ペルシア音楽

2018年5月21日 (月)

トルクメンとトルカマン

ゼアミdeワールド109回目の放送、日曜夕方に終りました。23日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。女性バフシーの二人とも残念ながらyoutubeは見当たりませんので、Tawus Perizatという人の弾き語りを入れておきます。Tawus Perizatの左で弾いている擦弦楽器が、ギジャクです。

Tawus Perizat Turkmen bagşy


トルクメニスタンの2回目は、トルクメンの吟遊詩人バフシーの歌を中心に聞いて行きたいと思います。まずはフランスIneditの「女性バフシーの歌」から、有名なトルクメンの歌姫ジャマラ・サパロヴァの歌でQashliyarと言う「別れの曲」からどうぞ。ドタール伴奏は、前回ロシアのMelodiya音源でご紹介しましたアク・モラード・チャーリエフと同一人物と思われるアクムラド・シャリエフです。

<1 Songs of Bakhshi Women~Qashliyar  5分4秒>

ジャマラ・サパロヴァは、キングのワールドミュージックライブラリーにも録音が入っていた歌手で、私も執筆で参加した音楽之友社の「世界の民族音楽ディスクガイド」の星川京児さんのコラムによると、「アルジェのライとパンジャブのバングラを掛け合わせ、イランのタハリールを強烈にしたようなヴォーカル」と形容された世にも希なポップスで、この盤ではドタール伴奏で歌っていますが、星川さんが首都アシガバードで彼女の歌を聞かれた時はプログラム・シンセ伴奏のポップなスタイルだったようです。国土の7割が砂漠というトルクメニスタンの風土を強く感じさせるドタールの鮮烈な音と、遊牧民ならではの強靭な喉を聞かせる典型的な歌手です。
このイネディの「女性バフシーの歌」には、もう一人Shemshat Hodjaevaという、サパロヴァよりは高い可憐な声で歌う歌手も入っておりますので、Gelsynという曲をおかけしたいと思います。

<4 Songs of Bakhshi Women~Gelsyn  3分20秒>

ジャマラ・サパロヴァで、もう一曲Kone Guzerと言う曲もおかけしておきたいと思います。完売で手元にないため今回アップルミュージックからかけていて、解説を参照出来ておりませんので、曲の詳細は不明です。

<14 Songs of Bakhshi Women~Kone Guzer  2分53秒>

トルクメンの音楽と言うと、いずれも個性的な中央アジア諸国の音楽の中では比較的印象が薄いのは否めませんが、カスピ海の東岸に面し、日本の1.5倍ほどの国土の7割が砂漠という、地理的な魅惑も感じさせる、謎を秘めた国という風に常々感じております。
トルクメンで思い出すのが、イランのタールとセタールの巨匠ホセイン・アリザーデのトルカマン(正確にはトルキャマン)という曲で、元はセタールとオーケストラのために書かれたようですが、KereshmehとMahoorの盤ではセタール独奏で演奏されています。彼の弾くセタールの強靭な音は、明らかにトルクメンのドタールを思わせるもので、彼自身「この曲はトルカマンの人々と彼らの土地にインスパイアされた」と解説に書いています。イランは北西部にアゼルバイジャン系、北東部にトルカマンという、いずれもトルコ系民族が住んでいる国で、アリザーデ自身アゼルバイジャンの血を引くので、彼らの音楽には強く惹かれる部分があるのだろうと思います。この曲はラストパンジガーという旋法で即興演奏されますが、ペルシアの旋法の中で最も複雑かつ流動的で、遊牧民の哀しみと激情を映し出すのに適した旋法のように思います。
全曲は57分余りありますので、最初のちょうど3分のダルアーマド・ラストと、終曲の11分を越える壮絶なトルカマンの途中までになると思いますが続けてお聞き下さい。

この曲を聴きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 Hossein Alizadeh / Torkaman ~Daramad-e Rast 3分>

<14 Hossein Alizadeh / Torkaman ~Torkaman 11分38秒>
Hossein Alizadeh - Torkaman

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2018年4月27日 (金)

