ルーマニア

2023年12月13日 (水)

MarmaroshとムジカーシュのSzol a kakas mar

ブレイヴ・オールド・ワールドの4枚目Bless the Fireでの中東音楽風でモーダルな(旋法音楽的な)ピアノ演奏は他の曲でも聞けました。中東のピアノと言えば直ちに思い出すはイランのモルタザー・マハジュビーですが、ペルシア音楽と言うよりは、アルジェリア辺りのアラブ・アンダルシア音楽系(モリス・エル・メディオニなど)に近く聞こえるので、おそらくセファルディ音楽経由でアラン・ベルンが取り入れたのではと推測します。マハジュビーのように、旋法ごとの微分音までは使っていません。
Bless the Fireを聞いて、それに次いで驚いたのが3曲目のMarmaroshでした。放送で言いましたが、タイトル通りムジカーシュの「トランシルヴァニアの失われたユダヤ音楽」=本題「マラマロシュ」(ルーマニア北部のマラムレシュのこと)を強く意識した演奏のように思います。ムジカーシュの盤での曲名はSzol a kakas marでした。ムジカーシュのこの盤が出たのが1993年、Bless the Fireは2003年で、ちょうど10年後です。ヴァイオリンはマイケル・アルパートだと思いますが、それまではほとんどがリズム・ヴァイオリン的な演奏だったので、これほど本格的な彼の独奏は余り聞き覚えがありませんでした。
この盤には歌詞のある曲以外の解説がありませんので詳細は不明ですが、ムジカーシュによって蘇ったトランシルヴァニアの往年のユダヤの秘曲から受けたインスピレーションを、マイケル・アルパートなりに10年間温めていたのではと思いました。と言うことで、ブレイヴ・オールド・ワールドのMarmaroshとムジカーシュ&マルタ・セバスチャンのSzol a kakas marを並べて上げておきます。

<3 Marmarosh 3分54秒>

Szól a kakas már - Muzsikás együttes, Sebestyén Márta

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2023年5月12日 (金)

44のヴァイオリン二重奏曲のフィナーレ エルデーイの踊り

バルトークの44のヴァイオリン二重奏曲の楽譜を手に入れたのは、1983年頃だったと思います。6つのルーマニア民族舞曲もその頃でした。バルトークのヴァイオリン作品のほとんどは、往年の名手ヨーゼフ・シゲティやユーディ・メニューインに献呈されたので、現代音楽リスナーでなくても意外と注目している人はいるようで、所属していた大学オーケストラのヴァイオリン・パートの同級生からコピーをもらいました。そのボロボロの楽譜はまだ手元にありますが、なかなかお披露目する機会もないまま、40年が経ちました。ヴァイオリン教育の目的で書かれた作品なので、最も難度の高い無伴奏ヴァイオリン・ソナタはもちろん、ラプソディー2曲や6つのルーマニア民族舞曲よりも遥かに取り組みやすい曲です。伴奏に回っているパートが、5度の開放弦の重音を効果的に入れる辺りは、やはり近現代作品の大きな特徴でしょう。

当時から44のヴァイオリン二重奏曲で特に注目した曲は、アルジェリアのビスクラでの音楽体験の影響があると思われるアラブの踊りと、44曲目のフィナーレ、トランシルヴァニア(エルデーイ)の踊りでした。この2曲は最も演奏効果が華やかに映えると思います。どちらも増二度音程のエキゾチックな音の動きが目立ちますが、アルジェリアとトランシルヴァニアでは、相当離れているのに両方にあるのは、ジプシーが媒介したのでしょうか。あるいは、バルトークの蝋管録音のように縦笛フルヤで演奏されるのが元のスタイルとすれば、同種の縦笛が多くみられる南のバルカン方面からの影響かも知れません。バルカンは20世紀初頭まではオスマン帝国領ですから、最大版図の時はアルジェリアまで一つの国でした。同じような旋律の動きが同じ国の中に広まるのは、自然なことのように思います。
1本目はこの曲の生演奏です。前にMargaréta Benkováの多重録画を上げましたが、今回はこちらで。(以下放送原稿を再度)

