東欧

2023年2月16日 (木)

コボス(コブザ) バンドゥーラ

ヘルツク・アーグネシュの2002年のソロ・アルバム「Arany Es Kek Szavakkal(金色と青色の言葉で)」から、今回他にかけたのは、ツィンバロム、コボス(コブザ)、フルヤのそれぞれの伴奏の歌唱でした。ほとんどが独奏か二重奏で、そういう曲が耳に止まったようです。今日の1本目はコボス独奏の伴奏で、出ている写真はCDに載っていたポートレートです。
ルーマニア東部のモルドヴァに多く見られるコボスは、日本の琵琶やアラブのウードにそっくりで、ウードと同じくフレットレスの復弦です。弦は8本で4コースのようです。番組でも言いましたが、モルドヴァはオスマン帝国に入っていたこともあるので、このウードに似たコボスは、その頃入って来たのではと思います。この曲を聞いても、ウードから生まれた西洋のリュートの奏法よりは、中東の音楽に近い印象です。
2本目はルーマニア~ハンガリーのコボス、3本目はウクライナのコブザです。ウクライナのコブザは、バンドゥーラの原型だと思いますが、今も弾かれているのでしょうか? ナターシャ・グジーの演奏を見ていて、長い棹の低音弦を押さえないのを不思議にも思いましたが、この映像のように本来は押さえて音高を変えていたのだろうと思います。

<2 Hatám, hazám ...私の力、私の国  (Moldva) 7分57秒>

Koboz

Ukrainian Kobza

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2022年11月14日 (月)

鳥の歌

ゼアミdeワールド334回目の放送、日曜夜10時にありました。16日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。まずはナターシャさんの「鳥の歌」から。このライブの弾き語りと、コブザーリでの演奏はかなり違いますが。

実は2日に私の父が亡くなりまして、7年間で初めて収録を飛ばしてしまいました。今回は追悼特集にしたいと思います。まずはスペイン北東部カタロニア地方の民謡を元にした「鳥の歌」からおかけします。演奏はウクライナのバンドゥーラ弾き語りの歌姫、ナターシャ・グジーです。10/13のしこちゅ~ホールでのコンサートも聞きに行って来ました。

<旅歌人(コブザーリ)/ ナタリア3 ~鳥の歌 7分12秒>
Song of the Birds ( El Cant dels Ocells ) by Nataliya Gudziy / 鳥の歌 ・ ナターシャ・グジー

次はベートーヴェンの弦楽四重奏曲13番の第5楽章カヴァティーナで、演奏はブダペスト弦楽四重奏団です。大変に美しい曲で、追悼曲としてもよく弾かれる曲です。大変お世話になった音楽プロデューサーの星川京児さんの追悼で6年前にもかけました。

<String Quartet No. 13 in B-Flat Major, Op. 130: V. Cavatina. Adagio molto espressivo (Live) 7分15秒>

先ほどの「鳥の歌」に戻りますが、元はカタロニアのクリスマス・キャロルだったこの曲を一躍有名にしたのが、スペインの大チェリスト、パブロ・カザルスです。彼のアレンジが最もよく知られ、チェロの定番曲になっています。余りにも有名なカザルスの国連コンサートでの演奏は、平和を希求するものでしたが、追悼曲としてもよく弾かれるようです。私も昨日一昨日と、父の祭壇の前でチェロとヴァイオリンでそれぞれ弾きました。今回おかけするのは、国連ライブとは別のカザルスの音源です。

<パブロ・カザルス El Cant del Ocells 3分16秒>

次は父が好きだった近江俊郎の「湯の町エレジー」です。父は若い頃演歌ギターを弾いていたことがあり、この曲などを歌い手と二人で演奏しながら、酒場を流したことがあったそうです。私もさわりをクラシック・ギターで練習したことがあります。

<近江俊郎全曲集 湯の町エレジー 4分14秒>

最後に黄檗宗の大本山、萬福寺の朝課(朝のお勤め)の音源を聞きながら今回はお別れです。うちは旧・周桑郡にある黄檗宗の寺、正法寺の檀家で、祖父や祖母の葬儀でも類似の音楽を耳にしたように思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<萬福寺の梵唄 黄檗宗の朝課 36分23秒>

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2022年10月14日 (金)

