今日の1本目では、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲3番を清冽な音色で聞かせるところまでは、正統派クラシックの妙技を聞かせていますが、その後のフリーリズムのカデンツァの部分が大きく引き伸ばされ、まずアイリッシュあるいはカントリーが登場し、その後でこの映像の2003年頃に世界中で人気のあったジプシー・ヴァイオリンの名手ロビー・ラカトシュが登場。最初はジプシー音楽のセッションですが、最後はジプシーのルーツと言われるインドの古典音楽に移って行きます。おそらく北インド古典音楽スタイルの演奏です。そして、モーツァルトの演奏に戻って終了(笑) ヒンドゥスターニ音楽まで出ることには驚きました。
今回バッハ演奏にまでは触れられなくて残念ですが、最後にNO PIANO ON THAT ONEから、LFAT (Lookin' for a Title)の2つのヴァージョンは入れておきます。この辺の音を聞くと、全盛期のタラフ・ドゥ・ハイドゥークスを思い出してしまいます。2001年リリースですから、ルーマニアのタラフ・ドゥ・ハイドゥークスを思い出させるということは、ヨーロッパでタラフの活動が盛んだった時期と一致していて、ジル・アパップも影響を受けていたのではと思いました。
モンティのチャールダーシュは、Gilles Apap & the Transylvanian Mountain Boysの頃の映像がありましたので、ライブ映像で上げておきます。このグループの頃ですから、96年くらいでしょうか。当時はモンティのチャールダーシュも、今ほどは弾く人がいなかったかも知れません。私が持っている古い楽譜は84年頃のものですが、その頃はまだ葉加瀬さんも弾いてなかったように思います。しかし、ジル・アパップほど、速い部分のスピッカートの弓がきれいに飛んでいる人は、あまり見かけません。それとハンガリーの時などで何度も指摘していますが、モンティ作曲のこの曲がチャールダーシュ(この曲の固有名詞として)だと思っている人が何と多い事でしょうか。2本目は昨日コメントしていたディニクのホラ・スタッカートですが、やはりワンボウスタッカートで弾いていました。この技術がいかに高度かは、ヴァイオリンを弾かない人には想像がつきにくいと思います。これもTransylvanian Mountain Boysの頃の映像でした。(以下放送原稿を再度)
The Transylvanian Mountain Boys」は、ジル・アパップが結成したもう1つの大成功を収めたクロスオーバーバンドですが、1996年に出たGilles Apap & the Transylvanian Mountain Boysから、大変に有名なモンティ作曲のチャールダーシュをおかけしておきます。この盤は「黒い瞳」などが入っているように全体にロシアン・ジプシー色が強いように思いますが、先ほどの2001年リリースのNO PIANO ON THAT ONEがルーマニアのタラフ・ドゥ・ハイドゥークスを思い出させるということは、ヨーロッパでタラフの活動が盛んになった時期と一致していて、ジル・アパップも影響を受けていたのではと思いました。
ヴァイオリンで「死ぬまでに弾きたい曲」として2回続けましたが、前々回に取り上げたスケルツォ・タランテラで名手ヤッシャ・ハイフェッツと並べて予定していたジル・アパップの音源が途中までになってしまっていましたので、まずこちらからおかけします。彼はクラシックに留まらず東欧やアイルランド等の民族音楽の領域にも越境している現代のヴァイオリンの鬼才です。ユーディ・メニューインが「21世紀の真のバイオリニスト。私にとって、あなたは21世紀の音楽家の典型です。あなたは音楽が進化するべき方向を体現しています。」と評していて、この大ヴァイオリニストの晩年に親交があったそうです。
スケルツォ・タランテラが入っていたのは2001年のNO PIANO ON THAT ONEと言う盤です。グループ名のThe Colors of Inventionの編成は、ヴァイオリン、アコーディオン、コントラバス、ツィンバロムです。最初に言っておきますが、私はいずれもCDでは持ってなくて、ストリーミングからかけていますので、解説は参照できておりません。Sarasate, Faure, Gluck, Wieniawski, Kreislerのクラシック曲に交じって、東欧のジプシー音楽にも深く踏み込んでいるユニークなアルバムです。
<Gilles Apap & The Colors of Invention / No Piano On That One ~Scherzo-Tarantelle 4分52秒>
同じくNO PIANO ON THAT ONEから、前にルーマニアの時にハイフェッツの演奏などで取り上げた、ディニクのホラ・スタッカートをおかけしますが、その後の2曲LFAT (Lookin' for a Title)の2つのヴァージョンも大変面白い曲です。この辺の音を聞くと、全盛期のタラフ・ドゥ・ハイドゥークスを思い出してしまいます。
<Gilles Apap & The Colors of Invention / No Piano On That One ~Hora Staccato 2分25秒>
<Gilles Apap & The Colors of Invention / No Piano On That One ~LFAT (Lookin' for a Title) 2分26秒>
<Gilles Apap & The Colors of Invention / No Piano On That One ~LFAT (string Orchestra Version) 1分35秒>
The Transylvanian Mountain Boys」は、ジル・アパップが結成したもう1つの大成功を収めたクロスオーバーバンドですが、1996年に出たGilles Apap & the Transylvanian Mountain Boysから、大変に有名なモンティ作曲のチャールダーシュをおかけしておきます。この盤は「黒い瞳」などが入っているように全体にロシアン・ジプシー色が強いように思いますが、先ほどの2001年リリースのNO PIANO ON THAT ONEがルーマニアのタラフ・ドゥ・ハイドゥークスを思い出させるということは、ヨーロッパでタラフの活動が盛んになった時期と一致していて、ジル・アパップも影響を受けていたのではと思いました。
<Gilles Apap & the Transylvanian Mountain Boys ~Csárdás 4分55秒>
2007年リリースのFRIENDSと言う盤では、Old-time, Cajun and bluegrass folk musicをやっているとオフィシャルサイトにコメントがありましたが、私が引っ掛かったのは、アメリカのケイジャンやブルーグラスではなく、やはりノスタルジックな東欧の雰囲気のVals Emilianoと言う曲でした。
<Gilles Apap / FRIENDS ~Vals Emiliano 3分5秒>
2006年リリースのMUSIC FOR SOLO VIOLINでは、Bach and Ysaye sonatas, seasoned with traditional Irish and American tunes.とサイトにコメントがあります通り、バッハとイザイの無伴奏ヴァイオリン曲と、アイルランドとアメリカの民族音楽が交互に出て来るユニークな構成です。何と「私のお休みミュージック」になっているとして数回前にかけたバッハの無伴奏ヴァイオリンのソナタ1番のプレストと、パルティータ1番のサラバンドとドゥーブルも出て来ます。プレストとサラバンドを時間まで聞きながら今回はお別れです。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<Gilles Apap / MUSIC FOR SOLO VIOLIN Presto from Sonata No. 1 In G Minor, BWV 1001 2分48秒>
<Gilles Apap / MUSIC FOR SOLO VIOLIN Sarabande from Partita No. 1 In B Minor, BWV 1002 4分18秒>
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