ユダヤ音楽

2020年7月20日 (月)

ハッカリ、木遣り、イエメン系ユダヤ

ゼアミdeワールド217回目の放送、日曜夜10時にありました。22日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日の動画は、ハッカリの1枚目と木遣りのみにしておきます。

クルドの音楽の6回目です。今回はハッカリとクルドのスーフィーの音源をご紹介したいと思います。クルドは少し延びまして一応後3回の予定です。まずは土Kalan Muzik Yapimから出ている"EYHOK"Traditional Music of Hakkariですが、この盤についてのゼアミHPの紹介文を読み上げます。

トルコ南東部ヴァン湖の南の高地に位置するハッカリ地方は、クルド系遊牧民が多く住む所。この地の民謡フィールド・レコーディング2枚組で04年リリース盤。日本の東北辺りの民謡に似て聞こえる歌があったり、他には意外に似ているのがイエメン系ユダヤ人の宗教詩ディワン。つまり、故オフラ・ハザの歌のルーツとどこかイメージがダブってくるから不思議。古代のイラン系メディア王国の末裔とも言われる高地クルドの逞しく凛とした歌声は実に素晴らしいです。歌詞にはシリア系文字も見えますが、これはアッシリア由来のネストリウス派キリスト教の伝統も入っているからでしょう。

この盤から何曲か続けておかけします。よく売れるもので、現物が手元に残ってないので、アップルミュージックからの音出しになります。解説を参照できないので曲の詳細は不明ですが、1枚目の最初の方に入っている男性の掛け合いの歌は、日本の民謡の中でもとりわけ、火消しなどで鳶職が歌った仕事歌の「江戸木遣り」にも似ているように思います。3,6曲目を続けておかけします。

<1-3 Serşo 2 2分26秒>

Piyanisili Erkekler - Serşo 2 [ Eyhok © 2004 Kalan Müzik ]



<1-6 Narink 3 1分20秒>

Piyanisili Erkekler - Narink 3 [ Eyhok © 2004 Kalan Müzik ]


少し飛んで20曲目も、どう聞いても日本の民謡にそっくりです。
 

<1-20 Zeynel Beg/Bedirxan Beg 2分47秒>

Abdülkerim Kaçar - Zeynel Beg & Bedirxan Beg [ Eyhok © 2004 Kalan Müzik ]


2枚目の1曲目でも、追分か馬子唄のような細かいコブシを聞かせていますが、この曲はエチオピアの民謡にも似ているように思いました。

<2-1 Rave 52秒>

前回「長い歌」系のラウクをかけましたが、同じラウクに当たる曲が2枚目4曲目に入っています。これも日本の民謡に瓜二つに聞こえます。

<2-4 Lawkê Tuxûbî 3分8秒>

引き合いに出したイエメン系ユダヤ人の伝承歌謡ディワンも、ユネスコ・コレクションの音源からかけておきます。2曲目のTsur Menati(神は我が居場所)は、オフラ・ハザも歌っていた曲で、これが原曲になります。

<2 The Yemenite Jews  Tsadoq Tsubeiri / Tsur Menati 3分46秒>

ハッカリの1枚目で引き合いに出した江戸木遣りも一曲おかけしておきます。曲は、真鶴・手古です。ハッカリのクルドの歌が、ユダヤコミュニティーの中でも特に古い伝承を残すと言われるイエメン系ユダヤの歌や、日本の木遣りや追分にも似ているという興味深い例をご紹介しました。ナーゼリーさんの曲にも、タンブールの音使いが津軽三味線にそっくりな曲もあったのを思い出しました。

<1-1 真鶴 手古 4分33秒>

木遣り、真鶴/手古


最後に1994年にフランスのOcoraから出ていたクルドのスーフィー儀礼音楽の2枚組から、唱念儀礼ジクルを聞きながら今回はお別れです。イラン西部クルディスタンにあるコルデスターン州の州都サナンダージの神秘主義教団、カーディリー教団の儀礼の93年現地録音で、枠太鼓のダフを叩きながら唱えられます。2枚組に120分以上入ったディープな世界の中から、極々一部ですが、多少は雰囲気が感じられると思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<2-1 Zikr-E Allâh Et Percussions 9分38秒>

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2020年6月 5日 (金)

