「ユダヤ人の血を引くレンガ職人が、ソビエト・ロシアの約束を求めて大恐慌下で資本主義アメリカを離れる。」と解説がありました。この映画の1932年頃までは良かったのでしょうが、戦後すっかり流れが変わってしまいました。他に彼の歌唱が出て来るものなど4本を上げておきます。お盆休み(10~18日)に見れると思いますが、Возвращение Нейтана БеккераとJewish Theater Through the Eyes of Chagallは楽しみです。

Возвращение Нейтана Беккера 1932 Solomon Mikhoels

"Шедевры старого кино". Соломон Михоэлс, "Еврейское счастье".

Поёт СОЛОМОН МИХОЭЛС Не суждено Solomon Mikhoels 1932

Jewish Theater Through the Eyes of Chagall

Sarah Gorby - Moyde Ani (live in France, 1966)

Barry Sisters - Nu, zug mir shoyn ven...

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2024年8月 8日 (木)

Moses Mirsky他のカントールの歌声

今週の番組でかけたカントール3人の音源ですが、ジャン・ピアースは有名なのであるだろうと思っていましたが、イネディ音源も見つかり、まさかないだろうと思っていたモーゼス・ミルスキーも見つかって、3つ全て揃いました。アシュケナジーム関係は、YouTubeで色々見つかる方だと思います。しかし、エプスタイン・ブラザース・オルケストラのWergo音源は、残念ながら見当たりませんでした。少年時代のポートレートまで出て来て感激したモーゼス・ミルスキーからアップしておきます。Hashkiveinu以外にも2曲上がっています。今日は埋め込みソースが出て良かったです。(以下放送原稿を再度)

90年頃に勤めていた六本木ウェイブのクラシックのオペラコーナーで偶然見つけた英Pearlからのヒストリカル音源数枚も、その頃に聞いたカントール関係の音源ですが、その中の一枚「ハザニーム・ヴェ・ハザヌート」から、輝かしいボーイ・ソプラノの歌を聞かせるモーゼス・ミルスキーの歌唱でHashkiveinuをおかけします。このシリーズのカントールの多くはホロコーストの犠牲になっていて、モーゼス・ミルスキーも1945年に亡くなっています。

<13 Chazanim & Chazanut(Cantors & Cantorials) ~Moses Mirsky / Hashkiveinu 3分12秒>

東欧系ユダヤの最後は、カントールの音源を幾つかおかけしたいと思います。東欧系ユダヤの初回は「ブダペスト ドハーニ街シナゴーグの典礼」でしたから、カントールに始まりカントールに終わることになります。ヴェルゴから出ていたオスマン帝国の名カントール、イサーク・アルガズィも入れようかと思いましたが、この人はセファルディー系カントールですので、またスペインに回ってきたら取り上げたいと思います。
まずはドハーニ街の盤のすぐ後くらいに聞いた「ジャン・ピアース/カントールの芸術」と言う米Vanguard盤から、冒頭のVli Yerusholayim Irchoをおかけします。アシュケナージ系らしくヘブライ語のイディッシュ訛が強い歌は勿論のこと、弦楽器の鳴らし方に、いかにもユダヤ的な響きがあります。ジャン・ピアースは往年のアメリカのカントール兼テノール歌手でした。90年頃に出ていたカントール関係の音源は、他にリチャード・タッカーのものが何枚かありましたが、二人ともオペラの名歌手でもありました。

<1 Jan Peerce / The Art of the Cantor ~Vli Yerusholayim Ircho 5分15秒>

では最後に、仏Inedit から出ている「ハザヌート~ユダヤの典礼歌」からアシュケナージ系カントールの歌を時間まで聞きながら今回はお別れです。この盤には、ウズベクのブハラ、モロッコ、エルサレムのスファラディー、サマリア人、アシュケナージ、イラクの各ユダヤ・コミュニティーの音源が収録されています。世界中のユダヤ・コミュニティーの典礼歌を集め、イネディらしくヘブライ原文まで載った先駆的な名盤でした。アシュケナージ系の祈祷歌は、ありがちなクラシックなアレンジが施されたりしているものではなく、実際にシナゴーグで毎週歌われているような無伴奏で小節を利かせた「泣き」の詠唱で実に素晴らしいです。

<10 Hazanout  ~Shalom Rakovski / Hazanout askénaze: Ana Aavda Dkudcha en araméen 4分15秒>

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2024年8月 7日 (水)

