純邦楽

2022年1月14日 (金)

岡本文弥さんと岡本宮之助さん

90年代に岡本文弥さんのバックで三味線伴奏していたのは、奥さんの宮染さんと岡本宮之助さんでした。詳しく家系に付いては知らなかったのですが、今回調べて、三味線を弾いていた奥さんは五世・岡本宮染(平成17年に92歳で死去)、上調子の宮之助さんは三世・岡本宮之助(三世・岡本宮古太夫)で、彼は四世・岡本宮染の孫で、岡本文弥さん(平成8年に101歳で死去)は大叔父に当たることが分かりました。 あの男前の宮之助さんも還暦近いようですが、新内節岡本派の後継者として膨大な文弥さんの作品を継承されているそうです。いつか東京に聞きに行きたいものです。
動画の蘭蝶は、文弥さんの私家版カセットに入っていた古風蘭蝶です。通常はカットする部分を全て語っています。2本目は文弥さんの90年代の映像で宮染さんと宮之助さんも出てきますが、ここでは宮之助さんが三味線、宮染さんが上調子です。

『若木仇名草(蘭蝶)』より抜粋 ー 新内節・岡本宮之助「文・藝・会」

至芸の時 岡本文弥(2)

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2022年1月13日 (木)

新内流し

今回久々に新内のYouTubeを検索したら、色々出て来て驚きました。数年前はほとんどなかったのですが。時代劇でも有名な新内流しですが、吉原の遊女供養の新内浄瑠璃流しと、新内仲三郎さんと息子の剛士さんの演奏が、二挺三味線の演奏風景も分かって特に素晴らしく思いました。
吉原の遊女供養の方で上調子(枷と言うカポタストのようなものを付けて4度上げた三味線)を弾いている杉浦さんには、99年の邦ジャの和音のオープニングでお会いしたことがあります。胡弓の演奏家としても有名な方です。新内所縁の地として、吉原神社も行きましたが、遊女の投げ込み寺として有名な三ノ輪の浄閑寺にも、96年の4/29の荷風忌に行きました。「生まれては苦界 死しては浄閑寺」の川柳でよく知られる浄土宗の寺です。新吉原総霊塔だけでなく有名な筆塚も見てきましたが、永井荷風は新内は好まなかったようです。
2本目の新内仲三郎さんは人間国宝で、現在の新内三味線と新内語りの最高峰でしょう。息子の新内剛士さんと娘の新内仲優莉さんの新内流しを96年に江戸東京博物館で聞く機会がありまして、大変に魅了されました。あれから早25年、びっくりです。

吉原で遊女供養の新内浄瑠璃流し

六代目新内仲三郎/新内剛士

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2022年1月12日 (水)

ペルシアの歌と新内

「あと十分で死ぬと言う時に、何か二曲だけ音楽が聞けるとしたら、まず私が世界中で一番好きなイランの歌、その次に新内を聴きたい。」と言う故・小泉文夫氏のコメントで気になり続けていたのは、それぞれ具体的に誰かの歌唱のイメージがあったのではと言う点です。
イラン(ペルシア)なら、1978年の東京国立劇場でのファーテメ・パリサーが歌った艶美の極みのホマーユンか、晴朗なマーフールの歌唱が念頭にあったのかも知れません。ビクターJVCの「ペルシア絶唱」と言うCDのタイトルそのものの絶美の歌唱でした。両録音は、1980年に柘植元一氏のNHKFM「世界の民族音楽」で流れました。因みにゼアミブログでのHNと、ラヂバリでの私のパーソナリティ名「ほまーゆん」も、ここから取っています。パリサーでないとしたら、小泉さんの著書の中で触れられていたダシュティ旋法のデイラーマンかも知れません。揺蕩うような旋律が極めて美しい曲です。デイラーマンなら、おそらく往年の男性歌手バナーンの歌唱でしょう。
そして新内の方ですが、例の岡本文弥さんのテイチクの7枚シリーズ(2014年に再発されています)の故・江波戸昭先生の解説に「小泉さんが好きだった新内」についての一文がありましたので、更に気になるところです。このシリーズは文弥さん晩年の90代の録音でした。1996年に谷中のお宅まで私家版のカセットを頂きに伺ったことがありまして、奥様の宮染さんに応対して頂きました。奥の方に文弥さんもいらっしゃいましたが、96年は暑い夏で大変そうでした。カセットの録音はおそらく60、70年代くらいでしょうか。これら昔の録音は凛とした歌声で更に素晴らしいのですが、一般に市販されていないのが残念です。女流なら70、80年代頃に一番脂が乗っていただろう花園一声さんとか鶴賀須磨寿々さん辺り、小泉さんも生で聞く機会があったのではと思います。私も昔コロムビア盤を愛聴した女流新内語りのお二人です。花園一声さんは、昔「蘭蝶」のLPを手に入れましたが、これもCD化はされていません。
今日の動画は、富士松加賀太夫 (1856-1930) の歌う四谷の段で、文弥さんより更に上の世代の江戸時代末期生まれの名人の貴重な記録です。今の新内と、かなり節が違います。ペルシアの歌については、今日は動画は上げませんが、前にブログに色々書いていますので、宜しければカテゴリーから辿ってみて下さい。