器楽版のモルゲ・サハル

器楽版のモルゲ・サハルは、サフバ・モタッレビのタール独奏がありました。何年か前にも上げたと思いますが、もう一度上げておきます。数年前に華やかなテクニックでyoutubeで話題だった女流タール奏者で、若手のタール名手たちを特集したMahoor Institutの「Tar navazi」に彼女の録音がありました。ホセイン・アリザーデ、ダリウーシュ・タライなど、現代の巨匠たちに学んだ人です。作曲者とされるモルタザー・ネイダーヴードの演奏は聞いた記憶がないように思いますので、またMahoor Institutの名演集やコンピレーションの「タールの一世紀」を聞き直してみます。
2本目は前に上げたように思いますが、この曲が出てきたところでもう一度上げておきます。シャジャリアンの伴奏を務めるのは、アゼルバイジャンのケマンチェ名人ハビル・アリエフ。二人の年齢から考えて、まだソ連時代の共演では。

Sahba Motallebi Morghe Sahar

Morghe Sahar By Top Masters: Kamancheh - Habil Aliyev (Azerbaijan) & Shajarian (Iran) Morghe Sahar.

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2018年4月23日 (月)

モルゲ・サハルの聞き比べ シャジャリアンとカシモフ

ゼアミdeワールド105回目の放送、日曜夕方に終りました。25日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日はシャジャリアンの歌唱を目立たせたいので、彼のモルゲ・サハルだけ上げておきます。

アゼルバイジャンの音楽の6回目になります。今回はペルシア音楽の名曲モルゲ・サハルの聞き比べを中心に予定しております。まずアゼルバイジャンの大歌手アリム・カシモフがこの曲を取り上げた2枚組とDVDのセットからおかけします。モルゲ・サハルとは、シャジャリアンがバムの地震の追悼ライブのラストに歌っていた感動的なマーフール旋法のタスニーフです。元の歌詞はペルシア語ですが、カシモフはアゼルバイジャン語でアゼルバイジャン風な迸る激情型で歌っております。曲名の英訳はDawn Birdですから、直訳すれば「夜明けの鳥」です。

<2-1 Alim Qasimov / Morqe Sahar - Tabriz Concert   ~Morqe Sahar 7分38秒>

続きまして、原曲のシャジャリアンの歌うモルゲ・サハルを比較で聞いてみたいと思います。2003年末にイラン南東部のバムで起きた大地震の犠牲者を追悼するコンサートのライヴDVDに収録されている演奏です。被災者の救援と、バムの町を再建するためのチャリティー・コンサートでもあったようです。シャジャリアンの提案で、救援物資だけでなく、失われた文化遺産の保存にも尽くすべきとの思いから、コンサートの全ての利益は「バム庭園」というカルチャーセンターを構築するために、バムの都市に捧げられたとのことでした。シャジャリアンの次世代の名歌手と言われる人もこの地震で亡くなったらしく、後継の歌手の一人を失ったシャジャリアン自身の悲しみも歌唱から感じられます。
演奏は、ペルシア古典声楽界の大物歌手シャジャリアンと、2度来日歴もあるタール&セタールの巨匠ホセイン・アリザーデ、数年前に来日した弓奏楽器キャマンチェのカイハン・キャルホール、シャジャリアンの息子のトンバク奏者(随所で歌も担当)ホマーユン・シャジャリアンの4人です。
アンコールで演奏される名高いタスニーフの「モルゲ・サハル」ですが、大分前からyoutubeにアップされています。このタスニーフはダストガー・マーフールの晴れやかで威厳に満ちたメロディがとても素晴らしい曲で、アリザーデ一行の2004年の来日の際、玉川上水のロバ・ハウスでデモ演奏されていました。このマーフール旋法の一曲は、特にイラン人の琴線に触れるタスニーフの一つのようで、犠牲者への思いとオーヴァーラップするのか、涙を流す聴衆が何人も見えます。

