ハンガリー

2024年4月 8日 (月)

ディ・ナイェ・カペリエのカルパチア風味

ゼアミdeワールド405回目の放送、日曜夜10時にありました。10日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はディ・ナイェ・カペリエ1枚目の3曲を上げてきます。久々にディ・ナイェ・カペリエを聞いて改めて思ったのは、ウクライナ西部~ハンガリー東部~トランシルヴァニア北部のカルパチア色が強いことでした。1枚目はムジカーシュの影響が特に強いようです。

東欧系ユダヤ音楽の43回目になります。今回はハンガリーのブダペストに拠点を置くディ・ナイェ・カペリエ(Di Naye Kapelye)の3枚を取り上げます。いずれも独Oriente Muzikから出ていました。ディ・ナイェ・カペリエと言うのは、イディッシュ語で「新しいバンド」の意味ですが、1993年に立ち上げられて以来、ハンガリーやルーマニアを中心に、モルダヴィア、ウクライナの土臭い感じを前面に出した「古い世界」の音楽がベースになっています。メンバーは
Bob Cohen (violin, mandolin, koboz, cümbüş, flutes, Carpathian drum, vocals)
Yankl Falk (clarinet, vocals)
Ferenc Pribojszki (cimbalom, Carpathian drum, flutes)
Antal Fekete (kontra)
Gyula Kozma (bass, koboz, violin)
の5人です。

1997年に出たファーストアルバムのDi Naye Kapelyeは、100年くらい前のクレズマーの古い録音で聞いたハシディック・ソングDem Rebns Tants(ラビの踊り)から始まります。その音源もいずれ取り上げます。

<1 Dem Rebns Tants 3分29秒>

この盤には、93年に出たムジカーシュの「トランシルヴァニアの失われたユダヤ音楽」に入っていた曲が2曲ありますので、続けておかけします。4年後のリリースなので、かなり影響を受けているように思います。曲はハンガリーの時にムジカーシュで取り上げたアニ・マアミンと
Szól a kakas márですが、サトゥマールの音楽でメドレーになっている後者は長いので途中までにします。

<2 Ani Maamini / Wedding March from Transylvania 4分37秒>

<10 Jewish Tunes from Szatmár 8分39秒 ~3分位>

2001年に出た2枚目のアルバムA Mazeldiker Yidでは、リズミカルなジプシーのケレマスキ・ジリのフィーリングも上手くチャールダーシュに織り込んでいるように思いますが、そのシャバトのチャールダーシュ、999/Yom Ha-Shabbesをまずおかけします。

<4 999/Yom Ha-Shabbes 3分33秒>

14、15曲目にはハシディック・ソングの無伴奏男性合唱の原曲と、その曲をテーマにしたハンガリー音楽の演奏が続けて入っています。17、18曲目にはボスニアの女性のニグン独唱と、そのテーマによる演奏もありますが、時間の都合で今回は前者の14、15曲目を続けておかけします。後者もゼアミブログでは触れてみたいと思います。

<14 Borey Olam (Vocal Version) 1分10秒>
<15 Borey Olam Be-Kinyan 2分31秒>

2008年にはサードアルバムのTraktoristが出ています。最後はブレイヴ・オールド・ワールドのファーストアルバムに入っていたチェルノブイリで締めていますが、私が特に注目したのは“7:40”と言う曲で、これは90年頃にQuintanaから出ていた「カルパチアの音楽」に入っていたユダヤ・メロディの曲でした。

<15 “7:40” 4分3秒>

では最後にBaj Van Medleyと言うカルパチアらしい低音打楽器が入る曲を聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<5 Baj Van Medley 2分52秒>

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2023年12月13日 (水)

