中国

2019年10月 2日 (水)

Wu Man and Sanubar Tursun

先日の動画では、現代最高の語り部であるサヌバルの歌声に耳を傾けるウイグルの人々の姿にも胸を打たれるものがありました。彼女は常に用心深く、当局によって設定された制限を超えないようにしたそうですが、彼女の歌が聴衆に語りかけることは望んだので、その結果「拘束」という事態になってしまったのでしょうか。名前の表記ですが、アラビア文字でも先日の動画のロシア語表記でも「トゥルスン」ですので、以後サヌバル・トゥルスンとします。

今日の動画ですが、スミソニアン・フォークウェーズのコンピ盤『MUSIC OF CENTRAL ASIA, VOL. 10: BORDERLANDS』で共演していた中国の琵琶(ピパ)奏者、ウー・マンとの映像で、もしかしたらこの盤のメイキング映像でしょうか。まだこのDVDは見てないもので。わずか6年後のこの事態、ウー・マンさんも悲しんでいるのでは。

Wu Man and Sanubar Tursun

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2019年9月 6日 (金)

ミャオ族 芦笙舞~トラジ~チベットの仮面劇

最初に上げた動画のサムネイルが入るので、インパクトのある苗族の映像から上げておきます。中国南部各地に住む少数民族、苗(ミャオ)族の音楽から、日本の雅楽に用いられる笙のルーツに当たる蘆笙(ろしょう)を吹きながら踊る曲「楽しい蘆笙舞」という曲を番組でかけましたが、この映像は近いように思います。苗(ミャオ)族と同系統のモン族などが、タイ、ミャンマー、ラオス、ベトナムなどの山岳地帯に住んでいて、笙のルーツに当たる楽器は、ラオスなどインドシナの方にも見られるので、苗(ミャオ)族もタイ系などインドシナ系統の民族かと長年思っていましたが、どうも独立した語族のようです。

ミャオ族舞踊 芦笙舞を舞う



朝鮮の曲では、何といってもアリランが一番有名だと思いますが、その次がトラジだと思います。「トラジとは桔梗の花の意味で、純朴な山の花ではあるが、他の花よりずっと強い生命力を持ち、どんな悪条件にも負けず育つ姿は、朝鮮族の象徴とも考えられている。」と言うのは、「シルクロードの音楽」の解説で初めて知りました。擦弦のヘーグムと両面太鼓のチャンゴの演奏を探してみました。東日本大震災チャリティコンサートの奈良朝鮮初中級学校卒業生の演奏では、右側に琴が見えますが、これは伽耶琴(カヤグム)だと思います。崔勇(ツィ・イョン)の演奏が見当たらないので、こちらを上げておきます。ヘーグムは以前胴の形が違っていたと思いますが、こういう丸い胴の胡弓に似た形の楽器が増えているようです。

110508-03 도라지/トラジ


チベット族の歌舞劇の音楽、ウンパドンという曲の映像は見当たりませんが、チベット僧院での宗教的な踊りの映像が一番多く見つかりました。それらとは違いますが、この映像は番組でかけたのと、似たイメージがあります。有名な超低音の仏教声明ではなく、独特なヴィブラートを伴った歌唱を聞けます。

Masked tibetan dance Ngonpa - Rigna by TIPA

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2019年9月 4日 (水)

寒鴉戲水 - 潮州箏曲

キングの「シルクロードの音楽」から、まずは少数民族ではなく、漢族の音楽です。1本目はスチール弦、2本目は絹弦ではと思います。どちらも素晴らしい演奏ですが、やはりスチールの方が潮州らしい音色のように思います。潮州料理と言えば、フカヒレやアワビの料理が有名ですが、もっと安い料理も色々あったように思います。(以下先日の内容のペーストです)

漢族の中国の伝統音楽は、二胡、高胡、笛子(ティズ)、筝、琵琶のそれぞれ独奏曲が入っています。レワーブとの比較で琵琶をかけたいところですが、時間オーバーしそうですので、広東省潮州の筝名曲「寒鴉戯水」をおかけします。刺繍で有名な汕頭(スワトウ)や隣の潮州の辺りは、海の幸を生かした潮州料理の本場で、その味はあっさりしていて、日本人の口に合うものが多いのですが、香港に旅行した際に食べて、どれも美味しい南中国の広東料理の中でも忘れられない料理の筆頭になっています。
音楽もあっさりしていて、筝は絹ではなくスチール弦の涼しげな響きがあり、水と戯れる寒鴉(カンア 冬のカラス)の姿を音で描く水墨画のようなこの曲には、スワトウの刺繍を連想させる繊細な趣きがあります。

guzheng 19弦鋼線古箏 - 寒鴉戲水 - 潮州箏曲

寒鴉戲水

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2019年9月 2日 (月)

中国の少数民族の音楽 ウイグル族、モンゴル族、朝鮮族、苗族、チベット族

ゼアミdeワールド176回目の放送、日曜夜にありました。4日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。テュルク(トルコ)系のウイグル族の音楽の3回目です。Mijit Ibrahimの演奏は見当たらないので、6曲目のテーマと少しイメージが重なる?ウイグル美人のラワープ弾き語りを一本上げておきます。ラワープ、タンブール共にポピュラーな音楽でも用いられている例をかなり見ますが、これは折衷的な範囲です。他の民族の音楽は水木金に上げる予定です。

