スペイン

2019年7月22日 (月)

Gypsy Music from HungaryとZingariから

ゼアミdeワールド170回目の放送、日曜夜にありました。24日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。

アフガニスタンの次は、パキスタン北部に位置するカラコルム山脈のフンザとギルギットの予定でしたが、6日~9日まで宮古島と那覇に行っていたので準備の時間が十分に取れなかったのと、カラコルムのノンサッチ盤のライナーノーツが行方不明で調べるのに少し時間をかけたいので、今回はデベン・バッタチャリアのフィールド・レコーディングから、エリアを先回りしてご紹介したいと思います。世界的な民族音楽学者のデベン・バッタチャリアが、1955年と70年にカブールで録音してきたアフガニスタンの音源を、166回目と167回目で取り上げておりました。今日ご紹介するのはイギリスARCの2枚ですが、現在のカタログからは消えているようですので、アップルミュージックからの音出しになります。そのため演奏者情報は不明です。

彼の録音の数々を見ると、自身のルーツであるインド東部とその周辺の音楽に強く目が向いているように思います。それと、ジプシー(ロマ)のルーツの地と言われる、西インドのラジャスタン州からヨーロッパまでのジプシー音楽の軌跡にも熱い視線が注がれているように思います。
日本の民族音楽学者の小泉文夫氏が日本と西洋の音楽の関係性を考える際に、間に位置するシルクロード(東洋から中洋)の音楽に着目したのと、方法的に少し似ているようにも思いますし、対極と言えるかも知れません。バッタチャリアが西洋のクラシックをどう見ていたかが気になるところです。

今回はハンガリーのジプシー音楽の音源を取り上げますが、私自身が1977年頃にハンガリーやルーマニアの音楽から民族音楽の広大な世界に入ってきたので、とても馴染みのある音楽です。ハンガリーの音楽には、今回おかけする都会ブダペスト中心に演奏されてきたチャールダッシュ(あるいはチャルダッシュ、正確にはチャールダーシュ)やヴェルブンコシュなどの洗練された舞曲と、そのルーツの一つである泥臭い農村ジプシーの音楽、そのどちらとも異なる、かなりアジア寄りとも言えるマジャール民族本来の音楽があります。カラコルムの後は、ウイグルからトルコ系繋がりでトルコに飛んで、ギリシアから北上してヨーロッパを回りますので、ハンガリー音楽を取り上げるのは、1,2年は先になるかと思います。

19世紀にチャールダッシュがヨーロッパで大流行した経緯があって、ジプシーではない作曲家のサラサーテのツィゴイネルワイゼンやモンティのチャールダッシュ、ブラームスのハンガリー舞曲、リストのハンガリー狂詩曲などが生まれました。よく誤解されているようですが、チャールダッシュはモンティの曲の固有名詞ではありません。

レストランか酒場でのチャールダッシュの臨場感溢れる演奏がバッタチャリアの音源にも入っておりますので、ツィンバロムなどの伴奏でヴァイオリンやクラリネットが名人芸と妙音を聞かせるGypsy Primasと、Czardas and Gypsy Tentsを続けて17分ほどどうぞ。

<3 Gypsy Music from Hungary / Gypsy Primas 8分57秒>


<4 Gypsy Music from Hungary / Czardas and Gypsy Tents 8分4秒>


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ここでライブ情報を入れます。

一昨年、去年と加藤吉樹さんのウード・ソロ・ライブを2年連続で催しましたが、今年も加藤さんがいらっしゃってライブを行うことになりました。関西から熊本までのソロ・ライブ・ツアーの一環です。宜しければ是非お越し下さい。

アラブ音楽ライブ ~ウードソロ~

7月31日(水)

開場 18時00分   開演 19時00分

 
会場 Cafeトーク・トーク 今治市北高下町2-1-7ハイツ近藤2の1階

*駐車場は限定5台ですので、出来るだけ公共交通機関等をご利用下さい。

定員:25名限定      珈琲か紅茶のワンドリンク付き 2000円

演奏:加藤吉樹(ウード)


