トルコ音楽

2009年3月 8日 (日)

ポマクのペスネ

昨日はバルカン南部やトルコに住むブルガリア系少数民族ポマクについて見ました。キーワードをPomak+Turkと絞っていたので50件ほどでしたが、Pomakだけで検索してみたら150件ほどありました。そして民謡関係や民族の紹介に関するビデオも沢山見つかりました。今日はそれらの中から数本をご紹介。

pomak

ポマクについてのモノクロ映像集。バックの音楽はバルカン・ポマクの音楽では。2分の辺りに、例のKalan MuzikのポマクのCDジャケットが出てきます。

pomak people

ポマクの歴史や民族文化についてのよくまとまった紹介ビデオ。英語字幕が有難いです。

POMATSKİ PESNE - 2(POMAK TÜRKÜLERİ)

これはトルコ側ポマクのようです。サズ伴奏で歌われる歌は一聴トルコの歌ですが、言葉がスラヴ系というのは何とも不思議な気がします(笑) ペスネというのは、明らかにロシア語のペスニャ(歌)と同系統の語彙。

(Halil Cokyürekli) Pomak gaydasi, Kalenin dibinde bir tas ol

ガイダスィという、バグパイプのような名が付いていますが、ダブルリードの管楽器。これはトルコのポマクの演奏家でしょうか。それともポマクの楽器を使って演奏しているだけなのでしょうか。

krayat na pesenta chast 1

ブルガリアのポマクが出てくる映画、のワンシーンのようです。所謂ブルガリアン・ヴォイスでも知られていたと思いますが、ロドピ地方にはポマクが多いようです。

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2009年3月 7日 (土)

トルコのブルガリア人とブルガリアのトルコ人

10年ほど前にトルコの名門レーベルKalan MuzikからPomakのCDが出ていました。トルコに住むブルガリア語を話す人々、ポマクの民謡などを収めた一枚で、トルコにありながらキリル文字を用いる民族の存在に驚いたものです。しかしポマクとは、バルカン半島全域がオスマン帝国支配下だった頃に、キリスト教からイスラム教に改宗したブルガリア人の子孫のことで、広く知られているのはブルガリアに住むムスリムのポマクのようです。ウィキペディアによると、ポマクの名前はポムチェーン помъчен(拷問された) あるいは ポマガーチ помагач(占領者への協力者)に由来しているとのこと。ポマガーチという単語はロシア語と同じですから聞き覚えがありました。ロシア語なら「ガ」にアクセントが来るので、パマガーチとした方が近そうですが。

トルコのポマクのデータはないかなとざっと探してみましたが、やはりトルコ側は12万人程度の少数派ですから、ブルガリア側の映像がほとんどのようです。今日は取りあえず導入で2本上げておいて、何か興味深いことが分かったらまたアップしようかと思います。

POMAKS AND TURKS IN BULGARIA

ブルガリアのポマクとトルコ人についての映像のようです。歌はトラキア・ポップスでしょうか?

Новото РОБСТВО Chapter 2-Part 1-Turkish Politics in Bulgaria

ブルガリアにおけるトルコ人についてのドキュメンタリー。ポマクではなくトルコ人のようです。ブルガリアのTV映像ですので、言葉はブルガリア語。

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2009年3月 6日 (金)

ギュライをもう少し

数日前のニリュフェール・アクバルの時にhasugeさんから頂いたコメントによると、95年のアルバム『Miro』ではクルド語、ザザ語、アルメニア語、トルコ語の4つの言語の歌を歌っているようです。自身の出自であるザザやクルドだけでなく、系統の異なるアルメニア語まで入っているのには驚きです。東部のマイノリティの心をモダンな装いで表現するユニークな存在と言えそうです。
さて、では先日同時に取り上げた女性歌手ギュライの方はどうなのでしょうか。3本アップしてみましたが、どうもマイノリティ文化の要素はこの人には見えないようにも思います。しかしハルクらしからぬようにも思える洗練美には毎度魅了されます。

İstanbul Ağlıyor Gülay Klip

イスタンブールの美観が沢山の一本。サウンドも町の風景にピッタリの美しさ。

GÜLAY- Beyaz Giyme Toz Olur

Gülay - Unutursun Mihribanim

サズ群中心のバックでハルクを歌っていますが、やはり垢抜けた印象。

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2009年3月 5日 (木)

アタテュルク追悼の歌

昨日は往年の名アシュク、アシュク・ヴェイセル(1894-1973)にふれながら、彼の歌は十分に聞けてないので、今日は彼のビデオに行ってみたいと思います。その中で「アタテュルクの追悼」と題するビデオに激しく反応してしまいました(笑) 現在もトルコ国民から深い敬愛を受けるケマル・アタテュルク(1881-1938)は、近代トルコの国父とまで呼ばれる偉大な人物。一本目の最初の方に出てくるのは、オスマン軍楽のジェッディン・デデン等で、後半がヴェイセルの歌。トルコ共和国建国の父に対する尊敬と追慕の念を聞き取れるように思います。アタテュルクは、前にシャルクの時に触れたように、オスマン古典音楽を深く愛好するという文人政治家的な一面も持っていたようです。オスマン朝の頃からそういうスルタンも多かったとは言え、確かにモノクロの写真からでも見て取れるこの人の風格は、外国人から見ても只事ではないですね。

ATATURK-Asik Veysel den agit

Aşık Veysel - Atatürk'e Ağıt

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2009年3月 4日 (水)

アシュク・ヴェイセルの曲をギターで

トルコ音楽に戻ります。偶然見つけたビデオですが、数日前に名前が出てきた盲目の吟遊詩人アシュク・ヴェイセル(1894-1973)の曲を、ギターで演奏しているもの。トルコの微分音というのは、ビブラートをかける位の音程差(あるいはそれより狭いかも)が多いと思いますので、大体はギターでも行けるかも知れません。(トルコ音楽にはビブラートと言う概念はあるのでしょうか?) この美人ギタリストの演奏を見ていると、サズに似た音を引き出そうと工夫しているのが覗えます。チョーキングのような奏法も取り入れ上手く表現しています。

yagmur siva-kara toprak by asik veysel-turkish folk music

Yagmur Siva plays "Kara Toprak - Black Earth" by Asik Veysel Satiroglu at Fiuggi 2008

Kara Toprak - Aşık Veysel ve Ricardo Moyano

この曲をアレンジしたリカルド・モヤーノ本人による演奏。おー、これは素晴らしいですね。微分音はヤームール・スィヴァの方が上手く処理しているように思いますが。しかし、どういう経緯でスペインのギタリストがトルコのアシュクに出会ったかに興味が沸いてきます。

Asik Veysel
アシュク・ヴェイセルの歌とサズ。トルコの上の3本と同じ、カラ・トプラク(黒い大地)を演奏しているようです。

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2009年3月 2日 (月)

東トルコ ザザ人歌手のクルドの歌

昨日の記事にhasugeさんから貴重なコメントを頂きました。(本当にいつも有難うございます。m(_ _)m) 以下に部分転載し、新たに関連のビデオを上げてみました。
ギュライは1970年にイスタンブルで生まれ、ニリュフェール・アクバルは1967年に東トルコ生まれ。ニリュフェール・アクバルの民族的出自はザザ人で、おまけにアレヴィーだそうです。トルコ語の歌だけでなく、クルド語やザザ語の歌も歌っていて、昨日の2番目のビデオは、Arixという題名のクルド語の歌で、1939年のエルズィンジャン地震で75人の犠牲者を出したこの名前の村を歌ったものらしいとのこと。
今日の一本目は、そのArixのスタジオ録音ヴァージョン。諦念に彩られたような、もの哀しい歌声と言う印象は、間違いではなかったようです。その諦念や哀感が洗練美に結び付いているところが、彼女の歌のユニークな点では。10年ほど前にアルバム(すぐにタイトルが出てきませんがf^^;)を一聴し、忘れられない印象を残したトルコの歌手の一人です。

Nilufer akbalnilüfer akbal Arix

Nilüfer Akbal - yar

こちらは映像からして、荒涼とした印象。例えばベルクス・アッカレは、こういう歌は歌わないでしょうね^^

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2009年3月 1日 (日)

ニリュフェール・アクバルとギュライ

今日は、トルコの民謡をベースにしたハルクを歌う女性歌手を二人。ニリュフェール・アクバルとギュライを2本ずつ。二人はザラより少し上、ハシュハシュよりは少し下の世代位でしょうか。二人に共通するのは、民謡系なのに泥臭さは余り感じられず、しっとりとした洗練美があるところでは、と思います。それがベルクス・アッカレなどとの大きな違いでしょうか。アッカレは洗練と言うよりも、トルコのディープ・ソウルを感じさせます。3人ともターキッシュ・ビューティーなのは同じですが、一方は物憂げな哀感を帯びた歌声、一方は逞しいアナトリアの歌声、と個性がまるで違うように思います。日本でも、物憂げな歌の多い地方と陽気で逞しい歌の多い地方(南の方)など、相当な地域差がありますが、トルコの場合もそういう違いはありなのでしょうか? 

Nilüfer AKBAL 2007

Bin Yılın Türküsü - Nilüfer Akbal (Arıx)

ニリュフェール・アクバルが、サズ弾き語りを聞かせている珍しい一本。

gülay hastane önü incir ağacı

GÜLAY-Sen gelmez oldun-Klip(埋め込み禁止)

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2009年2月28日 (土)

オユン・ハヴァシとチフテテリ

さて、今日はトルコの民族的な踊り、オユン・ハヴァシとチフテテリを見てみます。この二つはベリーダンスのレパートリーにも、もしかしたら入っていたりするのでしょうか。しかし、前者には明らかにアナトリアの民族的な踊りがルーツにありますし、後者についてはウィキペディアに以下のような記述があるように、いわゆるベリーダンス(あるいはオリエンタル・ダンス。 アラビア語ではラクス・シャルキ)とは異なるようです。「トルコのチフェテテリはもっと正確には結婚式の民俗音楽の構成で、結婚式のダンスの陽気なパートで編成されたパートであり、オリエンタルダンスとは結びつかない。」 

ベリーダンスのルーツの一つは、エジプトの上ナイルのガワジー(多くはジプシーの踊り子だったようです)の踊りにありますが、オユン・ハヴァシもチフテテリもガワジーの踊りとは異なる特徴的なステップがあるようです。オユン・ハヴァシは一種の組踊りなのでしょうか。youtubeにはソロの踊りは見当たらないようです。お色気たっぷりの動きに少々はらはらしながらも、面白い動き自体に目が釘付けです(笑)  これらの踊りを見る時、例えば聖書時代のサロメの踊りにまで遡るのではと、想像を逞しくしてみるのも一興でしょう。

オユン・ハヴァシについて、小泉文夫記念資料室には以下のような解説がありました。

解説者: 小泉文夫 注記2: 解説:オユン・ハワスの「オユン」は「踊り」、「ハヴァ」は「空気、旋律」という意味。つまりオユン・ハワスは「民俗舞踊の旋律」という意味である。大中小のサズが組み合わされて演奏されると幅広い豊かな響きになる。

Ankara Oyun Havaları - Benim Adım Elvan Dalton

首都アンカラのオユン・ハヴァシでしょうか。

Belkis Akkale - Chiftetelli
ベルクス・アッカレの歌でチフテテリの群舞。

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2009年2月25日 (水)

アッカレからアッキラズへ

ハルクも色々な方向性の歌手がいるようですが、今日はベルクス・アッカレと、少し下の世代でしょうか、サバハト・アッキラズがデュエットしているクリップに始まり、数年前から話題になっていた先端的な?スーフィー音楽家、メルジャン・デデとの共演など。2001年の仏Long Distanceのアルバムでは、アレヴィー派の歌を取り上げていましたし、スーフィー音楽寄りの活動も目立つようです。(もしかしたら、彼女自身アレヴィーなのでしょうか?) 独自の境地を切り開いた女性歌手サバハト・アッキラズの名唱をどうぞ。

Sabahat Akkiraz & Belkis Akkale -YAR ALI-Düet

前半がアッカレ、中盤はアッキラズ、後半は掛け合いです。

sabahat akkiraz mercan dede kısas

メルジャン・デデとの共演。他にも何本かyoutubeがあります。

sabahat akkiraz ali ali

こちらは最近のライヴ映像でしょうか。

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2009年2月24日 (火)

アシュク・ヴェイセルの曲 他

一曲だけですが、昨日のブログ・タイトルのアルバム「別離の悲しみは歌に聞け」の冒頭の曲が見つかりました。併せてアシュク・ヴェイセル作詞作曲の歌と、現代のハルク・ディーヴァ、ザラとの共演も。

Belkıs Akkale - Nar Ağacı , Kibar Kız , Bu Kala Daşlı Kala

メドレーの2曲目、1分25秒辺りからが上記アルバムの一曲目キバル・クズ。直訳すれば「育ちの良い娘」でしょうか。それが「別離の悲しみは歌に聞け」とどう関係があるのか、知りたいものですが。アルバムではもっとアップテンポの騎馬系リズム?でした。

Belkis Akkale & Izzet Altinmese - Kara Toprak

非常に高名なアシュク(吟遊詩人)、ヴェイセルの詩による歌。デュエットによるヴェイセルへのオマージュですね。Izzet Altinmeseは現代のアシュクなのでしょうか。最初に一瞬出てくるサズを弾く老人がアシュク・ヴェイセル。カランから復刻CDがありました。小型サズ、ジュラの音が聞こえます。This is originally a poem by Asik Veysel, a Turkish poet and musician who died in 1973.

ZARA & BELKIS AKKALE - MEKTEBIN BACALARI
1,2世代下のハルク歌手、ザラとの共演。これは貴重映像かも知れません。

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2009年2月23日 (月)

別離の悲しみは歌に聞け

今日はハルクの名歌手ベルクス・アッカレとアリフ・サーの80年代の映像を追ってみます。細川直子さんの「トルコ 旅と暮らしと音楽と」にも紹介されていたアッカレの92年のアルバム「別離の悲しみは歌に聞け」(アイルルウ・トゥルキュレル・ソル)が最初に聞いたCDで、これでまず強烈なインパクトを受けました。いかにもアシュク風な世界観の表れた素晴らしいタイトルだと思います。収録曲を探してみましたが、今の所見つからず。このアルバムは騎馬民族的なリズムが横溢したエキサイティングな内容でしたが、今日のビデオは、更にトライバルで伝統的な演奏が中心。

Belkis Akkale-Cumbullu(1982)

カラフルな民族衣裳に大編成の伴奏。地方色と迫力溢れるステージです。素晴らしい! 1982年の映像ですが、全く同じに現在でも再現できるのでしょうか。表向きスマートになっている現代の演奏を見ると、少し疑問に思います。淡々と弾いている人々の表情からして、良いなぁと思います。当時は「ふるさとの伝承」が、まだ濃厚なまま保たれていた頃と言えるのでは。

Belkis Akkale-(1982)Daglar seni delik delik delerim.

