コーカサス (カフカス)

2017年7月28日 (金)

パンキシ(グルジア)のチェチェン人音楽家

また後日と予告しておりました、番組でかけたTimur LosanovとCherim Nakhushevについては、歌謡化したような映像がほとんどで、どうも今ひとつなので、チェチェンのレズギンカの打楽器編も考えておりました。しかし、その前に非常に魅力的な歌声とバラライカなどの演奏がありましたので、そちらを上げておきます。グルジアのパンキシ( панкиси)での演奏のようです。チェチェンの美少女歌手の歌声が素晴らしく、喉から搾り出すようなチェチェン語の独特な音も確認できます。さびでダイモク(フ)の語が出てくるので、望郷の歌の一種でしょう。おそらく先日マッカ・サガイーポヴァの代表曲をバラライカで弾き語っていた人と思われる女性のバラライカ伴奏です。更にはもっと鮮明なアンサンブル映像までありました。グルジアのTV放送のようです。こちらのタイトルはグルジア語のため、残念ながら詳細不明です。アズナシを思い出させる女性アンサンブルです。

панкиси - нохчийн илли

ძლიერი ქალები პანკისიდან | ქალთა გუნდი ,,აზნაში"

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2017年7月20日 (木)

グルジアのパンドゥリ

バラライカ弾き語りによるチェチェンの歌が出たところで、先回りしてグルジアのパンドゥリの演奏も少し見てみたいと思います。ロシアのバラライカ、チェチェンのポンデル、グルジアのパンドゥリやチョングリは、いかにもカザフのドンブラなどの中央アジアの弦楽器と響きが似ていて、同系列の楽器であることがよく分かります。3弦が多く、おそらく調弦は同じで、運指も似ているように見えます。
グルジアのパンドゥリは歌の伴奏楽器のイメージが強く、独奏は余り見たことがありませんでしたが、超絶技巧を披露している映像が幾つかありました。1,2本目がそれで、タイトルが違っていますが、同じ曲に聞こえます。どちらが正しいのでしょうか。近年話題になったグルジアの女性トリオTrio Mandiliの演奏も一緒に上げておきます。しかし、グルジアやチェチェンなどの南北コーカサス系民族に共通する、凛としながらも寂しげな旋律の美しさには、とても魅了されます。

Irakli Akhalaia - It should all see - Georgian Folk. Instrument Fanduri

Chechen song

Trio Mandili - Malika (CD-album WITH LOVE is available on http://triomandili.com/en/#buy)

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2017年7月14日 (金)

レズギンカ~アルメニアとダゲスタンの例

youtubeにはハチャトゥリアンの「ガイーヌ」だけでなく、レズギンカの現在形が沢山出ていますし、マッカ・サガイーポヴァのiTunesの最近作も大変に素晴らしかったので、どれにしようかと思いながら昨晩は早々寝落ち(^^;(笑) 8月26日の内子座(ダンスのチェロ伴奏)に向けての練習が始まったので、昨晩の初回を終えてくたびれ果てておりました。
今日はアルメニアの舞踊団がハチャトゥリアンのレズギンカをやっている映像と、ダゲスタンの首都マハチカラのレストランでのレズギンカの2本を上げておきます。コーカサスの最南部に位置するアルメニアでは、レズギンカはおそらく盛んではないはずですが、ハチャトゥリアンがグルジア出身とは言え、アルメニア系という事で、このような舞台もあるのでしょうか。カフカス・ドラムも入っていますが、グルジアや北コーカサスでの演奏ほどの躍動感と鋭さには欠けるように思います。ダゲスタンの方はASA Styleと称する団体?のyoutube映像が夥しい数で上がっていて、さすがレズギンカの本家本元の民族、レズギ人のいる本場ダゲスタンの、「レズギンカの今」の白熱が感じられます。

Aram Khachaturian - Lezginka [Armenian National Dance Ansamble]

ASA STYLE - Лезгинка в Махачкале ( свадьба 2016 )

Лезгинка в Махачкале(マハチカラのレズギンカ)

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2017年7月10日 (月)

コーカサスの音楽 まずはハチャトゥリアンから

ゼアミdeワールド65回目の放送、日曜夕方に終りました。12日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