<Shajarian / Hamnava ba Bam ~Morghe Sahar 5分15秒>
Shajarian Morgh-e Sahar


アゼルバイジャン版とイランの原曲でモルゲ・サハルを聞いて頂きました。この曲は20世紀前半のイランのタール名人モルタザー・ネイダーヴード(Morteza Neydavoud)が書いた曲ですが、両国に共通のレパートリーになっていたのか、アリム・カシモフが何かのきっかけで取り上げたのかは、不明です。ソ連時代には交流は難しかったと思うので、おそらく後者だと思いますが、どういうきっかけがあったのかが気になります。アゼルバイジャンは中世のアル・ファーラービーに次ぐようなペルシア・アラブ・トルコ共通の中東音楽の哲学者兼音楽理論家のサフィー・ウッディーン・アル・ウルマウィを排出した国で、元々繋がりが深い訳ですから、モルゲ・サハルも現代の交流の一つのサンプルと考えていいのでしょう。

古い時期の録音には、ペルシアとの繋がりの強さがよりはっきり現われていますので、Mahoor Institutの「アゼルバイジャン共和国の偉大な歌手達」Great Singers of The Republic of Azerbaijanから3曲おかけしたいと思います。この2枚組の録音は1915-1960で、最高のムガーム名人と言われたジャッバール・カリャークディ=オグル(1861-1944)初め10人の歌手による35曲が収録されています。05年にアゼルバイジャンで非営利目的で出版された16枚組CDブックをもとに、マーフールが2枚組に再編集したという盤です。
おかけするのは、日本なら江戸時代生まれのジャッバール・カリャークディ=オグルの歌唱です。彼の時代には実際にペルシアの宮廷で歌っていた歌手もいたようです。歴史的録音のためノイズがありますが、タハリール唱法の凄さはよく聞き取れると思います。曲名は順に、ダシュティ、オルタ・マーフール、バヤート・カージャールです。ペルシアのダシュティと共通するノスタルジックなダシュティ、やはりモルゲ・サハルと似た明るい雰囲気のマーフール、ペルシアのカージャール朝時代の詩の吟唱を彷彿とさせるバヤート・カージャールと続きます。

<1 Jabbar Qaryaghdi-oghlu / Dashti 3分2秒>
<5 Jabbar Qaryaghdi-oghlu / Orta Mahur 3分8秒>
<7 Jabbar Qaryaghdi-oghlu / Bayat Qajar 3分23秒>

では最後に再度シャジャリアンの歌唱でボテ・チンというエキゾチックで親しみやすいタスニーフを聞きながら今回はお別れです。訳は「中国の美女」となるようです。シルクロードによる東西の交流を連想させる曲名です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 シャジャリアン ボテ・チン 8分7秒 抜粋>

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2018年4月20日 (金)

ハイェーデ1981

結局アリ・サリミの動画は先日の2本だけかも知れません。最近のテーマ(アゼルバイジャン)とはずれますが、色々見ている内に思わず見入ってしまった一本がありました。シャジャリアンのボテ・チンが出た25年ほど前に、同じアメリカ西海岸系ペルシア音楽のレーベルから、女性歌手ハイェーデの盤も沢山出ました。今日の映像では、その頃の名唱が1時間近くに亘って見られます。当時なら考えられなかったことです。男性歌手ゴルパとのデュオなどもありました。伴奏のヴァイオリンは、パルヴィーズ・ヤハギでしょうか? 素晴らしい妙技に目も釘付けです。おそらくシュール旋法系のライト・クラシカル曲だと思います。
昨日のタイトルは「アイリリクとアゼルバイジャン現代史」の方が良かったかもと思いました。来週ヴァイオリンとチェロ両方での本番を二つ控えていて、何かとバタバタでブログになかなか時間が割けません。その後はGWですので、またアップが飛び飛びになるかと思います m( . . )m

Haydeh 1981.mp4

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2018年4月13日 (金)

Googoosh の Shade Shad

グーグーシュの歌の中でタスニーフだろうと思われる曲は、いくつか記憶にありまして、先日のアイリリクがアゼリのムガーム系タスニーフなら、今日のシャデ・シャデという曲は、純ペルシア音楽のマーフール旋法のタスニーフでは、と思います。西洋ならロンドでしょうか、くるくると回るような魅力的な明るい旋律は、昔々彼女の盤で聞いて忘れられなかった一曲です。短いですが、一本だけ往年の歌っている場面を見られる映像がありました。バックはヴァイオリンとトンバクがペルシアの舞曲レングと思われるリズムで囃し立てます。

Googoosh-Shade Shad.mpg

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2018年3月14日 (水)