Lost Jewish Music of Transylvania再び

これ程こだわるのも、余りにSzol a kakas marのインパクトが強かったからですが、そのMuzsikasの名盤「Maramaros - Lost Jewish Music of Transylvania」(米Hannibalから初出 後にハンガリーのMuzsikasからもリリース)で共演していたハンガリーの歌姫マルタ・セバスチャンの2010年の歌唱がありましたので、1本目に入れておきます。2000年代のクレズマーグループの雄、ディ・ナイェ・カペリエの伴奏です。やはりこの歌は彼女の歌声と不可分に思えてしまう程、素晴らしい歌唱です。エキゾチックな増二度音程ではセファルディの歌と共通しますが、こちらが割と他愛のない恋歌なのに対し、ハンガリーのユダヤ人の間で最も人気があったというこの透徹した悲しみの歌は、「雄鶏が鳴いている」のタイトルに象徴的な意味が隠されているように思えてなりません。
2本目は上記のマラマロシュの1曲目に入っていたハシッド・ダンスで、ムジカーシュの2013年のライブ映像です。聴衆の盛り上がりが凄いです。ムジカーシュのメンバーがロマの古老からこの曲を教わるシーンの映像を、大分前にブログに上げたことがありました。これも大好きな曲で、どちらもヴァイオリンで真似してみました。

Sebestyén Márta és a Di Naye Kapelye - Szól a kakas már


Muzsikás Együttes: Haszid lakodalmi táncok

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2020年6月 4日 (木)

A la una yo nasiとSzól a kakas márの類似

Voice of the Turtle / Music of the Spanish Jews of Turkeyのラストの19曲目を飾っているA la una yo nasi(第一に、私は生まれた)という曲は、バルカン諸国のセファルディーの歌として広く知られている曲とのことですが、ハンガリーのSzól a kakas márという曲にかなり似ています。こちらは東欧系ユダヤの歌ですので、旋律がバルカンのセファルディーに流れたのか、単なる空似か、どちらでしょうか?

<19 Voice of the Turtle / Music of the Spanish Jews of Turkey ~A la una yo nasi 4分40秒>

A la una yo nací. Música Sefardí. Emilio Villalba & Sephardica


A la una yo nasi


ちょうど10年前と9年前にSzól a kakas márについて書いたブログを振り返ります。今日は取り合えず2曲を並べて、また探ってみたいと思います。今日の動画はベアタ・パヤの歌唱で。

名曲Szol a kakas mar (Rooster is Crowing)

一昨日予告したハンガリアン・ジューの名曲Szol a kakas marにいってみます。この曲は、まず何よりMuzsikasの名盤「Maramaros - Lost Jewish Music of Transylvania」(Hannibalから初出 後にハンガリーのMuzsikasからもリリース)の2曲目の、マルタ・セバスチャンの歌唱で有名になったと思います。その悲愴美は筆舌に尽くせないほど印象的で、きーんと冷えたトランシルヴァニアの空気感も運んでくるかのような、更には匂いも感じさせるような曲でした。これぞハンガリー系ユダヤの秘曲と唸らせるものがありました。90年頃来日を果たしたムジカーシュの演奏も非常に素晴らしいものでしたが、この盤の出る前だったようで、このアルバムからは聞いた記憶がありません。ハンニバル盤が出たのは93年と、もう大分経ってしまいましたので、そちらでは最近入り難くなっているのが残念です。ハンガリー現地盤(ムジカーシュ自身のレーベル)は生きていたと思います。
この曲名、和訳すれば「雄鶏が鳴いている」となりますが、そのメロディ・ラインで思い出すのは、ユダヤ宗教歌で最も名高いKol Nidreでしょうか。コル・ニドレ(ドイツ語風に読むとコル・ニドライ)は、典型的なユダヤ旋法の一つ、Ahavo Rabo(「大いなる愛」の意味)旋法の歌。エキゾチックな増二度音程が悲しみを最大限に醸し出しています。いずれもユダヤ民族の運命を歌ったような悲劇的な調子ですが、そんなSzol a kakas marがハンガリーのユダヤ人の間では最も人気があったようです。この透徹した悲しみの歌については、まだ分らないことが多いです。また何か分ったら書いてみたいと思います。そう言えば、往年のシャンソン歌手ダミアが歌った「暗い日曜日」の原曲は、ハンガリーの歌でした。この歌のムードに似たものがあるようにも思います。