Vintage Japanese Music-RANCHOU (imasara iumo) 蘭蝶(今更言うも過ぎし秋) 富士松加賀太夫

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2022年1月10日 (月)

新内節「蘭蝶」

ゼアミdeワールド292回目の放送、日曜夜10時にありました。12日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。YouTubeですが鶴千代師匠の70年代のビクター音源はありませんが、数年前の「縁でこ」がありました! 皆さんお元気そうで何よりです。

新年の一回目ですので、まずは新年のご挨拶からになります。あけましておめでとうございます。本年もお聞き頂けましたら嬉しい限りです。どうぞよろしくお願い致します。

ルーマニア音楽巡りの途中ですが、これまで新年には「春の海」を中心に純邦楽をかけてきました。今年は初回が9日ですが、ほぼ正月とお盆にしか日本の音楽を入れられてないので、今年も日本の音楽を取り上げておきます。世界中の音楽を回ってからでは30年後位になるかも知れませんので(笑) 
今年はお正月らしくない音楽ですが、自己紹介も兼ねて新内節の有名な曲「蘭蝶」をおかけします。まだ東京の方に住んでいた98年頃に新内に入門していた件は、6年前にこの番組が始まった頃に少しお話したことがあります。太夫の付いた名前も頂いて、三味線の上調子では何度も日本橋三越や宴席などでの出番がありました。その経緯などが分かる一文として、95年に某雑誌に書いた拙稿から抜粋して読み上げてみます。

 「あと十分で死ぬと言う時に、なにか二曲だけ音楽が聞けるとしたら、まず私が世界中で一番好きなイランの歌、その次に新内を聴きたい。」これはあの世界的な民族音楽学者、故・小泉文夫氏の言葉である。世界中の音楽を訪ね、聴きつくした小泉さんが語った言葉だけに重い。
 14年ほど前にテイチクから、故・岡本文弥さんの自作曲の素晴らしい7枚シリーズが出ていた。文弥さんの淡々とした語りで「情」の音曲が演じられる時、「粋(いき)」の極致を聞く思いであった。文弥さんが101歳で亡くなったのは96年。テイチク盤も廃盤になって久しく、「新内(しんない)」と言うジャンルを耳にする機会がすっかり減ったと思うのは筆者だけだろうか。
 新内はリズミカルな音楽ではない。これが現代人に今ひとつ受けない理由だろうか。「間」が伸びたり縮んだりする音楽と言う点では、ペルシアの声楽とも通じる部分がある。節回しも表の声と裏声を交錯させる非常にテクニカルな歌唱で、小泉さんも新内と義太夫は、専門的訓練を積まなければ面白さの片鱗も表せない難しい音楽だと語っていた。
 歌舞伎の伴奏音楽として発達した同じ江戸系浄瑠璃の常磐津、清元、河東などと違い、吉原を中心とした遊廓の座敷芸、あるいは吉原被りに着流し姿の二挺三味線の新内流しが時代劇でお馴染みの流しの音楽として伝承されてきた新内は、テーマとしては遊女の悲恋物語、心中物が多い。
小泉さんの言葉がずっと頭にあって、謡曲で邦楽に目覚めた後、ちょうど文弥さんが亡くなった1996年、筆者は新内に入門した。師匠は富士松鶴千代さんという女流名人で、ビクター邦楽名曲選に入っている「蘭蝶」のサワリの部分に完全にはまっての入門だった。多少でも興味を持たれた方は、論より証拠、一度耳にされてみてはいかがだろうか。色々音楽をかじった人こそ、日本人のDNAが騒ぐことは請け合いである。

