東アフリカ

2020年7月23日 (木)

ハッカリとアッシリア、エチオピア、ケニア

日本の民謡と聞き紛うようなハッカリの歌の背景には、アッシリア人の影響があるのではとのご指摘がありました。私もそうかなと思っていましたが、ネストリウス派キリスト教(景教)の後継に当たるアッシリア東方教会の典礼などを見る限り、大体はシリア正教会に近い中東音楽の範疇に入る音のように思いました。アッシリア人の民間の歌に「東洋的な音」がないか、もう少し探ってみます。動画はモスクワのアッシリア東方教会の典礼です。

Assyrian Church of the East Moskow


2本目は、カランのハッカリ2枚組の2枚目冒頭の曲です。この独唱は、木遣りではなく追分か馬子唄に似た印象もありますが、それよりもエチオピアのバガナやクラールのような、所謂「ダヴィデの竪琴」系の弾き語りに似て聞こえました。同じ「ダヴィデの竪琴」系でも、さすがに東アフリカ(ケニアやタンザニア)のリトゥングまで行くと、音楽はかなりダンサブルになります。ハッカリのSerso - Raveのような、非常に細かいメリスマ(というよりモデュレーション?)の歌声を聞いた記憶がありますが、動画は見つからずです。

Serso - Rave (Sarhoş) [ Eyhok No. 2 © 2004 Kalan Müzik ]


Alemu Aga from Ethiopia playing the Begenna - David Harp: Aba Geragn Mote


How to play Litungu.avi

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2016年12月27日 (火)

エチオピア正教会の音楽

おそらく昨日アップした中で一番の驚きの音源は、エチオピア教会ではと思います。5音音階のメロディは、日本の民謡や御詠歌、場合によっては木遣りにすら似て聞こえます。youtubeの多さにも驚きました。その中に、何と3時間にも及ぶ宗教儀礼の映像がありました。もちろんゴスペルに似て聞こえたり、サハラの遊牧民トゥアレグの歌にも似ていたり、ダビデの竪琴の系譜に連なるハープがあったり、それは東アフリカはタンザニア辺りの確かリトゥングなどの竪琴にも似ていたり、色々な類似性が見えてくる音楽でもあります。女声の甲高いユーユーの声も随所に入ります。

YANTEN LANTE ETHIOPIAN ORTHODOX MAZMUR FROM LONDON

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2014年10月22日 (水)

タアラブのガンブース

ガンブースと言えば、東アフリカはザンジバルの混血音楽タアラブにも使われていたようです。ウードにそっくりですが、ガンブースだったのでしょうか。マダガスカルを中心に東アフリカにはマレー系住民が多いので、インド洋を西に向かったマレー人が交易路伝いに故地のマレーシアやインドネシアに中東の楽器や音楽を伝えた、ということになるのでしょうか? マレー系の場合、陸伝いではなくインド洋の交易路から伝わったと見るのが自然なように思います。
3本ともインドネシアの楽士がタアラブ風音楽を演奏している、ということなのでしょうか、国籍不明で頭が混乱してきます(笑)

O.G Latansa, Gambus Zafin Indonesia, Yemeni, Abdullah Bin Ta'lab. Kota Tarakan

Gambus Jalsah Mayami Jember (ma habbit ghairak) voc abdullah ta'lab.

alkawakib Ali ( farrijil ham ).avi

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2014年1月31日 (金)

アンタナナリヴォのヴァリハ流し

ミャンマーのサウンに似て聞こえるヴァリハの演奏を探してみました。短いですがこれなどはイメージに近い曲調です。マダガスカルの首都アンタナナリヴォの街中をヴァリハを持って流しているのでしょうか? 20年以上前の映像のようです。最近の演奏は他国の音楽の影響が強く感じられ、ヴァリハ本来の素朴な独奏が意外にyoutubeに上がってないようです。
カタログの編集はようやく終盤にさしかかりました。年明け後引き込んだ風邪で遅れておりました。今しばらくお待ち下さい。m(_ _)m

 

Joueur de valiha au marché du zoma (Antananarivo 1989)

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2014年1月27日 (月)

パッワインとマダガスカルのヴァリハ

ミャンマーのサイン・ワインの花形楽器パッワインのある種の演奏に、とてもマダガスカルのヴァリハ(竹筒琴)に近く聞こえる曲調があったので、先日引き合いに出しました。パッワインではインドネシア調の曲も多く聞こえますが、ジャワの音楽にスレンドロ、ペロッグ、ソロッグの音階があるように、ミャンマーにも色々音階があるのでしょうか?
一方マダガスカルの方も、ジュスタン・ヴァリのように見るからにマレー系だろうと思われる奏者と、黒人系の奏者では音楽の感じが違うように思いました。ヴァリハで他国の音楽(フォルクローレ等)を弾いている映像も多いので、注意深く聞き分ける必要がありますが。マダガスカルのマレー系住民の祖先は、ボルネオ島から移住したマレー系の言語を話す人々と言われますから、ミャンマーとさほど離れてないことになります。あるいは、そう言う血縁の近さだけでなく、インド洋交易からも旋律の共通性が生まれたのかも知れません。
1本目が名手ジュスタン・ヴァリの演奏。パッワインは、2本目がマダガスカルのヴァリハに似て聞こえた方、3本目がジャワ音楽に似て聞こえた演奏です。

Justin VALI avec Ny Malagasy Orkestra

burmese circle drums virtuoso (pat Waing)

