ウラル・アルタイ

2018年7月19日 (木)

キプチャクとマジャール

今日は世田薬師のきうり封じ前夜祭を木曜練習の後で見に行っていて、先ほど戻って店の片づけが済んだところで、これからでは家に帰って本機を立ち上げトップ更新する時間もないので、音楽ではありませんが前から気になっていたカザフスタンのロシア語のTV番組?を取り急ぎ上げておきます。タイトルのКипчаки и мадьяры. Венгрия - встреча через века. Загадки историиは、「キプチャクとマジャール ハンガリー  時代を越えた出会い 歴史の謎」のように訳せると思いますが、大変に興味深い内容です。マジャールが移動前でまだウラル山脈の辺りにいた10世紀までと、キプチャクが活躍する11~13世紀は時代がずれますが、出会いはあったのでしょう。マジャールが属するウラル系は、アジア系でもヨーロッパ系でもない北方民族のような解説を以前どこかで読んだような記憶がありますが、ウィキペディアには以下のようにあり、以前よりもモンゴロイド系の比重が強い記述になっているように思い、意外でした。他にもキプチャク関連の動画はかなりあります。カザフのルーツに深く関わるテーマですから当然でしょうが、素晴らしいドキュメンタリーです。(ロシアではこういう番組製作は難しいかも。ロシア語でハンガリーのことをВенгрия(ヴェングリヤ)と言うことも今回初めて知りました。ヴェングリオンと関係あり?)

固有の言語はウラル語族のうちウゴル諸語に属するハンガリー語であり、現在の人種は混血の繰り返しによるコーカソイドであるが、元来のモンゴロイドの遺伝子も低頻度から中頻度に持つ。
民族としてはテュルク系諸族(バシキール人、クマン人、オグール(ブルガール人)など)とイラン系(ペルシア系)をはじめドイツ系(オーストリア人)とラテン系(ルーマニア人、イタリア人の一部)の一部とギリシャ人、スラヴ人(西スラヴ人、南スラヴ人)とユダヤ系(アシュケナジム)などが複雑に混じっている。

Кипчаки и мадьяры. Венгрия - встреча через века. Загадки истории

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2018年4月 6日 (金)

オスマンル、アゼルバイジャン音楽界、オグズ語群の話

ばたばたしていて少しアップが飛びました。今日は最近の関連動画で興味深かった2本を上げておきます。先日アリム・カシモフでかけましたオスマンルという曲は、他にも若手のパルヴィーズ・カシモフの演奏がありました。色々な楽器が総動員した華やかな演奏です。原曲は、オスマン時代のクルド系軍人のイェニチェリ(歩兵軍団)の軍隊行進曲に遡るかも知れないという曲でした。上に点のない「i」の発音はイではなく、ウに近いと思いますので、オスマンリではなくオスマンルと書くのがある程度発音的に近いと思います。こちらを2本目に上げておきます。
1本目はアゼルバイジャン本国または在外のアゼリ系音楽家が、ポピュラーや古典のジャンルを越えて一曲を演奏しているようですが、色々な歌手や演奏家を一度に見れて、とても興味深いものがあります。ケマンチェのエルシャン・マンスロフのような古典音楽家も出てきます。こうして聞くと、改めてトルコ歌謡に似ている、というよりそっくりだなと思います。
テュルク諸語の主要な語群であるオグズ語群に属するトルコ語、アゼルバイジャン語、トルクメン語などは、それぞれの言葉で話して相互理解がある程度可能だと聞きます。歌が似てくるのも当然でしょうか。オグズ語群は、西オグズ諸語に トルコ語、オスマン語、ガガウズ語、バルカン・トルコ語、アゼルバイジャン語などがあり、東オグズ諸語には、 トルクメン語、ホラサン・トルコ語など、南オグズ諸語に、イランのガシュガーイー語、アフシャール語(ペルシア音楽のアフシャーリー旋法のルーツ)などがあります。トルコから遠く離れた中国の甘粛省や青海省のサラール語も、トルコ語との相互理解がある程度可能だそうです。サラール族の居住地はテュルク人が西進する前にいた場所(モンゴル高原西部辺り)に比較的近く、彼らは全くアジア的な顔立ちですから、テュルク系諸族も西進して混血する前はこんな容姿だったのでしょうか。

Qarabağ Üçün Oxu -2 ("Tut ağacı", "Aman aman ayrılıq")