MarmaroshとムジカーシュのSzol a kakas mar

ブレイヴ・オールド・ワールドの4枚目Bless the Fireでの中東音楽風でモーダルな(旋法音楽的な)ピアノ演奏は他の曲でも聞けました。中東のピアノと言えば直ちに思い出すはイランのモルタザー・マハジュビーですが、ペルシア音楽と言うよりは、アルジェリア辺りのアラブ・アンダルシア音楽系(モリス・エル・メディオニなど)に近く聞こえるので、おそらくセファルディ音楽経由でアラン・ベルンが取り入れたのではと推測します。マハジュビーのように、旋法ごとの微分音までは使っていません。
Bless the Fireを聞いて、それに次いで驚いたのが3曲目のMarmaroshでした。放送で言いましたが、タイトル通りムジカーシュの「トランシルヴァニアの失われたユダヤ音楽」=本題「マラマロシュ」(ルーマニア北部のマラムレシュのこと)を強く意識した演奏のように思います。ムジカーシュの盤での曲名はSzol a kakas marでした。ムジカーシュのこの盤が出たのが1993年、Bless the Fireは2003年で、ちょうど10年後です。ヴァイオリンはマイケル・アルパートだと思いますが、それまではほとんどがリズム・ヴァイオリン的な演奏だったので、これほど本格的な彼の独奏は余り聞き覚えがありませんでした。
この盤には歌詞のある曲以外の解説がありませんので詳細は不明ですが、ムジカーシュによって蘇ったトランシルヴァニアの往年のユダヤの秘曲から受けたインスピレーションを、マイケル・アルパートなりに10年間温めていたのではと思いました。と言うことで、ブレイヴ・オールド・ワールドのMarmaroshとムジカーシュ&マルタ・セバスチャンのSzol a kakas marを並べて上げておきます。

<3 Marmarosh 3分54秒>

Szól a kakas már - Muzsikás együttes, Sebestyén Márta

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2023年5月26日 (金)

ブダペストのドハーニ街シナゴーグ

今週の最後にドハーニ街シナゴーグのオフィシャル・サイトの1分の映像と、4Kの高精細で録られた27分ほどの長いビデオを上げておきます。その後の3,4本目は「ドハーニ街シナゴーグの典礼」から、旋律の美しい7曲目のYaaleと、12曲目の安息日シャバトの歌、Veshomruです。ヴショムルー(「そして彼は守られる」のような意味)は、他のカントール音源でもよく耳にするシャバトの歌で、番組に入らなくて残念でした。
2本目を見て、90年代に広尾のシナゴーグに行った時に「セネガグ」と当時のラビが言われて、最初何のことか分からなかったのを思い出しました(笑) これは英語圏での発音で、ヘブライ語ではベイト・クネセットで、意味は単に「集会の家」です。ドハーニ街シナゴーグは、オフィシャルの方の解説にMoorishとある通りムーア様式の建築で、何といっても2本の高い塔が特徴的です。これがムーア様式(つまりイスラム時代の中世スペイン風)と言うことでしょうか。偶像崇拝を徹底的に排するので、人型のデザインが一切見当たらず幾何学模様が中心なのは、イスラムのモスクと共通しています。(以下放送原稿を再度)

ウィキペディアのディスコグラフィーに『ブダペスト・シナゴーグの聖歌』がありましたが、そこに貼られていたリンクが私の店、ゼアミの旧サイトのURLだったので、リンク切れになっていて残念でした。キングレコードの「世界の祈り」シリーズの一枚として出た時の記事でしたが、このシリーズも廃盤になって久しいです。

Dohany Street Synagogue Official Video

Great Synagogue & Cemetery Tour | Dohány St. Budapest

<7 Yaale 2分56秒>

<12 Veshomru 5分48秒>

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2023年5月25日 (木)

コル・ニドライとコール・ニドレイ

チェロの定番曲として有名なマックス・ブルッフのコル・ニドライですが、原曲のコール・ニドレイはユダヤ新年(ローシュ・ハシャナー)の贖罪日(ヨム・キプール)に一回だけ唱えられる畏れ多い秘曲のイメージが強く、加えてブルッフのオペラ・アリアのような後半のアレンジに少々違和感もあって(シナゴーグで歌うカントールの技巧を模していると言うより、コロラトゥーラにさえ近づいているようにも聞こえまして)、楽譜はありますが、さらったことはほとんどないです。ユダヤ人ではないブルッフだから書けた曲なのかなと思います。逆にユダヤ人だったら、おいそれと近づけないはずです。私は90年頃にカザルスのビダルフ盤でコル・ニドライを聞く前に、ドハーニ街の音源で原曲のコール・ニドレイを聞いていたので、稀な例かも知れません(笑) と言う訳で、この曲はユダヤ人演奏家に登場頂きたいと思いまして、ミッシャ・マイスキーの演奏を一本目に上げました。弾きながらどんなことを思うのでしょうか? 2本目がドハーニ街シナゴーグの音源です。(以下放送原稿を再度)