Bartók: from 44 Duos for Two Violins, Sz. 98 No. 44: Transylvanian Dance - Frautschi & Beilman

15曲目のバルトークの蝋管録音は縦笛フルヤの独奏だと思いますが、16曲目にはこの曲に基づく44. Duó (feat. Alexander Balanescu) [Erdélyi Tánc]が入っています。やはりアレクサンダー・バラネスク他の演奏です。二つのヴァイオリンの44の二重奏曲のフィナーレを華やかに締め括るトランシルヴァニアの踊りです。2曲続けます。

<15 Ardeleana 38秒>

<16 44. Duó (feat. Alexander Balanescu) [Erdélyi Tánc] 1分46秒>

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2023年5月11日 (木)

Dunántúli UgrósokとPorondos Víz Martján

残り2日でPorondos Víz Martjánか、Dunántúli Ugrósokか、Erdélyi Táncか、いずれをクローズアップするか迷いましたが、今日は最初の2本にします。
Dunántúli Ugrósokは番組のラストにかけてフェイドアウトになりましたし、7日には全くかかりませんでした。以前ブログで取り上げた、この曲の童謡のようなアプローチの演奏は、覚えておいででしょうか? バルトークのピアノのための即興曲の第4曲目も、その時に入れています。次の21曲目のFriss Csárdásokの部分がメインですが、ムジカーシュのライヴもありましたので、1本目に入れました。Dunántúliとは、ハンガリー西部バラトン湖南北のトランスダヌビアを指します。Ugrósokは、訳がジャンパーと出てきましたが、その真意やいかに(笑) 
Porondosについては、マルタ・セバスチャンの歌唱を聞いていたのは間違いではなかったと今回思い出しましたが、この歌に関しては、やはりフォンティ・ムジカーリ盤の冒頭のファビアン・エヴァの方が素晴らしいと思います。その音源を4本目に入れておきます。(以下放送原稿を再度)

では最後に20曲目のDunántúli Ugrósokを時間まで聞きながら今回はお別れです。いかにもトランシルヴァニア(エルデーイ)のハンガリー音楽らしい5音音階の旋律です。これはバルトークが録音してきたHej, Dunáról Fúj A Szél(ドナウから風が吹いてくる)が原曲です。2分10秒頃にそのものの旋律が登場します。この旋律は、バルトークのピアノのための即興曲の第4曲目に使われています。

Muzsikás – Dunántúli ugrósok és friss csárdás (Akusztik, M2 Petőfi TV)

<20 Dunántúli Ugrósok 3分32秒>

8曲目のポロンドーシュと言う曲は、前にフォンティ・ムジカーリ盤の冒頭のファビアン・エヴァの歌唱でかけたのと同じ曲です。ここではマルタ・セバスチャンが独唱しています。エルデーイのフォークロアな雰囲気が満点の、モルドヴァのハンガリー系少数民族チャンゴーの哀歌(keserves)です。

<8 Porondos Víz Martján 3分13秒>

Moldvai csásngó keserves

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2023年5月10日 (水)

ルーマニア民族舞曲の棒踊りと足踏み踊り

ムジカーシュのバルトーク・アルバムでは、バルトークの蝋管録音と、それを題材とする44のヴァイオリン二重奏曲の組み合わせが中心だと思いますが、一番の注目曲は、やはりルーマニア民族舞曲の1曲目の棒踊りでしょう。私は1977年にこの曲をミシェル・ベロフのピアノで聞いたことから民族音楽の方に目が向いたので、個人的に最も思い入れの強い曲です。当時は一部のリスナーが知っている位だったかと思いますが、46年経って最近では色々なヴァイオリニストが取り上げる曲になりました。1本目はムジカーシュのライヴ映像で(2分40秒頃からが該当箇所)、2本目がバルトーク・アルバムの音源です。ルーマニア民族舞曲、3曲目の足踏み踊りの原曲もありますので、併せて上げておきます。(以下放送原稿を再度)

