おお牧場はみどり(ホレラ・リプカ、ホレラ)
ゼアミdeワールド434回目の放送、日曜夜10時にありました。30日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は2本目までです。
今回から地域別シリーズに戻りまして、西スラヴの音楽を聞いて行きます。西スラヴとは、チェコ、モラヴィア、スロヴァキア、ポーランドを指しますが、「ブリキの太鼓」で有名なポーランドのバルト海沿岸のポメラニア系のカシューブ人や、ドイツ東部の少数民族ソルブ人も入りますので、もし音源があれば取り上げます。
チェコとスロヴァキアは、1993年にチェコスロヴァキアから分離しましたが、若い世代の方にはチェコスロヴァキアと言う国があったことを知らない人がいるかも知れません。モラヴィアはチェコ東部の地方で、この3つは独自の文化を持っているので、別々に取り上げたいと思います。言葉はチェコ語とスロヴァキア語ですが、お互いの言葉で話して通じるそうですから、方言の差程度と言えるようですが、歴史的にはチェコは長らくオーストリアの支配を受けてドイツ文化の影響が強かったのに対し、スロヴァキアは第一次世界大戦後にチェコスロヴァキアになるまで1000年近くハンガリー王国の領土だったという大きな違いがあります。
言語学者の千野栄一氏は、以下のように書いています。
「もし仮にチェコ人がいてチェコ語で話したとすると、ごく大雑把にいって、スロバキア人とは95%、ポーランド人となら70%、クロアチア人となら60%、セルビア人となら50%、ブルガリア人とは40%ぐらい理解し合える関係にある。」
とありますが、南スラヴのセルビア、クロアチア、ブルガリアがその位なら、東スラヴのロシア、ウクライナ、ベラルーシとはどうだろうかと言うのも気になります。スラヴ系の言葉は語彙面ではそっくりな単語も多いです。その点は全く別系統で意思疎通不可能なルーマニア語やハンガリー語とは違います。
スロヴァキアの音楽ですが、チェコよりも東隣のウクライナ西部や北隣のポーランド南部との繋がりが見えたり、ハンガリー音楽そのもののような都市部の音楽も多く聞かれます。その中で最も有名な民謡をまずおかけします。うたごえ運動以降日本でもよく歌われた「おお牧場はみどり」がスロヴァキア民謡と言うのは、ほとんど知られてないことかと思います。ボニージャックス、歌声喫茶ともしび、チェコ少年合唱団"ボニ・プエリ"の歌唱の3曲を続けておかけします。
<世界子どもの歌名曲全集-ヨーロッパ編- ボニージャックス / おお牧場はみどり 2分18秒>
<歌声喫茶ともしび ~みんなで歌おう・ヤッホー夏の歌~ 歌声喫茶ともしび / おお牧場はみどり 2分2秒>
<~ヨーロッパの少年合唱による 天使の歌声~アヴェ・マリア/野ばら ~チェコ少年合唱団"ボニ・プエリ" / おお牧場はみどり 1分5秒>
ウィキペディアによると、「おお牧場はみどり」(ホレラ・リプカ、ホレラ)は、スロバキアおよびチェコ東部モラヴィア地方と、チェコ西部ボヘミア地方で歌われる民謡の邦題です。農村地帯で古くから親しまれていて、両国では現在も民俗歌謡祭などでよく歌われているそうです。本国では、燃え上がる菩提樹のもとで火の粉に包まれ泣く娘と、その事態にあわてふためく若者たちの滑稽な姿を歌った歌とのことですが、日本ではこの歌を広めた牧師の中田羽後(1896-1974)の作詞によって知られています。19世紀末から20世紀初頭にかけての移民によってアメリカにもたらされ、牧場での集団労働を賛美する労働歌風の「ああ、美しい牧場」(Ah, Lovely Meadows)に改作されています。原題は、スロヴァキアとモラヴィアでは、ホレラ・リプカ、ホレラ=菩提樹が燃えていた、燃えていた= - スロバキア語原題 : Horela lipka, horela / チェコ語原題 : Hořela lipka, hořela)、チェコ西部ボヘミア地方では、アイ、ルーチュカ、ルーチュカ・シロカー=ほら牧場、広い牧場= - チェコ語原題 : Aj, lúčka, lúčka široká)とありました。
スロバキア語原題の、Horela lipka, horelaで検索しましたら、一部同じ歌詞が短調の旋律に変わって現代のポップスになっていたりしている音源が幾つかありましたので、おかけしておきます。旋律は違いますが、4拍ごとのシラブルは同じに聞こえます。チェコおよびスロバキアの地方により2つの異なる歌が存在する、とウィキペディアにありますので、この短調の旋律がその「もう一つ」なのかも知れません。
まず最初はHrdzaと言うグループの2023年のČo mi Je, To mi Je(私の何が間違っているのか)からHorela Ľipkaです。イルザ?とはスロバキア語で「錆」を意味していて、1999 年に結成されたスロバキアのフォーク ロック バンドです。
<Hrdza / Čo mi Je, To mi Je ~Horela Ľipka 4分19秒>
民族楽器中心の楽団で面白いと思ったのが、ハラフィカと言うグループですが、ハラフィカはウヘルスケ・フラディシュチェ出身の音楽家で、伝統と新しい音楽の流れを組み合わせた演奏をしています。
<Harafica / Harafica Symphonic ~Horela lipka 4分45秒>
Horela lipka, horelaを、ハンガリー風なジプシー楽団が演奏している音源もありましたので、次におかけします。ハンガリーの時に触れたと思いますが、ハンガリー語で「酒場」という意味のチャールダに由来する「チャールダーシュ」と言う舞踊の名前が生まれたのは、ユダヤ系作曲家ロージャヴェルジ・マールクの作った楽曲にありまして、彼はスロヴァキアに近い北ハンガリーの生まれなのもあってでしょうか、現在もスロヴァキアではチャールダーシュの演奏が盛んです。Ján Berky-Mrenicaの楽団の演奏で、Horela Lipkaです。
<Ján Berky-Mrenica / Primasov Sen ~Horela Lipka 2分51秒>
では最後に再度HaraficaのHarafica Symphonicから、チャールダーシュ的でメランコリックなPod Šiatrom(テントの下で)と言う曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<Harafica / Harafica Symphonic ~Pod Šiatrom 7分23秒>
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