ギリシア

2021年1月15日 (金)

エピルスの多声歌

放送でアル・スール盤の間にかけたアルバトロス盤の「ポゴニアニの歌 マロよ、井戸へ行け」は、ギリシアでは北エピルスでしか聞けない、珍しい多声歌でした。北のアルバニアとかアルマニア系ワラキア人(ヴラフ人と同義でしょうか? シャンデュモンド盤をルーマニアの時にかける予定)や、ブルガリア西部、グルジアなどでは普通にあるスタイルではありますが、ギリシアでは極めて稀。ですが、面白いことに持続低音のドローンは、ビザンツ聖歌と同じで「イソン」と呼ばれるそうです。(以下放送原稿を再度)

ルメリアの方に行く前に、前にかけられなかったアルバトロス盤の5曲目をおかけしておきます。ギリシアにはまず見られない多声音楽で、かつビザンツの流れを汲むギリシアの民謡では稀なペンタトニック(5音音階)になっていて、多声合唱の盛んなアルバニアに近いことが歌からも分かります。

<5 Folk Music Of Northern Greece ~Song From Pogoniani 1分37秒>
Pogonianiko tragouidi

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2021年1月14日 (木)

明るいミロロイとドイナ風のクラリネット

放送でかけたChristos Zotosのもう一曲ミロロイと、クレズマーに似た1曲目スカロスも併せて入れておきます。このミロロイは、インド音楽のアーラープを聞いているのかと錯覚しそうです。スカロスは、ルーマニアやユダヤのドイナにそっくりで、即興的な細かい節回しをフリーリズムでたっぷり聞かせます。(以下放送原稿を再度)

ストレートにクレズマーに似ているインストの1曲目をかけられなかったのが残念ですが、最後に7曲目のエピルスのミロロイを聞きながら今回はお別れです。何と言ってもクリストス・ゾトスの芸を聞くのが主眼ですから。ミロロイとは挽歌あるいは哀歌と言うことでしたが、明るく演歌っぽい曲調でラウートの技巧を聞かせる独奏です。

<7 Christos Zotos & Skaros / Continental Greek Music ~Epire - Miroloï [Lamentations] 5分11秒>
Miroloï

Skaros

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2021年1月13日 (水)

ルメリアの音楽

ルメリアの音楽は、他にも地名が入った音源があったと思いますが、Poulia mou diavatarikaのようにルーマニア音楽そのもののような感じだったかな?と思いました。Itiaと言うのも好きな曲で、クラリネットが少しバラバンのように聞こえるのは、クルド系の音楽家と一緒だからかとも思います。(以下放送原稿を再度)

 

まずルメリアという地名ですが、位置を確認しますと、ギリシア本土のエピルスをおそらく含めて、テッサリア、マケドニア、トラキアまでを指すようですが、オスマン帝国統治下の南バルカン地域の「ローマ人の土地」を意味するトルコ語の名称ですので、実際は現在のギリシア中央部とトルコのヨーロッパ部分、ブルガリア、北マケドニア共和国などかなり広域になるようです。この盤の後半はルメリアの曲が集められていますが、その中から10,11曲目を続けておかけします。10曲目はルーマニア風な旋律と、演歌っぽいリズムが組み合わさった面白い曲です。11曲目もどこかで聞いたような懐かし気な旋律とリズムに聞こえて仕方ありません。

 

<10 Christos Zotos & Skaros / Continental Greek Music ~Roumelie - Poulia Mou Diavatarika 5分2秒>
Poulia mou diavatarika

 

<11 Christos Zotos & Skaros / Continental Greek Music ~Itia 4分15秒>
Itia

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2021年1月11日 (月)

アル・スールのChristos Zotos & Skaros / Continental Greek Music

ゼアミdeワールド242回目の放送、日曜夜10時にありました。13日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日の動画はエピルスの方だけにしておきます。ルメリアは水曜以降に。
ラヂバリスタジオが感染拡大防止のため、今週からしばらく使用不可になります。また宅録する予定です。音質は落ちると思いますが、ご了承ください。

