東欧

2025年7月11日 (金)

クラクフのゲットーの歌と古楽

いよいよ今日が数年続いた東欧シリーズのラストです。クラクフについての対照的な音源が残りました。ドイツに入ってからも、旧東独内の西スラヴの飛び地、ソルブが何か見つかれば取り上げます。来週からはドイツ、オーストリア、スイス、ベネルクス、北欧、イギリス、フランス、イタリア、スペインと進みます。そこまでで大体2,3年はかかると思います。(以下放送原稿を再度)

米Smithsonian Folkwaysからは「ポーランド」で検索するとSongs from "The Wall" - Ghetto, Partisan, Folk and Love Songsと言うイディッシュ・ソングの音源もありまして、その中にNorbert Horowitzの歌唱でShtil, Die Nacht Ist Ojgeshterntがありましたので、おかけしておきます。1年以上前にペーター・ローラントとツプフガイゲンハンゼルでかけた曲で、少女パルチザンの活躍を歌ったヒルシュ・グリック作の極めて美しい曲でした。Shtil, Die Nacht Ist Ojgeshterntの訳は「静かに、夜には星が散りばめられ」でした。ホロコーストを主題にしたイディッシュ名曲の一つです。Hirsch Glickは、パルティザン活動の末にナチスに捉えられ亡くなった詩人で、何度かかけたSog nischt kejnmolも彼の作った曲です。Norbert Horowitz, Rita Karin & Rochelle Horowitzの名が見えますが、この曲はNorbert Horowitzが歌っていると思います。

<Norbert Horowitz / Shtil, Di Nacht Iz Oysgeshternt (Silent, Starry Night) 3分>

次は最近リリースされたThe Krasiński Codex (Fifteenth-Century Music from Cracow)と言う、古都クラクフの15世紀のカトリック音楽をクラシンスキ写本から蘇らせた演奏から、最初の3曲、Salve thronus Trinitatis、Magnificatを続けておかけします。演奏はEnsemble Peregrina & Agnieszka Budzińska-Bennettです。マニフィカトは時間切れで番組には入りませんでした。
スティーヴン・スピルバーグ監督の映画「シンドラーのリスト」の舞台になった場所の一つであったように、20世紀はユダヤ人のゲットーがあったことで有名になってしまった町ですが、500年前にはこのような清澄な音楽が存在していたことに驚かされました。クラクフはポーランドで最も歴史ある都市の一つであり、17世紀初頭にワルシャワに遷都するまではクラクフがポーランド王国の首都でした。

<Salve thronus Trinitatis 1分17秒>

<Maria en mitissima 3分41秒>

<Magnificat 8分8秒>

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2025年7月10日 (木)

1954年頃のポーランド民謡

FolkwaysのLPや10インチのアナログ盤だけだった音源の中には、あっと驚くような貴重なものが散見されます。このポーランドのものも1954年録音と言う点で貴重な記録だと思います。Smithsonian Folkwaysからは、70年代にオランダPhilipsから出ていたユネスコ・コレクション(80年代以降にフランスのAuvidisから一部がCD化)などもあって、現在の民族音楽音源の宝庫になっています。(以下放送原稿を再度)

同じく米Smithsonian Folkwaysから出ていたPolish Folk Songs and Dancesと言う盤は1954年リリースの古い録音ですが、おそらくFolkways時代にLPのみで出ていた音源だと思います。このレーベルにはCDリリースはされず、アナログ盤だけだった貴重盤が、ストリーミングで聞けるようになっている音源が多数ありまして、大体カスタムCDRでも注文可能になっています。以下レーベルHPの解説の翻訳になります。
ポーランドの民俗音楽の伝統資料の多くは、ナチス占領下(1939~1945年)のポーランドにおいて盗難または破壊されました。戦後、ポーランドは全国規模の取り組みとして、全国のポーランド民俗アンサンブルによるこれらの音楽の再録音に着手しました。1952年に録音されたこの録音は、この国特有の多様な声楽と器楽の伝統のほんの一部に過ぎません。
ではTo_toki Ensemble / Introduction PieceとFryda Zajg and Ruta Klos / The Lark Sings(ひばりは歌う)の2曲をおかけします。

