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2026年1月

2026年1月30日 (金)

ホイリゲ(ワイン居酒屋)でのシュランメル

ノイエ・ヴィーナー・レントラー(新しいウィーンのレントラー)は、ありましたが、その前にフィルハーモニア・シュランメルンの生演奏を入れておきます。ホイリゲ(ワイン居酒屋)での演奏は、こんな感じなのでしょう。ヴァイオリンの甘美な音色が素晴らしいです。Nussdorfer-Marsch(ヌスドルフのマーチ)はまたの機会に。(以下放送原稿を再度)

Philharmonia Schrammeln

オーストリア以外にもハンガリー、スロベニア、モラヴィア、バイエルンの民俗音楽の影響を受けているということなので、そういう曲も探していますが、今回は取り合えずNeue Wiener Ländler(新しいウィーンのレントラー)という曲が気になりましたので、入れておきます。レントラーは現在のドイツで幾ら探してもなかなか困難でしたが、シュランメルの曲にありました。

<Philharmonia Schrammeln / The Schrammel Violins ~Neue Wiener Ländler 3分51秒>

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2026年1月29日 (木)

シュランメルとナポリターナ

ヴィスコンティの映画「ヴェニスに死す」の白塗りの辻楽師が出てくるシーンで弾いていた曲ですが、結論から言いますと、フィルハーモニア・シュランメルンが弾いていたWiener Künstler(ウィーンの芸術家)とは別な曲でした。あの道化楽師が弾いているのは、イタリアですからナポリターナ(パスタではなくナポリ民謡の方です)の類ではないかと思います。こういう楽曲とウィーンの音楽の繋がりはなかなか考えにくいと思いますが、似ているということもたまにはあるかと思います。どちらも共通項としてポルカ的なノリがベースにあるとは思います。場所が北イタリアのヴェニスなので、中欧のポルカが流れてくることも、南イタリアのナポリよりは多いのではと思いますが。「ヴェニスに死す」と言えばアッシェンバッハとタジオのやりとりが主なので、あの楽師についての情報は皆無に等しい状況でした。2つのシーンの動画がちょうどありました。

<Philharmonia Schrammeln / Wiener Künstler ~Wiener Künstler 2分58秒>

Mort à Venise

Mort A Venise (Extrait) - Réal - Luchino Visconti - ( COVID 22 )

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2026年1月28日 (水)

ハイドンの皇帝とシュランメル

Wiener Künstler(ウィーンの芸術家)が「ヴェニスに死す」の辻楽師の弾いていた曲かどうかは、捜索に少しかかると思いますので、先にフィルハーモニア・シュランメルンの演奏するRettungs-Jubel-Marschに、ハイドンの作曲した皇帝賛歌が2分過ぎから入っていた方を今日は見てみます。CDは持ってないので確実ではありませんが、この曲のデータを見ると作曲者は何とヨハン・シュトラウス 2世になっていました。シュランメルを称賛し、曲も提供していたようです。皇帝賛歌はシュランメル兄弟が活躍していた19世紀後半にはオーストリア帝国の国歌でしたから、このRettungs-Jubel-Marschという組曲の最後に旋律の後半を入れたものと思われます。それがどういう意図かまでは判りませんが。
ハイドンはこの旋律を非常に気に入って、ナポレオンに祖国が支配される時に、ピアノでこの曲を何度も弾き続けたというエピソードが残っています。ハイドンの、そしてオーストリアの誇りであったこの曲を、自身の弦楽四重奏曲 第77番 ハ長調 作品76の3 Hob.III-77《皇帝》の変奏曲形式の第2楽章 Poco Adagio. Cantabileに取り入れています。この曲は現在はドイツの国歌になっています。
このハイドンの皇帝2楽章も、弦楽四重奏のヴァイオリンとチェロの両方を弾いたことがありますが、チェロパートの第2変奏の旋律を弾く時の高揚感は忘れられません。ファーストヴァイオリンの第1変奏の16分音符のオブリガートは、かなり合わせ辛く思いました。(セカンドヴァイオリンに回っている旋律が走りがちなのもあるかと思います)番組でかけたカルミナ・カルテットではなかったので、Polyphonie String Quartetの演奏で上げておきました。

<Philharmonia Schrammeln / Wiener Künstler ~Rettungs-Jubel-Marsch 2分40秒>

Haydn - Emperor's Hymn, from String Quartet in C major, Op. 76

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2026年1月26日 (月)