ハイフェッツのヘブライ・メロディ

ハイフェッツが弾くアクロンのヘブライ・メロディはYouTubeが沢山ありまして、番組でかけた巨大なメノラー(7本の燭台)のジャケットのものもありましたが、ハイフェッツがおそらく一番若い頃のオーケストラ伴奏のもので上げておきます。The Heifetz Collection - Vol. 1 (1917 - 1924); The Complete Acoustic Recordingsからです。この音源は他にも名演が目白押しです。
ヘブライ・メロディは、ピアノ伴奏も幾つか聞くと違うように思うので、録音時期の異なる音源があるのではと思われます。この曲はヴァイオリン譜は持っていますが、後半の速い部分がどういう指使いとボウイングなのかが大変気になりますので、他の演奏家の動画も2本目に入れておきました。ここで弾いているガイ・ブラウンシュタインは1971年イスラエル、テルアヴィヴ生まれ、2000年よりベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第1コンサートマスター就任、2013年にソロ活動に専念するためにベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を退団とありました。(以下放送原稿を再度)

次は往年のユダヤ系の大ヴァイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツが得意にしていたアクロンのヘブライ・メロディと言う曲をおかけします。この曲はアクロンが子供の頃にワルシャワのシナゴーグで聞いた旋律を元に作曲されていて、後半はユダヤ旋法の非常に速く細かい音型のカデンツァに移っていきます。イツァーク・パールマンも「In the Fiddler`s House」のビデオでこの曲を弾いていました。

今日は何故か埋め込みできないので、リンクを貼っておきます。

Hebrew Melody, Op. 33 (1990 Remastered)
https://youtu.be/punq2JPhhIw?si=3Ts0b2jrX2qmuob3

Joseph Achron - Hebrew Melody
https://youtu.be/CGAYyFTHQsM?si=gjOxCJdtFfjo1_CK

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2024年8月 5日 (月)

ミッキー・カッツのフレンチ・カンカン

ゼアミdeワールド422回目の放送、日曜夜10時にありました。7日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はまずミッキー・カッツのフレンチ・カンカンから。

東欧系ユダヤ音楽の60回目になります。まだまだアシュケナジーム関係は山のように音源はありますが、いよいよ東欧系ユダヤは今回で終える予定です。今回も駆け足で色々な音源をかけますが、まず最初に「泣き笑いのクレズマー音楽」の笑いの方をクローズアップするミッキー・カッツのSimcha Timeと言う盤から、フレンチ・カン・カンを取り入れたCan Can Kazotskiと言う曲をおかけしておきます。歌とクラリネットの両方で、最高の芸達者ぶりを聞かせています。1909生まれ1985年没と言うことですから、かなり昔の人で、卑近な例になりますが私の祖父とほぼ同年齢です。同じくアメリカのコメディアンで、冗談音楽の王様と呼ばれた、スパイク・ジョーンズの楽団に在籍したこともありました。

<13 Mickey Katz and His Orchestra / Simcha Time ~Can Can Kazotski 1分57秒>

次に戦後間もない頃のクレズマー世代ながら、メンバーが長寿で晩年まで現役だったため90年代の録音も残っているエプスタイン・ブラザース・オルケストラのWergoからの2枚組Pattern Of Jewish Lifeの音源から、Chassidic Nigunimをおかけしておきます。ジャッキー・ジュスホルツで前にかけた曲(Tzave)らしき旋律も聞こえます。

<7 Pattern Of Jewish Life, Part 1 ~The Epstein Brothers / Chassidic Nigunim 5分34秒>

次は往年のユダヤ系の大ヴァイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツが得意にしていたアクロンのヘブライ・メロディと言う曲をおかけします。この曲はアクロンが子供の頃にワルシャワのシナゴーグで聞いた旋律を元に作曲されていて、後半はユダヤ旋法の非常に速く細かい音型のカデンツァに移っていきます。イツァーク・パールマンも「In the Fiddler`s House」のビデオでこの曲を弾いていました。

<7 Shalom: Music Of The Jewish People ~Jascha Heifetz Hebrew Melody 4分55秒>

東欧系ユダヤの最後は、カントールの音源を幾つかおかけしたいと思います。東欧系ユダヤの初回は「ブダペスト ドハーニ街シナゴーグの典礼」でしたから、カントールに始まりカントールに終わることになります。ヴェルゴから出ていたオスマン帝国の名カントール、イサーク・アルガズィも入れようかと思いましたが、この人はセファルディー系カントールですので、またスペインに回ってきたら取り上げたいと思います。
まずはドハーニ街の盤のすぐ後くらいに聞いた「ジャン・ピアース/カントールの芸術」と言う米Vanguard盤から、冒頭のVli Yerusholayim Irchoをおかけします。アシュケナージ系らしくヘブライ語のイディッシュ訛が強い歌は勿論のこと、弦楽器の鳴らし方に、いかにもユダヤ的な響きがあります。ジャン・ピアースは往年のアメリカのカントール兼テノール歌手でした。90年頃に出ていたカントール関係の音源は、他にリチャード・タッカーのものが何枚かありましたが、二人ともオペラの名歌手でもありました。