サトゥマールのフィドルとSzól a kakas már

サトゥマールの音楽と言えば、フンガロトンの「サトゥマール地方のハンガリー音楽 Szatmari Bandak」(残念ながら廃盤のようです)をどうしても思い出しますが、その中には一昨日の一本目のヴェルブンク(チャールダーシュとも言えるようです)が2曲目に入っていて、更にはムジカーシュ&マルタ・セバスチャンのハンニバルからの名盤「マラマロシュ(トランシルヴァニアの失われたユダヤ音楽)」の白眉ソール・ア・カカシュ・マールも入っています。マラマロシュ(現在のルーマニア北部のマラムレシュ辺りのようです)に伝わっていたユダヤの哀歌は、迫害によって歌そのものの主を失ったようですが、この地のロマの音楽家によって記憶されていたというもの。この余りに印象的なメロディは、西に隣接するサトゥマールでも伝承されたのでしょう。一昨日見た舞踊も古いスタイルを保っているように思いました。
この地方、ハンガリーの民族音楽学者の間では「Hungary`s Transylvania」と形容もされるようです。その位この地方には古いハンガリー音楽の伝統が残っている所として知られています。
Szól a kakas márについては、ちょうど一年程前にもユダヤ音楽枠で取り上げました。「サトゥマール地方のハンガリー音楽 Szatmari Bandak」のライナーノーツは、Brave Old Worldのマイケル・アルパートも書いています。これは見逃せないポイントでしょう。
一昨日書いた「ウクライナのカルパチア西麓の地方名」とは、ルテニアでした。2008年2月12日にブログにも書いていました。

Palya Bea Szefárd Trió - Szól a kakas már

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2020年3月11日 (水)

イサーク・アルガズィの歌うユダヤ教宗教歌

オスマン帝国の名カントール、イサーク・アルガズィの音源は独Wergoと土Kalan Muzik Yapimからありました。前者では ユダヤ教新年祭の聖歌:Kamti be-ashmoret, Anna ke'av zedoni, Im afes rova'ha-ken, Avinu Malkenu, Yedei rashim, Le-britekha shokhen zevul u-shevu'a, Adonay sham'ati shim'akha yareti, Ochila la-el, Ha-yom harat 'olam, Yetzav ha-el、シャバト(安息日)の歌:Kiddush, Be-motza'ei yom menuchah、ユダヤ教祭日の歌:Kiddush le-Shavu'ot, Teromem bat ramah&Tzame'a nafshi、マフティリームの歌:Ahallelah shem elohim, Yshlach mi-shamayyim、スペイン系ユダヤ人の宗教歌:Al Dio alto, Es razon de alabar、スペイン系ユダヤ人の民謡:Ay mancebo,ay mancebo, Quien conocio mi mancevez, Malana tripa de madre, Cantica de ajugar, Reina de la gracia、シオニスト・ソング:Hatikvahが入っていました。マフティリームの歌まで入っていて、締めがハティクヴァという、話題性豊富な一枚でした。彼が亡くなった1950年はイスラエルが独立して間もない頃で、ハティクヴァが国歌に制定されて2年目でした。
今日はオスマン音楽のガゼルとシャルク以外の、ユダヤ教宗教歌を探してみました。シャヴオートのキドゥーシュは、カラン盤の方にも入っていた音源だと思います。2本目も有名なヘブライ語の祈祷歌アヴィーヌ・マルケイヌ(「我らの父、我らの王」の意)で、アシュケナジームのアヴィーヌ・マルケイヌなど、他のユダヤ・コミュニティの歌と音楽は変われど、ヘブライ語の歌詞は同じです。

zak Algazi Efendi - Kiddush le-Shavu'ot [ Arşiv Serisi © 2004 Kalan Müzik ]


Avinu malkenu Isaac Algazi Efendi

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2020年2月28日 (金)