Morgengruß(朝の挨拶)

ゼアミdeワールド498回目の放送、日曜夜10時にありました。28日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。風邪治りかけの酷い声で失礼しました。モルゲングルスの最後の文字(エスツェット)は、SSの表記も可です。

オーストリアの音楽の2回目です。前回、民俗音楽として有名なシュランメル音楽の一番有名な曲とされている『ウィーンはいつもウィーン』(Wien bleibt Wien)をおかけしましたが、このジャンルの音源を何点かチェックして耳に止まった曲をピックアップしてみました。まずは埼玉在住の大学オーケストラ時代の友人からのリクエストで、Morgengruß(朝の挨拶)という爽やかな曲をフィルハーモニア・シュランメルンというグループの演奏でおかけします。東京にはシュランメルのグループがあるそうです。

<Philharmonia Schrammeln / Wiener Künstler ~Morgengruß 4分8秒>

以下ウィキペディアからの解説を中心に引用しておきます。
シュランメルは19世紀後半にウィーンで発達したオーストリアの民俗音楽で、現在でもなお演奏されていて、名前はシュランメル兄弟に由来します。ヴァイオリニストであったヨハン・シュランメル(Johann Schrammel, 1850年 - 1893年)とヨーゼフ・シュランメル(Josef Schrammel, 1852年 - 1895年)は、1878年にコントラギター奏者のアントン・シュトロマイヤー(Anton Strohmayer, 1848年 - 1937年)とアンサンブルを結成します。コントラギターと言うのは、9弦のベース音の棹が通常の6弦の棹の上に付いた2本棹のギターです。都会と田舎の両方の影響を受けてきた3人は、民謡、行進曲、ワルツやポルカなどの舞曲をウィーンのホイリゲ(ワイン居酒屋)や宿屋で演奏し、人気を博しています。
当初、彼らはよく演奏活動を行っていたヌスドルフ村にちなんで「ヌスドルフ三重奏団」を名乗っていましたが、1884年にクラリネット奏者のゲオルク・デンツァー(Georg Dänzer, 1848年 - 1893年)が加入して「シュランメル四重奏団」と改称。アンサンブルは宮殿や大邸宅のサロンに招かれて演奏し、「シュランメルの陶酔」はウィーンのエリート層を虜にし、その中にはヨハネス・ブラームスとヨハン・シュトラウス2世もいたそうです。シュランメル兄弟の作品は200曲以上にのぼります。
ヨハンは1893年に、ヨーゼフは1895年に40代の若さで亡くなりますが、以後、類似の形態の音楽を「シュランメル音楽」と呼ぶようになりました。また、シュランメル音楽を演奏する多くの人々(楽団)のことを、シュランメルの複数形で「シュランメルン(Schrammeln)」と総称するようになりました。オーストリア以外にもハンガリー、スロベニア、モラヴィア、バイエルンの民俗音楽の影響を受けているそうですが、いずれも当時のオーストリア=ハンガリー帝国の版図内になります。ブラームスとヨハン・シュトラウス2世だけでなく、少し意外でしたが、シェーンベルクも愛好していたそうです。

それでは同じくフィルハーモニア・シュランメルンの演奏でWiener Künstler(ウィーンの芸術家)というアルバムタイトル曲をおかけしますが、この曲はもしかしたらヴィスコンティの映画「ヴェニスに死す」の白塗りの辻楽師が出てくるシーンで弾いていた曲ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

<Philharmonia Schrammeln / Wiener Künstler ~Wiener Künstler 2分58秒>

次にやはり同じフィルハーモニア・シュランメルンの演奏ですが、Rettungs-Jubel-Marschという曲の2分過ぎからハイドンの作曲した皇帝賛歌の旋律が出てきます。併せてハイドンがこの旋律を自身の弦楽四重奏曲に変奏曲にして取り入れた弦楽四重奏曲 第77番 ハ長調 作品76の3 Hob.III-77《皇帝》 II- Poco Adagio. Cantabileをカルミナ・カルテットの演奏で続けておかけします。シュランメルが生まれた19世紀当時はオーストリア帝国の国歌でしたが、現在はドイツの国歌になっています。ハイドンの皇帝2楽章も、弦楽四重奏のヴァイオリンとチェロの両方を弾いたことがあります。