ナターシャ・グジー / 広きドニエプルに吹き荒ぶ嵐

今週の番組でかけた音源は、チャイコフスキーとグラズノフが残っていますし、最近のブラームスのピアノ四重奏曲1番の動画でも上げたいものがありますが、それは明日か来週の火曜に回して、昨日しこちゅ~ホールで聞いてきたナターシャ・グジーさんのコンサートが大変に素晴らしかったので、今日は動画を一本上げておきます。
このウクライナ民謡「"Реве та стогне Дніпр широкий" Наталія Гудзій  広きドニエプルに吹き荒ぶ嵐」については、前に他の演奏を幾つか番組でかけましたし、ブログにも何度も上げています。ナターシャさんもこの曲を歌っていて、彼女の歌唱でCDにないかずっと探していましたが、昨日会場で聞いたら、やはりこのYouTubeだけのようでした。
実は11/13の文化祭で私たちの今治市民弦楽合奏団でこの曲を弾くことになっておりまして、この半年ほど練習して来ました。楽譜はうたごえ喫茶時代のものを入手しまして、4部合唱をヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロに分けて弾きます。この関鑑子さん訳詞の楽譜では、曲名は「ドニエプルの嵐」になっています。月曜の練習ではチェロ、木曜の練習ではファースト・ヴァイオリンを弾いてきましたが、文化祭はチェロで出ます。民謡なので作者不詳と思っていたら、このビデオの解説に、曲:D.クリザニフスキーと出ていました。

"Реве та стогне Дніпр широкий" Наталія Гудзій  広きドニエプルに吹き荒ぶ嵐 ナターシャ・グジー

”広きドニエプルに吹き荒ぶ嵐”
詩:T.シェフチェンコ 曲:D.クリザニフスキー 訳詞:大胡敏夫 
バンドゥーラアレンジ:ナターシャ・グジー

この詩はタラス・シェフチェンコの詩集「コブザーリ」に収められている。
19世紀末ごろから歌い続けられているのであろうこの歌は、今なおウクライナの人々に愛されていて、第2の国歌とも言うべき存在である。
(大胡敏夫 編 「ウクライナ歌集」より)

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2022年6月10日 (金)

モルダヴィアの新年の音楽 ブハイ、ブチウム、トレンビータ

モルダヴィアの新年の儀礼音楽で鳴っていた謎の低音楽器Buhaiですが、管楽器かと思ったら、膜鳴楽器のFriction drumの類でした。解説のグロッサリーに出ていました。2本目はモルダヴィアのブチウム、3本目は西ウクライナのトレンビータです。どちらも新年の音楽かどうかは不明ですが、華々しい幕開けの感じがあります。以下はウィキペディアのBuhaiの英語解説の翻訳です。
ブハイ(ウクライナではbuhay)は、両端が開いた木製の浴槽またはバケツでできており、動物の皮を上から締め、中央に穴を開けて馬の毛の「牛の尾」を作ります。 これを濡れた手でこすります。 伝統的に新年の儀式のプルグショルル(「小さなすき間」)で使用され、すきを引くときの牛の鳴き声を再現します。(以下放送原稿を再度)

では最後に12、13曲目になりますが、新年の儀礼と、おそらくその場で吹かれると思われるブシウムの独奏を聞きながら今回はお別れです。ブシウムは新年と葬儀のどちらでも吹かれる信号ラッパの一種のようです。新年の曲のバックでは、謎の低音が鳴り続けていますが、これはBuhaiと言う管楽器?のようです。
時間が余りましたら、ウクライナでのブシウムの類似楽器のトレンビータのユネスコ音源までおかけします。trembitaという名前で、ウクライナのHutsuls(フツル人)とポーランドのGorals(グラル人)にも使用されています。

<12 Ritualul de Anul Nou: Buhaiul 2分26秒>

<13 Semnal: "Ca la oi" 1分16秒>

<1 Ukraine: Traditional Music~ Overture: Trembitas With Folk Orchestra 55秒>

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2022年4月 1日 (金)

バンドゥーラ弾き語り

数年前にも上げた動画ですが、彼女らがどうかご無事で、また美しい歌声を聞かせてくれる日が来ますように、と祈るばかりです。バンドゥーラの響きには、ウクライナ語がぴったり合います。
今週の放送では、西ウクライナのQuintana音源が残っていますが、5年前にも取り上げていますし、おそらく地域は西部のルテニアの辺りで、音楽的にはほぼ完全にハンガリー音楽なので、またハンガリーの時に取り上げようかと思います。

KIEV - Khreshchatik. Hermanas tocando la bandura ucraniana

Місяць на небі Українська народна пісня (ukrainian folk song) bandura

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2022年3月31日 (木)

