弦楽四重奏

2026年5月27日 (水)

弦楽四重奏のための《5つの断章》

再度書きますが、浄夜など初期作品以外の新ウィーン楽派の曲目が一般の聴衆に受け入れられる日は来るのでしょうか。新ウィーン楽派の3人の同時代のバルトークやストラヴィンスキーなどは、70年代よりは大分一般的なコンサートに乗るようになったと思いますが、彼らのような新古典派や民族音楽を取り入れた作曲家の作品は、十二音技法の曲よりはるかに受け入れやすいというのはあると思います。ウェーベルン作品の中では、パッサカリアや弦楽四重奏のための《5つの断章》はキャッチーな方だと思います。今日の動画のように生演奏で見れた方がいいと思いますので、番組では1楽章だけでしたが、全曲演奏で上げておきます。Leonkoro Quartetの演奏です。ヴィオラだけ日本人奏者です。この曲は80年代に数住岸子さん他の演奏で確かTVで見た記憶があります。ポリーニの名盤「ブーレーズのピアノ・ソナタ2番」の前に入っていたのも短いウェーベルン作品で、ハードな曲の前のいい導入になっていたと思います。(以下放送原稿を再度)

パッサカリアを書いた翌年の1909年にウェーベルンが無調の世界に足を踏み入れたのが作品5番の弦楽四重奏のための《5つの断章》作品5です。1曲目の激しい動きで(Heftig bewegt)だけですが、ジュリアード弦楽四重奏団の演奏でおかけします。後期の十二音技法の作品よりも、パッサカリアとこの《5つの断章》が、聞く機会が多いように思います。他にウェーベルン作品で有名なのは、バッハの『音楽の捧げもの』の「6声のリチェルカーレ」のオーケストラ編曲ではないかと思います。1980年前後だったと思いますが、NHKFMの「現代の音楽」のテーマ曲に使われていました。

Webern: Fünf Sätze für Streichquartett op. 5

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2026年2月13日 (金)

「ウィーンわが夢の街」と「美しく青きドナウ」

「ウィーンわが夢の街」については、前に上げたエーリッヒ・クンツの歌唱が素晴らしすぎて他を聞けない程ですが、この曲と「美しく青きドナウ」をウィーン少年合唱団で上げておきます。今治で来日公演があった時も聞けたように思います。「美しく青きドナウ」は、19世紀に「ハプスブルク帝国第二の国歌」と呼ばれるようになりましたが、現在のオーストリアでも、このワルツは「第二の国歌」と呼ばれ続け、ウィーン少年合唱団の歌唱はこの曲のスタンダードの一つだと思います。
それと、水曜にメリーウィドウを聞いたDmitri Hvorostovskyのバスバリトンが大変素晴らしかったので探してみましたが、「ウィーンわが夢の街」はありませんでした。この曲を最初に聞いたのは1988年に六本木ウェイヴに入社した頃に新譜で入ってきたメラニー・ホリデーでした。長らく彼女の歌唱のイメージがありましたが、今聞くと少し弱いかなとも思いました。甘美極まりないこの曲を聞くと、レハールのメリーウィドウを条件反射のように思い出してしまいます。
3本目は演奏者名とどこの国の人か分からないのが残念ですが、これまで聞いたいずれの「美しく青きドナウ」の弦楽四重奏編曲とも違うアレンジの演奏で、大変素晴らしいと思いました。こういう演奏を聞くと、やはり日本人にはたどり着けない何かがあるのではと思います。ヴィオラ奏者だけMaria Kropotkinaと分かりましたが、ロシア系の名前に見えます。余談ですが、この曲の主旋律レファ♯ララの後のララ、ラファ♯と、それに続く装飾音と旋律の音程関係が、いつもヨーデルそっくりに聞こえます。

Wien, du Stadt meiner Traume (Arr. Marschik)

An der schönen blauen Donau" Johann Strauss (Sohn) | Wiener Sängerknaben & Wiener Philharmoniker

Johann Strauss "Blue Danube" Waltz

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2026年1月28日 (水)