トルコのスペイン系ユダヤ人のカントール

スペイン系ユダヤ人(セファルディー)が15世紀のレコンキスタ前後にスペインで迫害を受け離散して、主に移住した先はオスマン帝国内でした。対岸のモロッコ、アルジェリア、チュニジア、もちろんトルコ本国、ギリシア、ブルガリア、旧ユーゴスラヴィアなど、全て当時はオスマントルコの版図でした。これらの国から、スペイン語(実際はユダヤ・スペイン語のラディノ語)が聞こえてくるのは何とも不思議です。(「柔らかい専制」のおかげ)
トルコなどのセファルディー音源はまたいずれ取り上げますが、23日の放送でAbraham Caracach Efendiと言う歌い手が出てきたので、調べてみました。この1本目の歌唱がユダヤ宗教歌のカントールになるかどうかは不明ですが、ユダヤ系であることはOcoraの「トルコ音楽の記録」に明記されています。Abraham Caracach Efendiで検索して出てきた中には、次回Rounderの「トルコ音楽の巨匠たち」第1集でSP音源をかける予定のイサーク・アルガズィがありました。この人の音源は、ドイツのWergoやトルコのKalanからCDがありました。
イブラヒームではなくアブラハム、ユースフではなくヨセフとヘブライ名で書かれていたら、ほぼ間違いなくユダヤ系で、イサーク(イツハーク)はアラビア語名は思い出せませんが、あったでしょうか。3本目のSP盤が映っているものは、葡萄酒を聖別するユダヤ教の祈祷歌キドゥーシュで、そのトルコ・セファルディー版です。カーヌーンの伴奏ですが、オスマン風こぶしの中で確かにヘブライ語が聞こえます。

Abraham Caracach Efendi - Kanto


Izak Algazi Efendi-Bayati gazel Sana Dil Verdimse....


Ladino (Judeo Spanish) KIDOUSCHE by Haim Effendi

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2018年12月24日 (月)

クリスマスとハヌカーの音楽

ゼアミdeワールド140回目の放送、日曜夕方に終りました。26日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日は取り合えず、ウィーン少年合唱団とジャン・ピアースのマ・オズ・ツールのみ上げました。

ウズベキスタンの音楽巡りの途中ですが、放送されるのが23日と26日ということで、今回はクリスマス特集、その次の30日は2日の再放送枠が無しですので、第九に類似の締めくくりの音楽、新年の最初は6日と9日ですから、正月関連の純邦楽を予定しております。このパターンが、この番組を始めてから年末年始の恒例になっております。

2年前にもかけましたが、ドイツ・グラモフォンから出ていた「聖地のクリスマス音楽」から、「ベツレヘム生誕教会の鐘」をおかけします。キリスト生誕の地とされるベツレヘムのギリシア正教会での録音で、東方的な渋みや深みを感じさせる音です。

<22 聖地のクリスマス音楽 ~ ベツレヘム生誕教会の鐘 1分15秒>

2~4曲目はローマ・カトリック教会の聖歌で、女声によって歌われるグレゴリオ聖歌の一種でラテン語で歌われています。この盤の中では唯一の西方教会の音楽で、異色の音源になっていると思います。その中から夜中のミサ:アレルヤ唱をどうぞ。

<3 聖地のクリスマス音楽 ~ ローマ・カトリック教会の聖歌 夜中のミサ:アレルヤ唱 2分>

この盤からもう一曲、古シリア教会の聖歌で、最も早くからキリスト教化された地方ですから、ユダヤ教の流れも汲む古い典礼のスタイルが残っているようです。言葉はイエス・キリスト自身が話したと伝えられる古いシリア語の一種のアラム語が現在も主に使われています。

<18 聖地のクリスマス音楽 ~古シリア教会の聖歌 アレルヤ、アレルヤ 2分20秒>

このアルバムに収録されているのは、イスラエルのエルサレムやベツレヘムでの東方諸教会の音源で、この地で2000年前にキリスト教が生まれた頃に近い響きを持っていると思われる音楽が中心です。2年前には、この盤からキリスト教の東方的ルーツを訪ねた、ギリシア正教会、エチオピア教会、エジプトのコプト教会、シリア教会、アルメニア教会、レバノンのマロン派の音源を中心にご紹介しました。今回は一般にもよく知られているクリスマス・キャロルもおかけして、その後でユダヤで同じ時期に祝われるハヌカー関連の音源もご紹介します。

よく知られるクリスマス・ソング2曲をウィーン少年合唱団の歌唱でどうぞ。最初がドイツ民謡「もみの木」で、2曲目は1818年にフランツ・グルーバーが作曲した「きよしこの夜」です。

<22 ウィーン少年合唱団ベスト もみの木 1分38秒>
O Tannenbaum by the Vienna Choir Boys


<23 ウィーン少年合唱団ベスト きよしこの夜 2分40秒>
Stille Nacht (Silent Night )


