トルコ音楽

2020年1月17日 (金)

「注目すべき人々との出会い」でのAka Gündüz Kutbay

トルコ・シリーズなのにイランのネイばかり紹介していました。トルコのアカギュンデュズ・クトバイですが、ピーター・ブルックの映画「注目すべき人々との出会い」に出ていました。20世紀ロシア(現在はアルメニア)の神秘思想家グルジェフの伝記映画で、誰が巨岩を共鳴させるか各地の語り部が争う前半の一種の「歌合戦」のシーンが強く印象に残っています。優勝するホーミー歌手のほか、セタール弾き語り、ヤイリ・タンブール(立てて弓奏するタンブール)演奏、トルコのネイは若き日のクドゥシ・エルグネルと、若くして亡くなった名手アカ・ギュンデュズ・クトバイは、おそらく亡くなる直前の出演だったと思います。プラヤ盤のラスト旋法を思い出させる吹奏でした。彼が子羊を抱いていたので、優勝者は姿を見せないホーミー歌手ではなく、アカギュンデュズだったのでしょうか? 余談ですが、イディッシュ・ソングの名歌手ベン・ズィメットらしき人も出ていましたが、彼が歌っていたのは、ユダヤではなくアルメニアの歌に聞こえました。

Evcara Ney Taksimi - Aka Gündüz Kutbay

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2020年1月13日 (月)

ネイの聞き比べ イランとトルコ

ゼアミdeワールド195回目の放送、日曜夜にありました。15日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。キャサイーのプラヤと同じ音源はなさそうですので、今日は彼の生映像を上げておきます。旋法は同じシュールだと思います。アカ・ギュンデュズはまた後日。

正月の定番曲「春の海」に続いてとなると、どうしても詫び寂び感が欲しい気がしますので、最近回っているトルコ音楽なら、やはり尺八に似た音色のネイだと思います。トルコの12回目は、トルコとイランのネイの聞き比べをしたいと思います。トルコの初回に言いました通り、ネイとは、葦で出来た長い縦笛で、ペルシアの大詩人ジャラールッディン・ルーミーが神秘主義詩の中で読み、メヴレヴィー教団を興して以来、スーフィーの音楽で最も重要な楽器とされています。

まずは、イランのネイの名人ハッサン・キャサイーのプラヤ盤について、音楽之友社から2002年に出た「世界の民族音楽ディスクガイド」に書いた拙稿を読み上げます。

ネイは葦で出来ていて、吹き口は切ったままの状態に真鍮の筒をはめた、極めてシンプルな縦笛。構えは大概髭で見えにくいが、歯の隙間と舌を有効に利用している模様。トルコのネイと似ているが吹き口が違う。丸い筒のままなので、音を出すだけでも至難の技。そしてこのシンプルさが手伝って、イランではとてつもない名人芸が生まれた。この盤はイスファハーンの往年の巨匠の唯一のまとまった録音。苦悩のパッションを描き出すシュールと、雨後の虹のように美しく晴れやかなマーフールの対照的な組み合わせがまた良い。拍節のある部分では一部トンバク(ザルブ)伴奏が入る。現代のネイの名手にはこの人の影響を受けた奏者が非常に多い。余りに凄演!
 

それでは、シュール旋法のピシュダルアーマドと、チャハールメズラブ、ケレシュメを続けておかけします。片面太鼓トンバクの伴奏は、ジャハンギール・ベヘシュティです。

<1 Hassan Kassa'i / Le Ney Pishdaramad-shahnaz tshahamezrab 3分3秒>

<2 Hassan Kassa'i / Le Ney Kereshme,kutsh-bagh, hosseini, hazin 6分12秒>

Ostad Hasan Kasaie


ハッサン・キャサイーのマーフール旋法の一部も少しだけおかけしておきます。

<6 Hassan Kassa'i / Le Ney Safi-name,saghi-name,beste-negar,tasalsol 2分余り抜粋>

次にトルコのネイですが、前に一曲かけました往年の名人アカ・ギュンデュズ・クトバイの、プラヤサウンドから90年代に出ていた独奏盤から、前にNihaventをかけましたので、13分のラスト旋法のタクシームを時間まで聞きながら今回はお別れです。明るいイメージのあるラスト旋法ですが、年末にかけたミュニール・ヌーレッティン・セルチュクの大曲のように、いかようにも変容する奥深い旋法のように思います。変調する旋法として、Segah, Mustear, Beyati, Saba, Ussakが上がっています。因みに、今日の2枚はプラヤサウンドの活動停止のため、いずれも現在は入手不可の盤です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 AKA Gunduz Kutbay / Le Ney - Rast 13分10秒>

