ペルシア音楽 トンバク

2008年7月 3日 (木)

トンバクの銘器とリーズについて

今日は摂氏34度と真夏のような蒸し暑い日でした。ちょっとぐったりしております(´▽`)  皆さんの方ではいかがでしたでしょうか。後四日で七夕ですから暑くて当たり前なのですが、梅雨場のこういう逃げ場のない暑さは苦手です。なのでアップも遅くなりましたm(_ _)m

さて、イランの地方音楽に戻ろうかと思いましたが、バッハの前がダフでしたので、また打楽器で暑気払いということにしたいと思います。トンバクについては前に何回かアップしましたが、その後もまた色々出てきております。今日の一本には、イスファハンのトンバク製作者Rahim Shiraniの作品が次々出てきます。象嵌細工が施された、びっくりするような豪華絢爛な装飾の楽器もありますが、古都イスファハンらしくペルシアの古典詩がテーマのものや、ゾロアスター教の神アフラ・マズダーがデザインされたものもあります。
バックで流れているトンバク独奏は、往年の巨匠ホセイン・テヘラーニですね。この力強く個性的な音ですぐに分かります。後半は彼が得意にしていた蒸気機関車の物真似演奏。おまけでトンバクの基本奏法のリーズ2種類。演奏風景をご覧になりたい方は、トンバクのカテゴリーで遡ってみてください。

Tombak : Rahim Shirani (Famous Tonbak Maker) Iran Esfahan

the nine finger roll

両手9本の指を使ったリーズ奏法。ビデオのようにゆっくりからスピードを上げて練習し、どんな音符の長さでもスネアのロールのように正確に打たなければいけません。指の脱力と、指先の力の集中という相反するような意識が肝要。膜面に「当てる」というより、手首のスナップを利かすことで指先が自然に「当たっている」という意識も必要だと思います。リーズ奏法はトンバクのタハリール(鶯の声)と言えそうなベーシックなテクニック。これが出来ないとトンバクやっててもしょうがない、と思います。というかトンバクの音にならないです。

mosbat technique

上のリーズのベースになる3(薬指)のリーズ。これが出来るようになったら、両手指をばらして使うようにすると上のリーズが出来るようになると思います。膜面に当てる順番は右手0,4,3,2,1、左手4,3,2,1の順。左手の0(親指)は左手が膜面に出て行くテクニックの時以外は出てきません。

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2008年4月22日 (火)

ナヴィッド・アフガー

今日はナーゼリー来日公演の際にトンバク伴奏していたナヴィッド・アフガーのソロ。ナーゼリーさんの伴奏の時とは打って変わったアブストラクトなトンバク奏法で、Club du Disque Arabe(ディスクアラブ社倒産のため現在は入手不可)からのソロ・アルバムでもこういう演奏を展開していました。映像で確認するのは初めて。
Navidafghah肘で楽器を押して音程を変えるなど、特殊奏法のオンパレードです。レングなどペルシア的なハチロクのリズムにこだわらず、トンバクの可能性を探求している人のようです。様々なワールドミュージックとのコラボレートを繰り広げるケイヴァン&ビジャン・シェミラーニ兄弟などとは、また違った行き方。時々出てくるベーシックなトンバク奏法の鋭さと完璧なテクニックにも驚きます。

Tombak Solo ( by Navid Afghah)

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2008年4月21日 (月)

ハラジと彼の弟子

トンバクが続いていますので、後何日かやってみます。今日は前にもアップした(はず)中堅名手マジッド・ハラジのソロと彼の弟子の演奏。2002年のホセイン・アリザーデさん来日の際の伴奏者です。BudaやKereshmehからの諸作など、アリザーデさんとの共演作は沢山あります。パリに彼のトンバク学校があることは、Budaからのソロ・アルバムにも早くから書かれていましたが、スイスのバーゼルとか、その他のヨーロッパの国々にも広がっているようです。近年は古楽や地中海音楽の色々にトンバクが頻繁に使われるようになりましたが、マジッド・ハラジとシェミラーニ一家の活動の影響も多いのではないでしょうか。

Tombak solo by Madjid Khaladj

まずは、ハラジさん自身のソロから。かなり皮の緩んだ楽器を使っているのは、何か意図があってのことでしょう。この演奏は、どことなく北インドのタブラ・ソロを思わせる部分もあるように思います。

Madjid Khaladj's Educational Project - 2

これはバーゼル音楽院での彼の弟子によるデュオのようです。コメントに、Please tell us what is the origin of this music. Is it ritual or purely abstract. It is very hypnotic. ~ This piece is not based on any ritual, it is a duo that was composed and developed by Madjid Khaladj during a workshop. とありますが、否定していてもどことなくritualに聞こえてしまいます。私はグルジェフの伝記映画「注目すべき人々との出会い」のラスト・シーンを思い出してしまいました。右の女性の白装束のような衣装が、その印象を強めます^^ どちらにしてもハラジさんの音楽性が濃厚に出ている作品です。本来ホセイン・テヘラーニの弟子だった人ですが、随分と独自の世界を開拓したものだなぁと思います。

