ゼアミdeワールド170回目の放送、日曜夜にありました。24日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。
アフガニスタンの次は、パキスタン北部に位置するカラコルム山脈のフンザとギルギットの予定でしたが、6日~9日まで宮古島と那覇に行っていたので準備の時間が十分に取れなかったのと、カラコルムのノンサッチ盤のライナーノーツが行方不明で調べるのに少し時間をかけたいので、今回はデベン・バッタチャリアのフィールド・レコーディングから、エリアを先回りしてご紹介したいと思います。世界的な民族音楽学者のデベン・バッタチャリアが、1955年と70年にカブールで録音してきたアフガニスタンの音源を、166回目と167回目で取り上げておりました。今日ご紹介するのはイギリスARCの2枚ですが、現在のカタログからは消えているようですので、アップルミュージックからの音出しになります。そのため演奏者情報は不明です。
彼の録音の数々を見ると、自身のルーツであるインド東部とその周辺の音楽に強く目が向いているように思います。それと、ジプシー(ロマ)のルーツの地と言われる、西インドのラジャスタン州からヨーロッパまでのジプシー音楽の軌跡にも熱い視線が注がれているように思います。
日本の民族音楽学者の小泉文夫氏が日本と西洋の音楽の関係性を考える際に、間に位置するシルクロード(東洋から中洋)の音楽に着目したのと、方法的に少し似ているようにも思いますし、対極と言えるかも知れません。バッタチャリアが西洋のクラシックをどう見ていたかが気になるところです。
今回はハンガリーのジプシー音楽の音源を取り上げますが、私自身が1977年頃にハンガリーやルーマニアの音楽から民族音楽の広大な世界に入ってきたので、とても馴染みのある音楽です。ハンガリーの音楽には、今回おかけする都会ブダペスト中心に演奏されてきたチャールダッシュ(あるいはチャルダッシュ、正確にはチャールダーシュ)やヴェルブンコシュなどの洗練された舞曲と、そのルーツの一つである泥臭い農村ジプシーの音楽、そのどちらとも異なる、かなりアジア寄りとも言えるマジャール民族本来の音楽があります。カラコルムの後は、ウイグルからトルコ系繋がりでトルコに飛んで、ギリシアから北上してヨーロッパを回りますので、ハンガリー音楽を取り上げるのは、1,2年は先になるかと思います。
19世紀にチャールダッシュがヨーロッパで大流行した経緯があって、ジプシーではない作曲家のサラサーテのツィゴイネルワイゼンやモンティのチャールダッシュ、ブラームスのハンガリー舞曲、リストのハンガリー狂詩曲などが生まれました。よく誤解されているようですが、チャールダッシュはモンティの曲の固有名詞ではありません。
レストランか酒場でのチャールダッシュの臨場感溢れる演奏がバッタチャリアの音源にも入っておりますので、ツィンバロムなどの伴奏でヴァイオリンやクラリネットが名人芸と妙音を聞かせるGypsy Primasと、Czardas and Gypsy Tentsを続けて17分ほどどうぞ。
<3 Gypsy Music from Hungary / Gypsy Primas 8分57秒>
<4 Gypsy Music from Hungary / Czardas and Gypsy Tents 8分4秒>
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ここでライブ情報を入れます。
一昨年、去年と加藤吉樹さんのウード・ソロ・ライブを2年連続で催しましたが、今年も加藤さんがいらっしゃってライブを行うことになりました。関西から熊本までのソロ・ライブ・ツアーの一環です。宜しければ是非お越し下さい。
アラブ音楽ライブ ~ウードソロ~
7月31日(水)
開場 18時00分 開演 19時00分
会場 Cafeトーク・トーク 今治市北高下町2-1-7ハイツ近藤2の1階
*駐車場は限定5台ですので、出来るだけ公共交通機関等をご利用下さい。
定員:25名限定 珈琲か紅茶のワンドリンク付き 2000円
演奏:加藤吉樹(ウード)
ご予約:VYG06251@nifty.ne.jp または 携帯090-8044-8535
携帯に出られないことも多いので、出来るだけメールでのご予約をお願い致します。
バックでかけているのは、Bint El Baladという3分余りの曲です。時間までお楽しみ下さい。
以上、ライブ情報でした。
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では最後にバッタチャリアの別のジプシー音楽コンピレーション盤「ツィンガリ」から、スペインのフラメンコを聞きながら今回はお別れです。曲名はセギリージャ・ヒターノで、ジプシーのセギリージャの意味です。セギリージャ(あるいはシギリージャ)はフラメンコの代表的なレパートリーの一つです。このARC盤ではヨーロッパの東西のジプシー音楽を収めていますから、フラメンコも入ってきます。
ゼアミdeワールドでは、ギリシアから入ってクラシックも交えながらヨーロッパ中を巡りスペインに辿り着くのは、ハンガリーが1、2年後だとしたら、それから更に2年前後経っているのではと思います。その後は北アフリカに渡りモロッコから東に進み、アラビア半島、インド、東南アジア、日本を含む東アジアと回る予定です。その後は北アジア、ブラック・アフリカ、南北アメリカ、オセアニアも控えています。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<9 Zingari / Seguiriya Gitana 5分23秒>
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