こちらも地方色豊かな素晴らしい演奏。

Arif Sağ-Belkıs Akkale - Dağlar Seni Delik Delik Delerim

昨日と同じアリフ・サーのサズの伴奏ですが、こちらは1983年の映像のようです。まだ二人とも30代でしょうか。

Arif Sag & Belkis Akkale-Dert Bende(1982)Küstürdüm Barisaman

やはり1982年の演奏。今日のビデオで、アリフ・サーがサウスポーの奏者であることに初めて気付きました。

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2009年2月22日 (日)

ハルクの女王ベルクス・アッカレ

サナートとハルクの歌姫を中心に数日見てきましたが、hasugeさんからの情報で色々分かってきました。(いつも有難うございます。m(_ _)m) ウムット・アクュレクは生年月日は不明ですが、生まれたのはアンカラで、育ったのはサカルヤ。1990年にトルコ国営放送のアマチュア歌唱コンクールで3位受賞。1991年にイスタンブル工科大学付設の国立音楽院に入学、5年間学んだそうです。1996年にはトルコ国営放送に出演する機会を得たとのこと。一方ハルクのアイヌール・ハシュハシュ は、同じ国立音楽院を1990年に卒業しているので、アクュレクの先輩に当たるようです。サナートもハルクも、同じ学校で学ぶのですね。一つ気になるのは年齢ですが・・・(笑)。それは上記の年代を逆算してみて下さい^^

今日はハルクの先輩女性歌手、ベルクス・アッカレのクリップを見てみます。アルトの声(たまの「ロシアのパン」を思い出す言葉ですが^^)の迫力と優しさに、たまらない魅力がありました。

Arif Sağ , Belkıs Akkale - Seher Yıldızı

名アシュク、アリフ・サー(キングレコードの「黒海吟遊」に彼の歌が収録されていました。現在のWRMLでは「トルコの民謡」)とのデュエット。リリースは96年頃だったと思いますが、名作「セヘル・ユルドゥズ」のタイトル曲。哀愁味溢れる良い歌です。メイの柔らかい音色が印象的。

Belkıs AKKALE - Seher Yıldızı

同曲のライヴ映像ですが、2007年収録のようです。

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2009年2月21日 (土)

アクュレクinファスル・コロス

現代サナート屈指の歌姫と思しきウムット・アクュレクが、オスマン古典合唱組曲ファスルの合唱(コロス)に加わっているビデオが見つかりました。本来はこういう合唱団のプリマ歌手なのか、独唱者として鍛錬を積んだ歌手が合唱にも参加しているのか、どちらなのでしょうか。メンバーを見ていると、楽譜(歌詞のみ?)を持っている人、持っているけど見てない人、完全に暗記して歌っている人のどれかに分かれるようです。しかし、アクュレクなど、優れた独唱者は、こんな複雑な節回しの歌を一体何曲暗記しているんだろう思うほど。

TÜRK MÜZİĞİ KOROSU £££ Gidelim Göksu'ya Bir Âlem-i Âb Eyleyelim

2+2+2+3の9拍子(アクサク)が特徴的なキュルディヒジャズカル旋法のシャルク。4拍目が少し長く聞き取れると思います。アクュレクの左にいるのは、前に取り上げた女性歌手メルテム・ヤマクのようです。

TÜRK MÜZİĞİ KOROSU £££ Karcığar Faslı

女性陣の右端にいるのがアクュレクのようです。ハジュ・アリフ・ベイの曲などを歌っています。彼女のような若手の層も厚いようで、そのレベルの高さには驚かされます。

彼女の音源について先日の記事で情報を募ったところ、hasugeさんから2枚の音源情報、ふぁどさんからはダウンロード・サイト情報を頂きました。どうも有難うございます。m(_ _)m
hasugeさんからの情報は先日の記事のコメント欄をご覧下さい。(何とか入れたいと考えています) 以下はダウンロード情報です。少なくともCD1枚とはダブっているようです。
★O Dudaklar Bülbülleşiyor
http://rapidshare.com/files/51208126/Umut_Akyurek_-

_O_Dudaklar_Bulbullesiyor_2003.rar.html

★Tıbbiyeli Bestekarlar
http://rapidshare.com/files/38411346/T__305_bbiyeli_Bestekarlar.rar.html

★(タイトルわからず)
http://rapidshare.com/files/163381340/TSM-10.rar

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2009年2月20日 (金)

アクュレクsingsハルク

数日前にサナート~シャルクの名唱を見た女性歌手ウムット・アクュレクですが、何とハルクらしき曲を歌っているビデオがありました。オスマン古典音楽の流れを汲むサナートの歌手が、民謡を基にしたハルクを歌うのは異例のように思いますが、いかがでしょうか。私の知る限りでは、他に記憶がありません。しかしハルクを歌っても、歌姫の歌声は何と安らかで美しいことでしょうか。

(Umut Akyürek) Yüksek minarede kandiller yanar

最初に出てくるのはフレットレス・ギターに見えます。トルコの1/9音の微分音の微妙な味わいを表現するにはフレットは邪魔なはずですから。

(Umut Akyürek) Keklik

最初に出てくる柔らかい音色のダブルリード管楽器は、メイまたはドゥドゥクのどちらでしょうか。ハルクの場合、普通ならメイですが、この瞑想的な音色はドゥドゥクのようにも聞こえます。

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2009年2月19日 (木)

クルドの影響?

アイヌール・ハシュハシュのビデオの中から、ハルクとしては特異にも思える一曲が見つかりましたので、それをアップしてみました。日本でも民謡と江戸音曲では音階が異なるように、トルコでもハルクとサナートでは異なるようです。日本の場合、多くは同じ三味線を使うのに対し(棹の太さは別にして)、トルコの場合は楽器も異なります。ハルクでは主にサズの伴奏で歌われますが、このサズと言う楽器、クルドの時に見たタンブールと同系列。
今日の一本目の楽曲詳細は不明ですが、狭い音域と特徴のある音階、タンブールの奏法に似た右手のストロークなど、どうもクルドの音楽に似て聞こえ(見え)ますが、これは東トルコの伝承曲なのでしょうか。タンブールのラスゲアード(フラメンコ・ギター特有の奏法)の逆回しのような掻き鳴らし奏法の例として、アリ・アクバル・モラディのビデオを併せて載せておきます。

(Aynur Haşhaş) Sarı sazım

どこかクルド的に聞こえる一曲。資料として解説にあった歌詞をアップしておきます。
Ben sensiz duramam sana muhtacım
Hele bir yanıma gel sarı sazım
Şu dertli gönlüme sevgi ilacım
Hastayım dermanım ol sarı sazım

Dalgalı bedenin kibar bellerin
Nazik perdelerin ince tellerin
Göğsüne değdikçe kaba ellerim
Hazin hazin sesin sal sarı sazım

Senin ile sohbetimiz başlasın
Parmaklar çalışsın mızrap işlesin
Deli gönlüm hayallesin düşlesin
Dilediğin neyse çal sarı sazım

Sazım sen inlersen Fedai coşar
Bu iniltin bütün yaramı deşer
İnsan doğar amma bir müddet yaşar
O gün baş ucumda kal sarı sazım

AYNUR HAŞHAŞ - AŞIK OLDUM

こちらはオーソドックスなハルクの一例として。

Aliakbar Moradi

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2009年2月18日 (水)

ハルク歌手アイヌール・ハシュハシュ

しばらくオスマン古典音楽系の歌が続きましたので、中央アジアの音楽との繋がりを強く感じさせるハルク(民謡)の方にも行ってみたいと思います。アラブ~ペルシアの影響の強い前者に対して、後者は純テュルク的。今日取り上げましたのは、古典のウムット・アクュレクに対抗して、こちらも美人ハルク歌手のアイヌール・ハシュハシュ。その可憐なルックスとは裏腹にも思えるハルク歌手らしいハスキーな声で、エネルギッシュに歌っています。音階、サズ中心の楽器編成などは、従来のアシュク(吟遊詩人)のサズ弾き語りなどのままですが、彼女の場合それほど新しいテクノロジーを取り入れていないのに、清新なフレーバーを添えることに成功していると思います。先輩ハルク歌手のベルクス・アッカレが好きな人にはお薦めしておきましょう。

古典とハルク、皆さんはどちらがお好きでしょうか?^^

Aynur Haşhaş Dilim 2008 YeniAlbüm Gülistan www.mc-zaza.de.vu

2008年の新作「ギュリスタン」から。ゴレスタンのトルコ語読みアルバムタイトルも良いですね。決まってます。Aynur Haşhaş Dilim 2008 YeniAlbüm Gülistan www.mc-zaza.de.vu

Aynur Hashas-icmisim sarhosum bugün

同じくギュリスタンから。パンチの効いたハスキーで艶っぽい歌声は実に魅力的ですが、この歌は5拍子のようです。トルコ版テイクファイヴとでも言えそうな、いつまでも聞いていたくなるような、心地良いスイング感が生まれています。5拍子という座りの悪い拍子なのに不思議です。

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2009年2月17日 (火)

今日もウムット・アクユレク

アクユレクかアクュレクか、適切な表記がこれまた難しいですが、美しきターキッシュ・ディーヴァの映像をもう少し追ってみます。この人のビデオはもの凄く多いのですが、何故か日本で紹介されているサイトが見当たりません。この類稀な歌唱力と美貌で知られていないというのは、CDなどが余り見当たらないからでしょうか。ディスク情報をご存知の方、お知らせ頂けましたら嬉しい限りです。m(_ _)m

Umut AKYÜREK-Endülüs'te Raks - 2
スパニッシュ風味が特徴的なミュニール・ヌーレッティン・セルチュク作曲のキュルディヒジャズカルの曲。タイトルにラクスとあるので、明らかに踊りをイメージした曲でしょう。ネスリン・スィパヒ初め、色々な歌手が歌っていました。

UMUT AKYÜREK -- Kirpiklerinin Gölgesi Güllerle Bezenmiş

オスマン朝末期から活躍した大歌手で作曲家のサーデッティン・カイナク作曲の作品。ニハーヴェント特有の哀愁味の中にもオリエンタル・リズムが躍動しています。She shouldn't smile ALL the time. Would B more dramatic if used different expressions. というコメントがありました。言い得て妙のように思います^^

Umut Akyürek - Gökhan Sezen - Bülent Ersoy- Zeki Çetin FASIL

左からウムット・アクユレク、ゲクハン・セゼン、ビュレント・エルソイ、ゼキ・チェティン。4人の歌手がファスル(Hüzzam Meydanがマカーム名か?)を歌っています。ビュレント・エルソイが一番知られていると思いますが、この人は元々男性歌手でした。性転換したそうです。ドラマティックに歌い上げられる中に、アクユレクの歌声は一服の叙情味を添えているように思います。

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2009年2月16日 (月)

トルコのディーヴァ

今日は女性歌手、 Umut  Akyürek(ウムット・アクュレク)を4本アップしてみました。実は先日youtubeで偶然見つけましたが、美声・巧みなコブシ・美貌と3拍子揃った歌手で、すっかり魅了されてしまいました。日本ではほとんど知られていないと思いますが、トルコのディーヴァと言ってしまっていいのではと思いますが、いかがでしょうか。私の知る限り、対抗できる歌手が思いつきません。ジャンルはサナートから古典的なシャルクまで、色々なタイプを歌っています。ハイトーンの輝かしさ、艶かしい節回し、立ち姿の美しさと、美点ばかり。

Umut AKYÜREK-Sensiz Her Gecenin Sabahı Olmayacak Sanırım
これが最初に見た一本。これでノックアウトされました(笑) ムザッフェル・イルカル(Muzaffer İlkar)作曲のニハーヴェントの曲で、楽曲タイプとしてはシャルクになるのかサナートになるのか微妙なラインかも。

UMUT AKYÜREK -- Sensiz Her Gecenin Sabahı Olmayacak Sanırım

同じ映像だと思いますが、こちらはカラーで、埋め込み可でした。この哀婉な歌声、絶対日本でも(特に中高年?)受けると思いますが・・。

UMUT AKYÜREK -- Hasta Kalbimde Açılmış Kanayan Bir Yarasın

ビーメン・シェン作曲のガゼルのようです。変拍子のアクサク・リズムにヒュッザム旋法。合唱に続いて出てくるアクュレクの独唱は、アラブのマウワルのようにフリーリズム的な歌を非常に高い音域で歌っています。素晴らしい歌唱テクニック。

UMUT AKYÜREK /// Dönülmez Akşamın Ufkundayız Vakit Çok Geç

ワイドショーのような番組でリクエストされて歌っている映像でしょうか。だからベストコンディションではないようですが。ミュニール・ヌーレッティン・セルチュク作曲のセガーの曲。

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2009年2月15日 (日)

ヒジャーズも+Ottoman Music

高齢の大ヴェテラン歌手兼作曲家のヤワシュチャのビデオ、まだまだありまして、昨日はニハーヴェント2曲で少々演歌的だったかも知れませんので、今日はエキゾチックなヒジャーズを。演奏は前半だけですが。後半ではヤワシュチャのバースデーケーキが登場^^

今日は併せて、秀逸なオスマン古典音楽サイトOttoman Musicをご紹介しておきます。音源アップはこれからのようですが、各作曲家、マカーム(旋法)、楽曲形式(Forms)、リズム周期(Usul)別に曲が出ていて、その大半の楽譜がアップされています。これまで当ブログで取り上げた曲もかなり手に入ります。私もメスード・ジェミルのニハーヴェントのサズ・セマーイを先日見つけて、思わず大喜びしました。もちろんアラーエッディン・ヤワシュチャ作品もあります。皆さんもギターやヴァイオリン、チェロなどで弾いてみられてはいかがでしょうか。オスマンの素晴らしい音楽が、ぐっと身近になると思います。

Ottoman Music http://www.adamgood.com/turkish_nota/map.php

£££ ALÂEDDİN YAVAŞÇA £££ 1. Bölüm

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2009年2月14日 (土)

アラーエッディン・ヤワシュチャ 

キャー二・カラジャを見ていたら、カラジャより4つ年長の名歌手アラーエッディン・ヤワシュチャのビデオが見つかりましたので、2本アップしておきます。メロディもポピュラーなニハーヴェント旋法。優しく品のある素晴らしい歌声です。キャー二・カラジャとは曲の提供者と歌い手の関係でしょうか。カラジャのインタビューの中にもヤワシュチャの名が上がっていました。もう80を越す高齢ですが、まだステージに立っているのでしょうか。トルコのソニーから古典音楽作曲家シリーズで往時の音源がありました。

■トルコ古典音楽作曲家シリーズ ~アラーエッディン・ヤワシュチャ
*現在のトルコ古典音楽界最高の作曲家と言われる人で、まだ健在。歌曲中心。土Sony

£££ ALÂEDDİN YAVAŞÇA £££ 3. Bölüm

ALÂEDDİN YAVAŞÇA & İNCİ ÇAYIRLI £££ Ne Bildim Kıymetin

インジ・チャユルルとのデュエット。

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2009年2月13日 (金)

キャー二・カラジャの歌うオスマン音楽

トルコの人間国宝クラスの歌手、故・キャー二・カラジャのオスマン古典ものを歌っているビデオに行ってみます。共演者にはジヌチェン・タンルコルルのような往年の巨匠も登場します。昨日の宗教歌の緊張感溢れる独唱とは一転して、伸びやかな美しさを感じます。2,3本目(埋め込み禁止でした)では、ウードのジヌチェン・タンルコルル率いる楽団の合唱の中に参加しています。5本ほどある中から、ヒュッザムとフェラーナークの歌を選んでみました。両方ジヌチェン作曲のスーフィー宗教歌のようです。

kani karaca-olmaz ilaç sine-i sadpareme

"olmaz ilaç sine-i sadpareme" というドラマか映画の主題歌のようです。この映像なので、エンディング部分でしょうか。

6) HÜZZAM ilahi 2/3 -Nedendir? -Why? (C Tanrıkorur)
HÜZZAM İLAHİ - NEDENDİR?
Lyrics/Güfte:AZİZ MAHMUD HÜDÂYÎ Hz.
Composer/Bestekâr: CİNUÇEN TANRIKORUR
Opus/Beste no. 245 (Washington DC 11.05.1990)
Beat/Usûl: Duyek
Speaker/sunucu: Yusuf Ziya Özkan

Performed by the TANRIKORUR ENSEMBLE Singers: Hafızes Kani Karaca and Ali İnan, Bahri Güngördü, Enes Ergür, Nusret Yilmaz, Alper Ayorak, Ender Doğan and Başar Dikici
Instrumentalists: C.Tanrıkorur (Oud), Yavuz Akalın and Murat Tokaç (Ney), Aydın Oran (Sinekeman), Fikret Karakaya (Kemençe), Özer Arkun (Cello), Devrim Ekiz (Kanun), Vahid Anadolu (Bendir)

This Sufi Hymn in the maqam Huzzam by the Turkish composer Cinuçen Tanrıkorur (1938-2000) set to a poem of the great Sufi saint Hz. Aziz Mahmud Hüdâyi (1543-1628) was performed here by the Tanrikorur Ensemble at a concert of Sufi Music in Istanbul in 1997.

FERAHNÂK_Dahilek Ya Resulallah+ Bahar Oldu (C Tanrıkorur
FERAHNÂK SUFI HYMNS (İlahiler)
"DAHÎLEK YÂ RESÛLALLAH"
"BAHAR OLDU"
Speaker/sunucu: Yusuf Ziya Özkan

Performed by the TANRIKORUR ENSEMBLE Singers: Hafızes Kani Karaca and Ali İnan, Bahri Gungördü, Enes Ergür, Nusret Yılmaz, Alper Ayorak, Ender Doğan and Başar Dikici
Instrumentalists: C.Tanrikorur (Oud), Yavuz Akalın and Murat Tokaç (Ney), Aydın Oran (Sinekeman), Fikret Karakaya (Kemençe), Özer Arkun (Cello), Devrim Ekiz (Kanun), Vahid Anadolu (Bendir)

Two Sufi Hymns in the maqam Ferahnâk by the Turkish composer Cinuçen Tanrıkorur (1938-2000) set to the poems of Yaman Dede and the great Sufi saint Hz. Aziz Mahmud Hudayi (1543-1628) were performed here by the Tanrikorur Ensemble at a concert of Sufi Music in Istanbul in 1997.