<To_toki Ensemble / Introduction Piece 1分41秒>

<Fryda Zajg and Ruta Klos / The Lark Sings 1分54秒>

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2025年7月 9日 (水)

Solidarity! - Postulat 22: Songs from the New Polish Labour Movement

1989年頃の東欧の民主化の記憶が生々しく蘇る音源の一つですが、選んだ曲は、どことなくオクジャワかヴィソーツキーの歌に似た感じでした。あるいはチリのビクトル・ハラとか。3人とも好きな歌い手なもので耳に残ったのですが、偶然にもこの2曲は検索で上位に上がっていました。(以下放送原稿を再度)

米Smithsonian Folkwaysから出ている「連帯! ― ポストゥラート22:新ポーランド労働運動の歌 Solidarity! - Postulat 22: Songs from the New Polish Labour Movement (Nowe Polskie Piesni Robotnicze)」と言う盤ですが、1980年、にレフ・ワレサが創設した労働組合運動「連帯」が主導したストライキ中に行われた歌、詩、手紙、演説を収録した作品集です。「連帯」は、ポーランドをはじめとする東欧諸国における共産主義体制の崩壊に大きな役割を果たしました。80年代の録音が中心です。Piesn Wolnych Zwiazków (The Song of the Free Trade Unions)とPrzepis Po Polsku (Polish Recipe)の2曲をおかけします。

<Piesn Wolnych Zwiazków (The Song of the Free Trade Unions) 2分20秒>

<Przepis Po Polsku (Polish Recipe) 1分5秒>

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2025年7月 7日 (月)

アーシャ&ザ・バイスン・ルージ

ゼアミdeワールド469回目の放送、日曜夜10時にありました。9日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はアーシャ&ザ・バイスン・ルージの一本とライブ映像を上げておきます。

ポーランドの音楽の17回目です。結構長くなっているので、今回でポーランドのシリーズは終えたいと思いますが、最後まで色々と候補の音源がありました。

まず「アーシャ&ザ・バイスン・ルージ/ディーゼルvsラングズ」と言う、独Jaroから出ていた盤からです。ポーランド西部の古都ヴロツワフに生まれ、少女時代にアメリカへ移住した女性チェリスト兼ヴォーカリスト、アーシャ・グルゼシックは、シルク・ドゥ・ソレイユの有名な演目「オー」でのパフォーマンスを初め、舞台音楽なども手掛け高く評価されています。クラシックの奏法を極めた上で、チェロを弾き語る姿を見ると、「チェロのイヴァ・ビトヴァ」という形容が浮かんできます。説明的に聞こえてしまうので、出来れば英語ではなくポーランド語で歌って欲しかった気もしますが。Burn, Give, Bust, Loveと言うこの盤のラストナンバーをおかけしておきます。

<Ashia & The Bison Rouge / Diesel vs. Lungs ~Burn, Give, Bust, Love 6分35秒>

Diesel vs Lungs - Ashia & the Bison Rouge *DUO*

次に米Smithsonian Folkwaysから出ている「連帯! ― ポストゥラート22:新ポーランド労働運動の歌 Solidarity! - Postulat 22: Songs from the New Polish Labour Movement (Nowe Polskie Piesni Robotnicze)」と言う盤ですが、1980年、にレフ・ワレサが創設した労働組合運動「連帯」が主導したストライキ中に行われた歌、詩、手紙、演説を収録した作品集です。「連帯」は、ポーランドをはじめとする東欧諸国における共産主義体制の崩壊に大きな役割を果たしました。80年代の録音が中心です。Piesn Wolnych Zwiazków (The Song of the Free Trade Unions)とPrzepis Po Polsku (Polish Recipe)の2曲をおかけします。

<Piesn Wolnych Zwiazków (The Song of the Free Trade Unions) 2分20秒>
<Przepis Po Polsku (Polish Recipe) 1分5秒>

