コーカサス (カフカス)

2018年11月24日 (土)

アチャラの踊りとハサンベグラ

金曜はできなかったので、土曜ですがアップしておきます。ミニ・グルジア・シリーズのラストですので。1本目の「アチャラの踊り」は、ルスタビの公演のオープニング演目でした。アチャラ地方はグルジア南西部の黒海沿岸にある地方で、男女の華やかな踊りは、あのステージの開幕の興奮を思い出させてくれます。1分前後から出てくる旋律は、大人気のトリオ・マンディリも歌っていました。2本目で、やはり1分辺りからです。

Ensemble Rustavi - dance Acharuli (part two)

Trio Mandili - Ajaruli (CD-album ENGURO is available on http://triomandili.com/buy_disc2.php)

グルジア男声合唱で屈指の名曲として知られるハサンベグラもルスタビのステージで聞けましたが、プログラムで初めて詩の内容を知りました。
「ロシア帝国とオスマン帝国との間に起きたクリミア戦争において、1854年にグリア地方で起きた、とある戦いを題材としている。グリア人はロシア側として戦ったが、敵の中にイスラームに改宗した兄弟分の男ハサンベグがおり、戦いの結果斬首されたハサンベグを「私」が埋めた」
という内容だそうです。その衝撃的な内容に驚きました。グルジア西部黒海沿岸のグリア地方に特徴的な、ヨーデルのような高音パート、クリマンチュリが暴れますが、これは詩の内容の何を意味しているのでしょうか。ロシアの大作曲家ストラヴィンスキーは、おそらくこのハサンベグラを聞いて、「人類の作った最高の音楽」と言ったそうですが、確かに彼の代表作「春の祭典」などを先取りしているようにも思います。

Ensemble Rustavi - KHASANBEGURA

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2018年11月22日 (木)

ディダヴォイ・ナナ

曲名がありませんが、ここでルスタビが歌っているのは、公演の曲目だったディダヴォイ・ナナです。チョングリ伴奏でしっとりと歌われる悲しみを湛えた歌です。グルジア男声合唱の、この弱音表現の美しさも特筆ものでしょう。この映像で、チョングリはフレットレスらしいことが分かりました。平均律から外れた音があるように思います。
「チョングリよ、私とおまえの苦しみを歌おう。お前は何が出来る? 死を前にした私を、お前は助けることはできない。事態は悪く運んだ。なんと不幸なんだ! あらゆる痛みが私を襲う。」

Ensemble Rustavi - Georgian Polyphony on Dozhd (3)

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2018年11月21日 (水)

チャクルロ

ルスタビの公演で、チャクルロは19番目に聞けましたが、この緻密で豪快な男声合唱のポリフォニーには聞き入りました。1977年にNASAのボイジャーによって宇宙に送られた内の一曲だそうです。確かベートーヴェンの第九なども入っていたと思います。歌詞の内容は、敵の襲撃を前にして、死をも恐れず勇敢に戦う、グルジア人の愛国精神が遺憾なく描かれた曲とのことでした。昨年末の放送でビクターJVCの「カヘチア奇蹟のポリフォニー」をかけましたが、その時はチャクルロはかけていませんでした。この盤のチャクルロの解説には以下のようにありました。日本で喩えるなら、謡曲の地謡が比較的近い存在でしょうか。(どちらもユネスコの無形文化遺産です)

この録音が行われたカヘチアのテラビを発祥の地とする歌です。この歌は父親が息子に、サカルトベロ(グルジア語での自称)の男として身につけなくてはならない様々なことがら、いわば「男の道」を教える歌です。サカルトベロには、かつては「やまとごころ」を誇りとした日本人が今や忘れかけている、すがすがしい男気の世界がありますが、歌でこういうことを伝えるというスタイルからも、伝統的文化を継承する上で、歌が重要な役割を果たしていることが分かります。

Ensemble Rustavi - Chakrulo

Ensemble Rustavi - Chakrulo

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2018年11月19日 (月)

ルスタビ・アンサンブル

ゼアミdeワールド135回目の放送、日曜夕方に終りました。21日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。ルスタビの松山公演の日付を、放送では間違えて11月11日と言ってしまっておりました。訂正いたします。正確な発音に近いのは「ルスタヴィ」だと思いますが、最近日本では「ルスタビ」で広まっているので、今回はこの表記にしておきます。今週一週間ブログはグルジアで行きますので、各曲はまた後日探すことにしまして、首都トビリシでの長い映像を一本上げておきます。ゼアミブログには、コーカサスのカテゴリーで、昨年末と何年か前にもたくさん上げておりますので、宜しければご覧下さい。