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2009年2月12日 (木)

ハーフズ・キャー二・カラジャ

トルコのイスラーム宗教歌の方に回ってきました。昨日キャー二・カラジャの名前が出ましたので、取り上げない訳にはいきません。2001年に来日し、<東京の夏>音楽祭に出演。2004年に亡くなっていますので、この盲目の大歌手の演奏を体験する最初で最後のチャンスでした。壮麗な東京ジャーミー・モスクで行われた公演には、私もかけつけました。仏Ocoraの音源で聞いていたようなアザーンやコーラン朗唱(トルコのマカームに乗せて朗唱されるところがアラブの場合と違ってユニーク)、これまで当ブログで取り上げたようなオスマン古典音楽、メヴレヴィー音楽、以上の3つが組み合わされたプログラムだったと思います。オスマン音楽を今に伝える伝説の歌手の歌声が壮麗なモスクの中に響き渡り、しばし東京の喧騒を忘れてオスマンの豊麗な音楽に身を浸すことが出来ました。合奏の素晴らしさも特筆ものだったと記憶しています。

Tanrıkorur NAAT-I PEYGAMBERİ_Kani Karaca
ジヌチェン・タンルコルル作曲のナアトを歌っています。97年トルコでの映像。ナアトはカッワーリなら預言者ムハンマド賛歌ですが、トルコの場合はメヴレヴィーの賛歌の一種のようです。

Kani Karaca - Mevlüd: Merhaba Bahri - Kuran ı Kerim

若い頃の映像もyoutubeには何本かあります。こちらは1972年のMevlüdの独唱。

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2009年2月11日 (水)

エルグネルplaysスーフィー音楽

今日はクドゥシ・エルグネルの演奏するメヴレヴィー音楽のクリップを見てみます。意外に少なく今日の3本くらいのようです。

KUDSİ ERGUNER & SÜLEYMAN ERGUNER - ZİKR

クドゥシ&スュレイマン・エルグネル兄弟のネイ・デュオによるジクル。メヴレヴィー音楽の幽玄美もさることながら、メヴレヴィーのモスクと思われる建築の映像が、息を呑むような素晴らしさ。モスクはイスタンブルとコンヤの両方でしょうか。音源はベルリンでの録音の"Sufi Music of Turkey" (1990) とあります。おそらくCMP盤だろうと思いますが、残念ながらレーベル自体無くなったようです。

Kudsi Erguner ney flute sufi music subtitulado español

スペインのドキュメンタリー番組でしょうか。英語の語りにスペイン語の字幕が付いていますが、エルグネルが流暢な英語で明快に語ってくれています。ネイの材料である葦の自生した野外での映像に始まり、メヴレヴィー教団の旋回舞踏、後半はスーフィーのジクルでしょうか。これが特に興味深いです。

Kudsi Erguner - Halil Necipoğlu

エルグネルとハリル・ネジポウルとのデュエット。これもメヴレヴィーの音楽になるのかどうか不明ですが、イスラム宗教歌の一種でしょう。東京の夏音楽祭で来日した故Kani Karaca(キャー二・カラジャ)のように、ムアッジン(コーラン朗唱者)兼オスマン古典歌手かも知れません。

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2009年2月10日 (火)

K.エルグネルとベジャール、ベンゴ

Kudsi Ergunerを表記するなら、クドゥシ・エルギュネルでしょうね、と昨日の記事にご回答頂きました。(お名前は分からずですが、有難うございました。m(_ _)m) クドゥシと綴るのには既に慣れていましたが、エルギュネルは少し表記的に抵抗がありますので、取りあえずエルグネルとしておきます(^^;
クドゥシ・エルグネルのビデオですが、上位にランクしている中には、スーフィー音楽(メヴレヴィー音楽)やオスマン音楽に混じって、というかそれ以上に、これまでの色々ユニークな活動の一端がアップされています。今日はその中から、ベジャールのバレエと映画「ベンゴ」のワンシーン。

Maurice Bejart :"Rumi"- musique Kudsi Erguner

ベルギーの誇る20世紀バレエ団を主宰していた故モーリス・ベジャールの舞台「ルーミー」から。音楽はクドゥシ・エルグネル。トルコのメヴレヴィー教団の開祖にしてペルシア古典詩の大詩人でもある、ジャラール・ッディン・ルーミー(モウラーナ)をテーマにしています。ベジャールのバレエは、80年代前半のエロス・タナトスの頃などはよくチェックしていましたが、この作品は知りませんでした。同じくベジャールのサアディの詩をテーマにした「ゴレスターン」には、引退したイランの名歌手セイイェド・ラザヴィ・サルヴェスターニ(78年にパリサーと共に来日した男性歌手)も出てました。クルディスタンのオスタッド・エラーヒを絶賛するなど、ベジャールには中東音楽通の側面がありました。

Kudsi Erguner - Vengo

トニ・ガトリフ監督の「ベンゴ」は、01年頃の封切り直後に見て、DVDも持ってるのに、エルグネルが出ていることに気が付いてなかったです(^^;  そうか、あのシーンのネイ奏者はエルグネルだったかと思い出した次第。この映画は、フラメンコの舞台であるアンダルシアの地で、地中海周辺のスーフィー音楽などもクロスする刺激的な映像と音楽に魅了された情熱的な作品でした。侘び寂びを感じる女性の主題歌も最高でした。(以下DVDの解説)流浪と迫害の歴史を背負うロマ民族(ジプシー)。その苦しみの中から生まれた灼熱の情念が、アンダルシアの大地で交錯する。トマティート、ラ・パケーラ・デ・ヘレスなど超一流ミュージシャンたちによるライブ演奏と舞踏に彩られた男たちの復讐のドラマを、世界最高のフラメンコダンサー、アントニオ・カナーレスが熱演。

Vengo Flamenco soufi

エルグネルは出てませんが、同じくベンゴから、エジプトのスーフィー歌手Sheikh Ahmed El Tuniの出てくるシーン。彼が冒頭で旋回舞踏するシーンには度肝を抜かれました。フラメンコ・ギターは名手トマティート。

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2009年2月 9日 (月)

クツィ・エルグネル

オスマン声楽関係が続きましたので、ここら辺で器楽物を入れてみます。メヴレヴィー音楽の中心的な楽器である葦笛、ネイの現代最高の名手Kudsi Ergunerです。これまでにもオスマン器楽アンサンブルや、シャルクの伴奏等で何度も名前が出てました。彼は80年代のパリを中心としたワールドミュージック・ブームの牽引役を果たした人と言っていいでしょう。カッワーリの大歌手、故ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンの来日も、彼がいなければなかったのでは。父のウルヴィ・エルグネル(Ulvi Erguner)も、オスマン音楽の巨匠で、仏Al Surには名演(若き日のKudsiも参加)が残されています。息子は、オーソドックスなオスマン音楽家だった父よりも、色々な切り口のラディカルな音楽活動を展開してきたスーパースターだと思います。オーソドックスなメヴレヴィー音楽の枠に収まらないユニークな作品を色々なレーベルから連発しました。いずれも最近入手困難になっているのが残念ですが。この人の名前ですが、昔はクツィ・エルグネルと書かれたものですが、クドゥシ・エルグネルという表記が最近(ここ15年くらい?)では多いかも知れません。実際の発音はどちらが近いのでしょうか? 

erguner topluluğu - severim ben seni

ドキュメンタリー的内容の一本。弟のスュレイマンとの二重奏や、彼が関わった音源のジャケットなども出てきます。

Segah Taksim - Kudsi Ergüner

前に一度アップしたと思いますが、ピーター・ブルックの映画「注目すべき人々との出会い」の有名な一こま。これは彼の最も古い映像だと思います。エルグネル以上のネイ名手、アカ・ギュンデュズ・クトバイも出てきます。
以下DVDの解説(現在入手困難ですが)
キース・ジャレット、ボブ・ディラン、ケイト・ブッシュ、ロバート・フリップなどにも影響を与えた、20世紀ロシア(現在はアルメニア)の神秘思想家グルジェフの伝記映画。監督はピーター・ブルック。前半の一種の「歌合戦」のシーンでは、優勝するホーミー歌手のほか、セタール弾き語り、ヤイリ・タンブール(立てて弓奏するタンブール)演奏、トルコのネイはK.エルグネル(若い!)と、若くして亡くなった名手アカ・ギュンデュズ・クトバイも登場。中東音楽ファンも必見でしょう。(イディッシュ・ソングの名歌手ベン・ズィメットが歌っているのはアルメニアの歌に聞こえるが?)エンディング間近、「覚醒への旅」の果てにグルジェフが到達した、サルムングの僧院で繰り広げられるトンバク伴奏の神聖舞踏のシーンは、とても強烈な印象を残します。映画全編のベースに流れるのは、グルジェフの愛弟子のデ・ハルトマンの音楽。

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2009年2月 8日 (日)

メルテム・ヤマク・セイフェリオウルの古典歌唱

アリ・ルザ・ベイの「ユルドゥズラルン・アルトゥンダ」を調べている時にyoutubeで初めて見た歌手ですが、メルテム・ヤマクという女性歌手、古典的なシャルクから、昨日のような大衆的なサナート・スタイルまでこなす人のようです。全くクセのない上品な歌い方と美しい声なので、返ってインパクトは少ないかも知れませんが、巧みな節回しはオスマン古典歌唱を正統に継承しているように思います。優雅で芳醇なオスマンの古典シャルクを聞かせる美人歌手と言っていいのでは。彼女のシャルクのビデオは数え切れないほどありますが、その中から数本選んでみました。

Meltem Yamak / Ömrüm seni sevmekle nihayet bulacaktir

微妙な旋律が魅力のヒュッザム旋法のシャルクで、作曲はイェサリ・アスム・アルソイ。

Meltem Yamak / Ay öperken suların göğsünü, sahilde yıkan

これもヒュッザムのシャルクでした。作曲はシュクリュ・トゥナル。古典音楽らしからぬステージ衣裳のようにも思いますが^^

MELTEM SEYFELİOĞLU £££ Dün Gece Mehtaba Dalıp Hep Seni Andım

これもヒュッザムですが、合唱をバックにリズミカルな伴奏で歌っています。高い音の辺りはメヴレヴィー的にも聞こえるように思います。作曲はセマハト・オズデンセスという人。

MELTEM YAMAK SEYFELİOĞLU £££ Ne Doğan Güne Hükmüm Geçer

ミュニール・ヌーレッティン・セルチュク作曲のマーフール旋法のシャルク。マーフールらしい晴れやかなムードの曲。

Meltem Yamak / Hastayım yaşıyorum görünmez hayâliyle

往年のウード奏者、ウーディ・フラント(Traditional Crossroadsから復刻盤が3枚ありました)作曲のヒジャーズ旋法のシャルク。

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2009年2月 7日 (土)

更にユルドゥズラルン・アルトゥンダ

昨日アップしたユルドゥズラルン・アルトゥンダ、相当に知られている曲のようで、トルコの名歌手達のクリップが次々見つかりました。今日はその内いくつかアップしてみます。今回新たに知った素晴らしい歌手もいました。この歌はサナートになるのか、それともアラベスク寄りになるのかどちらなのでしょうか。hasugeさんからの情報によると、この歌はダンス音楽の定番の1つだそうです。アリ・ルザ・ベイはジェッディン・デデンの作曲者ではなかったけど、忘れられない名曲を残した人でした。
昨日の2曲目の黒海訛りの歌についてもコメント頂きまして(いつも有難うございます。m(_ _)m)、ふぁどさんのおっしゃるように、この歌は『Karadeniz』の中にあったそうです。黒海沿岸のトラブゾンの歌とのことでした。この件で更にクリッタさんからもコメント頂きました。黒海のグルジア国境から少し西のRizeからTrabzonにかけては、明らかに言葉が違い、住民はラズ人で、ラズ語(トルコ系ではなくグルジア語などに近いコーカサス諸語になるようです)をしゃべるようです。フランスあたりのケバブ屋のほとんどはラズの人たちが出稼ぎでやっているそうです。東京でもドネル・ケバブ屋をよく見かけますが、日本の場合はどうなのでしょうか?(笑) クリッタさんからトラブゾン辺りのホロンのビデオ(http://www.youtube.com/watch?v=bzilWKxV_6Y)もご紹介頂きました。この地の細長いケメンチェの演奏は前にもアップしたことがありましたが、このオジサン、持ち上げた状態でも平然と弾いているし、太鼓がなければ足踏みでやってしまうという・・。強靭な芸人魂を感じます(笑)(クリッタさん、いつも有難うございます。m(_ _)m)

ŞÜKRİYE TUTKUN ££ Benim Gönlüm Sarhoştur Yıldızların Altında

シュクリイェ・トゥトゥクンはかなり名の通った女性歌手で、大分前に音源が入ったこともありました。品のある歌声とオリエンタル・リズムのアレンジが良いですね。

MELTEM YAMAK SEYFELİOĞLU & KENAN POLAT £ Yıldızların Altında

女性歌手メルテム・ヤマク・セイフェリオウルと男性歌手ケナン・ポラトのデュエット。こうして聞くと何となく銀恋のようでもありますが、メルテム・ヤマクは古典歌手としても素晴らしい人。少し線の細い歌声ですが。

Zeki MÜREN - YILDIZLARIN ALTINDA - TAŞ PLAK

女装の名歌手として広く知られていたゼキ・ミュレン(1931-96)の歌唱。サナートの大歌手でした。

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2009年2月 6日 (金)

アリ・ルザ・ベイの名曲と黒海訛りの歌

おそらく日本一有名なトルコの曲、ジェッディン・デデンの作曲者問題についてhasugeさんから追加コメント頂きました。(いつも有難うございます。m(_ _)m) 昨日の記事にコメントで入っていますが、かいつまんで転載しておきます。

トルコのインターネット限定で、Ceddin deden と Kaptanzade Ali Rıza bey で検索しても何もヒットしませんでした。日本では作曲者をアリ・ルザ・ベイとしているものがありますが、これは小泉先生たちの解説を鵜呑みにしたためで しょう。(以下略)

SEÇİL AK £££ Benim Gönlüm Sarhoştur Yıldızların Altında

hasugeさんからのアリ・ルザ・ベイ作品のお薦めの一曲。1月28日にアップしましたシャルク、Kimseye Etmem Şikâyetで出てきた女性歌手セチル・アクの歌唱です。ニハーヴェントらしい、しっとりとした哀感溢れる良い曲ですねぇ。曲の雰囲気とピアノが入る辺りなど、ライやシャアビのようなアルジェリア歌謡の音色にもちょっと似ています。

ふぁどさんからもメッセージ頂きましたので、併せてご紹介。楽しいコメント、いつも有難うございます。^∀^  私も訛りが分かるくらい聞き取れるようになりたいものです。f^^; 

Şevval Samを「黒海出身では?」と言ったのは、例の映画の挿入歌が思いっきり黒海訛り(トルコ語の特徴である母音調和がグダグダになるw)の歌だからでした。もしかしたらこの歌はその「Karadeniz(黒海)」なるアルバムに収録されてるのかもしれないですが。
ちょうど今見てみたら、彼女とキャーズム君がその曲をやってるビデオがありました。ドラマかなにかのワンシーンでしょうか、黒海訛りでしゃべってるのがギザカワユス!(^^; 

Sevval Sam Kazım Koyuncu

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2009年2月 5日 (木)

フェラフェザのペシュレヴとソン・ペシュレヴ

前にウード・ソロしか見当たらなかったイスマイル・ハック・ベイのフェラフェザのペシュレヴですが、最近新しいビデオがアップされていました。今日の一本目です。Unesco盤のKudsi Ergunerのネイ吹奏ほどスピリチュアルさはありませんが、なかなか端正な演奏です。編成はネイ、ウード、カーヌーンなどの古典合奏版で、ペシュレヴ(器楽合奏による前奏曲のような楽曲)ですからこちらの方が一般的なスタイルだと思います。

先日アップしましたオスマン軍楽曲で一番有名なジェッディン・デデンの作曲者ですが、どうやらキング盤に書かれていたアリ・ルザ・ベイの作曲というのは間違いではないかということでした。(4日にhasugeさんからコメント頂きました。いつも有難うございます。m(_ _)m ) ということは、やはりイスマイル・ハック・ベイの作曲ということになるようです。日本人の琴線にも触れる、短調系の素晴らしいメロディを何曲も残した人だということが証明されたように思います。Q.E.D. ^^ (一度使ってみたかったスピノザ用語)

また数日前にアップしたシャルクFikrimin İnce Gülü Kalbimin Şen Bülbülüですが、同じくhasugeさんからコメント頂きまして、「記憶の中のほっそりしたバラ、心の中の陽気なナイチンゲール」といった感じでは、とのことでした。かつて恋人だった女性を意味しているようです。歌っていたシェッヴァル・サムは、女優として有名な人で、1973年イスタンブル生まれ。黒海地方の出身かも、というふぁどさんの推測は、2008年に出た2番目のアルバム『Karadeniz(黒海)』に関係があるのでは、とのコメントでした。(ふぁどさん、いかがでしょうか?)

Ferahfeza Pesrev

映像はありませんが、唯一最初に蜂が出てきます。これは一体何なのでしょうか?(笑)

Ferahfeza Son Pesrev

同じフェラフェザ旋法なのもあってハック・ベイの上記ペシュレヴに似て聞こえますが、ゼキ・メフメト・アアという別の作曲家のソン・ペシュレヴです。ネイでこのソン・ペシュレヴを練習中のようですが、リズムが譜面とかなり違って(ずれて?)いますから、多分プロの演奏家ではないのでは。この曲も耳に残る良い曲です。日本のアラブ音楽アンサンブル、ル・クラブ・バシュラフもよく演奏されていて、04年頃でしたかライヴで聞いたことがありました。

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2009年2月 4日 (水)

ドニゼッティ・パシャ、イスマイル・ハック・ベイ

イスマイル・ハック・ベイについて、ジェム・ベハール著/新井政美訳「トルコ音楽にみる伝統と近代」(東海大学出版会)には以下のように書かれていました。
「イスタンブルに生まれ、13歳で美声を買われて宮廷の音楽学校へ入り、トルコ古典音楽と西洋の楽譜とを併せて学ぶ。一時期グアテッリにも学んだ。1908年の青年トルコ革命以後、オスマン音楽学校を作り、そこで多くの弟子を育成した。声楽学校が設立されると、トルコ音楽部門の責任者となり、演奏の長も兼任した。」
イタリア・オペラの作曲家として有名なガエタノ・ドニゼッティの兄であるイタリア人音楽家、ドニゼッティ・パシャ(1788-1856 パシャというトルコ風な名前になっています)がオスマン帝国に西洋音楽を本格的に導入して以来、西洋の記譜法がトルコ式に改良され広まったようです。9分の1音の微分音を表記するために、フラットが180度反対向いたりシャープの線が増えたり減ったり、最初は面食らいますが、曲と併せて見ている内に、実に合理的にできているなぁと感心します。上記のようにイスマイル・ハック・ベイ(1866-1927)の頃には、最初から西洋式のメソッドが取り入れられていたようですね。その事実を知ってしまうと、ドニゼッティ以前の、完全に口伝されていた頃はどんなだったのか、知りたくなったりもしますが、録音などは全くない頃ですから、諦めざるを得ないですね。しかし、ハック・ベイにおいても、勿論古くからのトルコ音楽の微妙な味わいのほとんど(全て?)は、失われずに保たれているはずだと信じています。
さて今日はタイムオーバーになりましたので、未アップのイスマイル・ハック・ベイのペシュレヴを一本上げておきます。前にフェラフェザのペシュレヴを弾いていた人です。非トルコ人かも知れませんが、中々のテクニックの持ち主です。

Hisar Buselik Pesrev

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2009年2月 3日 (火)

露土戦争は遠くなりにけり?

