コーカサス (カフカス)

2016年12月30日 (金)

アルメニア教会の音楽 コミタス

ローマ帝国に先駆け西暦301年に世界で初めてキリスト教を国教にしながらも、宗教の異なる大国の狭間で孤立し、度重なる迫害や弾圧に耐えながら1700年余りに亘って信仰を守り続け、100年前の大虐殺の危機も乗り越えたアルメニアの強さの秘密は何なのでしょうか。
9世紀頃には、東ローマ帝国からの度重なる宗教的統合の要求があったにもかかわらず、アルメニアは独自の宗派であるアルメニア使徒教会の信仰を貫き、これにより、隣国東ローマ帝国とその国教である東方正教会からの離別は決定的となったそうで、このように正教会の中でも他宗派と融和してきた訳ではないようです。
この孤立にも絶えた秘密は何なのでしょうか。いつもそう思います。
悲しく深いアルメニアの宗教歌を色々聞いていて、やはり幽玄美に満ちたコミタスの曲には、その回答が一番よく聞こえるような気がします。
今年の投稿はこれが最後です。皆様どうぞ良いお年をお迎え下さい。

Komitas Vardapet: Armenian Divine Liturgy

Komitas Vardapet: Armenian liturgical chants

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2016年6月16日 (木)

鴬の声とドゥドゥクの美しき出会い

アリザーデさんの映像を久々に幾つか見ていて、アルメニアの名歌sari galinが目に留まりましたが、確かEndless Visionに入ってたなと思い確かめたら、やっぱりありました。ホセイン・アリザーデとアルメニアの至宝ジヴァン・ガスパリアンが組んだEndless Visionは、2006年グラミー賞ワールド・ミュージック部門にノミネートされた名盤。もう録音から13年も経つのですね。その事に驚きました。2004年の来日時には、アリザーデさん、アフサーネさん、ホルシドさんらの御一行に、金魚の糞のようについて歩いたことを思い出します(笑) Endless Visionのパーソネルは4人くらいはラーゼ・ノウをやった年の来日時と同じです。早稲田や芸大でのワークショップや昼食にも同行し、間近でアリザーデさんの妙技を目の当たりにした時は、感涙が流れました。アフサーネさんの優しい歌声も忘れられません。

hossein alizadeh sari galin

<Endless Visionの演奏者>
ホセイン・アリザーデ(Shourangiz)
ジヴァン・ガスパリアン(Duduk)
ハムアーヴァーヤーン
アフサーネ・ラサーイー(Vo)
ホルシド・ビアーバーニー(Vo)
M.アリ・アハディ(Vo)
アリ・サマドプール(Vo)
アリ・ブスタン(Shourangiz)
M.レザ・エブラヒミ(Oud)
ベーザード・ミルザーイー(Tombak,Daf,Naghareh)
アルメン・ガザリヤン(Duduk)
ヴァズゲン・マルカリアン(Bass Duduk)

<以下Endless Visionのレビュー拙稿>
アリザーデとアルメニアのドゥドゥクの巨匠の注目の共演盤。バックはRaze Noなどでお馴染みの、ハムアーヴァーヤーンのアンサンブル。その一見奇抜とも思える組み合わせに驚いていたが、聞いてみてそんな心配は吹き飛んだ。隣の国だから似た部分は元々多いのだろう。アルメニア語はペルシア系と思われていた時期もあった位だから。「東京の夏」で来日した女性歌手二人はアルメニアの歌も歌い、またこれが実に素晴らしい。また弦楽器シュールアンギーズの陰影に富んだ音色は、とてもアルメニア音楽向きに聞こえる。タンブールを更に内省的にしたような音色。弦楽器、ドゥドゥク、歌のいずれも哀感に溢れた絶美の演奏。2003年テヘランでのライヴ録音

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2016年6月 7日 (火)

