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2024年8月19日 (月)

高尾懺悔

ゼアミdeワールド424回目の放送、日曜夜10時にありました。21日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。高尾懺悔のCDは番組で書けた盤だけだったと思いますが、同じ音源はYouTubeには見当たらず、代わりに坂東玉三郎の映像で上げておきます。以下の「浅間もの」の解説の部分は、番組では時間切れのためカットしました。

夏らしく今回は怪談絡みの長唄をおかけします。曲名は高尾懺悔(高尾さんげ)と言います。「ざんげ」と書きますが、濁らず「さんげ」と読みます。演奏は、唄が芳村五郎治、三味線は杵屋栄次郎その他です。作曲は杵屋新右衛門、1744年初演の舞踊劇で、歌舞伎の演目にもなっています。
高尾とは吉原の名妓で、十一代目までありますが、この曲の高尾は、仙台の伊達侯の意に従わなかった(身請けを断った)ので、隅田川の船の中で斬り殺された二代目高尾だろうと言われています。以下解説から題材とあらすじを引用します。

「浅間もの」と言う歌舞伎舞踊の傍系に属する。「浅間もの」とは、浅間神社の開帳に因んで、浅間の煙を取り入れた芝居で、男が遊女の誓紙を焼くと、その煙の中から女の死霊または生霊が出て、恨み言を述べ、地獄の責め苦にあっているさまを見せて消えるという筋のもの。

初演の舞台では、隅田川の吉原堤のさびしい所に新しい高尾の塚があり、そこへ人々に追われた八百屋お七が逃げて来て倒れている。それを介抱しようと寺の庵室を出た道哲(どうてつ)も気を失って倒れる。
やがて、塚から高尾の亡霊が出て、お七を相手に、在りし日の勤めの辛さを歎き、四季折々の風物にかこつけて、男を恋い慕った頃の思い出を語り、今や地獄の責め苦に悩まされていることを物語る。

「鉦鼓の音も~」から始まる序の部分は三下りの三味線のしんみりした味わいがあり、続く「高尾の姿現れて」の所から大太鼓のドロドロと篠笛の「寝鳥笛」とで亡霊の出現を表しています。遊女の生活の辛さを歌いながらも、在りし日を懐かしみ、廓の四季の風情を踊る後半は、長唄の神髄が表れている名曲です。全曲を通して聴くと、怖さよりも遊女と言う存在の悲しさが痛切に感じられる曲です。それは特に「我は親同胞の為に沈みし恋の淵」の文句に集約されているでしょうか。この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

高尾懺悔 坂東玉三郎 TakaoZange Bando Tamasaburo

<1 長唄 高尾懺悔 一ツ鐘、前弾き 3分19秒>
<2 長唄 高尾懺悔 不思議や紅葉の・・・ 9分7秒>
<3 長唄 高尾懺悔 先ず春は 4分31秒>
<4 長唄 高尾懺悔 残る暑さを 6分11秒>
<5 長唄 高尾懺悔 早時来ぬと 3分3秒>

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