ペルシア音楽

2009年5月29日 (金)

ペルシアン・ヴァイオリンの名手

ヴァイオリンついでに、イラン古典音楽のヴァイオリンも見ておきましょうか。HPではちょうどイラン盤がまとめて入りましたので^^ ペルシアン・ヴァイオリンは前に何度か取り上げましたが、今日アップするビデオは初登場。西洋式のチューニングは、下の弦からソ、レ、ラ、ミですが、イランの場合は前にも書いたように、下からド、ソ、ド、ソとかのパターンが多いようです。ドローン的な重音の入ることが多いので、この方が弾きやすいのでしょう。南インド式とは違って、あごに挟む構えは西洋的ですが、出てくる音は明らかにケマンチェを模した感じ。
現代はそれほど古典音楽に用いられなくなったのかも知れませんが、イラン革命前は頻繁に目にしました。ゴルパとハイェーデとデュオのビデオで伴奏していたのも、ヴァイオリンでした。南インド古典音楽の、例えばT.N.クリシュナンのような特別な名人はクレモナの名器を用いることもあるようですが、イランの場合はどうなのでしょうか?

Persian Violin -Shamlou-Shoshtari & Bidad-Taravate Shabnam 2

演奏者はシャムルーという人。朗読で有名なシャムルーと同じ名ですが・・。ダストガー・ホマーユン系のシューシタリーによる演奏のようです。とてもペルシア音楽らしい旋律。トンバクの手もよく見えて良いです^^

Persian Violin -Shamlou - Shoshtari & Bidad- Taravate Shabnam 1

冒頭のマーフール旋法は、パリサー来日の際に演奏されていたあの曲ですね。こちらが上の映像の前半のようですが、やはりシューシタリー~ビーダードの、ホマーユン系の独奏から始まります。これは素晴らしい!

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2009年5月12日 (火)

Jewish music in Iran ビーダードとハヴァ・ナギラ

昨日のビデオのリンクから、イランとユダヤ音楽に関する動画がいくつか見つかりました。サントゥール奏者が独奏している内容について・・・。一本目の導入部はホマーユン旋法の演奏だと思いますが、1分過ぎ辺りから聞こえるのは60年代にPooran(またはPouran)が歌って大ヒットしたホマーユン旋法のタスニーフ、Bidad。ビーダートと言うグーシェに基づくために、その名が曲名になったと柘植元一氏の80年のラジオで紹介されていたように記憶しています。このハチロクのレングのリズムに乗った「これぞペルシア!」としか言いようのないイラン的なメロディに続くのは、何とイスラエル民謡(元は東欧・ロシアのハシディック・ソング)のハヴァ・ナギラ。フォークダンス名曲のマイム・マイムと並んで最も有名なイスラエルの曲の一つでしょう。増2度を含んだエキゾチックな音階は確かに似ていると言えそうですが、この2曲は何か関係があるのでしょうか? 単に雰囲気の似たメロディを並べただけだとは思いますが。それから、イランでハヴァ・ナギラを弾いても大丈夫なのでしょうか? またまた疑問だらけです(笑) 余談ですが、プーランの音源は何故か米西海岸のCALTEXやTaranehでも見たことがないです。HayedehやGolpaなどのセミクラシカルの歌手には強いレーベルなので不思議に思っていました。一方彼女のyoutubeは沢山ありますが、残念ながら肝心のBidadが見つかりません(3本目にレング・リズムの一曲をアップしておきます)。2本目もびっくりするような内容のドキュメンタリー。この流れですから、イラン系ユダヤ人のイスラエル・ポップス歌手Ritaのペルシア語ナンバーなど併せてご紹介したいところですが、捜索に時間がかかりそうですので、またの機会にしたいと思います。

Jewish music in Iran

Jews Undercover - Iran
September 2004   It's not easy being a Jewish MP in an assembly that routinely calls for the destruction of Israel, but Iranian Jews' rights are protected by law.

Iran"پوران ديروز و فردا Pooran"

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2008年8月20日 (水)

『若い王子と王女』 シェヘラザードから

昨日ウイグルのHushtarのリンクの中に、非常にビックリした一本がありました。Hushtarの古形Qushtar(鶯の弦)の「ウグイス」でペルシアに繋がったのだろうと思います。イラン関係になりますが、ちょっと一日寄り道します^^  

演奏されているのは、ロシア19世紀の作曲家リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェヘラザード」の第3楽章です。アラビアン・ナイト(千一夜物語)の中のロマンティックな部分をそのまま曲にしたような名曲で、確か何かのCM(浴槽?)にも使われていたと思います。これ程、エキゾチックさと甘美さが同居した旋律も珍しいと思います。日本の童謡名曲「月の沙漠」的なイメージをロシア人が曲にすると、こういう感じになるという、ピッタシカンカン(ちょっと古いかもf(^^;)な曲のようにも思えます。

その曲を、何とヒジャーブを被ったイランのレディース・オーケストラと合唱が演奏しています。演奏の上手い下手ではありません。これは凄いクリップだと思います!w  大分前にCDでもイランのオーケストラがシェヘラザードを演奏している盤があって、ウルドゥー語&ペルシア語がご専門のW大学のM先生と盛り上がったものでした。その白眉の部分のビデオの登場ということで、少々興奮気味ですが w f(^^;  

余談ですが、この第3楽章の中間部はイランの8分の6拍子の伝統舞曲レングのリズムになっています。そこではタールやサントゥールも加わっています。ケテルビーの「ペルシアの市場にて」の中間部が、実際は中国風だったのとは大違いで、さすがペルシアと接するロシアの作曲家による曲だなぁと感心します。この辺のことは、13年前の雑誌エトセトラへの拙稿でも書きました。

shahrzad symphony by ashraf orchestra

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2008年7月15日 (火)

ペルシャン・ラヴの謎

昨日Phew(フュー)関連で名前の出たホルガー・シューカイの「ペルシャン・ラヴ」ですが、探してみたらクリップがありました。表記はチューカイではなくシューカイとする方が近いようです。また「ペルシア」ではなく「ペルシャ」という表記はちょっと抵抗がありますが、検索にヒットしなくなるので、こちらにしておきます^^ (因みにペルシア語では「ファールスィー」で、どちらの表記とも大分隔たっています)
「ペルシャン・ラヴ」は、シューカイが短波放送で録音したペルシア古典声楽の音源を、80年前後に流行っていたダブ・ビートの音楽に乗せてコラージュした曲で、当時その組み合わせの意外さと巧妙さに驚いたものです。また一般的には、ワールドミュージックブーム前夜の最大の話題曲の一つと見做されていて、CMに使われたこともあるようです。(以上の情報は、ミュージックマガジン2007年9月号の中村とうようさんの記事を参照させて頂きました) 私物LPは現在行方不明ですが(笑)、長らく記憶に残っていた曲であることは確か。youtubeを見つけ、大昔の友人に会ったような気持ちです^^

 Golha-ye Tazehシリーズのジャケット

 しかし25年振り位で再度聞いてみると、あれ?これは本当にゴルパかな?と思いました。 タハリール唱法の超絶技巧ぶりはともかく、歌声が妙に品が良いな~と。間に女性のナレーション(ペルシア詩の朗読などでしょう)が入り、更に女性歌 手も出てきますが、同様の構成はイラン革命前のラジオ番組Golha-ye Tazeh(新しい花)の録音(米国西海岸のTaranehからシリーズでリリースされていました)で耳馴染みで、その印象にそっくりだからです。更にそのタラネーの音源にはゴルパはなかったように思います。あったのはParisa3枚, Abdolwahab Shahidi3枚, Mahmoudi Khansari2?枚, Nader Golchin3枚で、パリサー以外は男性歌手。シャヒーディーの盤では若き日のSima Binaなど、女性歌手もカップリングされていました。
ゴルパと言えば、ポピュラーに重心を移してからの、ちょっとどぎついような歌い方の印象が強いもので、「ペルシャン・ラヴ」の歌唱は少し声質が違うようにも思いましたが、ここではタール伴奏の純古典歌唱ですから、ムジカフォンから出ていた音源(現在はRounder)のヌールアリ・ボルーマンドの伴奏かも知れません。どの音源か確認できましたら、またいつか報告いたします。

Persian Love Song- Holger Czukay (埋め込み禁止)

Holger Czukay - Persian Love

埋め込み禁止でなく、ビデオもシューカイ初めカンのメンバーの写真の多い貴重なものですが、接続がメチャクチャに悪いです。

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2008年6月26日 (木)

ターゲ・ボスタンの古えの楽士

昨日のビストゥーン(世界遺産でした)の近くにターゲ・ボスタンという遺跡がありますが、ここはササン朝ペルシア時代のレリーフが残っており、その図はササン朝時代の楽器の図像の宝庫と言われています。このyoutubeビデオに出てくるかどうか確認は出来ていませんが、その中には中国を通して奈良の正倉院に伝わった箜篌(クゴ)という竪琴(ハープ)のルーツに当たる楽器(チャング)も彫られています。チャングは古代アッシリアにまでその起源が遡るようです。シルクロード交易を通して琵琶などと一緒にペルシアから伝わりましたが、そのルーツであるチャングはササン朝の宮廷で好んで演奏されました。正倉院には他にも白瑠璃碗(カットガラス碗)などの古代ペルシア伝来の宝物が収蔵されています。

チャングを演奏する楽士(こちらより) 

このビデオのバックで演奏しているタール弾き語り、素朴ではありますが、深い味わいがあってとても良いですね。旋法はおそらくホマーユン(Homayun)でしょう。画面が小さいのが少々難ですが、当地の古典音楽プレイヤーでしょうか。あたかも古えの楽士を追想するかのようなノスタルジックなタール弾き語りです。

Taq e Bostan

Taq e Bostan is situated in the north of Kermanshah, Iran. The magnificent summer palace and royal hunting grounds of Sassanids dynasty some 1,800 years ago. The monuments consist of two arches and a sculptured bas relief known as the scene of investiture of Ardeshir II (379-383 ACE)

Iran- Taqe Bostan

ターゲ・ボスタンの紹介ビデオ。この中には楽器も色々出てきそうです。イスラーム成立以前の、国教がゾロアスター教の時代ですから、イスラーム的な図柄はどこにも見当たらず、ヘレニズム文化の影響や異教的にすら見えるようなイメージもあるように思います。

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2008年6月12日 (木)