赤軍合唱団、バンドゥーラ弾き語り合唱、弦楽合奏のРеве та стогне Дніпр широкий

「ドニエプルは轟き呻く」は、ソ連時代に赤軍合唱団( l'armée Rouge)が「ウクライナの詩」と言う曲名で歌っていました。これは番組でかけたのと同じシャン・デュ・モンドの音源です。1960年のパリでのライヴ録音で、指揮はボリス・アレクサンドロフです。ソ連時代はグルジアのスリコ、アルメニアのつばめと同様に各国の名歌が歌われることがあったので、これはそのウクライナ版だと思います。ドラマティックな悲愴美溢れる歌唱です。

<4 Les choeurs de l'armée Rouge a Paris ~Poème à l'Ukraine 5分44秒>

この映像では、ウクライナのバンドゥーラ弾き語りの男性が合唱しています。大勢の場合、バンドゥーラの調律は合うのだろうかと思ったりもしますが、このように大人数のバンドゥーラ弾き語りと言うのも、ウクライナではよく見かけるスタイルです。

"Реве та стогне Дніпр широкий" - Національна капела бандуристів України (2017)

このロシアのクズネツクと思しき弦楽合奏団の映像は、戦争後の3/21にアップされています。В поддержку простого украинского народа!(一般のウクライナ人を支援するために)のコメントがありました。戦争の悲しみと平和への思いをこの曲に託したい気持ちは、一般のロシア人も同じなのでしょう。楽譜が手に入れば、私らも弾いてみたいものです。

Реве та стогне Дніпр широкий - Ревёт и стонет Днепр широкий

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2022年3月30日 (水)

広きドニエプルに吹き荒ぶ嵐

ナターシャ・グジーのバンドゥーラ弾き語りですが、27日の番組でかけた「我がキエフ」は見当たりませんが、「ドニエプルは轟き呻く」の方はすぐに見つかりました。ナターシャさんの方では「広きドニエプルに吹き荒ぶ嵐」と言うタイトルになっていました。月曜にかけた合唱版とは違って静かな趣きですが、やはり非常に素晴らしい歌声です。吟遊詩人の弾き語りのスタイルが元だとすれば、こちらがオリジナルの演奏形式なのでしょう。解説によると「詩はタラス・シェフチェンコの詩集「コブザーリ」に収められている。19世紀末ごろから歌い続けられているのであろうこの歌は、今なおウクライナの人々に愛されていて、第2の国歌とも言うべき存在である。」とのこと。この曲は夥しい数の動画が、特に今回の戦争後にも上がってきていました。また明日幾つか上げる予定です。カタカナ表記ですが、月曜は急いでいて少し間違っていました。レヴェ・タ・ストーネ・ドニプル・シローキーが正しいと思います。
5年前に番組でかけたウクライナ民謡「バンドゥーラを手にすれば」と同じく「我がキエフ」も2002年の盤「セルツェ」からでした。「セルツェ(心)」は確かデビュー盤でしたが、「広きドニエプルに吹き荒ぶ嵐」も、その後の盤に入っているのかも知れないので、チェックしてみます。

"Реве та стогне Дніпр широкий" Наталія Гудзій  広きドニエプルに吹き荒ぶ嵐 ナターシャ・グジー


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2022年3月28日 (月)

Реве та стогне Дніпр широкий

ゼアミdeワールド302回目の放送、日曜夜10時にありました。30日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日のタイトルは「ドニエプルは轟き呻く」のウクライナ語表記です。同じキリル文字系ですが、iの文字があるのがロシア語と大きく違う点です。レベ・タ・ストーネ・ドニプル・シローキーとカタカナ表記するのが近いと思います。プラヤ盤で聞いたのは30年近く前ですが、今も鮮烈に覚えていた曲でした。名曲ですから、色々動画もあります。CDと同じ音源は無さそうですが、今日の一本目は近い感じです。ナターシャ・グジーさんも歌ってないか、後日探してみます。

ルーマニアの音楽の15回目として、フランスHarmonia Mundi系のQuintanaから1991年に出ていた「カルパチアの伝統音楽」を考えておりました。カルパチア山脈と言えば、ルーマニア、ウクライナ、スロヴァキア、ポーランドにまたがっていますが、この盤に入っているのは、ほとんどが西ウクライナの録音でした。

この盤の前に、痛ましい戦火が一日も早く終わることを願って、また亡くなった方々への鎮魂歌として、ウクライナの合唱などを先におかけしたいと思います。いずれもペレストロイカ後だからリリース出来た盤だと思います。
東スラヴ系のロシア、ウクライナ、ベラルーシの音楽をこの番組で取り上げたのは、5年程前になります。その時にもかけた音源ですが、フランスPlaya Soundから出ていたウクライニアン・ヴォイスから、「ドニエプルは轟き呻く」と言う合唱曲からおかけします。抑圧されたウクライナ人の悲しみを表現した19世紀の詩人シェフチェンコの詩に作曲されています。キエフの中心を流れる大河ドニエプルの轟く様が目に浮かぶような、とりわけ感動的な一曲です。