ハイドンの皇帝とシュランメル

Wiener Künstler(ウィーンの芸術家)が「ヴェニスに死す」の辻楽師の弾いていた曲かどうかは、捜索に少しかかると思いますので、先にフィルハーモニア・シュランメルンの演奏するRettungs-Jubel-Marschに、ハイドンの作曲した皇帝賛歌が2分過ぎから入っていた方を今日は見てみます。CDは持ってないので確実ではありませんが、この曲のデータを見ると作曲者は何とヨハン・シュトラウス 2世になっていました。シュランメルを称賛し、曲も提供していたようです。皇帝賛歌はシュランメル兄弟が活躍していた19世紀後半にはオーストリア帝国の国歌でしたから、このRettungs-Jubel-Marschという組曲の最後に旋律の後半を入れたものと思われます。それがどういう意図かまでは判りませんが。
ハイドンはこの旋律を非常に気に入って、ナポレオンに祖国が支配される時に、ピアノでこの曲を何度も弾き続けたというエピソードが残っています。ハイドンの、そしてオーストリアの誇りであったこの曲を、自身の弦楽四重奏曲 第77番 ハ長調 作品76の3 Hob.III-77《皇帝》の変奏曲形式の第2楽章 Poco Adagio. Cantabileに取り入れています。この曲は現在はドイツの国歌になっています。
このハイドンの皇帝2楽章も、弦楽四重奏のヴァイオリンとチェロの両方を弾いたことがありますが、チェロパートの第2変奏の旋律を弾く時の高揚感は忘れられません。ファーストヴァイオリンの第1変奏の16分音符のオブリガートは、かなり合わせ辛く思いました。(セカンドヴァイオリンに回っている旋律が走りがちなのもあるかと思います)番組でかけたカルミナ・カルテットではなかったので、Polyphonie String Quartetの演奏で上げておきました。

<Philharmonia Schrammeln / Wiener Künstler ~Rettungs-Jubel-Marsch 2分40秒>

Haydn - Emperor's Hymn, from String Quartet in C major, Op. 76

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2025年10月24日 (金)

弦楽四重奏曲第1番第2楽章Canzonetta

今週の番組では有名曲まで色々かけましたが、後はメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第1番の第2楽章Canzonettaだけにしておきます。この曲の旋律がユダヤ風だと知ったのが水野信男先生の本だったのか他だったのか、記憶が定かではありません。水野先生からの依頼で私がディスコグラフィ作成を担当した2冊を久々に引っ張り出しましたが、「メンデルスゾーンはユダヤ系だがユダヤ的な曲は特に書いてない」と書かれていた箇所だけだったように思います。冒頭の旋律はクレズマー風にも聞こえるメロディと、この旋律後半のユダヤ旋法的な動きが確かにありますが、これはメンデルスゾーンがシナゴーグで耳にした旋律が、ふと出てきたのでしょうか。若い頃の作品なので、近い過去の幼年時代の記憶がふと蘇ったのかもと思いますが。演奏はSchumann Quartettです。(以下放送原稿を再度)

メンデルスゾーンはヴァイオリン協奏曲や劇付随音楽「真夏の夜の夢」の結婚行進曲が特に有名だと思います。バッハのマタイ受難曲を復活演奏させた功績も非常に大きいですが、同時に彼はドイツのユダヤ系の人で、作品にその痕跡が現れていると言われる曲がありますので、その弦楽四重奏曲第1番の第2楽章Canzonettaをおかけします。確かに旋律にユダヤ旋法風な側面が感じられますが、これは彼の作品で例外的な曲のようです。

Schumann Quartett - Intermezzo - Mendelssohn: String Quartet op 12 - II Canzonetta

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2025年9月26日 (金)