タージ・エスファハーニとハッサン・キャサイ

エスファハーン特集、今日で一応終わりにします。結局地方音楽的なクリップは見つからず、古典音楽ばかりになりましたが。
今日はエスファハーンの生んだネイの名手ハッサン・キャサイと、往年の名歌手ジャラール・タージ・エスファハーニの演奏です。タージ・エスファハーニはMahoorから出ているA Century Of Avazの2枚目にも往時の名唱が収録されていた歌手。1本目は確か初アップだったと思いますが、2本目は9月に続いて2度目の登場。この名前ですが、エスファハーンの出身ではないのかも知れません。
1本目は収録が古いからでしょう、ちょっと録音レベルが低いですが、タハリール唱法を交えながらのアーヴァーズとネイ伴奏共に味わい深くて最高です。2本目はアンサンブル演奏で華麗ではありますが、エスファハーニの声は全盛期を過ぎているようにも思います。しかしその枯れた味わいがまた良いですねぇ。
「アーヴァーズの一世紀」では、同じ人とは思えないくらい高い声で華麗にHomayunを歌っています。そこでのピアノ伴奏は、昨今日本でも一部で話題のモルタザー・マハジュービーではないかと思われます。

Kasaee "Agha Hassan" va Taj

Atashe Del

Ostad Taje Esfahani, Kassai , shahnaz, AmirNasser Eftetah

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2008年6月11日 (水)

ダスタン&サラル・アギリ

エスファハーンで検索していたら、今度は最近のダスタン・アンサンブルの映像が出てきました。独唱は1977年テヘラン生まれの若手男性歌手、サラル・アギリ(Salar Aghili)。輝かしく品のいいハイトーンヴォイスの持ち主です。youtubeビデオは以下のアルバムに対応したライヴ・ツアーの映像でしょう。
楽器一つの伴奏の、エスファハーンらしいしっとりしたアーヴァーズ部分を聞きたかった気もしますが、ダスタンの緊密で迫力のあるサウンドと、貴公子然とした歌声の一端を確認できる映像です。完全版のビデオが画面に出てくるサイトにあるようです。(おそらく有料)
アンサンブル・ダスタン&サラル・アギリ/The Endless Ocean

Dastan & Salar Aghili

Salar Aghili

Dastan Ensemble and Salar Aghili

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2008年6月10日 (火)

マスード・シャアリのエスファハーン

さて、数日寄り道しましたが、イランの音楽に戻ります^^  エスファハーンの地方音楽というのはやはり見当たりませんので、今日も古典音楽のクリップを上げておきます。
セタール奏者のマスード・シャアリですが、アリザーデの少し下の世代位だったでしょうか。倒産した仏Club du Disque Arabe(AAA)からソロ・アルバムがありました。最近はネットラジオのRadio Darvishでもよく彼の演奏を耳にします。実にブリリアントなプレイと言いましょうか、粒の揃った音がきらきらと美しいですが、ここで演奏しているのはエスファハーン。この哀愁味溢れる旋法が、幾分華やかに聞こえます。トンバク伴奏はPejham Akhavas。ナーゼリー親子との共演も多い若手名手です。
2本目はシャアリがデルロバという弦楽器を演奏している映像。この楽器の低音の豊かな音色は、レバノンのブズクにかなり似て聞こえます。特にベース音の動きがブズクにそっくり。どこか脱ペルシアなイメージに聞こえて、興味深いものがあります。この楽器、創作楽器か復元楽器か、どちらになるのでしょうか。詳しい方、情報をお待ちしております。m(_ _)m

Massoud Shaari

Massoud Shaari Plays Delroba

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2008年6月 7日 (土)

ダリウーシュ・タライー

エスファハーンでもう少しと探していたら、またまたお宝ビデオを見つけましたので、今日はそれをアップしておきます。現在のペルシア音楽界で、ホセイン・アリザーデと並び称されるタール&セタールの名手ダリウーシュ・タライーの若き日(おそらく70年代)の映像。タールの方のトンバク(ザルブ)伴奏がジャムシド・シェミラーニですから、仏Harmonia Mundiからの一連の録音(↓はその一つ ですが、既に廃盤かも)が出た頃の収録でしょう。こういうオーソドックスな古典演奏はやはり良いものですね~。しかし二人とも若い!w  
 

      
イランの音楽  
      マジッド・キアーニ(Santur)/Dastgah Segah、
      ダリウーシュ・タライ(Tar)/Dastah Shur、
      ジャムシド・シェミラーニ(Zarb)/Imrovisation a 6temps


タライーは、タールをアーガー・ホセイン・ゴリー(1851-1916)の息子であるアリ・アクバル・シャーナズィー(1897-1984)から習い、更に声楽のラディーフをアブドッラー・ダヴァーミから学んだという、カージャール朝の宮廷楽士直系の芸を今に伝承する名手。1952年生まれですから、上記のような19世紀生まれの巨匠から直接学んだ最後の世代でしょう。
ジャムシド・シェミラーニは、あのホセイン・テヘラーニの弟子筋で、現在多方面で活躍中のケイヴァン&ビジャン・シェミラーニ兄弟の父親。

旋法はタールの方がアフシャーリー、セタールの方はマーフールで、曲は往年のダルヴィーシュ・ハーン(1872-1926)による有名なチャハールメズラブ。

Persian Tar - Dariush Talai(埋め込み禁止)

Re: Dariush Talai - Setar

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2008年6月 6日 (金)

エスファハーンとゴルパ

久々に遅めのアップ。梅雨時だからでしょうか。だるくてしょうがないですね(´_ゝ`)  皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
今日はバフティアリやロレスターンの東隣のエスファハーン州の映像をと思いましたが、この辺に来ると民俗的なものはほとんど見当たりません。往年の名歌手ゴルパがエスファハーン(旋法名)を歌ったクリップがありましたので、それを上げておきます。2本目はライヴ映像。こちらの方が純古典的な演奏です。
バヤーテ・エスファハーンと言えば、哀愁味に溢れる旋律で、日本の中高年にも受けが良いという噂を聞いたことがあります。私もイラン革命の起きた79年でしたが、一番最初にはまったペルシア音楽の演奏がバヤーテ・エスファハーンでした。前にアップしたケマンチェのアスガール・バハーリーと、トンバクのホセイン・テヘラーニのデュオでした。あれを聞いてなければ、今こんなことをやっていなかっただろうと思うほど、高校時代に強烈なインパクトを受けた演奏です。
バヤーテ・エスファハーンとは、元々は「エスファハーンの歌(または詩)」のような意味です。サファヴィー朝時代の首都でしたが、その頃は「エスファハーンは世界の半分」と称賛され、栄華を極めた都でした。ゴルパはテヘラン出身のようですが、エスファハーンを歌う時は、往時の古都にも思いを馳せているのでしょうか。

Golpa - Avaz e Esfahan. Goftam Vali Bavar Nakardi.

Akbar Golpa

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2008年6月 4日 (水)

ナーゼリーの楽団にバフティアリ?

バフティアリで4日見てきましたが、Bakhtiariで検索した中にクルド系の名歌手シャハラーム・ナーゼリーのクリップがありました。メンバーの中にアッバース・バフティアリが入っているため検索に引っかかったようです。とりあえずはこの素晴らしいパリでのライヴ演奏をご堪能いただけたらと思います。
アッバース・バフティアリはトンバクと両面太鼓のダムマームを担当している人だと思いますが、この名前ですからバフティアリの人なのでしょうね。この人はクルドのタンブール名手アリ・アクバル・モラディの仏Ineditから出ている「イランのクルド音楽」というアルバムで伴奏していた人でした。このアルバムではタンブールも弾いています。
パリでのライヴでは南イランをすぐさま連想させるダムマームを前においての演奏。ロレスターン以来見てきたように、クルドとバフティアリやロリは隣接しているため、少なくとも音楽においては影響を与え合ってきたように見えます。

Centre Pouya part 1

Centre Pouya part 2

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2008年5月25日 (日)

シャジャリアン&タトルセスとハイヤーム

昨日ちょっと触れましたシャジャリアンのルバイヤートらしきクリップが見つかりましたので、上げておきました。朗読はペルシア詩朗読界の大御所Ahmad Shamloo

2,3本目はやはりオマル・ハイヤームのルバイヤートに関したビデオのようですが、曲がイブラヒム・タトルセス、詩の訳文はルーマニア語。トルコの「アラベスク(演歌のような歌謡ジャンル)の帝王」と言われるタトルセスがハイヤーム!?とびっくりしましたが、ルーマニアのyoutubeユーザーが作成したビデオのようです。歌は出てこず、イントロ部分?で終わります。ハイヤームの雰囲気が出ているのかどうか不明ですが。(出ているような気もします^^)

こんな一篇が似合うでしょうか。(太宰治「人間失格」のルバイヤットの引用箇所より)

 到る処に 至高の力を感じ
 あらゆる国にあらゆる民族に
 同一の人間性を発見する
 我は異端者なりとかや

Khayyam Poetry

Khayyam 3

khayyam 4

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2008年5月24日 (土)

オマル・ハイヤーム関連

バーバー・ターヘル関連を数日見ましたので、是非オマル・ハイヤームも、と思いましたが、見事にイランの伝統音楽的なビデオは見当たりません。どちらかと言うと西洋で熱烈に受け入れられてきたからでしょうか。英訳のクリップが多いです。そう言えばペルシア古典音楽でハイヤームを歌っているものは、聞いたことがありません。シャジャリアンにはありましたが、朗読入りの軽古典的なアプローチでした。あの盤はかなり異例のリリースと言う印象で受け止められていたようです。
とりあえず今日は、朗読を一本、オリエンタリズム的フィルターが感じられると思いますがアメリカ映画の「オマル・ハイヤーム」、ソ連のアニメ、ルバイヤートをテーマにしたイランの舞踊、の4本をアップしておきます。神保町にあったSレコードで、タジク語版のルバイヤートを昔見かけたことがありました。このようにイラン周辺諸国ではかなり愛読されているようです。
(以下拙稿のペルシア古典音楽の昔と今より)
欧米や日本で昔からいちばん有名な「ルバイヤート」のオマル・ハイヤームは、イランでは先の5人(ハーフェズ、サアディ他)ほどには人気がない。太宰治の「人間失格」にも引用されて いたりして、日本ではペルシア詩人の代名詞のように思われていたようだが、その虚無的、享楽的、運命論的な詩は、四行詩という入りやすい形式も手伝って か、欧米人や日本人には人気があるが、イランでは無神論の詩集とのレッテルを貼られ避けられることも多かったようだ。

omar khayyam

オマル・ハイヤームのルバイヤートの朗読。

Debra Paget IS Persian Royalty in "Omar Khayyam"

パラマウント映画「オマル・ハイヤーム」

Oh, princess! / Ах, принцесса! (In Russian)

オマル・ハイヤームの詩に基づくソ連のアニメーション。

Shahrokh - Persian Dance

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2008年5月11日 (日)

バハーイーのノウルーズ

もう一日ペルシア・ヴァイオリンを見てみます。BahaiView.orgの表示が出てくるビデオ2本。19世紀中葉にペルシアで生まれたバハーイー教のサイトなので、この二人もバハーイーなのでしょうか。Manouchehr Vahmanという人は初めて知りましたが、ラフマトッラー・バディイー(Rahmatollah Badii)はTaranehかPars VideoからCDが出ていた人で、名の通った奏者だと思います。バハーイーだとすると驚きです。孫?のトンバクと一緒に娘のアーヴァーズを伴奏するRahmatollah Badiiは往年に比べると少々テクニックの衰えが感じられますが、Manouchehr Vahmanはオーソドックスな素晴らしい演奏です。
両方ノウルーズ(ゾロアスター教時代に遡ると言われるイランの新年)の時の映像のようです。イスラームを母体としながらも、全く異なる宗教になったため、イラン本国では禁教扱いのバハーイー。バハーイーとノウルーズは直接関係ないとのコメントも見かけますが、どうなのでしょうか。因みにyoutubeで話題のこの人(Sahba Motallebi)もバハーイーのようです。

Violin, Tonbak and Persian singing

Rahmatollah Badii and daughter and grandson(?) perform for Naw Ruz

Persian Violin & Tonbak Duet

Very Persian and beautiful. Manouchehr Vahman on Violin and Hamed Hakiman on Tonbak. Naw Ruz performance.