今回から旧ソ連各地の音楽巡りに戻りたいと思います。ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、バルト三国と来て、次は黒海とカスピ海の間に位置するコーカサスです。コーカサスと言うと、グルジア、アルメニア、アゼルバイジャンをすぐに思い浮かべる人が多いと思いますが、まず最初にこれから回るのは、ロシア連邦側の北コーカサスです。コーカサスはロシア語ではカフカスと言いますが、グルジア、アルメニア、アゼルバイジャンの3か国は、ザカフカスとも呼ばれます。これはロシア語では「ザ」は英語の定冠詞「ザ」ではなくて、「向こう側」の意味なので、ロシアから見てカフカス山脈の向こう側(南側)の意味になります。
北コーカサスの中では、ソ連崩壊後に戦火の続いたチェチェンが一番有名だろうと思いますが、どうしても政情不安定な場所のイメージが強いと思います。チェチェンは民族の系統で見ると、印欧語とは異なるコーカサス諸語の民族の一つですが、他にもトルコ系の民族や、古代のスキタイとも繋がるような印欧語系のイラン系民族が入り混じって住んでいる所です。
政情不安故に録音はかなり少ないですが、ソ連崩壊前のメロディア盤の録音を初めとして、亡命先のグルジアなどでの録音もいくつかありますので、順にご紹介したいと思います。まずは、グルジア出身のアルメニア人作曲家として有名なハチャトゥリアンの、あまりに有名な「剣の舞」からかけてみたいと思います。躍動感溢れるハチャトゥリアンの自作自演です。

<ハチャトゥリアン/剣の舞 2分23秒>
Sabre Dance - Aram Khachaturian


次にコーカサス一帯に見られる剣を持った踊りのyoutube音源をかけてみます。CDでは見当たりませんが、現地のyoutube映像には沢山あります。おそらくこういうタイプの舞踊を見て、ハチャトゥリアンは「剣の舞」を書いたのだろうと思われます。クルド人が剣を持って戦いの踊りを踊るイメージで書かれたそうですが、音楽的にはグルジアなどの伝統舞曲レズギンカのカラーが強いように思います。これからかけますのは、チェチェンの山岳部の剣を持った踊りです。タイトルにはТанец с кинжаламиとありまして、キンジャラミと言うのはダガー(短剣)を指すのに対して、「剣の舞」の原題のТанец с саблямиのサブリャミというのは、サーベルを指します。

<ЧЕЧЕНСКИЙ ТАНЕЦ С КИНЖАЛАМИ ГОРЦЫ  3分41秒>


もう一本「古いレズギンカの短剣を持った踊り」と題する古い映像がありましたので、こちらもかけてみましょう。лезгинский(レズギンスキー)とは、ダゲスタン共和国南部やアゼルバイジャン北部に居住するレズギ人の方を指すかも知れません。レズギンカの名前のルーツとも言われている民族です。とにかく音楽がとても素晴らしいです。

<Старинный лезгинский танец с кинжалами 2分15秒>


次に同じバレエ音楽ガイーヌ(あるいはガヤネー)の中で、「剣の舞」に次いで有名なレズギンカをかけてみましょう。やはり躍動感の漲るレズギンカは場所によってイスラメイとも呼ばれていて、非常に速い8分の6拍子が特徴的です。4拍子のように聞こえても、よく聞くと一拍が「タンタ、タタタ」と6ビートになっています。偶然ですが、非常に速い8分の6拍子という点では、前々回にご紹介しました南イタリアのタランテラと共通しています。これからかけます音源は、やはりハチャトゥリアンの自作自演で、普通のオーケストラではスネアドラムで代用するところを、本場の民族打楽器カフカス・ドラムが華々しく使われていて、その音色が特筆すべき素晴らしさです。

<ハチャトゥリアン/レズギンカ 2分31秒>
Aram Khachaturian - Lezginka from Gayane


レズギンカの躍動感溢れるリズムは現代のポップスにも脈々と生き続けていて、そのサンプルとしてチェチェン・ポップスの歌姫マッカ・サガイーポヴァのカフカスという曲をかけてみましょう。チェチェン美人のマッカ・サガイーポヴァのCD入手は困難ですが、youtubeは色々ありますので、またZeAmiブログの方で上げたいと思います。この曲は旋律も日本人の心にストレートに訴えかける憂い節になっていて、それがレズギンカの躍動感の中で歌われて、何とも言えない魅力を醸し出しています。