Pərviz Qasımov - Osmanlı

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2017年3月30日 (木)

Марийские песни(マリの歌)

今日の一本には、1時間を越える映像に、民族衣装の映像とマリ(チェレミス)の民謡や大衆音楽が次々出てきます。音階的に、いかに東洋的か、ちょっと聞けばすぐに分かると思います。しかしバルトークの頃の推測とは異なり、言語的には西シベリアのハンティ・マンシ(それぞれオスチャーク語とボグル語)の方がハンガリーに近いとされていて、マリはモルドヴィン(モルダヴィアやモルドヴァと似ていますが別民族)などと並んでフィンランドのフィン人のルーツ民族の一つと言って良いようです。

Mari songs #2 - Марийские песни - Марий муро (in Mari language)

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2017年3月29日 (水)

マリ(旧称チェレミス)の民謡

マリと言うと、どうしてもアフリカのマリを思い浮かべる人が多いかと思います。そのため、マリ・エルと正式名称で呼んだ方が間違いないでしょう。99年にロシア語教室に通っていた頃に、ロシアのマリ語の専門の人が知人にいるという同級生がいらっしゃいました。その方の研究がその後どうなったのか、気になるところです。
ハンガリー音楽のルーツを辿ると、まずエキゾチックなジプシー音楽は外れて、東洋的な5音音階の目立つマジャール音楽に行き着きますが、そのまたルーツがチェレミス辺りにあるらしいと中学時代に谷本一之さんのFM放送で聞いたものですから、今でもチェレミスと聞くと、ウラル系民族の中でも特に関心を強く持ってしまいます。バルトークやコダーイが関わっていた訳ですから、世界の民族音楽研究はこの辺りに始まったと言っても過言ではないのでは。
ロシアの映像には、今日のyoutubeのような珍しい動画が目白押しです。音階も人々の風貌も、西洋か東洋か分からないところが、やはり面白さの中心のように思います。

Марийская песня проводов в армию "Пасунажат кодеш" в исполнении ансамбля "Радуница"

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2017年3月28日 (火)

ヴォルガ中流域のウラル・アルタイ系少数民族

ゼアミdeワールド50回目の放送、日曜夕方に終りました。3月29日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。youtubeには、まず同じ音源はないと思いますので、近いものをまず一本アップしておきます。そもそも、2007年に当ブログを始めたのも、ヴォルガ中流域から北コーカサスにかけての調査が最初のきっかけでしたから、「ウラル・アルタイ」のキーワードでは大分前に色々書いております。先週後半以降、またもやトラブルでほとんどまともにPCを使えない状況でしたが、諸悪の根源のマ◎フィーを遂に卒業し、PC動作は劇的に軽くなりました。
 
今回はロシアの少数民族の音楽を少し聞いてみたいと思います。モスクワから東に1000キロ程行った辺りのヴォルガ河中流域は、ウラル・アルタイ系民族の自治共和国が幾つかありまして、インド・ヨーロッパ語族に属するスラヴ系のロシア人とは全く異なる少数民族が多く住んでいるのは余り知られていないことだと思います。ウラル山脈から東側のシベリアなら容易にイメージ出来ると思いますが、西側のヨーロッパ・ロシア内にもこれらのアジア系などの民族が沢山います。古代の民族大移動やモンゴル帝国の征服の痕跡が今も生々しく残っています。アルタイ系のタタールなどでは、5音音階の東洋的な旋律も多く、中国かモンゴルの音楽と聞き間違えるほどです。ウラル系では、日本の民謡にそっくりな歌もあります。

最初にかけますハンガリーのHungarotonから出ていた「ヴォルガ-カマ地域のフィン・ウゴルとトルコ系諸族の伝統歌」について、何度かこれまでにも出てきました音楽之友社の「世界の民族音楽ディスクガイド」に書いた拙稿を読み上げてみます。

ヴォルガ中流域やウラルはもはやヨーロッパではなくアジアである。アルタイ語族のトルコ系や、ウラル語族のフィン・ウゴル系の言葉を話す少数民族が沢山いる地域だが、これは1958~79年にコダーイの弟子であるLaszlo VikarとGabor Bereczkiの2人のハンガリー人研究者によってタタールやマリ、チュヴァシ、ウドムルトの各自治共和国で収集された録音集。
Votyak,Cheremis,Chuvash,Tatarの諸族の民謡や踊りの曲等。さすがマジャール民謡のルーツをこの地に探ったバルトークの頃からの伝統で、録音も良いのでこの地域に興味を持つ人には貴重な資料になるだろう。住民の服装はロシア風ながら、節はマジャールに近い。日本人からも遠くない印象を受ける東洋風な歌も多い。