同じく米Smithsonian Folkwaysから出ていたPolish Folk Songs and Dancesと言う盤は1954年リリースの古い録音ですが、おそらくLPのみで出ていた音源だと思います。このレーベルにはCDリリースはされず、アナログ盤だけだった貴重盤が、ストリーミングで聞けるようになっている音源が多数ありまして、カスタムCDRでも注文可能になっています。以下レーベルHPの解説の翻訳になります。
ポーランドの民俗音楽の伝統資料の多くは、ナチス占領下(1939~1945年)のポーランドにおいて盗難または破壊されました。戦後、ポーランドは全国規模の取り組みとして、全国のポーランド民俗アンサンブルによるこれらの音楽の再録音に着手しました。1952年に録音されたこの録音は、この国特有の多様な声楽と器楽の伝統のほんの一部に過ぎません。
ではTo_toki Ensemble / Introduction PieceとFryda Zajg and Ruta Klos / The Lark Singsの2曲をおかけします。

<To_toki Ensemble / Introduction Piece 1分41秒>
<Fryda Zajg and Ruta Klos / The Lark Sings 1分54秒>

米Smithsonian Folkwaysからは「ポーランド」で検索するとSongs from "The Wall" - Ghetto, Partisan, Folk and Love Songsと言うイディッシュ・ソングの音源もありまして、その中にNorbert Horowitzの歌唱でShtil, Die Nacht Ist Ojgeshterntがありましたので、おかけしておきます。1年以上前にペーター・ローラントとツプフガイゲンハンゼルでかけた曲で、少女パルチザンの活躍を歌ったヒルシュ・グリック作の極めて美しい曲でした。Shtil, Die Nacht Ist Ojgeshterntの訳は「静かに、夜には星が散りばめられ」でした。ホロコーストを主題にしたイディッシュ名曲の一つです。Hirsch Glickは、パルティザン活動の末にナチスに捉えられ亡くなった詩人で、何度かかけたSog nischt kejnmolも彼の作った曲です。Norbert Horowitz, Rita Karin & Rochelle Horowitzの名が見えますが、この曲はNorbert Horowitzが歌っていると思います。

<Norbert Horowitz / Shtil, Di Nacht Iz Oysgeshternt (Silent, Starry Night) 3分>

次は最近リリースされたThe Krasiński Codex (Fifteenth-Century Music from Cracow)と言う、古都クラクフの15世紀のカトリック音楽をクラシンスキ写本から蘇らせた演奏から、最初の3曲、Salve thronus Trinitatis、Magnificatを続けておかけします。演奏はEnsemble Peregrina & Agnieszka Budzińska-Bennettです。マニフィカトは途中までになります。これらの曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。
スティーヴン・スピルバーグ監督の映画「シンドラーのリスト」の舞台になった場所の一つであったように、20世紀はユダヤ人のゲットーがあったことで有名になってしまった町ですが、500年前にはこのような清澄な音楽が存在していたことに驚かされました。クラクフはポーランドで最も歴史ある都市の一つであり、17世紀初頭にワルシャワに遷都するまではクラクフがポーランド王国の首都でした。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Salve thronus Trinitatis 1分17秒>
<Maria en mitissima 3分41秒>
<Magnificat 8分8秒>

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2025年7月 4日 (金)