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2019年12月30日 (月)

年末にRast Kar-i Natik

ゼアミdeワールド193回目の放送、日曜夜にありました。放送されるのが29日で、1日の再放送枠は無しですので、1年の締めくくりの音楽として、これまで3回の年末のようにベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲にしようかとも思いましたが、トルコ音楽巡りの途中ですので、今年はトルコの音楽にしたいと思います。動画はRast Kar-i Natikとルバーイーのみにしておきます。番組関連のブログアップですが、次回は8日の放送後の9日になると思います。

188回目の放送でフェードアウトしてしまったオスマン・トルコ古典音楽の大作曲家イスマイル・デデ・エフェンディの、Rast Kar-i Natik(ラスト・キャール・ナトゥク)の音源からおかけします。

この曲は、どんどん旋法が移り変わる歌唱の内に、それぞれの旋法の名前を詠み込んでいく異色の大作です。旋法はRast, Rehavi, Nikriz, Pencugah, Mahur, Neva, Ussak, Bayati, Nisabur, Nihavend, Nuhuft, Saba, Cargah, Dugah, Huyseyni, Hisar, Muhayyer, Buselik, Hicaz, Sehnaz, Rahatul-Ervah, Bestenigar, Irak, EVCと続きます。作曲、演奏共に高度な技術の必要な曲と思われますが、漠然と聞いているだけでも、実にオスマン音楽らしい高雅で大らかな魅力のある曲です。時折はっきりと分かる微分音が出てきますので、是非注意して聞いてみて下さい。

音源は、往年の名歌手ミュニール・ヌーレッティン・セルチュクの4枚組「ウスタード」の3枚目です。巨匠晩年の悠揚迫らぬ名唱を聞けます。

<3-1 Rast Kar-i Natik (Rest Getirup Fend Ile Seyretti Numayi) 15分59秒>

Münir Nurettin Selçuk-Rast Kar-ı Natık


この大作は1年の締めくくりに相応しいと思いまして、おかけしました。まだ時間がありますので、同じウスタードからセルチュクの自作曲を何曲かおかけします。この頃の彼の録音には、タンブールの名手ネジデト・ヤシャルの名が見えます。

1枚目3曲目のウッシャーク旋法のルバーイー「ビル・メルハレデン・ギュネシュレ・デリア・ギョリュニュル」は、その名の通り四行詩の歌で、シャルクという扱いではないセルチュク自作の中でも異色の一曲のように思います。

<1-3 Bir Merhaleden Gunesle Derya Gorunur 2分33秒>

Münir Nurettin Selçuk Bir merhaleden güneşle derya görünür


1枚目6曲目のセガー旋法のイラーヒ「ショル・ジェンネティン・ユルマクラル」は、ユヌス・エムレの詩につけられたセルチュクの自作曲です。

<1-6 Sol Cennetin Irmaklari 5分26秒>

1枚目14曲目のニハーヴェント旋法のシャルク「ヤル・センデン・カルンジャ・アイル」もセルチュクの自作曲で、ウスクダラと同じニハーヴェントらしい哀感があります。この曲を聴きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。

それではまた来年。 皆様、よいお年をお迎えください。

<1-14 Yar Senden Kalinca Ayri 4分13秒>

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2019年12月26日 (木)