バーラム・マンスロフの動画

アゼルバイジャンのタールの巨匠バーラム・マンスロフの、動画もありました。数年前にブログで取り上げた際にはなかったと思いますが、2011年前後にアップされていたようです。現地にはこんなお宝映像が沢山眠っているのでしょう。しかし、このライフル銃を構えているかのような持ち方は、タールを高く構えるアゼルバイジャンでも最高では(笑)
幾つかありますが、イランの古典音楽との比較で、ホマーユンとバヤーテ・エスファハーン、シュールも上げておきます。イランのアスガール・バハーリーのケマンチェなどとバヤーテ・エスファハーンを聞き比べてみるのも一興だと思います。この人のタールを聞いていると、あのペルシア音楽のグーシェ(伝統的旋律型)にそっくり!と思うことが少なくないです。シュールは63年の映像で、特に「歌うタール」になっていて凄いです。シュールはペルシア音楽で一番重要なダストガー。アゼルバイジャンではどうなのでしょうか。

Bahram Mansurov - "Houmayun"

Bahram Mansurov - "Bayati-İsfahan"

Bahram Mansurov - "Shur" (1963)

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2016年6月 6日 (月)

Bahram Mansurovのタール

オランダPhilipsのユネスコ・コレクション(LP)に残された、アゼルバイジャンのタールの巨匠バーラム・マンスロフの録音がありました。同じユネスコ・コレクションでも、90年代中心にCDで出回ったフランスのAuvidisやドイツのMusicaphonとは内容のダブりはほとんどなく、先日ラジオでかけましたイランや南インドなど、CD化されていない往年の名手の貴重音源が多いレーベルです。バーラム・マンスロフは、アリム・カシモフの伴奏をしていたマリク・マンスロフの父かどうか未確認ですが、そうだったかも知れません。ここで聞けるチャハールガーのムガームのタール・ソロは、ペルシア音楽からの影響をとても濃厚に感じさせる部分があります。Chant du monde盤など、CDというメディアが出始めてすぐの頃には、彼の録音がまだ少しありました。

Bahram Mansurov (Azerbaijan) - Mugam "Chahargah"

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2016年6月 3日 (金)

Turkish Mugham of Azerbaijan

極上のケマンチェのソロを見ましたので、元々この楽器が使われるアゼルバイジャンのムガームを少し見てみましょう。数年前に取り上げた頃より、はるかに動画が増えているようです。ムガームは大体タール、ケマンチェ、歌とダフの3人編成が多く、何よりもトルコ系らしい吟唱がまずあって、それをケマンチェやタールが模倣しているように聞こえます。弦楽器はどちらもペルシア由来ですが、出ている音はテュルクが勝っていると思います。タールの高く構えて独特な装飾を入れて激しく奏でるところや、ケマンチェの高音から低音までの音色の多彩さは、アゼルバイジャン音楽独自のもの。むしろ、タハリールの入る歌声の方がペルシアの音楽に似ていると言えるでしょうか。以上のようなことが、今日の動画などを見るとよく分ります。しかし、タイトルがTurkish Mughamとなっていると言う事は、レパートリーがトルコとペルシアに分れるのかも知れませんが、その辺よく吟味してみたことはないです。久々に来日もした国宝級歌手アリム・カシモフでも傾聴してみましょうか。

Turkish Mugham of Azerbaijan

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2016年6月 1日 (水)

追悼特番2

ゼアミdeワールド9回目の収録に行ってきました。
先週に続きまして5月16日に亡くなられた音楽プロデューサーの星川京児さんの追悼特集です。放送は2日木曜午後5時15分、再放送は5日日曜午後3時からです。宜しければ是非お聞き下さい。今回は2曲かけましたが、どちらも90年代前半のNHKFM「世界の民族音楽」の星川さん司会の回で放送された録音です。この2曲を聴く時、私はいつも星川さんのことを思い出します。改めて、ご冥福をお祈り致します。