ギリシアのシリーズは一応昨年末で終える予定でしたが、久々に取り出したギリシア北部エピルス地方の一枚がとても面白かったので、是非おかけしておきたいと思いました。ですので、ギリシアのシリーズも22回になります。キングやアルバトロス盤のエピルスの曲とは一味違う演奏になっています。
それはフランスのAl Surから1993年に出ていた「ギリシア本土の音楽 エピルスとルメリア」という盤で、アル・スールは90年代の内に活動停止してしまいましたが、中東~地中海世界の音楽の名盤が数多くありました。ラウート弾き語りを聞かせるエピルス出身のクリストス・ゾトスを中心に、彼の弟子の女性ラウート奏者イオアンナ・アンゲルー、クルド系のヴァイオリン奏者バルザン・ヤッシン、クラリネットの名手ジル・トレントの4人編成です。ギターとウードとレバノンのブズクの重厚感と躍動感の全てを備えたようなラウートの音色が特に素晴らしく、ラウートのリズムとクラリネットが描く北ギリシアの旋律は、曲によってどこか演歌的だったり、特にクラリネットはやっぱりユダヤのクレズマーに似ていたり、バルカンは北ギリシアから始まるという印象を強めながらも、部分的には地中海的な明るさも感じられたり、色々な側面が聞こえて実に興味深いです。ラウートの独奏の素晴らしさも、伴奏に徹していた他の盤にはなかったものです。解説が簡素ですので各曲の詳細は不明ですが、まずはエピルスの方から、5,6曲目のEpire-I KleftesとEpire - Kondula Lemoniaを続けてどうぞ。

<5 Christos Zotos & Skaros / Continental Greek Music ~Epire-I Kleftes 5分15秒>
I kleftes

<6 Christos Zotos & Skaros / Continental Greek Music ~Epire - Kondula Lemonia 4分4秒>
Kondula lemonia

ルメリアの方に行く前に、前にかけられなかったエピルスと北ギリシアのアルバトロス盤の5曲目をおかけしておきます。ギリシアにはまず見られない多声音楽で、かつビザンツの流れを汲むギリシアの民謡では稀なペンタトニック(5音音階)になっていて、多声合唱の盛んなアルバニアに近いことが歌からも分かります。

<5 Folk Music Of Northern Greece ~Song From Pogoniani 1分37秒>

アル・スール盤に戻ります。まずルメリアという地名ですが、位置を確認しますと、ギリシア本土のエピルスをおそらく含めて、テッサリア、マケドニア、トラキアまでを指すようですが、オスマン帝国統治下の南バルカン地域の「ローマ人の土地」を意味するトルコ語の名称ですので、実際は現在のギリシア中央部とトルコのヨーロッパ部分、ブルガリア、北マケドニア共和国などかなり広域になるようです。この盤の後半はルメリアの曲が集められていますが、その中から10,11曲目を続けておかけします。10曲目はルーマニア風な旋律と、演歌っぽいリズムが組み合わさった面白い曲です。11曲目もどこかで聞いたような懐かし気な旋律とリズムに聞こえて仕方ありません。

<10 Christos Zotos & Skaros / Continental Greek Music ~Roumelie - Poulia Mou Diavatarika 5分2秒>
<11 Christos Zotos & Skaros / Continental Greek Music ~Itia 4分15秒>

ストレートにクレズマーに似ているインストの1曲目をかけられなかったのが残念ですが、最後に7曲目のエピルスのミロロイを聞きながら今回はお別れです。何と言ってもクリストス・ゾトスの芸を聞くのが主眼ですから。ミロロイとは挽歌あるいは哀歌と言うことでしたが、明るく演歌っぽい曲調でラウートの技巧を聞かせる独奏です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<7 Christos Zotos & Skaros / Continental Greek Music ~Epire - Miroloï [Lamentations] 5分11秒>

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2020年12月30日 (水)