長年気になっていたオスマン音楽の作曲家をキーワードに数日続けていますが、同じくイスマイル・ハック・ベイで、ビックリするビデオがありました。キングレコードの「オスマンの響き」は、民族音楽のレコード&CDで一番売れていたそうです。データ的には既に古い話になっているかも知れませんが。70年代にTV放映された向田邦子原作の「阿修羅のごとく」に使われたことで一躍有名になった訳ですが、その曲、ジェッディン・デデンがイスマイル・ハック・ベイの作曲となっているビデオが今日の一本目。一方「オスマンの響き」の小泉文夫/小柴はるみ両氏の解説によると、アリ・ルザ・ベイ(1881-1934)の作曲となっています。どちらが正しいのでしょうか。因みにこの曲、ここ数日登場し続けているヒュセイニ旋法。ウシュクダラに代表されるニハーヴェント旋法と並んで、遠く離れた日本でもポピュラーになったように思います^^
今日の一本目、そのジェッディン・デデンを、何とロシアの赤軍合唱団と一緒に演奏しています! そこで思いついたのが今日のタイトル(笑)  ロシアとトルコと言えば、犬猿の仲のようなイメージで見ていましたが、現在では状況が変わってきているのでしょうか。

MEHTERÂN & KIZILORDU KOROSU £££ Ceddin Deden Neslin Baban

ジェッディン・デデン あるいは、ESKİ ORDU MARŞI(エスキ・オルドゥ・マルシ=古い軍楽)
Makâm : Hüseynî
Usûl : Sofyân
Yöre : Rumeli
Bestekâr : İsmail Hakkı Bey

Mehter Başı(メフテル 指揮?) : Kürşat Tuncay
Kızıl Ordu Korosu Şefi(赤軍合唱指揮) : Viktor Yeliseyev

歌詞
Ceddin deden, neslin baban
Hep kahraman Türk milleti
Orduların pek çok zaman
Vermiştiler dünyaya şân

Türk milleti, Türk milleti
Aşk ile sev milliyeti
Kahret vatan düşmanını
Çeksin o mel'ûn zilleti...

cet : büyükbaba, dede; ata, soy
şân vermek : tanınmak, ün salmak
melûn : Tanrı tarafından lanetlenmiş, Tanrı'nın lanetine uğramış olan; lanetle, nefretle karşılanan, alçak, sinsi, kötü
zillet : hor görülme, alçalma, alçaklık

MEHTERÂN & KIZILORDU KOROSU £££ Genç Osman

これも「オスマンの響き」に入っていたメフテル・ナンバー、ゲンチ・オスマン(若いオスマン)。勇壮な中にもÇargâh(チャルガー)らしい繊細な節が妙味でしょう。

Kalinka - Mehteran & Red Army

何とロシア民謡のカリンカを共演。

KIZILORDU KOROSU & MEHTERÂN £££ Katyuşa

ブランテル作曲のロシア戦時歌謡の代表曲カチューシャ。メフテルの面々も正確にロシア語で歌っています。

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2009年2月 2日 (月)

イスマイル・ハック・ベイの名シャルク

昨日に続いてオスマン音楽の名匠イスマイル・ハック・ベイの曲を。昨日の3本目の合唱で歌われていたFikrimin İnce Gülüという曲ですが、これがまたまたビデオが沢山ありすぎて困るほどf^^; それらの中から何本か選んでみました。これはシャルクになるのだろうと思います。たゆたうような哀感を帯びた3拍子の美しい歌です。土和辞典を引いても、良い訳が思いつきませんが、和訳するとどうなるのでしょうか。

BELGİN EROL -- Fikrimin İnce Gülü Kalbimin Şen Bülbülü

女性歌手ベルギン・エロルの歌唱。古典楽器を使いながらも大衆歌謡的な伴奏。ジャンル的にはサナートになるのでしょうか。タールとアコーディオンが入ってますので、カフカス色が出てくるかも。

ŞEVVAL SAM £££ Fikrimin İnce Gülü Kalbimin Şen Bülbülü

Kimseye etmem sikayetの時に出てきたŞEVVAL SAMの歌唱。ふぁどさんからは彼女は黒海地方の出身かもと推測が出ていましたが、どうなのでしょうか。この歌のフルタイトルはFikrimin İnce Gülü Kalbimin Şen Bülbülüのようです。

Zara - fikrimin ince gulu (sari sicak)

歌っているザラは、先日アップした歌手ザラでしょうか? 違う人のようにも見えますが。

Fikrimin İnce Gülü 8-6

映画かTVドラマのようですが、この中でFikrimin İnce Gülüが使われています。日本に当てはめるなら、長唄などが映画に使われるようなものだと思いますが、昭和30年代くらいで廃れてしまいました(高田浩吉の映画辺りが最後かも)。トルコでは未だに古典音楽が色々な場面で生きていると・・。素晴らしいことです。

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2009年2月 1日 (日)

イスマイル・ハック・ベイ(1866-1927)

オスマン音楽巡りも一ヶ月近くになりましたが、まだまだ続けようと思えば延々と続きそうです。ある意味ペルシア音楽より、幾分把握しやすい(ように思っているだけかも知れませんが)分、エンドレスになりそうです(^^;  07年10月11日辺りに取り上げた作曲家ですが、イスマイル・ハック・ベイ(1866-1927)の曲をもう一度見てみたいと思います。一昨年アップした彼のFerafeza Peshrevなど、個人的に好きな曲が多いもので。

Acemkürdî Peşrev-Beste: İsmail Hakkı Bey
アジェムキュルディ旋法のペシュレヴ。ピアノが入るのは珍しいように思います。

Acemkürdi Peşrev-Beste: Muallim İsmail Hakkı Bey
同じアジェムキュルディ旋法のペシュレヴですが、違う曲。こちらの方がメヴレヴィーらしさが感じられます。

TÜRK SANAT MÜZİĞİ KOROSU -- Fikrimin İnce Gülü

そして、この合唱曲もアジェムキュルディ。このビデオは前に一度上げたと思います。今日は同じマカームを並べてみました^^

また、昨日の記事にhasugeさんから貴重なコメントを頂きました。(いつも有難うございます。m(_ _)m) 意外に最近の作曲家で驚きました。やはり切ない歌だったのですね^^ (以下に転載しておきます)  

この歌は、去ってしまった恋人に対する切ない気持ちを歌ったものですね。イェサリ・アスム・アルソイ(1900-1992)は、1917年以後に音楽の勉強を始め、1920年に勤め人になっても勉強を続け、職をあれこれと代える中で作曲と作詞を始めたのは1930年頃だそうです。離婚も経験しており、家庭的には恵まれませんでした。現在およそ250の作品が残っているとのことです。

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2009年1月31日 (土)

Özdal ORHONも歌っていたシャルク

Özdal ORHONという女性歌手の音源が、トルコの名門レーベル、カランから出ていました。色々な作曲家のシャルクを収めた復刻集で、カーヌーン、ケメンチェ、チェロだけの静かな伴奏で、たおやかに儚げに歌われるシャルクには、優美さと共に独特な香気がありました。それを思い出して、youtubeを探してみましたが、本人のは見つからず、どうも彼女が歌っていたらしいシャルクを、前にも取り上げましたGül YAZICIが歌っているビデオがありました。ギュル・ヤズュズも現代の素晴らしいディーヴァの一人だと思います。イェサリ・アスム・アルソイという作曲家(この曲は作詞も)については、ちゃんと調べてみないと分かりませんが、ヒュッザムらしい、エキゾチックな中にも移ろいやすいデリケートな美しさに溢れた曲。いかにもORHONに似合いそうな歌です。40代の若さで夭逝した往年の歌姫を偲んで、今日はこの一曲のみアップしておきます。    
Gül YAZICI-Ümitlerim hep kırıldı yârim artık gelmeyecek (埋め込み不可)
Makam: Hüzzâm   Güfte / Beste: Yesârî Asım Arsoy 


オズダル・オルホン(1941-86)/arsiv serisi      土Kalan Muzik Yapim

最後に、hasugeさんから一昨日の「更にKimseye etmem sikayet」の記事に詳しいコメントを頂きましたので、今日は転載しておきます。しかし、この憂い節の歌を、あのアタテュルクが愛好していたとは驚きました。hasugeさん、いつも有難うございます。m(_ _)m

Kimseye etmem sikayetは、「文句は言わない」というよりは、「不平は言わない」の方がニュアンス的には近いのではないかと思います。「(私は)泣いたり、震えたり、恐れおののいたりすることがあっても、不平は言わない」といった歌ですから。この歌はトルコ建国の父であるケマル・アタテュルクが好きだったそうですね。彼の苦難の生涯を考えると、納得できるような気がします。

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2009年1月30日 (金)

ザラの歌うハルク

昨日アップした女性歌手ザラの他の曲を見てみたいと思います。若手らしからぬ芸域の広さを感じさせる人です。先輩歌手のベルクス・アッカレのような迫力のあるタイプの歌唱ではありませんが、華やかな声で、またソフトな語り口で聞かせるトルコのコブシは、これまた魅力的。しかも中々のターキッシュ・ビューティです。

Zara - derdim çoktur

昨日のオスマンのシャルクとは一転して、ハルク(民謡)の歌唱。これまで出た音源から見ても、おそらくこちらの方が得意分野では、と思います。アシュクの歌と音階的にもそのままと言えると思います。ドゥドゥクやバラバンに似たダブルリードのメイの音が特徴的。

(Zara) Kahpe felek sana nettim neyledim

こちらも民謡を(幾分)現代的にアレンジした一曲でしょう。冒頭にメイの演奏シーンが出てきます。

Zara - aglama gozlerim

サズがフロントに出てくる伴奏。典型的なハルクという印象です。çok güzel!

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2009年1月29日 (木)

更にKimseye etmem sikayet

昨日のオスマン名曲Kimseye etmem şikayetについて、マイミクのふぁどさんからコメント頂きました。ふぁどさんはモスクワ在住ですが、一昨年の北カフカスで書いたようにロシアからはブログへの書き込みが出来ないようなので、mixiメッセージで頂きました。ふぁどさん有難うございます。m(_ _)m  この曲ですが、和訳すると「だれにも文句は申しませんわ」となるとのこと。また、昨日のSevval Samという歌手ですが、こちらの記事にあるように、最近公開された映画でも彼女の歌声が流れているそうです。
名曲故に他にも沢山ビデオがありました。男性歌手のものもあわせて、いくつかアップしておきます。それから、25日のDemedim miの記事について、hasugeさんから詳細なコメントを頂きました。25日のコメントを是非ご覧下さい。hasugeさん、いつも有難うございます。

Zara - Kimseye Etmem Şikâyet

民謡歌手のイメージの強い女性歌手ザラですが、このオスマンのシャルクを歌っています。

Kimseye Etmem Şikayet-İddia Ediyorum En İyisi Bu!!!

Muzaffer LEKESİZという男性歌手と合唱。

Ahmet Özhan - Kimseye Etmem Şikayet

アフメト・オズハンの二重唱。もう一人は不明。男性が歌う方が、大衆歌謡よりのサナート的に聞こえるようにも思います。

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2009年1月28日 (水)

オスマン名曲選 Kimseye Etmem Şikâyet

今日はオスマン名曲選第二回ということで、シャルクの名曲「キムセイェ・エトメム・シカーイェト」の聞き比べ。オスマン朝末期のKemani Sarkis Efendi(ケマニ・サルキス・エフェンディ 1885-1944)作曲のニハーヴェント旋法の 曲です。ニハーヴェントらしい、やるせないムードが堪りません^^ この歌、シャルクのアルバムで結構耳にするように思います。クリップも沢山ありますが、取りあえず女性歌手を4本。

なお名前の前のケマニですが、ケメンチェやケマン(ヴァイオリン)を専門とする音楽家の称号です。同様に、タンブールの名手はタンブーリ(例:Tanburi Cemil Bey)、ウードの名手はウーディ(例:Udi Hrant Kenklian)となります。

Seçil AK-Kimseye Etmem Şikâyet
セチル・アクによる歌唱。可憐なルックスとは対照的にも思える、アルトの艶かしくしっとりした歌声が良いですね。

Eda Karaytuğ-Kimseye etmem şikayet
前に一度アップしたエダ・カライトゥーの歌唱。

Şevval SAM - KİMSEYE ETMEM ŞİKAYET

この後2本は埋め込み可でした。シェッヴァル・サムという女性歌手、聞いた事がないように思いますが、なかなかです。

Ufuk Caba / Kimseye etmem şikayet ağlarım ben halime

前にもアップしたウフク・ジャバの歌唱。70年代風?メガネがインパクト大ですが、いい節を持ってる歌手です。

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2009年1月27日 (火)

ブルハン・オチャル2

ブルハン・オチャルの芸、もう一日追ってみます。彼の弦楽器演奏を見たかったのですが、見つからず、全て打楽器になりました。弦楽器は昨日のバーラマだけかも知れません。彼が率いたイスタンブール・オリエンタル・アンサンブル以来、最近のトラキア・オールスターズまで、担当楽器は打楽器中心になっているようですが、何故そうなったのでしょうか。弦楽器だとトルコ音楽の狭い枠に収まってしまう、と考えているからでしょうか。もう一度彼のタンブールでDemedim miを聞きたいものですが、古めかしいオスマン音楽は卒業してしまったのでしょうか?(笑)

BURHAN ÖÇAL & TURAY DİNLEYEN

トゥライ・ディンレイェンのヴァイオリンの伴奏でダルブッカ?を打奏。ヴァイオリンの演奏は、トルコ音楽と言うよりブルースのように聞こえます。

(Burhan Öcal) Ritim show 4

世界の素焼き太鼓を叩くオチャル氏。右は南インドのガタムだと思いますが、左のタジン鍋を重ねたようなのは何でしょうか?(笑) セネガルのウドゥと聞こえますが、モロッコのタジン鍋が南に伝わったのでしょうか?(笑)

(Burhan Öcal) Ritim show 3

やはりこの人の演奏、トンバク風テクニックが入ってますね。

Burhan Öcal-Fazıl Say-Patricia K-42nd Montreux Jazz Fsetival

トルコのピアニストのファジル・サイが弾くファンキーなトルコ行進曲(モーツァルト作曲)をダラブッカで伴奏^^  モントルー・ジャズ・フェスティヴァルでの映像。

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2009年1月26日 (月)

ブルハン・オチャル

ブルハン・オチャルは、色々な打楽器と弦楽器を操る名手で、カリスマ的な音楽家と言えるでしょう。昨日名前が出たので見ておきたいと思いますが、90年代にやってたようなタンブール・ソロを探してみましたが、最初の方にはほとんど見当たらないようです。近年は担当楽器はダラブッカなどの打楽器が中心になっているようですね。その中から、何本か上げてみました。

Burhan Ocal Ritm1

ダラブッカでベリーダンスの伴奏。踊り子とのインタープレイですね。もっときれいな映像で見たいものですが^^

burhan ocal - Sehnaz Longa

この有名なロンガ・シャーナズは、エジプトのリアド・アル・スンバティの曲だったと思います。

(Yavuz Bingöl) Evlerinin önü Mersin

ヤヴズ・ビンギョルのサズ弾き語りの相方のバーラマを、オチャルが弾いています。サズの弾き語りは、言うまでもなく、これまで見てきたオスマン古典音楽とは違って、ストレートに中央アジアの音楽に繋がる、もう一つのトルコ音楽。アラブ~ペルシアの影響の強い前者に対して、純テュルク的です。

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2009年1月25日 (日)

オスマン名曲選 デメディム・ミ

今日で記事数が500になりました。記念に前から個人的にかなり気に入っていたトルコの歌、Demedim miを。96年頃だったと思いますが、スイスの今は無きレーベルAmoriから出ていたBurhan Öcalの、曲名と同名のアルバムで聞いたのが初だったと思います。ブルハン・オチャルが、まだロマ色を前面に押し出した活動を始める前でした。この頃、彼はイスタンブール古典合奏団の音楽監督で、ピアニストのマリア・ジョアオ・ピリスや、ジョー・ザビヌル(ex.ウェザー・リポート)等と共演していたようです。西洋のハイセンスな音楽家との共演だけでなく、l`empreinte digitaleからはタンブールの独奏盤もあって、その後オスマン古典でいくのだろうとばかり思っていましたが。(笑)
デメディム・ミは、ウシュクダラなどと同じニハーヴェント旋法で、日本人にとっても大変親しみやすいメロディだと思います。Demedim miで検索すると、何と237も出てきました。今日はその中から数本。残念ながらオチャル版は見つかりませんでした。Amori盤も今は手元に残ってないので、曲の解説も分からなくなってしまいました。

Özer Özel - Ercan Irmak - Demedim Mi

タンブール&歌がオゼル・オゼル、ネイがエルジャン・イルマク、のようです。メヴレヴィーの精神性を現代的にアレンジしたステージ、と言えば近いでしょうか。

Sami Özer - Demedim mi

多分この曲はメヴレヴィーの旋回舞踏と何か関係があるのでは、と思っていたら、裏付けるようなビデオがありました。サミ・オゼルの歌とメヴレヴィー旋回舞踏のコラボ。別な演奏にはMakam(マカーム): Nihâvend  Beste(作曲): Hafız Hüseyin Sebilci  Güfte(作詩): Pir Sultan Abdal とありました。ハーフズ・ヒュセイン・セビルジで更に調べてみます。

Mevlana Demedim mi?

