東方教会

2023年12月28日 (木)

トリオ・マンディリによる詩篇唱

昨日上げた「アラム語による詩篇唱」を歌っていたFather Seraphim は、ジョージア(グルジア)に住むアッシリア系キリスト教徒だそうです。だから族際語とも言えるロシア語で話していたのでしょう。今日は同じ詩篇50編をトリオ・マンディリが歌った映像がありましたので、上げておきます。アラム語歌詞からグルジア語に訳された詩で歌っているようです。年内は明日までアップする予定ですが、今週の番組の後半で取り上げたユダヤのハヌカー関連にするか、このまま東方教会で終えるか考え中です。
シリアのキリスト教は大変複雑で、西シリア典礼はカルケドンか非カルケドンかで分れ、シリア正教会は非カルケドン、アンティオキア総主教庁(あるいはアンティオキア正教会)はカルケドンに入り、別の一派でした。西シリア典礼の中には更に、カトリックの教義を受け入れた教会もあって、シリア典礼カトリック教会などがあります。
昨日のアッシリア東方教会は、別グループの東シリア典礼の方になり、古代のネストリウス派(431年のエフェソス公会議において異端とされ、唐代の中国においては「景教」と呼ばれた)の流れを継承しているそうです。Father Seraphim がグルジアにいることで、トリオ・マンディリのメンバーも影響を受けることがあるのでしょうか。彼女らは先日はユダヤの宗教歌をヘブライ語で歌っていましたし、グルジアはやはり多民族・多文化が混交する大変に興味深い場所に思えます。

Trio Mandili - Psalm 50


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2023年12月27日 (水)

アラム語による詩篇唱

今週の番組で、古シリア教会の聖歌の「アレルヤ、アレルヤ」をかけました。そのグラモフォン盤「聖地のクリスマス音楽」と同じ音源はなさそうですので、アラム語による詩篇唱を上げておきます。大分前にも上げたと思います。シリアの東方教会には、シリア正教会(あるいはアンティオキア総主教庁)とアッシリア東方教会がありますが、この動画にはAssyrianEasternOrthodoxとYouTubeアカウント名がありますので、この歌唱は後者のようです。最初ロシア語で話しているので、ロシア語圏に亡命した人かも知れません。
シリアやパレスチナは最も早くからキリスト教化された地方ですから、ユダヤ教の流れも汲む古い典礼のスタイルが残っているようです。言葉はイエス・キリスト自身が話したと伝えられる古いシリア語の一種のアラム語が現在も主に使われています。AIによるとパレスチナの宗教は、イスラム教が92%、キリスト教が7%と出ました。シリアでは、イスラム教諸派が87%、キリスト教諸派が12%とありました。レバノンではもっとキリスト教比率が高いと思います。この辺りはイスラム一色ではないかと思っている人が日本には多いかも知れません。70年代から、ユネスココレクションのシリア正教会典礼(録音はトルコのアンティオキアだったと思います)など、何枚か音源がありましたが、すっかりその辺りの情報が得難くなってしまいました。

Father Serafim Chants Psalm 50 In Aramaic

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2021年12月29日 (水)

ゲオルゲ・ククとパウル・コンスタンティネスク

今回は月曜のブログで終えようかとも思いましたが、タイトルで検索すると大体の曲が見つかりましたので、スタジオで収録しながら改めて特に聞き入ったゲオルゲ・ククの2曲他を上げておきます。(以下放送原稿を再度)

次にルーマニア人作曲家の曲の中から、前回「ルーマニアのクリスマス・キャロル」にも出てきたゲオルゲ・ククとパウル・コンスタンティネスクの曲を3曲続けます。男声合唱によるゲオルゲ・ククの短い2曲はルーマニア語で歌われているようです。ルーマニア音楽らしい哀感が感じられる曲です。混声合唱で始まるコンスタンティネスクの曲はイースター・オラトリオからの抜粋で、歌詞はギリシア語のようですが、曲調はルーマニア風に聞こえます。
グループ名のコンタキオンについてですが、正教会と東方典礼カトリックの典礼で行われる賛美歌の一形態で、6世紀頃にビザンツ帝国で生まれています。前回アントン・パンの曲に正教会とカトリックらしき曲が混じっているのを不思議に思いましたが、ルーマニア人口の5.1%を占めるというカトリックは、ローマカトリックではなく、おそらく日本ではほとんど知られていない東方典礼カトリックだったのではと思います。