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2008年5月10日 (土)

ペルシアン・ヴァイオリン

ここでちょっとペルシア古典音楽のヴァイオリン演奏を見てみようかと思います。
古典音楽でも、古くはAbolhasan SabaやRokneddin Mokhtari辺りから音源がいくつかあります。もう少し後のParviz Yahagiも有名で、iTuneのRadio Darvishでも頻繁に耳にします。高音を好むペルシア音楽では繊細な旋律表現が可能な楽器ということで、昔はかなりもてはやされていたようですが、イラン革命後の伝統回帰からでしょうか、西洋的なイメージが付きまとう(ように思われますが)ヴァイオリンの演奏は、イラン本国では余り見かけなくなったように思います。同じ弓奏楽器でもケマンチェを持つ人が増えたかも知れません。
Loghman Adhamiと言う人のこの映像、どうでしょう、もしかしたら革命前かもという印象ですが、微妙ですね。Behzadのアーヴァーズを模すように伴奏する演奏はとても秀逸です。
なおヴァイオリンの調弦は、西洋式の(上の音から)e-a-d-Gの他に、e-a-d-A、d-a-D-G、e-a-E-Cという、バルバット以来のものと思われるチューニングも使われているようです。(ブルーノ・ネトル著/細川周平訳「世界音楽の時代」より) 4つ目などはC音まで下げられてヴィオラの音域までカヴァーしている訳で、そういう低音ヴァイオリンを確かによく耳にします。
しかし、昨日見たガシュガイの演奏家の方が西洋的に聞こえるのが何とも不思議です^^

Loghman Adhami Improvization vocalist Behzad

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2008年4月24日 (木)

イランのウード

イランのウードとバルバットのビデオがありましたので、それをアップしてみました。
ウードは元々古代イランのバルバットがルーツと言われています。Barbatは2音節ですが、頭の子音BBの音が中国に入ってPP(ピパ)になり、それが日本に渡来して琵琶になったというのは有名な話。琵琶というのはペルシア語直系の名前なんですね。一方西進した方は、アラブで「木」の意味のウードと呼ばれるようになり(胴が一木くりぬきではなく寄木になったのもあるのでしょうか)、アラビア語冠詞のalが付いてal-oudとなり、西洋に持ち込まれると名前が訛ってluteとなったと言うのも有名だと思います。
一本目は数少ないイランのウード名人マンスール・ナリマンの演奏。CDがClub du Disque Arabeから一枚ありましたが、現在は入手不可でしょう。名歌手シャヒーディーのウード弾き語りもありますが、前にアップしましたので、今回は割愛します。2,3本目は演奏者は不明で、バルバットによる演奏だそうです。ホマーユンとエスファハーンとありますが、どことなくアラブ寄りに聞こえる演奏です。

Oud (Barbat) Ostad Nariman

Barbat - Homayoun

Barbat - Esfahan

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2008年4月23日 (水)

デルキャシュ

今日は50、60年代に大人気だった女性歌手デルキャシュの歌唱をアップしてみました。ハイェーデ、グーグーシュなど、歌謡系も沢山ありますが、彼女らより先輩格のデルキャシュもいくつか出てきたのには驚きました。グーシェの名前にもありますが、デルキャシュとは「魅惑的」の意味で、その通りの美貌の持ち主だったようです。当時盛んになっていた放送メディアに乗って人気を博し、エジプトのウム・カルスームに喩えられるほどだったそうです。ポピュラーだけでなく、古典のアーヴァーズもこなす歌手でした。
今日の一本目はおそらく最近の映像だと思いますが古典的な歌唱(タスニーフでしょう)、二本目は往年の映画の中のワンシーン。アルトの低い声が特徴的で、Radio Darvishなどでも頻繁にかかっていますが、すぐに彼女と判別できます。カセットは結構ありましたが、CDで余り入手出来ないのが残念なところ。60年代にはアーヴァーズだけのアルバムもあったようです。

Delkash

Iran "دلكش در فردا روشن است Delkash in Farda Roshan Ast"

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2008年4月18日 (金)

クラリネットによるラディーフ

トンバク関係を探していたらまた色々見つかりましたが、それらはまたにして、往年のクラリネットの名手シルホダイェーの素晴らしいビデオが見つかりましたので、今日はそれを行きます。冒頭の司会者はネイの名手ハッサン・キャサイー。シルホダイェーのソロ音源はCALTEXから出ていましたが、現在は入手困難。演奏しているのは中立音程の多いセガーですから、どこかアザーンを思わせるようなクラリネットの音色はエキゾチックな魅力に溢れています。クレズマーとも全く異なる、一種「夜の音楽」の空気感を持った演奏です。1926年生まれですから、キャサイーとほぼ同世代でしょう。同期のよしみでしょうか^^ 赤を入れた所は、ペルシア詩の引用でしょうか。そんな感じの粋な言い回しで、ネイ名人にふさわしいコメントに思えます。

以下ビデオの詳細
Segah - shahgusheh Mokhalef in Masnavi style. Master Hassan Kassayi introduces him : "the fondement of Music is resumed in just one word : it's musician soul burning which can impress listener's heart ; only Candle knows why Butterfly gives his soul".
Mohammad Shirkhodayi, târ and clarinet player, born in Tehran, 1926.
At age of 15 he entered in Tehran Music Academy, and there, on Ali Naghi Vaziri and Ruhollah Khaleghi's advice, he started to study târ.
He performed as a solist on Tehran Radio (created in 1940) at the age of 19 ; then he became a member of famous R. Khaleghi's Academic Orchestra.
During first "Golhâ" (Golhâ-ye djâvidân) performances on radio, director Davood Pirniâ asked him to play clarinet ; Shirkhodayi's beginning's on this instrument were so amazing that he then specialized on clarinet.
He recorded with the most famous musicians in his time, from Gholam Hossein Banan to Hossein Tehrani through Abolhassan Saba.
His works along with those of Hosseinali Vaziritabar contribute to the creation of a radif for clarinet.
He worked all his life as an expert for different regional Music Academies in Iran.

M. SHIRKHODAYI - radif on clarinet
残念ながら埋め込み禁止でした。

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2008年4月16日 (水)

デイラーマンの歌

11月位からロシア・マイナー~カフカスを中心に巡ってきたわけですが、今日からイランに入ります(と言うより、戻りますでしょうか^^)。
まず一本目は何処か懐かしいダシュティ旋法の名曲「デイラーマンの歌」。歌うのはこの曲を有名にした名歌手バナーンです。バナーン自身と、彼を巡る20世紀前半のペルシア音楽の巨匠たちがビデオに次々登場します。この曲をダシュティ旋法に取り入れたアボルハッサン・サバーを初め、モルタザー・マハジュビー(この曲のバックのピアノはおそらく彼の演奏)、イラン近代音楽の大御所アリ・ナギ・ヴァズィーリーと後輩のルーホッラー・ハーレギー、若き日のファラマルズ・パイヴァール(頭髪が豊か^^)、トンバクの巨匠ホセイン・テヘラーニ等。バナーン自身は黒いサングラスをかけた写真が有名でしたが、メガネを取ると往年のタイロン・パワーのような端麗な美男だったのですね。驚きました^^
回顧的な映像に、何とデイラーマンの美しいメロディがマッチしていることでしょうか。

アボルハッサン・サバー/Violinのコメント拙文(こちらより)
セタールだけでなくヴァイオリンの名手としても知られた往年の巨匠サバー(1902- 57)のソロ。数曲ホセイン・テヘラーニのザルブ叩き歌いが入る。ヴァイオリンによる歌の模写、というより歌っているように聞こえる信じられない音色。名 高いデイラーマーンの節(ダシュティ旋法)で始まる。若き日のパイヴァールも登場。

マリアム・アホーンディ/Banuのコメント拙文より
一曲目、エシュグというタイトルの曲はペルシア語で愛とか恋の意味で、中近東の「ロメオとジュリエット」とも言われる「ライラとマジュヌーン」の物語がイメージされている。たゆたうような美しい旋律で、これは名高いデイラマーンの節だ。この曲は往年の男性歌 手バナーンの名唱で有名になった。カスピ海南岸の民謡に由来すると言う説があり、大御所アボルハサン・サバーが古典音楽のレパートリーに取り込んだ。現在 ではダシュティ旋法のグーシェ(古典音楽における伝統的な節の雛形のようなもの)の一つに収まっている。

Daylaman by Ostad Banan

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2007年10月28日 (日)

アブドルワハブ・シャヒーディー

今日は全国的に良い天気のようです。関東は台風一過の晴天では? 
こんな日は極上のマーフールで!w
名男性歌手アブドルワハブ・シャヒーディーをフィーチャーした、氏の自作曲「Negah Garm To」の冒頭部分です。このビデオは私も持っていますが、アーヴァーズ部分を歌う時にウードの音が消えているのが困りものでした。
この曲が70年代初頭に収録され、初めてフランスで出たのはOcora(ラジオ・フランス)でしたが、これは今でも名盤中の名盤で、これだけの超豪華な布陣は今ではまず考えられないと思います。この盤はリーダーのファラマルズ・パイヴァールで知られることが多かったかも知れませんが、彼よりはやはりシャヒーディーのカラーがストレートに出た内容。マーフール旋法の「Negah Garm To」は、米西海岸のレーベルCALTEXから曲名と同名の盤が出ていましたが、内容はテイク違いでした。今回のyoutubeはCALTEXのキャストと同じだと思います。しかし、Ocoraの方がオールスターキャストですよw
  
