チェロ

2023年7月14日 (金)

メッツェナー氏のクラシック演奏 パッサカリアとイザイ

結局エドワード・メッツェナーさんのクレズマー・ヴァイオリンをフィーチャーした映像は見つけられず終いでした。何でクレズマーに目が向いたのかも謎のままです。クラシック演奏の方はかなりありますので、新倉瞳さんと夫婦でのヘンデル作曲ハルヴォルセン編曲のパッサカリアの一部と、イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ1番を上げておきます。このヴァイオリンとチェロ版のパッサカリアは前々から憧れの曲で、両パート練習していますが、人生の残り時間で果たして弾けるかどうかと思っている難曲です。全曲は10分余りあったと思いますので是非見たいものですが、アップされないでしょうか。イザイの無伴奏1番は、ヨーゼフ・シゲティに献呈された独奏曲で、この曲を暗譜出来る人の頭の中はどうなってるのだろうかと思う程の難解な難曲です。3本目はハイベ・バラガンで検索すると上位に上がっている動画ですが、大体この位の1,2分の映像がほとんどです。気に入ったらライブに足を運んでね、と言うことだと思います。それと番組でかけた音源はファーストアルバムのDer Nayer MantlからはYouTubeは見当たらず、2,3枚目がほとんどのようです。
ハイベ・バラガンは、ギタリストがイディッシュ語歌唱をよく聞かせているので、メッツェナーさんと二人は容貌からもユダヤ系ではと思いましたが。メッツェナーさんはフランス系スイス人とのことです。フランスのBudaから「フランスのユダヤ音楽の遺産」シリーズが出ているように、フランスでは戦後もドイツ程ユダヤ人人口が激減してないので、もしやと思いますが。

Edouard Mätzener and Hitomi Niikura @Rimini Bar

Edouard Maetzener - Ysaye Sonata No 1

Cheibe Balagan @ Schlauer Bauer Openair

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2023年7月12日 (水)

ハイベ・バラガン&新倉瞳

ハイベ・バラガンは2017年に来日、ジャパンツアーしていたのですね。地方にいると東京のライブ情報に疎くなりますし、ユダヤ音楽から久しく離れてもいたので、動画を調べるまで全く知りませんでした。シカラムータのお二人とセッションしている映像もありました。最近は95年頃のクレズマーの聴衆とは、かなり入れ替わっているでしょうか。
幾つか見た限りでは、ヴァイオリニストのメッツェナーさんは、コルンゴルドの難解なヴァイオリン協奏曲を弾く程の腕前なのに、クレズマーのライブでは、ヴァイオリンはむしろリズムセクション的な方に回って、歌って踊っている方が多い様にも見えました。このはっちゃけ具合は、どういうことでしょうか(笑) 最近作の幾つかの曲では、旋律は奥さんの新倉瞳さんのチェロに譲ってる感もあります。公式サイトに上がっているユーモラスな動画には、腹を抱えて笑ってしまいました(笑)が、やっぱりヴァイオリンのソロも見てみたいものですので、また探してみます。ユーモラスな動画は、また後日。
一本目は、2018年に出たセカンドアルバムのSumer in Odesから、Mayn Seideです。新倉さんのチェロが朗々と聞かせる旋律は、どこかハンガリーの時に聞いた作者不詳のチャールダーシュに似ています。2本目は日本ツアーのまとめ映像で、ここで流れている曲もMayn Seideです。

"Mein Seide" (My Grandfather)

Cheibe Balagan Japan Tour

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2023年7月10日 (月)

新倉瞳さんとクレズマーバンドCheibe Balagan

ゼアミdeワールド367回目の放送、日曜夜10時にありました。12日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は新倉瞳さんがクレズマーに関わるようになったきっかけについてのお話が中心の一本のみにしておきます。番組でかけた音源とライブ映像は水曜以降に。AI翻訳でしょうか、先週に続き相変わらず字幕は誤字だらけです(笑)