特に有名な部分が「四谷で初めて逢うた時~」と始まる遊女・此糸から男芸者・蘭蝶へのクドキ「四谷の段」と、蘭蝶の女房・お宮から此糸へ切々と縁切りを頼む「縁でこそ」の2か所ですので、「縁でこそ」(通称・縁でこ)の部分まで続けておかけします。最初の「名にし負う 隅田に添いし流れの身~」の節から好きなもので、最初からおかけします。サワリのほとんどは富士松鶴千代さんが歌っていますが、語りの部分では富士松鶴千代さんが此糸、富士松小照さんがお宮の役です。

<新内名曲集  蘭蝶 若木の仇名草 最初~21分35秒>

では「縁でこそ」の続きを時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<新内名曲集  蘭蝶 若木の仇名草 21分35秒~>

富士松鶴千代 の世界「蘭蝶」

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2022年1月 7日 (金)

沢井忠夫、沢井一恵、山本邦山の「春の海」

今日までは松の内ですので、もう一度「春の海」です。沢井忠夫、沢井一恵、山本邦山の演奏は初めて聞きました。これはLPだけだったのでしょうか。端正で瑞々しく大変美しい演奏です。ゴールドブレンドのCMにも出ていた沢井忠夫さん、亡くなられたのはもう25年も前になりました。こないだのようですが、1997年が25年前と言うこと自体、驚きです(笑) 沢井一恵さんは、前にいた会社でフォーラムに出て頂いたように思います。宮城道雄に師事されていたのは、今回初めて知りました。おそらく晩年でしょう。この盤の曲目は以下の通りです。名曲・六段もあります。八段も聞きものです。

決定版 琴名曲撰   沢井忠夫、沢井一恵

春の海 宮城道雄作曲 0:00
君が代変奏曲 沢井忠夫編曲 7:05
八段 八橋検校作曲 12:01
六段 八橋検校作曲 20:55
数え唄変奏曲 沢井忠夫編曲 27:50
箏と尺八の二重奏“壱越” 31:52
越天楽変奏曲 沢井忠夫 42:12
瀬音 宮城道雄作曲 49:24
春の曲 吉沢検校作曲 55:00
さくらさくら変奏曲 沢井忠夫編曲 1:02:45
みだれ 八橋検校作曲 1:08:43
千鳥の曲 吉沢検校作曲 1:17:32

琴   沢井忠夫・沢井一恵
尺八  山本邦山
十七弦 宮本幸子

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2022年1月 4日 (火)

宮城道雄の自作自演「春の海」

今年はゼアミdeワールドの初放送が9日ですので、ブログは12/29から書いてなくて、ゼアミHPのお正月モードへの更新もバタバタしていて忘れておりました。遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。Cafeトークトーク共々、今日4日からやっております。
民族音楽専門レーベルは次々閉じていたり、レーベル自体で品切れ再プレス予定無しが多かったり、取引状況が変わって取れなくなったり等で、めぼしい新譜は非常に少なくなっていますが、これはと言うアイテムがないか、常に目を光らせています。
毎年上げている動画ですが、宮城道雄の自作自演で「春の海」を今年も上げておきます。この曲は、やはりこの演奏が一番です。

春の海 宮城道雄自作自演
箏:宮城 道雄/尺八:吉田 晴風(琴古流)

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2021年1月 8日 (金)

瞽女歌と民謡

短いお正月休みが終わり、強い寒波がやってきました。店のガスの給湯管が凍結するトラブルで今日はブログを書くのも遅くなり、正月気分も完全に抜けていますが、ごぜうたのドキュメンタリーと、民謡歌手・川崎千恵子さんの長尺一本を上げておきます。瞽女さんの歌を初めて聞いたのは、杉本キクイさんの演奏を収めた90年代前半のカセットブック「瞽女さん」でした。凛としたお声と撥さばきに聞き入りました。オフノートの高田瞽女編でも妙技を聞けます。来年の正月には、今回かけられなかった杉本キクイさんの春駒を是非入れたいと思います。3本目は「最後の瞽女」小林ハルさんのドキュメンタリーです。川崎千恵子さんは秋田生まれと言うことなので、やっぱり秋田長持唄が特に良いと思いましたが、残念ながら喜代節はこの中にはありませんでした。

ごぜうた

ふるさと民謡集  川崎千恵子

最後の瞽女 小林ハル 津軽三味線の源流 The Last Goze, a blind female strolling musician,Kobayashi Haru