<Makka Sagaipova / Kavkaz 3分47秒>
Makka Sagaipova - Ревнивый Кавказ


北コーカサスですが、ロシア連邦に属する幾つかの共和国がありまして、東から順に言いますと、ダゲスタン、チェチェン、イングーシ、北オセチア、カバルダ・バルカル、カラチャイ・チェルケス、アディゲとなっていて、この中でアディゲ、チェルケス、カバルダの3つの北西コーカサス語族を総称してサーカシアと呼んだり、個別の国名と同じで紛らわしいですが、チェルケスまたはアディゲと呼ばれる場合もあります。オセチアだけがイラン系で、コーカサス系と抱き合わせで国を成しているバルカルとカラチャイはトルコ系民族ですが、ダゲスタンの中にもコーカサス系に混じってトルコ系少数民族が沢山住んでいます。コーカサス系民族には、ザカフカスのグルジアやアブハジアも入ります。このように民族のモザイクと言うのがぴったりな地域です。


前回もお知らせしましたが、ここでライブ情報を入れたいと思います。
カフェ&ZeAmi実店舗のトーク・トークで初のライブを行うことになりました。チラシが出来ましたので、現在配布中です。
限定30席、PAなしで、アラブやトルコの代表的な弦楽器ウードの生音と妙技を聞けるまたとない機会です。
加藤さんは、2015年4月9日の浄土寺(ウード、ヴァイオリン、ダラブッカのトリオとベリーダンス)、同年10月11日のバリパサールでのウード・ソロに続いて3回目の今治でのライブになります。

加藤吉樹 ウード・ソロ

日時 2017年8月2日 水曜日  6時開場 7時開演

場所 トーク&トーク (カフェ&ZeAmi実店舗)
     今治市北高下町2-1-7 (ハイツ近藤2の1階)
   駐車場5台のため、できるだけ徒歩でのご来場をお願いします。

チャージ 2000円 (1アイスコーヒー付き)

ご予約・ご連絡先
  VYG06251@nifty.ne.jp

以上ライブ情報でした。宜しければ是非お越し下さい。


では最後にハチャトゥリアンの仮面舞踏会のワルツを聞きながら今回はお別れです。フィギュア・スケートの浅田真央選手が演目で使ってから一般に有名になりました。こちらもハチャトゥリアンの自作自演です。因みに冬期オリンピックが開かれたソチは、かつてチェルケス人の首都でした。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<ハチャトゥリアン/仮面舞踏会 ~ワルツ 4分3秒>
Khachaturian - Masquerade Suite - Waltz

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2016年12月30日 (金)

アルメニア教会の音楽 コミタス

ローマ帝国に先駆け西暦301年に世界で初めてキリスト教を国教にしながらも、宗教の異なる大国の狭間で孤立し、度重なる迫害や弾圧に耐えながら1700年余りに亘って信仰を守り続け、100年前の大虐殺の危機も乗り越えたアルメニアの強さの秘密は何なのでしょうか。
9世紀頃には、東ローマ帝国からの度重なる宗教的統合の要求があったにもかかわらず、アルメニアは独自の宗派であるアルメニア使徒教会の信仰を貫き、これにより、隣国東ローマ帝国とその国教である東方正教会からの離別は決定的となったそうで、このように正教会の中でも他宗派と融和してきた訳ではないようです。
この孤立にも絶えた秘密は何なのでしょうか。いつもそう思います。
悲しく深いアルメニアの宗教歌を色々聞いていて、やはり幽玄美に満ちたコミタスの曲には、その回答が一番よく聞こえるような気がします。
今年の投稿はこれが最後です。皆様どうぞ良いお年をお迎え下さい。

Komitas Vardapet: Armenian Divine Liturgy

Komitas Vardapet: Armenian liturgical chants

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2016年6月16日 (木)

鴬の声とドゥドゥクの美しき出会い

アリザーデさんの映像を久々に幾つか見ていて、アルメニアの名歌sari galinが目に留まりましたが、確かEndless Visionに入ってたなと思い確かめたら、やっぱりありました。ホセイン・アリザーデとアルメニアの至宝ジヴァン・ガスパリアンが組んだEndless Visionは、2006年グラミー賞ワールド・ミュージック部門にノミネートされた名盤。もう録音から13年も経つのですね。その事に驚きました。2004年の来日時には、アリザーデさん、アフサーネさん、ホルシドさんらの御一行に、金魚の糞のようについて歩いたことを思い出します(笑) Endless Visionのパーソネルは4人くらいはラーゼ・ノウをやった年の来日時と同じです。早稲田や芸大でのワークショップや昼食にも同行し、間近でアリザーデさんの妙技を目の当たりにした時は、感涙が流れました。アフサーネさんの優しい歌声も忘れられません。