Kol Nidoreiの「ei」の部分がドイツ語の場合、通常「アイ」と発音するので、コル・ニドライと言う発音がよく知られていますが、ヘブライ語本来の発音はコール・ニドレイです。ユダヤ新年(ローシュ・ハシャナー)の贖罪日(ヨム・キプール)の初めに歌われる厳粛な祈祷歌で、ユダヤ旋律らしいエキゾチックな増二度音程が特徴的です。カディッシュ同様、通常はアラム語で唱えられます。コール・ニドレイとは「すべての誓い」のような意味です。

Bruch: Kol Nidrei ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Mischa Maisky ∙ Paavo Järvi

<6 Kol Nidrei 6分31秒>

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2023年5月24日 (水)

カディッシュ

カディッシュは、ヘブライ文字のק(クフ)、ד(ダレド)、ש(シン)の3文字から成る他の言葉と同根で、この3文字があると「聖なる」意味合いが必ず入ってきます。銀座のヘブライ語教室に通ったのは90年代前半ですが、まだこれ位は覚えていました。多くの単語が様々な3つの語根から出来ている点でも、兄弟言語のアラビア語に似ています。
ק(クフ)、ד(ダレド)、ש(シン)の入った他の言葉は、キドゥーシュ、カドーシュ、コーデシュなどで、楽曲名で言えば、葡萄酒を聖別する祈祷歌のキドゥーシュは特に有名で、クルト・ワイルが素晴らしい合唱曲を書いています。アヴォダット・ハコーデシュと言う曲もありましたが、これはエルネスト・ブロッホの合唱曲Sacred Service (Avodat Hakodesh)で、ネットでも色々聞けます。スイスのユダヤ人作曲家ブロッホは、昔は日本で一般に知られているのはヘブライ狂詩曲「シェロモ」だけに近かったと思いますが、最近チェロの曲「祈り」(Prayer)がよく知られるようになってきました。(私も8年前の総合芸能祭で弾きました)
フランスの作曲家モーリス・ラヴェルが「2つのヘブライの歌」の一曲としてカディッシュに基づく曲を書いていますが、ダリウス・ミヨーも「土曜日の朝の神聖な礼拝」の第4曲としてカディッシュを書いています。ラヴェルは違いますがミヨーはユダヤ人で、他にもユダヤ教の音楽を幾つか書いてます。
ドハーニ街の音源が1本目、そう言えばイエメン系ユダヤ人のオフラ・ハザも歌っていたなという事で2本目、3本目がラヴェル(ヴァイオリンとピアノ版)、4本目はミヨーです。

<5 Kaddish 3分45秒>

Ofra Haza - Kaddish

Maurice Ravel - Kaddish

Milhaud: Service sacré pour le samedi matin / Quatrième partie - Kaddish

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2023年5月22日 (月)

ドハーニ街シナゴーグの典礼

ゼアミdeワールド360回目の放送、日曜夜10時にありました。24日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今回はハンガリー音楽の40回目最終回兼、東欧系ユダヤ音楽の1回目です。カディッシュ、コル・ニドレイから後は水曜以降に。

ハンガリー音楽の40回目になります。予告通りハンガリーの音楽のラストは、「ブダペスト ドハーニ街シナゴーグの典礼」で締めたいと思います。シナゴーグと言うのはユダヤ教の会堂のことです。
このフンガロトン盤を1989年に聞いたことが、ユダヤの音楽を通して民族音楽に回帰するきっかけになったことは、これまでにブログ等で何度も書いてきましたが、盤の紹介分として1999年に音楽之友社から出た「ユーロルーツポップサーフィン」に書いた拙稿を読み上げたいと思います。何度も拙稿を引用してきた「世界の民族音楽ディスクガイド」の3年前に出た本です。このムックでは沢山の専門家がヨーロッパ中のトラッド音楽の盤を紹介していますが、私はユダヤ音楽の記事を全て担当しました。その中から「ドハーニ街シナゴーグの典礼」のレビューを編集したものを読み上げます。

