ハンガリー

2019年7月25日 (木)

ツィゴイネルワイゼンの謎

「何でスペインの作曲家のサラサーテが、遠く離れたハンガリーのジプシー音楽を書いたのか? スペインのジプシー音楽と言えば、フラメンコがあるのに。」と長年不思議に思っていたものですが、先日書きましたように、「19世紀にチャールダッシュがヨーロッパで大流行した経緯があって、ジプシーではない作曲家のサラサーテのツィゴイネルワイゼンやモンティのチャールダッシュ、ブラームスのハンガリー舞曲、リストのハンガリー狂詩曲などが生まれた。」と分ってから謎が氷解しました。
そのツィゴイネルワイゼンですから、音楽自体の地元に近い場所の人が弾くのが一番似合うのかも、と思います。この女流ヴァイオリニストRusanda Panfiliは、モルドヴァの首都キシニョフ出身だそうです。ルーマニア系の国で、音色もどこか東欧の色彩を感じさせます。

Pablo de Sarasate - Zigeunerweisen Gypsy Airs Melodii Lautaresti

| | コメント (0)

2019年7月24日 (水)

ハンガリーのジプシー・ヴァイオリンの技巧

先日のGypsy Primasで聞いたような音は、どうやって出しているのだろうかと思うことがよくありました。今日の一本目など見ると、左手の技がよく分かります。火花を散らすような速弾きだけでなく、ポルタメント(音程のすり上げ、すり下げ)を多用するフリーリズム部分での即興演奏に一番特徴があるように思います。独特な装飾音の動きと、深くメランコリックなヴィブラートも魅力です。2本目はブラームスのハンガリー舞曲4番で始まります。有名な5番や1番はよく聞きますが、4番をジプシー楽団で聞くのは稀なように思いました。(ギターが入ってくると、マヌーシュと境が曖昧になるような気もします)

Gypsy music,Buganka,Jozsi Kotlar primas

Rare Hungarian Slovak Gypsy Concert in Detroit, MI

| | コメント (0)

2019年7月22日 (月)

Gypsy Music from HungaryとZingariから

ゼアミdeワールド170回目の放送、日曜夜にありました。24日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。

アフガニスタンの次は、パキスタン北部に位置するカラコルム山脈のフンザとギルギットの予定でしたが、6日~9日まで宮古島と那覇に行っていたので準備の時間が十分に取れなかったのと、カラコルムのノンサッチ盤のライナーノーツが行方不明で調べるのに少し時間をかけたいので、今回はデベン・バッタチャリアのフィールド・レコーディングから、エリアを先回りしてご紹介したいと思います。世界的な民族音楽学者のデベン・バッタチャリアが、1955年と70年にカブールで録音してきたアフガニスタンの音源を、166回目と167回目で取り上げておりました。今日ご紹介するのはイギリスARCの2枚ですが、現在のカタログからは消えているようですので、アップルミュージックからの音出しになります。そのため演奏者情報は不明です。

彼の録音の数々を見ると、自身のルーツであるインド東部とその周辺の音楽に強く目が向いているように思います。それと、ジプシー(ロマ)のルーツの地と言われる、西インドのラジャスタン州からヨーロッパまでのジプシー音楽の軌跡にも熱い視線が注がれているように思います。
日本の民族音楽学者の小泉文夫氏が日本と西洋の音楽の関係性を考える際に、間に位置するシルクロード(東洋から中洋)の音楽に着目したのと、方法的に少し似ているようにも思いますし、対極と言えるかも知れません。バッタチャリアが西洋のクラシックをどう見ていたかが気になるところです。

今回はハンガリーのジプシー音楽の音源を取り上げますが、私自身が1977年頃にハンガリーやルーマニアの音楽から民族音楽の広大な世界に入ってきたので、とても馴染みのある音楽です。ハンガリーの音楽には、今回おかけする都会ブダペスト中心に演奏されてきたチャールダッシュ(あるいはチャルダッシュ、正確にはチャールダーシュ)やヴェルブンコシュなどの洗練された舞曲と、そのルーツの一つである泥臭い農村ジプシーの音楽、そのどちらとも異なる、かなりアジア寄りとも言えるマジャール民族本来の音楽があります。カラコルムの後は、ウイグルからトルコ系繋がりでトルコに飛んで、ギリシアから北上してヨーロッパを回りますので、ハンガリー音楽を取り上げるのは、1,2年は先になるかと思います。

