マイスキーのブラームスの歌曲演奏
ゼアミdeワールド479回目の放送、日曜夜10時にありました。17日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。マイスキーのチェロによるブラームスの歌曲の代表曲としてMainacht(5月の夜)を上げておきます。他の演奏とワルツは水曜以降に。
ドイツの6回目になります。前回はクラシック作品中の南ドイツの民族舞踊レントラーを3曲聞きました。ドイツと言いながら、オーストリアのブルックナーとボヘミアのマーラーの作品も取り上げました。今回はバッハ、ベートーヴェンと並ぶドイツ3大Bの一人であるブラームスの作品に目を向けてみます。ドイツの場所で言えば、バッハの活動拠点は旧東ドイツのライプツィヒ辺り、ベートーヴェンはドイツ中西部のボン生まれで主にウィーンで活躍、ブラームスは北ドイツのハンブルク生まれで主にウィーンで活動、と言う風に、生まれと活動拠点の地域的な特徴も少なからず作品に出て来ていると思います。
ブラームスはピアノのための16曲の連作ワルツを書いていますが、「ワルツと言えども、ウィンナワルツの様式というわけではなく、レントラーに近いもの、リズムが目立ったもの、3拍子を崩した動きが意図されたもの、スラヴ風の愁いを含んだもの、ハンガリー風のにぎやかな曲想をもつもの、子守唄風のもの、夜想曲風のもの等と趣向を凝らしている。」とウィキペディアに解説があります。
ブラームスが生きた1833-97頃は、ちょうどワルツ王のヨハン・シュトラウス2世と時期が重なっていて、晩年に有名なツーショット写真があるように、深い親交があったそうです。ブラームスの頃はワルツはまだ生まれて間もない舞曲だったのではと思います。当時のジプシー音楽に魅了され、ジプシーの旋律を引用したハンガリー舞曲を書く一方で、ドイツらしいレントラーの流れを汲む渋いワルツも書いているように、民族的な視点も常に失わなかった人でした。
まず一番有名な15番から始めて、華やかな1番、幾分ジプシー音楽風にも聞こえる4番を続けておかけします。演奏はトルコの女流ピアニスト、イディル・ビレットです。元はピアノ連弾曲なので、独奏編曲版ではと思います。
<16 Waltzes, Op. 39: No. 15 in A-Flat Major 1分34秒>
<16 Waltzes, Op. 39: No. 1 in B Major 46秒>
<16 Waltzes, Op. 39: No. 4 in E Minor 1分13秒>
次にブラームスの歌曲をチェロで演奏した音源に移ります。歌曲は当時の民謡等の影響も汲んだものだろうと思いますが、そのブラームスの渋い歌曲をチェロでよく演奏していたのが、ラトヴィア出身の名チェリスト、ミッシャ・マイスキーです。ブラームスの歌曲集とヴァイオリン・ソナタ第1番をチェロ編曲した盤が97年に出て、99年にブラームスのチェロ・ソナタ2曲の間に、たっぷり歌曲を集めた盤をリリースしています。
「ブラームスならではの民謡風な色彩と深い叙情をたたえたこれらの作品をしっとりと陰影に富んだ語り口で演奏しています。」とインポーターのコメントにあった通りで、70年代の中高生以来のブラームス好きである私はすっかり魅了されまして、当時かなりよく聞いた音源です。
「歌詞がなくても、僕のチェロは十分に歌える」とマイスキーは言っていたそうですが、マイスキーの発案によって生まれたこのスタイルは、先に《シューベルト/セレナーデ》が出ていました。
4つの歌曲から第2曲「5月の夜」、5つの歌曲から第5曲「愛の歌」、6つの歌曲から第1曲「夏の夕べ」と第2曲「月の光」の4曲を続けておかけします。原題と作品番号はゼアミブログには入れます。
<Vier Gesänge, Op. 43: 2. Die Mainacht 4分17秒>
<Minnelied op.71 No.5 2分37秒>
<Sommerbend op.85 No.1 3分56秒>
<Mondenschein op.85 No.2 3分30秒>
続いてブラームス最晩年の歌曲集「4つの厳粛な歌」の3曲目までが、ミッシャ・マイスキーのブラームスの歌曲集とヴァイオリン・ソナタ第1番をチェロ編曲した盤に入っていますので、続けておかけします。第1曲 人の子らの運命と動物の運命は同じであり(Denn es gehet dem Menschen)、第2曲 私は再び太陽の下で行われるあらゆる虐げを見た(Ich wandte mich, und sahe an)、第3曲 ああ死よ、お前を思い出すのはなんとつらいことか(O Tod, wie bitter bist du)の3曲です。歌詞の出典は一曲目から順に、旧約聖書の伝道の書3章19-22節、伝道の書4章1-3節、旧約聖書続編のシラ書41章1-2節です。自らの死を予期したブラームスの「辞世」の作品とみなされています。
ウィキペディアに興味深い解説がありました。(時間の都合で番組では入れてない部分です)
保守的とされるブラームスだが、アルノルト・シェーンベルクのようにブラームスの音楽に革新的要素を見出す者もいる。シェーンベルクは、特に晩年の『4つの厳粛な歌』で見られる一つのモチーフの徹底的な展開、声とピアノによるカノン的書法などの対位法を「発展的変奏」(英語:developing variation)と呼び、自らの作品において展開した。
これらの曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<人の子らの運命と動物の運命は同じであり(Denn es gehet dem Menschen) 4分37秒>
<私は再び太陽の下で行われるあらゆる虐げを見た(Ich wandte mich, und sahe an) 4分44秒>
<ああ死よ、お前を思い出すのはなんとつらいことか(O Tod, wie bitter bist du) 4分13秒>
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