ハビル・アリエフ&シャジャリアン

先日バヤーテ・シーラーズの妙技を上げましたアゼルバイジャンのケマンチェ名人ハビル・アリエフ・ムスタファ・オグリと、イランの古典声楽界の大御所シャジャリアンが共演している映像がありました。私は初めて見るような気がします。いくらペルシア音楽の影響が濃いアゼルバイジャンの音楽とは言え、かくもペルシア音楽に寄り添えるものかと、驚きました。シャジャリアンがまだ若いので、大分前の映像でしょう。
2本目ではイランの名高いタスニーフ、モルゲ・サハルが出てきます。このタスニーフはダストガー・マーフールの晴れやかで威厳に満ちたメロディがとても感動的な曲です。2008年に来日もした名歌手アリム・カシモフが、最近のDVDのMorqe Sahar Tabriz Concertで歌っていましたが、こちらはアゼル風にアレンジされた歌唱で、これがまた興味深いものがありました。イラン北西部のアザルバイジャンの州都タブリーズの同胞への熱き贈り物のように聞きました。2004年にアリザーデさんとハムアーヴァーヤーンが来日した際の演奏と、バムの地震の犠牲者への追悼ライブを収録したDVD「Hamnava ba Bam」でのシャジャリアンの名唱が特に記憶に残っていますが、どちらも感涙を禁じ得ないものがありました。
今週の収録では、タールの聞き比べと言うことで、アリム・カシモフの伴奏で知られる中堅タール名手マリク・マンスロフと、彼の大先輩バーラム・マンスロフ(よく言われますが、マリク氏の父ではないようです)をかけました。その次にアリム・カシモフの歌唱を取り上げる予定です。

Shajarian & Habil Əliyev

Morghe Sahar By Top Masters: Kаmancheh - Habil Aliyev (Azerbaijan) & Shajarian (Iran) Morghe Sahar.

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2018年3月12日 (月)

ケマンチェ聞き比べ アルメニア、アゼルバイジャン、イラン

ゼアミdeワールド99回目の放送、日曜夕方に終りました。14日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。先週はばたばたで結局ブログアップは月曜だけになりましたm(. .)m 今週はもう少しアップ出来ると思いますが。

アルメニア音楽をまとまった形で取り上げるのは一応前回で最後で、民謡的な音楽や若手ドゥドゥク奏者の音源などが最近は結構リリースされていましたが、売り切れて手元に残ってないので、ほとんどかけることは出来ませんでした。
今回はケマンチェの系統の擦弦楽器の聞き比べということで、アルメニア、アゼルバイジャン、イランの音源を並べてみたいと思います。この楽器の名前ですが、ケマンチェ、キャマンチェ、カマンチェ、カマンチャ、ケマンチャなど国によって色々ですが、トルコやマグレブの方などでは末尾のチェが取れて、ケマンとかカマンと言ったりもします。これらの国ではヴァイオリンをそう呼んだりもします。因みにカマンというのは、今治など伊予の方言では「結構です」とか「良いですか?」の意味になるので、ちょっとくすっと笑ってしまう感じがあります(笑)
まず、アルメニアですが、フランスのArionからのLP盤でアンドラニク・アルスタミアンという人のカマンチェ独奏です。この盤は1982年リリースで、CD化はされてなかったと思います。1918年生まれの名手の絶品の演奏をお聞き下さい。
一曲目は、Dunen Gulkenという曲で、訳は「あなたの魂は強い」となると思います。18世紀アルメニアのアシュグ(吟遊詩人)、サヤト・ノヴァの曲です。冒頭から非常にインパクトのある音をヒットしている演奏です。

<A1 Le Kamancheh d`Armenie / Andranik Aroustamian  Dunen Gulken4分16秒>
Sayat Nova - Kamancha || Music of Armenia

Andranik Aroustamianでは見当たらないので、他の奏者ですが。

続いて、アゼルバイジャンのケマンチャは、一昨年の5月の15分枠の頃に、以前大変お世話になった音楽プロデューサーの星川京児さんの追悼でもかけました。キングWRMLシリーズのバヤーティ・シーラーズの音源です。90年代前半のNHKFM「世界の民族音楽」の星川さんの回のオープニング曲でした。演奏者名の表記は、ハビル・アリエフ・ムスタファ・オグリとか、アリエフ・ガビリ・ムストファ・オグリとか、幾つかに分かれます。以前のキングのシリーズでは「カスピ海の旋律」、現在のシリーズでは「アゼルバイジャンの音楽」に収録されております。