19世紀にチャールダッシュがヨーロッパで大流行した経緯があって、ジプシーではない作曲家のサラサーテのツィゴイネルワイゼンやモンティのチャールダッシュ、ブラームスのハンガリー舞曲、リストのハンガリー狂詩曲などが生まれました。よく誤解されているようですが、チャールダッシュはモンティの曲の固有名詞ではありません。

レストランか酒場でのチャールダッシュの臨場感溢れる演奏がバッタチャリアの音源にも入っておりますので、ツィンバロムなどの伴奏でヴァイオリンやクラリネットが名人芸と妙音を聞かせるGypsy Primasと、Czardas and Gypsy Tentsを続けて17分ほどどうぞ。

<3 Gypsy Music from Hungary / Gypsy Primas 8分57秒>


<4 Gypsy Music from Hungary / Czardas and Gypsy Tents 8分4秒>


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ここでライブ情報を入れます。

一昨年、去年と加藤吉樹さんのウード・ソロ・ライブを2年連続で催しましたが、今年も加藤さんがいらっしゃってライブを行うことになりました。関西から熊本までのソロ・ライブ・ツアーの一環です。宜しければ是非お越し下さい。

アラブ音楽ライブ ~ウードソロ~

7月31日(水)

開場 18時00分   開演 19時00分

 
会場 Cafeトーク・トーク 今治市北高下町2-1-7ハイツ近藤2の1階

*駐車場は限定5台ですので、出来るだけ公共交通機関等をご利用下さい。

定員:25名限定      珈琲か紅茶のワンドリンク付き 2000円

演奏:加藤吉樹(ウード)


ご予約:VYG06251@nifty.ne.jp   または 携帯090-8044-8535

携帯に出られないことも多いので、出来るだけメールでのご予約をお願い致します。

バックでかけているのは、Bint El Baladという3分余りの曲です。時間までお楽しみ下さい。

以上、ライブ情報でした。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

では最後にバッタチャリアの別のジプシー音楽コンピレーション盤「ツィンガリ」から、スペインのフラメンコを聞きながら今回はお別れです。曲名はセギリージャ・ヒターノで、ジプシーのセギリージャの意味です。セギリージャ(あるいはシギリージャ)はフラメンコの代表的なレパートリーの一つです。このARC盤ではヨーロッパの東西のジプシー音楽を収めていますから、フラメンコも入ってきます。

ゼアミdeワールドでは、ギリシアから入ってクラシックも交えながらヨーロッパ中を巡りスペインに辿り着くのは、ハンガリーが1、2年後だとしたら、それから更に2年前後経っているのではと思います。その後は北アフリカに渡りモロッコから東に進み、アラビア半島、インド、東南アジア、日本を含む東アジアと回る予定です。その後は北アジア、ブラック・アフリカ、南北アメリカ、オセアニアも控えています。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<9 Zingari / Seguiriya Gitana 5分23秒>

| | コメント (0)

2017年5月12日 (金)

ビンの踊り、糸つむぎ部屋の夜、三つの跳躍の踊り 他

「エチェル村の結婚式」から、放送でかけられなかったビンの踊り、糸つむぎ部屋の夜、三つの跳躍の踊り、を一挙にアップします。この盤は確か廃盤になったように思います。おまけで、「エチェル村の結婚式」の現在形でしょうか? とても興味深いライブ映像2本もどうぞ。ヴァイオリンをやっている者としては、縦に構えてッガッガと裏打ちで弾くリズム・ヴァイオリン(ヴィオラ?)はもちろん、ソリストのユニークなボウイングからも目が離せません。

Ecseri lakodalmas track 4

ビンの踊りは、頭の上にビンを乗せて踊る踊りで、結婚式の料理を作る手伝いに来ている隣近所のおかみさん達が、お鍋の底を叩くリズムに合わせて頭の上のビンを落とさないようにして輪になって踊る余興的な踊りです。甲高い印象的な音を出す笛は、羊飼いの縦笛のフルヤ(Furulya)です。

Ecseri lakodalmas track 5

糸つむぎ部屋での村の青年や娘たちの民謡風な情景を踊りに綴った舞台の音楽で、その素材は、サボーチ・サツマール県を中心にしたハンガリー東北部の民謡を用いています。

Ecseri lakodalmas track 8

三つの跳躍の踊りは、最も一般的な女性の踊りで、ハンカチを振りながら小さく飛び跳ねて地面を打つ靴の音でリズムを作って踊ります。ドナウ川以東の民謡の宝庫と言われる、南部のカローチャとデッチなどの村々で歌われる有名な民謡が素材になっています。

