純邦楽

2019年1月11日 (金)

「鹿の遠音」と「この道」

そろそろお屠蘇気分も完全に抜けた頃でしょうが、今週は6日のお正月放送の関連動画で行きます。今回「春の海」について調べていて、青木鈴慕さんが去年の8月に亡くなられていたことを初めて知りました。20年余り前、邦楽ジャーナル誌上でよく拝見したのをつい先日のように思い出しました。追悼として横山勝也さんとの虚無僧尺八の名曲「鹿の遠音」を上げておきます。
スコットランドとのハーフのテノール歌手、藤原義江の蓄音機動画もたくさんありますが、山田耕筰の「この道」を選びました。1928年録音のようです。

鹿の遠音(青木鈴慕・横山勝也)/Shika No Tohne(Aoki Reibo&Yokoyama Katsuya )

藤原義江 Yoshie Fujiwara - この道 (1928)

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2019年1月 9日 (水)

松竹梅

月曜のラストに上げました生田流二代目宗家の宮城喜代子と琴古流尺八の青木鈴慕の「春の海」も非常に素晴らしかったのですが、そのリンクに松竹梅という曲がありまして、オールスターキャストのような演奏者の豪華さにまず驚きました。米川敏子、藤井久仁江、川瀬白秋、矢崎明子、深海さとみ(以上・三弦)米川文子、中島靖子、後藤すみ子、野坂恵子、吉村七重、米川文清(以上・箏)尺八・青木鈴慕と、大御所が揃っています。筝、三味線、尺八という編成ですので、三曲かと思ったら、筝曲と出ています。どちらでしょうか? (皆さん暗譜というのにも驚いてしまいますが)

『松竹梅』

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2019年1月 7日 (月)

今年も春の海と六段から

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。結局ブログアップは大晦日以来になりました。ゼアミdeワールド142回目の放送、日曜夕方に終りました。9日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。放送されるのは本放送が6日と言うことで、辛うじて松の内です。

お正月と言えば、宮城道雄の「春の海」を思い出す方が多いのでは、と言う風に一昨年と去年も始めましたが、これまでにかけてない音源を中心に選んでご紹介します。1930年の宮中歌会始の勅題として公示されていた「海辺巌(かいへんのいわお)」に因んで、前年の暮れに作曲した筝と尺八の二重奏曲で、宮城道雄の父の出身地である広島県の鞆の浦を訪れた際の、瀬戸内海の印象を三部形式に乗せて標題音楽風に作曲したこの曲は、今では彼の代表作として親しまれています。正月中はどこに行っても耳にする曲ですが、この曲だけの色々な編成の録音を集めた「春の海 大響演」という2枚組が出ておりまして、その盤からのご紹介です。

一昨年もかけましたが、まずは宮城道雄の自作自演でどうぞ。正月中はどこでもかかっている曲ですが、意外に自作自演を耳にする機会はほとんどないと思います。尺八は初演を勤めた吉田晴風です。
<1 春の海(オリジナル) 6分30秒>
春の海 宮城道雄自作自演


一昨年の正月は、宮城道雄の演奏で、筝の代表的名曲として有名な六段もかけましたが、今回はこの曲を米川文子さんの演奏で聞きたいと思います。初代米川文子さんは著名なロシア文学者の米川正夫氏の妹で、1894年生まれ1995年没の生田流箏曲家です。初代の録音はなかなか珍しいのではと思います。この侘び寂感溢れる美しい曲を書いたのは、江戸時代前期の近世筝曲の祖、八橋検校とされています。

<米川文子 / 六段 6分33秒>
OTAKARA発見隊 筝曲家 米川文子さん

こちらは二代目米川文子さんの紹介番組

「春の海」に戻りまして、1898年生まれの往年の名テノール歌手、藤原義江の管弦楽伴奏歌曲版もありますので、こちらをどうぞ。山田耕筰の歌曲の名唱などで知られるスコットランド人とのハーフの歌手です。

<4 春の海 藤原義江 3分16秒>
藤原義江 Yoshie Fujiwara(Ten.) - 春の海 Haru no Umi (1933)