これを見て、明らかにメヴレヴィー教団の開祖、メヴラーナ(ルーミー)の教義や祈りの文句と関係がある(あるいはそのまま?)だろうということが分かりました。

iLAHi -- Demedimmi...!!!

これは原曲の宗教歌なのでしょうか。神秘的で素晴らしいですね。

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2009年1月24日 (土)

ケメンチェのアップ映像

ここ数日登場しているトルコの小型弓奏楽器ケメンチェですが、イフサン・オズゲンで検索した中に、サバー旋法のタンブーリ・ジェミル・ベイのタクシームが収録された映像がありました。この不思議な浮遊感のある音色が特徴的なケメンチェの細部の材質や、糸巻き部分、弓の持ち方などが見て取れると思います。大分前に取り上げたギリシア南部の島、クレタのリラにも似ている訳ですが、おそらくトルコのケメンチェは指板に付かない、宙に浮いた状態で発音しているものと思われます。リラは指板についているようにも思います。イランやアゼルバイジャンなどのケマンチェ(キャマンチェ)は、しっかり付いて発音していたと思います。指が浮いた状態でフラジオレットにならない秘密は、この弦の太さと右手の圧力にあるのでしょうか。それにしても、ジェミル・ベイのケメンチェ・ソロは、本当に素晴らしいです。なお、イスタンブールを背景にジェミル・ベイとオズゲンとケメンチェを描いたドローイングは、出品者(若手ケメンチェ奏者のErhan Bayram氏)によるものとのこと。今日の一文が、この忘れられない楽器の思い出の一助になれば幸いです。

Klasik Kemençe - Saba Taksim Cemil Bey

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2009年1月23日 (金)

オスマンとビザンツ

ケメンチェ奏者のイフサン・オズゲンで今日も見ていたら、チェロ演奏はない代わりに、オスマン音楽とビザンツ音楽の接触を思い起こさせるビデオが見つかりました。アラブ音楽やペルシア音楽と、古代ギリシア~ヘレニズム期の近東音楽の関係も興味の尽きないテーマですが、オスマン帝国の場合は、もっと時期が下って中世~近世のギリシア(ビザンツ帝国)との音楽的繋がりがかなりあったはず。その辺りの調査と言うのは、トルコ本国では進んでいるのでしょうか。一本目は、その辺を探っている内容のようです。オズゲンも出てきますが、トルコとギリシアの音楽家が交互に登場します。

Byzantine Ottoman Greek Turkish shared musics

Kemençevi İhsan Özgen Mahur Şarkı; Aşığa Bağdat Sorulmaz

イフサン・オズゲンのマーフール旋法のケメンチェ演奏(シャルク)のようです。映像がないのが残念ですが。彼はタンブーリ・ジェミル・ベイなどの流れのオスマン朝時代のケメンチェ演奏を最も正統に継承している一人だと思います。前に取り上げたタンブールのネジデト・ヤシャルは、セルチュクの60年代頃の伴奏者としてよく名前を見かけましたが、ほぼ同世代のオズゲンも名を連ねている録音があったように思います。

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2009年1月22日 (木)

ジヌチェン&オズゲン登場

Raks Muzikからソロ盤があったイフサン・オズゲン(İhsan  Özgen)というチェロ&ケメンチェ奏者で検索してみたら、これまた貴重映像が見つかりました。収録は70年代かと思いますが、映像はモノクロ。オズゲンは、ここではケメンチェを弾いていますが、何とウードがジヌチェン・タンルコルルでした。4本目で素晴らしいタクシームを披露しています。男性歌手はBekir Sıtkı Sezgin(ベキル・ストゥク・セズギン) という人のようです。5本でトータル30分くらいになるでしょうか。オズゲンのチェロ演奏を見てみたいのが主目的でしたが、今日は一まず往年のオスマン古典の名手達の、しっとりした名演をお楽しみ下さい。

Bekir Sıtkı Sezgin 1/5

Bekir Sıtkı Sezgin 2/5

Bekir Sıtkı Sezgin 3/5

Bekir Sıtkı Sezgin 4/5

Bekir Sıtkı Sezgin 5/5

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2009年1月21日 (水)

セルチュクの曲 独唱編

セルチュクの曲、昨日は合唱による演奏を上げましたが、今日は独唱を見てみます。セルチュクをIEでyoutube検索してヒットするのは242もありましたので、現代の歌手による独唱だけでも数え切れないほどあると思います。それ程彼の曲は現代でも愛好されている、ということだろうと思います。1900年前後生まれと言えば、日本で言えば東海林太郎さんの世代でしょうか。彼の歌には三味線がかなりの曲に入っていましたし、古き良き日本の情緒が息づいていたと思います。しかし、現在の日本の歌は・・・、根っこの部分がどこかに行ってしまいましたね(笑) デラシネというのでしょうか。デラシネならば、母胎を忘れないでいて欲しいものですが。

Leyla Bir Özge Candır

ウフク・ジャバの歌唱。トルコの繊細な節回しに、メヴレヴィー的な古典器楽伴奏が良いですね。

NURTEN DEMİRKOL SIRMAN £££ Varalım Kûy-i Dilaraya

ケマン(ヴァイオリン)のタクシームから始まる女性独唱。

ZEKAİ TUNCA £££ Gümüş Saçlarına Eğdim Başımı

たまには男性歌手も(笑) といってもやはり女性歌手のビデオが多いようです。ゼカイ・トゥンジャの独唱。

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2009年1月20日 (火)

セルチュクのコロス曲

ミュニール・ヌーレッティン・セルチュクですが、モジラでは15しか出てきませんでしたが、IEですと、その10倍くらいありました。モジラでyoutube検索した場合、トルコ文字を認識出来てないのではと思われます。今日はその中から、セルチュク作曲の合唱中心の曲を選んでみました。Chorusはトルコ語でKorosuと表記されます。コーラスという言葉が古典ギリシア語起源であることをストレートに思い出させる綴りです。オスマン・トルコの合唱は、おそらく西洋からの輸入だと思いますが、アナトリアの地にセルジューク朝が出来るまで存在したビザンティン帝国の合唱の名残もあるように思えて仕方ありません。セルチュク作品だけでみても、色々なタイプの合唱曲があることが分かります。これまで見てきたメリスマティックな独唱の素晴らしさとは異なる、ゆったりと穏やかでありながらエキゾチックな表情にも限りない魅力を感じますが、いかがでしょうか。

TÜRK MÜZİĞİ KOROSU £££ Vur Pençe-i Ali'deki Şemşir Aşkına

あの有名なトルコ軍楽(「トルコ行進曲」のルーツ)のリズムがはっきり出ています。メヴレヴィー的な一曲でもあります。マーフールの明るく爽快な曲調。

TRT-Koro-1-Erdi bahar 2-Aşıka Bağdat sorulmaz
ラスト旋法らしい爽快な曲調。メヴレヴィー風に感じるのは、3拍子だからでしょうか。

Aşiyan Korosu - Yar Senden Kalınca Ayrı (M.Nurettin Selçuk)

これは色々な音源でよく聞く曲。確か独唱もあったように思います。

TÜRK SANAT MÜZİĞİ KOROSU - Endülüs'te Raks (Zil, Şal ve Gül)

キュルディヒジャズカル旋法のこの曲は、大分大衆歌謡よりに聞こえますが。

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2009年1月19日 (月)

女性歌手 Yeliz Caglarman

トルコの古典歌唱の歌手別に戻ります。数日前にアップされたばかりのビデオ2本に出てくるYeliz Caglarmanという女性歌手、新進の人ではと思います。去年の5月、ベルリンでのコンサートの映像です。瑞々しく美しい歌声がとても良いですね。それぞれの冒頭に出てくるタクシームも、実に聞かせる内容です。余談ですが、ヨーロッパの場合、-manが付く苗字にはユダヤ系が多いという通説がありますが、トルコの場合はどうでしょうか。カタカナにするとすれば、イェリス・ジャグラルマン? ちょっと違う気がしますf(^^;

Yeliz Caglarman - Gittin de biraktin beni aylarca kederde

ミュニール・ヌーレッティン・セルチュク作曲のヒジャーズ旋法の曲。曲名はCamlibelか? 冒頭はGöksel Baktagir(ゲクセル・バクタギル)のカーヌーンの華麗なタクシーム。Yeliz Caglarmanの歌は、真ん中辺りから。曲も歌唱も、最高! Beste: Münir Nurettin Selcuk / Güfte: Faruk Nafiz   Makam: Hicaz / Usul: Yürük Semai

Yeliz Caglarman - Kaderimde hep güzeli aradim

ユルダル・トクジャンのニハーヴェントのウード・タクシームに始まります。このタクシームも実に素晴らしいです。Beste: Avni Anil / Güfte Fethi Dincer  Makam: Nihavend / Usûl:Semâiとのこと。作曲のアヴニという名もユダヤ系に多いように思います。

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2009年1月18日 (日)

トルコ・チェロ

トルコのチェロ独奏のビデオがいくつか見つかりましたので、今日はそれらを。前にウイグルの時に出てきたように、ヴァイオリンは中央アジア~アラブ辺りに起源があるとの説が有力ですが、ヴァイオリン族で最大のチェロは、西洋で独自に大型化した楽器。面白いことに、J.S.バッハの頃までは股に挿んで弾くとは限らなかったようです。その頃までは肩からつるして弾くスタイル(ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ)も多かったことは、前に寺神戸さんの無伴奏チェロ組曲演奏で触れた通り。
西洋の音楽文化との接触も多かったアラブやトルコでは、各国の古典音楽にチェロがよく使われています。奏法はほとんど西洋と同じ(股に挿んで弾く方ですが^^)ですが、出てくる音は紛れもないアラブやトルコの音。アラブではアンサンブルの低音楽器としてのみのようですが、トルコの場合はマカームに則ったチェロ・ソロのタクシーム(即興)も頻繁に演奏されています。有名どころでは、あの有名なサズ・セマーイを何度もアップしたメスード・ジェミル。タンブールだけでなく、チェロの名手でもありました。カランから2枚組が出ています。

楽屋で練習中と思しき一本目は、おそらくロマ系の音楽家ではないかと思いますが、歌心たっぷりの超絶技巧を披露しています。トルコの細かい歌の節の模倣が基本ですが、この奔放なスタイルは間違いなくロマ(ジプシー)のものでしょう。しかし指の動きの何と美しいことでしょうか! これには驚きました。ハイポジションでの左手親指使用も完璧。

cello

özer arkun

これは民謡的な曲か、オリジナルか不明ですが、やはりトルコの歌の特徴がよく出ています。

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2009年1月17日 (土)

セルチュク4曲

どうしてもセルジューク朝を想像してしまう名前の大歌手セルチュクの二日目。(関係あるのでしょうか?) ミュニール・ヌーレッティン・セルチュクのビデオは20本くらいはあるでしょうか。彼の実演の映像は昨日の2本の他には見当たらないようですが、音源的にはまだ素晴らしいビデオがありますので、今日はまとめて見てみます。

MUNIR NURETTIN SELCUK-YILDIZLAR

ユルドゥズラル(スターたち)というタイトルですから、出てくるのはトルコの女優たちでしょうか? セルチュクには、女性のヴォーカル・アンサンブルを従えた歌唱がとても多いような気がします。

Münir Nurettin Selçuk Dök Zülfünü

この歌も同じく女性コーラスをバックにたおやかに歌われていますが、拍子は2+2+2+3の9拍子でしょうか? さりげなく、ごく自然な感じで変拍子(というか複合拍子)が出てくるところがトルコ音楽。

münir nurettin söyle sevgili

ペルシアのアーヴァーズのトルコ版のように聞こえる一曲。トルコの方はどこまでもたおやかでおっとりした美しさがあります。

Varalim Kuy-i Dilaraya Gonul - Munir Nurettin Selcuk

ファスルの編成の合唱&合奏団によるセルチュク作品。現代もこうして盛んに演じられているようです。

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2009年1月16日 (金)

ミュニール・ヌーレッティン・セルチュク

昨日はココログでエラーが出て、アップしたら16日になってしまいました。保存を押した時に時々エラーが出て、書いてたデータが消えてしまうことがあります(`ε´)  保存のボタンを押す前にソースでコピーしていますので、書いた内容がパーにはなりませんでしたが、日付変更線を越えてしまいました(笑) youtubeを見て選んでいる内に、ログインから大分経ってしまったからでしょうか。
さてトルコの古典声楽、16日の2回目は、男性歌手のミュニール・ヌーレッティン・セルチュク。1899年生まれ1981年没。オスマン朝末期からの大歌手で、後のトルコの古典的大衆音楽への流れを作った人と言われています。幾分西洋的な歌唱法を取り入れたり、タキシードに蝶ネクタイという衣裳も、トルコでは彼から始まったようです。デデ・エフェンディなどのオスマン名曲を歌うだけでなく、自作の優れたシャルクなども沢山書き残しました。タンブールを弾くダンディな姿も、トルコ歌謡ファンにはお馴染みでは。タンブールは日本における三味線のような、歌手にとっても不可欠の基本的な楽器だったのかも知れません。私自身Buda盤やYKY Muzikの4枚組は、トルコ音楽ではここ数年一番の愛聴盤でした。

MÜNİR NÛRETTİN SELÇUK £££ Sana Dün Bir Tepeden Baktım

サフィイェ・アイラの時も出てきた番組でしょうか。ドキュメンタリーの中には、歌うシーン、語るシーンなど貴重映像が出てきます。

Münir Nurettin Selcuk

映像はありませんが、歌声は素晴らしい。最高ですね。

Munir nurettin selcuk-bu hulyalar diyarindan

セルチュク自身が合唱の伴奏で歌っています。音のレベルが異様に低いですが、これは大変貴重な映像でしょう。

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ネスリン・スィパヒ

トルコ古典音楽の女性歌手、今日はネスリン・スィパヒ。現在70代位でしょうか。この人のビデオは前に何度か取り上げたように思いますが、確かクリミア・タタールの時でした(今日の4本目に再度UP)。黒海北岸ではなく、今度はオーソドックスなオスマン音楽。彼女のドイツのCMPの音源も廃盤になってしまいましたが、トルコ盤で若い頃の音源(確かOdeon)があったと思います。CMP盤はクツィ・エルグネルのアンサンブルとの共演。オスマン古典声楽の粋のような名盤だったと思います。シャルクをSharki(iの上に点がないのが正しい綴り)と綴っていたのは、まだシャルクが欧米などでは余り知られてなかったと思われる91年くらいですから、しょうがないのかなと思いますが。華やかで艶っぽい歌声は、オスマン声楽の典型ですが、サフィイェ・アイラのような翳りは全く感じられない、明るい声質。youtubeを見ていると、オスマン声楽の枠に留まらず、色々な音楽との混合を試みたことがよく分かります。

Nesrin Sipahi - Havada Bulut Yok

ヤイリ・タンブールの伴奏で一節。これは素晴らしい! Sadun Aksüt çalıyor, Nesrin Sipahi söylüyor: Havada Bulut Yok (Hüseyni)

Nesrin Sipahi / Zil şal ve gül ( Endülüstte raks )

フラメンコ風な味付けが見えますが、節はシャルク

Nesrin Sipahi - Ankara Rüzgarı

こういう歌は、トルコのナツメロのようなものになるのでしょうか・・。

Nesrin Sipahi - Siytosman

後ろにあるペナントは右がトルコ共和国、左がクリミア・タタールだったと思います。

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2009年1月14日 (水)

サフィイェ・アイラのSP

往年のトルコの歌姫、サフィイェ・アイラの艶っぽい歌声をもう一日。この人の頃は当然SPだった訳ですが、その静止画像とともにSP音源が数曲アップされています。safiye aylaでyoutube検索すると150ほどヒットしますが、彼女自身の歌声が入っているのは大体昨日と今日アップするビデオくらいかも知れません。やはり昨日もアップした彼女の「動く動画」は非常に貴重だと思います。
おまけの一本は彼女も歌った歌をトルコのブラスと合唱で演奏したら、という内容でしょうか。こんな風に演奏されると、トルコの軍楽のようでもあり、クレズマーのようでもあり、何やら不思議^^

kanun taksimi safiye ayla yanık ömer

冒頭にカーヌーンのタクシームが入った一曲。

safiye ayla bir ihtimal daha var

safiye ayla menekşelendi sular

Ata'yı Anma Konseri 04

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2009年1月13日 (火)