<Philharmonia Schrammeln / Wiener Künstler ~Rettungs-Jubel-Marsch 2分40秒>
<ハイドン弦楽四重奏曲 第77番 ハ長調 作品76の3 Hob.III-77《皇帝》 II カルミナ・カルテット 6分41秒>

オーストリア以外にもハンガリー、スロベニア、モラヴィア、バイエルンの民俗音楽の影響を受けているということなので、そういう曲も探していますが、今回は取り合えずNeue Wiener Ländler(新しいウィーンのレントラー)という曲とNussdorfer-Marsch(ヌスドルフのマーチ)という曲が気になりましたので、入れておきます。レントラーは現在のドイツで幾ら探してもなかなか困難でしたが、シュランメルの曲にありました。1曲目はフィルハーモニア・シュランメルンの演奏ですが、シュランメルのヴァイオリンに焦点を当てた音源です。2曲目はThalia-Schrammelnというグループの演奏です。これらの曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Philharmonia Schrammeln / The Schrammel Violins ~Neue Wiener Ländler 3分51秒>
<Thalia-Schrammeln / Music From Old Vienna ~Nussdorfer-Marsch 2分57秒>

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2026年1月23日 (金)

『ウィーンはいつもウィーン』(Wien bleibt Wien!)

ツィターの面白い映像も次々見つかりますが、番組でかけたシュランメルの代表曲『ウィーンはいつもウィーン』(Wien bleibt Wien!)で一本上げておきます。ヴァイオリニストAndre Rieu中心の大編成の演奏です。朝日放送のスポーツテーマ曲として使われていましたので、聞き覚えのある方は多いのでは。吹奏楽の演奏もかなりありますが、シュランメル音楽のスタイルは、ヴァイオリン2本とコントラギターとクラリネット1本。これが基本です。民俗音楽として有名なシュランメル音楽からは次回も聞いて行きます。

Andre Rieu - Wien bleibt Wien 2011

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2026年1月22日 (木)

第三の男 ツィターとコントラギター

次回取り上げるシュランメルのベース楽器、コントラギターの伴奏がついたツィター演奏による「第三の男」を上げておきます。コントラギターと言うのは、9弦のベース音の棹が通常の6弦の棹の上に付いた2本棹のギターです。ツィター系の弦楽器は欧州に幾つもありますが、欧州の各楽器の祖と思われるアラブとトルコのカーヌーンが特に有名だと思います。今日の映像では左手のヴィブラートが確認できますが、カーヌーンではツィターのようにヴィブラートをかけたりすることはなかったように思います。その代わり、カーヌーンは平均律より微細な音程を出すためのレバーが付いています。ツィターという名はギリシア語のキターラ(Kithara)に由来し、これはギターと同語源。その演奏の難しさから近年はツィター離れが進んでいるそうです。

Berggasthof Gerstreit in der Gaststube am 5.November „der dritte Mann“ mit Öttl Franz.


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2026年1月21日 (水)

私のお気に入り My Favorite Things

「私のお気に入り」については、40年以上前に聞いたコルトレーンのMy Favorite Thingsの印象が余りに強くて、「私のお気に入り」という邦訳タイトルでは全くぴんと来ず、私たちの合奏団所有の弦楽四重奏版楽譜にあるのを長年気が付いていませんでした。2017年にイオンモールで聞いた弦楽四重奏団がこの曲を弾いていて、是非自分たちでも弾いてみようと思って在庫を探してから、初めて気が付いた次第(笑) その後すっかり定番曲になりました。(以下放送原稿を再度) 

ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』は、ドイツによる併合を逃れてオーストリアからアメリカ合衆国に亡命し、アメリカで興行して成功を収めたトラップ一家を描いていますが、この中の一曲「私のお気に入り My Favorite Things」は、近年JRのCM「そうだ 京都、行こう」に使われた辺りから、エーデルワイスやドレミの歌よりも人気曲になった感があります。リチャード・ロジャース作曲、オスカー・ハマースタイン2世作詞の二人組で夥しい数のヒット曲を生み出し、この「私のお気に入り My Favorite Things」は、ジャズのスタンダードにもなっています。現在のブロードウェイ・ミュージカルを創設した功労者であるこの名コンビは、それぞれロシアとドイツからのユダヤ系移民の家系ですが、『サウンド・オブ・ミュージック』の音楽は、オーストリア関連ということで今回入れました。ジャズ編曲で一番有名なのはジョン・コルトレーンのソプラノサックスの演奏だと思います。この曲は弦楽四重奏にも編曲されていて、ヴァイオリンとチェロの両方を弾いたことがあります。
ではオリジナルのジュリー・アンドリュースの歌唱の後で、ジョン・コルトレーンのソプラノサックスの演奏をおかけします。インド音楽に多大な関心を持っていたコルトレーン。北インドのダブルリード管楽器シャーナイを意識していたのではとも言われています。