Ensemble Rustavi - Great performance at Tbilisi Concert Hall


ウズベキスタンの音楽巡りの途中ですが、11月12日にグルジア(ジョージア)のルスタビの松山公演を見に行って来まして非常に素晴らしかったので、去年の末頃の放送でグルジア音楽は一通り回り、ルスタビの音源もかけましたが、先日会場で手に入れた男声合唱中心のルスタビの音源をご紹介したいと思います。かつてアメリカのNonesuchなどから音源がありましたが、この盤はおそらく最近のメンバーによる新録音ではないかと思います。 ステージでは華やかで美しい女性の踊りや、男性の勇壮でアクロバティックな剣の舞に目が奪われましたが、何よりもストラヴィンスキーが「人類の作った最高の音楽」と絶賛した男声合唱は、やはり圧倒的な迫力がありました。生で聞くことが出来て、大変に感激した次第です。終演後に歌い手を目の前で見ると、ものすごく体格が大きくてびっくりしました。まるで栃ノ心が11人いるようで、この身体だから出せる声なのだろうと思いました。バックの伴奏陣の演奏も素晴らしく、アコーディオンとカフカス・ドラムを軸に、弦楽器パンドゥリとチョングリ、縦笛サラムリの演奏など、どれも非常に素晴らしかったです。

まずはいかにもグルジアの男声合唱らしい一曲目のMravalzhamieriからどうぞ。

<1 Mravalzhamieri (Grdzeli Kakhuri) 5分>

2曲目には公演の曲目であるディダヴォイ・ナナが入っております。チョングリ伴奏でしっとりと歌われる悲しみを湛えた歌です。「チョングリよ、私とおまえの苦しみを歌おう。お前は何が出来る? 死を前にした私を、お前は助けることはできない。事態は悪く運んだ。なんと不幸なんだ! あらゆる痛みが私を襲う。」

<2 Didavoi Nana (Ase Chonguri) 3分12秒>

7曲目のChonguroも公演の曲目で、「チョングリよ」と訳されています。4弦のチョングリは3弦のパンドゥリより低音が豊かなので、サラムリとのトリオの際などにはベースを担当しているようです。この歌ではチョングリに対し、「ゆっくり、ゆっくりと、お前の甘い響きが私の心を喜びで満たすように」と呼び掛けています。

<7 Chonguro 4分8秒>

ヨーデルのような裏声パートのクリマンチュリが活躍する西部グリア地方のハッサンベグラも公演で聞けました。ロシアの大作曲家ストラヴィンスキーが「人類の作った最高の音楽」と形容したのは、この曲だったようです。

<24 Khasanbegura 3分10秒>

チャクルロも19番目の演目でしたが、CDではラストに入っています。ジョージア・ポリフォニーの傑作で1977年にNASAのボイジャーによって宇宙に送られた内の一曲だそうです。歌詞の内容は、敵の襲撃を前にして、死をも恐れず勇敢に戦う、グルジア人の愛国精神が遺憾なく描かれた曲とのことです。

<25 Chakrulo 5分15秒>

この盤には、サラムリ、パンドゥリ、チョングリの器楽トリオ演奏も入っておりますが、今回は同種の音源として新世界レコードから出ていた「シルクロード音楽の旅」からムツェム・スリと、もし時間が余れば、公演でも聞けたダブルリードのドゥドゥキと太鼓ドールによるミトゥルリも時間までおかけしたいと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<20 ムツェム・スリ (グルジア) 1分31秒>
<21 ミトゥルリ (グルジア) 3分24秒>

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2018年5月 7日 (月)

コーカサスのラストにチェチェン、グルジア、イスラメイを再び

ゼアミdeワールド107回目の放送、日曜夕方に終りました。9日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。コーカサスの最後はサーカシアのイスラメイで締めましたが、時間切れで放送では解説を入れられませんでした。内容は以下の通りです。名残惜しいですが、次回からは中央アジアに向かいます。バタバタしていて、2日には収録速報をツイッターにアップするのを忘れておりましたm(. .)m