往年の名歌手 サフィイェ・アイラ

トルコ古典音楽の女性歌手をここ数日見ていますが、今日はおそらく最も有名なサフィイェ・アイラ。トルコ現代歌謡の元祖的な歌手の一人で、これまでに見た歌手たちの大先輩。1910年代生まれ(1907年説もあり)で98年に亡くなったそうです。トルコの名門レーベル、Kalan Muzikや、Coskun(ジョシュクン)から若き日の素晴らしく瑞々しい歌声がたっぷり堪能できる音源が残されています。Rounderの「トルコ音楽の巨匠達」の1曲目には、彼女が歌う、余りにも有名な「ウシュクダラ」が収録されていました。かつてジョシュクンの2枚に「オスマン末期の爛熟した文化を感じさせる妖艶さを漂わせた名唱」とコメントしたことがありましたが、youtubeを見て尚更そう思います。1本目は民謡、2本目は後のサナートに繋がるような大衆的な歌謡、3本目は純オスマン古典的な歌唱と、対照的な3本を選んでみました。彼女の芸域の広さと、どの分野でも優れた歌手だったことを物語っています。 音源情報はこちら

"Katibim" by Safiye Ayla

日本では江利チエミの歌唱で有名になった「キャトビーム(ウシュクダラ)」。コメントにShe was Greek and her original name was Sofia とありますが、本当でしょうか? 色が浅黒いので、もしかしたらロマの血が入っているのかと思ったこともありましたが、真相は如何に。 Recorded 1949

SAFİYE AYLA TARGAN -- Çile Bülbülüm Çile

この人の関係のビデオも130本くらいありますので、未確認ですが、動いている所を見られる貴重な映像ではないかと思います。60年代くらいでしょうか。可憐かつ妖艶な歌声と、ロングトーンの息の長さ、さすがに聞かせます。一昨日も出てきたサーデッティン・カイナクの名曲。Makâm : Muhâyyer(ムハッイェル)、Usûl : Düyek(リズム周期:デュイェク)、Bestekâr(作曲) : Sâdettin Kaynak(サーデッティン・カイナク)、Güftekâr(作詞) : Vecdi Bingöl(ヴェジディ・ビンギョル)

safiye ayla

こちらは弓奏のヤイリ・タンブールの伴奏でオスマン音楽らしい繊細な節を聞かせています。

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2009年1月12日 (月)

女性シャルク歌手 Gül Göre Yazıcı

トルコの古典歌曲(シャルク)の世界を、あと数日女性歌手別に見てみたいと思います。今日はGül Göre Yazıcı。カタカナにすればギュル・ゴレ・ヤズゥズュが近いでしょうか。ギリシア出身のディーヴァ、マリア・カラスに似たルックスにアルトの声。う~ん、印象的な歌手ですね。モノクロ・フィルムのステージも素晴らしいです。1本目は、何度も取り上げたYine Bir Gul Nihalを書いた大作曲家ハマーミザーデ・イスマイル・デデ・エフェンディの曲。彼の曲らしいメヴレヴィーの旋回舞踏風なアレンジとリズムが聞き取れます。2本目の前半はヴェリ・デデ作曲の名高いヒジャーズ・フマーユンのペシュレヴ(Kudsi ErgunerのアンサンブルがAuvidis Ethinicのファスル・アルバムの冒頭で弾いていた曲)で、一昨年一度取り上げたことがあります。それに続く後半が、スルタン・メフメト2世の曲のようです。今日も映像状態が悪くて、埋め込み禁止なのが残念。この人のビデオも一杯ありますが、きりがないので、今日は4本にしておきます。

Gül Göre Yazıcı-Bülbül âsâ rûz-ü şeb kârım neva
Keman taksimi(ケマン=ヴァイオリンのタクシーム):Turay Dinleyen
歌詞
Bülbül âsâ rûz-ü şeb kârım neva
Mübtelâyım mübtelâyım ben sana
Söylesin ey gül sana bâd-ı saba
Mübtelâyım mübdelâyım ben sana
Makam:Evç(エヴチ)  Beste:Hamâmîzâde İsmail Dede Efendi(ハマーミザーデ・イスマイル・デデ・エフェンディ)

Gül Göre Yazıcı- Ah söylemez mi dil sana
Hicaz Hümayun Peşrev  Ah söylemez mi dil sana  Makam:Hicaz  Beste:Sultan II.Mahmut と解説にありますが、前半のペシュレヴはVeli Dedeの曲。シャルク名はAh söylemez mi dil sanaのようです。

Gül GÖRE YAZICI - Yadımda o sevdalı yeşil didelerin var
歌詞
Yadımda o sevdalı yeşil didelerin var
Ölsem de unutmam seni kalbimde yerin var
Sînemde açılmış ebedî yârelerim var
Ölsem de unutmam seni kalbimde yerin var
Makam : Muhayyer(ムハッイェル)  Beste : Şükrü Tunar(シュクリュ・トゥナル)

Gül GÖRE YAZICI-Gülüp Geçtin Ben Ağlarken
歌詞
Gülüp geçtin ben ağlarken,şimdi sitemin niye
Yalvarırdım senelerce,dinle ruhumu diye
Beyhûdedir bu dönüşün,seni gömdüm mâziye
Yalvarırdım senelerce,dinle ruhumu diye
Makam:Sûznâk(スズナーク)  Beste:Muzaffer İlkar(ムザッフェル・イルカル)  Güfte:Rıfat Ayaydın(ルファト・アヤイドゥン)

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2009年1月11日 (日)

女性シャルク歌手 Eda KARAYTUĞ

エダ・カライトゥーと読むのだと思いますが、トルコ古典声楽のシャルクなどを歌う女性歌手。CDは見たことがないように思いますが、youtubeビデオが沢山見つかりました。良い節を聞かせる美貌の歌手ですね。映像が悪くて全て埋め込み禁止なのが残念ですが。この種のビデオになると、コメントはほとんどトルコ語のみ。バックの楽団は、カーヌーンを中心にタンブール、ウード、ケメンチェ、ネイ、チェロ、リク。皆さんはどの曲、どのマカーム、どの楽器の音がお好きでしょうか?

Eda KARAYTUĞ-Anlatılmaz Bin Dert İle Makam(マカーム) :Hicaz(ヒジャーズ) Beste / Güfte(作曲/作詞):Erdoğan Yıdızel(エルドーアン・ユドゥゼル)

Eda KARAYTUĞ-Bir Hüzzam şarkı gibi
ヒュッザム旋法のシャルク。この旋法はよくよく考えると、ギリシアのレベティカの節に少し似ています。youtubeにトルコ語の歌詞あり

Eda Karaytuğ-Ezelden aşinanım ben
Makam : Hüseynî(ヒュセイニ)  Beste(作曲) :Şerif İçli(シェリフ・イチリ)  Güfte(作詞) : Mehmet Akif Ersoy(メフメト・アキフ・エルソイ)

Eda KARAYTUĞ-Ne yaptım kendimi nasıl aldattım
Makam:Uşşak(ウッシャーク)  Beste:Sadettin Kaynak(サーデッティン・カイナク)  Güfte:Vecdi Bingöl(ヴェジディ・ビンゴル)  オスマン朝末期から活躍した大歌手にして作曲家のカイナクの曲。

Eda KARAYTUĞ-Kalbim Yine Üzgün
Makam:Beyâtî(ベヤーティ) Beste:Selâhattin PINAR(セラハッティン・ピュナル) Güfte:Yahya Kemal BEYATLI (ヤフヤ・ケマル・ベヤトリ)  Yurdal Tokcan(ユルダル・トクジャン)のウード・タクシームに始まります。ピュナルも大変有名な作曲家。

Eda Karaytuğ-Kimseye etmem şikayet
Makam:Nihavend(ニハーヴェント)  Beste: Kemanî Sarkis(ケマニ・サルキス・エフェンディ)  やっぱりニハーヴェントの哀愁味溢れる大らかなメロディは素晴らしいですね。

Eda KARAYTUĞ-Dönülmez Akşamın Ufkundayız
Makam: Segah(セガー) Beste: Münir Nurettin Selçuk(ミュニール・ヌーレッティン・セルチュク) Güfte: Yahya Kemal Beyatlı(ヤフヤ・ケマル・ベヤトル)  日本でもよく知られている大歌手セルチュクの作曲。同じ名ですがイランのセガーとは全く異なるオスマン風に大らかな調べ。これも曲、歌唱共に素晴らしい。

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2009年1月10日 (土)

女流ウード奏者 ギュルチン・ヤフヤ

今日もトルコのウード独奏を見てみます。ギュルチン・ヤフヤという女流奏者は、ソロ・アルバムがトルコのKaf Muzikから出ていました。やはりジヌチェン・タンルコルルの弟子のようですが、昨日の二人の女性ウード奏者よりも、もっと内省的でデリケートなオスマン古典のウード独奏を聞かせる人です。そのたおやかな風情からは、タンブールをウードに置き換えただけのような印象も持ちます。
一本目のヒジャーズ旋法のペシュレヴ(器楽による前奏曲のような楽曲形式)の作曲者レフィク・フェルサン(1893-1965)は、20世紀初頭に活躍したタンブール奏者/作曲家。オスマン朝末期の代表的音楽家の一人で、巨匠タンブーリ・ジェミル・ベイの弟子で、大歌手ミュニール・ヌーレッティン・セルチュクとは同世代。二本目はシェドアラバン旋法のタクシーム(即興)。シェドアラバン・ゲチシュとありますが、ゲチシュというのは移調とか移り変わりという意味のようです。確かに(西洋で言う)調性を渡り歩いているような曲調です。三本目は詳細不明ですが、ヒジャーズ関係の演奏。これも素晴らしいです。
この人のビデオは他にも何本かありますが、シェドアラバンとヒジャーズはエキゾチックなメロディゆえに私自身好きなマカームなもので、独断と偏見で選んでみました^^

Hicaz Peşrevi (Refik Fersan )

Şedaraban Geçiş Taksimi (Gülçin Yahya Kaçar)

Gülçin YAHYA - Şölen (www.emirudlari.com)

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2009年1月 9日 (金)

久々のトルコ音楽

12月22日以来のトルコ音楽。オスマン音楽に残るビザンティンの痕跡→ビザンティンのクリスマス音楽→コプト教会→エチオピアの正教会とユダヤ教、と来て年明けでした。中東のキリスト教周辺は、東方諸教会やグノーシス的宗教の音楽(何とこれもyoutubeがあります)など、まだまだ見るところも沢山ありますので、また近い内に。

お屠蘇気分?の純邦楽が続きましたので、ウォーミングアップに、今回もメスード・ジェミルのニハーヴェント旋法のサズ・セマーイから。 12月22日の演奏者Coskun Sabahですが、ジョシュクン・サバーではなく、ジョシュクン・サバハと表記する方が一般的になっているようです。

NIhavend Saz Semai

このウード、やけにネックが長く見えますが、これはアングルのせいでしょうか? なかなかに心地いいパラフレーズです。 This is a very famous piece by the tanbur player Masud Cemil, it is so beautiful and fun to play, enjoy!

2UD NİHAVEND Sazsemâisi (M Cemil-C Tanrıkorur)__B İLHAN + G GÖRE(埋め込み禁止)
ジヌチェン・タンルコルルによる2本のウードへの編曲版のようです。彼の弟子筋の二人の女性奏者(ギュル・ゴレ&バシャク・イルハン)による演奏。
MESUD CEMIL's NİHÂVEND SAZSEMÂİSİ For 2 OUDS
Composer/Bestekâr: MESUD CEMİL-CİNUÇEN TANRIKORUR
Opus/Beste no. 154 (Ankara 1.5.1985)
Performed by GÜL GÖRE & BAŞAK İLHAN in 1997

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2008年12月22日 (月)

ジョシュクン・サバーによるサズ・セマーイ他

メスード・ジェミルのニハーヴェントのサズ・セマーイ、もう少し追ってみたいと思います。今日はタベルナの歌手にしてウード名手でもあるジョシュクン・サバーによる独奏。タベルナとはトルコ歌謡のジャンルの一つで、ギリシアのタベルナ(食堂)とは別。(でも何か関係あるのでしょうか?) 彼独自のパラフレーズで弾いていますが、この曲の哀愁味が、後ろのイスタンブル?の港の夜景に何ともぴったり。ウードの妙技もさることながら、オヤジの哀愁が似合う曲かも(笑) 
ウードなどのトルコ楽器がなくても、ギターやヴァイオリンなどで、皆さんも耳コピで基本パターンを弾いてみられたらいかがでしょうか。オスマン音楽がぐっと近しいものになると思います。この曲は、さほど中立音程が目立つようにも思いませんので、ここは少し高めかな、ここは少し低めかなと想像しながら弾くのも楽しいと思います。音源を聞いた時の想像と実際の楽譜がピッタリ合うこともあって、そんな時はニンマリしてしまうこともあります(笑) 私は先述したウードの教本で何度かそういうことがありました。高め低めという音ですが、事実フラットが180度逆向いている音符(9分の1音下げる)などは、その位の音程差だと思います。

COŞKUN SABAH -- Nihâvend Saz Semaîsi ( Mes'ud Cemil Bey )

Coşkun Sabah " Ud Solo - dalgalandımda duruldum"

ジョシュクン・サバーのビデオ、おまけで一本。前半はトルコ音楽ではないですねf^^;  ここではアルベニスのギター曲、アストゥーリアスやマラゲーニャなどをモティーフ(導入)に弾いています。後半はベリーダンス的盛り上がりの中、女性歌手とのデュエットを披露しています。

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2008年12月21日 (日)

ニハーヴェントのサズ・セマーイ 合奏編

昨日アップしたメスード・ジェミル作曲のニハーヴェント旋法のサズ・セマーイですが、有名な曲なので他にもビデオがありました。今日は合奏編。昨日のネジデト・ヤシャルの独奏のように独創的かつラディカルで刺激的な演奏ではありませんが。彼の演奏には、やっぱり作曲家直伝の空気感がありました。こういうオスマン名曲が現代の若い世代にどう受け止められているのか、もう少し知りたいものです。

Okan Murat Öztürk - Nihavend Saz Semaisi

Okan Murat Öztürk(オカン・ムラート・オェズテュルク)率いる合奏団による演奏。メンバーと楽器は以下の通り。ウードに似ているけどフレットのあるラウタを弾いているのがオズテュルク。1967年生まれの若手です。ドイツ語のオー・ウムラウトと同じ音のÖのカタカナ表記ですが(オの口でエと発音)、オとするかオェとするかエとするべきか、いつも悩みます(笑)  ロマ系音楽家のBurhan Öcalは、オチャルで広まっているようですが。
NİHAVEND SAZ SEMAİSİ  Beste: Mesud Cemil Tel
Okan Murat Öztürk: Lavta
Didem Aydemir Tuncer: Klasik Kemençe
Aydemir Tuncer: Tanbur
Erdem Şimşek: Bağlama
Özay Önal: Divan Sazı
Abdurrahman Tarikçi: Akustik Perdesiz Bass Gitar
Veysel Ateş: Perküsyon
Ali Kıl: Perküsyon
Ahmet Özgül: Akustik Gitar
Hatice Uğur: Bağlama

Emre Demir "Mesut Cemil Nihavent Saz Semaisi"

おまけで、ウード独奏による同曲。これはニハーヴェントのサズ・セマーイをテーマにタクシームしていると見ていいでしょうね。

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2008年12月20日 (土)

タンブール名人によるジェミル親子の作品

今日はネジデット・ヤシャルというタンブールの名手のビデオを取り上げてみました。昨日のリンクで一番気になった&気に入ったもので。ここで彼が弾いているのは、ニハーヴェント旋法の即興、同旋法のサズ・セマーイ(メスード・ジェミル作曲)、ニクリーズ旋法のシルト(タンブーリ・ジェミル・ベイ作曲)の3曲のシリーズ。この人は「往年の」と付けた方がいい位かも知れません。なぜなら先日亡くなった盲目の古典声楽家キャーニ・カラジャの古典歌曲集(2CD)arsiv serisi(土Kalan Muzik Yapim)に伴奏で参加していて、これは60年代ラジオ録音からの復刻集でした。共演者が超豪華で、ヨルゴ・バジャーノス(Ud)、ネジデット・ヤシャル(Tanbur)、メスード・ジェミル(Vc)等で、オスマン朝の香りを今に伝える名唱集でした。タンブーリ・ジェミル・ベイと言えば、Traditional Crossroadsから出ていた3枚(内2枚は2枚組)で衝撃を受けた人も多いはず。この人はオスマン朝末期の大音楽家で、彼の息子がメスード・ジェミル。上記のサズ・セマーイはメスード・ジェミルの最大の人気曲の一つと言って良いでしょう。しかしサズ・セマーイ(3+2+2+3の10拍子が特徴的な楽曲形式)とは初めて知りましたが。続くタンブーリ・ジェミルのシルトは、ギリシアのシルトスを連想させますが、関係があるのでしょうか。ニクリーズ旋法の流動的かつ流麗な旋律は、確かに地中海のイメージ。

音源情報はこちら

Necdet Yaşar - Nihavend Taksim ve Saz Semaisi - Nikriz Sirto

しかし、タンブールと言う楽器は、徹底的に1(左手人差し指)中心に移動する楽器ですね。これを見てよく分かりました。

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2008年12月19日 (金)

ジヌチェン講義 タンブール、ネイ、歌 編

トルコのウード名人ジヌチェン・タンルコルルの、94年アメリカでの講義とデモ演奏ですが、まだまだありまして、棹が非常に長く、フレットが非常に細かいことで有名?な、タンブールによるタクシーム(即興)が一本目。二本目に、歌、ネイ、カーヌーン、ヤイリ・タンブールにジヌチェンのウードが入った合奏をアップしておきます。タンブールのビデオは前にも何本か見ましたが、この人(ムラート・サリム・トカチ)の演奏を聞くと、ジヌチェンのウード・ソロに確かに似ているなぁと思います。いずれも非常に貴重で素晴らしい内容。芳醇で微妙な味わいのあるオスマン音楽、いかがでしょうか。イランやアラブより更に細かく、一音を9つに分ける微分音程と記譜法については、前(去年ですが)に少し触れました。

演奏者名、曲名等の入ったビデオ解説文を転載しておきます。(今日も残念ながら埋め込み禁止ビデオでした)

TAKSIM (9/11) Tanbur Nihavend Taksim- Murat S. TOKAÇ
Cinuçen Tanrıkorur's Lecture-Demonstration on "TAKSIM (Improvisation) in Turkish Music"at The New England Conservatory, Boston, Mass. USA in 1994.
Part 9
Cinuçen Tanrıkorur introduces Dr. MURAT SALIM TOKAÇ, to make a taksim on the plucked, fretted TANBUR in the makam Nihavend.Then Tanrıkorur introduces Hafız AHMET ÇALIŞIR and invites him to make a religious vocal improvisation based on a mystical poem called KASIDE in the middle of a Sufi hymn (ilahi) to be performed by the ensemble.