Ecsédi lakodalmas magazin 1


Ecsédi lakodalmas magazin 2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年5月10日 (水)

Ecseri Lakodalmas

「エチェル村の結婚式」(Ecseri Lakodalmas エチェリ・ラコダルマシュ)の実演映像が結構ありまして、しかも50、60年代のかなり古い映像もあります。いかにこの作品がハンガリー民族音楽において重要な曲であるかの証左ということでしょうか。美しい刺繍を施された民族衣装を眺め、ポントゾーとかのブーツをはいた男性の踊りを見るだけでも、実に楽しく懐かしく思います。
水曜の収録では、ベラルーシ音楽を取り上げました。次回もう一回ベラルーシでやるか、合唱繋がりでバルト三国に回るか考え中です。店にはサブノートを持って行っておりまして、HP作成ソフトはまだ入ってないので、本器を立ち上げずサブでブログアップする場合、トップページの更新は出来ませんが、その点はどうぞご了承くださいm(__)m

Ecseri lakodalmas (1952) - Állami Népi Együttes

MÁNE ECSERI LAKODALMAS 1988 14 Ecseri lakodalmas.avi

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年5月 8日 (月)

エチェル村の結婚式

ゼアミdeワールド56回目の放送、日曜夕方に終りました。10日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

前々回に作者不詳のチャールダッシュハ短調という曲をかけまして、ZeAmiブログでこの曲のyoutubeを何本か取り上げました。とても印象的なメランコリックな名旋律だったと思います。
ウクライナの次はベラルーシを予定していますが、その前に今回はチャールダッシュハ短調の入っていた「エチェル村の結婚式」(Ecseri Lakodalmas)を特集してみたいと思います。演奏はハンガリー国立民族アンサンブルで、彼らは1977年頃来日して、その舞台が当時テレビで放映されました。私はTVからカセットに録音しまして、今でも手元にあります。いつもこの番組のオープニングにかけているペルシア音楽の、ほぼ同じパーソネルの盤で初めて聞いたのが79年、その前の1977年に初めてハンガリー音楽を聞いたのがこの「エチェル村の結婚式」という事で、どちらも甲乙付けがたい程とても思い出深い一枚です。この録音は1996年にハンガリーHungarotonからCD化されております。今回はハンガリー音楽やアイヌ音楽の専門家として知られる谷本一之さんの名解説を参考にしながら進めたいと思います。77年リリースのビクターのLP解説を参照しております。
まず一曲目のゾルタン・コダーイ作曲のカーロー民族舞曲からどうぞ。解説は曲が終ってから入れます。

<エチェル村の結婚式~カーロー民族舞曲 6分27秒>
The Kálló Double Dance


この曲は1951年にコダーイがこのアンサンブルのために作曲した曲で、ジプシー楽団の演奏スタイルを念頭におきながら、それを一回り大きくしたアンサンブルと混声合唱のために書かれた舞踊曲です。使われている民謡はコダーイが1938年にハンガリー東部のサボーチ・サツマール県のノジュカーロで収集したもので、曲名はこの地方名から来ています。

次は2曲目に入っている「セークの音楽」です。セークというのは、今はルーマニア領になっているエルデーイ地方のコロジュヴァールに近い村ですが、このトランシルヴァニアのエルデーイ地方というのは、三方を山に囲まれて交通が不便なことが手伝って、最も古く伝統的なハンガリーの民族伝統が豊かに受け継がれている所として知られています。原曲はライタ・ラースローが1940年頃に収集し1954年に出版したセーク・コレクションから選ばれていて、この楽団の音楽監督グヤーシュ・ラースローが編曲を手掛けています。

<エチェル村の結婚式~セークの音楽 6分48秒>
Music from Szék


そして続けて出てくるのが、作者不詳のチャールダッシュハ短調でした。冒頭のメランコリックな旋律と、速い部分での火花を散らすようなジプシー・ヴァイオリンの名人芸が聞き所ですが、先の2曲のような素朴な民族音楽と比べると、その洗練具合がよく分るかと思います。再度かけてみます。