今回は予告しておりました通りコーカサスの番外編を考えております。あるいは総集編のように出来ればとも思いましたが、30分という限られた時間ですので、やはり個人的に思い入れの強い音楽になるかと思います。既にお気づきの方も多いかと思いますが、コーカサスからヴォルガ中流域は、個人的に一番調べてみたかったエリアで、そのまま中世のハザール帝国の版図と重なる辺りになります。ハザールは、支配層がユダヤ教に改宗したことで知られる「謎の国家」で、その遺民が東欧系ユダヤ人に多数流れ込んだとの説がありますが、その真偽はともかく、この地域で東西の民族や文化が複雑に入り混じっている様は、非常に興味深いものがあります。バルトークやコダーイは、自国ハンガリーやルーマニア周辺で盛んにフィールドワークを行い、東欧各地で収集した民謡を彼らの作品に反映させましたが、アジア系とも言われたりしたハンガリー民族のルーツを探ってヴォルガ中流域からウラル地方に行き着いた辺りから民族音楽研究が本格的に始まったように、ハンガリーは民族音楽研究において常に世界をリードする国でした。ソ連崩壊後、情報が溢れるように出てきた旧ソ連各地やコーカサスの辺りは、今でも民族音楽研究の豊富な素材を見出せるエリアだと思います。

前置きはこの位にしまして、まずはチェチェンの歌姫マッカ・サガイーポヴァの最近作Возьми мое сердце(ヴァズミ・マヨー・セルツェ 「私の心を奪う」)から、メロディの美しいサン・ドグ・ドゥ・ホと、レズギンカのリズムが漲るファン・バールガシュという2曲を続けてどうぞ。

<5 Макка Сагаипова / Сан дог ду хьо 3分40秒>
Макка Сагаипова - Сан са ду Хьо


<6 Макка Сагаипова / Хьан б1аьргаш 4分>
Макка Сагаипова - Хьан б1аьргаш ЧЕЧЕНСКИЕ ХИТЫ 2017!


チェチェンのマッカ・サガイーポヴァの代表曲の一つPretty Boyが、グルジアの女性3人組トリオ・マンディリの2015年のアルバムWith Loveのチェチヌリ・ポップリと題するチェチェンの曲メドレーの1分50秒辺りに出てきましたので、再度おかけしたいと思います。何だ、総集編はチェチェンとグルジアのアイドルばかりじゃないかと言われそうですが(笑)、チャーミングさだけでなく、彼女らのポリフォニーの歌声は本物です。YouTubeもその後何本か出ていました。

<9 Trio Mandili / With Love - Cechnuri Poppuri 3分12秒>
カルトゥリ・ポップリの方はありますが、チェチヌリ・ポップリはYouTubeがなさそうです。もしかしたら、マッカさんの歌が入っているからでしょうか?

トリオ・マンディリは2枚のアルバムを出していますが、両方の冒頭を飾っている曲はどちらも素晴らしいので再度おかけしたいと思います。2014年にyoutubeでいきなり300万件を越えるアクセスがあって大注目を浴びたグルジア民謡のAparekaからです。何気なく歩きながら3人で撮ったこの演奏の映像が、彼女らの生活を劇的に変えました。この曲が2015年のファースト・アルバムWith Loveの一曲目を飾っています。

<1 Trio Mandili / With Love - Apareka 2分38秒>
Trio Mandili Apareka


2017年リリースのEnguroからは、一曲目のErti Nakhvitと言う曲を12月3日の85回目で時間が足りず、かけられずでしたので、再度おかけします。コーカサス音楽らしい旋律美と躍動的なリズムが溢れた曲です。

<1 Trio Mandili / Enguro - Erti Nakhvit 1分56秒>
Trio Mandili - Erti nakhvit - CD-album ENGURO


続いて、最近まで聞いていたアゼルバイジャンの民謡ですが、キングの「カスピ海の旋律」にマメードヴァ・スムルード・モブルード・キジという女性歌手が歌うAzerbaijianという曲が入っておりますので、おかけしておきます。チェチェンやグルジアはコーカサス系ですから、並べて聞くとかなり印象が異なり、アゼルバイジャンの方はペルシア音楽に近く、コブシが豊かなことがはっきり聞き取れると思います。詩の内容は「幾多の山を越えてきた。鶴の眼のように澄み、美味な水をたたえた川を渡ってきた。遠近いろいろな所から聞こえてくる。アラス河のことが、アゼルバイジャンのことが。おお、アゼルバイジャンよ。私は友人。愛しい人の思い出に浸っている。~」このように叙事詩のような内容です。