TAKSIM (10/11) Sufi Hymn: Kaside-Ahmet ÇALIŞIR_Ney-M. TOKAÇ
Cinuçen Tanrıkorur's Lecture-Demonstration on "TAKSIM (Improvisation) in Turkish Music"at The New England Conservatory, Boston, Mass. USA in 1994.
Part 10
Cinuçen Tanrıkorur and his group perform a small part of his Hüzzam ilahi (sufi hymn)"Bi-mekanım bu cihanda - My place in this world" so that HAFIZ AHMET ÇALIŞIR can make a religious vocal improvisation called KASIDE (using some mystical poem) in the middle of it. MURAT TOKAÇ makes an introductory taksim on the NEY and alternatively impovizes with ÇALIŞIR's vocal improvisation.
Ney Taksims: Murat TOKAÇ
Kaside: Hafız AHMET ÇALIŞIR
Cinuçen TANRIKORUR_oud + voice
Fahrettin ÇİMENLİ_bowed Tanbur
Murat S. TOKAÇ_Ney
B. Reha SAĞBAŞ_Kanun

HUZZAM ILAHI -- BI-MEKANIM
Lyrics/Güfte: Hz. YUNUS EMRE
Composer/Bestekâr: CINUCEN TANRIKORUR
Opus/Beste no. 147 (Ankara 20.31.1984)
Beat/Usul: Sofyan

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2008年12月18日 (木)

ジヌチェン・タンルコルルのウード

昨日名前が上がりましたので、トルコのウード名手ジヌチェン・タンルコルルの映像を。トルコ古典ウード演奏のトップにいた人でしたが、惜しくも2000年に亡くなりました。日本のウード奏者常味裕司さんも大推薦の名人。ヒュセイニ旋法のタクシーム(即興)と、マカームに則ったタクシームについての講義(ウッシャーク、バヤーティ、イスファハンの各旋法)を上げておきます。この人の映像は残念ながら大体埋め込み禁止のようです。ウードを用いながらも、アラブの音楽とは一味違う旋法音楽の精妙さを味わっていただけましたら幸いです。オコラの音源を聞いていてもですが、映像を見て気が付くのは、アラブのウードのように同じ音を震わせるように弾くトレモロ的な動きはほとんどなく、単音の細やかな音の動きに終止することでしょう。それがトルコ音楽的と言えるでしょうか。ウード自体は、最低弦が単弦になっている6コース11弦の楽器がほとんど。オーソドックスなアラブ古典では、各2本ずつの複弦で6コースの12弦が多かったと思います。アラブのウード音楽には、またいずれ回る予定です。

HÜSEYNİ Ud/oud TAKSİMİ تقسيم حسيني العودCinuçen Tanrıkorur

TAKSIM (4/11) Tanrıkorur shows Uşşak, Bayati, Isfahan seyirs

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2008年12月17日 (水)

陰影礼賛 メリハト・ギュルセスの名唱

オスマン古典音楽のシャルク(歌曲の一種)などの流れを汲む現代歌謡、みつかりました。メリハト・ギュルセスという女性歌手のクリップですが、この人の音源を探してみたら、アメリカのTraditional Crossroads社(トルコ音楽とアルメニア音楽が多いレーベル)から出ているKudsi Erguner率いる楽団によるTatyos Efendi作曲のトルコ古典声楽曲にありました。私はトルコの歌謡曲の方には疎いので、この女性歌手が元々歌謡曲畑なのか古典音楽出身なのか知りませんが、日本でも美空ひばりが小唄・端唄などの江戸音曲を歌っていたように、サナート(軽古典的歌謡)の歌手が古典曲を歌うこともある、ということかも知れません。

昨日疑問のままだった「ベステ」の件ですが、解りました。例えば一曲目に、
Makam: Nihavend マカーム:ニハーヴェント
Beste: Necip Gülses 作曲:ネジプ・ギュルセス
Güfte: Hüsamettin Olgun 歌詞:ヒュサメッティン・オルグン
とありますが、ベステは、この場合は「作曲」のことでした。なお、マカームは「旋法」、ギュフテは「歌詞」のことです。しかし古典の歌のジャンルにも「ベステ」は確かにあります。ジャンルとしてのベステの解明は、持ち越しになりました^^

Melihat GÜLSES- Ben aşkı ilk defa senden tanıdım (埋め込み不可)
上記のように、古典曲のようなクレジットになっていますが、ジャンル的にはサナートかアラベスクになるのでは。トルコの演歌と言って良さそうな雰囲気。楽団は古典楽器が中心で、これも日本にあてはめると、三味線などが普通に伴奏楽団に入っていた東海林太郎や高田浩吉の頃などを思い出します。

Melihat Gülses / Günaydınım, nar çiçeğim sevgilim

タグに名ウード奏者の故ジヌチェン・タンルコルルの名が見えますので、彼の作曲のようです。彼女の気品のある歌声をたっぷりフリーリズムの部分を交えながら聞かせる一曲。聞いているうちに、確かにジヌチェン(仏Ocoraのウード弾き語り音源がありましたが廃盤)らしい曲に思えてきました。

Melihat Gülses-Ben Seni Unutmak İçin Sevmedim

こちらは明らかにオスマン古典曲。おそらくシャルクでしょう。やっぱりオーソドックスな古典合奏バックは良いですね。長調中心のメロディでも、微妙な陰影に彩られたオスマン音楽らしい一曲です。

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2008年12月16日 (火)

女性歌手のベステやシャルク

今日もオスマン音楽の流れを汲む歌ですが、現代トルコの歌謡曲(トルコの演歌的な)の元になったと思しきベステやシャルクの映像を三つ。女性歌手の艶美でコブシ豊かな歌声には、言葉は分からなくても聞き惚れてしまいますが、いかがでしょうか。日本の演歌のルーツも、浪曲や民謡だけでなく、より古典的な江戸時代の新内や長唄等にもあるのと似ていると思います。(前者が二六抜き長音階と短音階、江戸音曲の方はヨナ抜き短音階が多いです)

Sensiz Her Gecenin Sabahı Olmayacak Sanırım

Muzaffer İLKARという人のベステのようです。旋法はニハーヴェントで、江利チエミが歌って日本でも人気のあったトルコ民謡「ウスクダラ」と同じ。素晴らしい独唱を聞かせるSefa SABUNCUという歌手、何と合唱団員の一人のようです。

Şarkılar Seni Söyler Dillerde Nağme Adın

男女二重唱のシャルク。トルコ版銀恋?(笑)とまで行かなくても、テーマは多少なりとも似ているのでは。解説にはベステとありますが、字幕にシャルクと出てくるので、シャルクでは。追々その違いを究明できたらと思います。

Van Musiki Derneği - Bike ALİZADE

少女歌手とユース合唱&合奏団のようです。歌声も表現もまだまだ固く音程も不安定ですが、若い頃からこういう音楽の修練の場があることは羨ましい限り。しかしなかなか良い曲(シャルク?)です。

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2008年12月15日 (月)

名曲Yine bir Gülnihalを再び

去年ブログを始めて間もない頃に訳詩も入れて取り上げましたが、オスマン朝の大作曲家ハンマーミザーデ・イスマイル・デデ・エフェンディの名シャルク(歌曲のようなジャンル)、イネ・ビル・ギュルニハールをまた何本か見てみたいと思います。ファスルの形態でよく歌われる曲で、デデ・エフェンディのファスル・アルバムには大体入っています。youtubeでも、その数、ヴァリエーションの豊富さから見て、どうも老若男女問わず愛されているようですね。前にも書いたように、ウードの教本では移調されて何度も出てきてました。3拍子の簡素な一曲ですが、いかにもオスマン古典的な高雅な佳曲です。

Yine Bir Gulnihal Classical Version

混声合唱とメヴレヴィー的伴奏中心のオーソドックスなスタイル。

(Koro) Yine bir Gülnihal

合唱、伴奏共にyoutubeの中では特に良いように思います。Koro=Chorus

BARIŞ MANÇO-YİNE BİR GÜLNİHAL- İLK KEZ YAYINLANIYOR

99年に亡くなったトルコの国民的歌手、バルシュ・マンチョがこの古典曲を歌っている珍しい映像。TVのまた撮りで映像の状態は悪いですが。

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2008年12月14日 (日)

オスマン音楽の精華 ファスル

11月21日にトルクメンのファスル風合奏との対比でトルコのファスルを一本アップしましたが、ここでファスルのビデオを少し追ってみます。ファスルとは、独唱や合唱などの声楽付き合奏組曲のような形式と言えるでしょうか。中東音楽における先輩格のアラブ音楽からの影響を濃厚に感じさせる点で、昨日見たサズやバーラマの音楽とは対照的。後者は中央アジア的(あるいはテュルク的)です。アラブ音楽からの影響というか、カイロなどのアラブ音楽の中心地は長らくオスマン帝国領でしたから、トルコの音楽家によってアラブ音楽が完成された(特に合奏でしょうか)とも言えるようです。しかしトルクメンはオスマン帝国に入ったことはなかったと思うので、そこに何故オスマン風合奏が現れるのかが不思議です。

Umut Akyürek - Gökhan Sezen - Bülent Ersoy- Zeki Çetin FASIL

数人の独唱中心のファスル。旋法はヒュッザム。典雅で艶麗な演奏。
Hüzzam Meydan Faslı - Star  Umut Akyürek, Gökhan Sezen, Bülent Ersoy, Zeki Çetin
Bülent Ersoy'la Yıldızların Altında   Star Tv   Selçuk Tekay orkestrası

Topluluk - Hüzzam Faslı

こちらは歌が独唱の場合。一曲目にオスマン朝のスルタンの一人セリム三世の曲、タンブールのタクシーム、3曲目に大作曲家デデ・エフェンディの曲。
Kanun: Cüneyd Koşal Hanende: Birgit Recep Ney: Dogan Ergin Kemençe: Cüneyd Orhan Tanbur: Necdet Yaşar
Gönül Verdim Bir Civane (3. Selim)  Tanbur Taksimi  Ey Gül-i Bağ-ı Eda (Dede Efendi)
1972  Kaynak: Robert Garfias - Ethnomusicology - Films

Ordu Fasl-ı Dil Türk Müziği Topluluğu

こちらは混声合唱付きの場合。オスマンの合唱はほとんどユニゾンで歌われていますので、西洋からの影響はあったにしても西洋的ではなく、どこかビザンティン時代の残影が聞こえるようにも思います。合唱のみの場合、国籍不明に聞こえることもあるように思います。しかし、このビデオはダラブッカに近いところで撮っているので、ダラブッカの音がやたらに大きいです(笑)

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2008年12月13日 (土)

エレキ・バーラマとブズク

今日もトルコ周辺の長棹リュート系の聴き比べ。バグラマの場合はgの上に記号がなかったので、「バグラマ」と呼ばれると思いますが、gの上に記号が付く場合は(ユムシャク・ゲー)、前の母音を伸ばすだけになりますので、「バーラマ」となります。バーラマはトルコの民謡や吟遊詩人の語りで用いられるサズの一つですが、小型から大型の順に、ジュラ、タンブーラ、バーラマ、ディヴァンと呼ぶようです。このエレキ・バーラマ奏者ケマル・アラチャイル、近代トルコ建国の父と同じ名前も印象的ですが、ご覧の通り凄まじいテクニックの持ち主。この人の演奏を聞いていると、ベースの音の入れ方などから、レバノンのブズクのタクシーム(即興演奏)を思い出しましたので、3本目に並べてみました。

KEMAL ALAÇAYIR - DİYAR SAZ EVİ - ELEKTRO BAĞLAMA DENEMESİ

kemal alaçayır-kara üzüm habbesi

トルコ歌謡ジャンルの一つ、アラベスクの帝王と言われるイブラヒム・タトルセスの伴奏楽団の中にケマル・アラチャイルがいます。彼の流麗な超絶プレイもフィーチャー。

Buzuq & Tombak Duo (2/2) - Sabr

その名からギリシアのブズーキと親戚楽器であることは明白な、アラブのブズク。レバノン辺りが中心地ですが、こちらはパレスティナの演奏家のようです。イランのトンバク奏者とのデュオ。ブズク音源はこちら。 何といっても、往年のロマ系ブズク奏者マタル・ムハンマドが素晴らしいです。
Live concert "Young Palestinian Artists" at the Algerian Cultural Centre (Paris). Piece composed and arranged by Nadim Khoury and Christian Perraudin.

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2008年12月12日 (金)

アレヴィー派女性のバグラマとハザラ人のドゥタール

数日前のドンブラのビデオにSaz/ Baglama/ Dutar/ Kopuz/ Deyiş/ Shamanism/ Alevismというタイトルの類似楽器(長棹リュート系)のシリーズがありました。今日はその中からトルコとアフガニスタンの2本を見てみたいと思います。中央アジア・シリーズは一応昨日で終わりましたが、今日もそれ程変りありませんね(笑) 

Saz/ Baglama/ Dutar/ Kopuz/ Deyiş/ Shamanism/ Alevism "4"

Baglama by Turcoman (Alevi) girl. と解説にあります。トルコのTurcomanの女性によるバグラマと歌。旋回舞踏で有名なメヴレヴィー教団とは別な神秘主義教団の一つ、アレヴィー派の人のようです。バグラマのスティール弦の音色と繊細な音使いも良いですが、歌に華があって良いですね。途中で終わってしまいますが。Turcomanというのは、イランで言うトルカマンのことでは。遊牧生活を守りながらイスラムへ改宗したテュルク系遊牧部族のことをペルシア語でトゥルクマーンと呼ぶ、とウィキペディアにあります。中世までアナトリアにあったビザンツ帝国のギリシア人がテュルク化した現在のトルコ人と(多分このグループが一番多いのでは)、中央アジアからやってきたトルクメン系のトルコ人、一目で見分けるのは可能なのでしょうか。かなり難しそうですが、後者はペルシア系の血を多く引いているのかも知れません。

Saz/ Baglama/ Dutar/ Kopuz/ Deyiş/ Shamanism/ Alevism "8"

Turko-Mongol HAZARA playing Dutar (persian language)と解説にありますので、アフガニスタンのモンゴル系民族ハザラ人のドゥタール奏者のようです。前に出てきたアフガンのドゥタール(多分パシュトゥーン人では?)は随分立てて構えていましたが、こちらはノーマルな構え。張りぼてのように大きな胴から出る音色は独特。歌声にはどこかインド的なニュアンスが感じられます。

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2008年3月14日 (金)

ホロンのケメンチェ

昨日に続いてトルコのビデオですが、今日は古典音楽ではなく、トルコ東北部辺りの伝統舞踊ホロンで用いられるケメンチェの音をたっぷりと。トラブゾン周辺になるのでしょうか、黒海に面した東北部の踊りで、その名ですぐ分かりますが、バルカンやルーマニアのホラと繋がりのある踊りではないかと思われます。いずれもルーツはギリシアでしょう。
ケメンチェは古典音楽の洋ナシ形と違って、細長い形で音も甲高く、無窮動的に、あるいは一種ミニマル的に反復される音形からは、ギリシア音楽の影響を強く感じさせます。エーゲ海のクレタやその周辺の島嶼部の擦弦楽器の音にかなり似た部分があります。
トルコ北東部はギリシアの植民地だった時期が長い地方で、ギリシア文化の残存する地帯はグルジア辺りまで伸びています。そう言えば、アルメニア生まれの神秘思想家グルジェフの父方はギリシア系でした。