まず、前回終わりに少しだけかけました、アゼルバイジャンのケマンチェ演奏からです。
南コーカサスの国の一つ、アゼルバイジャンは言語的にはトルコ系ですが、音楽や楽器の面では南隣のペルシアの影響を強く受けていて、ケマンチャもドゥンベクも楽器名からしてそっくりです。アリエフ・ガビリがイランの古都シーラーズの名を冠した哀愁の名旋律を聴かせます。この曲は、90年代前半のNHKFM「世界の民族音楽」の星川さん司会の回でテーマ曲に使われていました。星川さんは、83年の小泉文夫さん逝去の後、この番組を引き継いだ内のお一人です。

<「カスピ海の旋律」から バヤーテ・シーラーズ>

2曲目は、インドのデリーのニザーミ・ブラザースが歌うカッワーリです。カッワーリと言えば、90年前後に度々来日し97年に亡くなったヌスラット・ファテ・アリ・ハーンの歌唱で一躍有名になり、ワールドミュージックブームを牽引したインド・イスラームの神秘主義(スーフィー)の宗教歌謡ですが、ヌスラットやサブリ・ブラザースなどパキスタン勢が一般によく知られている中で、インドのデリーのグループと言うところが珍しいです。リーダーのナズムッド・ニザーミはムガル王朝最後の皇帝バハードゥル・シャー・ザファルの宮廷楽士に連なるムシュタク・フセイン・カーンの息子で、北インド古典音楽の名門シカンドラ・ガラナに声楽のルーツを持つ由緒あるカッワールです。更には、このナアト(預言者ムハンマドへの賛歌)で歌われているラーガが、ムガル宮廷に縁のある夜のラーガ「ダルバリ」と言うのも興味深いです。

<Nizami Brothers / Na`at Cherif (Nabi Muhammad Sallu Alayh)>

SAMEENA STAGE SHOW /Qawwali-Nizami Brothers

この曲のyoutubeは見当たらないので、別な曲ですが、一本上げておきます。

演奏時間は20分ほどありまして、後半はカッワーリらしく聞き手をトランス状態に導くような盛り上がりを見せています。
この曲が収録されているのはフランスのIneditの「アジアのイスラーム音楽」ですが、CDリリースは91年で、その直後から個人的にかなりこの曲にはまりまして、当時池袋のアール・ヴィヴァンによく来られていたカッワーリ・フリークのラジャスタン出身のモハメド・アリさん(ムガル絵画の画家兼カレー屋さんでした)と仲良くなり、93年に彼の娘さんの誕生日パーティーでこの曲を歌ったことがあります。アリさんから歌詞の大意を教わり、アリさんのタブラ、知人のハルモニウムとハンド・クラッピングの伴奏で、原語のウルドゥー語で歌いました。

これまでの放送を聞き逃したと言う方には、2,3回前からですが、放送原稿をほとんどそのままか、少し加筆してこのZeAmiブログやFBに上げておりますので、是非併せてご参照下さい。「民族音楽」で検索すると1ページ目にZeAmiHPが出てきますが、その上の方にブログをリンクしてあります。星川さんから99年に頂いたシャハラーム・ナーゼリー関係の記事も会報のページに載せております。

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2016年5月30日 (月)

Azerbaijani Folk Song ''Lachin''

今日の一本は、ギターを入れてモダンさも兼ね備えながら、ケマンチェの泣き節をたっぷり聞かせて、耳が吸い寄せられました。旋法は同じくバヤーテ・シーラーズでしょうか。太鼓はタールでしょうか。乾いた音色が音楽はもちろん、バックの景色にも合っています。ムガームの超絶プレイよりも、こういう哀感溢れる民謡の方が、すっと耳に入ってきます。アゼルバイジャンのケマンチェの笛のようにも聞こえる曇った中低音域や、艶のある高音域の音色は、本当に素晴らしいです。

ANNA RF feat IMAMYAR HASANOV - Azerbaijani Folk Song ''Lachin''

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2016年5月27日 (金)

アゼリのサズとケマンチャ

今日の映像は、前半はトルコ系のサズ独奏、後半は一般にペルシアの影響が濃いと言われるアゼルバイジャンのムガーム音楽のタール抜きバージョンと言って良いでしょうか。中央アジアのテュルク系音楽にストレートに繋がるサズに対し、即興性高いケマンチャは、ペルシア的な典雅さと思いきや、やっぱりテュルクの遊牧民的な躍動感が勝っているように聞こえます。タパン?のストイックな叩き方もカッコいいです。

National Azeri Saz and Kamancha Music! Super!