<1 ハビル・アリエフ・ムスタファ・オグリ / バヤーティ・シーラーズ 7分5秒>
Habil Aliyev - Bayatı Şiraz

ハビル・アリエフ自身の動画もあります。神業としか思えない名演。

3番目ですが、ペルシア音楽界最高のケマンチェ奏者と言えばこの人、1905年生まれの大御所アスガール・バハーリーです。当番組のオープニング曲は、イランの歌手兼ウード奏者のアブドゥルワハブ・シャヒーディーのNegah Garm Toという曲ですが、この曲の別テイクのように聞けるマーフール旋法の美しく明朗な演奏です。当番組テーマ曲は、フランスの民族音楽の名門レーベル、オコラのCD化第1弾の一曲目でした。今では考えられないようなオールスターキャストですが、中でもケマンチェのアスガール・バハーリーやトンバクのホセイン・テヘラーニは特に光っています。これからおかけする音源は、イランのSedaというレーベルから2枚出ている内の一枚ですが、ややこしいことにペルシア語の曲目クレジットと、実際に録音されている内容がVol.1と2で逆になっています。曲目クレジットではVol.1がアーヴァーズ・アブアターとアーヴァーズ・バヤーテ・エスファハーン、Vol.2がダストガー・マーフールとダストガー・チャハールガーになっています。バヤーテ・エスファハーンのバヤーテとは、グルジェフの曲でも出てきたバヤーティの元になったと思われるペルシア語で、「詩句」を意味する言葉です。曲名ではその後にシーラーズとかエスファハーンと来るので、それぞれの町の詩とか歌というような意味になるようです。
序奏のダルアーマドに始まり、シャヒーディー作のピシュダルアーマド(前奏曲)が続きます。その後は別なダルアーマドからトンバク伴奏付きの速いチャハールメズラブの部分に入ります。マーフールの演奏はまだまだ続きますが、おかけする9分程では、チャハールメズラブまでになります。

<Asghar Bahari / Kamancheh solo-2  Dastgah Mahur 9分位>
Singer:Ali Rostamian Kamanche:Asghar Bahari (2\2)

ここでバハーリーが歌伴で弾いている旋法は、ホマーユンかバヤーテ・エスファハーンだと思います。マーフールの演奏がすぐに見つからないので今日はとりあえずこちらを。

ここでちょっと催しのお知らせを入れます。
3月18日の今治中央公民館での文化祭の洋楽の部に、今治市民弦楽合奏団で出ます。私はファースト・ヴァイオリン担当で、曲目はモーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプスと、J.S.バッハの小フーガト短調です。時間は朝9時半からの4番目ですから、10時前後位だと思います。宜しければ是非お越し下さい。
それと、私の店トーク・トークでクリスマスとヴァレンタインの辺りで行いました終活カフェは、好評につき毎偶数月に行うことになりました。次回は4月26日で、セミナーが3時半から、演奏は5時からの30分ほどです。ご予約をゼアミのメール等でお受けしております。アドレスはVYG06251@nifty.ne.jpです。この番組へのご感想もこちらでお受けします。

では最後に再度アンドラニク・アルスタミアンのアルメニアのケマンチェを聞きながら今回はお別れです。A面の2曲目からは、アルメニア民謡、ヒジャーズ旋法のアルメニアの即興と続きますが、その後のヴァラヤティ・デルキャシュというペルシア古典の旋律をおかけします。確かにペルシア音楽の感じが色濃く出ている演奏です。この人の演奏はB面にアゼルバイジャン絡みの曲もありますので、アゼルバイジャンに入ってからも、ケマンチェの聞き比べでまた出すかも知れません。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<A4 12分50秒から Le Kamancheh d`Armenie / Andranik Aroustamian  Valayati Delkash 5分16秒>

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2018年2月 1日 (木)

