オペラ

2016年3月31日 (木)

Di Provenza il mar, il suol

プロヴァンスと聞くと、まず思い出すのは、実はこの曲だったりします。ヴェルディの歌劇「椿姫」の中で、ヴィオレッタに裏切られたと思い込んだアルフレードを、彼の父ジェルモンが「故郷のプロヴァンスに帰ろう」となだめるアリア「プロヴァンスの海と陸」(Di Provenza il mar, il suol)です。バリトンの深々とした美声は、プロヴァンスの美しい風光をよく表しているように思います。(行ったことはないのですが(^^;(笑))
高校時分に最初に聞いたのが、マリア・カラスのヴィオレッタ、ジュゼッペ・ディ・ステファノのアルフレード、エットーレ・バスティアニーニのジェルモンで、指揮は若き日のカルロ・マリア・ジュリーニ、ミラノ・スカラ座管弦楽団の1955年のライブ録音でした。モノラル録音ですが、今でもこれ以上のトラヴィアータ(椿姫)は聞いたことがありません。youtubeは、正にこの録音の中のバスティアニーニの名唱。

Traviata - Di Provenza il mar, il suol - Ettore Bastianini

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2011年12月30日 (金)

トリスタンとイゾルデ

本日30日の午後9時から、NHKFMでワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」をやっています。この曲を初めて聞いたのは、もう30年以上前でカール・ベーム指揮バイロイト祝祭管弦楽団の演奏でした。ビルギット・ニルソンのイゾルデ、ヴォルフガンク・ヴィントガッセンのトリスタンがとにかく絶品で、あれ以来何種類も聞きましたが、やはり一番のような気がします。マーラー9番の終楽章や初期のシェーンベルク作品など、この楽劇の影響は枚挙に暇がなく、西洋音楽の最高傑作の一つでは、との呼び声も高いようです。愛(エロス)と死(タナトス)をテーマにした曲ですが、シュールな引用では、ルイス・ブニュエルの映画「アンダルシアの犬」に使われていました。(新宿のモッコス・フィルム・アーカイヴで見た版ではそうでしたが、違うBGMの場合が多いようです)
第1幕を聴きながら作業中でしたが、今日の演奏(ペーター・シュナイダー指揮バイロイト祝祭管弦楽団)はとても素晴らしく、録音もしているので、今日のブログ向けのハンガリーのyoutubeをチェックすることが出来なくなりました(^^;(笑)
10時半現在、第2幕が始まっていて、この後名高い「愛の二重唱」が出てきます。全曲最後の「イゾルデの愛の死」は、正にこの曲の白眉。9月に開局したNHKネットラジオの「らじる☆らじる」で聞けますので、ご興味のある方はこの後どうぞ。1時40分まであります。


らじる☆らじる

http://www3.nhk.or.jp/netradio/



という事で、当ブログは31日から3日までお休みします。コメントへのレスが3件ありますので、時間が出来ましたら、また書き込みます。亀レスで済みませんm(_ _)m ハンガリーの続きは、4日以降に。松の内は邦楽で行くかも知れませんが(笑)
それでは、皆様良いお年を!

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2010年7月 8日 (木)

イゾルデの愛の死 (イタ語、独語)

5日にちょっと書きましたが、例のワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」のラストを飾るアリア「イゾルデの愛の死」のイタリア語版が見つかりましたので、元のドイツ語版と併せて上げてみました。マリア・カラスの歌唱を支える指揮者はCDも出ているヴィットリオ・グイかと思いましたが、1957年のアテネ・ライヴで指揮はアントニオ・ヴォットーのようです。このワーグナーの濃密な音楽世界をイタリア語でドラマティックに表現できるのは、カラス以外にいないように思います。しかし、やはり地中海的に聞こえてはきますが。
この曲、クラシックに余り馴染みのない方でも、シュルレアリスム方面に関心のある方は、ルイス・ブニュエル監督の映画「アンダルシアの犬」に使われていたことはご存知かも知れません。今なおこの「トリスタンとイゾルデ」が、西洋クラシックの一つの最高峰であることは周知の通りでしょう。2本目のドイツ語の方を歌っているのは、ワーグナー歌手として名高いビルギット・ニルソン。それぞれに歌詞を付けておきました。

Maria Callas: Dolce e Calmo *LIVE* (Liebestod)



Dolce e calmo, sorridente,

Ei dischiude gli occhi belli.

Nol vedete?

Come chiara Fiamma ei brilla:

Viva stella in alto ciel!

Nol vedete?

Come fiero balza il core?

Sgorga in lui qual magico fonte!

Sul suo labro calmo appar

La dolcezza del sorriso.

Dite! Ah! Non lo vede alcun?

Odo io sola questo canto?

Voce arcana, voce pia.

Calma, pura come il pianto,

Dolce incanto, inno santo,

Che penètra l'esser mio,

Risuonando a me d'intorno?