トラキアのディオニュソス信仰由来の火踊り

ディオニュソス信仰由来の火踊りのYouTube、ありました。火踊りで波乱の一年を締め括ることが出来ます。不幸を追い払う踊りと言うことですから、相応しい一本かと思います。来年は少しでも感染状況が良い方向に向かいますことを祈って。(厄祓いの火祭りと言う面では、信州・野沢温泉の道祖神祭りを思い出します)ブログは年内は今日が最後になります。新年は遅くても7日から書けると思いますが、私の番組の初放送は6日からですので、ツイッターの収録速報も6日からになります。ZeAmiとCafeトークトークの営業も今日30日からお休みで、新年は4日から始めます。それでは、皆さま良いお年をお迎え下さい。(以下放送原稿を再度)

ブルガリアの南に位置するトラキアの音源は、キング盤に2曲、アルバトロス盤に3曲入っていまして、コスティのグループの現在の居住地はマケドニアのテッサロニキの近くのようです。彼らはオスマン帝国時代はブルガリア南東部のトラキア地方のコスティにいたトラキア系ギリシア人のグループで、アルバトロスの方に彼らのディオニュソス信仰に由来すると言う火踊りの珍しい録音「小さなコンスタンティン ~アナステナーリア祭礼より」がありますので、時間まで聞きながら今回はお別れです。時間が余りましたら、14曲目の「修道士のコロス(合唱)」までおかけします。この仮面劇もディオニュソス信仰の痕跡を残しているそうです。
ディオニュソスと言うと、どうしてもニーチェを思い出してしまいます。ディオニュソス信仰は、ギリシアがキリスト教化する以前からの伝統ですが、現在はギリシア正教の教義に置き換えられ、聖コンスタンティンと聖エレナの聖画イコンの前で踊り、ため息や啜り泣き、唸り声や呻き声と共に、宗教的法悦に達していくという祭りです。火の上を裸足で踊り回っても何故か火傷はせず、その理由は医学的に説明がつかないそうです。

<12 Folk Music Of Northern Greece ~Little Constantine 2分37秒>
O Mikrokonstantinos

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2020年12月29日 (火)

エピルスのクラリネットとミロロイ

北ギリシアのエピルスの音楽と言えば、どうしてもクラリネットに耳が向かいます。それ位特徴的だと思います。バルカン各地やルーマニアには、鳥や動物の鳴き声から、吸血鬼を追い払う曲、葬儀の際の嘆きや慟哭まで、生々しく表現する管楽器の音楽がありますが、エピルスのクラリネットもその延長のように聞こえます。地霊を感じさせる音と言えるのでは。同じ音源はなさそうなので、似た感じの動画とドキュメンタリーを貼っておきました。アルバトロスの方には、明らかにアルバニアの音楽と共通する多声音楽もありますので、またアルバニアに回って来たら再度取り上げます。(以下放送原稿を再度)

ギリシアの次はブルガリアに入る予定ですので、トラキアを終わりに持ってくることにして、北ギリシアでは西に位置するエピルスの音楽ですが、印象としては北のアルバニアの音楽との繋がりを感じます。エピルスと言えば何と言ってもクラリネットの音色が独特で、エーゲ海の音楽とは違って寒い場所の音色に聞こえます。バルカンやユダヤのクレズマーのクラリネットと少し似ていると思います。ギリシアではクラリネットの前にフルート(おそらくフロゲラ)を吹いていて、その後でクラリネットに持ち変える奏者が多いようです。ベースとリズムを担当するラウートは全土に共通していますが、旋律楽器は島嶼部ではリラかヴァイオリンが好まれ、本土ではクラリネットがもてはやされる傾向があるようです。
挽歌あるいは哀歌のミロロイと言う笛の即興的な独奏が、キングとアルバトロスの両方に入っていますので、続けておかけします。キングの方はいかにもエピルス風なクラリネットの音色ですが、アルバトロスの方は、まるで日本の尺八のようにも聞こえます。それもそのはず、ここで吹かれているのはツァマラと言う80センチくらいの金属製の笛で、発音原理が似ているためと思われますが、東欧のカヴァルに近く聞こえる楽器です。