私事になって恐縮だが、1989年の六本木ウェイブ4階のクラシック担当時代に偶然この盤を聞き、カントールの悲愴なバリトンと混声合唱の切実で迫真力のある表現、ゴーと地響きのような音を鳴らすオルガンに鳥肌が立ってしまった。つまりこの盤がユダヤ音楽へ目を向けるきっかけになった訳だが、このヨーロッパ最大のシナゴーグでの典礼録音の壮麗さは今だに特筆に値すると思う。編成はクラシックと同じく歌とオルガンだけなのに雰囲気は余りにも違う。正統派ユダヤ教のように、歌は男性のみ、楽器は角笛ショファルのみ、と言うのとは違って、改革派の教会なので、混声合唱やオルガンも入るが、それでもヨーロッパの音楽文化の底流に流れていた古色溢れるユダヤ音楽の響きは十分に感じられる。カントールのシャーンドル・コヴァーチ氏はハンガリー動乱時にはプラハに滞在していたのか、56年録音のスプラフォン盤カントールの音源に彼の名が見いだされる。(音楽之友社「ユーロルーツポップサーフィン」の拙稿)

それでは最初の3曲を続けておかけします。タイトルの日本語訳は、アルファエンタープライズから国内発売された時の解説を参照しております。1曲目が大祭礼式入祭のオルガン独奏(ガーボル・リスニアイ編曲)、2曲目のウンサネ・タイケフ(ガーボル・リスニアイ編曲)は殉教したマインツ出身のラビ作とされる祈祷文によるカントールの独唱、3曲目は合唱が鮮烈に現れるエメス(サロモン・サルザー作曲)と続きます。エメスのように、最後のTの音のタヴの文字を、TではなくSの音で発音するのは、いかにもアシュケナジーム的です。

<1 Introduction - Organ 5分8秒>

<2 Unesaneh Tokef 1分41秒>

<3 Emes 2分7秒>

4曲目を飛ばして、5曲目のカディッシュと、6曲目のコル・ニドレイは非常に有名なユダヤ教の祈祷歌ですので、続けておかけします。カディッシュは、カドーシュなどと同根で聖なる意味合いを持ちます。フランスの作曲家モーリス・ラヴェルが「2つのヘブライの歌」の一曲としてカディッシュに基づく曲を書いています。コル・ニドレイは、ドイツの作曲家マックス・ブルッフが作曲したチェロのためのクラシック作品のコル・ニドライの原曲です。Kol Nidoreiの「ei」の部分がドイツ語の場合、通常「アイ」と発音するので、コル・ニドライと言う発音がよく知られていますが、ヘブライ語本来の発音はコル・ニドレイです。ユダヤ新年(ローシュ・ハシャナー)の贖罪日(ヨム・キプール)の初めに歌われる厳粛な祈祷歌で、ユダヤ旋律らしいエキゾチックな増二度音程が特徴的です。カディッシュ同様、通常はアラム語で唱えられます。コル・ニドレイとは「すべての誓い」のような意味です。

<5 Kaddish 3分45秒>
<6 Kol Nidrei 6分31秒>

ドハーニ街シナゴーグのウィキペディアのディスコグラフィーに『ブダペスト・シナゴーグの聖歌』がありましたが、そこに貼られていたリンクが私の店、ゼアミの旧サイトのURLだったので、リンク切れになっていて残念でした。キングレコードの「世界の祈り」シリーズの一枚として出た時の記事でしたが、このシリーズも廃盤になって久しいです。
それでは最後に旋律の美しい7曲目のYaaleと、時間が余れば12曲目の安息日シャバトの歌、Veshomruを時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<7 Yaale 2分56秒>
<12 Veshomru 5分48秒>

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2023年5月19日 (金)

チャールダーシュ風ヴェルブンクで締め

ハンガリー・シリーズのラストになります。データを辿るとハンガリーの初回は去年の7月でした。あの頃「チャールダーシュはモンティの曲の固有名詞ではなく、ブラームスのハンガリー舞曲やサラサーテのツィゴイネルワイゼンなどもチャールダーシュです」と言う辺りから始めていました。とっつき安いかなと思いましたし、モンティのあの曲だけがチャールダーシュと思ってる人が余りにも多くて残念なので。ラストは、そのチャールダーシュ風なヴェルブンクを、エルデーイの農村音楽が専門のムジカーシュが演奏している珍しい音源を取り上げます、としてかけましたが、YouTubeを見ると演奏はVarsányi együttesと言う別のグループのようです。ストリーミングは、たまにこういう間違いがあるので要注意です。ポッタ・ゲザのような野趣あふれる演奏や、スロヴァキア国境付近のポリフォニーにルーツの一つがあることを見ると、都会のジプシー音楽系の方が今後は探りどころ豊富なようにも思います。私自身、実はこちらの方が好みでもあります。(以下放送原稿を再度)