Cresce appressa, già m'invade.

Sei tu l'onda de le brezze?

Sei tu nube fatta d'incensi?

Che m'inonda, che mi avvolge.

Ch'io ti aspiri! Che in te spiri!

In te immersa e sommersa

Sento l'esser mio svanire!

Ne l'immenso ondeggiar,

Nel crescente clangor (fragor?).

Nel fulgor d'una luce immortal

Attratta, rapita, me smarrir!

Sommo ben!

Birgit Nilsson - Liebestod



Mild und leise, wie er lächelt

Wie das Auge hold er öffnet,

seht ihr, Freunde?

Seht ihr's nicht?

Immerlichter, wie er leuchtet

Sternumstrahlet hoch sich hebt?

Seht ihr's nicht?

Wie das Herz ihm mutig schwillt

Voll und hehr im Busen ihm quillt?

Wie den Lippen, wonnig mild,

Süsser Atem sanft entweht

Freunde! Seht!

Fühlt und seht ihr's nicht?

Höre ich nur diese Weise?

Die so wundervoll und leise,

Wonne klagend, Alles sagend,

Mild versöhnend

Aus ihm tönend, in mich dringet,

Auf sich schwinget

Hold erhallend um mich klinget

Heller schallend, mich umwallend,

Sind es Wellen sanfter Lüfte?

Sind es Wolken wonniger Düfte?

Wie sie schwellen, mich umrauschen,

Soll ich atmen, soll ich lauschen?

Soll ich schlüfgen, untertauchen?

Süß in Düften mich verhauchen?

In dem wogenden Schwall

In dem tönenden Schall

In des Weltatems, wehenden All

Ertrinken, versinken, unbewusst

Höchste Lust!

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2010年7月 7日 (水)

Callas Assoluta

不世出の大歌手マリア・カラスがギリシア語で話しているインタビューは見つけましたが、さすがに歌まではないでしょうか。もう少し探してみますが。
彼女の生涯と芸術がコンパクトにまとめられて、日本語字幕も付いた映像がありましたので、こちらを併せてあげておきます。そう言えば、何度かナツメロ枠で取り上げた奈良光枝さんとマリア・カラスは、生没年(1923-1977)が全く一緒なんですね。驚きました。

Callas Assoluta trailer (2007)



最初の部分は、没後30周年の時に製作され、ユーロスペースで上映された「マリア・カラスの真実」のプロモ映像のようです。インタビューや舞台映像が続いて出てきます。

Callas in Greece speaks greek. Interview August, 4, 1957

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2010年7月 6日 (火)

乾杯の歌~サムソンとデリラ

カラスのギリシアの歌を探していましたが、今日はちょっと時間がなくなったので、取りあえず椿姫の乾杯の歌と「サムソンとデリラ」を上げておきます。乾杯の歌は、おそらく全オペラ中で最も有名なシーンでしょう。ヴィオレッタの相手役アルフレードは、ジュゼッペ・ディ・ステファーノではないと思うので、例の55年のヴィスコンティ演出のスカラ座の録音ではないですが。

Maria Callas-Libiamo ne' lieti calici

Maria Callas - SAMSON (Greek Subtitles)



サン・サーンスのオペラ「サムソンとデリラ」の名高いバッカナーレの部分から始まります。ここはオリエンタルな音楽が横溢していて、ベリーダンス・ファンの方などには受けがいいはず。実際そういう舞台も見たことがあります。ギリシア語字幕が入っていますが、歌詞はフランス語です。

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2010年7月 5日 (月)

マリア・カラス

ハリス・アレクシーウ、サヴィナ・ヤナトゥ他、ギリシアの歌姫を色々見てきましたが、もう一人絶対に忘れてはいけない人がいます。ジャンルはクラシックになりますが、マリア・カラスです。この人がイタリア・オペラにおいて20世紀屈指の(私は一番だと思いますが)大歌手であることは論を待ちません。異論を唱える人も少ないはず。サバタ指揮1953年録音のプッチーニ「トスカ」のスカルピアとの凄絶な二重唱を聞いた時など、鳥肌が出て収まりませんでした。
今から30年ほど前に最初に聞いたのは、ジュリーニ指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団の「椿姫」で、録音の悪さを越えてくるカラスの名唱や、「乾杯の歌」「プロヴァンスの海と陸」などにも酔いしれました。演出は「ヴェニスに死す」などの映画監督として有名なルキノ・ヴィスコンティ。このトラヴィアータやプレートル指揮のカルメンなど、決定版は数多くて数えられませんが、ベッリーニやドニゼッティの名作も最高です。
若い頃はドイツ・オペラも得意にしていて、ワーグナーのトリスタンとイゾルデの「愛の死」などの録音も残っています。冒頭「ミルト・ウント・ライゼー~」と歌い出す所を「ドルチェ・エ・カルモ~」とイタリア語で歌っているのには思わず笑ってしまいましたが、これはこれで素晴らしい歌唱です。カラスの「トリスタンとイゾルデ」の全曲が出れば即ゲットと思いながら、いまだ見たことはありません。
しかし、なぜにこれほどギリシアという所は、各ジャンルに傑出した素晴らしい歌手(特に女性)が出てくるのでしょうか。90年代初頭の一時期取付かれた様に寝ても覚めてもカラスの歌ばかり聴いたことがありましたが、あの時は映画「ディーヴァ」の主人公の気持ちがよく分かりました(笑) 明日はカラスが母国のギリシア語で歌ったものはないか、探してみようかと思います。