<ジュリー・アンドリュース / My Favorite Things 4分12秒>

<ジョン・コルトレーン / My Favorite Things 13分44秒>

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2026年1月19日 (月)

ウィーンわが夢の街

ゼアミdeワールド497回目の放送、日曜夜10時にありました。21日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。初回はエーリッヒ・クンツの甘美な歌声から。

今回からオーストリアの音楽を聞いて行きたいと思います。まずオーストリアの民族音楽関係の音源ですが、覚えている範囲ではヨーデルやツィターなどを収録した仏Ocoraの1枚だけです。これは手元に資料がないので、まずウィーンのシャンソンのようなヴィーナー・リートの名曲「ウィーンわが夢の街」からおかけします。
ヴィーナー・リート(Wienerlied)とは、ウィーンの雰囲気が漂う、ウィーンで生まれたドイツ語の歌曲(歌)のことで、「ウィーンのシャンソン」とも呼ばれ、地元の人々に親しまれてきた庶民的な歌(フォークソング)や、それを発展させた芸術歌曲と定義されています。
「ウィーンわが夢の街」は、ウィーンの作曲家、ルドルフ・ジーツィンスキー (1879-1952)が、生涯愛してやまなかったウィーンへの思いをノスタルジックな賛美を込めて歌い上げた歌曲です。この甘美な旋律は弦楽四重奏などにも編曲されていて、ヴァイオリンを弾いたことがあります。ではエーリッヒ・クンツの極めつけの名唱でおかけします。

<エーリッヒ・クンツ / Wien, du Stadt meiner Träume 3分26秒>

ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』は、ドイツによる併合を逃れてオーストリアからアメリカ合衆国に亡命し、アメリカで興行して成功を収めたトラップ一家を描いていますが、この中の一曲「私のお気に入り My Favorite Things」は、近年JRのCM「そうだ 京都、行こう」に使われた辺りから、エーデルワイスやドレミの歌よりも人気曲になった感があります。リチャード・ロジャース作曲、オスカー・ハマースタイン2世作詞の二人組で夥しい数のヒット曲を生み出し、この「私のお気に入り My Favorite Things」は、ジャズのスタンダードにもなっています。現在のブロードウェイ・ミュージカルを創設した功労者であるこの名コンビは、それぞれロシアとドイツからのユダヤ系移民の家系ですが、『サウンド・オブ・ミュージック』は、ミュージカル自体がオーストリア関連ということで今回入れました。ジャズ編曲で一番有名なのはジョン・コルトレーンのソプラノサックスの演奏だと思います。この曲は弦楽四重奏にも編曲されていて、ヴァイオリンとチェロの両方を弾いたことがあります。
ではオリジナルのジュリー・アンドリュースの歌唱の後で、ジョン・コルトレーンのソプラノサックスの演奏を14分中の3分程おかけします。

<ジュリー・アンドリュース / My Favorite Things 4分12秒>
<ジョン・コルトレーン / My Favorite Things 13分44秒~3分くらい>

オーストリアを舞台にした映画で有名なのはやはり「第三の男」ですので、オーストリアの民族楽器ツィターの音色を堪能できるテーマ曲を、1949年のこの映画で演奏していたアントン・カラスの演奏で入れておきます。先ほどの「ウィーンわが夢の街」もツィターで演奏していますので、2曲続けておかけします。

<アントン・カラス / 第三の男(ハリー・ライムテーマ) 3分59秒>
<アントン・カラス / ウィーン、わが夢の都 3分4秒>

民俗音楽として有名なシュランメル音楽から次回も聞いて行きますが、まずは一番有名な曲とされている『ウィーンはいつもウィーン』(Wien bleibt Wien!、ヨハン作曲)をおかけします。朝日放送のスポーツテーマ曲として使われています。演奏はClassical Vienna Schrammel Quartetです。シュランメルについての解説は、次回他の曲をかける際に入れます。

<Classical Vienna Schrammel Quartet / Wien bleibt Wien (arr. for string quartet) 2分29秒>