Maftirim Judeo-Sufi Connection トルコのセファルディー音楽

マフティリームは、そのまま上がっていました。Hag Amakabimは、一番最後の曲です。マフティリームで検索して出てきた他の盤で、I Maftirîm e le opere degli ebrei sefarditi nella musica classica ottomana (The Maftirîm and the Works of Sephardic Jews in Ottoman Classical Music)というイタリア盤にはクドゥシ・エルグネルが参加していて、大変に素晴らしい内容でした。また来年に放送でかける予定です。ユダヤとスーフィー(イスラム神秘主義)という組み合わせは、最初意外に思いましたが、歌舞音曲を表向き忌避するイスラムの中でも、音楽によって神に近づくスーフィーの世界は、元から音楽に溢れたユダヤの宗教音楽とよく合うのかも知れません。中でもカバラーの影響のあるセファルディーの音楽や、東欧系になりますがハシディズムなどのユダヤ神秘主義系統なら尚更でしょう。トルコでの場合は、何よりもトルコ古典音楽が両者に共通しているので、強力な繋ぎになると思います。(以下放送原稿を再度上げておきます)

Kalan Muzik Yapimから2001年に出ているMaftirim Judeo-Sufi Connectionという盤は、トルコ音楽のスタイルでユダヤ教神秘主義詩を聞かせる内容です。演奏はHazan Aaron Kohen Yasakとマフティリーム合唱団で、器楽伴奏はネイとタンブールを中心に打楽器のベンディール、クデュムという編成です。トルコには15世紀のスペインからの離散のグループとは別に、古代パレスティナから古くは紀元前4世紀頃から流入した古い集団もあるようです。この盤の演奏者がどちらになるのかは不明ですが、ハヌカーの曲を演奏しているということは、セファルディーだろうと思います。では、そのHag Amakabimという曲をどうぞ。

<19 Maftirim Judeo-Sufi Connection ~Hag Amakabim 5分14秒>

Maftirim Judeo-Sufi Connectionには、ユダヤ教の安息日(シャバト)の歌が多数入っていますので、3曲目のイスマー・アル・ツィヨンと言う曲を、時間まで聞きながら今回はお別れです。キリスト教の安息日は日曜ですが、ユダヤ教では土曜になります。

<3 Maftirim Judeo-Sufi Connection ~Yismah Ar Tsiyon 2分36秒>

Maftirim: Unutulan Yahudi-Sufi Geleneği

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2019年12月20日 (金)

カンテミルオールの伝記映画、文字譜、トルコ古典楽器演奏

カンテミルオールについて、大変に興味深い映像が見つかりました。1本目は彼のおそらく後半生を描いた伝記映画のようで、このような映画が1973年にモルドヴァ(ルーマニア東北部のモルドヴァ地方ではなく、その東に接する旧ソ連のモルダヴィア共和国のことだと思います)で作られていたということに、まず驚きました。2本目は彼が考案した文字譜と思われるアラビア文字のバックで、彼が書いたと思しきペシュレヴをイランの音楽家が演奏しています。3本目は、トルコの古典楽器の演奏で見た中では、カンテミルオールの曲の最もいい演奏だと思いました。
以下はウィキペディアのカンテミルオールの記事からです。「1688年から22年間をイスタンブールで過ごした。イスタンブールではスルタン・アフメト2世に才能を愛され、東洋の諸言語と文化、音楽を学んだ。1710年、兄アンティオフの跡を継いでモルダヴィア公に任命されイスタンブールを離れるが、翌1711年に始まったロシアとオスマン帝国の戦争においてオスマン帝国を裏切り、ロシアのピョートル1世に降伏した。しかし、この戦争はピョートルの大敗に終わり(プルート川の戦い)、モルダヴィアを含めた占領地はオスマン帝国に奪還されてしまったため、カンテミールはロシアに亡命生活を余儀なくされた。カンテミールはロシア貴族の待遇を受けて(公爵・宮廷顧問官)余生を送り、1723年にハリコフで亡くなった。」

" Dimitrie Cantemir " 1973 (Moldova Film)

Cantemir: pishrow (peşrev) in maqâm Bozorg

Sekiz Tanbur - Murat Aydemir - Rast Pesrevi (Kantemiroglu)

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2019年12月18日 (水)

ジョルディ・サヴァールとカンテミルオール

ジョルディ・サヴァールとカンテミルオールと聞いて、最初は意外な気がしましたが、「オリエント~オクシデント」は、カンテミルオールの曲で始まり、カンテミルオールの曲で終わっています。広く地中海の古楽を見て行く上で、いかに重要視しているかの表れのようにも思いました。動画にはニクリーズはなかったので、代わりに最後を飾っているMakam 'Uzäl Sakil "Turna" を上げておきました。3本目の生映像にある、El libro de la ciencia de la músicaとは、例の『文字による音楽の知識の書』のことでしょうか? 直訳すれば「音楽の科学の書」だと思いますが。スペイン語(あるいはカタロニア語?)はよく分かりませんが、冒頭のインタビューでジョルディ・サヴァールはカンテミルオールについて熱く語っているようにも思いました。(以下放送原稿を再度上げておきました)