ベートーヴェンSQ15の終楽章

ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲の中で、一番初め80年代前半にLPで聞いたのは15番でした。これはブダペストSQではなく、アマデウス弦楽四重奏団でした。「リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」と題された15分を越える長大な第3楽章にまずひかれましたが、続いて5楽章の美しいメロディもずっと気になっていて、長調に変わる部分の展開の素晴らしさ、楽章の構成自体が奇跡のような曲だと思います。少し後で「失われた時を求めて」の作家マルセル・プルーストが「私が音楽で知るうち最も美しいもの」と絶賛していたのを知ったのが、大学で仏文科の吉川一義先生のプルーストの授業に潜り込んで聴講した後だったと思います。プルーストが絶賛していたというのを知って、激しく歓喜したのを覚えています(笑) 彼がコルク張りの部屋にカペー弦楽四重奏団らしいグループを呼んで演奏させたのが、この5楽章とドビュッシーの作品などと聞いています。弦楽四重奏曲でしょうか。色々他の曲が何だったのか気になって、はや40年です(笑)
ハーゲンSQの生演奏があれば良かったのですが、番組でかけたCDの音源はありました。ハーゲン一家中心のメンバーは私とほぼ同世代でしたが、最近解散が報じられて非常に寂しく思いました。解散は来年のようで、確か結成40周年です。1986年頃華やかに登場したのが昨日のようです。5楽章だけ上げますが、気になった方は3楽章などもリンクから辿れると思います。

Beethoven: String Quartet No. 15 in A Minor, Op. 132: V. Allegro appassionato – Presto

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2025年9月25日 (木)

カヴァティーナと大フーガ

今日はベートーヴェンの弦楽四重奏曲13番の5楽章「カヴァティーナ」を弦楽合奏で演奏している映像から始めます。オーストラリアの団体のようですが、とても素晴らしい演奏です。四重奏で演奏するのは大変にハードルが高い曲ですが、合奏なら何とかなるか試してみたいようにも思いました。2本目はBSのクラシック倶楽部で見かけたと昨日名前だけ入れていたエベーヌ弦楽四重奏団の演奏です。ベートーヴェンの初稿通り、終楽章の6楽章に大フーガを持って来ています。35分30秒頃からです。この曲が13番から外れた理由について、ウィキペディアから引いておきます。出版者の要望に応えて、すんなり書き直したと思っていましたが、この初演時のエピソードは今回初めて知りました。この難解な曲は、現代音楽専門のアルディッティ弦楽四重奏団がアルバムの冒頭に弾いて、その後は現代音楽が入っていたように、現代音楽の扉を開くきっかけになった曲なのかも知れません。

元来、この巨大なフーガは、弦楽四重奏曲第13番の終楽章として作曲されたものである。第13番の初演時、2つの楽章がアンコールに応じて演奏されたが、終楽章のフーガは演奏されなかった。ベートーヴェンは納得できず「どうしてフーガではないのか?」と噛み付き、聞くに堪えない悪口を並べたという。しかし、このフーガは当時の演奏家にとって技術的水準が高く、聴衆にも理解が難しかったため、出版者は新たな終楽章の作曲をベートーヴェンに依頼し、同時にこのフーガを単独の作品として独立させた。強情な人柄で、聴衆の嗜好に無関心なことが知られていたベートーヴェンであるが、このときは出版者の要望に応えている。フーガと差し替えるために書き下ろされた終楽章は規模が縮小され、軽い性格の曲調になったが、これはベートーヴェンが生涯で最後に完成させた楽曲となった。

Beethoven String Quartet in B-flat major, Op. 130: V. Cavatina (arr. for Strings)

The Quatuor Ebène plays Beethoven Quartett Op. 130 with the Fuge

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2025年9月24日 (水)

アルバン・ベルクSQの13番

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲13番の全曲生演奏が結構YouTubeに上がっていますので、どれか上げようと探してみました。イタリア弦楽四重奏団のような古いグループから、最近クラシック倶楽部で見かけたエベーヌSQまで、色々ありましたが、これらの中ではアルバン・ベルク弦楽四重奏団かジュリアード弦楽四重奏団のベテランが良いように思いました。アルバン・ベルクSQもLPを見かけ始めたのは70年代ですから、今も活動しているかどうか調べたら、2008年で解散しているようです。新ウィーン楽派のアルバン・ベルクの名を冠している通り、現代音楽もよく演奏していたグループです。番組では最後にかけて途中までになった1楽章から全て入っていますが、6楽章は長大晦渋な大フーガではなく後で書き直した6楽章です。ハーゲンSQなどは大フーガを最後に持って来ています。20分頃から4楽章のレントラー、23分過ぎから5楽章のカヴァティーナです。
YouTubeのコメントにOne of Beethoven's friends said that the composer told him he cried while writing it. This is the man's soul.とありました。正にその通りだと思います。5楽章は特に出来栄えに満足し、涙と共に作曲したそうです。最晩年のベートーヴェンがこの13番より後で書いた曲は、数曲のみです。