ご予約:VYG06251@nifty.ne.jp   または 携帯090-8044-8535

携帯に出られないことも多いので、出来るだけメールでのご予約をお願い致します。

バックでかけているのは、Bint El Baladという3分余りの曲です。時間までお楽しみ下さい。

以上、ライブ情報でした。

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では最後にバッタチャリアの別のジプシー音楽コンピレーション盤「ツィンガリ」から、スペインのフラメンコを聞きながら今回はお別れです。曲名はセギリージャ・ヒターノで、ジプシーのセギリージャの意味です。セギリージャ(あるいはシギリージャ)はフラメンコの代表的なレパートリーの一つです。このARC盤ではヨーロッパの東西のジプシー音楽を収めていますから、フラメンコも入ってきます。

ゼアミdeワールドでは、ギリシアから入ってクラシックも交えながらヨーロッパ中を巡りスペインに辿り着くのは、ハンガリーが1、2年後だとしたら、それから更に2年前後経っているのではと思います。その後は北アフリカに渡りモロッコから東に進み、アラビア半島、インド、東南アジア、日本を含む東アジアと回る予定です。その後は北アジア、ブラック・アフリカ、南北アメリカ、オセアニアも控えています。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9 Zingari / Seguiriya Gitana 5分23秒>

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2017年5月 4日 (木)

ツィゴイネルワイゼンとチャールダッシュ

ツィゴイネルワイゼンについて書くと言いながら、まだでした。スペインの作曲家サラサーテが、何故ハンガリーの民族舞曲チャールダッシュに則った曲を書いたのか、長らく謎だったのですが、19世紀にヨーロッパでチャールダッシュが大流行し、ウィーン宮廷から禁止令まで出る程だったというのを知って、納得しました。ブラームスやシューマンなどが、ハンガリーのジプシー音楽を取り入れながら、それぞれの特色を生かした曲を書いていましたが、サラサーテはヴァイオリンのヴィルトゥオーソらしい非常に技巧的な難曲を書きました。彼の他の作品では、サパテアードのようなスペイン音楽に則った曲がほとんどで、その中でツィゴイネルワイゼンは、突然ハンガリー風ですから、やはり異色です。ハンガリーのジプシー音楽では、猛烈な速弾きはあっても、左手のピチカートまで入れては弾いてなかったと思いますから、その超絶技巧はサラサーテの創作と見て良いように思いますが、どうでしょうか。
サラサーテの楽譜に忠実にジプシーの演奏家が弾いている映像があれば是非見てみたいですが、まずはハンガリーに近いルーマニアの女流ヴァイオリニストRusanda Panfiliの妙技でアップしておきます。タイトルにMelodii Lautarestiとありますが、ルーマニアの職能音楽家ラウタルのことだと思います。

Pablo de Sarasate - Zigeunerweisen Gypsy Airs Melodii Lautaresti

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2016年1月27日 (水)

Historia de los Cataros

一昨日はうっかり日付を跨いでしまいまして、昨日もアップすると1日2件になるためお休みしました。カタリ派関連の動画は余りに多くて困るほどですが、今日のスペイン語版「カタリ派の歴史」は、南フランスだけでなくスペイン北東部やイタリア北西部にも広まった歴史を紹介しているようです。中世音楽の華であるトゥルバドゥール(吟遊詩人)の音楽も、カタリ派抜きには語れないようです。

Historia de los Cátaros.wmv

Historia delos Cátaros2.wmv

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2014年2月27日 (木)

パコのモノクロ映像

パコの名演が耳について離れませんので、もう一日パコ・デ・ルシアのモノクロ映像を。モノクロだから必ず古いという訳ではなさそうですが、オーソドックスなフラメンコ演奏が多いように見受けられます。昨日の一本目に関しては、まず間違いなく10代後半の演奏だと思います。10代にして、あの完璧なテクニック! 凄いという他ないです。
フラメンコの代表的な曲種のブレリアスとソレアの独奏と、シギリージャス(カンテと踊り付き)、サパテアードを上げておきます。

