パリからカルカッタへ バッタチャリアの旅
ゼアミdeワールド171回目の放送、日曜夜にありました。31日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。
今回もインドの世界的な民族音楽学者のデベン・バッタチャリアのフィールド・レコーディングをかけながら、当番組でその地域に回っていく大体の予測をして行きます。1953年から、彼が80歳で亡くなる2001年までに録り溜めてていた未発表音源からなるSUBLIME FREQUENCIESの「Paris to Calcutta: Men and Music on the Desert Road」の4枚組から気になる音源を選んで、30分に入るだけご紹介します。現物は手元にないので、今回もアップルミュージックからの音出しです。youtubeはベドウィンとシーク教の2本のみのようです。
ギリシア北部のサロニカの教会音楽に始まり、トルコのチフテテリとスーフィーを含む宗教歌、吟遊詩人の歌が6曲続き、その後に砂漠の遊牧民ベドウィンの音楽が入っています。ヨルダンかサウジアラビアかどちらかではと思います。ベドウィンらしい擦弦楽器ラバーバの弾き語りの音源は、VDE盤くらいしかなかったので、まずこちらをおかけします。当番組でサウジ辺りに回るのは、5年後くらいになりそうです。
<1-8 Performer unknown - Folksong from Outebeh, vocals and rababa (one stringed fiddle) 4分29秒>
もう一曲ベドウィンの音楽から、女性の歌の入った踊りの音楽です。
<1-10 Performer unknown - Bedouin dance from Katana 2分31秒>
その後は、おそらくシリアの古都アレッポ辺りのイスラム神秘主義の音楽と、アンダルシア系の古典音楽ムワッシャハの長尺の演奏が聴けます。これらシリアの音楽は2年ほど前に取り上げました。
2枚目はイラクと思われる音源から始まりますが、音の動きが小さく不思議な4曲目をおかけします。擦弦楽器レバーブの伴奏で男性が掛け合うように歌っていますが、馬に乗って歌うラブソングだそうです。この後サントゥールや擦弦楽器ジョザの入ったイラキ・マカーム系の音源が入っています。イラクも2年ほど前に取り上げました。
<2-4 Suleiman and friends, accompanied by rebab - Hijeni (A love song often sung while riding away on a horse) 6分17秒 抜粋>
イラクの後にイランのタール独奏が入っていて、演奏者がザッリンパンジェとあるので、録音時期も考慮すると、もしかしたら小泉文夫氏の弟子筋で東京芸大名誉教授の柘植元一氏が教わったタール奏者かも知れません。10分余りありますので、冒頭の辺りだけおかけします。ペルシア音楽はこの番組の始まった頃にごくごくかいつまんでですが、取り上げました。
<2-9 Ostad Zareen Panje Bel - Tar solo in humayun dastgah 10分45秒 抜粋>
3枚目もペルシア音楽で、トンバクの独奏から始まりますが、3曲目にアボルハサン・サバーのセタール独奏が入っていますので、そちらをおかけします。よく聞くダルヴィーシュ・ハーンの曲です。
<3-2 Ostad Abol-Hassan Saba - Setar improvisation in mahour dastgah 2分40秒>
その後はシャーナーメの勇壮なトンバク、ダリウシュ・サフヴァトの美しいサントゥール演奏など、ペルシアの音楽で終わりますが、ラストのホマーユン旋法のEskandare Ebrahimi and Orchestraの演奏がライトクラシカルな感じでも、かなり異色で面白いので、16分の中から少しだけおかけしておきます。
<3-7 Eskandare Ebrahimi and Orchestra - Humayun 16分7秒 抜粋>
4枚目もEskandare EbrahimiのSetar演奏から始まりますので、イランの音源が続いています。
2曲目からアフガニスタンの音楽になりますが、ここも当番組では終わったばかりですので、予告にはなりません(笑) 4曲目のヘーラートの愛の歌は、アーゴ盤と同じ音源のように思いました。5曲目の謎の鼻笛がアフガンなのかインドなのかは現物がないので不明です。
4枚目の6曲目から終わりの14曲目までがバッタチャリアの故郷であるインドの音楽になりますが、まず最初に入っているのが、北西部のパンジャブ地方に多いシーク教の音楽です。ヒンドゥー教とイスラム教の融合した宗教で、インドの人口のわずか2パーセント程なのに、シーク教徒の男性のきっちり巻いたターバンと髭のイメージは、印僑の活躍もあって広く知られています。冒頭だけおかけします。当番組でインドに回ってくるのは、6年後くらいになるかも知れません。
<4-6 Performers unknown, harmonium, tabla - Sikh song on Hindu/Moslem unity 11分45秒 抜粋>
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今回はライブ情報を十分に入れる時間がなくなりましたが、7月31日(水)の加藤吉樹さんの「アラブ音楽ライブ ~ウードソロ~」のご予約受付は、再放送では当日になってしまいますが、本放送の時はまだ継続中です。開場 18時00分 開演 19時00分 会場 Cafeトーク・トーク 今治市北高下町2-1-7ハイツ近藤2の1階 です。
*駐車場は限定5台ですので、出来るだけ公共交通機関等をご利用下さい。
定員:25名限定 珈琲か紅茶のワンドリンク付き 2000円
ご予約:メール VYG06251@nifty.ne.jp
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この盤は「パリからカルカッタへ」というタイトル通り、ギリシアの1曲だけですがバッタチャリアの活動拠点だったヨーロッパから始まり、彼の故郷であるインドの音楽が終点になっています。シーク教の次は、北部のヒマーチャル・プラデーシュ州の州都シムラーの女性の民謡歌唱、Jyotish CH. Choudhury, sitarのRaga zilaなどが続きますが、バッタチャリアの故郷であるインド東部ベンガル地方のカルカッタ(コルカタ)辺りの音楽は、演奏者の名前から推測するにBhona, sitar; Mangal Mukerjee, ghara (claypot drum) - Raga kafi位かも知れません。もう少しバウル辺りの音源を聞きたかった気もします。
最後はヒンドゥー教の宗教歌バジャンとヒンドゥー寺院の鐘と太鼓で締められています。12曲目のJai Chand Bhagat and Babu, vocals, cymbals, ektara - Bhajan (devotional song)を聞きながら今回はお別れです。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<4-12 Jai Chand Bhagat and Babu, vocals, cymbals, ektara - Bhajan (devotional song) 4分15秒>
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