次にユダヤのハヌカーですが、ユダヤの世界にはキリストの生誕を祝うクリスマスというのは無いのですが、まるで対抗するかのようにほぼ同時期にハヌカーという祭りがあります。ハヌカーはユダヤ教の年中行事の一つで、紀元前168年~紀元前141年のマカバイ戦争時のエルサレム神殿の奪回を記念する「宮清めの祭り」です。

9本の燭台ハヌキヤーに一日一つずつ点灯した後、マーオーズ・ツール ma‘oz tzur (『砦の岩よ』)という、13世紀ドイツに起源を持つ賛歌などが歌われます。そのマーオーズ・ツールを、往年の名テノール歌手ジャン・ピアースの歌唱と合唱団でおかけします。彼はユダヤ教の会堂、シナゴーグの合唱長カントールでもありました。

<15 Jan Peerce / The Art of the Cantor ~Mo Os Tzur 6分22秒>
Jan Peerce - Mo'os Tzur and Blessings for Chanukah


15世紀のレコンキスタでスペインから追放され、北アフリカやバルカン半島など多くは旧オスマン帝国内に離散したスペイン系ユダヤ人は、セファルディーと呼ばれますが、彼らの民謡を演奏するグループVoice of the Turtleは「ハヌカー・コンサート」という盤が最初に出ました。その中からハヌカーという曲をどうぞ。

<10 Voice of the Turtle / Circle of Fire ~Hanuka 3分10秒>

ハヌカーの歌には、東欧系ユダヤのイディッシュ語ではドレイドル、ヘブライ語でスヴィヴォンという木製の独楽(コマ)についての歌がよく知られていますが、有名な旋律の入った盤がすぐに見当たりませんでした。このコマには四面に反時計回りに、ヘブライ文字のヌン、ギメル、ヘー、シンの文字が描かれていて、イディッシュ語の「nisht(ドイツ語: nichts 何もない)、gants(ganz 全部)、halb(halb 半分)、shtel(einstellen 置く)」の頭文字ですが、しばしばヘブライ語で「ネス・ガドール・ハヤ・シャム、そこで偉大な奇跡が起こった」の頭文字と解釈されています。

このドレイドルについては、東欧系ユダヤの祝祭音楽の一種であるクレズマーでよく演奏されています。クレズマー・リヴァイヴァルの中心的グループであるクレズマー・コンサーヴァトリー・バンドの87年に出たOy Chanukah!から、ドレイドル・ソングをおかけして、その後は時間までこの盤の冒頭から続けたいと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<19 Klezmer Coservatory Band / Oy Chanukah!  ~Dreydl Song 3分25秒>
<1 Klezmer Coservatory Band / Oy Chanukah!  ~A Freylekhe Nakht in Gan Eydn 1分48秒>

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2017年4月21日 (金)

ムジカーシュの 「トランシルヴァニアの失われたユダヤ音楽」

ウクライナの吟遊詩人が弾いたバンドゥーラとコブザの類似点や、そもそもルーマニアの楽器と思っていたコブザがウクライナ起源のものだったのか、についても興味深い探りどころですが、今週の放送は西ウクライナでしたから、アルカンとタラフ・ドゥ・ハイドゥークスのどの曲が似ていたかについてさかないと、来週はチャールダッシュですので、もう回数がない訳ですが、只今家人の転勤に伴う引越手伝いもあってドタバタの中のため、先回りしてムジカーシュの演奏で、ジューイッシュ・ナンバーを上げておきます。ジューイッシュ・チャールダッシュの4年前の演奏です。(こちらで調べる必要のない)長尺の名演を週末たっぷりお楽しみ下さい。m(_ _)m 90年前後の来日公演は見に行きましたが、最近のムジカーシュを拝める嬉しい影像です。
1本目ですが、ムジカーシュの名盤「トランシルヴァニアの失われたユダヤ音楽」に入っていたハシッド・ダンスを満面の笑みを浮かべて弾くお爺ちゃんが、数々のユダヤの曲を覚えていたジプシー音楽家です。これらを弾いていたユダヤ楽士のほとんどが、ホロコーストで亡くなったそうです。

Muzsikas: Chasid Dances with Cioata

Jewish Csárdás. Muzsikás (Hungary) in Moscow, 17.03.2013

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2016年12月 5日 (月)

