ジル・アパップのスケルツォ・タランテラ
ゼアミdeワールド433回目の放送、日曜夜10時にありました。23日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。スケルツォ・タランテラ以外は、水曜以降に。
ヴァイオリンで「死ぬまでに弾きたい曲」として2回続けましたが、前々回に取り上げたスケルツォ・タランテラで名手ヤッシャ・ハイフェッツと並べて予定していたジル・アパップの音源が途中までになってしまっていましたので、まずこちらからおかけします。彼はクラシックに留まらず東欧やアイルランド等の民族音楽の領域にも越境している現代のヴァイオリンの鬼才です。ユーディ・メニューインが「21世紀の真のバイオリニスト。私にとって、あなたは21世紀の音楽家の典型です。あなたは音楽が進化するべき方向を体現しています。」と評していて、この大ヴァイオリニストの晩年に親交があったそうです。
スケルツォ・タランテラが入っていたのは2001年のNO PIANO ON THAT ONEと言う盤です。グループ名のThe Colors of Inventionの編成は、ヴァイオリン、アコーディオン、コントラバス、ツィンバロムです。最初に言っておきますが、私はいずれもCDでは持ってなくて、ストリーミングからかけていますので、解説は参照できておりません。Sarasate, Faure, Gluck, Wieniawski, Kreislerのクラシック曲に交じって、東欧のジプシー音楽にも深く踏み込んでいるユニークなアルバムです。
<Gilles Apap & The Colors of Invention / No Piano On That One ~Scherzo-Tarantelle 4分52秒>
同じくNO PIANO ON THAT ONEから、前にルーマニアの時にハイフェッツの演奏などで取り上げた、ディニクのホラ・スタッカートをおかけしますが、その後の2曲LFAT (Lookin' for a Title)の2つのヴァージョンも大変面白い曲です。この辺の音を聞くと、全盛期のタラフ・ドゥ・ハイドゥークスを思い出してしまいます。
<Gilles Apap & The Colors of Invention / No Piano On That One ~Hora Staccato 2分25秒>
<Gilles Apap & The Colors of Invention / No Piano On That One ~LFAT (Lookin' for a Title) 2分26秒>
<Gilles Apap & The Colors of Invention / No Piano On That One ~LFAT (string Orchestra Version) 1分35秒>
The Transylvanian Mountain Boys」は、ジル・アパップが結成したもう1つの大成功を収めたクロスオーバーバンドですが、1996年に出たGilles Apap & the Transylvanian Mountain Boysから、大変に有名なモンティ作曲のチャールダーシュをおかけしておきます。この盤は「黒い瞳」などが入っているように全体にロシアン・ジプシー色が強いように思いますが、先ほどの2001年リリースのNO PIANO ON THAT ONEがルーマニアのタラフ・ドゥ・ハイドゥークスを思い出させるということは、ヨーロッパでタラフの活動が盛んになった時期と一致していて、ジル・アパップも影響を受けていたのではと思いました。
<Gilles Apap & the Transylvanian Mountain Boys ~Csárdás 4分55秒>
2007年リリースのFRIENDSと言う盤では、Old-time, Cajun and bluegrass folk musicをやっているとオフィシャルサイトにコメントがありましたが、私が引っ掛かったのは、アメリカのケイジャンやブルーグラスではなく、やはりノスタルジックな東欧の雰囲気のVals Emilianoと言う曲でした。
<Gilles Apap / FRIENDS ~Vals Emiliano 3分5秒>
2006年リリースのMUSIC FOR SOLO VIOLINでは、Bach and Ysaye sonatas, seasoned with traditional Irish and American tunes.とサイトにコメントがあります通り、バッハとイザイの無伴奏ヴァイオリン曲と、アイルランドとアメリカの民族音楽が交互に出て来るユニークな構成です。何と「私のお休みミュージック」になっているとして数回前にかけたバッハの無伴奏ヴァイオリンのソナタ1番のプレストと、パルティータ1番のサラバンドとドゥーブルも出て来ます。プレストとサラバンドを時間まで聞きながら今回はお別れです。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<Gilles Apap / MUSIC FOR SOLO VIOLIN Presto from Sonata No. 1 In G Minor, BWV 1001 2分48秒>
<Gilles Apap / MUSIC FOR SOLO VIOLIN Sarabande from Partita No. 1 In B Minor, BWV 1002 4分18秒>
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