「春の海」の琴と尺八の組み合わせは他に、宮城道雄の後を継いだ生田流二代目宗家の宮城喜代子と琴古流尺八の青木鈴慕の79年の録音と、宮城道雄にも師事した作曲家でもある唯是震一と都山流尺八の山本邦山の録音などが入っておりまして、特に尺八に芸風の違いが聞こえて興味深いのですが、今回は2018年8月21日に亡くなった二代目青木鈴慕氏の方をおかけしたいと思います。唯是震一と山本邦山の方は、また来年にでもおかけします。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<6 春の海 宮城喜代子と二世青木鈴慕 6分44秒>
”Haru no Umi” 「春の海」

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2018年1月25日 (木)

篳篥の魅力

雅楽における旋律楽器の篳篥は、西域のドゥドゥクやメイと兄弟のような楽器で、一方西洋のオーボエの祖先の古楽器ショーム(:Shawm)のルーツを辿ると、中東のズルナになるようです。柔かい音色のドゥドゥクやメイと、けたたましいズルナも、親戚と言っていいダブルリード管楽器だと思いますが、柔かいグループのはずの篳篥が、結構けたたましかったりするのも面白いです。篳篥の話を、篳篥奏者の中村さんの映像で聞けました。メイなどの話も出てきました。中村さんには20年余り前に東京で勤務していた店で一度お会いしたことがありますが、西域のルーツも視野に入れた活動もされているのは、この映像で初めて知りました。楽器のルーツから雅楽を聴きなおす必要性を改めて感じました。メイを吹かれているところも、是非見てみたいものです。

「クラシック・ニュース」 篳篥奏者:中村仁美リサイタル!篳篥の魅力は!

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2018年1月24日 (水)

ドゥドゥク、バラバン、メイの聞き比べ

雅楽の篳篥のルーツは、中央アジアの亀茲国にあるそうです。亀茲は現在のウイグルのクチャ辺りで、2000年前の当時はアーリア人(インド系?)が住んでいたようです。このダブルリードの笛が東に亘って日本の篳篥になり、西に行った方はアルメニアのドゥドゥクやクルドのバラバン、トルコのメイになったと考えられます。アルメニアは亀茲国時代とアーリア繋がりでもあります。トルコも元はビザンツのギリシア人やクルド人、アルメニア人が住んでいたので、同じと言えば同じでしょうか。
音色の類似は明らかですが、それぞれの個性が、それぞれの民謡を引き立てます。実はメイだけ20年余り前から持っておりまして、久々に吹いてみましたが、大体1オクターブほどしか音域はないようです。狭い音域ですが、細かいメリスマを哀感を込めて表現できる楽器としては傑出していると思います。1本目はドゥドゥク、バラバンの順に吹いているようですが、メイは演奏寸前で終わっているようです。しかし、循環呼吸を上手く取り入れて、息継ぎ無しで演奏しています。2本目はメイの独奏ですが、なるほどこういうメリスマ(コブシ)を付けるのかと、大変参考になります。トルコのウズン・ハワに合うのは、やっぱりこの音色です。今週は後は、篳篥やオーボエとの聞き比べ、そして何よりもガスパリアン御大の動画があれば是非アップしたいと思っております。

Mey - Duduk - Balaban - Traditional Music of Turkey with Wooden Instruments

Mey İle Ne ağlarsın benim zülfü siyahım

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2018年1月 8日 (月)

今年も「春の海」から

ゼアミdeワールド90回目の放送、日曜夕方に終りました。10日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。今回の放送はFMでは無事流れましたが、サイマルラジオとTuneinのネットラジオ環境では、ネットワークトラブルのため流れませんでした。時々こういうことがありますが、新年の一回目がネットで流れなかったのは残念です。原因を聞いておきます。黒柳さんの父と天満さんのヴァイオリン版は、さすがにyoutubeにはないと思いますので、去年も上げましたが、ルネ・シュメーのヴァイオリンに宮城道雄の自作自演の定番演奏を上げておきます。

宮城道雄:春の海 シュメー Chemet


明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。と新年のご挨拶をしましたが、ラヂオバリバリが30日から5日までお正月休みですので、実は12月27日に収録しております。選曲のために一足早いお正月気分を味わっておりました(笑) 放送されるのは本放送が7日と言うことで、辛うじて松の内です。