13曲目は原題がJocul cu bâtăとありまして、このタイトルでピンと来ましたが、これはバルトークの有名なルーマニア民族舞曲の1曲目の棒踊りの原曲に当たるようです。元の演奏はヴェルブンコシュ風、つまりハンガリーの勇壮な舞曲の影響があるロマの二人のヴァイオリニストによる演奏だったそうです。ムジカーシュの演奏がそのロマの演奏をそのまま再現しているのかどうかは不明ですが、バルトークのあの有名な旋律が途中から出てきます。バルトークがこの曲を採集した場所は、Voiniceniと言うムレシュ県の村です。ムレシュ県はクルージュ県の東側になりますから、トランシルヴァニアのど真ん中辺りです。

Muzsikás - Bota and Invertita / Bartók - Romanian Folk Dances with Danubia Orchestra

<13 Botos Tánc (Jocul Cu Bata) 5分16秒>

18曲目Pe Locはルーマニア民族舞曲の3曲目の足踏み踊りの原曲です。エキゾチックな増2度音程が大変印象的な曲です。ここでは原曲におそらくそっくりなスタイルの、牧笛とステップの音で表現しています。

<18 Pe Loc 1分22秒>

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2023年5月 1日 (月)

トランシルヴァニアの失われたユダヤ音楽 再び

ゼアミdeワールド357回目の放送、日曜夜10時にありました。3日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はChasid lakodalmi táncokの映像だけにしておきます。1本目は何度も上げていますが、ムジカーシュとジプシーの老楽士ゲオルゲ・コヴァーチとのセッション、2本目は番組でかけた音源ですが、ハンガリーでの再発盤のジャケットが映像に出ています。

ハンガリー音楽の37回目になります。今回はハンガリートラッド界で最もよく知られているグループ、ムジカーシュの重要作の一つである「トランシルヴァニアの失われたユダヤ音楽」を再度取り上げますが、内容は去年の4月24日の306回目の放送のルーマニア音楽の18回目に少し手を加えたものになります。

米Hannibalから1993年に出た「ムジカーシュ/トランシルヴァニアの失われたユダヤ音楽」(Muzsikás / Maramoros - The Lost Jewish Music of Transylvania)は、ハンガリー・トラッド界の雄、ムジカーシュの代表作の一つで、名歌手マルタ・セバスチャンが歌で参加して華を添えています。ホロコーストでユダヤ人楽士のほとんどが亡くなり、忘れ去られていたトランシルヴァニアのユダヤ人の音楽を、ハンガリーのユダヤ人音楽学者のZoltan Simonとムジカーシュが協力して再現した盤です。戦前にユダヤ人の結婚式で演奏していたジプシーの老フィドラーGheorghe Covaciが記憶していて、取材したムジカーシュによって現代に蘇った曲も収録されています。音楽の印象は、一般的なクレズマーではなく、ムジカーシュが普段演奏するハンガリーのヴィレッジ音楽とも少し違っていて、当時のハンガリーのユダヤ音楽を忠実に再現しているという評価が高い演奏です。基本編成は、リーダーのMihály Siposのヴァイオリンと、伴奏は3弦のヴィオラ奏者が二人、コントラバスが一人です。
タイトルに「トランシルヴァニア」とありますが、本題はマラマロシュと言いまして、ルーマニア北部のマラムレシュ地方のハンガリー語読みですので、トランシルヴァニアでも最北部になります。狭義ではマラムレシュはトランシルヴァニアに入れない場合もあります。

