弦楽四重奏

2009年3月25日 (水)

カヴァティーナの実演

昨日はベートーヴェン後期弦楽四重奏曲シリーズを一まず終わりにします、と書きましたが、昨日イメージ映像でアップした絶美のカヴァティーナの実演が見つかりましたので、せっかくの機会ですからアップしておきます。13という数字からでしょうか(クリスチャンではないので、13という数字を不吉がることもなかったのですが)、余りちゃんと聞かずに来ましたが、深遠極まりない14番よりも分かりやすく、15番以上に美しさが心に沁み亘る曲だというのがよく分かりました。大フーガの代わりに書かれた6楽章も含め、5楽章以外も比較的小粒ながら素晴らしい曲の連続です。今日は見つかった他の楽章も併せて上げておきます。残念ながら6楽章だけ見当たりませんでした。アリアのようにカヴァティーナだけ聞くのではなく、全楽章聞いてこそ5楽章が際立つと思います。

The Fry Street Quartet - Beethoven: String Quartet in B-flat Major, Op. 130, Cavatina

ベートーヴェンのSQ全曲を吹き込んでいるフライ・ストリート・カルテットによる13番の第5楽章カヴァティーナ。至純の響きに心が洗われるようです。

The American String Quartet - Beethoven String Quartet, op. 130 Cavatina

カルテットのプロフィールは調べてみないと分かりませんが、こちらもなかなか良いです。1stヴァイオリンの前に乗り出して語りかけるような演奏が特に良いです。^^

Beethoven Quartet Op 130 1st movt part 1 (Budapest Qt 1960)

ブダペストSQによる第一楽章。この楽章の緩やかな序奏からして非常に印象的です。

Beethoven String Quartet no.13 op.130 2nd movement

同曲第2楽章。カルテット名は不明ですが。小粒ながら味わい深いスケルツォ楽章。

Beethoven String Quartet no.13 op.130 3rd movement

同曲第3楽章。カルテット名は不明ですが。

Beethoven String Quartet no.13 op.130 4th movement

同曲第4楽章。素朴な旋律によるドイツ舞曲のレントラー。どこか懐かしげな響き。

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2009年3月24日 (火)

カヴァティーナと大フーガ

ベートーヴェンの後期弦楽四重奏もシリーズになりましたが、一応今日までにしたいと思います。最後は13番の弦楽四重奏曲の第5楽章カヴァティーナと、当初第6楽章として作曲された大フーガ。13番は大規模な曲の多い後期のSQ作品の中にあって、比較的小さな規模の6楽章という変則的な構成。その幻想的とも言える音楽は、作曲者の嘆きを映す色調を帯びていますが、そのような弱さを超克すべく6楽章に大フーガが作曲されました。しかし演奏者からの拒否に会い、大フーガは単独の作品として発表されることになりました。余りの演奏困難さ、晦渋さが原因のようです。現在の第6楽章は、後に作曲された最晩年の作品。

Beethoven Quartet no.13 op.130 mov.5 cavatina

大フーガの直前に置かれた第5楽章のカヴァティーナ。この筆舌に尽くせない美しい音楽については、以下の文章を引用させて頂きました。
「晩年の堪え難い寂寥感を映し出した悲しい音楽で、ベートーヴェン自身もこの作曲は涙とともに行い、出来ばえには至極満足であったという。充実した響きの上に、無上の美しい旋律が歌われる。」(ブダペストSQの全集の大木正興氏の解説) 
葬儀にはこの曲を(第5楽章「カヴァティナ」)   とやかく申すまでもなく、13番での本命は第5楽章「カヴァティナ」です。最終部で啜り泣く一期一会の旋律。・・・今まで数多くの人が、この楽章が奏される中、黄泉路へ旅だってゆきました。(mixiのSQ13番のコミュニティより)

Beethoven/Alkan: Cavatina

ピアノの難曲を沢山書いたことで知られるロマン派の作曲家アルカンによるカヴァティーナの編曲版。

Beethoven GREAT FUGUE op. 133 Leipzig String Quartet

数ある大フーガのクリップの中から、ライプツィヒSQの演奏で。前半のみで残念ですが。この曲の峻厳極まりない「音楽の追求」は、結果的に現代音楽への流れを準備していた所があるようで、例えばアルディッティSQがGramavisionからの89年のアルバムArdittiで、ナンカロウやクセナキスの前に大フーガを入れていました。

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2009年3月23日 (月)

SQによる歓喜の合唱

ベートーヴェンの後期カルテット、あと二日程続けたいと思います。今日は弦楽四重奏曲第15番 作品132の第3楽章。mixiには「人類史上最高傑作だ! 」というコミュニティがあったりもします。老いと孤独をひしひしと感じていたベートーヴェンが、病を克服した時の喜びを音楽にした一曲。感じ方は人それぞれだと思いますが、この楽章のしみじみした美しさには昔大変に感銘を受けました。
今日もブダペスト弦楽四重奏団の演奏です。彼らの後にジュリアードやスメタナ、ラサールなど、優れたカルテットが沢山出現していますので、オールドスタイルになっている部分はあるようですが、私はブダペストの大らかで温かい音色が一番だと今でも思います。ノスタルジーを醸し出すようなyoutubeのビデオがなかなか良いです。(以下の曲目解説は上記mixiコミュニティーより)

1.主部(第1主題):
モルト・アダージョ Molt adagio リーディア調(ヘ長調)
"Heiliger Dankgesang eines Genesenen an die Gottheit, in der lydischen Tonart"
「病から回復したある一人の者が神に捧げるリーディア調の聖なる感謝の歌」

