中央アジア

2018年6月20日 (水)

ドンブラ・トリオ

22日のライブの準備中ですが、一本上げておきます。これもいいです。ドンブラ三重奏ですが、この中で中心は誰なのかとか、あるいは中心はないのか?とか、最初の静かな部分は音取りなのかとかが、気になるポイントです。素晴らしい音色と旋律に聞き惚れます。こういう編成を見ると、やはりクルドのタンブール合奏に似て見えます。

Amazing Kazakh Dombra Music

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2018年6月18日 (月)

カザフの哲学的キュイ

ゼアミdeワールド113回目の放送、日曜夕方に終りました。20日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。アブィルとコスバサルが見つかりましたので、今日はこの2本を上げて、他はまた後日探してみます。と言っても、今週は22日のライブの準備でブログアップが難しい日があると思います。しかし、草原を吹き渡る風の音を聞くような、カザフのドンブラの音は、本当に素晴らしいです!

カザフスタンの音楽の2回目になります。キングのシリーズの2枚目では、2弦のドンブラの器楽曲キュイと、後半はドンブラ弾き語りのカザフ民謡を聞けますが、その中から特徴的な曲を抜粋してご紹介したいと思います。1枚目と同様に、森田稔氏の解説を参照しております。前回、遊牧民の「草原の孤独」を表現したかのような哀愁に溢れる旋律、と形容しましたが、これは全く私の個人的な印象でしたが、曲の背景や歌詞の内容を見て行くと、やはりカザフの音楽には内省的な面が元々あるように思いました。それと、キルギスの場合と同じように、音階に短音階が多いのは、ロシアの影響があるのでしょうか? この点も前から非常に気になっている所です。
まず7曲目のアブィルという曲ですが、19世紀の作曲家アブィルは、この曲の中で、この世の人生の儚さについて、哲学的な思索を巡らしている、と解説にありました。言葉のない器楽曲にそういう思いを込めた、私のイメージしている通りのカザフの曲と言えそうです。演奏はアイトジャン・トクタガーノフの独奏がしばらく続きます。

<7 カザフの音楽2 風響のドンブラ~アブィル 3分55秒>
"Абыл" исп.М.Амзе


続く8曲目のコスバサルという伝統的なキュイについては、以下のように解説がありました。この伝説的なキュイには、次のような美しい伝説がある。皆の尊敬を集めているある人物が、跡継ぎである5歳の一人息子に死なれた。彼もまたこの世を去る決心をする。どんな説得も聞き入れないので、人々はドンブラ弾きを呼び、62曲のコスバサル全曲を弾いてもらった。カザフでは62という数には意味がある。人間には62の静脈があるので、音楽家は62のコスバサルを弾いて、全ての静脈に生命を吹き込むのである。彼はもっとも悲劇的なものから始めて、だんだん明るいものに移っていき、遂には生命力に溢れたコスバサルに到達する。その意味は明白で、どんなに死が魅力的に見えても、結局は人生の方が大切であり、生きていくことをやめてはならないのである。この老人も音楽の力と率直さに負けて、人生へ帰ってくる。

<8 カザフの音楽2 風響のドンブラ~コスバサル 4分22秒>
KAZAKH DOMBYRA KUİ - KOSBASAR


11曲目はアビカン・ハセーノフ作曲のコヌィルという曲ですが、何度か出てきている「コヌィル」の意味は、柔らかい、ベルベットのような、思慮深い、瞑想的な、哲学的な、といったものである。この曲では、希望と絶望、喜びと悲しみ、生と死について、哲学的な思索が巡らされている。と解説にありました。

<11 カザフの音楽2 風響のドンブラ~コヌィル 3分53秒>

ここまで、深遠で哲学的な3曲を並べてみましたが、ドンブラ独奏の最後に5曲目のセキルトペという曲をおかけします。この曲は対照的な一曲で、曲名は「遊び」を意味し、この小品ではコケットな娘の姿を描いているそうです。