Paco De Lucia - Bulerias,( La Plazuela

Paco de Lucia -Solea

Paco de Lucía - Siguiriyas

Paco de Lucia - Zapateado

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2014年2月26日 (水)

追悼パコ・デ・ルシア

フラメンコ・ギターの鬼才と言われたパコ・デ・ルシアの訃報が飛び込んできました。今日、2月26日滞在先のメキシコで亡くなったそうです。
彼の演奏を初めて聞いたのは、80年頃話題になったスーパー・ギター・トリオだったでしょうか。その後カンテのカマロン・デ・ラ・イスラとの共演や、ファリャの「恋は魔術師」など何枚か耳にして、この辺りが民族音楽へ耳が向く大きなきっかけの一つだったように思います。大分前にスペイン枠で彼の演奏も取り上げましたので、できるだけ重複しないようにしたいと思いますが。
一本目は若い頃の端整でオーソドックスなフラメンコ・ギターのソロ。既に彼の切れ味鋭いテクニックが顔を覗かせています。二本目はスーパー・ギター・トリオに大分近づいた感じが出ています。 しかし、66歳とは早過ぎます。 合掌

Paco de Lucia "Impetu"

Paco de Lucia - Entre dos aguas (1976) full video

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2012年12月25日 (火)

Ravi Shankar with Paco de Lucia

さすがに師走で何かとバタバタしていて、しばらくブログを書けませんでしたが、更に年末年始はアップが飛び飛びになりそうですm(_ _)m
11日に亡くなったシタールの巨匠ラヴィ・シャンカル関係を見ていましたが、今日はあのパコ・デ・ルシアとの映像。共演はさすがになかったのですが、フラメンコでよく聞かれるメロディは、北インドのラーガ・シンディ・バイラヴィに似ているとの興味深いコメント。シタールとタブラ、タンプーラで演奏されているのは、そのシンディ・バイラヴィでは。
バイラヴィ系は代表的な「朝のラーガ」で、多分インド音楽の音源の中で最も多い方ではないかと思います。私も大好きなラーガの一つです。短調系だからかも知れません(笑) 南インド古典(カルナティック)の大歌手M.S.スブラクシュミの歌にも、確かこのラーガの名唱がありました。そして、その同じ曲を、鬼才マハリンガムも吹いていました。
後日少しカルナティックとの比較も出来ればと思います。

Pt. Ravi Shankar with Paco de Lucia

Raga Sindhi Bhairavi - Ravi Shankar

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2012年12月10日 (月)

牛を見張れの主題と変奏

一人有名なビウエラ曲の作曲家を忘れていました。それはルイス・デ・ナルバエスですが、特に「牛を見張れの主題と変奏」はプホールによってギターにも編曲されて有名です。例のナルシソ・イエペスのLPにも入っていました。スペイン・ルネサンス音楽らしく古雅でありながら、スペインの赤茶けた大地と乾いた空気感がイメージされるような曲です。ビウエラ、リュート、ギター、それぞれの独奏でどうぞ。
スペインと中南米の古今の音楽を行きつ戻りつ、と言っても少々飛躍しすぎかも知れませんが、共通する「スペインらしさ」のようなものが見えてくると良いなと思っています。

Diferencias sobre "Guardame las Vacas" de Luys de Narvaez-Jean-Jacques

Luys de Narvaez - Guardame las Vacas - Lute

牛を見張れによる変奏曲 ナルバエス Narvaez 石田 忠 Tadashi Ishida

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2012年11月29日 (木)