まずは1曲目のChasid lakodalmi táncokですが、英語ではKhosid Wedding Dancesですので、ハシッド派ユダヤ教徒の結婚式のダンスと訳せると思います。ハシディック・ダンスのマラムレシュ版と言うことになりますが、一般のハシディックの音楽とは少し違うと思います。ムジカーシュの面々が現地取材の際にジプシーの老楽士Gheorghe Covaci(愛称Cioata)とセッションしているYouTubeもありました。満面の笑みを浮かべて弾いていたのを思い出しますが、この録音にもゲスト参加しています。

<1 Chasid lakodalmi táncok 4分33秒>
Muzsikas: Chasid Dances with Cioata

01 Chaszid lakodalmi táncok Khosid Wedding Dances

2曲目の物悲しく凄絶なまでに美しい旋律のSzól A Kakas Márは、この盤の白眉でしょう。英訳ではThe Rooster is crowingですから、「雄鶏は鳴く」となるでしょうか。ハンガリー系ユダヤ人のみならず一般のハンガリー人の間でも有名な旋律で、ハンガリー語の歌詞ですがユダヤの歌らしくヘブライ語の行が挿入されています。言い伝えでは、ある羊飼いが歌っていた旋律をハシディズムの指導者ツァディク(義人)のReib Eizikがいたく気に入って覚えていた旋律だそうで、後には宗教や民族を分け隔てなく寛容に統治した17世紀のトランシルヴァニア公Gabor Bethlenのお気に入りの歌だったという記録もあるそうです。

<2 Szól A Kakas Már 3分7秒>

3曲目のMáramarosszigeti tánc(マラマロシュシゲティの踊り)は、ゾルタン・シモンの採譜で知られていて、ツィンバロム奏者のアルパド・トニをフィーチャーした、これもトランシルヴァニアとハシディックが入り混じった感じの曲です。Máramarosszigetiの地名は、マラマロシュとシゲティに分離できると思いますが、ヴァイオリニストのヨーゼフ・シゲティを思い出す曲名だと思ったら、この国境の町でシゲティは少年時代を過ごしたそうです。因みにハンガリー語のszigetiは「小島」の意味でした。

<3 Máramarosszigeti tánc 3分36秒>

次は1曲飛びまして、5曲目のアニ・マアミンです。アニ・マアミンとは、ヘブライ語で"私は信じる" を意味する一節ですが、それを元とする楽曲でもあります。ここで聞かれるのは、東欧系ユダヤで最も有名なアニ・マアミンの旋律です。Gheorghe Covaciは、アウシュヴィッツから生き残って帰ったユダヤ人たちは、この歌をいつも泣きながら歌っていたと回想しています。出典は中世スペインのユダヤ教徒の哲学者、マイモニデス(モーシェ・ベン=マイモーン)が記した『ミシュネー・トーラー』に出てくるユダヤ教の信仰箇条の中の一節です。歌詞がある曲ですが、ムジカーシュの演奏はインストのみです。

<5 Áni Máámin 2分56秒>

7曲目はZoltan Simonがマルタ・セバスチャンに見せて歌うように勧めたユダヤ教の安息日(シャバト)の祈りの独唱で、シナゴーグでは男性が唱えるアハヴォ・ラボ旋法の曲を女性に歌わせているのがユニークです。

<7 Szombateste Búcsúztató 3分15秒>

では最後に年末の重要なユダヤ人の祭り、ハヌカーのための13曲目Chanukka gyertyagyújtásを時間まで聞きながら今回はお別れです。ヘブライ語ではHaneros Haleluとなっているこの曲は、ムジカーシュのメンバーがKlezmer Music; Early Yiddish Instrumental Musicと言う1910年のヒストリカル音源を聞いていて知ったそうです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<13 Chanukka gyertyagyújtás 3分11秒>

11曲目は時間が余れば、と思いましたが、入りませんでした。データだけ上げておきます。
タイトルからすぐにユダヤ・メロディと分る曲が幾つかありますが、11曲目のChosid tancもその一つで、結婚式のダンスのためのハシディック・メロディです。これもGheorghe Covaciが踊り方やその様子をよく覚えていたようです。