<11 Dirge :ギリシア北西部・エビルスの哀悼歌 3分7秒>
<2 Folk Music Of Northern Greece ~Lament 4分47秒>

greek grief song 03

Documentary: Greek Polyphonic & Folk Music of Epirus

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2020年12月28日 (月)

黒海南東岸ポントス、エピルス、トラキアのディオニュソス信仰 他

ゼアミdeワールド240回目の放送、日曜夜10時にありました。30日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。今日はポントスの映像だけ上げておきます。1本目はキング盤と同じ音源です。オマルはバグパイプではなく、カラデニズ・ケメンチェでの演奏です。

ギリシアの21回目になります。今回はキングのワールドルーツミュージックライブラリー盤を中心に、アルバトロスのエピルスの音源も入れてギリシア北部のエピルス、マケドニア、トラキアと、黒海南部のポントスの音源でギリシア・シリーズを締めくくる予定です。
まず絶対外したくない黒海南部のポントスの音源ですが、場所としてはトルコ領内になります。ポントスとはギリシア語で「海」を意味し、ここでは黒海を指しています。トルコ北東部、黒海南岸のトラブゾン辺りから、最大版図ではクリミア半島にかけて存在した紀元前のポントス王国以来ギリシア人が住んでいて、オスマン帝国滅亡後の1923年のギリシアとトルコの住民交換で多数はギリシアに移住させられましたが、まだ一部ポントスに住み続けていて、1965年の時点で、トラブゾンなどの各県に合計4千人余りのギリシア語ポントス方言話者が記録されているそうです。キング盤の音源がギリシアに移住したポントス人か、トルコに残っているポントス人かは不明ですが、ギリシアでもまだまだ伝統を保っているようです。

ポントスの音楽では、何と言っても細長いカラデニズ・ケメンチェ(黒海のケメンチェの意)の鋭い音色が特徴的で、キング盤に入っているセラニツァ・ダンスは2+2+3の7拍子の速く激しい踊りを伴い、動画で見るとまた強烈なインパクトがあります。またゼアミブログで取り上げます。

<18 Seranitsa :黒海岸のギリシア人居住地区ポントス地方のガラッサリのダンス 2分37秒>
Seranitsa (Pontos)

SERANITSA ΣΕΡΑΝΙΤΣΑ

1曲戻って17曲目にはポントスのバグパイプ演奏が入っています。2+2+2+3の9拍子のオマルという比較的ゆったりと回るダンスの音楽です。大型の太鼓ダウルの伴奏が付きます。

<17 Omal :黒海岸のギリシア人居住地区ポントス地方のガラッサリのダンス 2分44秒>
Πόντος - Ομάλ, Ούτσαϊ

ギリシアの次はブルガリアに入る予定ですので、トラキアを終わりに持ってくることにして、北ギリシアでは西に位置するエピルスの音楽ですが、印象としては北のアルバニアの音楽との繋がりを感じます。エピルスと言えば何と言ってもクラリネットの音色が独特で、エーゲ海の音楽とは違って寒い場所の音色に聞こえます。バルカンやユダヤのクレズマーのクラリネットと少し似ていると思います。ギリシアではクラリネットの前にフルート(おそらくフロゲラ)を吹いていて、その後でクラリネットに持ち帰る奏者が多いようです。ベースとリズムを担当するラウートは全土に共通していますが、旋律楽器は島嶼部ではリラかヴァイオリンが好まれ、本土ではクラリネットがもてはやされる傾向があるようです。
挽歌あるいは哀歌のミロロイと言う笛の即興的な独奏が、キングとアルバトロスの両方に入っていますので、続けておかけします。キングの方はいかにもエピルス風なクラリネットの音色ですが、アルバトロスの方は、まるで日本の尺八のようにも聞こえます。それもそのはず、ここで吹かれているのはツァマラと言う80センチくらいの金属製の笛で、発音原理が似ているためと思われますが、東欧のカヴァルに近く聞こえる楽器です。