<19 Gheorghe Cucu / Aghios o Theos 1分40秒>

<20 Gheorghe Cucu / I zoi en tapho 44秒>

<21 Paul Constantinescu / Easter Oratorio: "Proskinumen sou ta pathi Khriste" 3分20秒>

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2021年6月17日 (木)

セルビアとモンテネグロの正教会の音楽

セルビア正教会の系列の合唱団がモンテネグロ正教の音楽を取り上げたと思しきこの盤は、CDは見たことはありません。ほとんどが西欧的な合唱で、本当にこんな感じなのだろうかと思いますが、取り上げたCherubic HymnとTe deum laudamusの2曲は美しく、特にソプラノのハイトーンが輝かしく素晴らしいです。1本目は放送内容とは関係なく、セルビア正教会の映像です。2本目のDogmaticon 2th Toneのように、ドローン(持続低音)がバックに入っています。(以下放送原稿を再度)

Serbian Orthodox Chant - Psalm 135 Praise the Lord

続きましてモンテネグロ正教の音楽に移ります。The Serbian Choral Society Jedinstvo 1839 Kotorの演奏で、Orthodox Church Music from Montenegroと言う盤のデータをストリーミングで聞きましたので、こちらからおかけします。全体に西欧的な合唱が多めですが、中に数曲、正教会らしい曲がありました。7曲目のDogmaticon 2th Toneと言う曲です。

<7 Dogmaticon 2th Tone 1分59秒>

4曲目のCherubic Hymnは、ヘルヴィムの歌と訳せますが、正教会の聖体礼儀で大聖入の際に歌われる祈祷文・聖歌で、主にスラヴ系の正教会でチャイコフスキーなど多くの作曲家がこの祈祷文に作曲を行い、一部は実際に聖体礼儀で使われているが、作曲者不詳の伝統的な聖歌もギリシャ系・スラヴ系・その他の正教会で広く用いられているとのことです。ヘルヴィムとはケルビムの現代ギリシャ語・教会スラヴ語読みであり、天使の名のことです。

<4 Cherubic Hymn 2分26秒>

ブルックナーなどクラシック音楽家の作品でも有名なテ・デウムが6曲目に入っています。キリスト教のカトリック教会・ルーテル教会・正教会の聖歌の1つで、テクストの冒頭のラテン語の一文“Te deum laudamus”(われら神であるあなたを讃えん)からこの名称で呼ばれます。

<6 Te deum laudamus 2分53秒>

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2020年10月29日 (木)

テオドール・ヴァシリコスの生映像

今週の気になるポイントは、オコラのギリシア正教の音源を歌っていたテオドール・ヴァシリコスの生映像がないかと言うのと、昨日の一曲目ランパダリオスの生映像ももしあれば、そしてこの曲の作曲者のクリサフィスについて等、結構探りどころの多い週です。調べていたら、他のオラータ盤の違う曲でA Work By Lampadarios (manuel Chrysafis)と出ていましたので、曲名ではなくマヌエル・クリサフィスの別名と言うことなのかも知れません。それなら曲名は?と、また謎のまま終わりました。と言う訳で、今日はテオドール・ヴァシリコス・アンサンブルの映像を上げておきます。音程の精妙さもありますが、ドローンに支えられた男声合唱のダイナミズムも、グルジアの男声合唱と並び称されるべきだと思います。

Psalm 135 - SEM & Arkhon Protopsaltis Theodoros Vassilikos


Theodoros Vassilikos - video - Paraklesis

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2020年10月28日 (水)