<11 Chosid tanc 1分39秒>

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2023年4月26日 (水)

ネッティのチャールダーシュ

フォドル・シャーンドル ❝ネッティ❞(1922-2004)は結構前の人なので、動画は余りないのでは、と思っていましたが、晩年まで活躍していたので結構あるようです。「ネッティのチャールダーシュ」とタイトルの付いた1本目の映像では、手前の息子と演奏していますが、この2001年の時は79歳でしょうか。全く技術の衰えを感じさせません。10分頃に「エチェル村の結婚式」のセーク組曲のラストの曲が出てきますが、クルージュの向こう側の村の曲も演奏しているのは、カロタセグに集まったダンサーへのサービスでしょうか。2本目は91年の映像のようで、コントラ奏者Nonika Miklósもネッティに負けず劣らず個性的で強烈です。Nonika Miklósの綽名は "Hitler"(ヒトラー)となっていて、驚きました。タバコの火が付いたまま胸ポケットに入れているように見えますが(笑)

Neti's csárdás

Kalotaszeg - Nonika Miklós brácsázik

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2023年4月21日 (金)

トランシルヴァニアの村々の位置関係

この一週間ほど特に気になっていたのは、カロタセグの正確な場所と、セーク、マジャールパラトカ、マジャールソヴァートの位置関係でした。クルージュ・ナポカの西側のカロタセグは、この地の名フィドラー、フォドル・シャーンドルを23日の番組で取り上げますので来週に回しまして、今日は他の3つの村の位置にこだわります。それぞれルーマニア語では、セークはSic(シク)、マジャールパラトカはPalatca(パラトカ)、マジャールソヴァートはSuatu(スワトゥ)と表記されています。いずれもクルージュ・ナポカ(ハンガリー語ではコロジュヴァール)の東に位置し、同心円状に並んでいるのでクルージュからの距離は大体20~25キロ、それぞれの村同士の距離は10~15キロでした。クルージュ県の行政区分で見ると、それぞれほとんど隣接しています。北からセーク、マジャールパラトカ、マジャールソヴァートの順ですが、セークとマジャールパラトカの間だけ他の村が挟まっていました。
卑近な例で言いますと、マジャールソヴァートを今治とすれば、マジャールパラトカは朝倉、セークは壬生川か丹原くらいの距離かと思います。それ程近くの場所と言う事です。驚くべきは、それぞれの村に歌や音楽などにおいて、それぞれ固有の伝承がある(あった?)ことでしょう。今治の辺りでも、昔は町ごとに固有の語彙や言い回しがあって、通じないこともあったことを思い出します。今治周辺でも昔は民謡の類が村々で違っていたのかも知れません。
今日の動画は、番組で最後にかけたSzasztancs (ムレシュ地方北部の農村音楽)から、6曲目のForduló, Csárdás, Korcsos És Cigánycsárdás. Four dance cycleです。ムレシュ地方北部と言うのは、ビストリツァの東、マラムレシュの南方に位置する場所です。上記3村からは北東方向に離れていて、カルパチア山脈寄りです。位置が分かると、少し寒い場所の音楽のようにも聞こえます。

<6 Forduló, Csárdás, Korcsos És Cigánycsárdás. Four dance cycle 11分41秒>

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2023年4月20日 (木)

Jod - Ieud(マラマロシュ/マラムレシュの農村音楽)

ウイ・パトリアの7枚目、Jod - Ieud(マラマロシュ/マラムレシュの農村音楽)も、De Petrecereと付いた2曲以外はYouTubeがありましたので、他の4曲をまとめて貼っておきます。見当たらなかったDe Petrecereの2曲は、結婚式などのパーティー関係という事で、色々な動画に埋もれているものと思われます。たまたま選んだのが、ジプシー(ロマ)系の音楽でした。第二次大戦前には、更にユダヤ系の曲もあったはずですが、今はムジカーシュの名盤「マラマロシュ」の演奏で往時を偲ぶくらいです。
イエウドの位置をマップで確認しました。マラムレシュ県の県都バヤ・マーレの東50キロほどのカルパチア山脈中の村で、世界遺産『マラムレシュの木造聖堂群』の一つがあります。(以下放送原稿を再度)