ČAČI VORBAのライブ

チャチー・ヴォルバの3作目シャトリカには、ジプシー・クイーンと呼ばれたマケドニアのエスマの曲をカバーしているそうですが、1曲目のNeică, Tot Gândind La Tineがそれでしょうか。だとすれば、2曲目に入っている昨日上げたルーマニアの歌Trecut O-Doru Codru、その次のギリシア語に見えるタイトルでギリシア語の歌に聞こえるYasemi Mouと続き、冒頭の3曲からして全く異なる場所の音楽を、それぞれの伝統音楽の持ち味を損なわずに、巧みに混ぜ合わせた演奏と歌で聞かせる盤になっていることが確認できます。
問題のTrecut O-Doru Codruですが、ルーマニアの歌姫フロリカ・ブラドゥの歌唱を4本目に上げておきます。確かに歌は同じですが、間奏部分のヴァイオリンとブズーキの掛け合いが、私にはクレタ音楽にそっくりに聞こえていました。ルーマニアの民謡系歌謡の一拍一拍はっきりと、おそらく打楽器まで入れながら演奏するスタイルを、そのままではなくクレタ風に変えてみたのでしょうか。歌手でありヴァイオリンの名手でもあるマリア・ナタンソンは、15歳でクラシックの音楽学校と両親の家を離れ、生きたジプシー音楽とカルパティア音楽を求めて山岳地帯へと旅立った、とプロフィールにありました。苗字はどことなく英語圏の人のようで、ますます謎が深まる人です。
1本目は1曲目のNeică, Tot Gândind La Tineのリリース前年2014年のライブ映像です。2本目の野外でのラフな感じのライブでもギリシアの歌も出て来て(54分頃の歌はアレクシーウが歌っていました)、大変面白いと思いました。3本目は2018年ですから、見た中では一番新しい映像です。セカンドのIoane, Ioane!から始まりTe Aşteptが続きます。ボスニアの歌のようですが、器楽部分はルーマニア調です。

ČAČI VORBA - Live from Czech Republic

ČAČI VORBA CACI VORBA 7.5.2016

Čači Vorba

Florica Bradu ❤ Trecut-o doru codru - Arhiva

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2025年7月 3日 (木)

Trecut O-Doru Codru

番組でかけたギリシア風に聞こえた2曲の内、大変驚いたのはTrecut O-Doru Codruですので、この曲をクローズアップしてみたいと思います。無窮動の弓奏楽器と撥弦楽器の組み合わせと言えば、ギリシア本土よりも、クレタ島やカルパトス島などエーゲ海の島の、ミニマルなフレーズを畳みかける弓奏楽器リラと、規則的な力強いリズムを刻む撥弦楽器ラウートの音楽を思い出します。3枚目のŠatrika(チェコ語で「帽子」)のTrecut O-Doru Codruでは2分位からでしたが、ライブ前のウォーミングアップ映像で、この部分だけ演奏しているものがありましたので、1本目に上げておきます。この映像のコメントにthis is an authentic folk song from Bihor county from Roumania :)this is from the repertoar of Florica Braduとありました。本当にルーマニアの曲だとすれば二重の驚きです。ビホルと言えば、ハンガリー北東部に近いルーマニア北西部の地方です。またFlorica Braduの歌唱を当たってみます。

Čači Vorba - Trecut-o doru codru

<2 Trecut O-Doru Codru 4分26秒>

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2025年7月 2日 (水)

セヴダ風

チャチー・ヴォルバの2作目「秘密の婚礼  Tajno Biav - Secret Marriage」には、ボスニアのセヴダ風の曲がありました。バルカン西部の哀歌的な節回しを聞くと、モスタル・セヴダなどの歌唱をすぐにイメージできるジャンルです。フィドルの輸入楽譜3種にも、クレズマー、ジプシーと並んでセヴダがありました。ポーランドのグループ、チャチー・ヴォルバですが、2作目はボスニア、3作目はギリシアの島嶼部の音楽への接近が見られたように思いました。段々南下しているようです。3作目の後は10年間リリースがなく、今はどういう活動になっているのか大変気になっています。(以下放送原稿を再度)

8曲目に飛びまして、Sevdano Le, Lube Leと言う曲名は「愛しきセヴダーノ」と国内盤で訳されていました。この名の通りで、オスマン時代以来のボスニアの民謡セヴダのスタイルで歌っています。

<8 Sevdano Le, Lube Le 愛しきセヴダーノ 3分4秒>

無伴奏の印象的な哀歌風の詠唱を聞かせる11曲目のIoane, Ioane!も、おそらくセヴダではないかと思います。この曲に続くラストナンバーのTe Aştept(あなたを待っている)が実に自然に繋がるなと思っていたら、途中からIoane, Ioane!そのものが出て来ます。おそらくIoane, Ioane!が元歌だと思います。