セム一神教3兄弟の音楽

ゼアミdeワールド35回目の放送、日曜夕方に終りました。(私は今回忘年会で聞けませんでしたが)7日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

アラブ音楽巡りの途中で、最近の3回はイスラエルとユダヤ教の音楽について少し聞いてきましたが、今日はユダヤ教に始まりキリスト教、イスラム教と続く、3つのセム一神教の音楽を比較しながら、クリスマスが近いので、聖地のクリスマス音楽も交えながら進めたいと思っております。セムというのは、聞き慣れない方もいらっしゃるかと思いますが、中東や北アフリカ一帯に住んでいるセム・ハム語族のセムを指していて、3つの宗教がいずれもヨーロッパではなく、セム系民族の世界から生まれたことを表しています。ユダヤ教の中からキリスト教が生まれ、その二つの先輩宗教の影響も受けた上でイスラム教が生まれました。
言葉で言えば、セム系にはアラビア語、ヘブライ語、アラム語(シリア語)などが入りまして、その類似性も多く、例えばアラビア語とヘブライ語は文字を置き換えただけのような単語も多く見られます。ヨーロッパやインド、イランのいわゆるインド・ヨーロッパ語族とは全く異なる文法体系を持っています。元々この3つの宗教は同じ「アブラハムの宗教」として生まれた兄弟、親子のような関係ですから、欧米がからんでこじれると言うのが大体のパターンなのですが、世界中を巻き込むような「兄弟喧嘩」も、何とか収まってくれないものかと常々思っています。

3つのセム一神教の宗教音楽を概観したCDも、少ないですが出ておりまして、インド出身の世界的な民族音楽学者デベン・バッタチャリアが1950年代中心に録音した「西アジアの宗教」という盤がアーゴ民族音楽シリーズの一枚としてポリグラムから出ていました。今では変ってしまった音楽もあると思います。50年余り前の貴重な記録です。今日はこの盤を中心に取り上げます。

Jerusalem - Three Religions, Three Families | Faith Matters

今回はそれぞれのyoutubeを探すのは非常に困難、もしくは無いと思いますので、この一本を貼っておきます。ベツレヘム生誕教会の鐘は、ありました。

まずイスラエルのナザレの鐘の音からどうぞ。
<西アジアの宗教~ナザレの鐘>

イスラエルのナザレでの日曜の礼拝前の朝に鳴るコプト教会の鐘でした。コプト教会とは、エジプトにイスラム教が入る前からある古いキリスト教の一派で、正教会の一つです。現在もエジプトの人口の1割ほどがコプト教徒との調査結果もあります。

次にコプト教会の朝の祈りという曲をどうぞ。
<西アジアの宗教~コプト教会の朝の祈り>

やはりイスラエルのナザレでの1957年の録音でした。エジプト出身の僧侶の指揮で、信徒の2人の少年によって応答され、僧侶の手にした香炉が鳴る音が聞こえます。

続いてギリシア正教会の音楽です。エルサレム聖墳墓教会の十字架聖堂における夕べの祈りからの抜粋で、1960年のヨルダン側のエルサレムでの録音です。
<西アジアの宗教~ギリシア正教会>

次にユダヤ教の音楽で、ベレシートです。ヘブライ語で書かれた創世記の冒頭部分が、エルサレム・ヘブライ大学・ヘブライ文学科のイエメン人学生シャリル・ジオンによってイエメン式で朗唱されます。こちらも1957年イスラエルのエルサレムでの録音です。
<西アジアの宗教~ベレシート>

次は東欧系ユダヤ人のイディッシュ語による宗教歌で「救世主が来られるとき」という曲で、アブラハム・アイゼンバッハという人とコーラスの歌唱です。おそらくハシディック・ソングの一種ではと思います。こちらも1957年エルサレムでの録音です。
<西アジアの宗教~救世主が来られるとき>

ハシディズムの歌として、歌謡化した曲を前回かけましたが、アレンジされないそのままのハシディック・ソングの実況録音をご紹介します。アラブ音楽やユダヤ音楽の研究をされている兵庫教育大学の水野信男先生の著書「ユダヤ音楽の旅」(ミルトス)の付録CDの一曲です。クファル・ハバドの敬虔派ユダヤ教徒の歌で、くじの祭り(プーリム)の夜に歌われたハシディック・ニグンのライブ録音です。余談ですが、この著書のディスコグラフィの作成依頼を受けて私がリストの作成をしました。
<ユダヤ音楽の旅 付録CD ~ 敬虔派ユダヤ教徒の歌>

