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2026年5月

2026年5月29日 (金)

コパチンスカヤの皇帝円舞曲

今週と来週でオーストリアシリーズを終えますので、今週は皇帝円舞曲、来週は「インスブルックよ、さらば」にしました。ラストに相応しい2曲だと思います。やっぱりピエロで締めるのはどうかと思いますので(笑) ジャケットのコパチンスカヤは、同じピエロの格好はしていますが。2本目に番組でかけた「青ざめた洗濯女」も入れておきます。(以下放送原稿を再度)

このコパチンスカヤの「月に憑かれたピエロ」の盤は、シェーンベルクとウェーベルンの作品の間に入っているのが、ヨハン・シュトラウスの皇帝円舞曲です。「美しく青きドナウ」と並び称されるウィンナワルツの名曲中の名曲です。こういう新旧のウィーンの音楽を並べる試みは、現代音楽専門のアルディッティ弦楽四重奏団の音源にもあったと思います。オーストリアシリーズも終わりに近づきましたので、今回と次回は「今週のペルシア音楽」はお休みにして、今回は皇帝円舞曲をおかけすることにします。演奏はパトリツィア・コパチンスカヤ, Meesun Hong, Julia Gallego, レト・ビエリ, Marko Milenkovic, トーマス・カウフマン & Joonas Ahonenです。ピエロとは対称的なこの曲で、コパチンスカヤはファーストヴァイオリンを弾いているようです。

Emperor's Waltz, Op. 437

Pierrot Lunaire, Op. 21: IV. Eine blasse Wäscherin

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2026年5月28日 (木)

コパチンスカヤのピエロ・リュネール

コパチンスカヤについては、数年前のルーマニアの時にエネスコのヴァイオリン・ソナタ3番を上げたように思いますが、モルドヴァ出身ということもあって東欧寄りの独特なレパートリーにいつも強い関心を覚えます。その彼女が長年シェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」に関心を持ち続けていたそうで、CDまで出ているのを割と最近知って驚きました。しかも、ヴァイオリンではなくシュプレッヒシュティンメ(最近はシュプレッヒゲザンクと言うことが増えているようです)を担当して、ピエロの格好をしてフラッシュ・モブのように方々でやっているのではと思われる写真が彼女のサイトに沢山上がっています。オフィシャルサイトのトップには「月に憑かれたピエロ」のフランス語表記であるピエロ・リュネール(Pierrot Lunaire)のボタンまであります。番組では個人的に46年前から特にお気に入りの「蒼ざめた洗濯女」だけかけましたが、今日の動画は全曲の舞台演奏の抜粋です。
オットー・フリースランダー作曲のピアノ伴奏版の「月に憑かれたピエロ」が気に入らず、シェーンベルクに新たに作曲を依頼した女優アルベルティーネ・ツェーメが歌い語って1912年に初演しています。100年余り経ってコパチンスカヤが演じていますが、彼女らを見ているとサティと加藤和彦でお馴染みの、ベル・エキセントリック(風変わりな美女) という言葉を思い出します。以下はコパチンスカヤのオフィシャルサイト(https://www.patriciakopatchinskaja.com/)にあった英文解説の翻訳です。

Schoenberg: Pierrot Lunaire with Patricia Kopatchinskaja (excerpt)

ピエロ・リュネール

アルノルト・シェーンベルクの『ピエロ・リュネール』は、1912年にベルリンで初演された、アルベール・ジローの詩をドイツ語に翻訳した詩に基づく、声楽と5つの楽器のための21の短いメロドラマからなる作品です。作曲家はここで、朗読に革命をもたらしたシュプレッヒゲザング(語り歌)という技法を初めて導入しました。シェーンベルクはこの作品を、キャバレーソングのように、皮肉でありながらも優しさとグロテスクさを併せ持つものにしようとしました。

ヴァイオリニストであり、時折女優としても活動するパトリシア・コパチンスカヤは、長年この独特な作品を演奏し、朗読することを夢見ていました。ある日、腕の痛みのためにヴァイオリンを弾けなくなったことがきっかけで、彼女はナレーター役を演じることになったのです。「私はずっと、自分がピエロだと感じてきました。」学生時代、この曲をヴァイオリンで弾くたびに、心の中で歌詞を口ずさんでいました。彼女は現在、ベルリン・フィルハーモニーをはじめ、アメリカのいくつかの都市、オランダ、スイス、スウェーデンなど、世界中の多くの場所で「ピエロ」を演奏しています。彼女は多くの音楽家仲間を集め、後世に残すために録音することにしました。プログラムには、シェーンベルクの幻想曲 作品47と6つの小品 作品19、ウェーベルンの作品(ヴァイオリンとピアノのための4つの小品 作品7)、そしてシェーンベルク編曲によるヨハン・シュトラウスの「皇帝円舞曲」作品437が収録されています。

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2026年5月27日 (水)

弦楽四重奏のための《5つの断章》

再度書きますが、浄夜など初期作品以外の新ウィーン楽派の曲目が一般の聴衆に受け入れられる日は来るのでしょうか。新ウィーン楽派の3人の同時代のバルトークやストラヴィンスキーなどは、70年代よりは大分一般的なコンサートに乗るようになったと思いますが、彼らのような新古典派や民族音楽を取り入れた作曲家の作品は、十二音技法の曲よりはるかに受け入れやすいというのはあると思います。ウェーベルン作品の中では、パッサカリアや弦楽四重奏のための《5つの断章》はキャッチーな方だと思います。今日の動画のように生演奏で見れた方がいいと思いますので、番組では1楽章だけでしたが、全曲演奏で上げておきます。Leonkoro Quartetの演奏です。ヴィオラだけ日本人奏者です。この曲は80年代に数住岸子さん他の演奏で確かTVで見た記憶があります。ポリーニの名盤「ブーレーズのピアノ・ソナタ2番」の前に入っていたのも短いウェーベルン作品で、ハードな曲の前のいい導入になっていたと思います。(以下放送原稿を再度)