ルーマニア北部に位置するマラムレシュの音源は、前にルーマニアの時にオコラ盤などをかけましたが、明らかに類似の音楽に聞こえますので、ハンガリー系ではなくルーマニア系の音楽になります。タイトルもルーマニア語のマラムレシュ方言のようですし、フィドルの音もルーマニア南部のタラフ・ドゥ・ハイドゥークスなどのワラキアジプシーの音楽に似ているので、ハンガリー系の多い北トランシルヴァニアと南のワラキアでは大分離れているのに、ルーマニア系と言うことだけで似て来るので不思議です。

<6 Hore A Mortului (Cigany Virraszto Enekek) 1分5秒>

11曲目はジプシーの哀歌で、14曲目はジプシーとマジャールのクリスマス・キャロルです。この盤の最後19曲目には、ほとんど唯一のハンガリー音楽Hosszumezei Magyar Csardasが入っています。

<11 Cigany Keservesek 3分59秒>

<14 Cigany Es Magyar Karacsonyi Enek 2分32秒>

<19 Hosszumezei Magyar Csardas 1分57秒>

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2023年4月17日 (月)

Uj Patriaのマラムレシュ(マラマロシュ)

ゼアミdeワールド355回目の放送、日曜夜10時にありました。19日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。予想通りUj PatriaシリーズはYouTubeには上がってないようです。代わりに、前にルーマニアのマラムレシュの時に見たようなイエウドでの民謡の映像ですが、一本入れておきます。

ハンガリー音楽の35回目になります。今回は現代ハンガリー・トラッドと言うよりも、トラッドシーンの活動の源になったトランシルヴァニア各地の村々での現地録音を特集したハンガリーFonoのUj Patriaシリーズから、手元に資料の残っていた2枚を中心におかけします。ウイ・パトリアは「新しい祖国」の意味になります。

このシリーズは、把握しているだけで17枚は出ていた地方別ハンガリー伝統音楽集で、CDサイズの50ページほどのブックレットにCDが入った装丁で、英文解説も付いて、現地取材は97~98年ですから録音も良いものが多く、正に一大アーカイヴになっています。20世紀の終わりに録音されたとは思えない新鮮な驚きに満ちたシリーズでした。エルデーイ(トランシルヴァニア)地方の録音場所は、度々名前の上がっているセーク、カロタセグ、マジャールパラトカ、マジャールソヴァート、ジメシュ、サースチャーヴァーシュなどがあります。セーク、マジャールパラトカ、マジャールソヴァートの3つは、トランシルヴァニアの中心都市クルージュ・ナポカの東側にあり、北東の方にある小説「吸血鬼ドラキュラ」で有名なビストリツァの間に点在しています。カロタセグは、逆にクルージュの西側に位置し、かなり広いエリアを指すようです。サースチャーヴァーシュはクルージュからは南東方向のシギショアラに近い辺りで、ジメシュは東のモルドヴァの一地方です。

手元にあるのは7枚目のJod - Ieud(マラマロシュ/マラムレシュの農村音楽)と14枚目のSzasztancs (ムレシュ地方北部の農村音楽)ですので、まずマラムレシュの方から6曲抜粋しました。ルーマニア北部に位置するマラムレシュの音源は、前にルーマニアの時にオコラ盤などをかけましたが、明らかに類似の音楽に聞こえますので、ハンガリー系ではなくルーマニア系の音楽になります。タイトルもルーマニア語のマラムレシュ方言のようですし、フィドルの音もルーマニア南部のタラフ・ドゥ・ハイドゥークスなどのワラキアジプシーの音楽に似ているので、ハンガリー系の多い北トランシルヴァニアと南のワラキアでは大分離れているのに、ルーマニア系と言うことだけで似て来るので不思議です。では2,4,6曲目を3曲続けておかけします。