「第4のモード」とビザンツ聖歌の第4エコス

希Orataのビザンティンの世俗音楽シリーズの第一集(Byzantine Secular Classical Music, Vol. 1)3枚組の分売と思われるAnthology of Byzantine Secular Music, Vol 1の1曲目、The Lampadarios: Pleasant, Sweet, Instrumental And Pagan. Fourth Modeには、「第4のモード」と「ペイガン(異教の)」という表記がありまして、第4のモードと言うのがビザンツ聖歌の第4エコスと同じかどうか、それとペイガンの真意は?、と言うのが今週一番気になる点です。と言う訳で、ビザンティンの世俗音楽シリーズの第一集の1曲目と、オコラのギリシア正教の音源の第4エコスを並べてみます。第4エコスの音階は、d,e,f,g,a,h,c,dでした。前者は大らかな長調系、後者は最初短調系の音の動きで始まり段々晴れてきます。同じ旋法に聞こえますでしょうか?(下の方に放送原稿を再度)

The Lampadarios: Pleasant, Sweet, Instrumen


Tu es bénie entre toutes les femmes (4e mode)


ギリシアのOrataから出ていたビザンティンの世俗音楽シリーズについて、1990年の前半だったと思いますが、私が六本木ウェイブのクラシックコーナーに勤務している時に、この第一集を中心にバルカン~ロシアの音源で企画を組んだことがあります。ちょうどベルリンの壁が崩壊し、東欧革命が進んでいる頃で、ソ連崩壊前夜という時期でしたから、「東方・東欧からの風」というタイトルを付けたように記憶しています。フリストドゥーロス・ハラリスの演奏は、1000年以上続いたビザンツ帝国の時代を髣髴とさせるような大らかな響きがありましたが、その背景にはビザンツの典礼音楽と共通する精妙な音程感覚が潜んでいたのだろうと思います。しかし第一集以降も、とめどもなくリリースが続き、ビザンツの音楽理論まで理解が及ばない日本のリスナーには、かなりヘビーなシリーズだったと思います。
フリストドゥーロス・ハラリス Christodoulos Halaris (Χριστόδουλος Χάλαρης)は、1946年生まれで2019年に亡くなったギリシアの作曲家で音楽学者です。ギリシア中世のビザンツ音楽や古代ギリシアの音楽の解釈で広く知られ、まだ五線譜がなかった頃のネウマ譜から考証・復元されたビザンツ時代の世俗音楽には、トルコの場所が11世紀に「トルコ化」する前のアナトリアの音楽も入っていたのだろうと思います。
30年ほど経った現在、手元にCDは残っていませんでしたが、アップルミュージックにはこのシリーズが色々ありました。何故かビザンティンの世俗音楽シリーズの第一集(Byzantine Secular Classical Music, Vol. 1)は見当たりませんが、この3枚組の分売と思われるAnthology of Byzantine Secular Music, Vol 1がありましたので、1曲目のThe Lampadarios: Pleasant, Sweet, Instrumenをおかけします。元の3枚組では、Pleasant, Sweet, Instrumental And Pagan. Fourth Mode Composed By – Chryssafis, The "Lampadarios"*となっていた曲です。

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2020年10月23日 (金)

オクトエコス(八調)

アトス山のLPで知って驚いたのが、ビザンツ音楽のオクトエコスという音組織で、これを知らずにオコラのビザンツ典礼のCDを聞いていたのかと恥ずかしくなりました。ドローンを聞いてビザンツ音楽らしさを漠然と感じるだけでは入り口に立っただけでしょう。音階構造を検証してみる必要を感じました。

先日の繰り返しになりますが、ビザンツの音楽理論では、オクターブは68の部分に分けられ全音が12、4分の3音が9、半音が7で示され、音階そのものは8つのエコスの体系の中で4つの正格エコスと、4つの変格エコスにまとめられる、とアトスLPにありました。レゲトスは第4エコスから派生したエコスです。