 アブドルワハブ・シャヒーディー(ウード、歌)、
 ジャリール・シャーナズ(タール)、
 アスガール・バハーリー(ケマンチェ)、
 ファラマルズ・パイヴァール(サントゥール)、
 ハッサン・ナヒッド(ネイ)、
 ホセイン・テヘラーニ(トンバク)  

Abdolvahab Shahidi


Shahidinegahcaltex  Abdolvahab Shahidi : Avaz, Oud
 Faramarz Payvar : santur o tanzim
 Hassan Nahid : ney
 Rahmatollah Badiyi : kamantcheh
 Mohammad Esmaili : tonbak

CALTEX盤

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2007年10月27日 (土)

2002年のアリザーデ作品

今日は2002年初来日の時のアルバム、Birdsのおそらくプロモーション・ビデオ。リリースしているレーベル、BaMusicの出品。
来日の時と同じ3人の演奏で、とても繊細で哀愁に満ちた曲調です。旋法名は載っ ていませんが、ナヴァーやホマーユンあたりの組み合わせではないかと思います。イラン古典の範囲内でありながら、外国の聴衆の心にもストレートに訴えかけ るような素晴らしい演奏。マジッド・ハラジ氏自身のプロデュースで、さすが楽器の特性をよくつかんだ録音も素晴らしいものでした。ホマさんは、98年リリースのRaze Noで、アフサーネ・ラサーイーさんと女性歌唱デュオを受け持っていた人。北イラン出身のようなので、ダシュティ辺りが得意かも。最初のアルバムの仏Buda盤ではダシュティを歌っていました。彼女のしっとりした歌唱が私は結構好きです。ダシュティ旋法の名曲、デイラーマンとか歌って欲しいものですねw

 ホセイン・アリザーデ(セタール)、
 ホマ・ニークナム(歌)、
 マジッド・ハラジ(トンバク、ダイレ、ダフ)
 曲目:Birds, Night Light, Fire, Light as the Butterfly

CD Birds: Hossein Alizadeh, Homa Niknam, Madjid Khaladj

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2007年10月26日 (金)

鴬の声とドゥドゥクの美しき出会い

今日のビデオEndless Visionは、アリザーデ率いるハムアーヴァーヤーンと、イランの北西隣りアルメニアのドゥドゥクの巨匠、ジヴァン・ガスパリアンの注目の共演盤でした。噂を聞いた時、一見奇抜とも思える組み合わせに驚いたものですが、聞いてみてそんな心配は吹き飛びました。隣の 国だから音楽にも似た部分は元々多いのでしょう。アルメニア語はペルシア系と思われていた時期もあった位ですから。「東京の夏」音楽祭で来日した女性Endlessvision_2 歌手二人はアルメニアの 歌も歌い、またこれが実に素晴らしく、ドゥドゥクの音と聞き間違える程。また弦楽器シュールアンギーズの陰影に富んだ音色は、とてもアルメニア音楽向きに聞こ え、タンブールを更に内省的 にしたような音色。弦楽器、ドゥドゥク、歌のいずれも哀感に溢れた絶美の演奏です。ビデオで見て感動を新たにしました。2003年テヘランでのライヴ録音
2007年グラミー賞ワールド・ミュージック部門ノミネート作品

Hossein Alizadeh - Endless Vision (2003)

ホセイン・アリザーデ(Shourangiz)Vlcsnap308523 & ジヴァン・ガスパリアン(Duduk)Vlcsnap310472




Hamavayan
アフサーネ・ラサーイー(Vo) 、ホルシド・ビアーバーニー(Vo) 、
M.アリ・アハディ(Vo) 、アリ・サマドプール(Vo) 、アリ・ブスタン(Shourangiz) 、
M.レザ・エブラヒミ(Oud) 、ベーザード・ミルザーイー(Tombak,Daf,Naghareh) 、
アルメン・ガザリヤン(Duduk) 、ヴァズゲン・マルカリアン(Bass Duduk)

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2007年10月25日 (木)

最近のアリザーデさん1

往年のペルシア音楽の名手を特集していましたが、いつの間にかそれました。
しばらく、現代の名手ホセイン・アリザーデさんの最近の作品を追ってみましょう。
Raze No(「新しい秘密」の意)は2004年の来日公演で披露された曲で、女性歌手アフサーネ・ラッサーイーと男性歌手プーリア・アハヴァス他4人の歌手を中心に、「タハリール合 戦」を繰り広げるかのような集団即興がユニークな作品でした。ハムアーヴァーイー(「声をあRazeno わせて歌う」というような意味)とは「アーヴァーズ」からの造 語。ヒント は西洋古典のポリフォニックな歌唱にもあったようですが、単にハーモニー化することなくイラン版ポリフォニーのように聞こえる斬新さを感じさせた曲です。この曲は98年にCDリリースされていて、イランの内外で高く評価され、アリザーデの創造性がいかんなく発揮された名盤でした。

以下はラーゼ・ノウではありませんが、同じハムアーヴァーヤン・アンサンブルとしての今年、2007年のライヴです。ベルリンとオランダのユトレヒトでの映像。中央のアリザーデさんの左に座っているプーリア・アハヴァスさん(右はアフサーネさん)、東イランのバルチスタンでよく用いられる擦弦楽器ゲイチャクを弾きながら歌っています。パキスタンのサーリンダなどに似た、8の字型の胴が特徴的です。右端のケマンチェとロバーブ奏者の二人はアリザーデさんの息子さん。お二人には頑張って欲しいですね。
この映像を見て思うのは、セタール奏者を置いて本人はシュルアンギズを弾いていること、ゲイチャク、ロバーブのような東イランの楽器が目立つことなど、興味深いポイントだと思います。ハラジさんのトンバクも東っぽいかも。

Hamavayan Ensemble in Berlin 2007

Hamavayan Ensemble-Hossein Alizadeh

Hossein Alizadeh, shuranghiz
Afsaneh Rassai, vocals
Madjid Khaladj, tombak & daf
Ali Boustan, setar
Pouria Akhavas, vocals
Nima Alizadeh, robab
Saba Alizadeh, kamancheh

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2007年10月24日 (水)

最近のパリサー

今日は最近のパリサーの映像を一本。行く先々でスタンディング・オヴェーションを巻き起こしたという新プロジェクト、Gol-e Beheshtから。Network Medienからの同名のアルバムの1枚目に収録されている曲(Ab-e Zolal)です。2005年のツアーの映像。

Parissa & Dastan

ハミド・モテバッセム(タール、セタール)、ホセイン・ベールズニアー(バルバット)、
サイード・ファラジプーリ(ケマンチェ)、ペジマン・ハダディ(トンバク)、ベーナム・サマニ(ダフ)

Ab-e Zolalは、ルーミー(モウラヴィー)の詩によるタスニーフ。
愛と陶酔、そしてカタルシスを呼び起こす魔法の歌声を味わえるライヴです。旋法はイスファハーンで、リーダーのモテバッセムによる作曲。聞いているとぞくぞくしてくるような素晴らしい曲ですね。師匠のマームード・キャリーミーから「あらゆる旋法を歌いこなし、イラン音楽の演奏者に求められるものを全て持っている。私の最高の教え子である。」と折り紙付きだったという名歌手パリサー。若い頃の輝かしい歌唱は勿論ですが、年齢を重ねた円熟の歌声も実に素敵です。
(師匠のキャリーミのビデオも捜索中w  なさそうですが・・)
同じアンサンブル・ダスタンとの共演で、パリのライヴも出ています。
カメラが遠いのがちょっと残念。客席からこっそり録ったのでしょうw

Concert Parissa et Dastan à Paris
http://www.youtube.com/watch?v=DyDNXvPjKg4
http://www.youtube.com/watch?v=CtKq17342UU

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2007年10月23日 (火)

パリサーのあのタスニーフ!

今日もファーテメ・パリサーの映像を一本。
ビクターJVCから出ていた「ペルシア絶唱」の1曲目、マーフール旋法の演奏の終わりに出てきたあの曲です。雨後の虹のように美しいタスニーフ(歌曲)です。詩はシェイーヒ・バハーイー、作曲はシェイダー。

Parisa, Mahour

 いつまで汝唯一なる者との合一を求めて
 まつげ1本1本から我が涙が
 洪水のごとく流れ落ちるのか

 皆それぞれの言葉で汝に感謝を表現している
 ナイティンゲールは恋歌を歌い
 きじばとはタラネー(小歌)を歌って

  (羽田享一訳 ビクター「ペルシャ絶唱/イスラム神秘主義の歌声」より)

バックは Dariush Talaiのタール、Parviz Meshkatianのサントゥール、ケマンチェとカーヌーン、トンバク奏者は不明。ケマンチェが2本なのが珍しいでしょう。爪弾く方の琴のような楽器カーヌーンも、当時はしばしば使われていたようです。東京でのライヴとはメンバーが異なります。ダリウーシュ・タライは、アリザーデと並び称される現代のタール&セタールの名手。パリサーが少し不調な気もしますが、貴重なビデオです。
78年東京ライヴの方も、誰かアップしてくれないものでしょうか(笑)

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2007年10月22日 (月)

パリサー&アリザーデ 1977

昨日転載した文章で触れたライヴですが、何と先月にビデオがアップされていました。
イランでTV放映されたのを誰かがビデオに録っていた映像ではないかと思われます。
CDと全く同じナヴァーの演奏です。も~~う、最高です。あのタハリール(特に一本目)を映像で見られます! 若き日のパリサーとアリザーデの珠玉のデュエットを、どうぞご堪能下さい。

Parisa, Nava, Saz-o-Avaz

Parisa, Nava, Tasnif (Pir-e Farzaneh)

Alizadeh(タール)、Meshkatian(サントゥール)、Parisa(アーヴァーズ)、Shekarchi(ケマンチェ)、Kianinejad(ネイ)、Morteza Ayan(トンバク)

この演奏は、1977年シーラーズのハーフェズィエ(詩人ハーフェズの廟があるペルシア庭園)で行われた、第11回芸術祭のイラン古典音楽演奏会の実況録画です。
音源は、キングの旧ワールドミュージックライブラリーに入っていた「ペルシア追想」に収録されていました。現在は「イランの音楽~栄光のペルシア」に収録されています。

リーダーはサントゥールのメシュカティアンでしょうか。翌年の78年日本でのライヴ(ビクターJVCの「ペルシア絶唱」に収録)は、セタールとタールがアリザーデではなく、ジャラール・ゾルフォヌン(おそらくリーダー)、ネイはモハンマド・ムーサヴィー、トンバクは同じモルタザー・アーヤーン、という編成でした。
これは勝手な想像ですが、ローテーションや演目によっては、もしかしたらアリザーデとの来日と言うのもありだったのかも知れませんね。