<11 Dirge :ギリシア北西部・エビルスの哀悼歌 3分7秒>

<2 Folk Music Of Northern Greece ~Lament 4分47秒>

同じくアルバトロスのギリシア北部の音楽の3曲目には、エピルスらしいクラリネットのソロが続いた後で、前回かけられなかった本土のツァミコスという舞曲が出てきますが、枠太鼓デフィのオリエンタルなリズムを伴っています。北と南がブレンドした印象の曲です。

<3 Folk Music Of Northern Greece ~Pastoral Melody オ・スカロス 3分15秒>

中北部のマケドニアと言えば、古代のアレクサンダー大王以来のギリシア人の土地と言うイメージがありますが、旧ユーゴ側の北マケドニア共和国の言葉は南スラヴ系のマケドニア語で、ギリシア側マケドニアとは全く別の民族です。ギリシア側マケドニアの曲はキング盤に3曲、アルバトロス盤に3曲入っています。今回はキングの方から西マケドニアのシルトスをおかけします。通常のシルトスは2拍子ですが、マケドニアのシルトスは3+2+2の7拍子で、変拍子では旧ユーゴ側のマケドニアと共通しています。

<16 If Mountains Could Lower Down :西マケドニアのシルトス・ダンス 3分8秒>

ブルガリアの南に位置するトラキアの音源は、キング盤に2曲、アルバトロス盤に3曲入っていまして、現在の居住地はマケドニアのテッサロニキの近くのようです。彼らはオスマン帝国時代はブルガリア南東部のトラキア地方のコスティにいたトラキア系ギリシア人のグループで、アルバトロスの方に彼らのディオニュソス信仰に由来すると言う火踊りの珍しい録音「小さなコンスタンティン ~アナステナーリア祭礼より」がありますので、時間まで聞きながら今回はお別れです。時間が余りましたら、14曲目の「修道士のコロス(合唱)」までおかけします。この仮面劇もディオニュソス信仰の痕跡を残しているそうです。
ディオニュソスと言うと、どうしてもニーチェを思い出してしまいますが、ディオニュソス信仰は、ギリシアがキリスト教化する以前からの伝統ですが、現在はギリシア正教の教義に置き換えられ、聖コンスタンティンと聖エレナの聖画イコンの前で踊り、ため息や啜り泣き、唸り声や呻き声と共に、宗教的法悦に達していくという祭りです。火の上を裸足で踊り回っても何故か火傷はせず、その理由は医学的に説明がつかないそうです。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。
この番組の新年の初放送は、6日の再放送枠からになります。
それでは皆さまよいお年をお迎えください。

<12 Folk Music Of Northern Greece ~Little Constantine 2分37秒>
<14 Folk Music Of Northern Greece ~Monk's Dance 2分13秒>

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2020年12月25日 (金)

ペロポネソスの話

3+2+2の特徴的な7拍子の舞曲カラマティアノスは、本土のいたるところで見ることが出来るようです。3拍子の最初がちょっと長くなっているとイメージすれば分かり易いでしょうか。カラマティアノスの動画は、1本目がダラブッカでのリズム解析、2本目はブズーキでの演奏です。キング盤に入っていたのは、中央部の南に突き出たペロポネソス半島の音源でした。
ペロポネソスと言えば、オリンピア、スパルタ、コリントなど、オリンピックや新約聖書関係の名所が点在している半島です。中央部のアルカディアは、桃源郷のイメージで見られることのある地方です。その南に位置するスパルタは、スパルタ教育の名で後世に残っていますが、ペルシア戦争の後で起こった紀元前5世紀のペロポネソス戦争の際は、スパルタ中心のペロポネソス同盟が、アテネ中心のエーゲ海の諸ポリスのデロス同盟と対立し、30年近く戦争が繰り広げられスパルタ側が勝利。アテネ敗戦の責任を問われ、名高い「ソクラテスの弁明」を行った後、哲学者ソクラテスはドクニンジンで毒殺されました。対話篇「ソクラテスの弁明」を著した弟子プラトンの死後、ギリシア全体が疲弊していくのを見兼ねてか、プラトンの弟子のアリストテレスは故郷マケドニアに帰り、アレクサンダー大王の家庭教師になります。カイロネイアの戦いでギリシアとの戦争に勝ち、アレクサンダー大王以降のマケドニアの大帝国樹立~ヘレニズムの時代に入ります。哲学の役割の大きさと、ペロポネソスが歴史の転換点になったことを物語るエピソードです。