検索で出てきたのは3枚ありまして、2枚目にご紹介しますのは、スペイン古楽界の大御所ジョルディ・サヴァールとエスペリオン21の演奏で、アルバムタイトルはオリエント~オクシデントです。聖母マリアのカンティガから、イタリアのトレチェント(14世紀)の音楽、サラエボのセファルディー音楽、アフガニスタンやペルシアの音楽などに混じって、21曲中にカンテミルオールの曲が4曲入っています。この中から、冒頭を飾っている明るいマカーム・ラストと、対照的にエキゾチックな短調の旋律が印象的な13曲目のマカーム・ニクリーズの2曲を続けておかけします。

<1 Makam Rast "Murass'a" Usul Duyek (Turquie, Mss. de Kantemiroglu) 4分40秒>

Makam Rast "Murass'a" Usul Düyek (Turquie, Mss. De Kantemiroglu)


<13 Makam Nikriz Usul Berevsan (Turquie, Mss. de Kantemiroglu) 3分34秒>

Makam 'Uzäl Sakil "Turna" (Turquie, Mss. De Kantemiroglu)


ESTAMBUL. Dimitrie Cantemir: "El libro de la ciencia de la música" - Concierto de Jordi Savall

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2019年12月16日 (月)

カンテミルオール(Kantemiroglu)

ゼアミdeワールド191回目の放送、日曜夜にありました。18日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。youtubeは色々ありますが、今日の動画はCantemir: Music in Istanbul and Ottoman Europe Around 1700の方だけにしておきます。このジャケットは割とコーカソイドっぽく書かれていますが、彼の肖像画には色々なタイプが存在するようです。カンテミルオールの末尾のogluのgは、例の楔型が上にある方ですので、Gの音は発音せずに前の母音を伸ばすのみになります。

トルコの伝統音楽の10回目です。今回トルコの音楽を特集するに当たって、個人的に一番調べてみたかったのが、カンテミルオールの音楽です。私が彼の名前を初めて知ったのは、ジェム・ベハールの「トルコ音楽にみる伝統と近代」という著作で、トルコ作曲家リストの中に彼の名前がありました。モルダヴィア貴族のカンテミル家は、クリミア・ハーン国から移住してきたタタール系で、チンギス・ハーンの血を引くと言われています。トルコ語、アラビア語、ペルシア語、ルーマニア語、スロヴェニア語、ロシア語、ギリシア語、ラテン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ハンガリー語を完全に習得していたというポリグロット(マルチリンガル)だった点と、トルコ音楽、オスマン帝国史、故国モルダヴィア・ルーマニアに関する歴史書、哲学書など多様な著作があるという点にも、非常に惹かれました。

しかし、有名なのに反して、彼の曲が入った音源は何故かトルコ盤にもなかなか見当たらず、今回アップルミュージックで調べてみて、ヨーロッパの古楽の枠で出ている盤に多く収録されていることが分かりました。それらのジャケットの何枚かにカンテミルオールの肖像画が出ていますが、確かに日本人とも見間違えるようなアジア的な顔立ちに描かれています。モルダヴィアに近いクリミア・ハーン国のガズィ・ギライ・ハーンも、キプチャク系だから当然と言えば当然ですが、チンギス・ハーンの血を引いていたのを思い出します。

カンテミルオールはルーマニアの東に位置するモルダヴィアの人で、当時モルダヴィアはオスマン帝国領でした。総督であるコンスタンティン・カンテミルの子で、コンスタンティンの父の時代にイスラムからキリスト教に改宗しています。「カンテミルオール」とは、モルダヴィア公ディミトリエ・カンテミールのトルコ名で、公子としてイスタンブールに22年滞在中に数々の曲を作曲し、独自の楽譜を考案、自作曲を書き残しています。生没年は1673年~1723年ですから、バッハより少し前の時期になります。