クレズマー音楽について話したり弾いたり歌ったり【Vlog #7 about Klezmer】

東欧系ユダヤ音楽の7回目になります。この後は、イディッシュの音源もまだまだありますし、その後は更に沢山出ているクレズマーを聞いていく予定ですが、その前にまず最近気になった音源を取り上げます。
クラシックの女性チェリストの名手として大活躍中の新倉瞳さんの演奏は、BSプレミアムのクラシック倶楽部やテレビ朝日系列の「題名のない音楽会」で見かけることも多いのですが、その中でクレズマーや東欧系ユダヤの音楽を取り上げられていて、それをたまたま「題名のない音楽会」で見かけてびっくりしました。クラシックのチェリストがクレズマーを演奏するとは、と言う新鮮な驚きがありました。クラシックにもエルネスト・ブロッホの作品のように、ユダヤ音楽そのもののような楽曲もありますが、そのままクレズマーを演奏しているというのは、多分初めて目にするように思います。
プロフィールを見てみると、スイス人ヴァイオリニストの旦那さんEdouard Mätzener氏が2014年に結成したクレズマーバンドCheibe Balagan (ハイベ・バラガン)のメンバーとしてもスイスで活動しているようで、二重に驚きました。年齢のことを言うのも何ですが、新倉さんが今年38歳、旦那さんは年下で34歳のようなので、その位の若い世代の方々は、70、80年代のクレズマー・リヴァイヴァルはもちろん、90年代の日本でもかなり盛り上がったクレズマー・ブームも、リアルタイムでは知らないのではと思いますから、何でクレズマーに目が向いたのかが、気になるところです。イディッシュ語の歌唱もあるので、もしかしたらメンバーの誰かがユダヤ系なのではとも思いました。
日本ではひと段落した感のあるクレズマーですが、ヨーロッパではもっとラディカルに潜行するように広まっていたのかも知れません。新倉さんと同じくEdouard Mätzener(エドワード・メッツェナー)さんも、数々の受賞歴と活動歴を持つプロのクラシック・ヴァイオリニストでありながら、20代前半でクレズマーのグループを作ったという人です。ヴァイオリンの場合は、イツァーク・パールマンのIn the Fiddler`s Houseがあるじゃないかと言う意見もあると思いますが、あの2枚はアメリカのクレズマー・バンドとのセッションで、独自のグループのメンバーと言う訳ではありませんでした。パールマンはユダヤ人ですから、イディッシュ語で歌まで歌うハイベ・バラガンの誰かもそのルーツを持つのかもと思った次第です。しかもよく知られたイディッシュ・ソングではなく、オリジナルと思われる曲にイディッシュ語の歌詞が付いているのが、更に驚きを新たにするポイントです。
Cheibe Balaganはチューリッヒ出身の若者たちにより結成されたクレズマーバンドで、ファーストアルバムDer Nayer Mantlは2016年にCDが出ていたようですが、今は入手困難になっているようです。この盤を含め3枚をストリーミングで確認しましたので、今回はその中から抜粋します。編成はヴァイオリン、チェロ、クラリネット、アコーディオン、ギター、ドラム、コントラバスと歌です。

まずファーストアルバムのDer Nayer MantlからKostakovsky's Freylakh、Bay Mir Bistu Sheyn、Sherele、Korobeinikiの4曲を続けます。アルバム冒頭のKostakovsky's Freylakhの後のBay Mir Bistu Sheyn(「素敵なあなた」)は、イディッシュ・ソングで最も有名な曲の一つで、ドナ・ドナと同じくショロム・セクンダの作曲です。Shereleは必ずしもこのタイトルではなかったと思いますが、クレズマーの定番曲の一つです。最後のコロベイニキは、ロシア民謡の「行商人」の旋律で、ロシア語タイトルがコロベイニキでした。アラカン世代の方には「魔法使いサリー」の学芸会シーンに使われていて、お馴染みのメロディだと思います。

<Kostakovsky's Freylakh 1分48秒>
<Bay Mir Bistu Sheyn 3分1秒>
<Sherele 2分26秒>
<Korobeiniki 2分33秒>

おそらく2018年に出たセカンドアルバムのSumer in Odesからは、Mayn Seideと言う曲を選びました。前奏後奏で新倉さんのチェロが朗々と聞かせます。

<Mayn Seide 3分4秒>

2022年のDuschin Duschin Bum Bum Bumからは、Galop、Violinen、Kapelushの3曲を選びました。やはりファーストアルバムの時よりも新倉さんのチェロが絡む部分が増えて、低音で奏される哀愁の旋律に耳が惹き付けられます。これらの曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Galop 4分42秒>
<Violinen 4分1秒>
<Kapelush 4分39秒>

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2023年5月25日 (木)