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2021年1月 7日 (木)

「春の海」自作自演、謡曲「高砂」、民謡、瞽女唄、新内

ゼアミdeワールド241回目の放送、水曜夜8時半にありました。今回の放送は6日のみです。
明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。

お正月と言えば、どこに行っても宮城道雄の「春の海」が聞こえてきますが、この曲だけの色々な編成の録音を集めた「春の海 大響演」という2枚組から4年連続でご紹介してきました。今年はさすがにまだかけてない音源は減ってきましたが、今回も宮城道雄の自作自演をまずおかけしたいと思います。尺八は初演を勤めた吉田晴風です。(放送では、瞽女唄まで入らないので、後半の再現部分をカットしフェイドアウトしました。分かった方は、「春の海」の通だと思います(笑))

<春の海 宮城道雄自作自演 6分25秒>
春の海 宮城道雄自作自演

今回の「春の海」は宮城道雄の自作自演だけにしておきまして、後は他の邦楽曲をご紹介します。
正月がテーマではありませんが、結婚式でよく歌われる世阿弥作のお能「高砂」の、高砂やこの浦船に帆を上げて、の部分と、四海波静かにて、千秋楽は民を撫で、の3か所は祝言の謡いとして非常に有名ですので、今回取り上げておきます。この番組を始めた時にお話ししましたが、謡曲を26年前に少し習ったことが大きな転機になりまして、25年前の開店時にゼアミと言う店名にしました。私が習っていた喜多流の往年の大名人・喜多実の独吟です。能の5流それぞれの小謡集も手元にありますが、今年はこちらをおかけしておきます。

<2 喜多流 祝言小謡集 喜多実  高砂 四海波静かにて 1分13秒>
<4 喜多流 祝言小謡集 喜多実  高砂 高砂やこの浦船に 1分27秒>
<30 喜多流 祝言小謡集 喜多実  高砂 千秋楽は民を撫で 30秒>
大島輝久_小謡「高砂や」

民謡でも何か正月らしい曲はないかなと探していましたが、個人的にとても好きな秋田民謡の喜代節を今回おかけしてみます。歌、三味線共に憂いのある美しい旋律ですが、祝言的な内容の民謡です。(川崎千恵子さんではないようですが、唄、三味線共に素晴らしく、踊りも見れます)

<16 秋田民謡 喜代節 川崎千恵子 3分18秒>
喜代節(秋田県民謡)

次は、江戸の浄瑠璃の一つ、新内の曲で「廓七草」という曲をおかけします。新内も謡曲の後で私が東京にいる頃に習っていた音曲で、ちょうど放送されるのが七草がゆの頃ですので、この曲を選びました。廓(遊里)で流行った新内らしい哀切な曲調は、最も有名な蘭蝶や明烏以来のもので、艶美な節回しは古賀メロディなど、昔のナツメロ演歌のルーツにもなっているようです。歌っているのは、新内志寿さんで、往年の名人・新内志賀大掾中心のカセット「新内名曲選 子宝三番叟、広重八景」に入っていました。おそらく90年前後の録音で、新内志寿さんはその後、三味線弾き語りで重森三果のお名前で活動されていたと思います。(「新内 廓七草」は見当たらないので、新内流しの二挺三味線を上げておきます。私も昔色々な所で弾きました)

<新内 廓七草 9分34秒>
新内流し.mp4

最後に民謡に戻りますが、新潟や日本海側中心に盲目の女性だけで組織を作り、唄をうたい歩いた芸能集団、瞽女(ごぜ)の杉本キクイさん他の三味線で、金毘羅船々です。四国では正月に参ることも多い金毘羅山の有名な民謡で、キングの「名人による日本の伝統芸」シリーズの瞽女編に三味線練習曲として入っています。長調と短調が入り混じるのが、面白いところです。

時間が余りましたら、同じくキングの「名人による日本の伝統芸」シリーズの瞽女編から祝い唄「春駒」までおかけします。春駒と言えば、今治の寿太鼓の定番曲としても知られていますが、瞽女の曲も正月にふさわしい祝言的な内容です。初春に訪れる養蚕祝言の門付芸で、高田瞽女は木製の春駒を手に持って唄うそうです。この曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<4 瞽女歌 杉本キクイ 金毘羅船々 1分35秒>
<6 瞽女歌 杉本キクイ 祝い唄 春駒 6分29秒 ~2,3分>
杉本キクエ - 金毘羅船々