<5 カザフの音楽2 風響のドンブラ~セキルトペ 1分57秒>

ここでライブのお知らせをしたいと思います。
6月22日に私の店トーク・トークで「まかな瑠音ライアーコンサート」をすることになりました。
開場 午後5時45分 開演 午後6時30分~ 約70分
会場Cafeトーク・トーク
今治市北高下町2-1-7ハイツ近藤2の1階
*駐車場は限定5台ですので、出来るだけ公共交通機関等をご利用下さい。
定員:30名限定(要予約)  ワンソフトドリンク付き1,500円
演奏:まかな瑠音(ライアー、歌)  共演:Nalu(歌他)
ご予約:VYG06251@nifty.ne.jp
※22日は、3時半~5時半まで、前座のような形で終活カウンセラーの黒石さとみさん主催で毎偶数月開催の終活カフェをやっておりまして、その4回目になります。定員は7人前後までで、要予約ですが、宜しければ併せてお越し下さい。5時からは、当店マスターの近藤(ヴァイオリンとチェロ担当)が代表を務める今治市民弦楽合奏団の演奏が30分程あります。2014年4月に桜井の翠松苑でのライアーコンサートにて、チェロでゲスト出演させて頂きました。4年の月日を経て、遂にまかなさんの当店でのライブが実現します。静謐な美しさ溢れるライアーの音色を、PA無しで聞ける嬉しい機会です。

以上、ライブのお知らせでした。宜しければ是非お越しください。

キング盤2枚目の後半には1枚目と同じく女性歌手カバシ・クルィシェヴァのドンブラ弾き語りのカザフ民謡が7曲ほど入っておりますので、その中から2曲おかけします。15曲目のシムィルという曲では以下のように解説にありました。人が人生でどんな障害に出会おうとも、気落ちしてはならず、反対に、気持ちを取り直して、高揚した気分になれる力を持たなくてはならない。

<15 カザフの音楽2 風響のドンブラ~シムィル 2分16秒>

続く16曲目のドゥニェ・アウという哀感溢れる曲は、キルギスの歌に近い印象を覚えました。解説には以下のようにありました。この世は悲しみと偽りに満ち、人々は欲望を求めるばかりだ。幸せはここにあるかと思えば、すぐにあちらに移ってしまう、といったこの世の儚さを歌っている。

この曲を聴きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<16 カザフの音楽2 風響のドンブラ~ドゥニェ・アウ 4分5秒>

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2018年6月14日 (木)

ウリタウではなくアダイ?

11日の放送原稿を上げたブログで、有名なUlytau(冒頭のトリオの曲)などを弾いている一本を上げておきます、と書きました。確かに、この曲を最初に聞いた「ラフ・ガイド・トゥ・中央アジア」では、ウリタウと載っていましたが、後に確かyoutubeでAdai というのが本当の曲名らしいことを知ったことを、今日の動画を見て思い出しました。このアップテンポな曲は、一聴で忘れられないインパクトがあります。最近放送でかけている91年録音のキングWML盤には、こういうタイプの曲は見当たらず、テンポの速い曲芸的な弾き方をするようになったのは、もしかしたら最近なのでしょうか? それはキルギスのコムズの曲芸的な演奏の影響もあったりするのでしょうか? そもそも、ウリタウと言うのは、ドンブラの別称なのかもと最近思っています。

Адай

Adai (Hamit Rayimbergenov)

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2018年6月13日 (水)

各地のドンブラ

今日の収録では、キングWMLの第2集でのドンブラ特集でしたが、カザフのもう一つの代表楽器であるコブィズでも、現在入手難になっているラウシャン・オラズバエヴァ(伊FelmayのAkku)のシャーマニックな演奏などをかけたいと思っているので、次回一回コビュズ特集にしようかと思っています。ドンブラでは、リリースを把握しているだけでも他に露Melodiya、仏Budaから2枚、英Topic Recordsなどから出ていますが、現物が売れてしまって手元にないので、アップルミュージックで見つかれば取り上げるつもりです。
しかし、ドンブラだけでも面白い動画が無数にあって、収拾がつきません。西はカスピ海北東部から、東はウイグル(ウイグルでは哈薩克族)やモンゴル西部まで(中国語では哈萨克族)、他のテュルク系では有り得ない様な広大な地域に住んでいる訳ですから、その音楽も非常に多様なのだろうと思います。
取り合えず2本選んでみましたが、カザフ族の住む西モンゴルの映像では、左手親指の使い方がロシアのバラライカの奏法に似ていたり、低音が豊かで音色がいかに柔らかいかがよく分かります。弦の少なさを補って余りある表現力の豊かさも手に取るように分かります。2本目はカザフスタンの映像でしょうか? 現代のフォークでも活躍しているのでは。余談で何度か書いていることですが、カザフはロシアのカザーク(コサック)と同一語源で、ドンブラはロシアの丸い弦楽器ドムラに名前がそっくりです。