<7 カスピ海の旋律~Azerbaijian 4分49秒>
また後日探してみます。

最後に、去年の7月に北コーカサスに入った際の最初にかけたサーカシアの音源ですが、メロディアの「サーカシアの伝統音楽アンソロジー」収録のオーソドックスなイスラメイの1965年の録音を再度かけてみたいと思います。バラキレフの超絶技巧ピアノ曲で一般に広く知られている曲名です。
レズギンカと類似の8分の6拍子のリズムがついていることもありますが、イスラメイ特有のノーブルなメロディラインが確かにあります。よくレズギンカで男性の踊りが鷲、女性の踊りが白鳥に喩えられますが、正にコーカサスの高い山を舞い降りてくる鷲のような雄々しく颯爽としたイメージの曲です。
このように7月に解説しておりました。
この曲を聴きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Ислъамый (Исламей) 3分16秒>
Нальмэс - Исламей (2016)

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2018年5月 2日 (水)

カシモフ父娘の歌うオスマン古典音楽

今日の一本では、とても興味深い音楽が聞けます。名高い中東の悲恋物語「ライラとマジュヌーン」がテーマになっていたり、それを歌うのはアリム・カシモフ父娘というだけで話題性が大きい訳ですが、音楽がオスマン・トルコ古典音楽になっている所が最大の特徴だと思います。このゆったりと雅びで大らかな流れは、紛れもないオスマン音楽。Segah旋法の微妙な陰影も素晴らしいです。アゼルバイジャンがオスマン帝国に入っていた時代にはこういう歌が歌われていたのでしょうか。明らかにムガームとは別物に聞こえますし、カシモフ父娘の歌唱では、このタイプは初めて聞くような気がしますが、どうでしょうか? もしかしたら、一般の日本人が江戸時代の長唄を歌うような感覚でしょうか?
解説にFrom the Album "Spirit Of the East - Vocal music by Piris Elyahu"  A Collaboration between the Israeli composer Piris Elyahu and the Azeri Vocalists Alim Qasimov & Ferqane Qasimova.とあります。この盤は未確認でした。イスラエルのPiris Elyahuが関わっているということで、オスマン的なのかも知れません。イスラエルも昔はオスマン領。ユダヤ系の作曲家もかなりいたようですから。

Duet Of Leili and Majnunzabol Segah Piris Elyahu Alim & Fergane Qasimov

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2018年4月30日 (月)

フォークウェイズのAlim Qasimov & Fargana Qasimova

ゼアミdeワールド106回目の放送、日曜夕方に終りました。2日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。youtubeが見つかったのは、Getme,GetmeとJeyranのみでした。

アゼルバイジャンの音楽も7回目になりますので、そろそろ次に行こうと思いますが、最後にアリム・カシモフのSmithsonian Folkways盤等の割と最近のリリース作の中から聞いておきたいと思います。前に言いましたように、完売していて現物が手元にないため、Apple Musicから音出ししております。そのため多少音質は落ちるかと思います。まずは娘のファルガナ・カシモヴァとの鮮烈なデュオが聞ける「アゼルバイジャンのスピリチュアル・ミュージック」から、艶美な二人の歌唱と転調の妙が聞けるミュハーリフ・タルキブという8分ほどの曲をどうぞ。

<6 Alim Qasimov & Fargana Qasimova / Spiritual Music of Azerbaijan ~Mukhalif Tarkib 8分36秒>

4月8日の回にインパクトの強いハイトーンヴォイスの歌手Zabiollah Kulievとハビル・アリエフのケマンチェ伴奏で聞きましたムガーム・チャハールガーの系統のマンスーリも入っておりますので、途中までになりますが続けておかけします。

<7 Alim Qasimov & Fargana Qasimova / Spiritual Music of Azerbaijan ~Mansuriyya 7分21秒 抜粋>

続いておかけしますのは、同じSmithsonian Folkwaysから2010年に出ましたクロノス・カルテットとの共演盤です。現代音楽を中心にこれまで多方面の音楽家と共演を重ねてきたアメリカのクロノス・クァルテットが、アゼルバイジャンの古典音楽ムガームの現代化を進めるアリム&ファルガーナ・カシモフ親子と、アフガニスタンの伝統弦楽器ルバーブの演奏家ホマユン・サキを加えた異色のコラボレイション作でした。西洋音楽とコーカサス音楽の意外な出会いに心底驚いた一枚でした。この中から和訳が「行くな、行くな」となっているGetme,Getmeという曲は旋律が非常に美しいので選んでみました。