アトスのLPに載っていたオクトエコスごとの音階表を転記しておきます。12平均律的に考えると、何でミとファの間に半音があるのかとか、ドとレの間にもう一つ全音があるのかとか、そこから引っかかってきます(笑) 第4と第5、レゲトスは、音は同じレミファソラシドレですが、plagalが入るかどうかで音の動きが変わってくるのだろうと思います。墓調とも呼ばれる第七調の音階も出ていますが、シから始まるところから特殊な感じに見えます。

plagal=(教会旋法で)変格の, プラガルの, 変格旋法の《1聖歌のような教会旋法で終止音[主音]が音階の中央部に位置する.2下属和音から主和音に進行して楽曲を終止させる》

第1エコス d,9,e,7,f,12,g,12,a,9,h,7,c,12,d
第2エコス c,9,des,12,e,f,g,9,as,12,h,c
第3エコス c,12,d,e,f,g,a,7,b,9,c
第4エコス d,e,f,g,a,h,c,d
第5エコス d,e,f,g,a,h,c,d
第6エコス d,7,es,18,fis,3,g,a,7,b,18,cis,3,d
第7エコス h,7,c,d,e,f,g,a,b
第8エコス c,d,e,f,g,a,h,c
レゲトス d,e,f,g,a,h,c,d

以下は、ウィキペディアのビザンツ聖歌の説明文ですが、アトスLPの解説とオクターブの構成が68と72で異なっています。

八調(はっちょう、ギリシア語: οκτοηχος, 英語: Octoechos)とは、正教会の教会音楽で用いられる八種の音階・音楽パターン・祈祷文をいう。7,8世紀ダマスコの克肖者、聖イオアンが体系化したとされている。ギリシャ語・英語の"οκτοηχος", "Octoechos"は、八調によって構成される祈祷書「八調經(はっちょうけい・八調経)」をも指す。

現在のビザンティン聖歌の運用は、八調(はっちょう…"eight modes"もしくは"eight tones")に従っている。それぞれの調に固有の調性がある。聖使徒フォマ(トマス)の主日の翌月曜日に第一調で始まり、それ以降、週ごとに調が順次変更される。光明週間には、以下のように一日ごとに調が変更される。

主日(日曜日) - 第一調(だいいっちょう、mode 1)
月曜日 - 第二調(だいにちょう、mode 2)
火曜日 - 第三調(だいさんちょう、mode 3)
水曜日 - 第四調(だいよんちょう、mode 4)
木曜日 - 第五調(だいごちょう、mode plagal of the first)
金曜日 - 第六調(だいろくちょう、mode plagal of the second)
土曜日 - 第八調(だいはっちょう、mode plagal of the fourth)

墓調とも呼ばれる第七調は、その重い響きのために八調の中では祭りの時期に相応しく無いために、光明週間からは外されていると考えられる。

ビザンティン聖歌は七つの音階(ギリシア語: "Νη, Πα, Βου, Γα, Δι, Κε, Ζω."、ニ・パ・ヴ・ガ・ディ・ケ・ソ)から構成される。これらの音階は、"Νη"(ニ)の繰り返しを伴いつつ、1オクターブの間隔を占める。この1オクターブ内で、相対的な音高は音階の調によって変化する。現在のビザンティン聖歌理論は1オクターブを72のモリア(moria)に分割している。従って西欧音楽における全音は12モリアから構成されることとなり、半音は6モリアから構成されることとなる。

Mysteries of the Christian East: Byzantine Chant: The Ochtoechos


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2020年7月23日 (木)

ハッカリとアッシリア、エチオピア、ケニア

日本の民謡と聞き紛うようなハッカリの歌の背景には、アッシリア人の影響があるのではとのご指摘がありました。私もそうかなと思っていましたが、ネストリウス派キリスト教(景教)の後継に当たるアッシリア東方教会の典礼などを見る限り、大体はシリア正教会に近い中東音楽の範疇に入る音のように思いました。アッシリア人の民間の歌に「東洋的な音」がないか、もう少し探ってみます。動画はモスクワのアッシリア東方教会の典礼です。

