ハンガリー

2009年5月27日 (水)

バルトークのヴァイオリン・デュオによるアラブ音楽

昨日少し触れた件のyoutubeを上げておきます。ハンガリーの大作曲家バルトークが、フィールドワーク先のトランシルヴァニアで聴いた民俗音楽のスタイルの原型(元はアラブ~ペルシア起源の曲)を、1913年にアルジェリア中部で偶然見出したという箇所ですが、44の無伴奏ヴァイオリン二重奏の中の「アラブの歌(旋律)」の1stヴァイオリンに、アルジェリアへの取材旅行で得た旋律が使われているようです。件の曲と全く同一かどうかは未確認ですが。このエピソードを知ったのは、伊東信宏氏の「バルトーク~民謡を発見した辺境の作曲家」(中公新書1370)でした。彼の作品には沢山のハンガリーやルーマニアの民謡がモチーフとして使われていますが、アラブの旋律が素材として使われているのは、他には余りなかったかも知れません。

Givens/Tao - Bartók Violin Duets Live (2/2)

この演奏の4分55秒辺りからが、例の「アラビアの歌」。44の無伴奏ヴァイオリン・デュオの42曲目です。男性が1stヴァイオリン。

Solo Sound Sample, German Violin, Excerpt of Bartok, Gypsy Sound

おまけで二本。おそらくバルトークの一番ポピュラーな曲、「6つのルーマニア民族舞曲」の一曲目です。オリジナルはピアノ独奏曲ですが、ヴァイオリンとピアノに編曲した版もよく弾かれます。この曲はタラフ・ドゥ・ハイドゥークスもアルバム「仮面舞踏会」(浅田真央選手のスケートで有名になったあのハチャトゥリアンの曲がタイトル)で入れてました。このヴァイオリンのシリーズは、目の前で聞くヴァイオリンの音の質感がよく分かります。

Bartok Excerpt, German Violin Solo Sound Sample, Nice Sound, Eboyinc

これも同じルーマニア民族舞曲の4曲目。トランシルヴァニアのラメント(哀歌)風な曲調に、ドイツ・ヴァイオリンの柔らかい音色がなかなかマッチしています。

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2008年2月14日 (木)

グヤーシュのレシピ&アグネス

昨日の記事のコメントにも入れましたが、大きな間違いがありましたので訂正しておきます。ブルータスや月刊ミルトスではなく、音楽雑誌ラティーナや月刊ミルトス、でした。
大変失礼致しました。余りに昔のことで雑誌名を間違えていました^^;
当時スタジオヴォイスにもクレズマー関係の記事を書きましたが、あの頃はPCどころかワープロも持ってなかったので、データを見本誌から入力しなければいけませんが、それもいずれブログに復活させましょうか。CDデータは古過ぎて役に立ちませんが。

さて、今日のタイトルに戻ります。グヤーシュとはハンガリーの有名な煮込み料理ですが、去年の10月頃にマイミクのりーずさん(イランでセタール、タンブールの修行中)に、私家版グヤーシュのレシピをうpするという約束をしておりました。それをようやく今日実現しました^^;
このレシピは、指揮者の小林研一郎さんがTVの料理番組に出られていた時のもので、コバケンさんがハンガリーに留学している時にお世話になったというハンガリー婦人からの直伝グヤーシュです。

<Recipe>

Gulyas ・オリーヴオイルかラードで玉葱のみじん切りをよく炒める。
・玉葱が透き通ったら、人参の賽の目切りを入れよく炒める。
・次に塩、胡椒で下味をつけた鳥肉を入れ、白くなるまで炒める
・一度火を止め、パプリカのパウダーを入れ、よく馴染ませ(絶対焦がさないように!)、次にキャラウェイ・シードを入れて混ぜ、火を付ける。
・トマト(生よりカット・トマトとピューレが良いかも)を入れ、ブイヨンを注ぐ。勿論マギーとかでOK。好みで赤唐辛子少々入れても良し。
・最初強火であくを取ってから、ふたをして30分程煮込む。ジャガイモは煮崩れしないように大きめに切って早めに入れるか、賽の目に切って終わり近くに入れるか、それはお好み。
・皿に盛って出来上がり。(写真は材料大き目の時の自作品w)