では最後にMuzsikás Együttesと言う名義でストリーミングに出てきたMagyarországi Táncház Találkozó 1985. - IV.から、Vasvári vebunk és friss (Gömör)と言う曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。これまでのムジカーシュの音源より前の、1985年のハンガリー本国での音源と思われます。85年ですからLPのみだったのかも知れません。都会のチャールダーシュっぽいヴェルブンクをムジカーシュで聞くことは珍しいので、こちらを選んでみました。他は一般的なハンガリー農村音楽系がほとんどです。

<3 Vasvári vebunk és friss (Gömör) 2分45秒>

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2023年5月18日 (木)

「飛べよ孔雀よ」と、Fújnak a fellegek - Somogy

長く続いたハンガリー・シリーズも、ブログで取り上げるのは後2回になりました。年間放送回数が大体50回ちょっとですから、1年の8割ほどを費やしたことになります。来週はドハーニ街シナゴーグのユダヤ音源ですから、純ハンガリー音楽としては後2回です。いつも後ろ髪を引かれる思いで次に行きますが、ハンガリーは40回続いて自分としては、かなりやり切った感はあります。
Dudoltamも選曲に迷う程、良い曲揃いでした。Fújnak a fellegekを翻訳にかけると、「雲が吹いている」と出てきましたが、余りにも「飛べよ孔雀よ」に似ています。カロタセグの方も、放送ではフェイドアウトでしたので全曲入れておきます。ジャケットとは違う写真が出ています。
「飛べよ孔雀よ」は、ハンガリー西部バラトン湖の南に位置するショモジ県の民謡になるのではと思います。前にサローキ・アーギの歌唱でこの旋律が出てきた時も、曲名がショモジでした。このサローキ・アーギの音源では、曲名が同時に地方名でもあったので、おそらくそうだろうと思います。(以下放送原稿を再度)

もう一枚のDudoltamは、マルタ・セバスチャンとムジカーシュの1987年リリースのアルバムで、1993年に再発されています。彼女のCDの中でも特にシンプルで古典的な演奏が集まった一枚でした。この盤にも「飛べよ孔雀よ」の替え歌のような曲がありまして、その9曲目のFújnak a fellegek - Somogyと、度々これまでに出てきたカロタセグの曲を歌っている5曲目のHajnali nóta - Kalotaszegをおかけします。

<9 Fújnak a fellegek - Somogy 1分29秒>

<5 Hajnali nóta - Kalotaszeg 6分4秒>

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2023年5月17日 (水)

Szerelem, Szerelem他

プリズナー・ソングの原題は、Nem arról hajnallik, amerről hajnallottのようです。翻訳にかけると「何が始まったのかは分からない」と出てきますが、これはどういう意味でしょうか(笑) この盤はRepülj Madár, Repüljもそうでしたが、偶数番目に惹かれる曲が続きました。特にマルタ・セバスチャンのSzerelem, Szerelemでのコブシは必聴です。フレーズの最後で回す節回しは、日本の邦楽の歌唱にそっくりです。(それが何かはすぐに思い出せないのですが) Eddig Vendégは、バルトークの曲が分かったら、またアップします。ムジカーシュは、モーニング・スターも取り上げたかったのですが、現物は手元になく、ストリーミングでも聞けないようですので外しました。(以下放送原稿を再度)

プリズナー・ソングから続いて2,4,8曲目の3曲をおかけします。2曲目のEddig Vendégは、確かバルトークが編曲して作品に使っていた曲です。邦題は「今まではお客さんで」となっています。アグレッシブなビートが印象的な4曲目のHidegen Fújnak a Szelekは、「冷たい風」と言う邦題が付いています。8曲目のSzerelem, Szerelemの邦題は「恋」となっています。マルタ・セバスチャンの素晴らしいコブシ回しを堪能できる独唱です。

<2 Eddig Vendég 3分54秒>

<4 Hidegen Fújnak a Szelek 3分14秒>

<8 Szerelem, Szerelem 4分37秒>

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2023年5月15日 (月)