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2020年1月 9日 (木)

都山流尺八の「春の海」

ゼアミdeワールド194回目の放送、水曜夜にありました。宮城道雄の自作自演の動画は何度も上げていますので、これまでに上げたことのなかった山本邦山の音源のみにしておきます。虚無僧尺八のカラーが強い古風な琴古流に対し、都山流は明治以降確立された関西ベースの新しい流派なので、早くから新日本音楽と提携し、新様式を積極的に開拓して演目を広げて来ました。「春の海」も、新日本音楽に入るでしょうから、都山流尺八はぴったりなのでは。山本邦山さんは、80年代にジャズやインド音楽との共演などもされていたように記憶しています。

明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。

8日の再放送枠のみありますので、正月関連の特番に致します。これまで3回「春の海 大響演」という2枚組からご紹介していましたが、今年は3年前の最もオーソドックスな音源に戻ってご紹介します。

お正月と言えば、宮城道雄の「春の海」を思い出す方が多いのではと思います。正月中はどこに行っても耳にする曲ですが、この曲だけの色々な編成の録音を集めた「春の海 大響演」という2枚組が出ておりますので、こちらからご紹介して行きます。

まずは、宮城道雄の自作自演で、尺八は初演を勤めた吉田晴風です。

<1 春の海(オリジナル) 6分30秒>

宮城道雄の父の出身地である広島県鞆の浦を訪れた際の、瀬戸内海の印象を三部形式に乗せて標題音楽風に作曲したこの曲は、今では彼の代表作として親しまれていますが、吉田晴風との1930年の初演の評判は芳しくなかったそうです。

この曲が一躍有名になったのは、1932年に演奏旅行で来日していたフランスの女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと共演してからと言われています。日本音楽に触れるために宮城道雄を訪ねた彼女が一番感動したのが、この「春の海」で、早速尺八パートをヴァイオリン用に編曲して宮城道雄とコンサートで演奏したら、大喝采を受けたそうです。会場で聞いていた小説家の川端康成が、その感動の光景を小説「化粧と口笛」に記しています。その宮城道雄とルネ・シュメーの演奏を次にどうぞ。

<2 春の海(箏とヴァイオリンによる) 6分13秒>

次にフルートのガッゼローニと三代目宗家の宮城数江の1972年録音をかけてみましょう。1956年の宮城道雄の没後では、最初のこの曲の録音です。ガッゼローニと言えば、ジャズの鬼才エリック・ドルフィーのフルートの師匠としても知られ、ドルフィーのアルバムOut to LunchにGazzelloniと言うオマージュ曲が入っていました。

<7 春の海(箏とフルートによる) 7分1秒>

では、最後に宮城道雄にも師事した作曲家でもある唯是震一と都山流尺八の山本邦山の録音でおかけします。去年の正月に予告していた音源です。琴古流と都山流の尺八の芸風の違いが感じられて興味深いものがあります。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<8 春の海 唯是震一と山本邦山 6分39秒>

『春の海』

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2020年1月 6日 (月)

宮城道雄&ルネ・シュメー

もうお屠蘇気分も抜けた頃だと思いますが、まだ辛うじて松の内ですので、やはりこの曲です。名演は何度聞いても良いものです。

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。今日からCafeトーク・トークも営業しております。

今週の水曜20時半からの放送用にかけた音源です。今回は日曜にはなかったので、8日水曜のみです。(以下ほぼ放送原稿の転載です)

宮城道雄の父の出身地である広島県鞆の浦を訪れた際の、瀬戸内海の印象を三部形式に乗せて標題音楽風に作曲したこの曲は、今では彼の代表作として親しまれていますが、吉田晴風との1930年の初演の評判は芳しくなかったそうです。

この曲が一躍有名になったのは、1932年に演奏旅行で来日していたフランスの女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと共演してからと言われています。日本音楽に触れるために宮城道雄を訪ねた彼女が一番感動したのが、この「春の海」で、早速尺八パートをヴァイオリン用に編曲して宮城道雄とコンサートで演奏したら、大喝采を受けたそうです。会場で聞いていた小説家の川端康成が、その感動の光景を小説「化粧と口笛」に記しています。

宮城道雄 Michio Miyagi(Koto),Renée Chemet(Vn)_"春の海 Haru no Umi"


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