パッサカリアを書いた翌年の1909年にウェーベルンが無調の世界に足を踏み入れたのが作品5番の弦楽四重奏のための《5つの断章》作品5です。1曲目の激しい動きで(Heftig bewegt)だけですが、ジュリアード弦楽四重奏団の演奏でおかけします。後期の十二音技法の作品よりも、パッサカリアとこの《5つの断章》が、聞く機会が多いように思います。他にウェーベルン作品で有名なのは、バッハの『音楽の捧げもの』の「6声のリチェルカーレ」のオーケストラ編曲ではないかと思います。1980年前後だったと思いますが、NHKFMの「現代の音楽」のテーマ曲に使われていました。

Webern: Fünf Sätze für Streichquartett op. 5

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2026年5月26日 (火)

浄夜を暗譜で立奏

火曜は通常ブログアップはしてないのですが、余りに凄い演奏を見つけましたので特別に上げておきます。今週は火曜も入れないと枠が足りないのもあります。今日の動画は、シェーンベルクの浄夜を、何と全楽団員が暗譜で弾いていて目が飛び出るほど驚きました。あの複雑な難曲を全員が薄暗がりの中で暗譜で弾いています。チェロとコントラバスは座らないと弾けませんが、ヴァイオリンとヴィオラは全員立奏しています。暗譜で立奏というのは理想の演奏形態ですが、よりによって浄夜でそれを行っているのにはびっくり仰天です。Norwegian Chamber Orchestraのメンバーにはアジア系の人も見えます。このような成熟した演奏のコンサートが可能で、それを聴く聴衆が大勢いる国ということでしょう。ノルウェーに行きたくなりました(笑)

Arnold Schoenberg: Verklärte Nacht

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2026年5月25日 (月)

ウェーベルンのパッサカリア

ゼアミdeワールド515回目の放送、日曜夜10時にありました。27日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。ブーレーズのパッサカリアはもちろん上がっていますが、ライブ演奏でいいものがありましたので、そのケルンWDR交響楽団の映像で上げておきます。浄夜やこの曲も、欧米ではようやく一般的なクラシックのプログラムになった感じでしょうか。日本ではまだまだそこまで行ってないように思いますが。

オーストリアの音楽の19回目です。今回は予告通り、ウェーベルンのパッサカリアから始めます。新ウィーン楽派は今回までで、次回をオーストリアのラストにしたいと思います。最後に再度民謡的な歌に触れる予定です。

まずウェーベルンの読みですが、90年代か2000年代に入ってからか不明ですが、「ヴェーベルン」となっていることが多いようです。確かにドイツ語に忠実に発音すればそうなると思いますが、70年代から「ウェーベルン」と読み慣らして来たので、かなり違和感があります(笑) 

シェーンベルクの弟子にアルバン・ベルクとアントン・ウェーベルンがいますが、ベルクは長大な十二音技法のオペラが多く、短く切り取って紹介するのが難しいので、今回はウェーベルンの作品のみにしておきます。彼の初期の作品パッサカリアはシェーンベルクの許での修行を終えた卒業作品として1908年に作曲されまして、この作品を「作品1」としています。ブラームスの交響曲4番の終楽章のシャコンヌを意識した古いパッサカリアの形式に則って、シェーンベルクの浄夜などの影響を強く受けた後期ロマン派の延長にありながら、調性感が薄くなっていく辺りが、ウェーベルンらしく壮絶に美しい作品だと思います。

作風を世紀末の絵画に喩えますと、シェーンベルク初期はクリムト、「月に憑かれたピエロ」はムンク、アルバン・ベルクはエゴン・シーレやココシュカ、ウェーベルンはカンディンスキーを思い浮かべると、イメージしやすいようにも思います。1980年のレコード芸術の現代音楽部門の大賞がブーレーズのウェーベルン全集でしたが、ジャケットはカンディンスキーの抽象画でした。

それではウェーベルン全集のブーレーズ指揮ロンドン交響楽団の演奏でおかけします。
<Passacaglia for Orchestra, Op. 1 10分9秒>

アントン・ヴェーベルン:パッサカリア|WDR交響楽団|ユッカ=ペッカ・サラステ

パッサカリアを書いた翌年の1909年にウェーベルンが無調の世界に足を踏み入れたのが作品5番の弦楽四重奏のための《5つの断章》作品5です。1曲目の激しい動きで(Heftig bewegt)だけですが、ジュリアード弦楽四重奏団の演奏でおかけします。後期の十二音技法の作品よりも、パッサカリアとこの《5つの断章》が、聞く機会が多いように思います。他にウェーベルン作品で有名なのは、バッハの『音楽の捧げもの』の「6声のリチェルカーレ」のオーケストラ編曲ではないかと思います。1980年前後だったと思いますが、NHKFMの「現代の音楽」のテーマ曲に使われていました。

<Fünf Sätze für Streichquartett, Op. 5: I. Heftig bewegt 2分40秒>

前回「月に憑かれたピエロ」の変わり種として紹介しましたが、モルドヴァ共和国出身のヴァイオリニスト、パトリツィア・コパチンスカヤもシュプレッヒシュティンメを歌い語って「月に憑かれたピエロ」を録音しています。第1部のフルート中心の伴奏の「蒼ざめた洗濯女」だけおかけしておきます。Patricia Kopatchinskaja, Meesun Hong, Julia Gallego, Reto Bieri, Thomas Kaufmann & Joonas Ahonenの演奏です。

<Pierrot Lunaire, Op. 21  Eine blasse Wäscherin 1分36秒>

このコパチンスカヤの「月に憑かれたピエロ」の盤は、シェーンベルクとウェーベルンの作品の間に入っているのが、ヨハン・シュトラウスの皇帝円舞曲です。「美しく青きドナウ」と並び称されるウィンナワルツの名曲中の名曲です。こういう新旧のウィーンの音楽を並べる試みは、現代音楽専門のアルディッティ弦楽四重奏団の音源にもあったと思います。オーストリアシリーズも終わりに近づきましたので、今回と次回は「今週のペルシア音楽」はお休みにして、今回は皇帝円舞曲をおかけすることにします。演奏はパトリツィア・コパチンスカヤ, Meesun Hong, Julia Gallego, レト・ビエリ, Marko Milenkovic, トーマス・カウフマン & Joonas Ahonenです。ピエロとは対称的なこの曲で、コパチンスカヤはファーストヴァイオリンを弾いているようです。この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Emperor’s Waltz, Op. 437 12分39秒>

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2026年5月22日 (金)