プリズナー・ソングのRepülj Madár, Repülj

ゼアミdeワールド359回目の放送、日曜夜10時にありました。17日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はRepülj Madár, Repüljのみで、2本目は2018年のライブ映像です。お陰様で今日でゼアミは27周年になります。

ハンガリー音楽の39回目になります。次回で遂に40回になりますので、いよいよハンガリーの音楽も40回目のドハーニ街シナゴーグで最後にしたいと思います。ハンガリートラッドも、まだまだと言いますか、ダンスハウス後にはそれこそ星の数ほどグループが出来ていますが、きりがないのでマルタ・セバスチャンとムジカーシュの音源を持ってラストにしたいと思います。今回は80年代のワールドミュージック・ブームの少し後の91年に出たプリズナー・ソング(Muzsikás: Nem arról hajnallik, amerről hajnallott...)と、それより前の87年に出たDudoltamを中心におかけします。
プリズナー・ソングが出た前年の1990年前後だったと思いますが、確か渋谷のクラブクアトロで来日公演がありまして、聞きに行って来ました。ムジカーシュの活動開始はダンスハウス運動直後の1973年ですので、既に20年近いキャリアがあったと思いますが、西側で手に入るCDは、当時はプリズナー・ソングと、そのすぐ後で同じハンニバルから出たBlues for Transylvaniaだけだったように記憶しています。ベースギターやブズーキが入った若干ポップなアレンジも一部に施されていますが、聞き覚えのある民謡断片が随所に確認できます。初来日公演では生演奏ですので、アレンジの入ってない、生のままのトラッド音楽が展開されていたように思います。少し上体を前に乗り出し気味でヴァイオリンを弾くミハーイ・シポシュが、往年の俳優の大泉滉に似て見えて仕方なかったのも、よく覚えています(笑)

それではプリズナー・ソングから、5音音階のマジャール民謡の象徴のような「飛べよ孔雀よ」をもじったようにも思えるRepülj Madár, Repüljからおかけします。旋律も雰囲気もそっくりな曲です。因みに「飛べよ孔雀よ」の原題はRepülj páva repüljです。2007年にキングレコードから「世界のディーヴァたち」のシリーズの一枚として出た際には、「鳥よ、思いを伝えて」と言う邦題が付いていました。

<6 Repülj Madár, Repülj 3分38秒>

Muzsikás: Repülj madár / Fly Bird

それではプリズナー・ソングから続いて2,4,8曲目の3曲をおかけします。2曲目のEddig Vendégは、確かバルトークが編曲して作品に使っていた曲です。邦題は「今まではお客さんで」となっています。アグレッシブなビートが印象的な4曲目のHidegen Fújnak a Szelekは、「冷たい風」と言う邦題が付いています。8曲目のSzerelem, Szerelemの邦題は「恋」となっています。マルタ・セバスチャンの素晴らしいコブシ回しを堪能できる独唱です。

<2 Eddig Vendég 3分54秒>
<4 Hidegen Fújnak a Szelek 3分14秒>
<8 Szerelem, Szerelem 4分37秒>

もう一枚のDudoltamは、マルタ・セバスチャンとムジカーシュの1987年リリースのアルバムで、1993年に再発されています。彼女のCDの中でも特にシンプルで古典的な演奏が集まった一枚でした。この盤にも「飛べよ孔雀よ」の替え歌のような曲がありまして、その9曲目のFújnak a fellegek - Somogyと、度々これまでに出てきたカロタセグの曲を歌っている5曲目のHajnali nóta - Kalotaszegをおかけします。

<9 Fújnak a fellegek - Somogy 1分29秒>
<5 Hajnali nóta - Kalotaszeg 6分4秒>

では最後にMuzsikás Együttesと言う名義でストリーミングに出てきたMagyarországi Táncház Találkozó 1985. - IV.から、Vasvári vebunk és friss (Gömör)と言う曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。これまでのムジカーシュの音源より前の、1985年のハンガリー本国での音源と思われます。85年ですからLPのみだったのかも知れません。都会のチャールダーシュっぽいヴェルブンクをムジカーシュで聞くことは珍しいので、こちらを選んでみました。他は一般的なハンガリー農村音楽系がほとんどです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<3 Vasvári vebunk és friss (Gömör) 2分45秒>

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