<8 Ukrainian Voices ~Le Large Dniepr Hurle Et Gemit 4分12秒>
Хор ім. Верьовки - Реве та стогне Дніпр широкий

Reve ta stohne Dnipr shyrokyy

同じ曲をソ連時代の赤軍合唱団も「ウクライナの詩」と言う曲名で歌っています。1960年のパリでのライヴ録音で、指揮はボリス・アレクサンドロフです。ソ連時代はグルジアのスリコ、アルメニアのつばめと同様に各国の名歌が歌われることがあったので、これはそのウクライナ版だと思います。こちらもドラマティックな悲愴美溢れる歌唱です。

<4 Les choeurs de l'armée Rouge a Paris ~Poème à l'Ukraine 5分44秒>

日本で活動しているバンドゥーラ弾き語りの女性歌手ナターシャ・グジーの歌は、5年前にはウクライナ民謡「バンドゥーラを手にすれば」をかけましたので、今回は同じく2002年の盤「セルツェ」から「我がキエフ」をおかけします。透き通った物悲しい歌声が余りに美しいです。バンドゥーラはウクライナの吟遊詩人が弾き語って来た小型ハープのような弦楽器です。

<1 Nataliya Gudziy 我がキエフ 4分5秒>

この後は、Quintanaの「カルパチアの伝統音楽」からおかけしますが、5年前にも取り上げた曲を今回も選んでいました。その時の解説を読み上げます。

ウクライナは広大なので、地方によって音楽もかなり違いますが、ハンガリーやルーマニアに近い西ウクライナの音楽は、これらの国の伝統音楽にかなり似通っています。フランスのQuintanaから出ていた「カルパチアの伝統音楽」から、結婚式のチャールダッシュのヴァイオリン演奏をおかけします。演奏者と曲目共にハンガリー語ですが、西ウクライナのブコヴィナ地方での録音のようです。

<5 カルパチア山脈の伝統音楽 ~Lakodalmi csardasok 4分24秒>

結婚式のチャールダッシュのヴァイオリン独奏以外のチャールダッシュやその前進の舞曲ヴェルブンコシュをかけてみたいと思いますが、その中からマジャール・ヴェルブンクという曲をどうぞ。

<15 Quintana「カルパチアの伝統音楽」 / Magyar Verbunk 2分4秒>

ヴェルブンクと言うのは、19世紀前半のハンガリー独立戦争の頃に募兵活動の中で生まれた男性の踊りで、これが基礎になってヴェルブンコシュが生まれ、更にそれが居酒屋(チャールダ)で洗練されてチャールダッシュが生まれたという経緯があります。ヴェルブンクにはヴェルブンコシュになる前の、男性の荒削りな踊りの印象が強く残っているように思います。

この盤にはユダヤの音楽も入っていましたので、次にマゼルトーフやホラなどのダンス曲をかけてみます。ハンガリー音楽のスタイルに乗せて、特徴的な哀感溢れるユダヤ・メロディがメドレーで出てきます。この曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<24 Quintana「カルパチアの伝統音楽」 / Mazeltof 2分37秒>

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2019年7月30日 (火)

PANFILI & FRIENDS

「パリからカルカッタへ」関連は他に見当たらないようですので、先週の話題に戻ります。ルーマニア系の国モルドヴァ出身の女流ヴァイオリニスト、ルザンダ・パンフィリは、PANFILI & FRIENDSでは地元モルドヴァの曲からピアソラまで、実に華やかな活動を展開していました。ルーマニアのホラ(ディニクではありませんが)も、ハイフェッツもびっくりかものテクニックを見せています。東欧の音楽シーンの情報はほとんど日本まで来ないので、youtubeを見てびっくり仰天することになりますが、またまたびっくりでした。さすが往年のヴァイオリンの大家エネスコを生んだルーマニアで教育を受けただけあって、完璧なテクニック!(2本目のようなラウタルをテーマにした独奏曲をエネスコが書いていたとは知らなかった)元弓に来てダウンになる直前に、これみよがしの指弓にならず、右手人差し指がちょいと上がるところが素晴らしい。真似したいものですが(笑)
彼女はチャイコフスキーなどのオーソドックスなヴァイオリン協奏曲も弾いているようですので、そちらも気になります。
明日31日は、加藤さんのウード・ソロ・ライブのため、ブログはお休みします。まだ若干残席あります!