カンテミルオールの曲を取り上げている中で、トルコ人の音楽家はケメンチェ奏者のイフサン・オズゲンがいました。2,3枚確認した中では、オスマン古典として聞ける曲、モルダヴィアの民族音楽色が濃い曲など、幾つかのタイプに分かれるように思いました。

まずは、イフサン・オズゲンが参加した「Cantemir: Music in Istanbul and Ottoman Europe Around 1700」という盤に、異色とも思えるモルダヴィアの舞踊曲シルバが2バージョン入っていますので、続けておかけします。東欧系ユダヤのクレズマーにも似た哀感に満ちた曲調です。

<1 Syrba - Moldavian Dance 1分34秒>

Syrba - Moldavian Dance


<2 Syrba - Moldavian Dance 1分19秒>

Syrba - Moldavian Dance


ウィキペディアには音楽家としてのカンテミルオールについて、以下のように解説がありました。

「オスマン古典音楽の作曲者としても知られ、40曲ほどの作品がある。アラビア文字を利用した独特の文字楽譜によって約40の自作曲を含む、350余りの器楽曲を採譜した『文字による音楽の知識の書』をトルコ語(オスマン語)で著してスルタンに献呈した。彼の考案した文字譜は画期的なものだったがトルコにおいて広まることはなかった。」

このように僅か40曲なので、聞く機会もこれまでなかったのかなと思いました。そのオスマン古典曲も同じ盤に入っておりますので、ヒュセイニ旋法のペシュレヴを同じ盤からおかけしますが、ペシュレヴと思えないくらい古楽的な演奏です。演奏はIhsan Ozgen, Linda Burman-Hall & Lux Musicaということで、おそらくトルコ人はイフサン・オズゲンだけでしょうか。

<28 Huseyni Pesrev 3分33秒>

Hüseynî Pesrev


もう一曲この「Cantemir: Music in Istanbul and Ottoman Europe Around 1700」という盤から、カンテミルオールを讃えた曲と思われるIn Honor of Prince Kantemirという曲がなかなか秀逸ですので、おかけしておきます。

<14 In Honor of Prince Kantemir 3分43秒>

In Honor of Prince Kantemir


検索で出てきたのは3枚ありまして、2枚目にご紹介しますのは、スペイン古楽界の大御所ジョルディ・サヴァールとエスペリオン21の演奏で、アルバムタイトルはオリエント~オクシデントです。聖母マリアのカンティガから、イタリアのトレチェント(14世紀)の音楽、サラエボのセファルディー音楽、アフガニスタンやペルシアの音楽などに混じって、カンテミルオールの曲が4曲入っています。この中から、冒頭を飾っている明るいマカーム・ラストと、対照的にエキゾチックな短調の旋律が印象的な13曲目のマカーム・ニクリーズの2曲を続けておかけします。

<1 Makam Rast "Murass'a" Usul Duyek (Turquie, Mss. de Kantemiroglu) 4分40秒>

<13 Makam Nikriz Usul Berevsan (Turquie, Mss. de Kantemiroglu) 3分34秒>

もう一枚はGolden Horn Ensembleというグループの演奏で、このDimitrie Cantemir (Kantemiroglu)という盤のジャケットは、本当に日本人と見紛う感じです。この中からHuseyni - Fahteと言う曲を時間まで聞きながら、今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<7 Huseyni - Fahte 10分19秒>

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2019年12月13日 (金)

Simon Shaheenのウードとヴァイオリン

Simon Shaheen のTurathは、音源が上がっていました。CMPの盤は、おそらく現在は入手不可です。92年に出た頃はジャケットが違っていて、ウードを構えたシモン・シャヘーンでした。彼はウードだけでなく、ヴァイオリンの名手でもあり、タクシームがとにかく凄いです。それぞれを3,4本目に入れました。(以下放送原稿を再度載せておきます)

185回目にクドゥシ・エルグネルのメヴレヴィー的な演奏でかけたイスマイル・ハック・ベイのフェラフェザのペシュレヴもアラブ音楽でよく演奏されています。パレスティナのウード名手シモン・シャヘーンの演奏が、92年にドイツのCMPから出ておりました。そちらでおかけします。ペシュレヴは、ここではアラビア語のバシュラフになっております。なおシャヘーンは、シモンという名前の通り、パレスティナのキリスト教徒だと思われます。