<4 Alim Qasimov & Fargana Qasimova with Kronos Quartet / Rainbow ~Getme,Getme 12分30秒>
Kronos Quartet & Alim Qasimov Ensemble - Getme, Getme (Said Rustamov, Azerbaijan)


コーカサスに入ったのは去年の7月でしたから、何と10ヶ月になります。アゼルバイジャンは、後はアゼリ民謡や女性歌手Sevdaなどがあれば良かったのですが、現物もApple Musicにも見当たらないので、とりあえず今回で終わりと言うことにします。次回はコーカサスの番外編として色々取り上げて、改めてゴールデンウィーク後にトルクメニスタンから中央アジア方面に向かいたいと思います。
最後にAlim Qasimov & Fargana QasimovaのSpiritual Music of Azerbaijanに入っている「鹿」という曲を聴きながら今回はお別れです。娘のファルガナ・カシモヴァの歌うこの優美な旋律は、どこか他で聞き覚えがありますが、思い出せませんでした。ブログでまた探ってみたいと思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<10 Alim Qasimov & Fargana Qasimova / Spiritual Music of Azerbaijan ~Jeyran (Deer) 6分32秒 抜粋>
Fargana Qasimov - Jeyran

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2018年4月27日 (金)

器楽版のモルゲ・サハル

器楽版のモルゲ・サハルは、サフバ・モタッレビのタール独奏がありました。何年か前にも上げたと思いますが、もう一度上げておきます。数年前に華やかなテクニックでyoutubeで話題だった女流タール奏者で、若手のタール名手たちを特集したMahoor Institutの「Tar navazi」に彼女の録音がありました。ホセイン・アリザーデ、ダリウーシュ・タライなど、現代の巨匠たちに学んだ人です。作曲者とされるモルタザー・ネイダーヴードの演奏は聞いた記憶がないように思いますので、またMahoor Institutの名演集やコンピレーションの「タールの一世紀」を聞き直してみます。
2本目は前に上げたように思いますが、この曲が出てきたところでもう一度上げておきます。シャジャリアンの伴奏を務めるのは、アゼルバイジャンのケマンチェ名人ハビル・アリエフ。二人の年齢から考えて、まだソ連時代の共演では。

Sahba Motallebi Morghe Sahar

Morghe Sahar By Top Masters: Kamancheh - Habil Aliyev (Azerbaijan) & Shajarian (Iran) Morghe Sahar.

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2018年4月25日 (水)

アリム・カシモフのモルゲ・サハル

モルゲ・サハルですが、アリム・カシモフの昔の映像もありました。おそらく20台の頃の歌唱ではと思います。2本目は、イランBarbadのTabriz ConcertでのMorqe Saharと同じ音源と思われます。カシモフが20台の頃は、アゼルバイジャンはまだソ連の一部。20世紀前半中心に活躍したイランのタール奏者モルタザー・ネイダーヴード作曲とされるのこの曲を、アゼルバイジャンの誰かが輸入したのでしょうか? あるいは、当時イランとの音楽の交流自体があったのでしょうか? バルバッドの最近の音源に比べて、イランの原曲にかなり近い演奏で、非常に興味深いです。ウードの横に見える月琴のような弦楽器は、トルコのタンブールかロシアのドムラの変種でしょうか? 謎の多い映像です。

Alim Qasimov - Murgi Seher

Alim Qasimov - Morq-E Sahar - 2014

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2018年4月23日 (月)

モルゲ・サハルの聞き比べ シャジャリアンとカシモフ

ゼアミdeワールド105回目の放送、日曜夕方に終りました。25日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。今日はシャジャリアンの歌唱を目立たせたいので、彼のモルゲ・サハルだけ上げておきます。

アゼルバイジャンの音楽の6回目になります。今回はペルシア音楽の名曲モルゲ・サハルの聞き比べを中心に予定しております。まずアゼルバイジャンの大歌手アリム・カシモフがこの曲を取り上げた2枚組とDVDのセットからおかけします。モルゲ・サハルとは、シャジャリアンがバムの地震の追悼ライブのラストに歌っていた感動的なマーフール旋法のタスニーフです。元の歌詞はペルシア語ですが、カシモフはアゼルバイジャン語でアゼルバイジャン風な迸る激情型で歌っております。曲名の英訳はDawn Birdですから、直訳すれば「夜明けの鳥」です。