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2008年4月20日 (日)

パリサーの78年ライヴのトンバク伴奏者

今日は78年のファーテメ・パリサー東京ライヴの際に伴奏していたトンバク奏者、モルタザー・アーヤーン(1946-)のソロがありましたので、それを見てみます。JVCの「ペルシア絶唱」をお持ちの方はご参照下さい。1980年に78年のライヴが柘植先生の解説でFM放送された際に、モルタザー・ハージェアリー・アーヤーンと聞いた覚えがあります。(まだそのカセットは保存してあります^^)
多様なリーズを華麗に駆使した切れ味の鋭い演奏は昔ながらのものですが、特に最後のテンポアップの辺りは凄いですね。この人、若い頃にはホルモズィやフォルータンのような往年のタール、セタールの巨匠との共演もあったようです。音源があれば是非聞いてみたいものです。
余談ですが、ピアノの巨匠モルタザー・マハジュビーの演奏を初めて聞いたのも、その1980年の柘植先生のFM放送でした。現在Mahoor InstitutからCDが2枚出ていますが、LP時代にはAhang-e ruz社から出ていた音源のようです。(日本イラン協会 機関紙「チャシュム」2001年5月号の柘植元一氏の連載より  この号はペルシアン・ピアノの特集記事)
Parisavi




Morteza AYAN - beloved master
残念ながら埋め込み禁止でした。上記リンクからご覧下さい。

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ジャムシド・モヘッビのトンバク・ソロ

さて、遅いアップになりました。(というか日付変りましたw)
今日はトンバク名人のジャムシド・モヘッビ(1953-)のクリップがありましたので、それを行ってみます。サントゥール奏者のパルヴィーズ・メシュカティアンのバックでよく叩いていた人だったと思います。イスファハーン生まれで、タールのラディーフとホセイン・テヘラーニ様式のトンバクをホセイン・プール・アブーターレブから学び、後にナセル・ファルハングファルのスタイルのトンバク奏法を習得したとのこと。(阪田順子著「20世紀におけるペルシア伝統芸術音楽の伝承」より)
このクラスの名手のステージ以外の映像が出てくることは稀だと思います。多種多様なリーズ(両手を様々に使ったスネアのロールのような奏法)は勿論、両手のペラング(指鳴らしのような奏法)が細かく入る技巧的な独奏です。きめの粗いフラッシュ・ビデオですから、映像は当然追いついていません^^

Jamshid Mohebi (Professional Tombak Player) Part 01

Jamshid Mohebi (Professional Tombak Player) Part 02

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2008年4月17日 (木)

テヘラーニ、サバーを語る

昨日のビデオの姉妹編でしょうか、アボルハッサン・サバー(1902-57)の足跡を讃えるビデオと、弟子でもあり彼の伴奏も頻繁につとめたトンバク名人ホセイン・テヘラーニのレッスン?映像。サバーは55歳の若さでこの世を去りましたが、あのミルザー・アブドゥッラーやダルヴィーシュ・ハーンからタールやセタールを学んだ人で、カージャール朝のペルシア古典音楽の中心で活躍し、20世紀前半のペルシア音楽では、この人の影響を何がしか受けてない人はいないのではと思われるほどの巨匠。セタールとヴァイオリンが中心ですが、他にも色々な楽器を演奏したマルチインストゥルメンタリストでもあったようです。特に味があるのがヴァイオリン演奏で、クリップの中にも静止画像で出てきます。昨日のデイラーマンなどは(MahoorのViolinの一曲目)、まるで人間が歌っているかのように聞こえる驚愕の演奏でした。テヘラーニの強靭な音が伺える映像も貴重です。(どなたかペルシア語の分かる方、テヘラーニのトークを訳していただけたら嬉しい限りですが^^) 昨今日本でも人気の高いペルシアン・ピアノの名人Morteza Mahjubi(モルタザー・マハジュービー)もサバーの同時代人。頻繁にこの映像の中に登場します。

Tribute to Ostad Saba ابوالحسن صبا from students Banan & ..