Hassan Kassa'iのネイ

ハッサン・キャサイのネイを初めて聞いたのも1980年で、小泉文夫氏の弟子筋の柘植元一さんがイランから帰国されて間もない時期に出演されていたNHKFM「世界の民族音楽」の冒頭にかかっていたのが、仏PLAYA SOUNDから出ていたハッサン・キャサイのシュール旋法の演奏でした。ハッサン・キャサイのネイとジャハンギール・ベヘシュティのトンバク共に最高の演奏で、カセットテープがわかめになりそうなほど聞いたものです。これを番組ではかけましたが同じ音源が見当たらないので、同じシュール旋法の演奏で上げておきます。何であんな低音まで出るのか、ネイの実物を見てみたいものだと思い続け、トンバクの師匠のラリさんから一本買ったことがありますが、20年前のUターンの際に荷物の中に埋もれて残念ながら割れが入ってしまいました。ちゃんと音が出る前の崩壊で哀しかったです。柘植先生には2002年と2004年のアリオン音楽財団の<東京の夏音楽祭>でのホセイン・アリザーデ来日公演の際にも色々とお世話になりました。柘植先生の経歴を見ると、ウェズリアン大学助教授、国立音楽大学助教授、教授、東京藝術大学教授、2001年名誉教授とありました。1980年当時は国立音大に関わられていた頃かなと思います。以下は音楽之友社から2002年に出た「世界の民族音楽ディスクガイド」掲載の、ハッサン・キャサイ仏PLAYA SOUND盤のレビュー拙稿です。番組でかけたもう一人のサントゥールのマジッド・キアーニはまたの機会にします。46年前の上記カセットの4回の放送は、デジタル音源にしてあります。

ネイは葦で出来ていて、吹き口は切ったままの状態に真鍮の筒をはめた、極めてシンプルな縦笛。構えは大概髭で見えにくいが、歯の隙間と舌を有効に利用している模様。トルコのネイと似ているが吹き口が違う。丸い筒のままなので、音を出すだけでも至難の技。そしてこのシンプルさが手伝って、イランではとてつもない名人芸が生まれた。この盤はイスファハーンの往年の巨匠ハッサン・キャサイの唯一のまとまった録音。苦悩のパッションを描き出すシュールと、雨後の虹のように美しく晴れやかなマーフールの対照的な組み合わせがまた良い。拍節のある部分では一部トンバク(ザルブ)伴奏が入る。モハンマド・ムーサヴィーのように現代の名手にはハッサン・キャサイの影響を受けた奏者が非常に多い。余りに凄演!

Shur

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2026年5月21日 (木)

浄夜(浄められた夜)

ヴァイオリンとチェロを弾いて弦楽四重奏や弦楽合奏をやっていて、最終的な目標、最も弾きたい曲は、シェーンベルクの浄夜やリヒャルト・シュトラウスの変容(メタモルフォーゼ)、ブラームスの弦楽六重奏曲1番ですが、そこまで辿り着けるかどうかの難曲です。浄夜はN響でも聞いたことはないのですが、TVでやってないだけで、コンサートでは取り上げられることもあるのでしょうか。シェーンベルクや新ウィーン楽派の作品がクラシックのコンサートのプログラムに乗るのは、数えるほどのように思います。弾く側の技術面の困難さもあるでしょうが、聞く側の耳も、114年前に書かれた「月に憑かれたピエロ」にもまだ追いついてないということかも知れません。浄夜は、カラヤン、ブーレーズ、六重奏では巌本真理など色々聞きましたが、やはり最初に聞いたネヴィル・マリナーの甘美な演奏が忘れられません。彼自身がヴァイオリニストだったこともあるのでしょうか。LPが長らく行方不明で、YouTubeのようなジャケットではなく、ほとんど白一色だったように記憶しています。(以下放送原稿を再度)

浄夜(浄められた夜)に移ります。「月に憑かれたピエロ」は1912年作曲でしたが、シェーンベルク初期の重要作「浄夜」は1899年に作曲されていて、原曲は弦楽六重奏曲ですが、後に弦楽合奏編曲されています。この曲はリヒャルト・デーメルの同名の詩「浄夜」に基づき、月下の男女の語らいが題材となっています。他の男の子供を身籠ってしまった女の懺悔の告白と、それを男が許し和解するまでの葛藤が音楽になっている曲です。シェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」と「グレの歌」や、後期のリヒャルト・シュトラウスの作品などと並んで、ワーグナーのトリスタン以来の後期ロマン派の極みの音楽だと思います。この曲もブルックナーの4番のように、弦の濃厚な響きとポルタメントに惹かれたネヴィル・マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団の演奏で5分ほどおかけします。これも1980年の春、木の芽時の夜に何故か惹かれ、耳に付いて離れなかった演奏でした。全曲は単一楽章で30分近くあります。

<Verklärte Nacht, Op. 4 29分19秒>

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2026年5月20日 (水)

グレン・グールドと「月に憑かれたピエロ」

グレン・グールドが「月に憑かれたピエロ」を録音していたのを知ったのは、割と最近で20年くらい前です。しかも第1部の7曲のみなのが興味深いところです。グールドがシェーンベルクのピアノ独奏曲や歌曲などを入れているのは知っていましたが、ピエロもあったとは!と欣喜雀躍した覚えがあります(笑) グールドが好んだのは、バッハ、モーツァルト(グールドの演奏には賛否ありますが)、ベートーヴェン、グリーク、シベリウスが特に多い訳ですが、シェーンベルクがその次に来るのではと思うくらい録音があります。逆に前期ロマン派のショパン、シューマン、シューベルト、リストにはほとんど見向きもしなかったようで、録音は数曲だけです。シューマンとショパンは、確かジュリアード弦楽四重奏団とのシューマンのピアノ四重奏曲 とショパンのピアノソナタ第3番だけだったと思います。「月に憑かれたピエロ」はヴァイオリニストのコパチンスカヤがシュプレッヒシュティンメ(あるいはシュプレッヒゲザング)を歌い演じた音源1曲「蒼ざめた洗濯女」 だけ来週の番組でかける予定です。ピエロは好き嫌いがはっきり分かれるようで、絶対無理という人も多いようですが、この曲で現代音楽への扉が開いたと見ていいのではとさえ思います。グールドのピエロ、個人的な愛好曲ですが、第1曲「月に酔い」 Mondestrunken、第4曲「蒼ざめた洗濯女」 Eine blasse Wäscherin、第7曲「病める月」 Der kranke Mondの3曲を上げておきます。ピアノが出て来るのは1曲目だけですが、逆にフルートの魅力が満点の3曲だと思います。