まずは、キングのワールドルーツミュージックライブラリーの一枚である、3枚組の「中国/シルクロードの音楽」から、ウイグルの音楽が入っている2枚目から、弦楽器レワーブ独奏の続き2曲からおかけします。

この盤の旧タイトルは「絲綢之路II~漢族とウイグル族の音楽」で、録音は小泉文夫氏が亡くなられた後の1985年のものでした。レワーブ演奏は弾き語りも巧みに聞かせるミジット・イブライム氏です。

5曲目の「春の喜び(カシュガル民謡)」は、「冬が去り、すべてのものが息を吹き返し、生命が大地に躍動する春の情景を描いた音楽。序の部分に古典音楽の12ムカームの中の間奏曲が使われている」と解説にあります。

<2-5 Mijit Ibrahim / レワーブ独奏「春の喜び(カシュガル民謡)」 3分58秒

6曲目「カシュガル民謡「アトシュ」」ではMijit Ibrahimのレワーブ弾き語りが聞けます。アトシュ地方の民謡をもとに編曲された叙情的な踊り曲で、ウイグルの美少女が恋人を訪ねて旅する心を表しているそうです。

<2-6 Mijit Ibrahim / カシュガル民謡「アトシュ」 3分4秒>

The Beautiful Uyghur singer paly uyghur musical instruments-Rawap


この「中国/シルクロードの音楽」には、漢族を中心に、中国の少数民族であるウイグル族、キルギス族、モンゴル族、朝鮮族、苗(ミャオ)族、チベット族の音楽が入っていますので、今回は残りの時間で一通りかいつまんでおかけしてみたいと思います。これまでに取り上げていない東アジアのそれぞれの音楽に回っていくのは、早くて5,6年後にはなると思います。

漢族の中国の伝統音楽は、二胡、高胡、笛子(ティズ)、筝、琵琶のそれぞれ独奏曲が入っています。レワーブとの比較で琵琶をかけたいところですが、時間オーバーしそうですので、広東省潮州の筝名曲「寒鴉戯水」をおかけします。刺繍で有名な汕頭(スワトウ)や隣の潮州の辺りは、海の幸を生かした潮州料理の本場で、その味はあっさりしていて、日本人の口に合うものが多いのですが、香港に旅行した際に食べて、どれも美味しい南中国の広東料理の中でも忘れられない料理の筆頭になっています。

音楽もあっさりしていて、筝は絹ではなくスチール弦の涼しげな響きがあり、水と戯れる寒鴉(カンア 冬のカラス)の姿を音で描く水墨画のようなこの曲には、スワトウの刺繍を連想させる繊細な趣きがあります。

<1-14 紅蓮 / 寒鴉戯水 3分3秒>

次はモンゴル族の音楽です。日本の追分のルーツとも言われるオルティンドー(「長い歌」の意味)の伴奏を、「草原のチェロ」の形容があった馬頭琴で伴奏している蒙古民謡の「広々とした草原」という曲をおかけします。

<2-7 Gao Wa / 広々とした草原 3分57秒>

次は中国東北部の吉林省に住む朝鮮族の音楽から、日本でも広く知られている朝鮮民謡トラジの編曲版です。トラジとは桔梗の花の意味で、純朴な山の花ではあるが、他の花よりずっと強い生命力を持ち、どんな悪条件にも負けず育つ姿は、朝鮮族の象徴とも考えられているそうです。擦弦のヘーグムと両面太鼓のチャンゴの演奏です。

<3-9 崔勇(ツィ・イョン) / トラジ 1分45秒>

次は中国南部各地に住む少数民族、苗(ミャオ)族の音楽から、日本の雅楽に用いられる笙のルーツに当たる蘆笙(ろしょう)を吹きながら踊る曲「楽しい蘆笙舞」という曲です。苗(ミャオ)族と同系統のモン族などが、タイ、ミャンマー、ラオス、ベトナムなどの山岳地帯に住んでいて、笙のルーツに当たる楽器は、ラオスなどインドシナの方にも見られるので、苗(ミャオ)族もタイ系などインドシナ系統の民族かと長年思っていましたが、どうも独立した語族のようです。

<3-13 金欧 / 楽しい蘆笙舞 2分>

では最後に3枚目のラストを飾っているチベット族の歌舞劇の音楽ウンパドンという曲を時間まで聞きながら今回はお別れです。有名な超低音の仏教声明ではなく、独特なヴィブラートを伴った歌唱で、ウンパドンはチベット劇の最初に場を浄め、観客を集め、役者を紹介するために演じられるそうです。チベット自治区の首都ラサの唯一のプロ劇団であるテュムノ劇団の83年来日時の貴重な録音です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<3-17 ウンパドン 10分44秒>

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2014年7月28日 (月)