コル・ニドライとコール・ニドレイ

チェロの定番曲として有名なマックス・ブルッフのコル・ニドライですが、原曲のコール・ニドレイはユダヤ新年(ローシュ・ハシャナー)の贖罪日(ヨム・キプール)に一回だけ唱えられる畏れ多い秘曲のイメージが強く、加えてブルッフのオペラ・アリアのような後半のアレンジに少々違和感もあって(シナゴーグで歌うカントールの技巧を模していると言うより、コロラトゥーラにさえ近づいているようにも聞こえまして)、楽譜はありますが、さらったことはほとんどないです。ユダヤ人ではないブルッフだから書けた曲なのかなと思います。逆にユダヤ人だったら、おいそれと近づけないはずです。私は90年頃にカザルスのビダルフ盤でコル・ニドライを聞く前に、ドハーニ街の音源で原曲のコール・ニドレイを聞いていたので、稀な例かも知れません(笑) と言う訳で、この曲はユダヤ人演奏家に登場頂きたいと思いまして、ミッシャ・マイスキーの演奏を一本目に上げました。弾きながらどんなことを思うのでしょうか? 2本目がドハーニ街シナゴーグの音源です。(以下放送原稿を再度)

Kol Nidoreiの「ei」の部分がドイツ語の場合、通常「アイ」と発音するので、コル・ニドライと言う発音がよく知られていますが、ヘブライ語本来の発音はコール・ニドレイです。ユダヤ新年(ローシュ・ハシャナー)の贖罪日(ヨム・キプール)の初めに歌われる厳粛な祈祷歌で、ユダヤ旋律らしいエキゾチックな増二度音程が特徴的です。カディッシュ同様、通常はアラム語で唱えられます。コール・ニドレイとは「すべての誓い」のような意味です。

Bruch: Kol Nidrei ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Mischa Maisky ∙ Paavo Järvi

<6 Kol Nidrei 6分31秒>

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2022年11月16日 (水)

もう一つの「鳥の歌」

カザルスのもう一つの「鳥の歌」もYouTubeにありました。2008年頃出た現物が手元に残ってなかったので、伴奏の形態がよく分かりませんが、弦がフラジオを多く入れて弾くとこんな風に聞こえるのでしょうか。2本目はDVDの映像からの抜粋、3本目は有名な国連コンサートの音源です。(以下放送原稿を再度)

先ほどの「鳥の歌」に戻りますが、元はカタロニアのクリスマス・キャロルだったこの曲を一躍有名にしたのが、スペインの大チェリスト、パブロ・カザルスです。彼のアレンジが最もよく知られ、チェロの定番曲になっています。余りにも有名なカザルスの国連コンサートでの演奏は、平和を希求するものでしたが、追悼曲としてもよく弾かれるようです。私も昨日一昨日と、父の祭壇の前でチェロとヴァイオリンでそれぞれ弾きました。今回おかけするのは、国連ライブとは別のカザルスの音源です。

<パブロ・カザルス El Cant del Ocells 3分16秒>

El cant dels ocells - Pau Casals

Traditional Catalan Christmas song: El Cant dels Ocells, Casals & Horszowski (1961) 鳥の歌 カザルス

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2022年11月14日 (月)

鳥の歌

ゼアミdeワールド334回目の放送、日曜夜10時にありました。16日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。まずはナターシャさんの「鳥の歌」から。このライブの弾き語りと、コブザーリでの演奏はかなり違いますが。

実は2日に私の父が亡くなりまして、7年間で初めて収録を飛ばしてしまいました。今回は追悼特集にしたいと思います。まずはスペイン北東部カタロニア地方の民謡を元にした「鳥の歌」からおかけします。演奏はウクライナのバンドゥーラ弾き語りの歌姫、ナターシャ・グジーです。10/13のしこちゅ~ホールでのコンサートも聞きに行って来ました。

<旅歌人(コブザーリ)/ ナタリア3 ~鳥の歌 7分12秒>
Song of the Birds ( El Cant dels Ocells ) by Nataliya Gudziy / 鳥の歌 ・ ナターシャ・グジー

次はベートーヴェンの弦楽四重奏曲13番の第5楽章カヴァティーナで、演奏はブダペスト弦楽四重奏団です。大変に美しい曲で、追悼曲としてもよく弾かれる曲です。大変お世話になった音楽プロデューサーの星川京児さんの追悼で6年前にもかけました。

<String Quartet No. 13 in B-Flat Major, Op. 130: V. Cavatina. Adagio molto espressivo (Live) 7分15秒>