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2016年5月26日 (木)

ハビル・アリエフのケマンチャ

アゼルバイジャンのケマンチャの名手の妙技をもう少し見てみます。「カスピ海の旋律」にあった表記のアリエフ・ガビリ・ムスタファ・オグリか、またはハビル・アリエフか、正確な発音に近い表記がどちらなのか、よく分りませんが、彼の動画も結構上がっているようです。ハビル・アリエフという表記もどこかで見かけましたので、今日はこちらにしておきます。一本目のバヤーテ・シーラーズはメロディ・ラインはシンプルでも、左手の装飾のかけ方が尋常じゃない複雑さなのは、こういう動画を見るとよく分ります。モノクロのセガー・ムガームの方は若い頃の映像で、セガーらしいエキゾチックさが感じられます。とは言ってもイランのセガーとは音階が違うと思いますが。名歌サリ・ゲルンを弾いている映像もありました。

Habil Aliyev Bayat Shiraz Kamanche Azari

Habil Əliyev - Segah muğam

Habil Əliyev - Sarı gəlin / Habil Aliyev - Sari gelin ( Azerbaijan)

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2016年5月25日 (水)

追悼特番1

ゼアミdeワールド8回目の収録に行ってきました。
16日に大変お世話になりました音楽プロデューサーの星川京児さんが亡くなられましたので、今週と来週は追悼特集にしました。放送は26日木曜午後5時15分、再放送は29日日曜午後3時からです。宜しければ是非お聞き下さい。

星川さんの追悼曲として、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲13番の5楽章をかけました。併せてキングの旧WMLシリーズの「カスピ海の旋律」から、アゼルバイジャンのケマンチャ演奏も時間まで。(現在のワールドルーツミュージックライブラリーシリーズでは「アゼルバイジャンの音楽」に収録)

葬儀の帰りに奥さんから、星川さんはクラシックにも相当詳しかったと聞きました。クラシックには余りご興味ないかと思って話題にしたことはありませんが、是非色々話をうかがいたかったです。13番の本命である第5楽章「カヴァティナ」は、その寂寥感溢れる無上の美しい旋律で知られています。深遠なベートーヴェン後期作品の中でも白眉と言えると思います。誰かを告別するような、とよく形容されますが、事実葬儀にかけて欲しいと希望する人も多いそうで、数多くの人が、この楽章が奏される中、黄泉路へ旅だって行かれたそうです。この曲だけは、フェイドアウトせずに全曲かけました。放送ではブダペスト弦楽四重奏団の演奏でしたが、ブログではイタリア弦楽四重奏団です。
「近藤君、ベートーヴェンなんてやめてくれよ(笑)」とは言われないと思いますが(笑)

Beethoven: String Quartet No.13 op.130 V. Cavatina Quartetto Italiano


南コーカサスの国の一つ、アゼルバイジャンは言語的にはトルコ系ですが、音楽や楽器の面では南隣のペルシアの影響を強く受けていて、ケマンチャもドゥンベクも楽器名からしてそっくりです。最高の名手アリエフ・ガビリ・ムスタファ・オグリが、イランの古都シーラーズの名を冠した旋法の哀愁の名旋律を聴かせます。この曲は、90年代前半のNHKFM「世界の民族音楽」の星川さん司会の回でテーマ曲に使われていました。星川さんプロデュースの録音です。83年の小泉文夫さん逝去の後、このFM番組を引き継いだ内のお一人です。

カスピ海の旋律  バヤーテ・シーラーズ
Habil Əliyev - Bayatı Şiraz

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