hossein alizadeh sari galin

<Endless Visionの演奏者>
ホセイン・アリザーデ(Shourangiz)
ジヴァン・ガスパリアン(Duduk)
ハムアーヴァーヤーン
アフサーネ・ラサーイー(Vo)
ホルシド・ビアーバーニー(Vo)
M.アリ・アハディ(Vo)
アリ・サマドプール(Vo)
アリ・ブスタン(Shourangiz)
M.レザ・エブラヒミ(Oud)
ベーザード・ミルザーイー(Tombak,Daf,Naghareh)
アルメン・ガザリヤン(Duduk)
ヴァズゲン・マルカリアン(Bass Duduk)

<以下Endless Visionのレビュー拙稿>
アリザーデとアルメニアのドゥドゥクの巨匠の注目の共演盤。バックはRaze Noなどでお馴染みの、ハムアーヴァーヤーンのアンサンブル。その一見奇抜とも思える組み合わせに驚いていたが、聞いてみてそんな心配は吹き飛んだ。隣の国だから似た部分は元々多いのだろう。アルメニア語はペルシア系と思われていた時期もあった位だから。「東京の夏」で来日した女性歌手二人はアルメニアの歌も歌い、またこれが実に素晴らしい。また弦楽器シュールアンギーズの陰影に富んだ音色は、とてもアルメニア音楽向きに聞こえる。タンブールを更に内省的にしたような音色。弦楽器、ドゥドゥク、歌のいずれも哀感に溢れた絶美の演奏。2003年テヘランでのライヴ録音

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2016年6月 7日 (火)

バーラム・マンスロフの動画

アゼルバイジャンのタールの巨匠バーラム・マンスロフの、動画もありました。数年前にブログで取り上げた際にはなかったと思いますが、2011年前後にアップされていたようです。現地にはこんなお宝映像が沢山眠っているのでしょう。しかし、このライフル銃を構えているかのような持ち方は、タールを高く構えるアゼルバイジャンでも最高では(笑)
幾つかありますが、イランの古典音楽との比較で、ホマーユンとバヤーテ・エスファハーン、シュールも上げておきます。イランのアスガール・バハーリーのケマンチェなどとバヤーテ・エスファハーンを聞き比べてみるのも一興だと思います。この人のタールを聞いていると、あのペルシア音楽のグーシェ(伝統的旋律型)にそっくり!と思うことが少なくないです。シュールは63年の映像で、特に「歌うタール」になっていて凄いです。シュールはペルシア音楽で一番重要なダストガー。アゼルバイジャンではどうなのでしょうか。

Bahram Mansurov - "Houmayun"

Bahram Mansurov - "Bayati-İsfahan"

Bahram Mansurov - "Shur" (1963)

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2016年6月 6日 (月)

Bahram Mansurovのタール

オランダPhilipsのユネスコ・コレクション(LP)に残された、アゼルバイジャンのタールの巨匠バーラム・マンスロフの録音がありました。同じユネスコ・コレクションでも、90年代中心にCDで出回ったフランスのAuvidisやドイツのMusicaphonとは内容のダブりはほとんどなく、先日ラジオでかけましたイランや南インドなど、CD化されていない往年の名手の貴重音源が多いレーベルです。バーラム・マンスロフは、アリム・カシモフの伴奏をしていたマリク・マンスロフの父かどうか未確認ですが、そうだったかも知れません。ここで聞けるチャハールガーのムガームのタール・ソロは、ペルシア音楽からの影響をとても濃厚に感じさせる部分があります。Chant du monde盤など、CDというメディアが出始めてすぐの頃には、彼の録音がまだ少しありました。

Bahram Mansurov (Azerbaijan) - Mugam "Chahargah"

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2016年6月 3日 (金)