Pierrot Lunaire, Op. 21, Pt. 1: No. 1, Mondestrunken

Pierrot Lunaire, Op. 21, Pt. 1: No. 4, Eine blasse Wäscherin

Pierrot Lunaire, Op. 21, Pt. 1: No. 7, Der kranke Mond

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2026年5月18日 (月)

月に憑かれたピエロ

ゼアミdeワールド514回目の放送、日曜夜10時にありました。20日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。70年代に怪奇趣味なジャケットで輸入LPが出ていたブーレーズ初回の「月に憑かれたピエロ」。Helga Pilarczykのシュプレッヒシュティンメが、とにかく最高です。80年代にフランスのAdesからCDが出まして私が持っているのはこの盤ですが、今日の動画にあるようにドイツの現代音楽の名門レーベルWergoからも2014年にCDが出たようです。上記の怪奇趣味なジャケットのLPは発掘作業が必要なため(笑)、今のところレーベル名が不明です。シェーンベルクの自作自演は、ソニーのヒストリカルシリーズから80年代にLPがありました。この曲の委嘱者である女優アルベルティーネ・ツェーメの録音もあれば嬉しいですが、さすがになさそうです。

オーストリアの音楽の18回目です。今回はオーストリアシリーズでかけたいと思っていた作曲家の内、シェーンベルクが残りましたので、やはり懐かしい曲を2曲かいつまんでおかけします。それは、浄夜(浄められた夜)と「月に憑かれたピエロ」ですが、どちらも1980年の高3の春に聞いてその妖しい魅力に衝撃を受けた曲です。初めて聞いて46年になります。浄夜やその後の「ペレアスとメリザンド」は後期ロマン派の極致の濃密な音楽ですが、「月に憑かれたピエロ」は後期ロマン派を越えて、現代音楽の十二音技法に辿り着く前に、無調の世界に足を踏み入れた記念碑的な曲です。

まず「月に憑かれたピエロ」ですが、1980年当時にTVでパントマイムのヨネヤマママコさんが話題にしていて興味を持ったのがきっかけでした。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、フルート、ピッコロ、クラリネット、バスクラリネット、ピアノだけの室内楽編成をバックに、ソプラノ歌手がシュプレッヒシュティンメという語りと歌の中間のような歌唱スタイルで演じる曲で、原作はベルギーの詩人アルベール・ジローが1884年に発表したフランス語の詩集ですが、白昼夢のような衝撃の内容になっています。ピエロ、コロンビーナ、カッサンドロといったイタリアの古典演劇(コメディア・デラルテ)の登場人物が、グロテスクで幻想的な世界を繰り広げるメロドラマという紹介文をウィキペディアで見かけました。

「月に憑かれたピエロ(ピエロ・リュネール)」は何種類も聞きましたが、最初に聞いたピエール・ブーレーズ指揮の70年代の2回目の録音よりも、60年代の最初の録音が衝撃的で、シェーンベルクの自作自演と共に一番ターンテーブルに乗ったと思います。シュプレッヒシュティンメが、2回目の方はイヴォンヌ・ミントンでクラシックの範囲の割と大人しい感じでしたが、初回のヘルガ・ピラルツィクの表現主義的と言えそうなちょっと恐い位の歌唱を聞いたら、もう他の歌手は考えられなくなりました。最近の演奏はクラシック的な割と大人しい歌唱が増えているようにも思います。変わり種ではジャズ歌手のクレオ・レーンや、アイスランドのポップスターのビョーク、ヴァイオリニストのパトリツィア・コパチンスカヤもシュプレッヒシュティンメで録音を残しています。また原題のピエロ・リュネールを名乗るイタリアのプログレッシブロックのグループがいました。

全体が3部に分かれていますが、後半のドロドロしてくる前の幻想的な範囲で留まっている第1部が昔から特に好きで、中でもフルート中心の伴奏の「蒼ざめた洗濯女」に大学時分一番はまりました。ピエロは80年代からスコアも持っています。それでは第1部だけブーレーズの初回の録音でおかけします。

Pierrot Lunaire. Dreimal sieben Gedichte nach Albert Giraud, Op. 21: I.

<Pierrot lunaire, Op. 21, pt. 1: Mondestrunken 1分46秒>
<Pierrot lunaire, Op. 21, pt. 1: Columbine 1分32秒>
<Pierrot lunaire, Op. 21, pt. 1: Der Dandy 1分9秒>
<Pierrot lunaire, Op. 21, pt. 1: Eine blasse Wäscherin 1分27秒>
<Pierrot lunaire, Op. 21, pt. 1: Valse de Chopin 1分10秒>
<Pierrot lunaire, Op. 21, pt. 1: Madonna 1分46秒>
<Pierrot lunaire, Op. 21, pt. 1: Der kranke Mond 2分10秒>

第1部は、第1曲「月に酔い」 Mondestrunken、第2曲「コロンビーナ」 Colombine、第3曲「伊達男(ダンディ)」 Der Dandy、第4曲「蒼ざめた洗濯女」 Eine blasse Wäscherin、第5曲「ショパンのワルツ」 Valse de Chopin、第6曲「聖母(マドンナ)」 Madonna、第7曲「病める月」 Der kranke Mondの7曲でした。ヘルガ・ピラルツィクとブーレーズ指揮の演奏でした。

浄夜(浄められた夜)に移ります。「月に憑かれたピエロ」は1912年作曲でしたが、シェーンベルク初期の重要作「浄夜」は1899年に作曲されていて、原曲は弦楽六重奏曲ですが、後に弦楽合奏編曲されています。この曲はリヒャルト・デーメルの同名の詩「浄夜」に基づき、月下の男女の語らいが題材となっています。他の男の子を身籠ってしまった女の懺悔の告白と、それを男が許すまでの葛藤が音楽になっている曲です。シェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」と「グレの歌」や、後期のリヒャルト・シュトラウスの作品などと並んで、ワーグナーのトリスタン以来の後期ロマン派の極みの音楽だと思います。この曲もブルックナーの4番のように、弦の濃厚な響きとポルタメントに惹かれたネヴィル・マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団の演奏で5分ほどおかけします。これも1980年の春、木の芽時の夜に何故か惹かれ、耳に付いて離れなかった演奏でした。全曲は単一楽章で30分近くあります。