Ostad Hossein Tehrani talking about Ostad Saba

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2007年9月10日 (月)

トンバクの神様

ペルシア音楽シリーズ、昨日に続いてトンバク特集。
トンバクの神様、ホセイン・テヘラーニ(1912-73)の演奏もユーチューブで何本か見れます。
トンバクのアラブ的な呼称はザルブ。(ダラブッカと同語根)

テクニック的にはもっと難しいことをやっている人もいますが、この人の絢爛でありながら清冽な音色は、ペルシア古典トンバクの理想の姿として一段上に見られていると思います。この楽器を独奏楽器として確立したのもテヘラーニですし、彼の影響を大なり小なり受けていない奏者自体いないのではと思われます。現在広く使われているトンバク用の3線譜を考案したのも彼です。

hosein tehrani
短いクリップですが、テヘラーニのソロ。どっしりと線が太いのに華麗な粒の揃った音は凄いの一言。変幻自在に旋律楽器と亘り合う所など、鳥肌が立ちます。伴奏ものは今の所見かけませんが、見つけたらまた貼ります。

Hossein Tehrani tombak (zarb) ensemble
でっかいトンバクの表が燃えると、中からトンバク奏者が7人w
黒いサングラスの人が師匠のホセイン・テヘラーニ
これ以上の奏者は出ないだろうと言われた素晴らしいトンバク伴奏者でしたが、こういう奇抜なアイデアも色々披露した人。

Tehrani play solo tonbak (lokomotiv)
テヘラーニの必殺技、蒸気機関車の音真似。トンバク一つで発車から到着まで。  
えっ?汽笛は違いますよww

(本稿は、地元のSNS、イマソウにアップしていた記事の転載)

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2007年9月 9日 (日)

バフマン・ラジャビ

トンバク特集、今日は現代の名人バフマン・ラジャビ。
実はこの人こそ私が習ったエスファンディアル・ラリ氏の師匠。ホセイン・テヘラーニの影響もあるようですが、独自の独奏&合奏スタイルを探究しているトンバクのスペシャリストです。サウスポーなので構えは反対です。
しかし、喋りの長い人で、なかなかトンバクだけ叩いているファイルがありませんでした。見かけはマグマ大使に出ていたゴアに似てるかも。

bahman rajabi hamedan 07
2分過ぎから叩いています。これは比較的トンの低音がちゃんと出ています。各種リーズをデモ演奏しています。

bahman rajabi & pedram donavazi tonbak tehran part5
弟子とのトンバク・デュオ。

Bahman Rajabi - Chakad 1380 - Part 1
サントゥール奏者とのデュオ。音が遠くて悪いのが残念。

Bahman Rajabi - Chakad 1380 - Intro 9
バフマン・ラジャビとアンサンブルChakadの合奏。
楽器編成は左から、バルバット(ウードの原型)、タール3本、サントゥール、ネイ(葦の縦笛)、ケマンチェ、ゲイチャク(イラン東部の弓奏楽器)、トンバク3台。右端がラジャビさん

ラリさんの猛烈な超絶技巧から察するに、ここで披露している師のテクニックはまだまだ序の口だと思います。CDとかは発表しない人として知られていたようですが、ごく最近1枚リリースされ、それに先立ってユーチューブがどどっと出てきたので、驚きました。

(本稿は、地元のSNS、イマソウにアップしていた記事の転載)

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2007年9月 5日 (水)

トンバク → ジャンベ、ダンベク

Photo



今日は地元SNSにアップしたペルシア音楽シリーズの転載。トンバク奏法の簡単な解説です。
トンバクは、アフリカのジャンベ(ジェンベ)や、アラブのダンベクなど、同じ片面太鼓の元祖と言われています。
叩く位置の、真ん中がトン、側がバクという名が付けられていて、それが楽器名になっているという訳です。ペルシア語のトンバクが各地で訛ったんですね。音がそっくりでしょう? 

PersianMusic.8k.com
基礎編の3。 最初はこういうのを練習します。興味のある方は、再生後のリンクを見てみてください。全部で30くらいあります。

Farhad bazargan( 5/8 bedahe(taghib) 
こちらは応用編。8分の5拍子の難しいパターン。

<トンとバク以外の主な奏法>
リーズ=両手の9本指を使うロール
ぺラング=両手の指鳴らしのような打ち方 主に左手
エシャレ=主に左手で入れる装飾前打音

※リーズには9本指以外に、両手の薬指だけ、両手のぺラングによるリーズなど全部で16種類くらいあるようです。

トンバクは私の知る限りでは世界で最も技巧的な打楽器の一つだと思います。インドのタブラやムリダンガムと並んで、その多彩な表現には目を見張ります。
リーズと言うのは、歌で言えばタハリール(鶯の声)に当たり、最も基本的で最も難しい奏法です。これが出来なければトンバク奏者は諦めなければいけません。
また、ユーチューブだと低音が出てませんので、トンバクの本当の音は伝わらないのですが、腹に響くような低音が素晴らしいです。高い音は前、低い音は後ろに出る太鼓なので、録音も難しく、よくマイクを前後に添えているのを見ます。

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