お正月と言えば、宮城道雄の「春の海」を思い出す方が多いのでは、と去年も始めましたが、去年かけてない音源を選んでご紹介します。1930年の宮中歌会始の勅題として公示されていた「海辺巌(かいへんのいわお)」に因んで、前年の暮れに作曲した筝と尺八の二重奏曲で、宮城道雄の父の出身地である広島県の鞆の浦を訪れた際の、瀬戸内海の印象を三部形式に乗せて標題音楽風に作曲したこの曲は、今では彼の代表作として親しまれています。正月中はどこに行っても耳にする曲ですが、この曲だけの色々な編成の録音を集めた「春の海 大響演」という2枚組が出ておりまして、その盤からのご紹介です。

まず宮城道雄の自作自演ですが、尺八は広門伶風(ひろかどれいふう)という人で、宮城道雄の肉声と、奈良岡朋子による宮城道雄の随筆からの朗読、更に露木茂の解説が入ります。尺八の広門伶風は、この曲の初演を勤めた吉田晴風の弟子とのことです。

<2-6 春の海(朗読入り) 9分14秒>

宮城道雄の筝とヴァイオリンでの演奏は、喝采を博したルネ・シュメーとの録音の他に、黒柳徹子の父である黒柳守綱との演奏も入っておりまして、この方はN響などでコンサートマスターを勤めた人です。ルネ・シュメーのような時代がかった派手さはないですが、堅実な演奏をされる方です。

<1-5 春の海(箏とヴァイオリンによる) 6分53秒>

変り種として、南米のフォルクローレに使われる縦笛ケーナと琴による演奏も入っております。アルゼンチンのケーナの名手ウニャ・ラモスが1978年に来日した際の録音で、琴は当時宮城合奏団のプリマ奏者だった砂崎知子です。少しフォルクローレ風になっている部分もありますが、元々この曲とフォルクローレの音階は結構近いと思います。

<2-1 春の海(箏とケーナによる) 4分13秒>
春の海 ケーナ演奏 Haru No Umi (The Sea In Spring)

やはりウニャ・ラモスでは無いので、他のケーナ奏者の演奏ですが。

ここで、少し宣伝を入れたいと思います。
2月4日に今治中央公民館で第11回今治総合芸能祭がありまして、今年はヴァイオリンで出ます。時間は1時からで3番目です。琴と尺八の葉風会とヴァイオリン、ダンスのコラボで、編成は似ていますが、「春の海」が邦楽の枠内だったのに対して、森岡章作曲の「月に寄する三章」という曲は、昭和40年代の雰囲気が色濃く感じられるナツメロのような、昔のラジオドラマの音楽のような曲調です。2曲目はペルシアの舞曲レングに似た感じにも聞こえます。宜しければ是非お越し下さい。

では、最後にポルンベスクのバラーダ(「望郷のバラード」のタイトルで日本では知られます)の名演で知られる天満敦子のヴァイオリンと、砂崎知子門下の遠藤千晶の2011年10月のライブ録音を聞きながら今回はお別れです。天満さんの1993年発売のアルバム『望郷のバラード』は、クラシックとしては異例の5万枚を超える大ヒットとなり、東欧革命前夜のルーマニアを舞台に、この曲をめぐる謎とヴァイオリニストの恋愛を描いた高樹のぶ子の小説『百年の預言』のヒロインは、天満さんをモデルとしています。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<2-4 春の海(箏とヴァイオリンによる) 7分38秒>

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2018年1月 4日 (木)

ベートーヴェンのSQ15番と高砂の千秋楽

明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。
ゼアミdeワールド89回目の放送、大晦日の夕方にありました。年は明けておりますが、いつも通り放送内容をアップしておきます。あと20秒ほどがどうしても入らなかったので、やむを得ず、オープニング曲の頭と、3楽章の解説の一部を削りました。以下の放送原稿には全て載っております。また、何とか時間内に収めようと慌てていたものですから、付祝言の所で、観世流宗家を宗曲と間違って言っておりました。ベートーヴェンの方は、ブダペストSQのyoutubeでは5楽章までの全曲のみのようでした。

放送されるのは31日大晦日の夕方のみで再放送は無しと言うことで、相応しい音楽を色々考えておりました。紅白の前に例えばナツメロとかを聞いて頂くのが良いか、ベートーヴェンの第九か、迷いましたが、前者は今一つ選曲が絞れないので、また来年にでも回すことにしまして、今回はベートーヴェンの音楽にしたいと思います。