Beethoven String Quartet No 13 Op 130 in B flat major Alban Berg Quartet

00:18 - 1º.- Adagio manon troppo (01:29), allegro [09:29] -(09:47)
10:30 - 2º.- Presto [01:41] -(12:21)
12:37 - 3º.- Andante con moto ma non troppo [06:28] -(19:05)
20:02 - 4º.- Alla danza tedesca: allegro assai [02:27] -(22:49)
23:30 - 5º.- Cavatina: Adagio molto espressivo [06:41] -(30:11)
30:40 - 6º.- Finale: allegro -(38:21) [07:31] - 38:21 (1*)

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2025年9月22日 (月)

ベートーヴェン弦楽四重奏曲13番のレントラーとカヴァティーナ

ゼアミdeワールド480回目の放送、日曜夜10時にありました。24日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。ブダペストSQの演奏で13番の4楽章と5楽章を上げておきます。私が80年代に最初に買ったベートーヴェン弦楽四重奏曲全集のCDはこの63年録音でした。スメタナやハーゲン、アルバン・ベルクなど色々聞きましたが、やっぱりブダペストSQが良いです。因みに、プルーストがコルク貼りの自室に呼んで演奏させたのは、カペーSQらしいです。カペーの録音は14番はありますが、13番は無かったと思います。

ドイツの7回目になります。重要なレントラーを一つ忘れていましたので、その曲が入ったベートーヴェンの弦楽四重奏曲13番を中心に進めます。ベートーヴェンが最晩年に作曲した後期の弦楽四重奏曲は、クラシック音楽の最高峰として知られますが、私は中でも13番と15番の終楽章を特に愛好してきました。
13番のレントラーは番組では初めてですが、すぐ後に出て来る非常に美しいカヴァティーナは、2016年の番組始まって間もない5月に一度かけております。大変お世話になった音楽プロデューサーの星川京児さんの追悼曲としてかけました。
まず第4楽章の「ドイツ舞曲風」と題されているレントラーをおかけします。13番にふさわしい清楚でエレガントな美しい曲です。ブダペスト弦楽四重奏団の演奏です。

<Alla danza tedesca. Allegro assai 3分19秒>

第5楽章のカヴァティーナですが、2016年の原稿を少し読み上げておきます。

星川さんとは93年頃に六本木ウェイヴ内のストアデイズに勤務していた頃に、お客様として知り合いました。ちょうどイランの地方音楽のコンサートシリーズをされている頃でした。讃岐出身の星川さんとは、すぐに意気投合。96年にZeAmiを立ち上げた頃も色々お世話になりました。数々の飲み会もですが、05年のZeAmi移転前セールを谷中の奥さんのお店アノマでさせて頂いて、その賑わいと楽しさも忘れられません。命日の一日前、2016年5月15日はZeAmi20周年の日でした。
星川さんからは、音楽之友社から02年に出た「世界の民族音楽ディスク・ガイド」の共著の話を頂いたり、小泉文夫コレクションの流れを汲むキングレコードのワールドルーツミュージックライブラリー150枚シリーズ(星川さんプロデュース)の一枚、シャハラーム・ナーゼリーのCDのライナーノーツ(解説)執筆依頼を頂いたり、他にも数えられません。80年代には民族音楽情報誌「包」(パオ)の編集長としても活躍されました。「世界の民族音楽ディスク・ガイド」は、今治中央図書館に2008年頃に寄贈しました。
葬儀の帰りに奥さんから、星川さんはクラシックにも相当詳しかったと聞きました。クラシックには余りご興味ないかと思って話題にしたことはありませんが、是非色々話を伺いたかったです。13番の本命である第5楽章「カヴァティナ」は、その寂寥感溢れる無上の美しい旋律で知られています。深遠なベートーヴェン後期作品の中でも白眉と言えると思います。誰かを告別するような、とよく形容されますが、事実葬儀にかけて欲しいと希望する人も多く、数多くの人が、この楽章が奏されるなか、黄泉路へ旅だって行かれたそうです。