Hosseyn Alizadeh and Mohammad Motamedi, Sari Galin

アリザーデ&ガスパリアンのエンドレス・ヴィジョンがリリースされたのは2004年ですが、この映像は2014年。10年経ってアーヴァーズ重唱のハムアーヴァーヤーンもメンバーが入れ替わり、男性歌手に1978年生まれの若手歌手モハンマド・モタメディを迎えています。彼の録音は数年前に名門レーベルのオコラから登場。シャジャリアンに似た輝かしい声質のアーヴァーズ歌手の本格派です。影響を受けた歌手としてTaherzadeh、Taj Esfahani、Adib KhansariのようなイランMahoor Institutから録音の出ているような往年の大巨匠の名前が上がっていました。楽しみな逸材を迎えて、アルメニアの名歌サリ・ゲリンを演奏するアリザーデさんの新ユニット。イランの楽器だけですので、この中にはアルメニア人はいないのではと思います。この歌はアゼルバイジャンのものとする説もありますが、どちらが正しいのでしょうか。Vahdat Auditorium , March 2014, Ham Navayan Ensembleと解説が出ていて、よく見るとハム・ナヴァーヤーンと変わっています。

Hosseyn Alizadeh and Mohammad Motamedi, Sari Galin

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2018年1月29日 (月)

ホセイン・アリザーデ&ジヴァン・ガスパリアン / Endless Vision

ゼアミdeワールド93回目の放送、日曜夕方に終りました。31日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。先週もばたばたで、金曜にブログアップした後、トップの変更も出来ずでした。

アルメニア音楽の3回目になります。今回はペルシア古典音楽の巨匠ホセイン・アリザーデとジヴァン・ガスパリアンの共演盤/Endless Visionをご紹介します。このライブ録音は2004年にまずイランのHermes Recordsからリリースされまして、その後フランスのWorld Villageからもライセンスリリースされております。2007年にはグラミー賞ワールド・ミュージック部門にノミネートされています。タールやセタールの巨匠として知られるアリザーデですが、ここでは彼の考案した6弦の弦楽器シュールアンギーズを演奏しています。
ゼアミHPに書きましたこの盤の紹介文を読み上げてみます。冒頭にフランスの詩人ロートレアモンの『マルドロールの歌』に対する形容を思い出させるキャッチコピーを書いてみました。「鴬の声」とは、ペルシア古典声楽アーヴァーズを喩える有名な形容です。

鴬の声とドゥドゥクの美しき出会い!
*アリザーデとアルメニアのドゥドゥクの巨匠ガスパリアンの注目の共演盤。バックは2004年東京の夏音楽祭での演目Raze No(新しい秘密)などでお馴染みの、ペルシア古典声楽アンサンブルのハムアーヴァーヤーン。その一見奇抜とも思える組み合わせに驚いていたが、聞いてみてそんな心配は吹き飛んだ。隣の国だから似た部分は元々多いのだろう。アルメニア語はペルシア系と思われていた時期もあった位だから。「東京の夏」音楽祭で来日した女性歌手二人はアルメニアの歌も歌い、これが実に素晴らしい。また弦楽器シュールアンギーズの陰影に富んだ音色は、とてもアルメニア音楽向きに聞こえる。タンブールを更に内省的にしたような音色。弦楽器、ドゥドゥク、歌のいずれも哀感に溢れた絶美の演奏。2003年テヘランNiavaran Palaceでのライヴ録音

パーソネルは次のようになっております。

ホセイン・アリザーデ(Shourangiz) 
  ジヴァン・ガスパリアン(Duduk)

ハムアーヴァーヤーン・アンサンブル
アフサーネ・ラサーイー(Vo), ホルシド・ビアーバーニー(Vo), M.アリ・アハディ(Vo), アリ・サマドプール(Vo)
   アリ・ブスタン(Shourangiz), M.レザ・エブラヒミ(Oud), ベーザード・ミルザーイー(Tombak,Daf,Naghareh)

アルメン・ガザリヤン(Duduk) ヴァズゲン・マルカリアン(Bass Duduk)

最初のBirdsという22分の曲から8分ほどおかけします。

<1 Hossein Alizadeh & Djivan Gasparyan / Endless Vision ~Birds 22分20秒>
Hossein Alizadeh & Djivan Gasparyan - Birds