Pat Waing - U Tun Tun Oo

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2013年11月19日 (火)

Samai Bayati-Ibrahim Al Aryan

そろそろインドに戻ろうとは思いますが、その前に7日の二本目で見たタアラブでのアラブの曲も引っかかっていましたので調べていたら、日本におけるアラブ音楽グループの草分けであるル・クラブ・バシュラフの「チュニジアとエジプトの古典音楽」の7曲目に入っていました。Ibrahim el Aryan(イブラヒム・アル・アリアン)のSamai Bayati という曲で、色々な所でよく聞くエジプトの名曲です。イスラエルとバレスティナの混成ユニット、ブスタン・アブラハムもやっていたかも知れないと思いましたが、手元に現物がありませんでした。
一本目に楽譜付き、二本目にウード・ソロ、三本目に7日の二本目と同じタアラブ楽団の演奏を入れてあります。

Samai Bayati-Ibrahim Al Aryan.wmv

Samai Bayati - Ibrahim Al Aryan

Taarab Music in Zanzibar

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2013年11月18日 (月)

タアラブのスンバティ名曲

金曜は居眠りで日付を越えてアップできずでした(笑)m(_ _)m
今日の一本目でも、エジプトのアラブ音楽の名曲が聞こえます。1分半くらいから出てくる、速いカーヌーンのソロからのロンガ・ナハーヴァンドですが、この曲はリアド・アル・スンバティの作曲の中でも特に有名だと思います。彼が大歌手ウム・カルスームの曲も書いたことや、自身素晴らしいことこの上ないウード弾き語りを聞かせたことは、大分前に当ブログで取り上げたことがあります。
タアラブは、19世紀のザンジバル王国の頃にエジプトのカイロから音楽家を招聘し、独自の楽団を育成したことから生まれています。アラブ音楽の導入から生まれたタアラブはザンジバル王国の宮廷音楽となりました。当初はアラブ系の男性が主導する宮廷音楽だったそうですが、その後大衆化して東アフリカ沿岸のスワヒリ文化圏の人々に広く親しまれるようになったとのこと。先日のビ・キドゥデは、アフリカの音楽と深く結びついて大衆化してきた後の名歌手になるようです。
一瞬ですが、器楽でスンバティの曲が出てきたりするのも、その名残りと言えるでしょうか。器楽奏者の腕の見せ所として、演奏されているのだろうと思います。マカーム名は、アラブではナハーヴァンドですが、トルコではファラファザとなっているようです。パレスティナのウード名人シモン・シェヘーンと彼の楽団の名演を2本目に、ウードとリクのデュオも3本目に入れておきましょう。

Taarab-Concert DCMA, Zanzibar, January 2010

Simon Shaheen - Longa Farahfaza (Turath)

Riad Al Sunbati - Longa Riad (Ahmed Zaki)

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2013年11月14日 (木)

バラの香り

最前列のカーヌーンをフィーチャーしたインスト部分ですが、こちらも大変に美しい曲です。ザンジバルのタアラブが、アラブのどこの音楽に似ているか連想しながら聞いているのも楽しいものです。メロディはエジプト風に聞こえ、リズムはベリーダンスの音楽にそのままなりそうですが、太鼓で言えば、ボンゴのような組太鼓が聞こえてきて、これなどはインドのカッワーリ(ニザーミ・ブラザースがよく使っていたので)やイラクの伝統音楽を思わせるものがあります。これはもう完全にアラブ音楽で、アフリカ的な要素は聞こえないように思います。

Culture Musical Club - Waridi - Taarab

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2013年11月13日 (水)

Bi Kidude - Pakistani

インド沿岸部の黒人文化との繋がりを探りたいと思って東アフリカに寄っているので、長居する予定ではないのですが、タアラブの味わい深い歌と伴奏にしばし浸っております。確か音源で最初に聞いたのはドイツNetwork Medienの「ザンジバルのスパイス~Mila na Utamaduni」だったと思いますが、その頃思っていたよりレパートリーが多様で、深い詩内容であることに驚いています。

Bi Kidude - Pakistani

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2013年11月12日 (火)

ターラブの女王 Bi Kidude

今日のタイトルは「ターラブ」としています。「タアラブ」よりこちらのカタカナ表記が一般に多いかも知れないので、両方載せておきますが、原語の音はタアラブの方が近いのではと思います。タアラブの女王とは、来日もしたビ・キドゥデのことで、残念ながら聞き逃してしまったライブの一つです。その公演は第23回<東京の夏>音楽祭2007で、伴奏したのが昨日のculture musical club zanzibarでした。
ヴァイオリンの淡々とした弾き始め、豊かな節回しや音色からして既にしびれますが、ビ・キドゥデの歌が出てからは、もうこれは何も言えないですね。凄いと言う他ない歌い手です。しかも、来日の年で御歳97歳!(2013年4月17日に亡くなりました)
因みにタアラブのアラブ音楽は19世紀にオマーンから入ったそうです。オマーンという、アラブ音楽ではマージナルな国にルーツがあるという点も、非常に気になるポイントです。一方、木曜の一本目に上げた曲は、すぐに思い出しませんが、確かエジプトのアブデルワハブの作曲だったように思います。こういうアラブ音楽のメインストリームの曲もタアラブ楽団は取り上げるんだと、かなり驚きました。

Bi Kidude & Culture Musical Club - Kijiti (Live Taarab)

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