少し前に目に留まった動画ですが、古代ギリシアの竪琴リラの弾き語りを、主にオスマン・トルコの音楽で用いられる擦弦楽器ヤイリ・タンブールが伴奏する映像がありました。これは珍しい組み合わせで、音楽は少しインド音楽風にも聞こえます。ヘレニズムの時代には、インドまで視野に入っていたので、あり得る組み合わせかも知れません。この動画をアップしているのは、Seikilo Music and Moreとありますから、昨日のヘレニズム時代のセイキロスの曲との出会いから始まったのではと思われます。ヤイリ・タンブール奏者のTolis Preponisは、ヴァイオリンも弾くようです。見てみたいものですが、すぐには見つからずでした。
Aroma - Ancient Greek lyre and Yayli Tambur - Thanasis Kleopas
プロフィールに「1994年には、民謡を含むファーストアルバム「Yesterday and Day」をリリース。有名なトルコのアーティストArifSağの指導のもと、1999年にセカンドアルバム「Yolculuk」を発表。サードアルバム「Yar Sesi」は、同じくArifSağの指導の下で準備され、2002年にリリースされました」とありましたから、ギュリスタンはその2年後のアルバムになります。最近の動画で見ましたが、まだ47歳なのにすっかり白髪になっていて、ちょっとショックを受けました。(放送では最後の曲が全く入らないので、後でこの部分を削除しましたが、編集が上手くいかず繋ぎが不自然になってしまいました。大変失礼いたしました。)
5曲目は他の歌い手で聞いたことがある曲で、アゼルバイジャンの歌だったように思います。タールの音色が特徴的な3拍子か8分の6拍子の大変に美しいメロディです。
<5 Aynur Haşhaş / Gulistan ~Men Onu Sevmistim 3分36秒>
Men Onu Sevmiştim | Aynur Haşhaş
次にAynur Haşhaşでyoutube検索すると上位に上がってきているギュリスタンの1曲目をおかけします。5拍子か10拍子の特徴的なアップテンポの曲です。
<1 Aynur Haşhaş / Gulistan ~Icmisim Serhosum Bugun 3分37秒>
Aynur Haşhaş - İçmişim Serhoşum Bugün
2曲目のKirpiklerim Ok Eyleという曲は、いかにもアリフ・サーがバーラマで伴奏していそうな感じの、アナトリアらしい曲調の美しい曲です。
<2 Aynur Haşhaş / Gulistan ~Kirpiklerim Ok Eyle 4分46秒>
Aynur Haşhaş - Kirpiklerin Ok Eyle
ゼアミdeワールド210回目の放送、水曜夜8時半と日曜夜10時にありました。3日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。動画はA la una yo nasiだけ、また後日。
トルコの27回目、トルコ民謡の4回目になります。宅録の際に、マイクの音がほとんど出ないトラブルがありましたので、再開されたラヂバリスタジオで再度収録しております。位相の問題だったようです。
今回はトルコの民謡と言う訳ではないのですが、「トルコのスペイン系ユダヤ人の音楽」と言う盤が1989年にアメリカのTitanicから出ていましたので、この枠で入れておきたいと思います。昨年末に放送で取り上げましたVoice of the Turtleのスペイン系ユダヤ人音楽シリーズの第1集になります。
セファルディーの民謡を演奏するグループVoice of the Turtle(山鳩の声)のCDですが、第1集トルコ編の他には、第2集がモロッコ編、第3集はブルガリアと旧ユーゴスラヴィアのバルカン編と、第4集ロードス島とサロニカ編もありますが、第4集だけ入手出来ておりません。第5集が年末にクリスマス音楽と一緒にかけました「ハヌカー・コンサート」になります。いずれも旧オスマン帝国内になりますので、今回取り上げても良いのですが、長くなりますので、またそれぞれの時に入れようかと思います。
楽器編成は、ギター、ヴァイオリン、バーラマ、マンドリン、ウード、ダンベク、ナッカーラなどで、スペイン古楽や中東の楽器が多く見えます。セファルディーが暮らした頃のスペインは、後ウマイヤ朝以来800年近く続いたイスラーム諸王朝でしたから、音楽にもアラブ的な面は多分に入っています。
前置きはこれ位にしまして、第1集トルコ編から、1曲目のLa prima vez(初めて、あなたを見た時)という曲をどうぞ。
<1 Voice of the Turtle / Music of the Spanish Jews of Turkey ~La prima vez 3分11秒>
La Prima Vez
7曲目のDurme, durme mi linda donzeyaは、恋人の女性へのララバイで、これも哀切なメロディです。
<7 Voice of the Turtle / Music of the Spanish Jews of Turkey ~Durme, durme mi linda donzeya 3分40秒>
Voice of the Turtle - "Durme, durme mi linda donzeya" - (Sephardic Jewish Music from Turkey)
10曲目のDe edad de kinzay ányoz(15歳から)という曲は、キュルディ旋法のリズミカルな曲で、7曲目のようによく知られてないけど、私は最初から強く印象に残った曲です。
<10 Voice of the Turtle / Music of the Spanish Jews of Turkey ~De edad de kinzay ányoz 3分47秒>
Voice of the Turtle - "De Edad de Kinzay Anyoz" - (Sephardic Jewish Music from Turkey)
ラストの19曲目を飾っているA la una yo nasi(第一に、私は生まれた)という曲は、バルカン諸国のセファルディーの歌として広く知られている曲とのことですが、ハンガリーのSzól a kakas márという曲にかなり似ています。こちらは東欧系ユダヤの歌ですので、旋律がバルカンのセファルディーに流れたのか、単なる空似か、どちらでしょうか?
<19 Voice of the Turtle / Music of the Spanish Jews of Turkey ~A la una yo nasi 4分40秒>
では最後に5曲目のO madre mia(おお、私の母よ)を聞きながら今回はお別れです。トルコとブルガリアの戦争の悲劇を反映した歌で、スペインを離れてからバルカンで生まれた曲も多いことが分かります。とてもセファルディーらしい哀感の溢れた一曲です。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<5 Voice of the Turtle / Music of the Spanish Jews of Turkey ~O madre mia 5分>
Voice of the Turtle - "O madre mia" (Sephardic Jewish Music from Turkey)
今回の後半は「トルコのブルガリア系少数民族、ポマック族の伝統音楽と歌」という盤をご紹介したいと思います。注目作を連発するトルコのKalan Muzik Yapimから98年に出た盤で、トルコにスラヴ系のブルガリア人がいたという点に何よりも強い関心を覚えました。ロシア語で歌のことを「ペスニャ」と言いますが、この盤では「ペスナ」という表記になっていて、正にスラヴ系の証しのような言葉の類似に驚きました。ブルガリアや旧ユーゴの南スラヴ語派に関心のある人は要チェックだと思いますが、これらバルカン諸国は長らくオスマン帝国に入っていたので、やはり音の印象はかなりトルコ風です。
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