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2007年10月21日 (日)

アリーザーデとパリサー

今日はいきなり時代を下って、現代の巨匠ホセイン・アリーザーデ。
彼については、もう説明不要な気もしますが、拙稿を下記に転載しておきます。
ビデオは、めちゃくちゃ映像が悪い上に、前半はチューニングが延々続きますが、現在もペルシア音楽界随一の歌姫であるファーテメ・パリサーの伴奏を、アリザーデ他の楽団が受け持っている大変貴重なビデオです。収録は77年前後くらいでしょうか。アリザーデさん、若い! (下記では言いなれた「アリザーデ」で通していますw)

Parisa_I

 2度来日公演を果たし、日本でも大分知名度が上がってきたイランのタール&セタール奏者のホセイン・アリザーデ。05年には2002年初来日公演を収めたDVDも国内発売された。鮮明な映像で画面に映し出される名手の妙技。長年のファンの一人として感慨もひとしおである。
 ほとんどフリーリズム演奏に変容しているパッショネートな弦楽器の超絶技巧に、これまた当意即妙に応じるマジッド・ハラジのトンバク(ザルブ)も実に素晴らしい。昔ながらのチャハールメズラブやレングなどの、イラン古典の定型リズムに則った演奏からみると、自由奔放と言えるのかも知れないが、それが非イラン人の聴衆にもダイレクトなインパクトを与えていることは確かだろう。北イラン出身の女性歌手ホマ・ニークナムの清楚な歌唱も好感が持てる。2人の即興はKereshmeh盤やBudaの2枚組みなどでファンの間では既にお馴染みのスタイルだったが、それが遂に日本で見られるとなって大興奮の内に会場に出かけたものだった。
 アリザーデは歌も交えた作品でも注目作を連発している。2004年東京の夏音楽祭で披露されたRaze Noは、タハリール(鶯の声と訳されるヴォーカル・テクニック)を利かせたアーヴァーズを複数重ね合わせるというこれまでに例を見ないものだった。ヒントは西洋古典のポリフォニックな歌唱にもあったが、単にハーモニー化することなくイラン版ポリフォニーのように聞こえる斬新さを感じさせた。イスラーム以前のゾロアスター教時代を想起させるコンセプトと衣装も興味深かった。
 更にアルメニアの至宝、ドゥドゥク奏者のジヴァン・ガスパリアンとの共演作が05年発表された。イランの北西部に接し同じ印欧語族で、昔はイラン系と思われていたこともあるアルメニア。Raze Noに出演した2人の女性歌手がアルメニアの歌も歌っているが、これもとても美しい。奇抜な組み合わせに終わらない深さを感じさせる作品だった。

 アリザーデと言えば、筆者が彼の音楽にめぐり合ったのは偶然だった。91年頃だったか、FM放送された彼のネイ・ナヴァーが最初であった。弦楽の透明な響きの上にネイの音がたゆたう、侘び寂びとノスタルジーが絶妙にブレンドしたような大変美しい曲である。解説は当時の気鋭のイスラーム学者、故・五十嵐一氏。氏は「雅びということを感じますですねー」と語っていた。筆者はイランの古典音楽には長年関心を持ち続けていたが、その時点では「アリザーデ」は未知の存在。むしろ五十嵐さんの名前に惹かれて聞いた番組であった。
 その後94年頃だったか、都内にあった某専門店在籍時に、リスト上でアメリカのイラン音楽専門レーベルKereshmehからのHamnava'iに始まる一連の作品を発見し、アリザーデの名前にこれまた偶然再会。入れてみて驚いた。ネイ・ナヴァーのような、西洋音楽との折衷作品ばかりかと思っていたら、タール2本とトンバクの作品(Hamnava`i)や、あのか細くも思えるセタール一本でドラマティックに展開する作品(Torkaman)など、目を見張るような斬新な作品群を耳にすることになった。そして私とお得意様の間でいつしか話題騒然のアーティストになっていた。ペルシアの古典音楽を正統に受け継ぎながら、更に消化しきった上で独創的な息吹を吹き込んでいる、現代ペルシア音楽界の鬼才なのだということが徐々に分かってきたのだ。ケレシュメ諸作品の衝撃もあっただろうし、欧米へのコンサート・ツアーで注目度が急上昇したのだろう。それから数年の内に、BudaやWergoなど、欧米の有名レーベルから次々とアルバムが登場。
 CDで彼の名が初めて登場したのは、キングの旧ワールドミュージックライブラリーに入っていた「ペルシア追想」(現在は「イランの音楽~栄光のペルシア」に収録)だったろうか。1977年シーラーズでのコンサート録音で、名歌手パリサーの伴奏でタールを弾いている。この時の演奏もナヴァーだった。パリサーの歌声はもちろん素晴らしいが、タールで淡々と導入を弾き始める彼の音の何と美しかったことだろうか。ぞくぞくっとするような音だった。
 ペルシアの旋法は大きく分けて12あり、ホマーユンやエスファハーンのような他の短調系旋法にも名演は多いが、アリザーデは妙にナヴァーが似合う人だ。侘び寂びとノスタルジーに、彼独特の熱いメッセージが込められ、中空に放たれる。2004年の来日時に芸大と早稲田大学でのレクチャーで聞いた彼のソロは、あのナヴァーをすぐに思い出させた。女性歌手アフサーネ・ラサーイー他の独唱とのからみも聞かれ、それはもう絶品以外の何ものでもなく、気が付くと感涙を流す自分がいた。 

Hossein Alizadeh=1951年テヘラン生まれ、フーシャング・ザリフ、アリ・アクバル・シャーナズィー、ヌールアリ・ボルーマンド、マームード・キャリーミ、アブドッラー・ダヴァーミ、ユーセフ・フォルタン、サイェード・ホルモズィ他、往年のペルシア音楽の巨匠達に師事。70年代からイラン国立放送管弦楽団の指揮者兼ソリストとしてイランの内外で活躍。一方伝統音楽アンサンブルのアーレフを設立。アンサンブル・シェイダーの活動にも参加し、いつも現代イラン音楽界の前線にいた。海外での目立った活動では、70年代にモーリス・ベジャールのバレエ「Gulistan」の音楽に関わっていたり、モフセン・マフマルバフ監督の映画音楽もいくつか担当している。

以上、06年5月発行のPop BizのFree Paper: Doo Bee Doo Bee Doo #03の拙稿を転載

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2007年10月20日 (土)

サイェード・ホルモズィ

今日は往年のセタール名人、サイェード・ホルモズィ(1897-1976)。
アーガー・ホセイン・ゴリーの高弟だったダルヴィーシュ・ハーンに師事しラディーフを勉強。師匠の死後、アリ・アクバル・シャーナズィーについて続きを学んだようですが、二人の師匠の間でラディーフは異なっていたそうです。
このリラックスした姿勢でのマーフールのように、どこか飄々と孤高のイメージがある演奏家。録音はセタール独奏がほとんどのようで、職人肌の名手と言えそうです。
彼の演奏は、iTuneのRadio Darvish(ダルヴィーシュ・ハーンの名に由来)でも頻繁にかかっています。この映像は、Mahoor Institutから出ているアルバム「Setaar」に、おまけのデータとして付いているビデオ。元より画質は落ちていますが、その枯淡の芸風はよく分かります。

Saeed Hormozi (Setar)

http://homepage1.nifty.com/zeami/m-iranvintage.html#Anchor951247

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2007年10月19日 (金)

ハッサン・キャサイー2

ネイの巨匠ハッサン・キャサイーの映像、昨日はきりがないので、と書きましたが、ものはついでですからURL中心で載せておきましょう。ウィンドウで入るとPCに負担をかけてしまいますから。しかし、余りに沢山あって困ってしまいます。キャサイーのネイ・ソロは、昨日極めつけの一本をあげてありますので、そちらをご覧下さい。昨日の一本にそっくりの(1)~(3)がありますが、分けてアップしているだけのようです。

Ostaad Kasai play Setar

セタールのソロだけウィンドウ付きで上げておきます。あのネイ名人がこんなにセタールも上手かったなんてビックリ!

Kasaee "Agha Hassan" va Taj
http://www.youtube.com/watch?v=vRxWzVwfHd8
名歌手ジャラール・タージ・エスファハーニとのデュエット。この人の全盛時代のアーヴァーズは、A Century of Avazの2枚目で聞けます。旋法はホマーユン。(このデュエットもホマーユンだと思います)

Atashe Del
http://www.youtube.com/watch?v=WlL9rF_0uPc
上記のタージ・エスファハーニとペルシアの楽士達。ネイはハッサン・キャサイー、タールはジャリール・シャーナーズ、トンバクは不明です。場所は、ハーフェズ廟でしょうか。

Kasaee play ney solo / HarmonyTalk.com
http://www.youtube.com/watch?v=RlFIk5Kw28Q
これはシューシタリーか? ワビサビの音色が堪りません。

Kasaee "Agha Hassan" Khodaye Nay
http://www.youtube.com/watch?v=oXYLfAYDFVo
ネイを吹いたり歌ったりの一本。解説にAvaze Mahalli ba Nayとあります。このシリーズは他にも2本くらいあるようです。

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2007年10月18日 (木)

ハッサン・キャサイー

ペルシア音楽の巨匠シリーズ、第3弾はネイの名人ハッサン・キャサイー(1928-)。
彼のものは、短いビデオが他にもありますが、1本目が極めつけなので、取り合えずこれだけにしておきます。2本目はセタールの稽古をつけている所。セタールと歌もかなりのものだと思います。セタール演奏のビデオもありますが、きりがないのでw  一番下は手に入りやすい彼のフランス盤のレビュー。

Persian NEY

Persian Music Lesson from Master Kassai

〓ハッサン・キャサイ~イランのネイ    仏PLAYA SOUND
 ダストガー:シュールとマーフール  ジャハンギール・ベヘシュティ(トンバク)
Kasaiplaya *ネイは葦で出来ていて、吹き口は切ったままの状態に真鍮の筒をはめた、極めてシンプルな縦笛。構えは大体髭で見えにくいが、歯の隙間と舌を有効に利用している模様。トルコのネイと似ているが吹き口が違う。丸い筒のままなので、音を出すだけでも至難の技。そしてこのシンプルさが手伝って、イランではとてつもない名人芸が生まれた。この盤はイスファハーンの往年の巨匠の唯一のまとまった録音。苦悩のパッションを描き出すシュールと、雨後の虹のように美しく晴れやかなマーフールの対照的な組み合わせがまた良い。拍節のある部分では一部トンバク(ザルブ)伴奏が入る。現代の名手にはこの人の影響を受けた奏者が非常に多い。余りに凄演!
  (音楽之友社「世界の民族音楽ディスクガイド」掲載の拙稿)
http://homepage1.nifty.com/zeami/m-iranvintage.html#Anchor953041