先ほどの「鳥の歌」に戻りますが、元はカタロニアのクリスマス・キャロルだったこの曲を一躍有名にしたのが、スペインの大チェリスト、パブロ・カザルスです。彼のアレンジが最もよく知られ、チェロの定番曲になっています。余りにも有名なカザルスの国連コンサートでの演奏は、平和を希求するものでしたが、追悼曲としてもよく弾かれるようです。私も昨日一昨日と、父の祭壇の前でチェロとヴァイオリンでそれぞれ弾きました。今回おかけするのは、国連ライブとは別のカザルスの音源です。

<パブロ・カザルス El Cant del Ocells 3分16秒>

次は父が好きだった近江俊郎の「湯の町エレジー」です。父は若い頃演歌ギターを弾いていたことがあり、この曲などを歌い手と二人で演奏しながら、酒場を流したことがあったそうです。私もさわりをクラシック・ギターで練習したことがあります。

<近江俊郎全曲集 湯の町エレジー 4分14秒>

最後に黄檗宗の大本山、萬福寺の朝課(朝のお勤め)の音源を聞きながら今回はお別れです。うちは旧・周桑郡にある黄檗宗の寺、正法寺の檀家で、祖父や祖母の葬儀でも類似の音楽を耳にしたように思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<萬福寺の梵唄 黄檗宗の朝課 36分23秒>

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2022年9月29日 (木)

オーヤン・ナナのポッパー / ハンガリー狂詩曲

ナナさんのCD&DVDは2016年リリースですが、YouTubeもありました。ライブ映像もありましたので、一本目に入れておきます。この曲も19世紀に沢山書かれたチャールダーシュの一つ。まだ楽譜を見たことがないので、見てみたいものです。(以下放送原稿を再度)

イェネー・フバイの室内楽演奏のパートナーであるチェリストのダヴィッド・ポッパー(1843-1913)は作曲家としても有名で、チェロの優れた難度の高いエチュードを沢山残していて、私もいくつか取り組んだことがあります。彼の一番有名な作品と言えば、リストの曲と同じ曲名ですが、やはりハンガリー狂詩曲でしょう。彼はユダヤ系チェコ人のオーストリア=ハンガリー二重帝国のチェロ奏者・作曲家で、このプロフィール自体が当時の複雑な国際情勢を表していると思います。演奏は日本の歌手、欧陽菲菲(オーヤン・フィーフィー)の姪に当たる欧陽娜娜(Nana)のチェロと、ピアノ伴奏はティエンリン・チャンです。

歐陽娜娜 Nana Ou Yang(12) Popper:Hungarian Rhapsody op.68 Concerto with Orchestra Feb.3,2013

<11 Nana & T.L 藍子庭 / ハンガリー狂詩曲 作品68 8分23秒>

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2022年9月26日 (月)

イェネー・フバイとダヴィッド・ポッパー

ゼアミdeワールド328回目の放送、日曜夜10時にありました。28日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日の動画はフバイの「バラトン湖の波の上で」の自作自演とジェルジ・ラカトシュ&ジプシー楽団の2本です。記憶違いでロビー・ラカトシュの叔父はシャーンドル・ラカトシュだったので、ジェルジとロビーの続柄を調べておきます。

ハンガリー音楽の9回目になります。今回はハンガリーのクラシック音楽のヴァイオリニストのイェネー・フバイ(1858-1937)とチェリストのダヴィッド・ポッパーの曲を取り上げます。

イェネー・フバイと言えば、ブラームスとの関係が深かった19世紀の大ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムから教えを受けたこととか、20世紀前半の大ヴァイオリニスト、ヨゼフ・シゲティや、後に指揮者に転向したユージン・オーマンディにヴァイオリンを教えたこと、チェリストのダヴィッド・ポッパーが室内楽演奏のパートナーだったことなどが有名です。ヴァイオリニストとしてのフバイは、ブラームスやフランコ・ベルギー派ヴァイオリンの巨匠ヴュータンから称賛を受けていました。
このようにクラシック音楽の中心にいながらも、フバイの作品にはハンガリーの民族色を出した曲もありまして、6年ほど前にライコー・ヤング・ジプシー楽団の演奏で、ハンガリーで一番大きなバラトン湖をテーマにした「バラトン湖の波の上で」と言う曲をかけました。この曲もジプシー楽団がよく取り上げる曲で、ラッサンの部分に当る哀愁の名旋律に始まり、後半はフリスカの急速な部分に当たりますから、これもチャールダーシュ的な作品と見て良いと思います。
今回はこの曲をクラシックの演奏とジプシー楽団の演奏の2つを続けておかけします。最初はイェネー・フバイの自作自演でピアノ伴奏はオットー・ヘルツ、2曲目はロビー・ラカトシュの叔父に当たるジェルジ・ラカトシュと彼のジプシー楽団による演奏です。Souvenir from the Hortobágyに入っています。