DOMBRA OF WESTERN MONGOLIA 2

Kazakh Anara & Dinara

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2018年6月11日 (月)

カザフのドンブラ

ゼアミdeワールド112回目の放送、日曜夕方に終りました。13日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。キング盤と同じ曲の動画は、また探してみますが、なかなか見つからないのではと思いますので、サンプルとして、有名なUlytau(冒頭のトリオの曲)などを弾いている一本を上げておきます。

KAZAKH MUSIC: DOMBRA


今回から中央アジア最大の国、カザフスタンの音楽を聞いて行きたいと思います。楽器としては、周辺国のドタールと同じく2弦のドンブラと、イスラム化以前からのシャーマンが占術に用いていた擦弦楽器のコビュズが特に有名です。特筆すべきは、やはりドンブラのガット弦の柔らかい響きと、あたかも遊牧民の「草原の孤独」を表現したかのような哀愁に溢れる旋律で、それは日本人の心にもストレートに訴えかけて来ると思います。その点では隣のキルギスの弦楽器コムズの音楽と似ています。
音源はトルクメンと同じく、キングWRML(ワールドルーツミュージックライブラリー)盤が一般によく知られ、素晴らしい曲が多いので、まず第一集からご紹介して行きます。このシリーズは、私の手持ちの92年リリース盤では2枚の別売りですが、2008年のリニューアルからは2枚組に変わっております。プロデュースは、トルクメンの2枚組と同じく、故・星川京児さんです。
1曲目のコシタスという曲は、19世紀後半から20世紀にかけて活躍した民謡歌手で、ドンブラの即興演奏家だったエスタイの作曲です。ドンブラ弾き語りは女性歌手のカバシ・クルィシェヴァです。

<1 カザフの音楽 遊牧の叙事詩~コシタス 5分19秒>

2曲目のパンコイレクという曲は、「誇り高い娘」の意味で、18世紀の民謡歌手兼ドンブラ即興演奏家のムヒトの作曲です。誇り高く毅然としたカザフの娘を賞賛する曲とのことです。同じくドンブラ弾き語りはカバシ・クルィシェヴァです。

<2 カザフの音楽 遊牧の叙事詩~パンコイレク 2分31秒>

女性歌手のカバシ・クルィシェヴァの歌声は、私がイメージするカザフの歌そのものなので、続けて彼女のドンブラ弾き語りをおかけしたいと思います。3曲目のブルブルィムという曲は、カザフ民謡でよく歌われる「夜鶯」(ナイチンゲール=サヨナキドリ)について歌っています。鶯を歌に詠みこむテーマは、イランを初め中東一帯によく見られます。

<3 カザフの音楽 遊牧の叙事詩~ブルブルィム 3分1秒>

4曲目からは男性歌手カイラト・バイボスキノフのドンブラ弾き語りに変わります。トルクィンという曲は、1860年生まれの民謡歌手兼ドンブラ即興演奏家のイブライの作曲で、曲名は「波」の意味です。この明朗な曲で、若い演奏家たちに、歌というものの多様さ、豊かな名人芸の可能性、限りない美しさについて説明しています。

<4 カザフの音楽 遊牧の叙事詩~トルクィン 3分50秒>

5曲目も同じくカイラト・バイボスキノフのドンブラ弾き語りですが、打って変わって短調の哀愁のある旋律で、これぞカザフ民謡という印象を持ちました。バルハディシャとは娘の名前で、彼女の美しさと優しさを讃えているようです。