2. 中間部(第2主題):
アンダンテ Andante ニ長調
"Neue Kraft fuehlend" 「新たな力を感じつつ」

3. 第1再現部(第1変奏):Molt Adagio リーディア調(ヘ長調)

4. 第2中間部:Andante ニ長調

5. 第2再現部(第2変奏、終止部):
モルト・アダージョ Molt adagio リーディア調(ヘ長調)
"Mit innigster Empfindung" 「衷心から感情をこめて」

Beethoven Quartet op 132 3rd movt - Budapest Qt (1/2)

Beethoven Quartet op 132 3rd movt - Budapest Qt (2/2)

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2009年3月22日 (日)

ゴダール映画に使われた最後のSQ

昨日はベートーヴェンの14番(Op.131)のカルテットが全ての彼の最後の作品と書きましたが、間違っていました。16番(Op.135)が最後でした。完成された順番で言えば、SQの番号やオーパス№(作品番号)とずれていて、15、13、14、16の順のようです。16番のカルテットより後のベートーヴェンの完成された作品はありません。深遠極まりない変則的な構成の3曲と大フーガ(当初13番の終楽章として書かれた晦渋極まりない曲)の後に、オーソドックスな4楽章で書かれた曲で、こちらは対照的なまでに素直な曲想。しかしその普通さの裏側を見るべきなのでしょうか。後期のSQ曲は難解さの割りに、すっと聞き手の心に飛び込んでくるところがありますが、16番は逆に難解かも知れません。
昨日書いたように、この16番はゴダールの80年代の映画「カルメンという名の女」に使われていました。2楽章のスケルツォ的なヴィーヴァーチェが、特に強烈な効果を出していました(見たのは20年以上前ですので詳細を思い出せませんが)。
今日は16番を全楽章アップしました。現代最高の弦楽四重奏団の一つと言われる、ハーゲン・カルテット(ドイツ・グラモフォンから全集が出ていて発注も可)の演奏です。2楽章は凄まじいテンポで演奏しています。

Beethoven: String Quartet, Op.135 (Part 1)

Beethoven: String Quartet, Op.135 (Part 2)

Beethoven: String Quartet, Op.135 (Part 3)

Beethoven: String Quartet, Op.135 (Part 4)

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2009年3月21日 (土)

高貴な後期SQ

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は、クラシック中のクラシックと言えると思います。だからZeAmiブログで取り上げるのは、意外に思われる方もいらっしゃるかも知れません。クラシックなら古楽か現代というイメージで見られ勝ちですが、間の古典・ロマン・民族楽派・近代もしっかり聞いてきました。文字通り、グレゴリオ聖歌からジョン・ケージまで。その中で、これまでに取り上げたJ.S.バッハの無伴奏作品や、後期のベートーヴェン、中でも弦楽四重奏やピアノ・ソナタの普遍的価値は、世界の音楽の中においても燦然と輝いていると思います。20年ほどクラシックを余り聞かなかったとは言え、これらの作品への尊敬の念は薄れたことはありません。最初に聞いた後期SQは、中では比較的ポピュラーな15番だったと思います。破格の楽章形式と3楽章の賛歌には深い感銘を覚えました。その後ブダペストSQ(メンバーは全てロシア系)の全集をよく聞いたものです。SQ曲16番はJ.L.ゴダールの「カルメンという名の女」に使われていましたし、ピアノ・ソナタはグレン・グールドの定番レパートリーになっていました。偉大で難解な作品群にも意外にそんなエピソードが散見されます。今日はそんな後期のSQから14番の1楽章と6楽章を。第9交響曲も荘厳ミサ曲も書き上げた後の、文字通り最晩年の作品の中の最後の曲です。

Beethoven Quartet op 131 1st movt - Budapest Quartet (1943)

ブダペスト弦楽四重奏団の演奏で14番の1楽章。この曲は全部で7楽章という変則的な構成。その幽玄かつ峻厳な美しさは喩えようがないです。管弦楽編曲版もあって、バーンスタインやミトロプーロスが入れていました。

Band of Brothers - Why we fight

映像はTVドラマ「Band of Brothers」。弦楽四重奏曲14番6楽章が使われています。出品者が音楽を合わせたようですが、何ともぴったりに思えます。

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2009年3月20日 (金)

ラズモフスキー3番の白眉

ここ数日トルコを離れ、フラメンコからスカルラッティに飛躍し、更にロココ的なクープランに飛びましたが、今日は更に飛んでベートーヴェンの弦楽四重奏曲。ヨーロッパのクラシックも、各国の古典音楽になりますが、と言うことは広義の民族音楽(古典音楽、宗教音楽、民謡・民俗音楽が3つの大きな柱)に入ってしまうことにもなると思います。当ブログでは、民族音楽~クラシック~各国の大衆音楽まで、境目のない遠近両用的複眼を志向したいと思っています。(どこかで聞いたフレーズですが(笑))
さてベートーヴェン中期の名作SQ曲、ラズモフスキー・シリーズの3番目の曲ですが、2楽章がやたらに印象的なのです。駐ウィーン・ロシア大使ラズモフスキー伯爵のために書かれたという3曲には、ロシア民謡が引用される箇所が数箇所あります。3番の2楽章はロシア民謡ではないようですが、独特な歌心が感じられます。チェロのピチカートは最後の審判に呼ばれる弔いの鐘に聞こえるという意見もあるようですが。私がTVで見たのはアマデウスSQが来日した時ですから、20年余り前だと思いますが、この2楽章に目が釘付けになりました。
そろそろ時間切れ間近ですので、取りあえず今日はアルバン・ベルク弦楽四重奏団(略してSQ)の名演の映像をどうぞ。

Beethoven - String Quartet op.59 no.3 - 2nd. movement

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