この後はエーリッヒ・クンツのヴィーナー・リートの音源からWenn der Herrgot net will(主が望まなければ)と言う曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。バリトンの穏やかで美しい歌声はいつまでも聞いていられます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<エーリッヒ・クンツ / Wenn der Herrgot net will 3分22秒>

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2026年1月16日 (金)

市丸さんの「天竜下れば」

新年の純邦楽シリーズのトリは、市丸姐さんにしました。藤本二三吉、小唄勝太郎と並ぶ鶯芸者の大御所です。瞽女歌と成田雲竹さんは枠が足りなくなりましたから、またの機会に。中山晋平名曲集を聞いてから市丸さんの「天竜下れば」が大好きで、今治の鈍川温泉の景色を思い出してこのメロデーが浮かんだりしたことがあったのですが、後で祖父が市丸さんのファンだったと聞いて驚きました。子供のころ祖父についてよく鈍川温泉に行きましたから、それでかなと思います。夫婦岩があったかなと探したこともあります(笑) 市丸さんは1906年生まれで祖父の二つ上ですから、ほぼ同世代。
キンカン素人民謡名人選を子供のころよく一緒に見ていたので、祖父が好きだったのは民謡だけかと思っていたら、新内も好きだったらしいと父から聞いて、更に驚きました。今治の松本町の蒼社川よりに花街が昔あって「移転地(イテンチ)」と呼ばれていたそうですが、私が教わっていた新内の家元の母、つまり宗家から「昔イマハリ(今治の古い呼称)に営業に行ったことがありますよ」と聞いていたので、祖父はイテンチで宗家の芸を耳にしたのかもと思った次第。「天竜下れば」は、先日民謡の番組を見ていたら、今でも長野県南部のご当地ソングとして有名なようです。私はカラオケに行くと新内の節を少し入れて必ず歌う曲です(笑) 懐かしさと不思議さなど、色々な思いがクロスする歌です。1本目は昭和8年のオリジナル音源、2本目は昭和44年のライブ映像、番組でかけた市丸さんの小唄「柳橋から」もありましたので3本目に。4本目は端唄名曲の「深川」で、こちらも最高ですが、お江戸が懐かしくなります。

天龍下れば

天竜下れば 市丸

柳橋から

深川

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2026年1月15日 (木)

鬢ほつ・伽羅の香り

「びんのほつれ」と「きゃらの香り」は、廓の小唄2大名曲と言っていいのではと思いますが、番組でかけた有名な蓼胡満喜(たでこまき)さんで見当たらなかったので、代わりに市丸さんでと思いましたが、これも見当たらず。少し年長の鶯芸者の一人、藤本二三吉(ふじもとふみきち 1897年-1976年)さんでSP音源がありました。最高の名唱だと思います。間に「桜見よとて」が入っています。いずれも、べらぼうや映画「国宝」で注目され始めた廓や花柳界の世界が垣間見られる歌です。

鬢ほつ・桜見よとて・伽羅の香り 藤本二三吉

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2026年1月14日 (水)

小唄の三番叟

早いもので、もう14日です。今テレビでは歌会始をやっています。三番叟を上げるのもギリギリかなと思います。さすがに初代の本木寿以さんの動画はなさそうです。(以下放送原稿を再度)

小唄ですが、祝言曲はかなりありまして、その中から新年の小唄をおかけしてみます。歌っている本木寿以さんの小唄は古風な趣が色濃くあって、小唄では前からチェックしていましたが、プロフィールを調べてみますと、初代の生年月日は明治21年(1888年)、昭和54年(1979年)死去と言う、相当昔の人でした。長命だったのでビクター(現在は日本伝統文化振興財団)への録音は初代の晩年の音源ではと思います。
本木寿以さんは「幼時から常磐津を学び、18歳で4代目歌沢寅右衛門(2代目相模)に師事、寅由喜の名で名をあげた。吉田草紙庵に小唄を習い、昭和21年本木派を創立、家元となった。54年寿を名乗って隠居。「お吉椿」など多くの曲がある。」とコトバンクにありました。永井荷風も愛好した歌沢は、最近の音源は皆無なので、大変気になります。正月ではお馴染みの三番叟をおかけします。

<本木寿以 / 三番叟 5分26秒>

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2026年1月12日 (月)

民謡と小唄の祝言曲

ゼアミdeワールド496回目の放送、日曜夜10時にありました。14日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。