<イェネー・フバイ & Otto Herz  Scènes de la csárda No. 5 "Hullámzó Balaton", Op. 33 (Version for Violin & Piano) 5分41秒>

<György Lakatos and His Gipsy Band / Souvenir from the Hortobágy ~On the waves of lake Balaton 6分12秒>

フバイの室内楽演奏のパートナーであるチェリストのダヴィッド・ポッパー(1843-1913)は作曲家としても有名で、チェロの優れた難度の高いエチュードを沢山残していて、私もいくつか取り組んだことがあります。彼の一番有名な作品と言えば、リストの曲と同じ曲名ですが、やはりハンガリー狂詩曲でしょう。彼はユダヤ系チェコ人のオーストリア=ハンガリー二重帝国のチェロ奏者・作曲家で、このプロフィール自体が当時の複雑な国際情勢を表していると思います。演奏は日本の歌手、欧陽菲菲の姪に当たる欧陽娜娜(Nana)のチェロと、ピアノ伴奏はティエンリン・チャンです。

<11 Nana & T.L 藍子庭 / ハンガリー狂詩曲 作品68 8分23秒>

SymposiumのGreat Violinists, Vol. 1と言う1903-1944年の歴史的録音の中に、ヨーゼフ・ヨアヒム, サラサーテ, レオポルド・アウアー, ウジェーヌ・イザイ, イェネー・フバイ, カール・フレッシュ, フリッツ・クライスラーなど19世紀のヴァイオリンの巨匠達の演奏が入っていまして、その中に先ほどの「バラトン湖の波の上で」と組曲を成しているScenes de la Csarda(酒場の情景) No. 12, Op. 83, "Pici tubiczam" (My Little Pigeon 私の小さな鳩) (version for violin and orchestra)と言う曲が入っています。「バラトン湖の波の上で」がこの組曲の5番です。Symposium Recordsの現物が手元にないため、確かではありませんが、おそらくイェネー・フバイ自身の録音のようです。この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Scenes de la Csarda No. 12, Op. 83, "Pici tubiczam" (My Little Pigeon) (version for violin and orchestra) 8分14秒>

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2021年11月 4日 (木)

イムレ・カールマンのコダーイ無伴奏チェロ

コダーイの無伴奏チェロ・ソナタは、何故か1楽章だけ見られるのが少ないようで、この曲を一躍有名にしたヤーノシュ・シュタルケルの1楽章もないようですし、イムレ・カールマンさんの映像も3楽章のみのようです。仕方ないのでイムレさんの3楽章を一本目に、2本目は現代フランスの名手ゴーティエ・カプソンの1楽章冒頭、3本目は例のイムレ・カールマンさんのバッハのシャコンヌです。ジャンルは違いますが、旧ユーゴのハンガリー系弦楽器名人、イムレさんとライコー・フェリックスに共通するのは、心を打つ激しさと悲しみでしょうか。それはディアスポラのハンガリー人だからなのでしょうか?(以下放送原稿を再度)

では最後に先ほど名前が出たユーゴ側のハンガリー系音楽家、チェリストのイムレ・カールマンが演奏するハンガリーの大作曲家ゾルタン・コダーイの無伴奏チェロソナタを時間まで聞きながら今回はお別れです。ハンガリーの民族舞曲ヴェルブンコシュなどの様式を踏まえた30分を越える大曲ですので、おかけできるのは冒頭の一部です。ヨーヨー・マによる演奏で、第1楽章がサントリーローヤルのCM曲として使用されたので、聞き覚えのある方もいらっしゃるのではと思います。
10年以上前にイムレ・カールマンがチェロで弾くJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリンのパルティータ2番のシャコンヌのYouTubeをゼアミブログで特集したことがありますが、その記事を見た沖縄のイムレさんのお知り合いの方からこのハンガリー盤を頂きました。シャコンヌを元の調で弾く程の名手ですから、コダーイのこの難曲も楽々弾いているように聞こえます。

Imre Kalman - Kodály Cello Solo Sonata op. 8, III Mvt

Gautier Capuçon plays Kodaly: Sonata for Solo Cello, Op. 8: I. Allegro maestoso ma appassionato

Kalman Imre Cello Johann Sebastian Bach: Chaconne part 1

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2021年11月 1日 (月)