<エチェル村の結婚式~チャールダッシュハ短調 2分44秒>
Csárdás in c-moll


この後、ビンの踊り、糸つむぎ部屋の夜、リストのハンガリー狂詩曲2番(96年のCDではイムレ・チェンキのハンガリーのジプシーの踊り)と続きますが、時間の関係で割愛しまして、その次に入っているのが、自身の楽団を率いて世界的に活躍したジプシーの名ヴァイオリニストで、チャールダッシュの前進の後期ヴェルブンコシュ音楽の代表的作曲家だった19世紀初頭のビハリ・ヤーノシュを偲ぶ「ビハリの想い出」と言う曲です。彼は古い大衆歌曲をヴェルブンコシュの旋律として取り入れた大衆的な作曲家でしたが、ウィーン風なロマンティックな旋律の作曲家でもあったそうです。「ビハリの想い出」の中には彼の作品から5曲が取り上げられています。

<エチェル村の結婚式~ビハリの想い出 4分38秒>
In Memory of Bihari


8曲目には「3つの跳躍の踊り」が入っていますが、こちらも時間の関係で割愛しまして、その次にこのアルバムのラストを飾っているのが、アルバムタイトル曲の「エチェル村の結婚式」です。この曲を聞きながら今回はお別れです。ブダペストに近いエチェル村に伝わる結婚式の風習を基に人生を描いたマロシュ・ルドルフ作曲の創作舞踊の音楽です。ヴェルブンコシュやチャールダッシュなどが鏤められて紙芝居のように出てきます。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<エチェル村の結婚式~エチェル村の結婚式 12分22秒>
Wedding at Ecser

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年5月 4日 (木)

ツィゴイネルワイゼンとチャールダッシュ

ツィゴイネルワイゼンについて書くと言いながら、まだでした。スペインの作曲家サラサーテが、何故ハンガリーの民族舞曲チャールダッシュに則った曲を書いたのか、長らく謎だったのですが、19世紀にヨーロッパでチャールダッシュが大流行し、ウィーン宮廷から禁止令まで出る程だったというのを知って、納得しました。ブラームスやシューマンなどが、ハンガリーのジプシー音楽を取り入れながら、それぞれの特色を生かした曲を書いていましたが、サラサーテはヴァイオリンのヴィルトゥオーソらしい非常に技巧的な難曲を書きました。彼の他の作品では、サパテアードのようなスペイン音楽に則った曲がほとんどで、その中でツィゴイネルワイゼンは、突然ハンガリー風ですから、やはり異色です。ハンガリーのジプシー音楽では、猛烈な速弾きはあっても、左手のピチカートまで入れては弾いてなかったと思いますから、その超絶技巧はサラサーテの創作と見て良いように思いますが、どうでしょうか。
サラサーテの楽譜に忠実にジプシーの演奏家が弾いている映像があれば是非見てみたいですが、まずはハンガリーに近いルーマニアの女流ヴァイオリニストRusanda Panfiliの妙技でアップしておきます。タイトルにMelodii Lautarestiとありますが、ルーマニアの職能音楽家ラウタルのことだと思います。

Pablo de Sarasate - Zigeunerweisen Gypsy Airs Melodii Lautaresti

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年4月27日 (木)

作者不詳のチャールダッシュ ハ短調

先日の放送でかけました作者不詳のチャールダッシュハ短調と同じメロディを探していましたが、数年前にもアップしたはずなのに、なかなか捜索に手間取りました。イ短調などに転調されていますが、同じメロディです。1本目が、放送でかけた「エチェル村の結婚式」での演奏と同じ録音です。
チャールダッシュは、本当のマジャール(ハンガリー)音楽でも、本当のジプシー音楽でもないとは、よく言われることで、確かにそうなのですが、それでもこのメランコリックな旋律の魅力はいささかも変わらないと思います。

Csárdás in c-moll

a moll csardas , slovakia

Nyári Ernő és Gócza Dávid: a-moll csárdás

Tibor Kalocsai 12 years a-mol csárdás

Tcha Limberger - Gypsy Violin - Am Csardas - Hungarian Viola Style Rhythm

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年4月24日 (月)

ハンガリーのチャールダッシュ

ゼアミdeワールド54回目の放送、日曜夕方に終りました。26日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