<5 カザフの音楽 遊牧の叙事詩~バルハディシャ 3分46秒>

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ここでライブのお知らせをしたいと思います。

6月22日に私の店トーク・トークで「まかな瑠音ライアーコンサート」をすることになりました。
開場 午後5時45分 開演 午後6時30分~ 約70分
会場 Cafeトーク・トーク   今治市北高下町2-1-7ハイツ近藤2の1階
*駐車場は限定5台ですので、出来るだけ公共交通機関等をご利用下さい。
定員:30名限定(要予約)  ワンソフトドリンク付き1,500円
演奏:まかな瑠音(ライアー、歌)  共演:Nalu(歌他)
ご予約:VYG06251@nifty.ne.jp
※22日は、3時半~5時半まで、前座のような形で終活カウンセラーの黒石さとみさん主催で毎偶数月開催の終活カフェをやっておりまして、その4回目になります。定員は7人前後までで、要予約ですが、宜しければ併せてお越し下さい。5時からは、当店マスターの近藤(ヴァイオリンとチェロ担当)が代表を務める今治市民弦楽合奏団の演奏が30分程あります。2014年4月に桜井の翠松苑でのライアーコンサートにて、チェロでゲスト出演させて頂きました。4年の月日を経て、遂にまかなさんの当店でのライブが実現します。静謐な美しさ溢れるライアーの音色を、PA無しで聞ける嬉しい機会です。

プロフィール
今治市在住(2012年に東京から移住)数多くの作曲を手掛けながら日本各地、海外(ウィーン、ザルツブルグでのソロコンサート他、ヨーロッパ、ニュージーランド等)でも様々な場面で演奏。国内外の詩人、俳人、歌人、美術家の作品(絵画、版画、彫刻)とのコラボ曲も多数。障がい者との音楽ワークも長年にわたり行っている。

ライアーについて
シュタイナー思想の基に20世紀初めにドイツで最初のライアーが製作されて、主にヨーロッパの教育、セラピーの現場で使われて来た。日本では「千と千尋の神隠し」のエンディングテーマ「いつも何度でも」でその透明感のある音色が知られるようになった。奏者が使用しているコンサートライアーは一般的なものより大きさも響きも大きく、世界でもまだ珍しい型で四国では唯一の楽器である。

以上、ライブのお知らせでした。宜しければ是非お越しください。

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男性歌手カイラト・バイボスキノフのドンブラ弾き語りは5曲入っておりますが、時間の都合で飛びまして、シャーマンが占術に用いていた擦弦楽器のコビュズも聞いておきたいと思います。コビュズの曲は全部で7曲入っております。おかけしますのは、ジャルグィズ・アヤクというコブィズの独奏曲で、器楽曲のことをキュイと呼びます。演奏はスマグル・ウンベトバーエフと言う人です。ジャルグィズ・アヤクと言うタイトルは「片足の人」の意味で、作曲者のアビケイは冬の寒さで片足を失い、人間の体の完全さを夢見ながらこの悲しいキュイを書いたそうです。

この曲を聴きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9 カザフの音楽 遊牧の叙事詩~ジャルグィズ・アヤク 3分38秒>

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2018年6月 8日 (金)

トルクメンの最後に

ばたばたしていて、今週はブログアップが月曜だけでした。来週からは放送に合わせてカザフに向かいますので、トルクメンの最後に、気になる動画を幾つか上げておきます。結局月曜のハズィゴラク以外のサルティクラル、イズラマについては、動画の手掛かりは見つかりませんでした。
一本目は先週上げました3媛一太郎と父かも?と思われるグループのドタール合奏ですが、こちらでは歌も聞けます。二本目は強烈な女性バフシー。58分を越える長尺映像です。男女ともこういう長尺のバフシー動画は結構上がっています。
kargy tyuidyukは、綴りの違いで出てこないのかも知れません。キング盤のジュマエフ・チャルィヤルによるカルグィ・テュイデュクの独奏曲「月のような娘」の動画は見当たりませんが、一本ありました。こちらを3本目に。イランのネイのように八重歯に当てて、舌を巧みに使って吹奏するようです。
4本目は、イラン東北部のトルクメン・サハラの演奏のようです。やはりイランのクルドのタンブール合奏などに、より近く感じられます。イランでこんなにアジア的な顔立ちの人が多いのにもびっくりです。

turkmen aydimlari

Bahar Agayewa-Bezirgen dessany

flute music from Turkmenistan 1 トルクメニスタンの笛 1

Türkmen Sahra Türkmenleri - Durnalar

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2018年6月 4日 (月)