前回は7日に一回だけのお正月特集でしたが、今回の収録の7日にはまだ若干お屠蘇気分が残っていますので(笑)、民謡と小唄から新年らしい曲をピックアップしてみました。

まず何年か前にもかけたことがある曲ですが、個人的にとても好きな秋田民謡の喜代節から始めます。歌、三味線共に憂いのある美しい旋律ですが、婚礼にもよく歌われる祝言的な内容の民謡です。

<16 秋田民謡 喜代節 川崎千恵子 3分22秒>

次に小唄ですが、祝言曲はかなりありまして、その中から新年の小唄をおかけしてみます。歌っている本木寿以さんの小唄は古風な趣が色濃くあって、小唄では前からチェックしていましたが、プロフィールを調べてみますと、初代の生年月日は明治21年(1888年)、昭和54年(1979年)死去と言う、相当昔の人でした。長命だったのでビクター(現在は日本伝統文化振興財団)への録音は初代の晩年の音源ではと思います。
本木寿以さんは「幼時から常磐津を学び、18歳で4代目歌沢寅右衛門(2代目相模)に師事、寅由喜の名で名をあげた。吉田草紙庵に小唄を習い、昭和21年本木派を創立、家元となった。54年寿を名乗って隠居。「お吉椿」など多くの曲がある。」とコトバンクにありました。小説家の永井荷風も愛好した歌沢は、最近の音源は皆無なので、大変気になります。正月ではお馴染みの三番叟をおかけします。

<本木寿以 / 三番叟 5分26秒>

次に本木寿以さんの、さんさ時雨がありますので、「お祝い民謡特選」収録の宮城県民謡、さんさ時雨と並べておかけしてみます。どちらも祝儀曲として有名です。

<本木寿以 / さんさ時雨 1分15秒>
<鈴木正夫 / さんさ時雨 3分9秒>

先程かけた小唄は、「小唄御祝儀づくし」と言う盤でしたが、「小唄名曲集」と言う姉妹盤もありまして、こちらにも本木寿以さんの歌が入っていますが、こちらからは「天竜下れば」などの大ヒットで歌謡界にも進出していた市丸姐さんの歌が数曲入っていますので、祝儀曲ではありませんが、「柳橋から」と言う小唄をおかけしておきます。べらぼうや国宝で注目され始めた花柳界の世界が垣間見られる歌です。

<市丸 / 柳橋から 1分47秒>

同じく遊廓(廓)を彷彿とさせる小唄名曲を2曲、「びんのほつれ」と「伽羅の香り」を往年の小唄名人、蓼胡満喜(たでこまき)さんの歌でおかけしておきます。同じ「小唄名曲集」に入っています。

<蓼胡満喜 / びんのほつれ 52秒>
<蓼胡満喜 / きゃらの香り 1分20秒>

ここで拙い歌唱ですが、私が10年くらい前にちろりんさんの番組に出た時に、新内節の名曲「蘭蝶」の一節を暗譜で歌った録音をおかけしておきます。99年に名取にはなりましたが、久しく離れていたので、節を若干間違えています(笑) 吉原の遊女・此糸(このいと)と声色師・蘭蝶の心中話です。歌は声が低くて水調子なのでセリフの部分が中心で、余り出番はありませんでしたが、兄弟子と二人、三味線の上調子で何度も新内流しを披露する機会がありました。

<ぽれぽれちろりんごーるどでの蘭蝶の一節 2分54秒>

話が正月からずれてきましたので(笑)、最後に青森県津軽の祝言の民謡「謙良節」を、民謡の大御所・成田雲竹さんと、津軽三味線の名人・高橋竹山が尺八を演奏している音源でおかけします。時間が余りましたら、前にお盆の時にかけた高知の代表的なお座敷唄「よさこい節」の古い録音を時間まで聞きながら今回はお別れです。アメリカFolkwaysの1961年のアナログ音源で、最近Smithsonian Folkwaysから復活しています。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<成田雲竹・高橋竹山 民謡うたがたり(4) ~謙良節 唄① 1分26秒>
<Traditional Folk Songs of Japan ~Group from Tosa / Yosakoi Bushi 3分31秒>

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2026年1月 9日 (金)