<Verklärte Nacht, Op. 4 29分19秒>

20世紀初めのシェーンベルクと彼の弟子のアルバン・ベルクとウェーベルンの3人を新ウィーン楽派と言いますが、ラジオで流して良いのだろうかと思うほど更にヘヴィーなベルクのオペラや、短い十二音技法の名作を残したウェーベルンの音楽までは触れずに置こうかと思いましたが、次回ウェーベルンのパッサカリアだけ少しかけたいと思います。

「今週のペルシア音楽」に移ります。「月に憑かれたピエロ」「浄夜」と夜のムードの曲が続きましたので、ペルシア音楽なら何だろうかと考えてみました。夜の音楽と言えば、やはりシュール旋法とホマーユン旋法辺りだと思いますので、シュールの方をハッサン・キャサイのネイとジャハンギール・ベヘシュティのトンバク、ホマーユンをマジッド・キアーニのサントゥールでおかけします。二人とも往年の名人です。これらの曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Hassan Kassa'i / Le ney ~Pishdaramad-shahnaz tshahamezrab 3分3秒>
<Majid Kiani / L'art du santur : Iran ~Dastgâh Homâyun 17分33秒>

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2026年5月15日 (金)

モルゲ・サハル(Morghe Sahar)ナイチンゲール

今日でゼアミは開店から30周年ですが、更に今年で私のラジオ番組は10周年、Cafeトークトーク(旧称Talk&Talk)を叔母が始めて40周年、私がこの店を引き継いで10年目です。色々メモリアルな年です。今日5/15に名歌モルゲ・サハルが回って来て、嬉しい気持ちです。叔母が開店祝いで頂いたベンジャミンは、樹齢40年の巨木に育っています。屋根を突き破りそうな勢いです(笑) 以下に書きましたが、今日の映像はイランのバムで起きた大地震の犠牲者を追悼するコンサートでのアンコール演奏の映像です。(以下放送原稿を再度)

「今週のペルシア音楽」も春らしい一曲を選びました。モルゲ・サハル(Morghe Sahar)と言う晴れやかで感動的なタスニーフ(歌曲)です。3拍子系なので先ほどのモーツァルトの8分の6拍子と少し似ているとも言えるかと思います。
Morghe Saharと言えば、ペルシア音楽の名歌手シャジャリアンの歌唱が有名で、2003年末にイランのバムで起きた大地震の犠牲者を追悼するコンサートでアンコール演奏されたのがこの名高いタスニーフです。そのライブはDVDが出ていました。ダストガー・マーフールの晴れやかで威厳に満ちたメロディがとても素晴らしい曲で、アリザーデ一行の2004年の来日の際、ロバ・ハウスでデモ演奏されていました。Morghe Saharは、特にイラン人の琴線に触れるタスニーフの一つのようで、犠牲者への思いとオーヴァーラップするのか、涙を流す聴衆が何人も見えました。
Morghe Saharは、夜明けの鳥、朝の鳥、ナイチンゲールなどと訳され、イランの不正義、独裁、暴政に抗議して歌われる、イランの自由のための闘争の「賛歌」とみなされることが多いそうです。20世紀初頭にモハマド・タキ・バハルによって歌詞が書かれ、モルタザー・ネイダーヴードによって作曲されています。1924年に最初に歌ったのは、カマル・オル・モルク・ヴァジーリとのことです。

Morgh-e Sahar

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2026年5月14日 (木)

ハイドンのチェロ協奏曲1番

ハイドンのチェロ協奏曲1番は、ジャクリーヌ・デュプレの全曲と、1990年のロストロポーヴィチ&小澤征爾の動画で上げておきます。63歳と55歳とは思えないエネルギッシュな演奏です。この曲を初めて聞いたのは1987年で、特にロストロの演奏の3楽章の高揚感、爽快感に惹かれました。当時はまだワールドミュージックブームが本格化する直前位で、まだまだクラシックをよく聞いていた時期です。星川さんのPaoはありましたが、それ以外に民族音楽の情報源は少ない時期でした。ハイドンは交響曲104番「ロンドン」が大学オケで弾いた中では、かなりお気に入りの曲でしたが、今回オーストリアシリーズで上げるに当たってはなかなか選曲が難しく、結局「皇帝」とチェロ協奏曲1番だけになりました。(以下放送原稿を再度)

考えてみますと、オーストリアに入ってハイドンの曲は弦楽四重奏曲「皇帝」の2楽章をかけただけですので、やはり個人的なお気に入り曲になりますが、チェロ協奏曲1番の終楽章の3楽章をジャクリーヌ・デュプレでおかけしておきます。本当は80年代に最初にLPで聞いたロストロポーヴィチにしようと思いましたが、サブスク音源では余り音質が良くないので、デュプレにしておきます。こちらも大変な名演です。この曲の爽快感は何物にも代えがたいものがあります。チェロのレッスンを受けようかと考えたこともありますが、受けたとしても1楽章で、痛快な曲ながら技術的に非常に高度と思われる終楽章までは難しかったと思います。ハイポジションで親指を使うサムポジションの連続なのが動画だとよく分かります。

Haydn: Cello Concerto in C major - Jacqueline Du Pré

Haydn Cello Concerto No. 1 in C major - III. Finale: Allegro molto, Cello: Rostropovich

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2026年5月13日 (水)

「春への憧れ」と ピアノ協奏曲27番の3楽章

番組でかけたクララ・ハスキルのピアノ、オットー・クレンぺラー指揮フィルハーモニア管弦楽団の名演があれば良いのですが、YouTubeには見当たらないので(あっても音源だけですし)、スイスの女流ピアニスト、ベアトリス・ベリュ(Beatrice Berrut)の27番の全曲演奏で上げておきます。22分20秒くらいからが番組でかけた3楽章です。この人はフランスのチェリスト、カミーユ・トマ(Camille Thomas)とのブラームスのチェロ・ソナタ1番の映像が大分前から上がっていて、10年以上前にこの曲を弾く際に大変参考にしました。ベアトリス・ベリュは、マーラーの交響曲第5番第4楽章(アダージェット)やシェーンベルクの「浄夜」のピアノ編曲も行っていて、動画も上がっています。色々と関心の方向性が近い人だと思いました。(以下放送原稿を再度)