今日おかけするのは、交響曲第九番に近い時期に作曲されて、似た感じのテーマ性を感じさせる後期の弦楽四重奏曲から第15番の第3楽章と第5楽章です。民族音楽を中心に聞きながらも、バッハの音楽やベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲などは、昔から変わらず聞き続けている西洋クラシック音楽です。ヌーヴェルヴァーグの監督J.L.ゴダールの映画にも絶妙に引用されていたことは、好事家の方はよくご存知かと思います。

この15番のカルテットは、全部で5楽章から成っていますが、その中でゆったりとした第3楽章は白眉の部分とされています。第九のラストを飾る歓喜の合唱と共通するものを感じる、ベートーヴェン晩年の深い音楽です。

以下ウィキペディアの解説を読み上げてみます。

第3楽章 "Heiliger Dankgesang eines Genesenen an die Gottheit, in der lydischen Tonart" Molto Adagio - Andante
ヘ調のリディア旋法、五部形式
「リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」と題された、最も長い楽章。全体のクライマックスに位置している。ゆっくりとしたヘ調の教会旋法による部分と、より速めの「新しい力を得た」ニ長調の部分の交替で構成される。この楽章は、ベートーヴェンが恐れていた重病から快復した後に作曲されたため、上記のような題名が付された。

<3 Beethoven String Quartet No.15 In A Minor, Op.132 - 3. Molto Adagio 16分18秒>
Beethoven - String quartet n°15 op.132 - Budapest


続きまして4楽章を飛ばして終楽章の第5楽章ですが、「失われた時を求めて」で知られるフランスの小説家マルセル・プルーストが、「ベートーヴェンでは、後期のピアノソナタや弦楽四重奏曲第15番の最終楽章を好み、真夜中に自室に楽団を呼んで演奏させたこともある」というエピソードを読んだことがあります。当時の有名なカペー弦楽四重奏団だったのかも知れません。この楽章の主題にはもの凄い秘話がありまして、実は第九の終楽章の主題として予定されていたそうです。それがあの合唱付に差し替えられました。もしこの曲が採用されていたら、憂いを含みながら素晴らしく情熱的で力動感溢れる名旋律ではあっても、器楽曲ですから、年末に第九が恒例になるようなことはなかったのではと思います。ブダペスト弦楽四重奏団の60年代の演奏でどうぞ。

<5 Beethoven String Quartet No.15 In A Minor, Op.132 - 5. Allegro Appassionato 6分33秒>

では、最後にゼアミらしく謡曲「高砂」の有名な部分を聞きながら、今回はお別れです。
世阿弥作のお能の名曲「高砂」と言えば、結婚式に謡われる「高砂やこの浦舟に帆を上げて」の祝言の小謡でよく知られますが、ラストの「千秋楽は民を撫で」の部分が大晦日に相応しいように思いました。謡うのは観世流宗家の観世清和氏です。私が95年に習ったのは喜多流謡曲ですが、観世流の謡いは5流の中では一番近く感じます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。皆様どうぞ良いお年をお迎え下さい。

<3 観世流初心小謡集 高砂~千秋楽は民を撫で 37秒>
DVD実践編3 謡「千秋楽」

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2017年1月11日 (水)

春の海 (箏とヴァイオリンによる)

9日にはオリジナルの筝とヴァイオリン版がすぐに見当たりませんでしたが、ありました。フランスの女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと宮城道雄のこの1932年の共演から、「春の海」が広く知られるようになりました。会場で聞いていた小説家の川端康成が、初演の感動の光景を記したと言う小説「化粧と口笛」も非常に気になりますが、文庫には入っていないようです。シュメーのヴァイオリンの音は、今ではオールドスタイルのようにも思いますが、それが返ってこの曲にはあっているようにも思います。ヴァイオリンでは広く弾かれている曲で、実は手元に楽譜がありまして、去年はこの曲でヴァイオリンの弾き初めをしました。筝曲関連にしては、音階が地唄と違って民謡的なところ、それなのに泥臭くはならず、雅びさが溢れている点がユニークな曲だと思います。

宮城道雄:春の海 シュメー Chemet

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2017年1月 9日 (月)

春の海 自作自演

ゼアミdeワールド39回目の放送、日曜夕方に終りました。11日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。と新年のご挨拶をしましたが、ラヂオバリバリが元旦から5日までお正月休みですので、実は12月28日に収録しております。選曲のために一足早いお正月気分を味わっておりました(笑)

