文化・芸術

2011年8月17日 (水)

モラエスと徳島

モラエスについての映像が2本ありました。例のNHK徳島のドキュメンタリーで旅人として出演されていた藤原正彦氏は、「八甲田山 死の彷徨」などの山岳小説で有名な新田次郎氏の次男ですが、新田氏は未完に終わった『孤愁 サウダーデ』という作品を残していて、その経緯があってのポルトガルと徳島訪問だったようです。新田氏が何故モラエスに関心を持ったのか、も興味深いですが、モラエスはラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と並んで、明治・大正期の日本を真に捉え、西洋に紹介した作家ですから、「国家の品格」を書かれた藤原氏としては二重に関心を持たれたのでしょう。絶筆になった父の「孤愁」(何と秀逸な訳語でしょうか!)を完結させることも計画されているようでした。

神戸にいた頃に芸者をしていたおヨネさんを見初めた話、不治の病に苦しんだおヨネさんは臨終の際、しっかりとモラエスの手を握って亡くなったこと、彼女の没後その故郷徳島に移り住み、ヨネの姪である斎藤コハルと暮らすが、コハルさんにも先立たれること、愛する二人を失った後も徳島に残り、時に老いた「西洋乞食」とさげすまれながらも、二人の愛する阿波女性の供養を続け、孤独の内に没したというエピソードに、深く感じ入りました。感動を禁じえなかったです。
現在モラエスとおヨネさん、コハルさんの墓は、徳島市内の潮音寺に並んで立っています。(こちら参照)

『孤愁 サウダーデ』ですが、絶版のようです。モラエスは「徳島の盆踊り―モラエスの日本随​想記」 (講談社学術文庫)という本も書いていますが、これも絶版のようで、残念です。(以下はグーグル・ブックスの書評

徳島の盆踊り: モラエスの日本随想記
本書は、モラエスが終の栖と定めた徳島から祖国ポルトガルの新聞に連載した記事をまとめたもので、一市井人の眼で捉えた大正初期の日本人の生活と死生観が讃嘆をもって語られる。殊に死者を迎える祭り「盆」への憧憬は、孤愁の異邦人に愛しい死者との再会を夢想させる。吉井勇が「日本を恋ぬ悲しきまでに」と詠じたモラエスの「日本」が、現代の日本人の心奥に埋没した魂の響を呼び起こしてくれる。

モラエス館 - 地域情報動画サイト 街ログ

モラエス

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