Assyrian Church of the East Moskow


2本目は、カランのハッカリ2枚組の2枚目冒頭の曲です。この独唱は、木遣りではなく追分か馬子唄に似た印象もありますが、それよりもエチオピアのバガナやクラールのような、所謂「ダヴィデの竪琴」系の弾き語りに似て聞こえました。同じ「ダヴィデの竪琴」系でも、さすがに東アフリカ(ケニアやタンザニア)のリトゥングまで行くと、音楽はかなりダンサブルになります。ハッカリのSerso - Raveのような、非常に細かいメリスマ(というよりモデュレーション?)の歌声を聞いた記憶がありますが、動画は見つからずです。

Serso - Rave (Sarhoş) [ Eyhok No. 2 © 2004 Kalan Müzik ]


Alemu Aga from Ethiopia playing the Begenna - David Harp: Aba Geragn Mote


How to play Litungu.avi

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2019年12月25日 (水)

Seraphim Bit-Kharibi アトス山

一昨日アップしましたアラム語で歌っていたSeraphim Bit-Kharibiは、グルジアのグループ(個人?)のようです。おそらくグルジア(ジョージア)のアッシリア教会に属している人なのでしょう。先日の動画の最初のナレーションがロシア語だったのは、正教世界への発信を意識してのことではと思います。実はドイツ・グラモフォンの「聖地のクリスマス」で聞いたような、古シリア教会のアラム語の古風で素朴な歌があればと思っているのですが、Seraphim Bit-Kharibiのように割と聞きやすく美しい、現代的な歌唱が多いようです。
2本目はギリシア北東部に位置するギリシア正教の聖地アトス山での映像です。アトスも、昔ドイツ・グラモフォンからイースターのLP音源がありました。確かCDにはならなかったように思います。アトスは女人禁制の聖域で、「聖山の修道院による自治国家」として大幅な自治が認められていて、ユネスコ世界遺産に登録されています。

Psalm 16 in Aramaic

Mount Athos • The Holy Mountain

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2019年12月23日 (月)

アッシリア教会のアラム語聖歌とウィーン少年合唱団の「きよしこの夜」

ゼアミdeワールド192回目の放送、日曜夜にありました。25日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。「聖地のクリスマス音楽」と同じ音源はないと思いますので、アラム語のサンプルとしてアッシリア教会のアラム語聖歌と、ウィーン少年合唱団の「きよしこの夜」を貼っておきました。ハヌカー関連は、木金に上げる予定です。

トルコの伝統音楽の11回目ですが、放送されるのが22日と25日ということで、今回はクリスマス特集に致します。その次の29日は1日の再放送枠が無しですので、締めくくりの音楽、新年の最初は8日の再放送枠のみありますから、正月関連の特番に致します。

これまで3回かけましたが、まずはドイツ・グラモフォンから出ていた「聖地のクリスマス音楽」から、「ベツレヘム生誕教会の鐘」をおかけします。キリスト生誕の地とされるベツレヘムのギリシア正教会での録音で、東方的な渋みや深みを感じさせる音です。冒頭と最後に入っていますので、続けておかけします。

<1 聖地のクリスマス音楽 ~ ベツレヘム生誕教会の鐘 43秒>

<22 聖地のクリスマス音楽 ~ ベツレヘム生誕教会の鐘 1分15秒>

2~4曲目はローマ・カトリック教会の聖歌で、女声によって歌われるグレゴリオ聖歌の一種でラテン語で歌われています。この盤の中では唯一の西方教会の音楽で、異色の音源になっていると思います。その中から夜中のミサ:アレルヤ唱をどうぞ。