冬のビウエラ

今回調べてみて、チャランゴがビウエラの流れを汲んでいる事実を初めて知り、とても驚きました。ビウエラの古雅な音楽はクラシック・ギターでもよく演奏され、芳志戸幹雄さんはそれらスペイン古楽にも造詣が深く、よくTVでも演奏されていました。
もう少しビウエラの響きを鑑賞しつつ、どのように徐々にファルッカ(あるいはファンダンゴも?)のような奏法が入っていったか追えればと思いますが、それではスペインに引っ張られたままになりますので(笑)、南米の方も平行して進めようと思います。そんなスペイン的なギター奏法が生まれた後、南スペインでフラメンコが誕生しヒターノ(ジプシー)によって育まれ、一方では南米に渡ってチャランゴが生まれたのでは、と勝手に想像していますが。何年か前にバロック期のD.スカルラッティのチェンバロ・ソナタを取り上げましたが、フラメンコ成立前にもかかわらず、そこにはフラメンコに相当似通ったギター的響きとスペインのリズムがありました。
ルイス・ミランが活躍したのが16世紀、スカルラッティは18世紀前半ですから、スペイン的な奏法はその間に生まれたのだろうと思います。なお、今日のタイトルは「冬のリヴィエラ」の捩りです(笑) 最低気温4度くらいと言う、11月とは思えぬ寒さが続いていますので。

Fecit Potentiam - by Josquin and arranged for vihuela by Fuenllana

いかにもスペイン・ルネサンス的なビウエラのソロ。しかも素晴らしい音色の楽器です。

Vihuela - Valderrabano, Soneto

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2012年11月28日 (水)

芳志戸幹雄の「粉屋の踊り」

ファリャの「粉屋の踊り」のラスゲアードには色々な弾き方があるようで、演奏者によって様々に聞こえます。やっぱり強く強く印象に残っているのは、スペインの巨匠ナルシソ・イエペスの演奏です。ファルッカですから、火の様に激しいのですが、それと同時に翳りがあって、そこがスペイン音楽独特の魅力でしょう。イエペスの演奏は、その影の部分の一種冷やりとした感覚が、スペイン人にしか表現できないのではと思わせるものがありました。
「粉屋の踊り」で少し見ているだけで、懐かしい演奏者の映像が色々出てきますが、そんな中から芳志戸幹雄の演奏を上げておきます。「粉屋の踊り」は3曲目ですが、他の2曲も大変に素晴らしいです。79年頃にNHKのこの人のギター講座をよく見ていて、確かこの曲の楽譜を手に入れたのも、その時のテキストだったように思います。イエペスにも師事していた人なので、かなりこの曲でも似た趣があります。しかし、96年に49歳の若さで亡くなられていたことは、今日初めて知りました。荘村清志、渡辺範彦と共に、1947年生まれのクラシック・ギタリスト三羽烏と呼ばれ、1970年代には大活躍されていました。荘村さんの放送(番組名は確か「ギターを弾こう」でした)と並んで、大変お世話になったものです。

芳志戸幹雄 - 近代スペイン音楽

マラゲーニャ(アルベニス)
歌と踊り第1番(ピポー)
粉屋の踊り(ファリャ)

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2012年11月27日 (火)

ビウエラ・デ・マノ ファルッカ

チャランゴはスペインの古楽器ビウエラ・デ・マノが発展したもので、ボリビアのポトシ北部地方が発祥の地ではないかと推定されているそうです。
そこでビウエラ・デ・マノを調べてみました。スペイン・ルネサンスのルイス・ミランなどの曲を演奏している映像が出てきました。ビウエラ・デ・マノは、その名の通り「手のビウエラ」の意味でしょうか? かように古雅なビウエラの音が、どういう経過を辿ってあの激しいチャランゴの掻き鳴らしになるのか、その辺が興味深いところです。
スペインにおいてファルッカなどの奏法と混合して南米にもたらされたのかと思いますが、どうなのでしょうか。ファルッカの有名曲として、ファリャの三角帽子から「粉屋の踊り」を上げておきます。村治さんの映像もありましたが、掻き鳴らしでの右手がほとんど見えないのでこちらを。個人的に昔ギターで弾いた懐かしい一曲です。

Vihuela de Mano - Luys de Milán - Tommy Johansson

粉屋の踊り

Farruca ファルーカ

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