PANFILI & FRIENDS - MUSICAL TEASER

Rusanda Panfili playing Lautaru (The Fiddler) composed by George Enescu

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2017年5月24日 (水)

「春の祭典」とベラルーシやリトアニアのペイガニズム

ゼアミdeワールド58回目の放送、水曜夜に終りました。21日には前々回の放送(56回目)が流れてしまいましたが、今回はちゃんと58回目が流れました。<>内がかけた音源です。今回もイネディやメロディアの盤と全く同じ音源のyoutubeはおそらくないのではと思いますので、今日は「春の祭典」のみ上げておきます。民謡はもし見つかったら、また取り上げます。

今回はベラルーシと、北側に隣接するバルト三国の一つ、リトアニアの歌を聞いてみたいと思います。ZeAmiブログの方でベラルーシやリトアニアの伝統音楽を見ていると、結構Pagan Songというタイトルが目立つことに気がつきました。キリスト教化する前のペイガン(異教的)な雰囲気を感じさせる映像がありましたが、そこで出てくる民謡は、正に前回かけたユネスコ盤に入っているようなタイプでした。
ここで思い出したのがストラヴィンスキーの「春の祭典」で、この曲の冒頭に出てくる旋律がリトアニア民謡でしたから、今回はベラルーシからリトアニアにかけて、ペイガンな曲を探してみようかと思いました。そうは言いましても、一曲一曲詳細に吟味するのも難しいので、前回一曲かけましたロシアのメロディア盤2枚組の「ベラルーシの民族音楽アンソロジー」の中から、決まったテーマの部分を続けてかけてみます。今回じっくり聞いてみて、ユネスコ盤と音源が数曲ダブっていることにも気がつきました。ここにどうもペイガンな歌が有りそうだと言うことで、「春の祭典」を想起させる「春の歌」4曲を続けてどうぞ。

<ベラルーシの民族音楽アンソロジー~春の歌 56秒、38秒、1分5秒、50秒>

続いて、ストラヴィンスキーの「春の祭典」の冒頭部分をかけてみます。ストラヴィンスキーの自作自演です。リトアニア民謡をベースにしたファゴットから始まる序奏から、弦楽器を中心に同時に力強く鳴らされる同じ和音の連続とアクセントの変化による音楽に始まる乙女達の踊り「春のきざし」の辺りまでです。80年代にピナ・バウシュのバレエで「春の祭典」を見たことがありますが、どうもペイガンなyoutubeの映像と印象がダブります。

<ストラヴィンスキー / 春の祭典 ストラヴィンスキー指揮ニューヨーク・フィル 2分53秒、3分14秒>
Igor Stravinsky Le Sacre du Printemps Vaslav Nijinsky Version 1913 Ballett Mariinski Theater

自作自演はおそらく上がってないので、ニジンスキー・ヴァージョンのマリインスキー劇場管弦楽団とバレエ団の演奏で。何と言ってもあのニジンスキーですから、これが正調なのでしょう。指揮はもちろんヴァレリー・ゲルギエフ

露Melodiyaの2枚組は、春の歌、三位一体の日曜と聖ヨハネの生誕前夜の歌、収穫の歌、秋の収穫の歌、キャロルと祭りの歌、結婚式と出生の歌、非儀礼の叙情歌、器楽と言う風に分れています。異教的という観点で見れば、当然三位一体とかキャロルのようなキリスト教関連の歌は外れるのだろうと思います。
言語的には、ベラルーシはロシアやウクライナと同じ東スラヴ系ですが リトアニアとその北のラトヴィアはバルト語派で、共にインド・ヨーロッパ語族ではありますが、全く系統の異なるグループです。エストニアだけ、フィンランドと兄弟関係に当るウラル系のフィン・ウゴル語派になります。この辺りでベラルーシとリトアニアだけに共通するような異教的なイメージの曲があり、それがストラヴィンスキーにもインスピレーションを与えたのだとすれば、これはとても興味深い事実だと思います。
次にリトアニアの曲をかけてみます。フランスのIneditから出ている「バルトの歌声」には、ラトヴィア、リトアニア、エストニアの順に伝統音楽が入っていますが、その中からリトアニアの収穫の歌、結婚式の哀歌、ホイッスル、2声のカノンでのスタルティネなどの一部古い録音も聞けますが、キリスト教以前の儀礼歌も入っているようです。異教的だとしても、ベラルーシよりは穏やかな印象の曲が多いように思います。

これらの曲を聞きながら今回はお別れです。多分結婚式の歌の辺りで時間切れになると思います。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Baltic Voices~Lithuania 4分28秒、2分11秒、36秒、46秒、1分28秒、2分30秒>

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