Introduction to Greek Kalamatianos

GREEK KALAMATIANOS (feat. MAKIS MAVROPOULOS)


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2020年12月24日 (木)

テッサリアのクリストス・ダンスとクリスマス・キャロル

テッサリアについては、場所が明確に把握できてなかった唯一の地方で、エピルスの東、マケドニアの南と言う位置が今回はっきりしました。しかし、テッサリアの名前は大分前に澁澤龍彦か誰かの本で読んだ記憶がありまして、記憶を辿ると、古代ギリシアの神話世界の「テッサリアの巫女」の逸話を通してだったように思います。詳細はここでは省きますが、テッサリアの巫女の血の儀式に、バルカン各地の吸血鬼伝説の萌芽が見られるようです。それででしょうか、ギリシアの穀倉地帯と知っても、何か魑魅魍魎の跳梁跋扈するような場所のイメージがあります。
放送でかけたクリストス・ダンスもありましたが、クリスマス・キャロルもありましたので、併せて上げておきます。キング盤では、本土南部ルーメリ地方のツァミコスという4+2の6拍子の舞曲と少し似た6拍子ながら、拍の分割が2+2+2になっていて、後半は2+2+2+2の8拍子に変わりました。クリスマス・キャロルは、ちょうどクリスマスですので入れましたが、一般的なクリスマスのイメージとは異なるオリエンタル調です。3本目はテッサリアの色々な音楽が出てきますが、ビザンツ教会の歌らしき曲も出てきました。

Greek Traditional Dances From Thessaly, Greece (Kleistos Argitheas and Berati)

Christmas Carols of Thessaly

Music of Thessaly, Hellas

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2020年12月23日 (水)

ギリシアの羊飼いの笛

素朴な牧笛の旋律が、ビザンツ聖歌の精妙なオクトエコスから来ていて、伴奏のラウートはドローンを刻んでいるのを確認して、非常に驚きました。10月頃オコラのビザンツ聖歌を耳を皿のようにして聞き直したので、すぐ分かりました。レベティカでも、オスマン・トルコから帰還したスミルナ派はエキゾチックな中東音楽風ですが、ギリシア本土のヴァンヴァカーリスなどのピレウス派は、ビザンツの古い歌の流れを汲んでいるそうです。そうなると気になるのは、イスラム化以前の中世トルコで、どんなビザンツ音楽が流れたのかと言うことですが、それを探るのはフリストドゥーロス・ハラリスの音源位しかないでしょうか。今日はキング盤と同じ音源のYouTubeがありました。(以下放送原稿を再度)

キング盤で最も興味深い曲の一つが、次の9曲目の縦笛フロゲラとラウートの演奏で、羊飼いが伝えていた音楽になります。こういう伝統的なギリシア音楽は、ビザンティンの教会音楽に極めて近く、羊が草を食んでいる退屈な時間をつぶすために生まれた音楽ですが、平均律では割り切れない、ビザンツ聖歌のあの精妙なオクトエコスの音律を残しているそうです。ラウートは、正にドローンの音を刻んでいます。

<9 Shepherd's Flute Tune :ギリシア本土の即興曲 2分36秒>
Shepherd's Flute Tune - Dimitris Tsimbissis

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