Turkish Mugham of Azerbaijan

極上のケマンチェのソロを見ましたので、元々この楽器が使われるアゼルバイジャンのムガームを少し見てみましょう。数年前に取り上げた頃より、はるかに動画が増えているようです。ムガームは大体タール、ケマンチェ、歌とダフの3人編成が多く、何よりもトルコ系らしい吟唱がまずあって、それをケマンチェやタールが模倣しているように聞こえます。弦楽器はどちらもペルシア由来ですが、出ている音はテュルクが勝っていると思います。タールの高く構えて独特な装飾を入れて激しく奏でるところや、ケマンチェの高音から低音までの音色の多彩さは、アゼルバイジャン音楽独自のもの。むしろ、タハリールの入る歌声の方がペルシアの音楽に似ていると言えるでしょうか。以上のようなことが、今日の動画などを見るとよく分ります。しかし、タイトルがTurkish Mughamとなっていると言う事は、レパートリーがトルコとペルシアに分れるのかも知れませんが、その辺よく吟味してみたことはないです。久々に来日もした国宝級歌手アリム・カシモフでも傾聴してみましょうか。

Turkish Mugham of Azerbaijan

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2016年6月 1日 (水)

追悼特番2

ゼアミdeワールド9回目の収録に行ってきました。
先週に続きまして5月16日に亡くなられた音楽プロデューサーの星川京児さんの追悼特集です。放送は2日木曜午後5時15分、再放送は5日日曜午後3時からです。宜しければ是非お聞き下さい。今回は2曲かけましたが、どちらも90年代前半のNHKFM「世界の民族音楽」の星川さん司会の回で放送された録音です。この2曲を聴く時、私はいつも星川さんのことを思い出します。改めて、ご冥福をお祈り致します。

まず、前回終わりに少しだけかけました、アゼルバイジャンのケマンチェ演奏からです。
南コーカサスの国の一つ、アゼルバイジャンは言語的にはトルコ系ですが、音楽や楽器の面では南隣のペルシアの影響を強く受けていて、ケマンチャもドゥンベクも楽器名からしてそっくりです。アリエフ・ガビリがイランの古都シーラーズの名を冠した哀愁の名旋律を聴かせます。この曲は、90年代前半のNHKFM「世界の民族音楽」の星川さん司会の回でテーマ曲に使われていました。星川さんは、83年の小泉文夫さん逝去の後、この番組を引き継いだ内のお一人です。

<「カスピ海の旋律」から バヤーテ・シーラーズ>

2曲目は、インドのデリーのニザーミ・ブラザースが歌うカッワーリです。カッワーリと言えば、90年前後に度々来日し97年に亡くなったヌスラット・ファテ・アリ・ハーンの歌唱で一躍有名になり、ワールドミュージックブームを牽引したインド・イスラームの神秘主義(スーフィー)の宗教歌謡ですが、ヌスラットやサブリ・ブラザースなどパキスタン勢が一般によく知られている中で、インドのデリーのグループと言うところが珍しいです。リーダーのナズムッド・ニザーミはムガル王朝最後の皇帝バハードゥル・シャー・ザファルの宮廷楽士に連なるムシュタク・フセイン・カーンの息子で、北インド古典音楽の名門シカンドラ・ガラナに声楽のルーツを持つ由緒あるカッワールです。更には、このナアト(預言者ムハンマドへの賛歌)で歌われているラーガが、ムガル宮廷に縁のある夜のラーガ「ダルバリ」と言うのも興味深いです。

<Nizami Brothers / Na`at Cherif (Nabi Muhammad Sallu Alayh)>

SAMEENA STAGE SHOW /Qawwali-Nizami Brothers

この曲のyoutubeは見当たらないので、別な曲ですが、一本上げておきます。

演奏時間は20分ほどありまして、後半はカッワーリらしく聞き手をトランス状態に導くような盛り上がりを見せています。
この曲が収録されているのはフランスのIneditの「アジアのイスラーム音楽」ですが、CDリリースは91年で、その直後から個人的にかなりこの曲にはまりまして、当時池袋のアール・ヴィヴァンによく来られていたカッワーリ・フリークのラジャスタン出身のモハメド・アリさん(ムガル絵画の画家兼カレー屋さんでした)と仲良くなり、93年に彼の娘さんの誕生日パーティーでこの曲を歌ったことがあります。アリさんから歌詞の大意を教わり、アリさんのタブラ、知人のハルモニウムとハンド・クラッピングの伴奏で、原語のウルドゥー語で歌いました。

これまでの放送を聞き逃したと言う方には、2,3回前からですが、放送原稿をほとんどそのままか、少し加筆してこのZeAmiブログやFBに上げておりますので、是非併せてご参照下さい。「民族音楽」で検索すると1ページ目にZeAmiHPが出てきますが、その上の方にブログをリンクしてあります。星川さんから99年に頂いたシャハラーム・ナーゼリー関係の記事も会報のページに載せております。

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