お正月と言えば、宮城道雄の「春の海」を思い出す方が多いのではと思います。正月中はどこに行っても耳にする曲ですが、この曲だけの色々な編成の録音を集めた「春の海 大響演」という2枚組が出ておりますので、こちらからご紹介して行きます。筝と尺八のオリジナルに始まり、筝とヴァイオリン、筝とフルート、筝と南米のケーナ、筝と二胡、スコットランド人とのハーフの往年の名テノール歌手藤原義江のオーケストラ伴奏など、様々な演奏が入っております。

まず宮城道雄の自作自演でどうぞ。尺八は初演を勤めた吉田晴風です。
<春の海(オリジナル) 6分30秒>
春の海 宮城道雄自作自演


宮城道雄の父の出身地である広島県福山市鞆の浦を訪れた際の、瀬戸内海の印象を三部形式に乗せて標題音楽風に作曲したこの曲は、今では彼の代表作として親しまれていますが、吉田晴風との1930年の初演の評判は芳しくなかったそうです。
この曲が一躍有名になったのは、1932年に演奏旅行で来日していたフランスの女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと共演してからと言われています。日本音楽に触れるために宮城道雄を訪ねた彼女が一番感動したのが、この「春の海」で、早速尺八パートをヴァイオリン用に編曲して宮城道雄とコンサートで演奏したら、大喝采を受けたそうです。会場で聞いていた小説家の川端康成が、その感動の光景を小説「化粧と口笛」に記しています。その宮城道雄とルネ・シュメーの演奏を次にどうぞ。

<春の海(箏とヴァイオリンによる) 6分13秒>

宮城道雄の筝とヴァイオリンでの演奏は、他に黒柳徹子の父である黒柳守綱などとの演奏も入っておりまして、この方はN響などでコンサートマスターを勤めた人です。一曲が6分余りずつありますので、余りかけられませんが、次にフルートのガッゼローニと三代目宗家の宮城数江の1972年録音をかけてみましょう。1956年の宮城道雄の没後では、最初のこの曲の録音です。ガッゼローニと言えば、ジャズの鬼才エリック・ドルフィーのフルートの師匠としても知られ、ドルフィーのアルバムOut to LunchにGazzelloniと言うオマージュ曲が入っていました。

<春の海(箏とフルートによる) 7分1秒>

ここで、少し宣伝を入れたいと思います。
2月5日に今治中央公民館で第10回今治総合芸能祭がありまして、私もチェロで出ます。時間は1時からですが、開演前のウェルカム演奏を私が担当することになりました。緞帳前でのウェルカム演奏が12時半からで、1演目目が1時過ぎからの予定です。1演目目の「序の舞」にもチェロで出ます。お能の橙黄会、未来演劇Kプロジェクトジュニア、山田逸朗さんの写真に、私のチェロのコラボです。宜しければ是非お越し下さい。ウェルカムでハイドンの皇帝第2楽章のチェロパート、エルネスト・ブロッホの祈り、J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲3番サラバンド、5番ジーグ、「序の舞」では、春をイメージさせる序の舞の能管をベースに、J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲1番からサラバンド、アルマンド、プレリュードをこの順に弾く予定です。

では、最後に宮城道雄の演奏で、筝の代表的名曲として有名な六段を聞きながら、今回はお別れです。この侘び寂感溢れる美しい曲を書いたのは、江戸時代前期の近世筝曲の祖、八橋検校とされています。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。また来週

<宮城道雄 / 六段 5分52秒 抜粋>

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2017年1月 6日 (金)

三味線での六段

地唄筝曲の三味線による六段もありました。三味線独奏と、三味線二重奏と尺八の2種類ありますが、筝の奏法を模しているような部分もかいまみえます。2本目の尺八は当店でCDの扱いがある善養寺惠介さんです。14年ほど前にトッパンホールでの独奏を聞きに伺ったことがあります。虚無僧尺八の枯淡の世界でした。
三曲の合奏になるのでしょうか、筝、三味線、尺八の合奏もありましたが、元の筝曲の深い味わいが薄まるようにも思いました。

地唄箏曲美緒野会 - 六段の調  MIONOKAI - Rokudan-no-Shirabe

地唄箏曲美緒野会 - 六段の調  Mionokai - Rokudan no Shirabe 2016/04/10

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