ハズィゴラク (WRMLから)

ゼアミdeワールド111回目の放送、日曜夕方に終りました。6日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日の動画は、壮絶なエピソードが伝わっているハズィゴラクだけにしておきます。他の曲は、また後日探してみます。

111回目の放送になりました。トルクメニスタンも4回目になります。最初は3回の予定でしたが、入手してなかったキングWRML(ワールドルーツミュージックライブラリー)盤が手に入ったので、今回はこの2枚組からご紹介したいと思います。このシリーズがリニューアルされて再発されたのは2008年で、当時はプロデューサーの星川京児さんとキングレコードの担当者井上さんのお二人もお元気でしたが、10年経った今では、お二人ともまだお若くして鬼籍に入られて、担当者不在になってしまってからのここ数年は、かなりのタイトルがメーカー切れか、ほぼ廃盤の状態なのをとても残念に思っていました。星川さんからの呼びかけで、私もこの150枚シリーズの一枚の「イラン/シャハラーム・ナーゼリーの芸術」のライナーノーツ執筆を担当しました。

このシリーズの「トルクメニスタンの音楽」の解説は、洗足学園音楽大学などで教鞭を取られている浦本裕子さんです。音楽的には既にご紹介しましたイネディやVDEの音源と似た内容ではありますが、解説には非常に興味深い内容の曲が幾つかありました。まずサルティクラルという曲からおかけします。アタエフ・アラベルディによる擦弦楽器ギジャクの独奏曲です。解説には以下のようにありました。
「サルティクラルは男の名前。兵役でイランに送られ目をくりぬかれた男が、その地で愛する女性を思い、トルクメニスタンに戻ってからこの曲を作った。その演奏を聞いて、その女性は彼だとすぐに気がついたという。」

<1-8 トルクメニスタンの音楽 ~サルティクラル 3分12秒>

もう一曲、何とも切なく壮絶な曲がありました。ハズィゴラクというドゥタールの独奏曲で、解説には以下のようにあります。
「曲名になっているハズィは人の名前で、ゴラクは両手がないという意味である。昔トルクメニスタンにドゥタールの名演奏家ハズィが住んでいた。ある時その評判を聞いたウズベキスタンの王が、富や美しい娘を条件に宮廷に抱えたいと彼に申し入れた。しかし、ハズィは祖国を離れたくないので、それを断った。自分の権力に屈しないハズィに立腹した王は、彼を呼んで宮廷で演奏させた。そして両腕を切り落とし、どこへでも行って演奏するがよいと解き放った。この曲は身の危険を予見した彼が、前の晩に徹夜で作曲して弟子に託したものと言われている。」
漠然と聞いているだけでは分からない、壮絶なヒストリーを秘めた11分を越える大曲で、ドゥタール独奏はアンナムラドフ・アンナセイイトです。

<1-13 トルクメニスタンの音楽 ~ハズィゴラク 11分35秒>
Türkmen dessany - Hajy golak

この曲にまつわるストーリーを語っているように思いますが、トルクメン語のようですので、残念ながら詳細不明です。

2枚目にはイネディ盤でも出てきたバフシーの名歌手ジャマラ・サパロヴァの歌唱も入っておりまして、その中からイズラマという曲をおかけします。中東版の「ロミオとジュリエット」とも形容される悲恋物語の叙事詩「ライラとマジュヌーン」(トルクメンの発音では「レイリとメジヌン」)に基づくトルクメン民謡です。永遠の恋人ライラを探し求めて荒野を彷徨う狂人マジュヌーンの苦悩を、トルクメンではどう歌っているかが聞きものです。