<11 Ioane, Ioane! イオアーネ、イオアーネ! 1分52秒>

<12 Te Aştept  あなたを待っている 3分51秒>

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2025年6月30日 (月)

アルメニア通りで

ゼアミdeワールド468回目の放送、日曜夜10時にありました。2日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日は「アルメニア通りで」だけにしておきます。ロシア語でも「通り」はウーリッツァです。Pe Uliţă Armeneascăはロマンス諸語に属するルーマニア語ですが、結構ロシア語中心にスラヴ系の単語も入っていると聞いた事があります。

ポーランドの音楽の16回目です。今回はポーランドのグループながら、バルカン半島各地やルーマニアのジプシー音楽などを聴かせるチャチー・ヴォルバ(Čači Vorba)の独Oriente Musikから出ていた2作目の「秘密の婚礼  Tajno Biav - Secret Marriage」、3作目のŠatrikaから抜粋していきます。
チャチー・ヴォルバの中心であるマリア・ナタンソンは2002年にこのバンドを結成、ファーストアルバムリリースの2008年当時まだ23歳だったという女性アーティストですが、ポーランドからルーマニアにまでまたがるカルパティア山脈周辺を14歳から5年の歳月を費やして旅し、ジプシーの旅芸人とも行動を共にしたという筋金入りの人で、音によくそれが現れていると思います。主にジプシー、バルカン、カルパチア音楽に取り組んでいて、バンドのメンバーは、ルーマニアのコブザ、トルコのケメンチェ、ギリシアのブズーキなどの伝統的な楽器を巧みに演奏しますが、一番の聞きものは、やはりマリア・ナタンソンのヴァイオリンの超絶技巧と味わい深い歌声だと思います。

2作目の「秘密の婚礼  Tajno Biav - Secret Marriage」は2011年に出ていますが、まず最初に2曲目のPe Uliţa Armeneascaをおかけします。この曲は前回最後にかけて途中までになった曲です。ファーストのラストを飾っていましたが、セカンドでも再度演奏しています。再録するほどですから、チャチー・ヴォルバの十八番の曲かと推測しました。タラフ・ドゥ・ハイドゥークスのアップテンポの曲のようなノリで、曲名のPe Uliţa Armeneascaとは、ルーマニア語では「アルメニア通りで」の意味です。

<2 Pe Uliţă Armenească アルメニア通りで 4分45秒>

8曲目に飛びまして、Sevdano Le, Lube Leと言う曲名は「愛しきセヴダーノ」と国内盤で訳されていました。この名の通りで、オスマン時代以来のボスニアの民謡セヴダのスタイルで歌っています。

<8 Sevdano Le, Lube Le 愛しきセヴダーノ 3分4秒>

無伴奏の印象的な哀歌風の詠唱を聞かせる11曲目のIoane, Ioane!も、おそらくセヴダではないかと思います。この曲に続くラストナンバーのTe Aştept(あなたを待っている)が、実に自然に繋がるので、おそらくIoane, Ioane!が元歌だと思います。

<11 Ioane, Ioane! イオアーネ、イオアーネ! 1分52秒>
<12 Te Aştept  あなたを待っている 3分51秒>

これまでかけたチャチー・ヴォルバの1,2枚目はリリース当時に入ったことがありましたが、3枚目のŠatrikaは最近ストリーミングでリリースを知りました。2015年に出たこの盤以降はリリースがないようです。10年経った今も活動が続いているかどうかは、ゼアミブログで探ってみたいと思います。この3作目は、前の2作よりはギリシアのレベティカなどに近づいている部分が目立つように思います。それと北インドのサーランギを使っている部分も、Pre Stepo Zamardoと言う曲にありました。
ギリシア風と言うことで2曲続けますが、最初のTrecut O-Doru Codruと言う曲は、2分位からギリシア本土と言うより、クレタ島やカルパトス島などエーゲ海の島の、ミニマルなフレーズを畳みかける弓奏楽器リラと、規則的な力強いリズムを刻む撥弦楽器ラウートの音楽を思い出させます。次のYasemi Mouも、ハリス・アレクシーウが歌っていそうなメロディで、タイトルもギリシア語だと思います。