10年前には「春へのあこがれ Komm lieber Maiは、モーツァルトが晩年に書いた子供用の歌曲で、彼の最後のピアノ協奏曲27番の3楽章に引用されています。」と入れたのですが、その後調べてみると「このロンド主題は、同年に作曲された歌曲『春への憧れ』(K. 596)に転用された。」とありましたので、勘違いしておりまして、先にピアノ協奏曲があって、後でこの歌曲が作られていました。どちらもモーツァルト最晩年の名曲中の名曲だと思います。子供らしい無邪気さと天上的な美しさの両方を湛えた曲です。

Beatrice Berrut performing W.A.Mozart - Piano Concerto No27 in B-Flat Major KV595

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2026年5月11日 (月)

Komm lieber Mai

ゼアミdeワールド513回目の放送、日曜夜10時にありました。13日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。「嬉しや五月 あるいは、春へのあこがれ Komm lieber Mai」を聞くと、中学校の時の音楽の先生「こんじい(近藤先生)」をどうしても思い出してしまいます(笑) やっぱりこの歌はウィーン少年合唱団の清澄な声でないとと思います。

オーストリアの音楽の17回目です。今回は5月と言えば思い出すモーツァルトの「嬉しや五月 あるいは、春へのあこがれ Komm lieber Mai」から始めたいと思います。10年前にこの番組を始めた際にもかけましたので、その時の紹介文を入れておきます。

5月なのに雨予報が多いようですので、五月晴れをもっと見れますようにということで、この曲をかけたいと思います。音楽の照る照る坊主とでも言えましょうか。この曲、皆さん中高生の頃に音楽の時間に歌われた記憶もあるのではと思います。邦訳では「うれしや五月、草木は萌え、小川の岸にスミレにおう」となっていました。5月と言えば思い出す曲の筆頭で、中高生の頃を懐かしく思い出す一曲です。ウィーン少年合唱団の独唱者の歌唱です。

<Komm lieber Mai 2分3秒>
ウィーン少年合唱団 モーツァルト 春へのあこがれ  Vienna Boy's Chair Mozart Sehsucht Nach Dem Fruhling K596

10年前には「この曲はモーツァルトが晩年に書いた子供用の歌曲で、彼の最後のピアノ協奏曲27番の3楽章に引用されています。」と入れたのですが、その後調べてみると「このロンド主題は、同年に作曲された歌曲『春への憧れ』(K. 596)に転用された。」とありましたので、勘違いしておりまして、先にピアノ協奏曲があって、後でこの歌曲が作られていました。どちらもモーツァルト最晩年の名曲中の名曲だと思います。子供らしい無邪気さと天上的な美しさの両方を湛えた曲です。クララ・ハスキルのピアノ、オットー・クレンぺラー指揮フィルハーモニア管弦楽団の名演でおかけします。

<Piano Concerto No. 27 in B-Flat Major, K. 595: III. Rondo: Allegro 7分47秒>

「今週のペルシア音楽」も春らしい一曲を選びました。モルゲ・サハル(Morghe Sahar)と言う晴れやかで感動的なタスニーフ(歌曲)です。3拍子系なので先ほどのモーツァルトの8分の6拍子と少し似ているとも言えるかと思います。
Morghe Saharと言えば、ペルシア音楽の名歌手シャジャリアンの歌唱が有名で、2003年末にイランのバムで起きた大地震の犠牲者を追悼するコンサートのライヴでアンコール演奏されたのがこの名高いタスニーフです。そのライブはDVDが出ていました。ダストガー・マーフールの晴れやかで威厳に満ちたメロディがとても素晴らしい曲で、アリザーデ一行の2004年の来日の際、ロバ・ハウスでデモ演奏されていました。Morghe Saharは、特にイラン人の琴線に触れるタスニーフの一つのようで、犠牲者への思いとオーヴァーラップするのか、涙を流す聴衆が何人も見えました。
Morghe Saharは、夜明けの鳥、朝の鳥、ナイチンゲールなどと訳され、イランの不正義、独裁、暴政に抗議して歌われる、イランの自由のための闘争の「賛歌」とみなされることが多いそうです。20世紀初頭にモハマド・タキ・バハルによって歌詞が書かれ、モルタザー・ネイダーヴードによって作曲されています。1924年に最初に歌ったのは、カマル・オル・モルク・ヴァジーリとのことです。

<Morghe Sahar 4分23秒>

考えてみますと、オーストリアに入ってハイドンの曲は弦楽四重奏曲「皇帝」の2楽章をかけただけですので、やはり個人的なお気に入り曲になりますが、チェロ協奏曲1番の終楽章の3楽章をジャクリーヌ・デュプレでおかけしておきます。本当は80年代に最初にLPで聞いたロストロポーヴィチにしようと思いましたが、サブスク音源では余り音質が良くないので、デュプレにしておきます。こちらも大変な名演です。この曲の爽快感は何物にも代えがたいものがあります。チェロのレッスンを受けようかと考えたこともありますが、受けたとしても1楽章で、痛快な曲ながら技術的に非常に高度と思われる終楽章までは難しかったと思います。時間が余りますので、1楽章を途中までおかけします。この曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Haydn: Cello Concerto #1 In C, H 7B/1 - 3. Allegro Molto 6分49秒>
<Haydn: Cello Concerto #1 In C, H 7B/1 - 1. Moderato 9分30秒>

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2026年5月 8日 (金)

ゼアミdeワールドのテーマ曲「イラン ペルシアの音楽」のマーフール

番組では全曲かけるのが以下の理由で難しい音源ですが、YouTubeにマーフールの方が全曲上がっていました。この盤は70年代のLPの時からありまして、オコラからCD化が始まったのが1985年くらいでしょうか、その第1号がこの「イラン ペルシアの音楽」でした。民族音楽の名門レーベルであるオコラの意気込みが感じられるエピソードです。当時一番有名だったのはサントゥールのファラマルズ・パイヴァールでしたから、彼のリーダー作のように語られ勝ちだったのが残念ではありました。B面のセガー旋法の演奏も素晴らしく、コロナの頃宅録していた時に第2のテーマ曲として冒頭をかけたことがあります。マーフールの方の曲名はNegah Garm Toで、CALTEXから数年後の別録音がありましたが、明らかにオコラの方が豪華メンバーでした。メンバーは以下の通りです。