<2-2 トルクメニスタンの音楽 ~イズラマ 4分35秒>

前回Yara Degmesinという曲でご紹介した笛も、1枚目に収録されていました。カルグィ・テュイデュクという縦笛で、その音は、日本なら尺八、イランやトルコならネイ、東欧ならカヴァルに似た縦笛で、ウラル地方南部のバシコルトスタンにも同じ様な音色の笛があります、と前回ご紹介しておりました。同じテュルク系民族で、地理的にはトルクメンよりもロシアやヨーロッパに近い訳ですが、バシキールの方は、ぐっと東洋的なカラーが強く感じられます。笛の音と声が一緒に出ているバシコルトスタンのKurayの吹奏をまず一曲おかけしてから、後でトルクメンのカルグィ・テュイデュクの曲をおかけします。トルクメンの次に控えているカザフの後でバシコルトスタンも一回予定しております。

<4 Ural - Traditional Music of Bashkortostan ~Ilyas 2分39秒>

ジュマエフ・チャルィヤルによるカルグィ・テュイデュクの独奏曲「月のような娘」は、トルクメニスタンの古い曲で、月のように美しい娘を表現している曲です。中東では女性の美しさをしばしば月に喩えます。
この曲を聴きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1-1 トルクメニスタンの音楽 ~月のような娘 2分38秒>

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2018年6月 1日 (金)

ジャマラ・サパロヴァの生映像

もう往年のベテラン歌手の域なのかも知れませんが、名女性バフシーのジャマラ・サパロヴァがトルクメン・ポップスを歌った映像がありました。イネディ盤だけでなく、キングのワールドミュージックライブラリーにも録音が入っていた歌手で、私も執筆で参加した音楽之友社の「世界の民族音楽ディスクガイド」の星川京児さんのコラムによると、「アルジェのライとパンジャブのバングラを掛け合わせ、イランのタハリールを強烈にしたようなヴォーカル」と形容されていましたが、確かにこの音楽にはそんな印象を持ちました。ポップスを歌ってもインパクトのある歌唱を聞かせています。111回目に入れたドタール独奏曲「ハジゴラク」に関するyoutubeもありましたので、来週アップします。

Jemal Saparowa - Bir yana

Jemal Saparowa -Yanyňa geldim

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2018年5月30日 (水)

トルクメンのドタール合奏

今日の2本は、トルクメンのドタール(より正確な表記はドゥタールかも)の合奏ですが、3姫1太郎の家族でしょうか、息の合った演奏を聞かせています。こうして聞くと、クルディスタンのタンブールの合奏にそっくりに見えます。音や右手のストロークが似ているように思います。タイトルのaydimlariを、同じテュルク諸語のオグズ系統であるトルコ語で調べると「知識人」との訳が出てきました。トルクメン語で同じになるかどうかは不明ですが。(アゼルバイジャンの時に書きましたが、トルコ語、アゼルバイジャン語、トルクメン語はかなり近いようです) おまけの3本目などを見ると、2本しか弦がないのにも関わらず(むしろ弦の数が少ないからこそ)歌うように奏でることが可能な、優れた弦楽器であることが改めてよく分かります。

turkmen aydimlari

turkmen aydimlari

turkmen halk aydym gulbahar

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2018年5月28日 (月)

倍音唱法入りバフシー

ゼアミdeワールド110回目の放送、日曜夕方に終りました。30日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。VDE盤では浪曲のような発声から倍音唱法に至る吟遊詩人バフシーの音源が目立ちます。このタイプの歌唱は、イネディやキングWRML盤(次回予定)では聞けなかったので、貴重な記録だと思います。倍音入りバフシーのyoutubeはほとんど見当たりませんが、長尺の映像を含めいくつかありました。VDE盤と同じ演奏者では残念ながら見当たりませんでした。