<2 Trecut O-Doru Codru 4分26秒>
<3 Yasemi Mou 4分33秒>

後ろの方もギリシア寄りの音が目立つように思いますが、一曲だけブルガリアかマケドニアの音楽を意識したような変拍子の激しい曲もありますので、そのKopanistaを時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<5 Kopanista 2分32秒>

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2025年6月27日 (金)

チャチー・ヴォルバ 2011年のライブ ブズク? ケマンチェ?

29日の放送で取り上げているチャチー・ヴォルバの2,3枚目の先取りになりますが、今日の映像を見ると、3枚目が出る4年前の2011年の時点で、結構ギリシア色が強く出て来ているように思います。弦楽器はブズーキとありますが、レバノン~シリアの兄弟楽器ブズクのように見えなくもないと思いました。どちらも現物は見たことはないのですが、ブズクの方が低音が豊かなように思います。このライブの冒頭からギリシア的なフレーズが出て来ますし、6分辺りから出て来る曲(おそらく3枚目のTrecut O-Doru Codru)は、ギリシア本土と言うより、クレタ島やカルパトス島などエーゲ海の島の、ミニマルなフレーズを畳みかける弓奏楽器リラと、規則的な力強いリズムを刻む撥弦楽器ラウートの音楽を思い出させます。この曲の数曲後で弦楽器奏者Peter Majczynaが弾いているのは、マンドリン系のmandoleでしょう。擦弦の方は、トルコのケメンチェではなくイランかコーカサスのケマンチェだと思います。バルカン系の変拍子もあり、Marija Natansonは何を弾いても歌っても素晴らしいとしか言いようがないです。それと、この頃はタラフに似たワラキア風は控え目のように思います。23分位からの独唱は、ボスニアの民謡セヴダと思われる2枚目収録のIoane, Ioane!です。

Caci Vorba, live au Festival Voix de Femmes 2011

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2025年6月26日 (木)

Joc'n'Rollとケリマスキ・ディリ風

今日の2曲も大変面白いです。ロックン・ロールと読み間違えそうなジョックン・ロールと言うタイトルからして攻めてるなと思います(笑) 今週聞いても、やっぱりカリウにそっくりと思いました。ラストにかけたPe Uliţa Armeneascaは、セカンドでも再演しているので来週に回します。明日はチャチー・ヴォルバのライブを見てみます。
しかしタラフ・ドゥ・ハイドゥークスは、味のある芸を聞かせた古老たちは皆亡くなり、ヴァイオリンの2トップの一人だったコスティカまで60代の若さで亡くなって、カリウとアコーディオン、コントラバス奏者だけになってしまいました。最近はタラフ・ドゥ・カリウと名乗っているようです。寂しい限りですが、若手の芸が上がってくるまで、このままなのでしょうね。(以下放送原稿を再度)

チャチー・ヴォルバの演奏は、曲によって、ギリシア、ブルガリア、アルメニアなどの音楽までが入れ代わり立ち代わり現れますが、やはりファーストの1曲目のDoar O Mamaのようなルーマニアのワラキアっぽい曲調に一番惹かれます。歌では往年のルーマニアの歌姫マリア・タナセにも少し似ているように思います。
7曲目に飛びまして、Joc'n'Rollと言う曲も、20年ほど前のタラフ・ドゥ・ハイドゥークスを彷彿とさせるような演奏です。終わりの辺りはタラフのトップヴァイオリニストのカリウのヴァイオリンを聞いているのかと錯覚しそうです。9曲目のKe Somas Meは、ハンガリーの農村ジプシーのケリマスキ・ディリのような歌が聞けます。ルーマニア経由でバルカン、ギリシア方面の音に近い曲が多いので、この曲は異色のようにも思いました。

<Joc'n'Roll 3分50秒>

<Ke Somas Me 4分19秒>

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