アブドルワハブ・シャヒーディー(ウード、歌)
ジャリール・シャーナズ(タール)
アスガール・バハーリー(ケマンチェ)
ファラマルズ・パイヴァール(サントゥール)
ハッサン・ナヒッド(ネイ)
ホセイン・テヘラーニ(トンバク)
(以下放送原稿を再度)

恒例になった「今週のペルシア音楽」ですが、10年前の1回目からずっとゼアミdeワールドのテーマ曲にしている仏オコラの「イラン ペルシアの音楽」のマーフールの導入部分の前奏曲にあたるピシュダルアーマドから、器楽の名人芸を聞かせるチャハールメズラブ辺りまでをおかけします。その後のシャヒーディーの独唱と一つずつの楽器の伴奏の部分までは入らないと思います。その箇所は10年前にかけようとして片チャンネル無音と機材が判断して放送事故になりました。この音源が録音された1970年頃は、片方のパートに音がない時は、その片チャンネルだけ無音になっていたためでした。実はその独唱部分が一番の肝なのですが、なかなか放送で全曲をかけるのは難しい音源です。

<Abdolvahab Shahidi / Iran musique persane ~Dastagh Mahur 23分53秒>

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2026年5月 7日 (木)

ブルックナーの7番

ブルックナーの交響曲と言えば、個人的な愛好順は9、5、7、4番の順で、特にシューリヒト指揮ウィーン・フィルの9番に飛び抜けて衝撃を受けました。7番はクナッパーツブッシュの演奏もユニークで面白く、よくターンテーブルに乗りました。長大な8番は割と苦手なのが何故だろうと思いますが、何とその8番が大学4年の時のオーケストラの定演に選ばれ、4年生だったこともありますが、出演辞退しました。9番だったら無理しても出ただろうと思いますが(笑) その定演は1985年でしたが、この時の前プロがハチャトゥリアンのガイーヌのレズギンカでした。おそらく皆さんご存じの通り、コーカサス(カフカス)のリズムが躍動する曲で、これは辞退して非常に残念でした。今日の動画はカラヤンの7番ですが、ウィーン・フィルの全曲で上げておきます。カラヤンが推していたクラリネット奏者ザビーネ・マイヤーの入団問題でベルリン・フィルと決別した後のカラヤン最晩年の演奏です。(以下放送原稿を再度)

7番の方もAI回答から抜粋します。
ブルックナーの交響曲第7番は、その美しく流麗な旋律と豊かな響きから、「森林浴」のような癒やしや、壮大な自然の中に身を置くような体験をもたらす名曲として知られています。
この交響曲は、ワーグナー・チューバを用いた温かみのある中低音や、ワーグナーの追悼曲になった第2楽章の美しい弦の響きが特徴であり、心穏やかな時間や、深い森の中で木漏れ日を浴びるような感覚を求める聴衆に親しまれています。

Anton Bruckner – Symphony No.7 in E major – Herbert von Karajan, Wiener Philharmoniker, 1989

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2026年5月 6日 (水)

ブルックナーの4番

今日はブルックナーの4番を全曲で上げておきます。このカラヤンの演奏を最初に聞いたのは79年だったと思います。7番とカップリングの2枚組LPでした。例のポルタメントの箇所は1分49秒辺りです。多分同じ演奏だとは思いますが、少しポルタメントが軽めにも聞こえます。7番は明日に回します。(以下放送原稿を再度)

ブルックナーの交響曲は1曲が1時間は越えますので、一番有名な4番と7番のそれぞれの1楽章の冒頭から5分弱をカラヤン指揮ベルリン・フィルでおかけしておきます。私がこの2曲の冒頭にイメージしていたのは、ずばり「森林浴」ですが、AIに聞いてみると、ほとんど同じイメージで返事が返って来て驚きました。「夕べの魔力 Abendzauber(アーベントツァウバー)」と同じで、何とホルンと言う楽器がぴったり来るのだろうかと改めて思います。そのAI回答から抜粋します。

ブルックナーの交響曲第4番『ロマンティック』は、その神秘的で雄大な旋律から「深い森」「森林浴」のような癒やしや情景を感じさせる名曲として知られています。
第1楽章の冒頭(ブルックナー開始): 深い森の中に迷い込んだような、弦楽器の微かなトレモロから始まり、やがてホルンが響き渡る冒頭部分は、まさに朝霧の立つ森の景色を想起させます。
「ロマンティック」な情景: ブルックナー自身がこの曲を「ロマンティック」と呼び、中世の物語や深いドイツの森の情景を描写したと言われています。
自然との調和: 音楽全体が人為を感じさせない、超自然的な世界(自然の広大さ)を表現しており、聴く人に森林浴のようなリラックス効果や、雄大な自然の中にいるような気分をもたらします。深い森の静寂と、その中で響くホルンの美しさを楽しみたい時に最適な作品です。

一つだけ付け加えておきますと、カラヤンのこの演奏は冒頭少し経ってからのファーストヴァイオリンの音程をすり上げるポルタメントが絶妙だと思います。他の4番の演奏では聞いたことがない技です。

Anton Bruckner — Symphony No.4 in E♭ major — Herbert von Karajan, Berlin Philharmonic, 1971 [SACD]

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2026年5月 4日 (月)

夕べの魔力 Abendzauber(アーベントツァウバー)

ゼアミdeワールド512回目の放送、日曜夜10時にありました。6日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。アーベントツァウバー、同じ音源がありました。ツァウバーは「魔笛」のドイツ名ツァウバーフルーテのツァウバーです。

オーストリアの音楽の16回目です。今回はブルックナーの作品で、ヨーデルの影響がある曲を取り上げます。参考にしたのは前回と同じで「大井駿の「楽語にまつわるエトセトラ」その94  ヨーデル:ベートーヴェンやシューベルトも魅了したアルプスのチロル地方の歌唱」https://ontomo-mag.com/article/column/shun-gakugo94/ というサイトです。