前回ウクライナ西部のハンガリー系音楽としてチャールダッシュが出てきましたが、先日ラヂバリのパーソナリティTさんとやりとりしていて、チャールダッシュと言うのは、「モンティのチャールダッシュ」のみを指す固有名詞のように思われていて非常に驚いたことがありました。90年代に葉加瀬太郎さん他のクライズラー&カンパニー辺りが弾いてからでしょうか、日本で非常にポピュラーになりまして、チャールダッシュと言うとこのイタリアの作曲家モンティの書いた曲のみを指すように思われ勝ちのようにも思います。ですので、いつかチャールダッシュだけでやりたいと思っておりました。ハンガリーに回ってきたら、また改めて大きく取り上げたいと思いますが、今回はウクライナ音楽めぐりの途中でちょっと寄り道します。
チャールダッシュと言うのは、前回少しお話しましたが、19世紀前半のハンガリー独立戦争の頃に募兵活動の中で生まれた男性の踊りヴェルブンクが基礎になってヴェルブンコシュが生まれ、更にそれが居酒屋(チャールダ)で洗練されてチャールダッシュが生まれたとされています。ゆったりとした哀愁漂うラッサンの部分と、急速なフリスカの部分からなる舞曲で、ハンガリーのジプシー楽団が盛んに演奏し妙技を披露、19世紀にはヨーロッパ中で大流行し、ウィーン宮廷は一時チャールダーシュ禁止の法律を公布したほどだったそうです。そんなムーヴメントの中でドイツの大作曲家ブラームスのハンガリー舞曲や、サラサーテのツィゴイネルワイゼンが生まれています。ハンガリーから遠く離れたスペインの作曲家サラサーテが、何故チャールダッシュを書いたのか?と長年疑問に思っていましたが、そういう背景があったことを後で知りました。
まずは、ブラームスのハンガリー舞曲から有名な第5番と第1番を続けてかけてみましょう。カラヤン指揮ベルリン・フィルの定番です。個人的にはメランコリックな旋律美を極めている1番が、特にチェリビダッケ指揮の名演を聞いてから一番のお気に入りでした。

<ブラームス / ハンガリー舞曲 第5番 2分35秒>
Maxim Vengerov Brahms:Hungarian Dance No.5

現在のトップヴァイオリニストと言われるマキシム・ヴェンゲーロフの演奏。

<ブラームス / ハンガリー舞曲 第1番 2分52秒>
Khatia Buniatishvili, Yuja Wang - Brahms, Hungarian Dance No. 1

最近ホットな二人の女流ピアニストによるピアノ連弾版

第5番の曲自体はケーレル・ベーラのチャールダーシュ "Bartfai emlek" が原曲とされています。私の所属している弦楽合奏団でも5番は既に何度か舞台で弾きましたし、1番も猛練習しましたが、こちらはかなり難しくまだ舞台にはかけられておりません。
ジプシー楽団が演奏してきたチャールダッシュは、それこそ星の数ほどあるようで、ジプシーは通常楽譜に記録しないので、昔のチャールダッシュは忘れられているのかも知れません。ハンガリー舞曲の原曲もおそらく全ては分らないのではと思います。

次に作者不詳のチャールダッシュハ短調をかけてみましょう。こちらも非常に印象的なメランコリックな名旋律だと思います。演奏はハンガリー国立民族アンサンブルで、彼らは1977年頃来日して、その舞台が当時テレビで放映されました。この作者不詳のチャールダッシュは今でも親しまれているようで、youtubeで結構見ることが出来ます。それらはまたZeAmiブログで取り上げたいと思います。

<エチェル村の結婚式~チャールダッシュハ短調 2分44秒>
c-moll csárdás


モンティのチャールダッシュは、CDでは持ってなかったので、ツィゴイネルワイゼンを次にかけてみましょう。この曲も19世紀ヨーロッパでのチャールダッシュ大流行の中で生まれた一曲です。ロン=ティボー国際コンクールのヴァイオリン部門で日本人として初めて優勝した小林美恵さんのヴァイオリン独奏です。彼女の弾くヴォーン・ウィリアムズの「揚げひばり」目当てで入手した盤ですが、ツィゴイネルワイゼンやイザイの曲なども素晴らしい演奏です。

<サラサーテ / ツィゴイネルワイゼン  小林美恵 8分41秒 抜粋>
Csárdás - Vittorio Monti (Violin & Piano)