では同じくブダペスト弦楽四重奏団の演奏でどうぞ。

<Cavatina. Adagio molto espressivo 6分43秒>

13番は他の楽章も素晴らしいのですが、全曲をかけると30分を越えますので、先ほど話題に上げたベートーヴェンの弦楽四重奏曲15番の終楽章を、ハーゲン弦楽四重奏団でおかけします。ハーゲン一家中心のメンバーは私とほぼ同世代でしたが、最近解散が報じられて非常に寂しく思いました。15番の白眉は「リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」と題された15分を越える長大な第3楽章と、終楽章の第5楽章だと思いますが、終楽章についてはフランスの作家マルセル・プルーストが「私が音楽で知るうち最も美しいもの」と絶賛していたそうです。私はその意見を知って、しかもプルーストが言ったと言う事で、大変歓喜しました。ではハーゲン弦楽四重奏団の演奏でどうぞ。

<第15番 イ短調 作品132 第5楽章:Allegro Appassionato 6分45秒>

では最後に13番に戻りまして、この曲らしいとても儚い美しさを冒頭から漂わせている1楽章を時間まで聞きながら今回はお別れです。往年のブダペスト弦楽四重奏団が一番の愛好盤でしたが、解散を惜しんで今回はハーゲン弦楽四重奏団でおかけしておきます。来日公演を一度も見に行けなかったのが残念です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Beethoven: String Quartet #13 In B Flat, Op. 130 - 1. Adagio Ma Non Troppo, Allegro 13分24秒>

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2024年12月11日 (水)

ヤナーチェクの「クロイツェル・ソナタ」の生演奏

ヤナーチェクの「クロイツェル・ソナタ」を生演奏で上げておきたいと思いまして探しました。ハーゲン・カルテットであれば良かったのですが、ありませんでした。しかし、意外にも生演奏が沢山上がっていました。本場チェコのJanacek Quartetの演奏で上げておきます。もちろん番組でかけなかった2,3楽章も出て来ます。80年代には本場の演奏以外は余りなかったように思いますが、当時まだマイナーだったように思われたヤナーチェクやバルトークのような近代の作品は、その後すっかりクラシックの主要演目になったように思います。実は2本目の日本人女性のカルテットで最初に見たのですが、なるほどそういう風に「発話旋律」(スピーチ・メロディ)を思わせる主題が受け継がれているのかと生演奏を見て初めて知りまして、更には本場のものとは違う生々しい現場感覚があって面白く拝見しました。本場の演奏程は安心して見れない分、音楽の細部の表現が生々しく感じられるという意味ですが、どうでしょうか。
番組では取り上げませんが、ヤナーチェクにはもう一曲晩年に書いた弦楽四重奏曲第2番がありまして、妻子がありながら晩年に出会って心惹かれた人妻カミラ・ストスロヴァーとの往復書簡をテーマにした曲で、「ないしょの手紙」と副題を自身で付けています。作品を通じてヴィオラが活躍し、これはカミラ・ストスロヴァーの象徴だそうです。ハーゲン・カルテットの演奏を聞き直してみます。

Janacek Quartet - L. Janáček - String Quartet no. 1 "Kreutzer sonata"

Leoš Janáček — String Quartet No. 1 "Kreutzer Sonata"

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2024年12月 9日 (月)

クロイツェル・ソナタとイェヌーファ

ゼアミdeワールド440回目の放送、日曜夜10時にありました。11日20時半に再放送があります。宜しければ是非お聞き下さい。ハーゲン・カルテットのヤナーチェクが出た80年代は、まだメンバーが20代の頃でした。私と同世代なのもあって、当時からずっと応援していた弦楽四重奏団です。今思えば、このどろどろした難曲を若手の演奏家がよく取り上げたものだと思います。