<2-1 Alim Qasimov / Morqe Sahar - Tabriz Concert   ~Morqe Sahar 7分38秒>

続きまして、原曲のシャジャリアンの歌うモルゲ・サハルを比較で聞いてみたいと思います。2003年末にイラン南東部のバムで起きた大地震の犠牲者を追悼するコンサートのライヴDVDに収録されている演奏です。被災者の救援と、バムの町を再建するためのチャリティー・コンサートでもあったようです。シャジャリアンの提案で、救援物資だけでなく、失われた文化遺産の保存にも尽くすべきとの思いから、コンサートの全ての利益は「バム庭園」というカルチャーセンターを構築するために、バムの都市に捧げられたとのことでした。シャジャリアンの次世代の名歌手と言われる人もこの地震で亡くなったらしく、後継の歌手の一人を失ったシャジャリアン自身の悲しみも歌唱から感じられます。
演奏は、ペルシア古典声楽界の大物歌手シャジャリアンと、2度来日歴もあるタール&セタールの巨匠ホセイン・アリザーデ、数年前に来日した弓奏楽器キャマンチェのカイハン・キャルホール、シャジャリアンの息子のトンバク奏者(随所で歌も担当)ホマーユン・シャジャリアンの4人です。
アンコールで演奏される名高いタスニーフの「モルゲ・サハル」ですが、大分前からyoutubeにアップされています。このタスニーフはダストガー・マーフールの晴れやかで威厳に満ちたメロディがとても素晴らしい曲で、アリザーデ一行の2004年の来日の際、玉川上水のロバ・ハウスでデモ演奏されていました。このマーフール旋法の一曲は、特にイラン人の琴線に触れるタスニーフの一つのようで、犠牲者への思いとオーヴァーラップするのか、涙を流す聴衆が何人も見えます。

<Shajarian / Hamnava ba Bam ~Morghe Sahar 5分15秒>
Shajarian Morgh-e Sahar


アゼルバイジャン版とイランの原曲でモルゲ・サハルを聞いて頂きました。この曲は20世紀前半のイランのタール名人モルタザー・ネイダーヴード(Morteza Neydavoud)が書いた曲ですが、両国に共通のレパートリーになっていたのか、アリム・カシモフが何かのきっかけで取り上げたのかは、不明です。ソ連時代には交流は難しかったと思うので、おそらく後者だと思いますが、どういうきっかけがあったのかが気になります。アゼルバイジャンは中世のアル・ファーラービーに次ぐようなペルシア・アラブ・トルコ共通の中東音楽の哲学者兼音楽理論家のサフィー・ウッディーン・アル・ウルマウィを排出した国で、元々繋がりが深い訳ですから、モルゲ・サハルも現代の交流の一つのサンプルと考えていいのでしょう。

古い時期の録音には、ペルシアとの繋がりの強さがよりはっきり現われていますので、Mahoor Institutの「アゼルバイジャン共和国の偉大な歌手達」Great Singers of The Republic of Azerbaijanから3曲おかけしたいと思います。この2枚組の録音は1915-1960で、最高のムガーム名人と言われたジャッバール・カリャークディ=オグル(1861-1944)初め10人の歌手による35曲が収録されています。05年にアゼルバイジャンで非営利目的で出版された16枚組CDブックをもとに、マーフールが2枚組に再編集したという盤です。
おかけするのは、日本なら江戸時代生まれのジャッバール・カリャークディ=オグルの歌唱です。彼の時代には実際にペルシアの宮廷で歌っていた歌手もいたようです。歴史的録音のためノイズがありますが、タハリール唱法の凄さはよく聞き取れると思います。曲名は順に、ダシュティ、オルタ・マーフール、バヤート・カージャールです。ペルシアのダシュティと共通するノスタルジックなダシュティ、やはりモルゲ・サハルと似た明るい雰囲気のマーフール、ペルシアのカージャール朝時代の詩の吟唱を彷彿とさせるバヤート・カージャールと続きます。

<1 Jabbar Qaryaghdi-oghlu / Dashti 3分2秒>
<5 Jabbar Qaryaghdi-oghlu / Orta Mahur 3分8秒>
<7 Jabbar Qaryaghdi-oghlu / Bayat Qajar 3分23秒>

では最後に再度シャジャリアンの歌唱でボテ・チンというエキゾチックで親しみやすいタスニーフを聞きながら今回はお別れです。訳は「中国の美女」となるようです。シルクロードによる東西の交流を連想させる曲名です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<1 シャジャリアン ボテ・チン 8分7秒 抜粋>

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