<2 De Petrecere (Asztali Nota) Es Amikor Atoltozik A Menyasszony 2分48秒>
<4 De Petrecere (Cigany, Roman Asztali Nota) 3分59秒>
<6 Hore A Mortului (Cigany Virraszto Enekek) 1分5秒>

Gabi Covaci de la Ieud tri patru pretini mi-as fa.mpg

7枚目のJod - Ieud(マラマロシュ/マラムレシュの農村音楽)から続けますが、11曲目はジプシーの哀歌で、14曲目はジプシーとマジャールのクリスマス・キャロルです。この盤の最後19曲目には、ほとんど唯一のハンガリー音楽Hosszumezei Magyar Csardasが入っています。3曲続けます。

<11 Cigany Keservesek 3分59秒>
<14 Cigany Es Magyar Karacsonyi Enek 2分32秒>
<19 Hosszumezei Magyar Csardas 1分57秒>

次に15枚目のMagyarszovat(トランシルヴァニアの荒れ野の農村音楽)は唯一在庫が残っていまして、ストリーミングにも上がっていますので、確か前にゼアミブログの方で取り上げたのと同じ曲の女性独唱を1曲おかけしておきます。日本の追分に似た、コブシ豊かな節回しがとても味わい深いです。

<6 Édesanyám Megátkozott... 1分44秒>

では最後に14枚目のSzasztancs (ムレシュ地方北部の農村音楽)から、6曲目のForduló, Csárdás, Korcsos És Cigánycsárdás. Four dance cycleを時間まで聞きながら今回はお別れです。ムレシュ地方北部と言うのは、ビストリツァの東、マラムレシュの南方に位置する場所で、音楽は素朴なハンガリー系になってきます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<6 Forduló, Csárdás, Korcsos És Cigánycsárdás. Four dance cycle 11分41秒>

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2022年12月28日 (水)

サースチャーヴァーシュの楽士達

今週の放送分では、日本の民謡に近く感るmiddle or low registerのグループと、同じペンタトニックでもかなり日本の民謡と印象が違ってくるtetra-and tritonic tunesのグループの比較が探りどころかと思いましたが、動画を見つけるのにかなり手間取りそうですので、今日はサースチャーヴァーシュの弦楽アンサンブルの演奏を上げておきます。民謡シリーズの後で、サースチャーヴァーシュ・バンド名義の何枚かも取り上げようかと思います。
90年代初めの仏Quintana盤に始まり、ハンガリー盤でも何枚も聞いてきましたが、2022年の現在もこれ程まで老若男女の層が厚く、熱い演奏を繰り広げているとは、驚き以外の何物でもありません。しかも全て暗譜。各パートのリーダーが若手を指導している様子も窺えます。ルーマニア領トランシルヴァニアのハンガリー系の村、サースチャーヴァーシュ村(ハンガリー語でSzászcsávás、ルーマニア語でCeuaș) )の住民は、8割がハンガリー系、2割がジプシーで、結婚式や宴会で彼ら楽士が活躍してきました。
西洋式ヴァイオリンを弾く者としては、特に目を引くのが縦に構える3弦の伴奏ヴァイオリン(あるいはヴィオラ)の奏法で、重音を鳴らしやすいように駒が平らになっているようです。旋律バートと伴奏パートは、交代することもあるのか知りたいものです。地響きのようなコントラバスも近くで聞くとさぞかし凄いことでしょう。
これが今年最後のアップになると思います。喪中のため、新年初回1月8日の番組も純邦楽ではなくハンガリー・シリーズで行きます。それでは皆様良いお年をお迎え下さい。

Szászcsávási gondolatok

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