イランのHermes Records盤にはアリザーデの短かい序文が出ておりますが、言語や音楽において共通性の多いイランとアルメニアを、音楽の対話において結び合わそうという考えが窺えます。そこで彼が合わせるペルシア音楽の旋法は、シュール、ダシュティ、チャハールガーなどのどれが良いだろうかと述べたりもしています。
では、非常に美しいアルメニアの曲サリ・ゲリンという曲を聞いてみましょう。あちらこちらで聞くことの多いとても有名な曲です。両国のメンバーが一緒に演奏しています。

<3 Hossein Alizadeh & Djivan Gasparyan / Endless Vision ~Sari Galin 7分40秒>
Hossein Alizadeh & Djivan Gasparyan - Sari Galin


有名な話だと思いますが、ガスパリアン以外にもアルメニア人の名前の終わりには~イアンが付くことが多く、グルジアのアルメニア人作曲家ハチャトゥリアンとか、シャンソン歌手シャルル・アズナヴールの本名のアズナヴーリアン、ヴィオラ奏者のキム・カシュカシアン、アンサンブル・タッシの女流ヴァイオリニスト、アイダ・カヴァフィアンなど、有名人の名前にも表れています。現代ペルシア古典声楽の巨匠シャジャリアンもそうなのかと思いまして、95年にイランの太鼓トンバクを教わっていたイラン人の先生に聞いたら、ばかなことを言うなと怒られました(笑) シャジャリアンは違うようです。トンバクは、ゼアミdeワールドの冒頭のテーマ曲の最初に出てくる太鼓です。
もう一曲、一つ戻って2曲目のガスパリアンのドゥドゥクが非常に美しいArmenian Romancesをおかけしたいと思います。この演奏はドゥドゥクの即興ですが、ペルシアの一番重要な旋法シュールに則っているそうです。

<2 Hossein Alizadeh & Djivan Gasparyan / Endless Vision ~Armenian Romances 3分7秒>
Armenian Romances - Hossein Alizadeh, Jivan Gasparyan - Endless Vision


では最後に7曲目のラストを飾っているルーミーの詩によるタスニーフ・パルヴァネを聞きながら今回はお別れです。このEndless Visionが出た2004年に東京の夏音楽祭で来日されていまして、アリザーデさん始め、ハムアーヴァーヤーンの歌手のアフサーネ・ラサーイーさん、ホルシド・ビアーバーニーさん、アリ・サマドプールさんにはお会いして、アリオンの担当者と一緒にワークショップに同行しまして、一緒に食事した思い出があります。東京芸大での絶美のセタール独奏やアーヴァーズには感涙を禁じえず、小泉文夫さんが言っていた「世界で最も美しい歌」という表現を実感しました。
来週は、グルジェフかコミタスの音楽を取り上げる予定です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<7 Hossein Alizadeh & Djivan Gasparyan / Endless Vision ~Tasnif Parvaneh Sho 7分13秒>
Hossein Alizadeh & Jivan Gasparyan - Tasnif Parvaneh Sho

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2017年1月27日 (金)

パリサーのホマーユン

男性歌手が続きましたので、ペルシア音楽シリーズのとりあえずの最終回として(次週からロシア東欧に廻りますので)、女性歌手ではやはり最高の実力を誇るファーテメ・パリサーの歌唱を聞いておきたいと思います。ゼアミdeワールドの最初の方でかけたホマーユン旋法は、この録音の歌唱でした。抜粋でしかかけられていなかったので、じっくりご鑑賞下さい。ビクターの「ペルシア絶唱」に入っていた1978年東京での伝説のライブです。私のHNのホマーユンも、この最高に美しい歌唱をイメージしてのことです。ダストガー・ホマーユンの最高の歌唱の一つと言って過言でないと思います。21年前のZeAmiカタログの1号の表紙を飾ったのも、パリサーのカルテックス盤でした。なお、ここでネイを吹いているのは、先日のモハンマド・ムーサヴィーです。

Fatemeh Vaezi Parisa sings Hamayun: Poem of Hafez

Parisa : Tasnif-e Dashti

ライブのダシュティ旋法のタスニーフ(歌曲のような楽曲)も一つ

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