非常に興味深いエリアですが、音楽的にはかなり地味でもありますので、この放送ではごくごくかいつまんで取り上げることにします。まずは、ハンガリーやフィンランド、エストニアなどのルーツに当るウラル系民族のエリアから始めます。
ハンガリーの民族的ルーツを辿るとヴォルガ中流域のチェレミス(現在はマリ共和国)や西シベリアのハンティ・マンシに当るとされますが、チェレミスの民謡で結婚式の歌を2曲続けてどうぞ。

<チェレミスの結婚式の歌 2分27秒、34秒>
Ансамбль народной песни «Эренер» отметил 20-летний юбилей - Вести Марий Эл

同じ曲ではありませんが、マリ・エル(チェレミス)の民謡の現在を垣間見れる一本。

次に現在はウドムルトと呼ばれているヴォチャークの民謡ですが、イースターの歌をどうぞ。

<ヴォチャークのイースターの歌 1分3秒>

同じ盤から、アルタイ系になりますが、チュヴァシのパンケーキ・デイの歌をどうぞ。パンケーキ・デイとは、四旬節の初日である灰の水曜日の前日の火曜だそうです。

<チュヴァシのパンケーキ・デイの歌 1分9秒>

同じ盤から、やはりアルタイ系ですが、タタールのティン・ホイッスルと、クライと呼ばれる倍音豊かな縦笛の吹奏を2曲続けてかけてみます。東洋的な旋律で、民謡の尺八に似て聞こえます。

<タタールのティン・ホイッスルとクライ 1分43秒、2分1秒>

続いて、オランダのレーベルPanから出ていたMother Volgaにもヴォルガ・フィン語派の音源がありますので、その中から再度チェレミス(マリ)の民謡でAn old slow songと言う女性の重唱をどうぞ。アコーディオンと打楽器の伴奏で歌われています。この辺の人々の風貌共々、やはり東洋か西洋か、判別の難しい音楽です。

<Mother Volga - Music of the Volga Ugrians ~An old slow song 3分37秒>

同じMother Volgaにはアルタイ系のチュヴァシの音源も入っておりまして、その中からグースリ独奏で「古いマーチ」と言う曲をどうぞ。グースリは一般にはロシアの伝統楽器として知られるツィター系弦楽器です。この曲はアルタイ~トルコ的な感じは全くしない曲です。

<Mother Volga - Music of the Volga Ugrians ~An old march 2分50秒>

同じくチュヴァシのグースリ演奏ですが、次の結婚式の曲では対照的にアルタイ~トルコ的な感じが強く感じられます。この旋律はどこかで聞いたことがありますが、思い出せません。何か懐かしい感じのメロディです。歌入りヴァージョンと続けてどうぞ。

<Mother Volga - Music of the Volga Ugrians ~Lyrical Wedding Melody, Lyrical Wedding Song 2分5秒、1分32秒>

では、最後にアルタイ系のタタールスタンの女性歌手F.スレイマノヴァの独唱を聞きながら今回はお別れです。露Melodiyaから最近出たヴォルガ・タタールの民謡2枚組の冒頭を飾る東洋的な美しい旋律です。タイトルのSahralardaは、英訳ではIn the fieldsとありました。スレイマノヴァの名前の通りでタタールではイスラム教徒が多く、一方それ以外のアルタイ系とウラル系ではキリスト教徒が多いようです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Folk Songs of Volga Tatars ~F.Suleymanova / Sahralarda(In the fields) >

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2015年4月10日 (金)

Songs of the Northern Caucasus (Mari, Kuvash, and Tatar)