潘迪華のブンガワン・ソロ

ブンガワン・ソロは名曲ですから、沢山動画が上がっていますが、その中に香港の大スター潘迪華(レベッカ・パン)の歌唱がありました。60年代頃の録音ではないかと思われます。清々しい美声と美貌に魅了される一本です。こういう歌唱を聞くと、ジャワ島の歌であることを忘れ、ますますハワイアンとの区別がつかなくなりそうです。
明日はブンガワン・ソロ以外のクロンチョンについても探してみようかと思っています。

潘迪華 (Rebecca Pan) - Bengawan Solo [HQ]

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2014年1月10日 (金)

昆明のリス族

タイ北部ゴールデン・トライアングルのリス族は、中国南部の雲南省などにもまたがって住んでいるようで、実は中国内の人口が一番多いようです。雲南の省都、昆明(クンミン)での祭りの映像がありました。雲南内の怒江リス族自治州から昆明に来ているリス族の人たちのようですが、彼らの祭りの光景は、少し日本の祭りの継獅子を思わせるものがあります。人の上に乗るのではなく梯子ですが、カラフルな民族衣装と共に、曲芸的な動きが印象的です。
彼らが話すリス語は、チベット・ビルマ語群のイ語グループに属し、イ族やナシ族と近い関係にあるそうです。イ族も中国南部の代表的少数民族の一つです。

昆明・五一狂歓節(01) 傈僳(リス)族のお祭り「上刀山」

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2013年12月26日 (木)

開封のシナゴーグ

まだ中国系ユダヤ人の音楽らしき映像は見つかっていませんが、開封のユダヤ人街やシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)跡の映像がありましたので、今日はこちらを。あちらこちらに中国語に混じってヘブライ語が見えるのは、何とも不思議な眺めです。バックで流れているのは、イスラエル国歌のハティクヴァ(希望)です。

Kaifeng Jews synagogue

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2013年12月25日 (水)

Chinese Jewish

まだまだ他にも開封(かいほう)の中国系ユダヤ人関連の映像がありました。彼らは見た目は全くの中国人ですが、インド系、エチオピア系など、それぞれの国の風貌そのもののユダヤ人がいることを考えれば、不思議なことではないでしょう。おそらく日本人に近い風貌だから、そう思うのでしょう。
音楽的に何か中国系独自のものがあるのか気になりますが、この映像から聞こえてくるのは、アシュケナジームのハシディック・ニグンやカルリバッハのハシディック・ソング(「オッド・イシャマー」)などでした。インド系は聞いたことがありませんが、エチオピア系ユダヤ人が独自のユダヤ教の典礼歌(エチオピア風)を持っているのとは対照的です。この際もう少し探してみようとは思いますが、おそらく東欧系の影響が色濃いか、そのものではないかと思います。

A Chinese Jewish wedding in Jerusalem

Chinese Jews from Kaifeng arrive in Israel 2009 - a moving documentary

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2013年12月24日 (火)

中国・開封のユダヤ人

しばらくブログをお休みしておりましたm(_ _)m
今夜はクリスマス・イヴ。クリスマスとは関係ない(イエス・キリストもユダヤ人なので関係なくはないでしょうか?)けれども、大変に興味深い映像です。インドのユダヤ人関連のリンクに、The Jewish Descendants of Kaifengなる動画がありました。Kaifengは漢字で開封と書きますが、この河南省の開封市にはユダヤ・コミュニティーがあったことで有名です。開封の町のユダヤ人コミュニティーは、何と宋代(960年-1279年)から19世紀末まで存続していたそうで、現在もその末裔と見られる人々が400人ほど居住しているようです。中国人との混血が進み、外見上は非ユダヤ人の住民との見分けが付かない彼らですが、現在もコーシェル(食物規定)などユダヤ的な習慣を守り続けている人が残っているそうです。
終わりの方で、イスラエルの国歌「ハティクヴァ」をヘブライ語と中国語で歌っています。開封のユダヤ人について映像で見るのは初。非常に驚きました。

The Jewish Descendants of Kaifeng.wmv

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2012年3月 8日 (木)

古琴と古筝

昨日は韓国の代表的弦楽器のコムンゴとカヤグムを聴き比べました。コムンゴという楽器について、ウィキペディアに「高句麗時代に王山岳が、中国の琴を改造して発明したという。」という記述がありました。ここで琴と書かれているのは、古琴(Guqin)のことだと思いますが、確かに細めの胴は古琴に似て見えます。では、カヤグムはもしかしたら古筝(Guzheng)の系統だろうか、と思って調べたら、やはり古筝が租型に当たる楽器だそうです。
アルカイックなとでも表現できそうな古風な表情を湛えた古琴と、華麗な技と音色を聞かせる古筝、どちらも素晴らしい楽器です。唐詩などの古くからの中国文化の高雅な部分を凝縮したような古琴と、よりストレートに「中国」をイメージできる音色の古筝とも形容できるでしょうか。香港Hugoのシリーズには、独奏の素晴らしい音源が色々ありました。

古琴演奏家呂培原"流水" guqin master Pui-Yuen Lui "Flowing Waters"

鸥鹭忘机(吴兆基 古琴)

古筝(こそう)奏者 伍芳(ウーファン)さんが語る神戸

Guzheng "Liuyang River" 浏阳河-古筝

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