Turkmen folk song and Dutar


Kerwen bagsy - Goroglynyn oylenishi


トルクメニスタンの3回目は、トルクメンの吟遊詩人バフシーの歌の男性編ということで、スイスVDE-Galloの「トルクメニスタン バフシーの音楽」から聞いて行きたいと思います。この盤には、テケ、サリク、エルサリーなどの部族に伝わる5つの歌唱スタイルが収録されていて、それはアシガバード、メルヴ、チャルゾウ、タシャウズ、クラスノボズクの5つになります。首都のアシガバードなど、それぞれ町や地方の名前のようです。繊細な音の弦楽器ドゥタールをかき鳴らし、朗々と歌うさまは勇壮で、時に擦弦のギジャックの伴奏も入ります。トゥバやアルタイの喉歌(あるいは倍音唱法)に近いような、喉を締めて歌う発声法も随所にみられます。この盤の録音は1988-90年で、やはり現物が手元に残ってないので、アップルミュージックからの音出しになります。解説を参照出来ませんので、その5流がどのトラックになるのか不明なのが残念です。
まず1曲目のYagmyr Nurgeldyevという人のGongurbash Mukamyというドタール独奏曲からどうぞ。

<1 Yagmyr Nurgeldyev / Gongurbash Mukamy 2分53秒>

2曲目は、Khomat Jelilovという人のDalmidiという曲ですが、日本の浪曲に似た歌い方のように思いました。倍音唱法的に聞こえる部分もありますので、と言うことは、浪曲も喉歌に似ていると言えるのかも知れません。

<2 Khomat Jelilov / Dalmidi 4分52秒>

3曲目のGelinlerという曲は先ほどの同じKhomat Jelilovの歌唱ですが、この曲では浪曲風な技巧ではなく、朗々と勇壮に声を張り上げて歌っていて、同じ歌い手なのかと思う位に違って聞こえます。

<3 Khomat Jelilov / Gelinler 4分5秒>

4曲目のAk Yuzliという勇壮な曲もKhomat Jelilovの歌唱ですが、この様な複雑な曲調を表現できる凄い歌い手であることが3曲続けて聴くとひしひしと伝わってきます。CDジャケットの白いテルペックを被った男性はこの人かも知れません。

<4 Khomat Jelilov / Ak Yuzli 4分53秒>

数曲飛んで7曲目のYarym Garasaという曲はOdenyaz Nobatovという人の歌唱で、ドタールの掻き鳴らしは控えめです。声を揺らすゆったりとした歌い方は、隣の国のウズベキスタンの歌に少し似て聞こえました。

<7 Odenyaz Nobatov / Yarym Garasa 4分10秒>

11曲目のGarygymになると、はっきりとした倍音唱法が聞けます。これは明らかにモンゴルのホーミーやトゥヴァのホーメイを思わせるものがあります。Khaitly Mammetdurdyevの歌唱です。

<11 Khaitly Mammetdurdyev / Garygym 4分35秒>

12曲目のGitme Goroglyも同じKhaitly Mammetdurdyevの歌唱ですが、ここでは低音での倍音唱法もありまして、これはチベット仏教の聲明を思わせるものがあります。タイトルのGoroglyというのは、この辺りの英雄叙事詩の朗唱(ダスタン)で最も好まれる古いトルコの英雄叙事詩ケログルの一種のように思いましたが、どうでしょうか。

<12 Khaitly Mammetdurdyev / Gitme Gorogly 3分59秒>

17曲目のAkmammet NurmammedovによるDaglarになると、これまた浪曲にそっくりで、しかも低音の倍音が入って来る歌唱になっています。それが中央アジアから聞こえるという不思議を感じます。

<17 Akmammet Nurmammedov / Daglar 3分40秒>

この盤には器楽だけのトラックも幾つかありますが、8曲目のVelek Gubalyevという人のYara Degmesinという曲は、日本なら尺八、イランやトルコのネイ、東欧ならカヴァルに似た縦笛の吹奏で、ウラル地方南部のバシコルトスタンにも同じ様な音色の笛があります。笛の音と声が一緒に出ているダブルトーンに近い演奏ですが、バシコルトスタンの方が、より声も一緒に出ています。カザフの後でバシコルトスタンも一回予定しております。
時間が余りましたら、9曲目のSona Gelinという曲もおかけしたいと思います。同じ笛の吹奏のようで、演奏はTschariyar Jumaevという人です。

これらの曲を聴きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9 Velek Gubalyev / Yara Degmesin 2分>

<10 Tschariyar Jumaev / Sona Gelin 1分40秒>

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