チェコ東部モラヴィアの音楽の2回目になります。前回予告しました通り、ヤナーチェクの作品から「発話旋律」(スピーチ・メロディ)の特徴が表れている曲をジャンル別に追ってみます。発話旋律について、前回ウィキペディアから引用した部分を繰り返しておきます。

ヤナーチェクは民謡を研究する中で、モラヴィア、とりわけ東部の民謡が「話し言葉(の抑揚)」から生まれると考え、オペラ『イェヌーファ』作曲中の1897年以降、「人間の心の動きの表れである話し言葉の抑揚を、言葉の意味と関連させて楽譜に写し取った」旋律(「旋律曲線」または「発話旋律」)を収集し、作曲の際の参考とするようになった。

発話旋律は、9曲あるヤナーチェクのオペラに最も明瞭に表れていると思いますが、その前に弦楽四重奏曲を一曲聞いておきたいと思います。自然発生的な楽想が溢れる室内楽やピアノ曲にも、発話旋律のアイデアが生かされているように思えてなりません。

ロシアの文豪トルストイの小説『クロイツェル・ソナタ』は、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタの最高傑作と言われるクロイツェル・ソナタに触発されて書かれた作品ですが、ヤナーチェクはトルストイの小説に刺激を受けて、弦楽四重奏曲第1番『クロイツェル・ソナタ』を書いています。嫉妬心にかられ妻を殺してしまった夫の悲劇が描かれていて、4つの楽章は、主人公が妻の不倫を知って苦悩する場面から始まり、終楽章で妻の殺害に至っています。時間の都合で、1楽章と4楽章のみおかけします。演奏はハーゲン弦楽四重奏団です。

<String Quartet No. 1 - (Inspired by, L. N. Tolstoi's "Kreutzer Sonata"): I. Adagio 4分28秒>

<String Quartet No. 1 - (Inspired by, L. N. Tolstoi's "Kreutzer Sonata"): IV. Con moto 5分27秒>

オペラ『イェヌーファ』に移りますが、発話旋律の特徴が分かるように、長めにおかけします。このオペラの特徴と、あらすじについて、ウィキペディアとキングインターナショナルのページから引用しておきます。

この作品では歌詞には散文の会話調のものが使われているが、ヤナーチェクは「発話旋律」という技法を用いることで、自然な言葉の抑揚や人物の心理を的確に表現するのみならず、そこから派生した動機によって曲全体を構成するなど、独自の音楽世界を作り出すことに成功した。

村一番の美人イェヌーファは、従兄弟のシュテヴァの子を未婚のまま妊娠し秘密裏に出産します。一方、シュテヴァの異父兄ラツァはイェヌーファを愛しています。イェヌーファの継母コステルニチカは、シュテヴァにイェヌーファと結婚するよう懇願しますが拒否され、今度はラツァと結婚させるために、赤ん坊を凍る川の中に沈めてしまいます。コステルニチカはイェヌーファには病死したと嘘をつきますが、イェヌーファとラツァの結婚式の日、赤ん坊の死体が見つかります。すべての真実が明かされ、イェヌーファとラツァは苦難を乗り越え、互いを愛し共に生きていくことを誓います。

第1幕
イェヌーファは徴兵検査で町に出かけたシュテヴァの帰りを待っている。イェヌーファは密かにシュテヴァの子を妊娠しており、彼が徴兵されると未婚の母となりかねないので、不安で仕事にも身が入らないでいる。一方、シュテヴァの兄であるラツァは、連れ子としてブリヤ家で冷遇され続けてきた上、好きだったイェヌーファをシュテヴァに取られたことに不満をつのらせている。牧童のヤノがやって来て、イェヌーファのおかげで字が読めるようになったことを喜ぶ。製粉所の親方が町から戻ってきて、シュテヴァが徴兵免除になったことを告げ、それを聞いたラツァは憤慨し、イェヌーファは喜ぶ。

前奏曲の後、番組でかけられるのは、この辺りまででしょうか。演奏は、チャールズ・マッケラス指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、イェヌーファがエリザベス・ゼーダーシュトレーム他です。

ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Jenufa: Prelude 1分50秒>
<Jenufa: Uz Se Vecer Chyli 9分59秒>
<Jenufa: Co to Robis, Mládku? 4分52秒>

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