Casta Diva -- Maria Callas (Best)



カラスが十八番にしていたベッリーニのオペラ「ノルマ」中で最も有名なアリア「カスタ・ディーヴァ」。

Maria Callas - La Traviata



コロラトゥーラの技法を盛り込んだ「椿姫(トラヴィアータ)」中で最も有名なアリア「ああそはかの人か~花から花へ」。

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2009年8月21日 (金)

ワルキューレの騎行

今日は五嶋龍ヴァイオリン・リサイタルに行っておりまして、すっかり遅くなりました。ベートーヴェンのソナタ「春」、J.S.バッハの無伴奏ソナタ№2、パガニーニアーナ、サン・サーンスのソナタ1番というプログラムで、アンコールに難曲中の難曲として知られるパガニーニの「イギリス国歌(ゴッド・セイヴ・ザ・キング)による変奏曲」と、サン・サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」でした。何と全て暗譜で、2曲のパガニーニでは会場からどよめきが。左手のピツィカートだけでも音楽になっていて、会場一同度肝を抜かれたようです。若さに似合わない程のJ.S.バッハの深い表現も素晴らしく、これからが非常に楽しみな若手名手だということを、しっかりと確認してきました。

Ryu Goto : Ravel Tzigane

ラヴェルのツィガーヌ。ジネット・ヌヴーなど、往年の名手が得意にしていた曲。

Paganini-Variations "God save the King"
youtubeには五嶋さんのゴッド・セイヴ・ザ・キングの演奏はないので、Frank Peter Zimmermannの演奏ですが、こんな曲です。

さて、昨日に続いて、故ヒルデガルト・ベーレンスさんの一本も上げておきます。彼女のもう一つの当たり役、ワーグナーの「ニーベルングの指輪」の2作目、楽劇「ワルキューレ」の中の余りに名高い「ワルキューレの騎行」から、ブリュンヒルデの「ホヨトーホ」。 

明日からはグナワに戻ります。

Hildegard Behrens sings Brünnhilde "Hojotoho! Hojotoho!"

Live performance, 21 March 1987, Nationaltheater, Munich, Bayerisches Staatsorchester, Wolfgang Sawallisch (conductor)

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2009年8月20日 (木)

追悼 ヒルデガルト・ベーレンス

4月以来のマグレブ~北アフリカ・シリーズの途中ですが、衝撃的なニュースが飛び込んで来ましたので、今日はその関連のビデオをアップしておきます。いきなりクラシックになりますが、済みません。m(_ _)m   以下asahi.comより引用

ソプラノ歌手のヒルデガルト・ベーレンスさん死去
2009年8月19日14時52分
 ヒルデガルト・ベーレンスさん(独のソプラノ歌手)が18日、動脈瘤(りゅう)破裂のため東京都内の病院で死去、72歳。
 カラヤンやカール・ベームらの名匠に認められ、主にワーグナーやリヒャルト・シュトラウスといったドイツオペラ作品で活躍。バイロイト音楽祭などで歴史的名唱を聞かせた。草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル(群馬県草津町)に参加するため数日前に来日したが、直後に体調を崩し、都内の病院に入院していた。 (引用終わり)

オペラのソプラノ歌手では、個人的にはマリア・カラスに次ぐほどファンでした。カラヤンとの「サロメ」(LPの頃)、バーンスタインとの「トリスタンとイゾルデ」、アバドとの「ヴォツェック」は、かなり愛聴しました。日本滞在中に亡くなるとは、余りに衝撃的です。 ご冥福をお祈りします。

Hildegard Behrens Liebestod Wagner Leonard Bernstein

バーンスタイン指揮で、ワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」の最後を飾る「イゾルデの愛の死」の独唱。イゾルデと言えば、ワーグナー歌手のビルギット・ニルソンも素晴らしいですが、ベーレンスの歌唱はまた一味違う魅力がありました。

Hildegard Behrens - "Orest!" - Elektra Met 1994

リヒャルト・シュトラウスの「エレクトラ」から。同作曲家の「サロメ」が彼女の出世作でしたが、この舞台も素晴らしいです。

Salome Finale - Hildegard Behrens

カラヤン指揮の「サロメ」からフィナーレ。

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