<1 Simon Shaheen / Turath - Masterworks of the Middle East Bashraf Farahfaza 5分45秒>

Simon Shaheen - Bashraf Farahfaza (Turath)


では最後に、同じくシモン・シャヘーンの演奏で、タンブーリ・ジェミル・ベイの息子のメスード・ジェミルが書いたSama'i Nahawandを時間まで聞きながら、今回はお別れです。今回は途中までになると思いますが、ウードなどアラブの楽器でもよく演奏される名曲ですから、またちゃんとかける予定です。

<6 Simon Shaheen / Turath - Masterworks of the Middle East Sama'i Nahawand 8分16秒>

Simon Shaheen - Sama'i Nahawand (Turath)


taqsim arabic oud music


Excerpts From Arboresque with Improvisations from Simon Shaheen and Bassam Saba


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2019年12月12日 (木)

チェチェン・クズ

チェチェン・クズは、ウード奏者の常味さんなど何人かのアラブ音楽家の演奏で聞いたことがありますが、日本でもよく弾かれているようです。アンコール・ピースのような扱いでしょうか。ムトゥル・トルンのウード教本にも楽譜がありましたが、大体色々な編成やアレンジで演奏されています。タンブーリ・ジェミル・ベイの曲は、サズ・セマーイのような変拍子の曲が多いので、チェチェン・クズのような親しみやすい小品の方がよく知られているようにも思います。1本目がタンブーリ・ジェミル・ベイのオリジナルのケメンチェ独奏です。(以下放送原稿を再度上げておきます)

エトハム・エフェンディと同じオスマン朝末期の音楽家のタンブーリ・ジェミル・ベイは、トルコ音楽史上最高のタンブール奏者と言われています。彼の作曲した中で、アラブ音楽でもよく演奏される「チェチェン・クズ」を今回おかけします。「チェチェンの娘」と訳せるこのヒュセイニー旋法の曲は、ロシアでの迫害から逃れてオスマン帝国に移住してきたチェチェンやチェルケスなど北コーカサス系の愛らしい美少女を描写した曲かと思います。タンブーリ・ジェミル・ベイはタンブールだけでなく、ケメンチェの名手でもあったので、ここではケメンチェを弾いています。アメリカTraditional Crossroadsの盤は、1910~14年にブルーメンタル・レコードとトーキング・マシーン・カンパニーによって行われたアコースティック録音からのCD復刻ですから、100年余り前の録音です。

<1-2 Tanburi Cemil Bey Vol.2-3 Cecen Kizi 3分9秒>

Tanburi Cemil Bey - Çeçen Kızı - Kemençe – Tanbur [ Külliyat © 2016 Kalan Müzik ]

Çeçen Kızı (Tanburi Cemil Bey)

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2019年12月11日 (水)

サフィイェ・アイラの生映像

何と、往年のトルコの女性歌手サフィイェ・アイラの生映像がありました。1907年生まれ1998年没で、オスマン朝末期から活躍した名歌手です。日本で言えば、淡谷のり子さんと同世代。父であるエジプトのヒジャージザデ・ハフズ・アブドラ・ベイは、彼女の出生前に亡くなり、宮廷の召使であった彼女の母親は、彼女がわずか3歳で亡くなったので、孤児院に送られ、そこで初等教育を修了、ブルサの教師大学で教育を受けました。ピアノの学生として音楽教育を始め、ムスタファ・スナルに師事し、当時の最も重要なカジノのいくつかでソリストとして歌い始めました。
幼い頃孤児だったことと、ケマル・アタチュルクのお気に入りの歌手の一人だったというのは、有名なエピソードです。トルコ現代歌謡(サナート)の元祖的な歌手の一人で、その可憐な歌声と対照的にも思える妖艶な歌唱の雰囲気がこの映像からも分かります。沢山有りすぎて選べない程ですが、最初の2本はアルバムタイトルにもなっていた曲です。3本目は何と71歳! これは先日のミュニール・ヌーレッティン・セルチュクの映像と同じ頃のようです。

Çile Bülbülüm - SAFİYE AYLA

Safiye Ayla - Yanık Ömer

Safiye Ayla - Menekşelendi Sular

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