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2007年10月17日 (水)

ペルシア音楽の巨人たち 2 ~ アフマッド・エバーディー

昨日予告しましたアフマッド・エバーディー(1906-1992)の映像です。彼は かの有名なミルザー・アブドゥッラー(1845?-1918)の末っ子で、19世紀のカージャール朝ペルシア古典音楽直系のセタールの巨匠。
iTuneのRadio Darvishで流れていても、すぐに、あっエバーディーだ、と分かります。その位、パンチの効いた華のある即興演奏をする人だと思います。
シャーナズィーより更に映像は劣悪ですが、大変に貴重なビデオです。2曲目はマーフールかラストパンジガーか? 一曲目は不明。左手のフィンガリングだけでなく、右手薬指でのヴィブラートなど、小技も確認できます。(ネクタイの柄がサイケかも?w)

Setar Ostad Ahmad Ebadi

Ostaad Ahmad Ebady

イランのMahoor Institutから出ている2枚のCD(下記リンク参照)は、録音状態も良く、そのインパクトのある妙技を捉えた貴重な録音です。CALTEXからもありましたが、現在は入手困難。Radio Darvishでは、アブドルワハブ・シャヒーディーとのデュエットもしばしば耳にします。早く入れねば!w

http://homepage1.nifty.com/zeami/m-iranvintage.html#Anchor951247

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2007年10月16日 (火)

ペルシア音楽の巨人たち 1 ~ シャーナズィー 

しばらく見ない間に、往年のペルシア音楽の巨匠たちの秘蔵映像が沢山出てきていて、正直驚きました。どこに眠っていたのでしょうか。最近は、宝の山状態です。
と言うわけで、しばらくペルシア音楽をシリーズでやってみましょうか。

まずは、特に素晴らしいと思ったアリ・アクバル・シャーナズィーから。
ほとんど手元を見ず繰り広げられる演奏には、鳥肌が立ちました。ただただ凄い!
右手の激しく、かつ繊細なメズラブさばきは、神技のように思えます。ボディを叩いてトンバク風なリズムを取るのも、おそらく彼独自で面白い技です。
Enigmatic Noise Trobadourの異名を取っていたミュージシャンのHKさんも、彼のCDについてはどれも大絶賛でした。
演奏しているのはエスファハーン。哀愁味のある旋法で、(年配の?)日本人には特に人気があるとか。父と叔父が極めたタール演奏を引き継いだカージャール朝宮廷楽士直系の名演です。

アリ・アクバル・シャーナズィー(1897-1984)は、叔父のミルザー・アブドゥッラーと並んで現代ペルシア音楽の直接の始祖と言われるアーガー・ホセイン・ゴリー(ミルザー・アブドゥッラーの兄)の実子。ミルザー・アブドゥッラーは、後日紹介予定のセタール奏者、アフマド・エバーディーの父。

Ali Akbar Khan Shahnazi (1)

Ali Akbar Khan Shahnazi (2)


参考盤はこちらで
http://homepage1.nifty.com/zeami/m-iranvintage.html#Anchor951247

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2007年10月 7日 (日)

燻し銀のペルシア音楽

mixiのペルシア音楽コミュで、cheraghさんから教えて頂いたクリップ。往年の巨匠たちの演奏が、たっぷり堪能できます。 しかも、ダストガー(旋法)はホマーユンw

Live in Shiraz Festival in Hafezieh (Hafez tomb) - 1971
The authentic Masters - Assatid (1/3)
Homayun Dastgah : Payvar's pishdaramad ; 4mezrab and avaz (tar)

The authentic Masters - Assatid (2/3)
Homayun Dastgah : 4mezrab and avaz (kamancheh)

The authentic Masters - Assatid (3/3)
Homayun Dastgah : zarbi and avaz (santur) ; Payvar's reng

Musiquepersaneメンバーは、
Faramarz PAYVAR (santur) -
Asghar BAHARI (kamancheh) -
Hosseyn TEHRANI (tonbak) -
Jalil SHAHNAZ (tar)

これは、Ocoraから一番最初に出たペルシア音楽のアルバム、musique persane(cf.↓)と同じパーソネルです。ヴォーカル&ウードのAbdolwahab ShahidiとネイのHassan Nahidが抜けていますが。
http://homepage1.nifty.com/zeami/m-iranvintage.html#Anchor949401

バハーリーとテヘラーニは前に個別に紹介しました。70年頃はこのメンバーでよく活動していたのでしょう。 しかしバハーリーのケマンチェには泣きました。もう、最高です。(涙腺肥大?w)

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2007年9月27日 (木)

鶯の声

 一昨日の「鳥の歌」で思い出しましたが(というか、呼応していますがw)、ペルシア古典声楽と言えば、この技は紹介しておかなければいけません。
タハリールと言われる、表と裏の声を交錯させる唱法で、ちょっとヨーデルに似た非常に難しいヴォーカル・テクニックです。数年前に、奄美の女性歌手Rikkiがイランや台湾などを訪れ、イランでは本場のタハリールを聞く番組がありました。相手の歌手は大御所のシャジャリアン。ペルシアの詩集をおもむろに書棚から取り出し、即興で歌っていましたが、その歌声の素晴らしさと声量には本当に驚かされました。リッキさん、奄美のコブシとの類似性にも驚いていたようです。

Golpa & Hayede - Bazm

70年代の映像でしょう。女性歌手ハイェーデと男性歌手ゴルパの二重唱。彼は往年の巨匠ヌールアリ・ボルーマンドの秘蔵子だったようです。バックはサントゥール2台、ウード、ケマンチェ(弓奏楽器)、トンバク。時代を反映してか、何となくサロン的な雰囲気。ハイェーデの声の、ぞくぞくするような魅力も凄いものがあります。
※このビデオは元のテープが手元にあります。売るほど確保できなかったのですが、これは今ではかなり稀少なものかも知れません。

Akbar Golpa yegani

息の長い超絶のタハリールを聞かせた往年の名歌手ゴルパ(イェガニ)のイメージ・ビデオ。意外に演奏シーンの良い物がないもので、とりあえず。

Shajarian+Alizadeh+Kalhor (Bam Earthquake Concert)

こちらは、2003年末にイランのバムで起きた大地震の犠牲者を追悼するコンサートのライヴ。ダストガー・マーフールの晴れやかで威厳に満ちたメロディがとても素晴らしいタスニーフ(歌曲のようなもの)です。
演奏は、先述したペルシア古典声楽界の大物シャジャリアンと、2度来日歴もあるタール&セタールの巨匠ホセイン・アリザーデ、去年来日した弓奏楽器キャマンチェのカイハン・キャルホール、シャジャリアンの息子のトンバク奏者ホマーユン・シャジャリアン。
このマーフール旋法の一曲は、特にイラン人の琴線に触れるタスニーフの一つのようで、犠牲者への思いとオーヴァーラップし、涙を流す聴衆が何人も見えます。

世界的な民族音楽学者の故・小泉文夫氏が「世界で最も美しい歌」と賞賛したペルシア古典声楽の片鱗を味わっていただけたら幸いです。

※参考までに95年に私がある雑誌に書いた記事へのリンクを貼っておきます。
12年前ですので、大分情報が古くなってますが。 (うちのHPの会報の所にあります)
http://homepage1.nifty.com/zeami/kaihou.persia.html

(本稿は、地元のSNS、イマソウにアップしていた記事の転載)

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2007年9月18日 (火)

ネイ

ネイは、イランやトルコで演奏されている葦笛。
ペルシア文化の華、ルーミーの詩でも度々歌われています。
ルーミーはペルシアの詩人ですが、当時は現在のトルコまで一つの国(セルジュク・トルコ)だったので、トルコのコンヤに彼が創立したスーフィーのメヴレヴィー教団があります。トルコ旅行された方は行った人も多いでしょう。ターキッシュ・ブルーの余りに美しいモスクは有名です。

イランのネイは、歯の隙間から息を吹き入れ、舌などで調節しますが、トルコの方はストローのような吹き口が付いています。
イランのネイは、ただの筒に真鍮の筒をはめただけ。鳴らすだけでも至難の業です。トルコの方は多少鳴らしやすそう。

Kasaee play ney solo

イランのネイ奏者と言えば、まずこの人、ハッサン・キャサイー。
現代のネイ奏者のかなりが影響を受けている往年の名人です。
イランの古都イスファハーンの人。短いですが、とても貴重なソロ映像です。


ney taksimi hicaz

こちらはトルコのネイ演奏。奏者は不明。ヒジャーズというとてもエキゾチックで代表的なアラブ~トルコの旋法での即興演奏(タクシーム)。
メヴレヴィーと言えば、スカートのような白衣にトルコ帽の旋回舞踏で有名ですが、ネイは伴奏の中の中心楽器です。


Mercan Dede - Ney ve Semazen Gosterisi - Universiade 2005

こちらはメヴレヴィー音楽の現在形。メルジャン・デデは、昨年の「ラマダンの夜」というイスラーム圏の音楽のコンサート・シリーズでも来日しました。
耽美的なメヴレヴィー音楽とでも言えましょうか。

(本稿は、地元のSNS、イマソウにアップしていた記事の転載)

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2007年9月17日 (月)

