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2024年9月16日 (月)

J.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン

ゼアミdeワールド428回目の放送、日曜夜10時にありました。18日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。ソナタ1番のプレストですが、残念ながらカントロフでは見当たりませんので、ヒラリー・ハーンの演奏で上げておきます。

今回はJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン曲を取り上げます。浪曲の次に突然何故かと言いますと(笑)、7月にラヂバリの「大人の部室」に出た際に、最近のお休みミュージックになっているとして一曲かけたので、種明かししてみたくなりまして。J.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン曲は、パルティータが3曲とソナタが3曲ありますが、番組でかけたのはソナタ1番のプレストでした。80年代によく練習した曲ですが、2000年代になって、ギドン・クレーメルの演奏を聞いてから単旋律の中に2つ以上のパートが同時に動くポリフォニーが隠れている曲と言うのを強く意識するようになって、40年ぶりに練習しています。
私の番組が始まった2016年の初回に話しましたが、80年代前半は中大オーケストラでヴァイオリンを弾いていましたが、30代はインド音楽、ペルシア音楽、トルコ音楽、アラブ音楽の楽器に触れ、続いて謡曲をかじったことに始まり、謡曲や新内の方にウェイトが移っていました。今治で三味線を弾く機会がなくなったのもありますが、今治にUターンした2005年の43歳の年前後に、ある番組を見たことから「ヴァイオリン編曲版ではなく、チェロで無伴奏チェロ組曲2番のプレリュードを弾いてみたい」と言う動機でチェロを始め、クラシックに舞い戻りました。2008年に今治市民弦楽合奏団に参加し、2014年からは代表になり、今治総合芸能祭などでダンスのバックでチェロ独奏をする機会などもありました。メンバー募集してもヴァイオリンが増えずチェロのメンバーが入ったのをきっかけに、2015年からはヴァイオリンも兼で弾くようになり、1984年の大学オーケストラの定期演奏会から、ほぼ31年ぶりにちゃんと取り組んで10年近くになりました。毎木曜17時のうちの店Cafeトークトークでの公開練習の他に、3月と11月の今治中央公民館の文化祭などに出ています。近々では11/10にあります。
J.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン曲は、大体の全曲盤で、ソナタ1番、パルティータ1番、ソナタ2番、パルティータ2番、ソナタ3番、パルティータ3番の順に入っていますが、演奏家によっては、神尾真由子のようにパルティータ3曲しか録音してなかったり、ジノ・フランチェスカッティやリサ・バティアシヴィリのようにパルティータ1番だけだったりするのも、大変興味深く思っています。
同じバッハでも無伴奏チェロ組曲の方は自分でも何曲か弾くのもあって余り聞かなくなっていますが、無伴奏ヴァイオリンの方は曲がより複雑で大変素晴らしく、もちろん一番有名なのはパルティータ2番のシャコンヌですが、特に最近よく聞いているのがソナタ1番とパルティータ1番でした。各ソナタの2曲目には重厚なフーガが必ず入るので、それは外して、昔懐かしいソナタ1番の終曲のプレストからパルティータ1番にかけての組み合わせが、フーガやシャコンヌのようにドラマチック過ぎず、お気に入りのお休みミュージックになっていました。色々な演奏者のソナタ1番のプレストからパルティータ1番のアーティキュレーションの違いを聞き分けている内に、心地よい眠りについているようです(笑)

iPhoneには、シェリング、シゲティ、ミルスタイン、クレーメル、エネスコ、ハイフェッツ、クイケン、シュロモ・ミンツ、ダヴィッド・グリマル、イザベル・ファウスト、天満敦子、諏訪内晶子、前橋汀子など、20~30種類位は入っていますが、最近久々に聞き返してお気に入りの、ジャン・ジャック・カントロフの演奏でソナタ1番の終曲のプレストからおかけします。「急速な」の意味のプレストが曲名ですが、明らかに終曲に多いジグのスタイルで、ジグと言えば現在もアイルランドなどでよく演奏される舞曲です。特に後半にポリフォニーが潜在していると思います。後にブラームスがピアノによる編曲を2曲遺しているそうで、これは是非聞いてみたいものです。

Jean-Jacques Kantorow / J.S.Bach : 3 Sonatas & 3 Partitas For Violin Solo
<4 Sonata 1 In G Minor, BWV 1001 IV Presto 3分56秒>

Hilary Hahn - J.S. Bach: Sonata for Violin Solo No. 1 in G Minor, BWV 1001 - 4. Presto

パルティータ1番は、アルマンド、クーラント、サラバンド、と来て最後は一般的な組み合わせのジグではなく、ブーレになっています。それぞれイタリア風にアレマンダ、コレンテ、サラバンド、テンポ・ディ・ボーレアと言う曲名になっていて、それぞれの後ろに単音で変奏したドゥーブルと言う小曲が付きます。英語ではダブルですが、フランス語読みでドゥーブルと読みます。4つの楽章が主題的に関連性を持っているので、似て聞こえる部分があります。フランス風序曲によく喩えられるこの曲のアルマンドは、重音が多く壮麗ですが、ドゥーブルはそれをなぞるような単音の動きに変わります。アルマンドは重音が多く難儀しますが、このドゥーブルはよく練習する曲です。単音ですが、シャープ2つの上に臨時記号が多いので細かいポジション移動が必要になり、譜面の見た目(譜づら)よりも難度の高い曲だと思います。

<5 Partita 1 In B Minor, BWV 1002 I Allemanda 6分19秒>
<6 Partita 1 In B Minor, BWV 1002 - Double 3分13秒>

続くクーラントはスタッカートの主題部分と、より急速なドゥーブルが続きますが、ドゥーブルでは高度な技法のスピッカートで弾いている演奏もよく見かけます。カントロフはどちらもレガートで美しく弾いています。
時間切れのため、サラバンドとブーレは来週かけたいと思います。一緒にパルティータ2番のシャコンヌも取り上げます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<7 Partita 1 In B Minor, BWV 1002 III Corrente 3分30秒>
<8 Partita 1 In B Minor, BWV 1002 II Double Presto 3分57秒>

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