そろそろスカンディナヴィアの方に戻らねば、と思いつつヴォルガ流域のテュルク系巡りが長引いています。タタールスタンの南のバシキールでも面白い映像が見つかったりして、きりがないので一応今日で打ち止めという事で、マリ(チェレミス)とチュヴァシ(Kuvashとありますがチュヴァシのことだと思いますが)とタタールの歌や音楽の聞き比べ映像を上げておきましょう。このロシア連邦の地図も、何度か引用した図でした。シベリア側(ウラル以東)のクラスノヤルスクやサハが如何に巨大かにも驚かされますが、ウラル以西のヨーロッパ・ロシアにおいてもモザイク状の複雑な民族構成が見られるだけでなく、音楽的にも実に多様なことや、ヨーロッパ・ロシアの中にこんなアジア的な旋律があることを知って頂けたら幸いです。

Songs of the Northern Caucasus (Mari, Kuvash, and Tatar)

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2015年4月 7日 (火)

ペンタのタタール・ポップス

5音音階(ペンタトニック)のタタール民謡を探してみました。一本目は中国の旋律のようにも聞こえますが、オペラ的な発声で歌われています。2本目は同じペンタトニックでも、もっと色々な国で聞けるメロディ・ライン。中央アジア的なビデオも興味深いです。
より伝統的なタタール民謡のCDが最近ロシアのMelodiyaから出ています。録音は1960年ー1981年で、現在では聞けなくなってきている音源もあるのではと思います。

Volga Tatar Song - 'Kartaerga momkin tugel' - 720p (HD)

Tatar Müziği - Damira Saetova - Jezledem tabalmadym

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2015年4月 6日 (月)

タタール民謡

タタール民謡と言えば、新世界レコードのオムニバス(Chant du mondeの「USSRの旅」のダイジェスト)のラストを飾っていたような東洋的なペンタトニックを思い浮かべがちですが、今日のドンブラのような弦楽器伴奏の女性の歌は、カザフ民謡にかなり似通っています。メロディは色々ヴァリエーション豊かなようです。タタールの血を引くロシアの有名人は、他にレーニンやバレエのルドルフ・ヌレエフがいますが、意外にもロシア文化の中心に名を残している人が多いことに驚かされます。そう言えば、文豪トルストイは若い頃、タタールスタンの首都カザンのカザン大学東洋学科に学んだそうです。『コサック』や『コーカサスの虜』などは、その影響でしょうか。(彼はタタールの血は入ってないようですが)

Mishär Tatar Folk Song - 'Saularmysyz' (Саулармысыз)

Damir Gulnara Volga Tatar Wedding In Kazan

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2015年4月 3日 (金)

ヴォルガ・タタール

チュヴァシと並んでヴォルガ・ブルガールの末裔とも言われるヴォルガ・タタールは、テュルク諸語の中で北西語群に属し、キプチャク語群とも呼ばれますが、ブルガール語の影響が見られるそうです。隣接するバシキールはもちろん、大分離れたクリミア・タタールやコーカサスのテュルク系(カラチャイ・バルカルやクムク、カライム他)とも言語的に近いようです。歌の方は、カザンのタタールと題する方がロシア的なのに対し、2本目は本来のタタール民謡に聞こえます。タタールの血を引く音楽家で有名なのは、ラフマニノフとグバイドゥーリナで、両者の音楽にタタール的な部分が含まれているのか、というのも気になるテーマです。

Qazan Tatars - Volga Bulgars (Tugan yak / Native land) - Tatar song

Volga Tatar Folk Song - 'Sak-sok' bäete (Сак-сок бәете)

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2015年4月 2日 (木)

チュヴァシ語の話

チュヴァシ語は、トルコ語と同じく、アルタイ諸語のブランチのテュルク諸語には入りますが、今でも話者の多いメジャーなオグズ語群(トルコ語、アゼルバイジャン語、トルクメン語、ガシュガイ語等)ではなく、今では死語が多いブルガール語群(オグール語群とも)に入ります。ほとんど唯一今でも話されているブルガール系の言葉で、トルコ語とはかなり違った響きがあります。他のオグール語群の言葉は、ユダヤ教徒が多かったと言われるハザール帝国のハザール語、ゲルマン民族大移動を誘発したことで有名なフン族のフン語、テュルク・アヴァール語などです。こう並べただけでも、歴史の波に消えていった民族が多い中で、ヴォルガ・ブルガールの言葉を今に伝える稀な言語であることが分ります。余談ですが、ブルガール人が西進して現在のブルガリア人の先祖になっていることも大分前に触れたことがありました。ブルガリア語はスラヴ化しましたが、オスマン帝国のバルカン支配後、トルコ語の語彙が多く取り入れられました。

National Chuvash Day

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