ホラサーンの名歌手スィマ・ビナ


Simabinadastandvd  

 イラン北東部のホラサーン地方はアフガニスタンとトルクメニスタンに接し、面積は日本の8割余りある巨大な州。「王書」のフィルドゥースィーを初めとして、ルーミーやハイヤームなど、中世イランの大詩人を生み出した土地としても知られ、現代イランの大歌手シャジャリアンもホラサーンの首都マシュハドの出身。
 このようにイラン文化の揺籃の地の一つであったホラサーンに生まれた女性歌手スィマ・ビナは、大御所ダヴァーミ等に師事してペルシア古典声楽を学んだ。何枚かのCDでも見事な歌声を披露しているが、イラン革命の年(1979年)から民謡の方に焦点を絞って活動してきたようだ。特に彼女の故郷ホラサーンの民謡では、もはや大御所と言っても良いのではないだろうか。故郷は遠きにありて想うもの、だろうか、女性であるが故に著しく活動が制限されるイランを離れ、ヨーロッパに活動拠点を置いた彼女は、美しく力強い故郷の歌を欧米各地で聞かせてきた。
 そしてホラサーンの民謡を大々的に取り上げた5枚が最近Fars Mediaから登場した。
これだけホラサーン民謡で固めて、しかも女性歌手で出るのは初めてだろう。ドター
ル弾き語りの渋い吟遊詩人ものはかなり出ていたが、女性歌手の彩り豊かな歌声で聞
けるのは嬉しい。ホラサーンの音楽はイラン東部と言う土地柄、トルクメニスタンや
アフガニスタン、その他の中央アジア各地の音楽との繋がりも強く感じさせる。大体
ドタールと言う楽器自体、中央アジア的だ。2弦とは思えない超絶技巧には、只々驚
かされる。
 彼女の音源は、これまでにもBudaから南北のホラサーン民謡アルバムが各1枚、
CALTEXなどカリフォルニアのイラン系レーベルから数枚、Nimbusからはネイのホセイ
ン・オムミ他と共演したペルシア古典作品、更にこれは未確認だがタールのモハメド・
レザ・ロトフィとの共演盤もある模様。Taranehの放送録音Golhaye Tazehシリーズに
も70年代のものと思われる音源があった。Fars Mediaからの5枚は、それらとは別音
源。彼女の華々しい活動に拍手を送りたい。

またまた古いですが、Pop Biz Free Paper: Doo Bee Doo Bee Doo #03より転載した拙稿です。

CDの紹介ページ↓

http://homepage1.nifty.com/zeami/m-iran.html#Anchor954800

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2007年9月16日 (日)

Maryam Akhondy / Banu

Maryamakhondy

  

 マリアム・アホーンディはイランの首都テヘランに生まれ、現在はドイツ在住のイラン人女性歌手。テヘラン芸術アカデミーでイラン伝統音楽を学び、女性の音楽活動が制限されるイランを離れ、渡独したようだ。
 他にもこのような例は多い。例えば、あの有名なファーテメ・パリサーやイラン東部ホラサーン地方出身のスィマ・ビナ。二人とも現在はヨーロッパに活動の中心を置いているようだ。パリサーは、1978年の伝説的な東京でのライヴで日本でも有名。このライヴはビクターからCDで出ていた。民族音楽学者の故・小泉文夫氏は、「世界一美しい歌」とペルシアの古典声楽(アーヴァーズ)を絶賛していたが、彼をして「これを聞いたらもう死んでもいい」とまで言わせたライヴだった。考えてみれば、この年はちょうどイラン革命の前年で、色々兆候は出てきていたのではないだろうか。パリサーにしても、出来る内に良い演奏を残しておきたいという気持ちがあったのかも知れない。あのライヴはそんな切なさも感じられ、ペルシアの声楽でも稀に見る高みに達した歌唱で、正にペルシアの絶唱だった。その後色々な噂が流れたが、95年にイギリスでのライヴ盤が登場し、ファンをほっとさせた。更に独Networkの2枚組みを含め、数枚最近の録音が出てきている。昔ほどの輝かしさはないが、成熟した名歌手の風格が増してきている。イランのディーヴァ、永遠なれと祈りたい。
 2004年に来日したホセイン・アリザーデの場合は、同行した女性歌手2人はイランでも活動しているようだが、公のコンサートではなく、プライヴェートコンサートがほとんどらしい。去年の演目Raze NoのCDのパッケージの外側には、女性歌手の名前と写真は入っていない。(中には写真があるがチャドルを被っている)かようにイランでは女性の表立った音楽活動は制限されている。

 マリアム・アホーンディは古典音楽よりはイラン各地の民謡を専門としている人のようだが、ドイツ移住後西洋の古楽演奏などからもヒントを得たのだろうか、コーラスで複数の音を被せる手法をとっている。本来の素朴な民謡旋律がコンテンポラリーなメッセージ性も帯びて表現されていてなかなかに鮮烈だ。アリザーデのハムアーヴァーヤーン(複数の声を合わせる)の手法も斬新だったが、それとは別に着想されたようだ。コーラスとは言っても、発声はイラン古来のもの。使われる楽器は片面太鼓のトンバク(ザルブ)を中心に各種打楽器のみで、このスタイルの演奏を数年前に日本で聞く機会があったようだが、もしかしたら彼女のこのアンサンブル、バーヌ(distiguished ladyの意だとか)だったのだろうか。
 一曲目、エシュグというタイトルの曲はペルシア語で愛とか恋の意で、中近東の「ロメオとジュリエット」とも言われる「ライラとマジュヌーン」の物語がイメージされている。たゆたうような美しい旋律で、これは名高いデイラーマンの節だ。往年のバナーンという男性歌手の絶唱で有名になった。カスピ海南岸ギーラーン地方の民謡に由来し、アボルハサン・サバーが古典音楽のレパートリーに取り込んだと言われ、ダシュティ旋法のグーシェ(伝統的な節の雛形のようなもの)の一つに収まっている。
 古典音楽でも知られる旋律はこれ位だが、イラン各地方の民謡を上手く料理している。絨毯を作る時の作業歌はフラメンコやロマの歌に似ていたり(7)、アフリカ北半分のものと思われていた、裏声のけたたましい叫び声ユーユーが出てくるロレスターン民謡(9)など、意外性にも富む多彩なイラン音楽文化の縮図を見る思いがするアルバムである。

またまたちょっと古いですが、Pop Biz Free Paper: Doo Bee Doo Bee Doo #02より転載した拙稿です。

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2007年9月11日 (火)

ケマンチェ

擦弦楽器ケマンチェの特集。
縦笛のネイと並んで、ヴォーカルに迫る表現が可能な古風な楽器です。
ヴァイオリンを併用するケマンチェ奏者は多いのですが、このワビサビの音色はヴァイオリンでは出ないので、結局この古楽器に専念する人が多いようです。装飾音の入り方がコンマ1秒の微妙さ。それがこういう楽器の命。いじったことはありますが、音域が狭いのにとても難しいです。移弦は本体をくるくる回すことで行うのも、戸惑いの原因でしょうね。

Kalhor

去年来日公演も行ったカイハン・キャルホールのケマンチェ独奏。

Ostad Ali Asghar Bahari

ミスター・ケマンチェと言っても過言でない、往年の巨匠アスガール・バハーリー。
人間国宝クラスの音楽家でした。
私の場合、高校時分に、彼の枯れた味わいの音色にしびれたのが、ペルシア音楽事始でした。そのトンバク伴奏がホセイン・テヘラーニでした。

Meshkatian & Parissa

イラン革命前に来日して、正にペルシアの絶唱を聞かせた歌姫、ファーテメ・パリサーがサントゥールのメシュカティアンの楽団と共演。ケマンチェ奏者もいます。

Munis Sharifov, Azeri Kamanche Player

同じケマンチェ(キャマンチェとも)でも、お隣のアゼルバイジャンでは、かなり味わいが違ってきます。このストレートな泣きの音色も絶品です。90年代のNHKFM「世界の民族音楽」のタイトル曲がアゼルバイジャンのケマンチェでした。

(本稿は、地元のSNS、イマソウにアップしていた記事の転載)

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2007年9月 3日 (月)

イラン古典声楽の巨匠 シャーラム・ナーゼリー

Nazerimythical

去年のナゼリさん来日公演のインタビュー記事です。 いつかブログに上げようと思っていました。
ようやく実現しましたw   

Pop Biz Free Paper: Doo Bee Doo Bee Doo #05より転載

  2002、2004年のホセイン・アリザーデに続いて、シャーラム・ナーゼリーも<東京の夏>音楽祭で来日した。来る10月にはコンダロータでナーゼリーとの共演歴もあるケマンチェ奏者のカイハン・カルホールもやって来る。一昔前では考えられないようなペルシア音楽花盛り状態で、長年のペルシア音楽ファンとしては嬉しい限りだ。その前は93年のダルヴィーシュ・アンサンブルだったろうか。あの時も78年のパリサー以来だと大騒ぎしたものだが、それから随分開いてしまった。今度は誰だろうかと期待も膨らむ今日この頃である。
 シャーラム・ナーゼリーは、シャジャリアンと並んで現在のペルシア古典声楽界をリードする大歌手。イランでは押しも押されぬ大スターだ。アリザーデやカルホールなど、現代の名だたる演奏家との共演歴も豊富で、自身のルーツであるクルドの音楽も積極的に取り入れ、大きい視野でペルシア音楽を活性化させることを心がけている素晴らしい音楽家である。CDも数え切れないほどリリースされている。
 アリオン音楽財団の<東京の夏>音楽祭でのナーゼリー公演は、7月26日と7月27日、浜離宮朝日ホールで催された。特に2日目は終わるなりスタンディングオヴェーションの大喝采が起こり、稀に見る白熱した素晴らしいステージだった。これは本誌編集長の協賛の下、27日の公演直前に楽屋で行ったナーゼリー氏へのインタビュー全文である。(文中の表記は古くから言い慣れている「ナゼリ」で統一しました)

K 昨日は素晴らしいコンサートを有難うございました。タハリール唱法(表の声と裏声を交錯させる一種の超絶技巧で「うぐいすの声」とも言われてきた)が本当に凄かったとお客様からも聞きました。私も10年余り前からナゼリさんのファンでしたが、遂に伝説の歌声を目の前で聞いて本当に感動しました。

K  ポップビズのフリーペーパーではホセイン・アリザーデ、スィマ・ビナ、マリアム・アホーンディの記事も書かせてもらっています。女性歌手2人はドイツにいる方のようですが、ご存知ですか?

N  大体知っています。
(ナゼリは何かカセットテープ状のボックスにテープを巻きつけている。何に使うものだろうか? 何か不思議な感じ)

K  今回のプログラムについてですが、前半とほぼ一致していると思われる2001年のアルバムMythical Chant (Buda)は、「ライラとマジュヌーン」とシャーナーメ(王書)の2つが合わさった組曲のようなものと考えて良いのでしょうか?

N  その形態の全体を「クルドのシャーナーメ」と言います。

K  その中に「ライラとマジュヌーン」(中東版のロミオとジュリエットと言われたりもする悲恋物語)も入っているということですか?

N  全体の中に「日没(Khour Ava)」とか「ライラとマジュヌーン」、シャーナーメの中の「ロスタム」などがイランの歴史のシンボルとして入れてあって、その全体を「クルドのシャーナーメ」と呼んでいます。

K  「ライラとマジュヌーン」と言えば日本では真っ先にニザーミの詩を連想しますが、そのテーマが入り込んでいるのですか?