※分量はいつも材料と相談しながらやるので書いていませんが、4人分の量に対してパプリカは大匙1杯、キャラウェイは小匙1杯位でしょうか。パプリカを多めに入れたほうが、赤い色が鮮やかに出て、味もオーチン・ハラショーです。(何故露語?w)
ヴァリエーションとして、一番最初にニンニクの微塵を入れて炒めたり、パウダーに加え生のパプリカの賽の目切りを入れたり、トマトを入れる前に赤ワインを入れるやり方もありますが、味はヘヴィーになります。その場合、コリアンダー・シードとクミン・シードを入れる作り方もありますが、これは当然エスニック風になります。コバケンさんヴァージョンは、ハンガリー家庭料理らしい、爽やかで飽きの来ない味わいです。キャラウェイが程よい爽やかさを演出しています。この寒い季節にはぴったりの料理です。キャベツも入れて、シチのようにしても美味しいです。是非お試し下さい。

・チキン・グヤーシュと言えば、映画「ストレンジャー・ザン・パラダイス」を思い出しませんか?w  
・吸血鬼ドラキュラの小説の中にもグヤーシュに似たパプリカ料理が出てきます。あれはビストリツァ辺りのトランシルヴァニア料理かも。

Herczku Agnes & Nikola Parov - Ha te tudnad

現在のハンガリー・トラッド界で活躍されているHerczku Agnes(アグネス・ヘルツクと発音するのでしょうか?)のビデオを一本上げておきます。この曲は余りハンガリーっぽくはないのですが、動画はこれだけのようです。Buda盤などで素晴らしい歌声を聞かせてくれた歌姫です。美形の多いハンガリー音楽界の中でもSzalóki Ágiと並ぶ美人歌手では。

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2007年10月31日 (水)

ウラル・アルタイの話

昨日はコダーイが登場しましたので、少し飛躍しますが、今日はウラル・アルタイ語族の小話を一つ。
ウラル系とは、ウラル・アルタイ諸語のブランチの一つですが、アルタイに入るのがトルコ系(チュルク系)諸語とモンゴル系、ツングース(満州語等)、ウラル系はハンガリー、フィンランド、カレリア、ラップ、エストニア、モルドヴィン、チェレミス(マリ)などです。よくハンガリーはアジア系と言われますが、人種的にはオイロピーデ(白色人種)がベースで、若干モンゴロイドの要素が入った程度のようです。シベリア北西部のサモエード(ネネツ、セリクプ等)もウラル系に入るようで、北方のシベリアにおいては東のサハ(旧ヤクート)やトゥヴァがチュルク系なのと対照的です。サモエード以外のウラル系はフィン・ウゴル語族と言われます。

ヴォルガ流域~ウラル山脈にかけては、ウラルとアルタイの少数民族がモザイク状に住んでいるエリア。ウラル系はモルドヴィン、チェレミス(マリ)など、アルタイ系(ほとんどがチュルク語系)はタタール、バシュコルトスタン、チュヴァシなどです。このように、ハンガリーの遠い親類に当たるような人々が、ロシアのヴォルガ流域にいる訳ですね。チュルク系の方はイスラム教徒が多く、明治時代に「白系ロシア」として来日した人にも、実はタタール人が多かったようです。あの井筒俊彦氏がタタール人のイスラーム学者からアラビア語の手ほどきを受けたのは有名な話。ロシア現代の作曲家グバイドゥーリナはタタールとのハーフです。

何より、ロシアの中にウラルとアルタイの少数民族がいたり、イスラーム世界が内在していることはもっと知られて良いと思います。
youtubeを探してみましたが、チュルク系はかなりありますが、ウラル系はほとんど見当たりません。これは面白い傾向だと思いました。トルコ繋がりでyoutubeも沢山アップされるのでは、と思います。
以上、今回は散漫ですが、非常に興味深いテーマなので、少しずつビデオも参照しながら色んな角度から当たって行ければと思っています。

Zoltán Kodály-Dances of Galánta (Rajkó orchestra)

コダーイの代表作の一つ、ガランタ舞曲をブダペストのユダヤ教会(シナゴーグ)のメンバーが演奏しています。おそらく名高いドハーニ街のシナゴーグでしょう。皆祈祷帽のキパを被っています。ハンガリーはウラル系なので、苗字・名前の順に綴るのが正しいようです。バルトーク・ベラとかコダーイ・ゾルタンのように。

Kodály-zenei

コダーイへのインタビュー。この人とバルトークがいなかったら、その後の民族音楽研究はかなり違ったものになったのでは。ハンガリーは20世紀前半においてはシーンを牽引していたと思います。ヨーロッパとアジアの境であるハンガリーにそのムーヴメントが起こったことは、とても重要なポイントでしょう。

Chuvash Kids On Their Folklore

チュヴァシの民族衣装を着けた少女。

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