ボバン・マルコヴィチとライコー・フェリックスの共演 他

ゼアミdeワールド283回目の放送、日曜夜10時にありました。3日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はボバン・マルコヴィチ・オーケスターとライコー・フェリックスの共演のみにしておきます。放送でかけたCrni Vozと、46分の共演映像も。生映像を一本目に入れておきます。

セルビアの音楽の5回目です。まずは前回予告していたボバン・マルコヴィチ・オーケスターのSrce Cigansko(ジプシーの心)から、セルビア北部ヴォイヴォディナ出身のハンガリー系超絶ヴァイオリニスト、ライコー・フェリックスと共演したCrni Voz (feat. Lajkó Félix)からおかけします。ライコー・フェリックスはハンガリー盤が多いので、てっきりハンガリー在住だと思っていて、今回初めてヴォイヴォディナのハンガリー系の人と知りました。ユーゴ側のハンガリー系音楽家と言えば、チェリストのイムレ・カールマンもそうで、弦楽器名人が目立つように思います。ブラスの強烈な音に負けないヴァイオリンを聞かせるのは、彼くらいかも知れません。タイトルのCrni Vozの意味は、「黒い電車」だと思います。2+2+2+3の9拍子ですから、チョチェクの一種ではと思います。

Boban Marković Orkestar feat. Lajkó Félix

<Boban Marković Orkestar / Srce Cigansko (feat. Lajkó Félix) ~Crni Voz 8分51秒>

ここ数回セルビアのロマ音楽を中心に聞いてきましたが、一般のセルビアの民族音楽の音源からも探してみました。旧ユーゴに入って何度か出てきたフランスのプラヤサウンドの「Chants & Danses De Yougoslavie (Yugoslavian Songs & Dances)」から、アンサンブル・ラキアの演奏で2曲続けます。ユーゴスラヴィアが一つの国だった頃の音源で、Ljiljanino KoloとSestorkaの2曲です。アコーディオンと裏打ちリズムを刻むギターによるコロは典型的なユーゴの旋律を奏でていますが、ユダヤの速いホラにもそっくりです。Sestorkaもテンポは速いですが、ヴァイオリンと笛のメロディはバルカンど真ん中のイメージです。

<Ensemble "Rakija" / Ljiljanino Kolo (Servia) 2分24秒>
<Ensemble "Rakija" / Sestorka (Servia) 1分53秒>

次の「ブランコ・クルスマノヴィッチ・グループ/セルビア&モンテネグロの音楽」と言うイギリスARC盤は、この二つの国が一つだった2005年に出たので、一緒に入っています。現物が手元に残ってないので、どの曲がセルビアとモンテネグロのどちらになるのか不明ですが、一曲目は一番華やかですし、おそらくセルビアだろうと思って取り上げました。1950年代からメンバーチェンジをしながら活動を続けている現地のトップグループだそうです。
タイトルのVlaske igreは、セルビア語の翻訳にかけると、「ヴラフ人のゲームあるいは演奏」と出てきました。「演奏する」や「遊ぶ」はロシア語でもイグラーチなので、またもやそっくりです。吸血鬼伝説だけでなく諸々のセルビアとルーマニアの文化を繋ぐ民族として、ラテン系の少数民族ヴラフ人は捉えられているのではと思いますが、この音楽もどちらにも似ています。

<Branko Krsmanovic Group / Music of Serbia & Montenegro ~Vlaske igre 5分28秒>

では最後に先ほど名前が出たユーゴ側のハンガリー系音楽家、チェリストのイムレ・カールマンが演奏するハンガリーの大作曲家ゾルタン・コダーイの無伴奏チェロソナタを時間まで聞きながら今回はお別れです。ハンガリーの民族舞曲ヴェルブンコシュなどの様式を踏まえた30分を越える大曲ですので、おかけできるのは冒頭の一部です。ヨーヨー・マによる演奏で、第1楽章がサントリーローヤルのCM曲として使用されたので、聞き覚えのある方もいらっしゃるのではと思います。
10年以上前にイムレ・カールマンがチェロで弾くJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリンのパルティータ2番のシャコンヌのYouTubeをゼアミブログで特集したことがありますが、その記事を見た沖縄のイムレさんのお知り合いの方からこのハンガリー盤を頂きました。シャコンヌを元の調で弾く程の名手ですから、コダーイのこの難曲も楽々弾いているように聞こえます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Imre Kalman / Music for Solo Cello ~Kodaly / Solo Sonata for Cello 30分10秒>

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