N  それとは違います。ライラとマジュヌーンは愛の象徴として入れていて、ニザーミの作品とは直接関係はない。イラン中の都市や各地域にそれぞれの「ライラとマジュヌーン」の物語があり、その中でニザーミがまとめたものが特に有名になっている、ということです。

K  なるほど! ニザーミ版はワン・オブ・ゼムということですね。
(直前に「ライラとマジュヌーン」はやらないらしいとある所から聞いたが、パイヴァール作曲の同名の曲だったのかどうか、結局分からなかった。)

K  今回両日とも前半はMythical Chant(「神話の歌」の意)の通りやられていたようですが、膨らんで長くなっているように聞こえました。インプロヴィゼーションが入って膨らんでいたのでしょうか?

N  そうです。インプロ次第でコンサートの度に長さも変わってきます。

K  メンバーの方の内、タンブールのバシプールさんはクルドの方だと思いますが、トンバクのナヴィッド・アフガーさんは? 彼のディスクアラブからのソロ・アルバムを知っていますが、そこではペルシア音楽の範疇で演奏していました。

N  彼は南のシーラーズ出身で、クルド人ではありません。ダフを叩いていたレザーイーニアーは母方がクルドです。

K  リズム面にも興味を持った方が多いように思いますが、トンバクとダフ、ドホルの組み合わせが作り出すユニークなサウンドを考えたのはナゼリさんですか? エコーのように聞こえて面白かったです。

N  みんなでそうしようかと考えていました。

K  あのドホルというのはクルドだけの打楽器ですか?

N  そうです。

K  パキスタンのシンド地方、ジプシーのルーツ地に当たる所に、ドールという似た名の大きい樽型両面太鼓がありまして、関係はあるのでしょうか?

N  でも元々のルーツはクルドだと思います。

K  トンバク(ザルブ)の叩き方も、テクニックの個々はペルシア古典の奏法とほとんど同じですが、リズムパターンがクルドになっているなと感じました。

N  音楽自体違いますので、合うように演奏方法も変えないといけないから違うやり方になっています。

K  中東の最も古い弦楽器の一つと言われるタンブールですが、19世紀末イランのクルディスタン生まれの演奏家、哲学者に、オスタッド・エラーヒという人がいます。その超越的とも言える演奏は、当店のお客さんにも非常に人気がありますが、イランでは特別な音楽家なのでしょうか? また現在のクルドの演奏家への影響は大きいのでしょうか?

N  クルドにはタンブールのオスタッド(巨匠)は沢山いるので、エラーヒもその中の一人です。バシプールさんはお父さんから教わったようです。

K  イランではそれ程、特別視されている訳でもないのですね。エラーヒが騒がれていたのは、バレエのモーリス・ベジャールやヴァイオリニストのイェフディ・メニューインなど、西洋の大御所が絶賛していたことなどもあるのでしょうか?

N  その通りだと思います。

K  タハリールの素晴らしさに加え、曲の始まる部分での弱音の低い声は、ブルージーとでも形容できそうですが、それはナゼリさんのオリジナルな歌い方でしょうか?

N  どうしてああいう風に歌ったかというと、神秘的な空間を作り出したいと思ったからです。こうやって低い声で歌うと(Khour Avaの冒頭部分を歌う)、何か神秘的な感じがしますよね。

K  そうですね。とても印象的でした。
低音から輝かしい高音へのダイナミズムがナゼリさんの凄さの一つだなと思います。PAではとても素晴らしいマイクを使っていたようですが、ナゼリさんの声を完全には拾い切れていないように感じました。私を含め是非生で聞きたいという方が沢山いました。

N  本当ですか。それはびっくりしました。嬉しいですね。

K  Magham-e Madjnouniでは、タンブールに津軽三味線のようなリズムも出てきましたね。それはクルドにオリジナルなリズムなのか、それともナゼリさんが世界中の音楽を聞いてきて、影響を受けて入ったものなのでしょうか?

N  クルドの音楽は5000年位の歴史があるものです。あのリズムもクルドのオリジナルなものです。

K  クルドですが、イラン、トルコ、イラク、シリアに分散して住んでいますが、共通するものはあるのでしょうか?

N  もちろん。元々一つですから。後から国境線が引かれただけです。

K  東トルコの吟遊詩人スィヴァン・ペルウェルなど、他国のクルドの音楽家から影響を受けることはありますか?

N  ありますよ。ペルウェルも知ってます。

K  往年の大歌手アブドゥッラー・ダヴァーミやマームード・キャリーミなどから教えを受けられたということで、ペルシア古典声楽のメインストリームにもいらっしゃると思うのですが、CDで見る限り最近はクルド系のプログラムが多いように思います。何か心境の変化などあったのでしょうか?

N  いえいえペルシアとクルドとフィフティー・フィフティーですよ。私はダヴァーミの弟子でしたが、30年位前に古典音楽のコンクールで優勝したことがあります。学生の時に。

K  私はタール、セタール奏者のダリウーシュ・タライさんと共演された盤は持っています。これは完全にペルシア古典ですね。

N  タライさんとはパリでコンサートをしたことがあります。パリのド・ラ・ヴィー・ホールや、バルセロナ、マドリードなどでも古典音楽のコンサートをやりました。

K  お客様から、色々この曲を聴きたいというリクエストが聞こえてきます。

N  そうですか。

K  たとえばHeyraniとかGol-e SadBargとかMotreb-e Mahtab Rouとか、どれも私の10年来の愛聴盤でもあります。ゴレ・サッドバルグは5本のセタールを使った非常に美しい曲ですね。

N  セタールだとペルシア音楽寄りですが、タンブールを使う時は大体クルド音楽です。

K  ナゼリさん自身セタールの名手だと言うことも知っています。知人がモロッコのフェズで毎年6月に催される「世界の聖なる音楽祭」を聞きに行っていて、そこで弾き語りとアンサンブル演奏をされた所をビデオに録画していて、そのビデオを見せてもらいました。

N  あの音楽祭には2回参加しました。その時コンクールで優勝しましたよ。

K  ああそうですか! おもむろにセタールを持ってぽろんぽろんと引き出す感じが、セタール弾き語りが実に素晴らしいなと思いました。もし宜しければ是非今日やって下さい。
(インタビュー直後の2日目の公演で、願いが聞き入れられたかのように、後半でセタール弾き語りが聞けた。いやもうこれには感涙を流しました。)

N  イランの声楽家で同時に演奏家でもあるのは僕だけです。まず第一に演奏家であって、第二に声楽家なのです。私はセタールだけでなく音楽全般について勉強したし、作曲家でもあります。

K  ナゼリさんとも共演されていたダスタン・アンサンブルですが、パリサーやスィマ・ビナなど有名な歌手から引っ張りだこのようですが、そのような引きつける要素があるのでしょうか?

N  そんなに音楽グループは沢山ないので、たまたまではないかとも思います。

K  ダスタンの中にはベールズニアーさんのようにバルバット(ウードの祖先)のような古い楽器を持ち出してきたりする人もいますが、表現として新しいものを作り出してもいるグループだと思います。秋に来日予定のケマンチェのカイハン・カルホールもメンバーですね。

N  彼らのやっていることは私の真似をしたのです。私の方が先にやっていたんです(笑)

K  ダヴァーミやキャリーミなどのペルシア音楽の主流の流れは、現在難しくなっているのでしょうか? アリザーデなどは新しい方向を出していると思いますが。時代に合わせて変わっていく必要があると思いますか?

N  イランの古典音楽は一つの体系ですし、根っこは変わらない。一つの木の幹はそのまま保たれて、枝葉はどんどん変わるかも知れませんが、根本は一緒で、方向性が変わっていくという風には思いません。

K  私はセタールと歌のみのような、しみじみ聞かせるオーソドックスな古典音楽が好きで、昔のまま変わらないで欲しいと強く願っている者です。

K  イラン革命後、古典音楽の人気が落ちたということはあったのでしょうか?

N  革命前の古典音楽はどちらかと言えば退屈なものでした。私達が新しい息吹を吹き込んで新しいものを作り出そうとして、それに若い聴衆もついてきた。昔は古典音楽と言えば、おじいさんおばあさんが聞くようなものでした。

K  私もサロンミュージック風に聞こえる部分はあったように思います。

N  王様の前や宮廷で演奏されるものでしたからね。
ルーミーの神秘主義詩を古典音楽と一緒に演奏するようなことは、革命前の伝統にはなかったのです。それを最初にやったのは私です。私はルーミーの神秘主義詩に見られる情熱を吹き込んで、古典音楽に新しい動きを加えたのです。

K  イラン革命があったことによって、イスラームの伝統だけでなくペルシア古典詩の伝統にも深く戻れる部分があったということでしょうか?

N  人々が革命前より伝統的なものに関心を抱くようになり、また好むようになりました。

K  女性のメンバーを使われたこととか予定はありますか?

N  ありますよ。

K  革命後にも?

N  あります。例えば、カムカル・アンサンブルのセタール奏者は女性奏者です。また2人の女性セタール奏者のグループもあります。

K  昨日(7/26)のコンサートは前半がMythical Chant、後半はクルドの曲が続きましたが、何か後半のコンセプトはあったのでしょうか?

N  一つ一つ決めていきました。ルーミーの神秘主義詩の所は即興でやりました。クルドの民族音楽もいくつかの曲を並べてアレンジする形でやりました。

K  今日(7/27)のコンサートはどうですか?

N  大体は一緒ですが、即興部分は変わるでしょう。
(カセットテープ状のボックスにテープを巻き終わった!)

K  今回即売用にお持ちいただいたあなたのアルバム「Journey to Beyond」の中の曲は、演目に入っていますか? この作品はルーミーの詩のみをテキストに使ったアルバムですね。

N  今回の演目にはありませんが、最近「Journey to Beyond」の中の曲をテヘランで別なグループと練習している所です。7人のセタール奏者がいて、内2人が女性、そのグループ名はモウラヴィー(またはルーミー、トルコ語ではメヴレヴィー)と言います。

K  それは凄いですね! 話は変わりますが、イラン・ポップスはどう思いますか?

N  とても悪いと思います。嫌いです私は。あれは人々をだます詐欺音楽です(笑)

K  新しいプロジェクトはありますか?

N  息子のハーフェズ・ナゼリがアメリカにいますが、ニューヨークのアジア・ソサエティで10月28日にあるルーミーの記念コンサートに息子と出ることになっています。

K  最後の質問になりますが、日本の印象とか、イランと日本の共通点、相違点など、お感じになったことはありますか?

N  今の所、特に共通点は感じないです。でも日本はとても良い文化を持っていると思います。特に道徳とか倫理において。自分たちで努力する人たちですし、努力したから世界中を凌駕することが出来たのでしょう。イランにはどの家にも日本製品がありますし(笑)

K  長い時間、有難うございました。

文中のKは、近藤博隆 Hirotaka Kondo / ZeAmi代表    Nはシャーラム・ナーゼリー氏

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