ツィゴイネルワイゼンはまた後日にして、放送でかけられなかったモンティのチャールダッシュをどうぞ。

次にライコー・ヤング・ジプシー楽団の演奏で、ハンガリーで一番大きなバラトン湖をテーマにしたイェネー・フバイ作曲の名曲「バラトン湖の波の上で」と言う曲をかけてみましょう。この曲もジプシー楽団がよく取り上げる曲で、チャールダッシュのラッサンの部分に当るような哀愁の名旋律です。ヴァイオリニストとしてのフバイはヴュータンやブラームスから称賛を受け、また彼の室内楽演奏のパートナーであるチェリストのダヴィッド・ポッパーは作曲家としても有名で、チェロの優れた難度の高いエチュードを沢山残していて、私もいくつか取り組んだことがあります。フバイの弟子にはヴァイオリンの巨匠ヨゼフ・シゲティや後に指揮者に転向したユージン・オーマンディがいます。

<チャールダッシュ・ラプソディー~Jeno Hubay / On the wave of the Balaton 6分50秒 抜粋>
Jenö Hubay "Hullámzó Balaton" Scènes de la csárda No.5 - "The waves of Lake Balaton"


では、最後にブラームスのピアノ四重奏曲第1番のラスト、第4楽章を聞きながら今回はお別れです。ジプシー風のロンドとブラームス自身によって銘打たれたこの情熱的な楽章故に、この曲は渋い室内楽の中では人気があります。ピアノがマルタ・アルゲリッチ、ヴァイオリンがギドン・クレーメル、ヴィオラはユーリ・バシュメト、チェロがミッシャ・マイスキーというオールスター級のメンバーが揃った名盤です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<ブラームス / ピアノ四重奏曲第1番 第4楽章 8分10秒 抜粋>
Brahms - piano quartet no 1 g-minor op 25 - Fauré Quartett

ピアノ四重奏専門の若手実力派、フォーレ四重奏団の演奏で、この曲の全曲。32分位からが第4楽章です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年6月21日 (火)

ハ短調のチャールダッシュ

昨日のブラームスのハンガリー舞曲第1番の原曲について、コメント欄にこんな書き込みがありました。the original of this is called 'Isteni Csardas'  ( c.1848/59) by Miska Borzo which of course Brahms used, copied and plagiarised
大変興味深いのですが、youtubeなどは出てこないようです。似た雰囲気のチャールダーシュに、77年頃来日したハンガリー国立民族アンサンブルの「エチェル村の結婚式」(洪HungarotonからCD有)に入っていた「ハ短調のチャールダッシュ」(作者不詳)という曲がありました。これは最近もよく演奏されるようで、youtubeがありました。何年か前にも上げたと思いますが、再度。2本目のように、イ短調でも弾かれているようです。これはスロヴァキアのようですが。

c-moll csárdás

a moll csardas , slovakia

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

J.S.バッハ New Wave-Indies アイヌ アメリカ アラブ アラブ・マグレブ アルゼンチン イギリス イスラエル イスラム教 イタリア イディッシュ イラン地方音楽 インディアン、インディオ インド インドネシア インド音楽 ウイグル ウラル・アルタイ エジプト エチオピア オペラ オーストラリア オーストリア キリスト教 ギリシア クルド クレズマー ケルト コンサート情報 コーカサス (カフカス) サハラ シベリア シャンソン ジャズ スイス スペイン スポーツ スーダン セファルディー ゼアミdeワールド チェロ チベット トルコ音楽 ドイツ ナイル・サハラ ナツメロ ニュース ハシディック ハンガリー バルカン バルト語派 バロック パキスタン ビザンツ音楽 フランス フランス近代 ブラジル ペルシア音楽 ペルシア音楽 トンバク ユダヤ ユダヤ音楽 ライブ情報 ルーマニア レビュー ロシア ロシア・マイナー ロマン派 ヴァイオリン 中南米 中国 中央アジア 仏教 仏教音楽 北アジア 北コーカサス(カフカス) 北欧 南アジア 南インド古典音楽 古楽 地中海 室内楽 弦楽合奏 弦楽四重奏 後期ロマン派 文化・芸術 新ウィーン楽派 旅行・地域 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ 東アフリカ 東南アジア 東方教会 東欧 歌謡曲・演歌 民謡 沖縄 独墺 猫・犬 現代音楽 童謡、わらべうた 筝曲 純邦楽 西アフリカ 西スラヴ 韓国