バッタチャリアの「西アジアの宗教」に戻りまして、次はイスラム教の音楽です。まずはトルコでの1955年の録音で、一日5回の礼拝の時間を告げるアザーンです。モスクの尖塔からのムアッジンによる礼拝の召喚(呼びかけ)の声は、イスラム圏に旅した人の記憶にはっきり残るようです。トルコですが、勿論アラビア語で唱えられます。
<西アジアの宗教~アザーン>

次に、イスラム教の聖典であるコーランの朗唱です。1955年のイラン、テヘランでの録音ですが、ここでも勿論ペルシア語ではなく、アラビア語で唱えられます。イラン独自の装飾的な歌唱法も見られると解説にありますが、ほぼアラブ圏と同じに聞こえます。
<西アジアの宗教~コーラン>

イスラム音楽の最後に、イスラム神秘主義のデルヴィーシュ派(元はイスラム托鉢僧の意)の音楽です。葦笛のネイと枠太鼓ダフなどによる旋回舞踏の音楽ですが、最も有名なトルコのメヴレヴィー教団ではなく、シリアのダマスカスの旋回舞踏音楽で、マカームはベヤートです。1955年録音ですから、やはり貴重な古い録音です。
<西アジアの宗教~デルヴィーシュ ベヤート旋法>

では、最後にドイツ・グラモフォンから出ていた「聖地のクリスマス音楽」から、ベツレヘム生誕教会の鐘の音で今回はお別れです。キリスト生誕の地とされるベツレヘムのギリシア正教会のもので、東方的な渋みや深みを感じさせる音です。ヨーロッパの教会ではなく、東方諸教会中心のこのアルバムは、クリスマスまでにもう一度ちゃんと取り上げる予定です。鐘の音は短いので繰り返しかけるかも知れません。それでは、時間までどうぞ。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<聖地のクリスマス音楽 ~ ベツレヘム生誕教会の鐘>
The sound of the Church of the Nativity bells, Bethlehem. Tour Guide: Zahi Shaked. October 25, 2013

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2016年12月 2日 (金)

Lutz Elias & Massel Klezmorim

28日の放送原稿に書きましたが、90年前後に日本でも一部でクレズマー・ブームが始まりまして、その頃入っていた英ARCのLutz Elias & Massel Klezmorimの2枚は、クレズマー、イディッシュ民謡、ハシディック・ソングを中心に、セファルディーの曲までも入っていて、長らく棚を賑わせたものです。その後、彼らのリリースを見た記憶がなく、なかなか良い演奏をしていたので残念です。特にLutz Eliasの渋い歌声は今でもよく覚えています。と思っていたら、ハヌキヤ(7本のメノラーより2本多いハヌカー用の燭台)の写真は、どうやら見たことのないDVD&SACD盤のジャケットのようです。youtubeは3本ほどありました。Draj Techterleは英ARC盤に入っていたイディッシュの歌、A Yiddishe Mommeはこの2枚には入ってなかったイディッシュ・ソング、Durme Durmeも2枚に入ってなかったセファルディーの歌です。

Draj Techterle - Massel Klezmorim - Klezmer

A Yiddishe Momme - Massel Klezmorim -

Durme Durme ( Jewish lullaby in Ladino ) - Massel Klezmorim - lyrics

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2016年12月 1日 (木)

Tzave Yechouois Yaakov

今日のタイトルは、28日にアップしましたジャッキー・ジュスホルツの歌っていたTzaveの歌詞で、これが全てです。イディッシュ訛りのヘブライ語のようですが、ベルギーの歌手と言うことで更にフランス語風な綴りになっていて、いよいよ不思議なスペルになっています(笑) 一本目は先日と同じでジュスホルツの歌唱、二本目は実際にハシディの集まりでこの歌が歌われている時の映像。ユダヤ神秘主義カバラーの流れを汲むハシディック・ソングの法悦感がみなぎっている、と見て良いのでしょうか。かなり盛り上がっていることは確かです。三本目では大分変容していて、しかもアシュケナジームには見えない女性が歌っていて、謎が深まりました。この歌詞が詩篇44篇4節らしいことが、解説から分りました。

16 Tzave

Tzavei?

Tzave Yeshuot Yaakov

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