<3 聖地のクリスマス音楽 ~ ローマ・カトリック教会の聖歌 夜中のミサ:アレルヤ唱 2分>

この盤からもう一曲、古シリア教会の聖歌ですが、最も早くからキリスト教化された地方ですから、ユダヤ教の流れも汲む古い典礼のスタイルが残っているようです。言葉はイエス・キリスト自身が話したと伝えられる古いシリア語の一種のアラム語が現在も主に使われています。

<18 聖地のクリスマス音楽 ~古シリア教会の聖歌 アレルヤ、アレルヤ 2分20秒>

Father Serafim Chants Psalm 50 In Aramaic


このアルバムに収録されているのは、イスラエルのエルサレムやベツレヘムでの東方諸教会の音源で、この地で2000年前にキリスト教が生まれた頃に近い響きを持っていると思われる音楽が中心です。3年前には、この盤からキリスト教の東方的ルーツを訪ねた、ギリシア正教会、エチオピア教会、エジプトのコプト教会、シリア教会、アルメニア教会、レバノンのマロン派の音源を中心にご紹介しました。今回は一般にもよく知られているクリスマス・キャロルもおかけして、その後でユダヤで同じ時期に祝われるハヌカー関連の音源もご紹介します。

よく知られるクリスマス・ソング2曲をウィーン少年合唱団の歌唱でどうぞ。最初がドイツ民謡「もみの木」で、2曲目は1818年にフランツ・グルーバーが作曲した「きよしこの夜」です。

<22 ウィーン少年合唱団ベスト もみの木 1分38秒>

<23 ウィーン少年合唱団ベスト きよしこの夜 2分40秒>

Vienna Boys Choir - Stille Nacht (Silent Night)


次にユダヤのハヌカーですが、ユダヤの世界にはキリストの生誕を祝うクリスマスという行事は無いのですが、まるで対抗するかのようにほぼ同時期にハヌカーという祭りがあります。ハヌカーはユダヤ教の年中行事の一つで、紀元前168年~紀元前141年のマカバイ戦争時のエルサレム神殿の奪還を記念する「宮清めの祭り」です。今年は東欧系のアシュケナジームの音楽は外して、セファルディーの方だけでご紹介します。

15世紀のレコンキスタでスペインから追放され、北アフリカやバルカン半島など多くは旧オスマン帝国内に離散したスペイン系ユダヤ人はセファルディーと呼ばれますが、彼らの民謡を演奏するグループVoice of the Turtleは「ハヌカー・コンサート」という盤が最初に出ました。その中からハヌカーという曲をどうぞ。

<10 Voice of the Turtle / Circle of Fire ~Hanuka 3分10秒>

Voice of the Turtleのハヌカーの歌は去年と一緒ですが、この後はトルコのユダヤ教徒の音楽から、ハヌカーの曲をおかけしたいと思います。Kalan Muzik Yapimから2001年に出ているMaftirim Judeo-Sufi Connectionという盤は、トルコ音楽のスタイルでユダヤ教神秘主義詩を聞かせる内容です。演奏はHazan Aaron Kohen Yasakとマフティリーム合唱団で、器楽伴奏はネイとタンブールを中心に打楽器のベンディール、クデュムという編成です。トルコには15世紀のスペインからの離散のグループとは別に、古代パレスティナから古くは紀元前4世紀頃から流入した古い集団もあるようです。この盤の演奏者がどちらになるのかは不明ですが、ハヌカーの曲を演奏しているということは、セファルディーだろうと思います。では、そのHag Amakabimという曲をどうぞ。

<19 Maftirim Judeo-Sufi Connection ~Hag Amakabim 5分14秒>

Maftirim Judeo-Sufi Connectionには、ユダヤ教の安息日(シャバト)の歌が多数入っていますので、3曲目のイスマー・アル・ツィヨンと言う曲を、時間まで聞きながら今回はお別れです。キリスト教の安息日は日曜ですが、ユダヤ教では土曜になります。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<3 Maftirim Judeo-Sufi Connection ~Yismah Ar Tsiyon 2分36秒>

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