「春の海」髙木凜々子 宮城喜代子

瞽女・杉本キクイさんの金毘羅船々はありましたが来週に回して、祝言の謡曲は前に上げたことがありますし、新内の廓七草はYouTubeが見当たらないので、今週は「春の海」にこだわっておきます。1本目の髙木凜々子さんの動画を見てまず気が付いたのが、ピチカートとフラジオを外して弾いている点です。これはストラディヴァリウスの美音を最大限に生かすためでしょうか。フラジオはもちろん中間のE音だけは入れていますが、その他の音を4度間隔(1の指で弦を押さえ4で弦に触れてフラジオ音を出す)で取る奏法のことです。ヴァイオリンでの初演を果たしたルネ・シュメーさんの演奏ではピチカートが頻繁に、しかもびっくりするような大きな強い音で入りますし、フラジオも楽譜通り入れています。伴奏パートがピアノ用に編曲された楽譜が全音から出ていて、私もいじって何年かになります。更にこの映像を見て、吉越大誠さんが箏の弦をどう弾いているのか、手に取るように分かって大変面白かったです。2本目の宮城道雄の直弟子の宮城喜代子さんの演奏も手元がよく見えますが、やはり新しい映像ほどよく確認できます。言うまでもなく、青木鈴慕さんの尺八共々、宮城道雄直伝の名演です。この動画のタイトルに「新日本音楽」とありますが、これは古い筝曲にはなかったアルペジオ奏法や和声を取り入れた曲ということだろうと思います。有名な古曲「六段」と聞き比べるだけでも、相違点はすぐ分かるかと思います。

【謹賀新年】【春の海】宮城道雄(Haru No Umi) SEA IN THE SPRING ,Michio Miyagi

”Haru no Umi” 「春の海」

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2026年1月 8日 (木)

ルネ・シュメーと宮城道雄の「春の海」

ゼアミdeワールド495回目の放送、水曜夜8時半にありました。今回は再放送は無しです。今日はルネ・シュメーの方を上げておきます。この人のクラシック演奏を聞いてみたいものです。

明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。
お正月と言えば、どこに行っても宮城道雄の「春の海」が聞こえてきますが、この曲だけの色々な編成の録音を集めた「春の海 大響演」という2枚組から何度もご紹介してきました。今回も宮城道雄の自作自演をまずおかけしたいと思います。尺八は初演を勤めた吉田晴風です。

<春の海 宮城道雄自作自演 6分25秒>

宮城道雄の父の出身地である広島県鞆の浦を訪れた際の、瀬戸内海の印象を三部形式に乗せて標題音楽風に作曲したこの曲は、今では彼の代表作として親しまれていますが、吉田晴風との1930年の初演の評判は芳しくなかったそうです。
この曲が一躍有名になったのは、1932年に演奏旅行で来日していたフランスの女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと共演してからと言われています。日本音楽に触れるために宮城道雄を訪ねた彼女が一番感動したのが、この「春の海」で、早速尺八パートをヴァイオリン用に編曲して宮城道雄とコンサートで演奏したら、大喝采を受けたそうです。会場で聞いていた小説家の川端康成が、その感動の光景を小説「化粧と口笛」に記しています。その宮城道雄とルネ・シュメーの演奏でどうぞ。

<春の海(箏とヴァイオリンによる) 6分13秒>

何年か前にもかけた音源ですが、後は他の邦楽曲をご紹介します。
正月がテーマではありませんが、結婚式でよく歌われる世阿弥作のお能「高砂」の、高砂やこの浦船に帆を上げて、の部分と、四海波静かにて、千秋楽は民を撫で、の3か所は祝言の謡いとして非常に有名ですので、今回取り上げておきます。この番組を始めた時にお話ししましたが、謡曲を1995年に少し習ったことが大きな転機になりまして、30年前の開店時にゼアミと言う店名にしました。私が習っていた喜多流の往年の大名人・喜多実の独吟2曲と、観世流の観世寿夫の1曲です。

<喜多流 祝言小謡集 喜多実  高砂 四海波静かにて 1分13秒>
<喜多流 祝言小謡集 喜多実  高砂 千秋楽は民を撫で 30秒>
<観世流謡曲 観世寿夫  高砂 高砂やこの浦船に 1分27秒>

次は民謡になりますが、新潟や日本海側中心に盲目の女性だけで組織を作り、唄をうたい歩いた芸能集団、瞽女(ごぜ)の杉本キクイさん他の三味線で、金毘羅船々をおかけしておきます。四国では正月に参ることも多い金毘羅山の有名な民謡で、キングの「名人による日本の伝統芸」シリーズの瞽女編に三味線練習曲として入っています。長調と短調が入り混じるのが、面白いです。