<1 Jan Peerce / The Art of the Cantor ~Vli Yerusholayim Ircho 5分15秒>

90年頃に勤めていた六本木ウェイブのクラシックのオペラコーナーで偶然見つけた英Pearlからのヒストリカル音源数枚も、その頃に聞いたカントール関係の音源ですが、その中の一枚「ハザニーム・ヴェ・ハザヌート」から、輝かしいボーイ・ソプラノの歌を聞かせるモーゼス・ミルスキーの歌唱でHashkiveinuをおかけします。このシリーズのカントールの多くはホロコーストの犠牲になっていて、モーゼス・ミルスキーも1945年に亡くなっています。

<13 Chazanim & Chazanut(Cantors & Cantorials) ~Moses Mirsky / Hashkiveinu 3分12秒>

では最後に、仏Inedit から出ている「ハザヌート~ユダヤの典礼歌」からアシュケナージ系カントールの歌を時間まで聞きながら今回はお別れです。この盤には、ウズベクのブハラ、モロッコ、エルサレムのスファラディー、サマリア人、アシュケナージ、イラクの各ユダヤ・コミュニティーの音源が収録されています。世界中のユダヤ・コミュニティーの典礼歌を集め、イネディらしくヘブライ原文まで載った先駆的な名盤でした。アシュケナージ系の祈祷歌は、ありがちなクラシックなアレンジが施されたりしているものではなく、実際にシナゴーグで毎週歌われているような無伴奏で小節を利かせた「泣き」の詠唱で実に素晴らしいです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<10 Hazanout  ~Shalom Rakovski / Hazanout askénaze: Ana Aavda Dkudcha en araméen 4分15秒>

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2024年8月 2日 (金)

ブルーノ・ジラールとドニ・キュニオ

月水木に取り上げた3人の貴重な生映像も見つかっていますが、来週はブログ展開が難しい音源もあるので、来週に回して、金曜は番組で最後にかけたブラッチのブルーノ・ジラールとドニ・キュニオの映像を当たってみました。
番組で言いましたが、ブラッチのリーダーでヴァイオリニストのブルーノ・ジラールと、素晴らしいピアノを聞かせるドニ・キュニオが共演した盤をいつかかけたいと思っていました。ユニット名のYATとはYiddish Atomospheric Touch(イディッシュ・アトモスフェリック・タッチ)の略だそうです。ブルーノ・ジラールは2010年のこの盤では、クレズマティクスの演奏が耳に残る「エルシュター・ワルツ」やドナ・ドナなどで、渋い泣きの歌声をたっぷり聞かせます。今回はErshter valsとDer Alef-Beyz (Oyfn Pripetshik)の2曲を番組でかけました。
この盤が出た2010年当時、二人は還暦前だと思いますが、そのイケオジ振りがジャケットに記録されています。14年経った現在は70代に突入されているはず。2013年以降ブラッチのCDリリースもないし、気になっていましたが、2021年のCuniot Kartet Klezmerの動画がありました。ドニ・キュニオの特徴的な同音連打も確認できるし、ブルーノ・ジラールは変わらずイケオジのままなのが確認できて、嬉しい一本でした。

<6 Bruno Girard & Denis Cuniot / Yat : Mir Geyen ~Ershter vals 3分23秒>

<9 Bruno Girard & Denis Cuniot / Yat : Mir Geyen ~Der Alef-Beyz (Oyfn Pripetshik) 5分20秒>

Cuniot Kartet Klezmer

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2024年8月 1日 (木)

バリー・シスターズとアンドリュー・シスターズ

「ユダヤ版ザ・ピーナッツ」と形容して30年以上になるでしょうか。久々に聞き返して聞き入ってしまいました。バリー・シスターズだけでなく、彼女らの先輩格で1930年代から1960年代に活躍したアンドリュー・シスターズも類似のスタイルで聞かせる女性デュエットでしたが、アンドリューはイディッシュ語だけでなく英語でも歌ったので、より広く人気を博したようです。しかしジャズの技法的にはバリー・シスターズの方が上だと思います。バイ・ミール・ビスト・ドゥ・シェーンを聞く限りでは、アンドリューは30年代頃のジャズ・ヴォーカルのスタイルに留まっているようにも思います。2,3本目にAbi Gezuntより有名なバイ・ミール・ビスト・ドゥ・シェーン(素敵なあなた)の両者の歌唱を貼っておきます。(以下放送原稿を再度)

次は、女性二人組のイディッシュの歌手バリー・シスターズのSingと言う盤から、前にクレズマー・コンサーヴァトリー・バンドでかけたAbi Gezuntをおかけします。イディッシュ版ザ・ピーナッツのようだと昔から形容してきました。

<8 The Barry Sisters / Sing ~Abi Gezunt 2分37秒>

Barry Sisters- Bei mir bisti sheyn

Andrews Sisters Bei mir bist du schön 1937 mp3

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