後期ロマン派の作曲家で、マーラーと並び称される長大な9曲の交響曲で有名なブルックナーですが、ヨーデルのパートが入ったこの曲の存在については全く知りませんでした。「夕べの魔力 Abendzauber(アーベントツァウバー)」と言うタイトルが付いているこの曲は1878年に作曲されていて、テノールまたはバリトンの独唱と男声4部の合唱、3人の女声ヨーデルと4本のホルンと言う、大変ユニークな編成です。ホルン、独唱、男声合唱、3声のヨーデルのための曲という表記もありました。楽譜の上から3段目に"Ferngesang(遠くからの声)"とありまして、その下に"Jodler(ヨーデル)"と記してあります。演奏はCamerata Musica Limburg, Jan Schumacher, Samuel Seidenberg, クリストフ・プレガルディエン, Thomas Sonnen, Zia Richter-Sonnen & Michael Armbrusterです。

<Abendzauber, WAB 57 11分18秒>

ブルックナーの交響曲は1曲が1時間は越えますので、一番有名な4番と7番のそれぞれの1楽章の冒頭から4分弱をカラヤン指揮ベルリン・フィルでおかけしておきます。私がこの2曲の冒頭にイメージしていたのは、ずばり「森林浴」ですが、AIに聞いてみると、ほとんど同じイメージで返事が返って来て驚きました。先ほどの曲と同じで、何とホルンと言う楽器がぴったり来るのだろうかと改めて思います。そのAI回答から抜粋します。

ブルックナーの交響曲第4番『ロマンティック』は、その神秘的で雄大な旋律から「深い森」「森林浴」のような癒やしや情景を感じさせる名曲として知られています。
第1楽章の冒頭(ブルックナー開始): 深い森の中に迷い込んだような、弦楽器の微かなトレモロから始まり、やがてホルンが響き渡る冒頭部分は、まさに朝霧の立つ森の景色を想起させます。
「ロマンティック」な情景: ブルックナー自身がこの曲を「ロマンティック」と呼び、中世の物語や深いドイツの森の情景を描写したと言われています。
自然との調和: 音楽全体が人為を感じさせない、超自然的な世界(自然の広大さ)を表現しており、聴く人に森林浴のようなリラックス効果や、雄大な自然の中にいるような気分をもたらします。深い森の静寂と、その中で響くホルンの美しさを楽しみたい時に最適な作品です。

一つだけ付け加えておきますと、カラヤンのこの演奏は冒頭少し経ってからのファーストヴァイオリンの音程をすり上げるポルタメントが絶妙だと思います。他の4番の演奏では聞いたことがない技です。

<Symphony No. 4 in E-Flat Major "Romantic": I. Bewegt, nicht zu schnell 18分14秒~4分位>

7番の方もAI回答から抜粋します。
ブルックナーの交響曲第7番は、その美しく流麗な旋律と豊かな響きから、「森林浴」のような癒やしや、壮大な自然の中に身を置くような体験をもたらす名曲として知られています。この交響曲は、ワーグナー・チューバを用いた温かみのある中低音や、ワーグナーの追悼曲になった第2楽章の美しい弦の響きが特徴であり、心穏やかな時間や、深い森の中で木漏れ日を浴びるような感覚を求める聴衆に親しまれています。

<Symphony No. 7 in E Major: I. Allegro moderato 20分6秒~4分位>

恒例になった「今週のペルシア音楽」ですが、1回目からずっとゼアミdeワールドのテーマ曲にしている仏オコラの「イラン ペルシアの音楽」のマーフールの導入部分の前奏曲にあたるピシュダルアーマドから、器楽の名人芸を聞かせるチャハールメズラブ辺りまでをおかけします。この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。その後のシャヒーディーの独唱と一つずつの楽器の伴奏の部分までは入らないと思います。その箇所は10年前にかけようとして片チャンネル無音と機材が判断して放送事故になり他の曲が流れました。この音源が録音された1970年頃は、片方のパートに音がない時は、その片チャンネルだけ無音になっていたためでした。実はその独唱部分が一番の肝なのですが、なかなか放送で全曲をかけるのは難しい音源です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Abdolvahab Shahidi / Iran musique persane ~Dastagh Mahur 23分53秒>

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2026年5月 1日 (金)

マーフールのタスニーフ

「ペルシア絶唱」のマーフールの演奏で最後に出てきたタスニーフの映像がありますが、これは20年近く前にこのブログを始めた頃にも上げました。サントゥールのメシュカティアン、タールのダリウーシュ・タライーだけ映像から分かりました。演奏者は以下の通りです。パリサーの若い頃の瑞々しい歌が素晴らしいことこの上なしです。2本目がビクターJVCのワールド・サウンズ・シリーズの一枚「ペルシア絶唱/イスラム神秘主義の歌声」の音源です。

歌唱:パリサー
ダリウシュ・サフヴァット博士の指導の下、イラン音楽保存振興グループのメンバーの伴奏:
タール:ダリウシュ・タライ
サントゥール:パルヴィズ・メシュカティアン
トンバク:ナセル・ファルハングファル
カマンチェ:ダヴード・ガンジャエイ
カマンチェ:アルデシール・カムカル
カーヌーン:シミン・アガレジ
イラン、シーラーズでの演奏
(以下放送原稿を再度)

پریسا و گروه نوازندگان مرکز حفظ و اشاعه موسیقی ایرانی - ماهور

先週も言いましたが、世界的な民族音楽学者だった藝大教授の小泉文夫さんが「世界で一番美しい歌」と称賛したのには、彼が晩年近くになって聞いたパリサーの歌がかなり念頭にあったのではと思います。
1978年東京国立劇場でのライヴを収めたこの音源は、ビクターJVCのワールド・サウンズ・シリーズの一枚で、「ペルシア絶唱/イスラム神秘主義の歌声」です。演奏者は、アーヴァーズ(歌)が、ファーテメ・パリサー、S.N.ラザヴィー、セタール、タールのジャラール・ゾルフォヌーン、ネイのモハンマド・ムーサヴィー、トンバクのモルタザー・ハージェアリー・アーヤンです。
マーフール旋法は、先週かけたホマーユンとは対照的に明るく威厳があり、ここでもパリサーはタハリールの装飾技巧を華やかに聞かせています。

<Fatemer Vaezi Parisa  Mahur: Poems Of Sheykh Bahai And Hafez 10分47秒>

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