<瞽女歌 杉本キクイ 金毘羅船々 1分35秒>

今回は7日の再放送枠の日だけに放送されますので、次は江戸の浄瑠璃の一つ、新内の曲で「廓七草」という曲をおかけします。新内も謡曲の後で私が東京にいる頃に習っていた音曲で、ちょうど放送されるのが七草がゆの日ですので、この曲を選びました。廓(遊里)で流行った新内らしい哀切な曲調は、最も有名な蘭蝶や明烏以来のもので、艶美な節回しは古賀メロディなど、昔のナツメロ演歌のルーツにもなっているようです。歌っているのは、新内志寿さんで、往年の名人・新内志賀大掾中心のカセット「新内名曲選 子宝三番叟、広重八景」に入っていました。おそらく90年前後の録音で、新内志寿さんはその後、三味線弾き語りで新内志賀のお名前で活動されています。この曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<新内 廓七草 9分34秒>

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2026年1月 7日 (水)

ヒルデガルト・クネフ、CAN、DAF

ドイツ編の最後に名前を上げていた、ヒルデガルト・クネフ、CAN、DAFについても少し触れておきたいと思います。ヒルデガルト・クネフについて知ったのは、70年代に手に入れていた世界女優名鑑のような本だったと思いますが、妖艶なルックスからキャバレーソングのような歌を歌うのではと想像していたら、正にそういうイメージ通りでした。同じドイツならマルレーネ・ディートリヒ、イタリアで言えばミルヴァでしょうか。フランスだとバルバラか?とちょっと思ったことがありますが、バルバラはピアノ弾き語りの唯一無二の吟遊詩人的存在で、やはり違うかなと思います。おそらく代表曲を収めたのではと言う長い映像を上げておきます。

Hildegard Knef - Hildegard Knef und ihre Lieder (13.04.1975) (Full Show)

CANについては、日本のPhewとの繋がりで少し聞いたくらいで、タゴマゴとかは70年代前半のアルバムですから、さすがにリアルタイムで知っている世代ではありません。メンバーのホルガー・チューカイやプロデューサーのコニー・プランクはかなり気にして聞いていた時期がありました。ペルシア古典声楽のアーヴァーズが引用されていることで有名なホルガー・チューカイのペルシアン・ラヴを上げておきます。サントリー角瓶のCMソングに使われたそうですが、これは見た記憶がありません。当時は仕事から帰ると0時くらいだったからでしょうか。アーヴァーズがゴルパかどうかなども話題になったことがありました。90年くらいでニューウェーヴ~インディーズ方面はほぼ卒業しましたので、その後はよく知らないのですが、Phewだけはチェックし続けました。CDリリース無しでサブスクだけで聞ける音源になってきているようです。

Holger Czukay - Persian Love 【HQ】

DAFは80年代前半に最もよく聞いたジャーマン・ニューウェーヴのユニットで、一番よく聞いたDie Kleinen und Die Bösenを上げておきます。4本目はDAFのレクチャー映像で、来日していたこととか、ガビ・デルガドが2020年に亡くなっていたことなど、色々初めて知ることがありました。昔はディー・エー・エフと呼んでいましたが、ダフと読むのが一般的なようです。

DEUTSCHE AMERIKANISCHE FREUDSCHAFT : "Die Kleinen und Die Bösen"

あなたの聴かない世界TV 特集:DAF

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2026年1月 5日 (月)

新年はジンギスカンから

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。今日から店を開けました。今年でゼアミは30周年、Cafe トークトークは40周年、店と大家兼管理人を継いで10年目、私の番組も10周年になります。序に私のヴァイオリンは去年で100歳でした。私のところに来て、35年です。今年のゼアミdeワールドの最初の放送は7日ですので、まだ内容は伏せておきます。ドイツシリーズの最後にかけた音源から、ジンギスカンから始めます。この曲が世界的に流行ったのは1979年だったでしょうか。高2だったので、当時詳細は全く知りませんでした。ドイツのグループで、グループ名もジンギスカンというのを知ったのは、大分後だったと思います。サブスクでベスト盤を聞きましたが、リズムパターンなどはほぼ同じでタイトルと歌詞を変えた各国版が存在することと、今でも活動していることを最近知って驚いています(笑)

ジンギスカン - 歌詞字幕付き / Dschinghis Khan

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