Akçaabat Erkek Horonu

ケマンチャの時に、ふぁどさんから教えていただいたホロンのクリップ。この踊り、何とも楽しげですが、テンポが速いのでとても難しいそうです。

kemence,kemençe.horon,sıksara

ケメンチェ独奏。カラデニズ(黒海)のケメンチェとか、ポントス(この地方にあった古代王国)のケメンチェとか、そんな呼称をどこかで見た様な記憶がありますが・・思い出せません。こういう古風なフレーズの反復を聞いてすぐ思い出すのは、クレタのリラです。明日取り上げます^^

7 Year old plays Pontian Lyra/kemence

ケメンチェ弾き語り少年。この地方に住んでいたギリシア人はPontian Greekと言われていたようです。現在の住民がやはりギリシア系なのかどうか不明ですが。このTV映像はギリシアのもの。

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2008年3月13日 (木)

オスマン古典音楽の2つの擦弦楽器

コーカサスからちょっと離れて擦弦楽器シリーズが続いております。
今日はオスマン・トルコの古典音楽で用いられた2つの擦弦楽器のビデオに行ってみます。一つはケメンチェ、もう一つはヤイル・タンブールです。タンブールは撥弦楽器としてよく知られていますが、ヤイル・タンブールはそれを立てて弾く楽器(構造は少し違うと思いますが)。ケメンチェは洋ナシ形の小さなボディの楽器ですが、とてもオスマン的な音色の楽器。タンブール奏者のタンブーリ・ジェミル・ベイなど、他の楽器の名演奏家も好んで弾いていました。

Derya Türkan - Serkan Çağrı - Tavas Zeybeği

トルコのケメンチェは、左手指が指板に付いていなくて宙に浮いているように見えるのですが、どうなのでしょうか。その浮いた状態で発音されるからでしょうか、独特な浮遊感のある柔らかい音色が生まれています。極めてオスマン的な音色の楽器に思えます。若手名手Derya Türkanの演奏。

Konya Musiki Derneği

混声合唱の入ったスタイルのファスル(古典組曲)の合間で演奏されたケメンチェのタクシーム。Esra Çelik という人の演奏。

Uğur Varol - "Yaylı Tanbur" [1/5]

これはフラジオ音が入ったような音が多い演奏ですが、細かいフレットがよく確認できるクリップです。トルコ音楽特有の9分の1(例えばドからレの間を9つに分けるということです)という超微小音程を表現するため、フレットが非常に細かく付いています。上のフレットには手が届かないのではと思われるほど長い棹です。Uğur Varolの独奏。

yaylı tanbur hüzzam taksim

耳障りに聞こえるかも知れないフラジオ音が少なく太い音で聞こえますが、映像がちょっと不鮮明。ヒュッザム旋法のタクシーム(即興)。Mehmet Ünal の独奏。

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2007年10月13日 (土)

トルコの楽譜

便利なサイトを見つけましたので、貼っておきます。旋法別のネイの独奏に合わせて楽譜が確認できます。タクシーム(即興演奏)を採譜したもので、細かいニュアンスまでは記譜できないと思いますが、大いに参考になります。
もうお気づきの方もいらっしゃると思いますが、9分の1音の記号表を見ると分かりますが、イランやアラブの4分音の辺りの音は使わず、西洋の全音と半音を低め、あるいは高めに取る、ということですから、それ程難解に考えなくても良いのかも知れませんね。

まずは昨日の旋法のマーフール。演奏はスュレイマン・ヤルドゥム。

Mahur Taksim 01

次に最もポピュラーなマカームの一つ、ニハーヴェント。演奏は、往年の名手アカ・ギュンデュズ・クトバイ。

Nihavend Taksim 01

アカ・ギュンデュズは、グルジェフの伝記映画「注目すべき人々との出会い」に、クツィ・エルグネル等と出ていました。仏PLAYA SOUNDからソロ・アルバムがありましたが、残念ながら廃盤。
以下はその映画「注目すべき人々との出会い」から

aka gunduz kutbay-ney taksim

ニハーヴェントで有名な曲と言えば、これでしょう。江利チエミさんも歌っていた・・・ウシュクダラ(ユスキュダール)です。これは古典音楽ではなく、イスタンブールの民謡ですが。江利さんが直接モデルにしたeartha kitt自身の歌のようです。

Üsküdar'a giderken - Katibim

歌詞
Üsküdar'a gider iken aldi da bi yagmur
Kâtibimin setresi uzun etegi çamur
Kâtip uykudan uyanmis gözleri mahmur
Kâtip benim ben kâtibin el ne karisir
Kâtibime kolali da gömlek ne güzel yarasir

Üsküdar'a gider iken bir mendil buldum
Mendilimin içine de lokum doldurdum
Kâtibimi arar iken yanimda buldum
Kâtip benim ben kâtibin el ne karisir
Kâtibime kolali da gömlek ne güzel yarasir

※今日の記事を書いている間に、友人の愛犬が亡くなった知らせが来ました。
2日に会った時はやっと膝に上がってくれたのに・・・  悲しい、悲しすぎます。
ということで、今日はこれまでにします。

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2007年10月12日 (金)

クリミア・タタールの軍人作曲家

オスマン・トルコ音楽名曲選の第2弾は、長調系のマーフール旋法。この曲は、オスマン朝の長い太平の世を音で表現したらこんな感じかな、と思わせるゆったりと雅やかな調べです。現在はウクライナ領になっているクリミアで、こんな「オスマンな」曲が生まれたとは、ただただ驚き。(例のUd Metodに楽譜有り)

ガジ・ギレイ・ハーン(1554-1607)が書いたとても古い曲で、これまで何度か出てきたKudsi Ergunerの父Ulvi Erguner(1924-74)が、代々口承されてきたこの古いペシュレヴを、編曲&再生したようです。活動停止したレーベルAl Surの初期アイテムで出ていた彼のCDの冒頭を飾っていました。
 Ensemble Ulvi Erguner / Enderun  (Ottoman Court Music)
ガジ・ギレイ・ハーンは、クリミア半島にいたチンギス・ハーンの末裔のクリミア・ハーン王族出身の軍人兼作曲家。クリミア・ハーンは、キプチャク・ハーン国の分家に当たります。ロシアから見れば、所謂「ダッタン人」ということでしょう。現在もクリミア半島に少数民族として居住し、ウラル~ヴォルガ地方のタタール人とも近いのでしょう。
彼は、アラビア語、ペルシア語、Catagay語(アジア・トルコ語)、オスマン語で作詩、作曲し、たくさんの楽器を操り、カリグラファーとしても知られるインテリ君主だったようです。

クリミア・タタールについて (ウィキペディア)

Mahur Pesrevi - Gazi Giray Han
Didem Aydemir - Aydemir Tuncer

TRT-Gazi Giray Han'ın Mahur Peşrevi
http://www.youtube.com/watch?v=HwbNBfJ4Fo4

一本目は、長い棹のリュート系弦楽器タンブールと、擦弦楽器ケメンチェのデュエット。タンブールは、例の9分の1音を出すために、細かいフレットが数え切れないほど、びっしりあります。ケメンチェは、ケマンチェとは違って、指板から浮いた状態で発音しているようなので、独特な浮遊感のある音色が何物にも変えがたく特徴的です。クレタ島のリラやブルガリアのガドゥルカなどは、同系の楽器。

2本目はファスル(古典組曲)の前奏として演奏されているようです。出来たら合唱も聞きたいものですね。  埋め込み禁止のため、URLでアップしました。

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2007年10月11日 (木)

トルコ古典名曲集①

トルコ古典音楽の名曲を思い出す範囲でちょっと探してみたら、いくつか見つかりました。今日は短調系の名曲選。

Hicaz Hümâyun Peşrevi-Beste:Veli Dede
http://www.youtube.com/watch?v=LilRa9057tQ
ヴェリ・デデが書いた非常によく耳にするペシュレヴ。ペシュレヴとは器楽による前奏曲のようなものです(アラビア語ではバシュラフ)。旋法(マカーム)は、ヒジャーズ・フマーユン。アラブ音楽で最も有名でアラブらしいと言われるマカームの一つ、ヒジャーズと、ペルシア音楽の蠱惑的なホマーユンが結びついたようなマカーム、ということでしょうか。ネイの名手クツィ・エルグネルが、自身の楽団でのAuvidis Ethnicからの90年のアルバム「Fasl」で冒頭に演奏していました。例のUd Metodにも楽譜が載っています。 埋め込み禁止なので、URLで載せました。

TÜRK SANAT MÜZİĞİ KOROSU -- Fikrimin İnce Gülü
http://www.youtube.com/watch?v=zRKJL8DFNGM
おそらく上のヒジャーズ・フマーユンに続いて演奏されたものだと思います。ファスル(古典組曲)のメインとしては、こういう混声合唱が今日でもポピュラーなようです。しかし、デデ・エフェンディ(1778-1846)とかが活躍した19世紀にもあったのか、それは不明ですが。楽団は、タンブール、カーヌーン、ネイ、ケメンチェなどのトルコの民族楽器と、ヴァイオリン、チェロなど西洋楽器の混成。チェロはタンブール(明日紹介予定)奏者がよくサブ楽器で弾いているのを見かけます。同じ低音域の楽器だからでしょうか。 埋め込み禁止なので、URLで載せました。

Ferafeza Peshrev

このウード奏者は名前が不明。エジプト的なタクシーム(即興演奏)で挿むような形で、オスマントルコの名曲ペシュレヴを弾いています(1分40秒位から)。タクシームに盛り込もうとした結果か、間を崩した演奏になってます。このフェラフェザ旋法のペシュレヴを書いたイスマイル・ハック・ベイ(1866-1927)も、とても有名な作曲家。この曲はUnescoからのクツィ・エルグネルのメヴレヴィー音楽としての演奏が非常に素晴らしいかったのをよく覚えています。同じフェラフェザのタクシームから入り、このペシュレヴに流れ込む辺りは正に絶品で、ぞくぞくするような名演でした。(ユーチューブは残念ながらないようです。CDも今ではほぼ廃盤状態)

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2007年10月10日 (水)

トルコの軍楽

昨日はバルカン・ブラスを聞きましたので、今日はトルコの軍楽に行ってみましょうか。
バルカン半島各地でロマのブラスバンドが盛んなのは、オスマン帝国時代の軍楽隊の名残りだと見られているようです。
この曲は、中高年以上の方はTVなどで耳にされた方が多いはず。向田邦子原作のドラマ「阿修羅のごとく」のテーマ曲に使われた、ジェッディン・デデです。 Cはトルコ語では通常濁音になります。キングレコードのワールドミュージック・ライブラリーからのCDは、民族音楽では異例のヒットになったよう です。

Ceddin Dede

Mehter takımı performansı: CEDDİN DEDE

1本目はイスタンブールの名所を見ながらのクリップ。演奏はとてもオーソドックスで立派なものです。2本目は演奏は普通だと思いますが、観客が一緒に歌っているのか、音が外れて聞こえますw  演奏風景が比較的よく見えるので、併せて載せました。

モーツァルト(ピアノ・ソナタやヴァイオリン協奏曲)やベートーヴェンらが強烈なインパクトを受けて「トルコ行進曲」を書いたのは余りに有名です。メロディは西洋的になっていますが、リズムはここで聞かれるものと全く同じです。
すぐに聞けるようにミディ・サイトを一つ貼っておきます。
http://www.geocities.jp/manamana_net/main/dur_k_331.html

98年に葛飾のホールで生演奏を見ました。演奏の迫力もなかなかでしたが、歌の魅力に改めて気づきました。メンバーの中には、コーランやアザーンを唱えるムエッズィンも兼ねている歌手もいたようです。旋回舞踏で有名な、スーフィー(イスラーム神秘主義)音楽系のメヴレヴィー音楽と兼業?の人もいたかも知れませんね。そういう感じはありました。

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2007年10月 9日 (火)

デデ・エフェンディの訳詩とエデルレジ

昨日アップした名シャルク Yine bir Gülnihal の訳を、トルコ語が堪能なモスクワ在住のマイミクさん、ふぁどさんに5年程前(当時はキルギス在住でした)にお願いしたことがありまして、そのデータが見つかりましたので、載せておきます。ふぁどさん、その節は有難うございました。 しかし、甘~い内容の歌でしたw

☆ Yine bir Gülnihal ☆
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またひとつ愛しい薔薇のつぼみが
わたしの心を奪ってしまった
すべらかな肌 クローバーのような口元
その美しさに並ぶものはない
激しい炎が焼き焦がした このわたしの心
甘く魅了され 苦痛に苛まれている
(あの人は)これほど小さいのに
これほど美しい

出会ったことなどなかった
こんなにも愛しいと思える人には
その眉 その瞳 その手 その顔
恋する胸の哀しみに
この目は濡れる(涙はこぼれる)
あぁ 愛しい人よ
いつも変わらず美しくあれ

---
※NOTE (ふぁどさんのトルコ人の知人による説明)

「薔薇のつぼみ」とは、彼が恋した娘のことで、彼女が花開く前の薔薇のように美しく、また若いことを意味します。
「クローバーのような口元」とは、小さくてかわいらしい口元のたとえです。

Turk_muzik

左の図は、例のトルコ音楽の音符記号一覧です。シャープ系、フラット系で10個あります。  Turk Musikisi Dersleri (Zeki Yilmaz)からの引用


それから昨日最後に曲名を上げたエデルレジは、以下の曲です。バルカン・ロマ(ジプシー)のAnthemだとの形容もありました。哀愁味溢れる、いい歌です。この曲、例の微小音程を意識して聞くとワビサビ感が増すと思いませんか?w  確か原曲はアルバニア辺りのロマ民謡だったように記憶しています。
あわせて、「ジプシーの時」と同じ、エミール・クストリッツァ監督&ゴラン・ブレゴヴィッチ(音楽)のコンビの有名曲を2つ載せておきます。どちらも大ブレイクしたバルカン・ブラスの最大のヒット曲でした。2曲とも映画「アンダーグラウンド」からで、ルーマニアのファンファーレ・チョカリーアがやっているカラシニコフでは、お国ものの「ひばり」が引用されています。メセチナではブレゴヴィッチのバンドにブルガリアの女性コーラスが参加しています。

Ederlezi - Goran Bregovic

Goran Bregovic - Mesecina

Kalashnikov

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2007年10月 8日 (月)

デデ・エフェンディの名曲

今日はオスマン・トルコの大作曲家イスマイル・デデ・エフェンディが書いた、ラスト旋法のシャルク(古典歌曲)の名曲 Yine bir Gülnihal。 
パックス・オットマニカ (オスマン帝国の平和) を彷彿とさせる名調子です。

1本目はÇankaya大学のトルコ古典音楽合唱団とアンサンブルの演奏。
2本目は、サナート(軽古典音楽)の女性歌手、セチル・アクの歌唱。

Çankaya Üniversitesi Türk Sanat Müziği Korosu

Yine bir Gülnihal(seçil ak)

Ud_metodu

Yine_bir_gulnihal この曲の楽譜を添付しておきました。Mutlu Torunの定評あるウードの教本からです。調性が変わって何度も出てきます。ユーチューブにも、合唱や独唱だけでなく、ギターでの演奏など、様々なクリップがあって、今でもとても愛好されている曲のようです。

トルコの古典音楽では理論上1音(例えばドからレの間)を9つに分けますが、180度反対のフラットは、シから9分の1音下げた音、シャープは9分の4なので、通常の半音より少し低めです。このように、オスマン音楽ではとても微妙な音程が使われています。微妙に下がったり上がったりする音から、オスマン音楽らしい芳醇な味わいが生まれると思います。1音を4つに分けるイランやアラブより更に細かくしたのは、2つの偉大な先輩文化へのライバル意識もどこかにあったのでしょうか。

<この曲が入った参考盤>
Dede Efendi / Fasil   (Buyuk Bestekarlar Serisi 5)   Kemal Gurses (Sef)
COSKUN    CD 105
Dedefendicoskun ファスル(古典組曲)は爛熟期オスマン文化の粋のような形式である。混声合唱の陰影に富んだ表情が実に素晴らしい。ユニゾンで動くメリスマティックな合唱(西洋的では絶対にない)を中心に、トルコ古典楽器の総出演。間に各楽器ごとのタクシーム(即興)も挿まれる。このジャンルは欧米盤ではUnesco位にしか見当たらないが、トルコでは10枚位のシリーズで幾つも出ている。まだまだオスマン帝国時代に生まれた人も多いトルコでは、年輩を中心に根強い人気があるようだ。この盤は作曲家別シリーズの1枚で、19世紀の大作曲家イスマイル・デデ・エフェンディの作品。優美で感傷的な3拍子の佳曲Yine Bir Gur Nihalを初め、極めつけの名演。
※音楽之友社刊 「世界の民族音楽ディスク・ガイド」の拙稿から

常々バルカンの民謡には「9分の1音下げる音」が残っているように感じていました。トルコ領だった時の名残でしょうか。例えば、クストリッツァの「ジプ シーの時」の印象的な挿入歌Eerleziとかにも。終わりから3つ目の音を微妙に低めに取っていると思いますが、いかがでしょうか。その微妙な音程が、 歌の寂寥感を増すように聞こえます。

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