エジプトの音楽 ハミス・エル・フィノ、アイシャ・レドゥアヌ他
ゼアミdeワールド37回目の放送、日曜夕方に終りました。21日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。
ウム・カルスームに続いてエジプトの音楽と言うことになりますと、彼女に曲を数多く提供したモハメド・アブデルワハブやリアド・アル・スンバティのウード弾き語りなどを紹介したいところですが、現在データのみで手元に現物がないので、往年のウード奏者ですが、ハミス・エル・フィノと言う人の録音からかけてみます。1964年の古い録音ですが、最近アメリカのSmithsonian FolkwaysからカスタムCDRで復活しています。(イラク出身でエジプトで活動しているナスィール・シャンマも来日歴もあり、取り上げたいアーティストですが、やはりデータのみですので、またの機会にします)
1976年に日本コロムビアからLP発売されていたこのKhamis El Finoの盤は、私が最初に聞いたエジプトの本格的なアラブ古典のウード独奏だったので、個人的には強烈な印象があります。ウードだけでなくダラブッカも現代では聞かないようなシンプルなリズムパターンで演奏していて、オリエンタル風味満点のライブ録音になっています。ジャケットもとてもオリエンタルで、私はこのトルコ帽を被って髭を生やし装飾の美しいウードを構えているジャケットを見ると、何故か南利明の往年のCMの名古屋弁「ハヤシもあるでョ~」を思い出します(笑) 当時は10代で、あのCMを見て差ほど経ってなかったからでしょう。
<Khamis El Fino / Music For The Classical Oud ~Selection No. 1 3分55秒>
Khamis El Fino Ali - Selection No. 1
続いてKhamis El Fino Aliがウード弾き語りで8つの愛の歌を演奏したという1974年のアルバムArabic Songs and Dancesから、Halewa Yabuya (She's Beautiful!)という曲をどうぞ。ウードだけでなく、素晴らしい歌声も披露しています。所々出てくる女性の甲高い叫び声は、ユーユーと言います。
<Khamis El Fino / Halewa Yabuya (She's Beautiful!) 3:52>
youtube無しのようです。
次に、ベルベル系モロッコ人の女性歌手アイシャ・レドゥアヌの歌唱を聞いてみましょう。93年のオコラ盤以来エジプトの古典音楽を中心にパリで活躍していて、この盤では19世紀のエジプトの古典音楽を歌っています。伴奏のアル・アドワール楽団はエジプト出身のカーヌーン奏者とカマン(ヴァイオリン)奏者、モロッコ出身のウード奏者とタンバリンに似た小型枠太鼓のリク奏者が雅やかな演奏で支えています。マカーム・ナハーヴァンドのワスラの導入部は、同じマカームのトルコのウシュクダラに少し似ています。その後のタクシームと、歌の出てくる部分まで抜粋してかけます。
<Aicha Redouane / Wala en Maqam Nahawand>
Maqams d'amour, Aicha Redouane, 15e FMA, Promo
別のプロモ映像ですが。
この後かけますウードとヴァイオリンの名手シモン・シャヘーンはパレスティナ人の演奏家で、シモンという名前から推測するに多分キリスト教徒だと思います。彼の演奏で、先ほど名前が出てきたモハメド・アブデルワハブのAl Hinnaという曲と、リアド・アル・スンバティのLonga Farahfazaを続けてかけてみましょう。
アブデルワハブの曲は、ベリーダンスでよく使われているように思います。シモン・シャヘーンがアブデルワハブの曲を取り上げた90年のインストアルバムからの一曲です。後半、ウードが即興で素晴らしいからみを聞かせます。
リアド・アル・スンバティは、ウード弾き語りでは渋い内省的な演奏を聞かせる人ですが、このLonga Farahfazaでは、打って変わって目が覚めるような華やかな器楽曲になっていて、コンサートの最初か最後に演奏されることが多いようです。
<Simon Shaheen / The Music of Mohamed Abdel Wahab ~Al Hinna 5分20秒>
Simon Shaheen- Bortuqal
この曲はないようなので、同アルバムの別な曲ですが。
<Simon Shaheen / The Masterworks of the Middle Easr: Turath ~Longa Farahfaza 3分16秒>
Simon Shaheen - Longa Farahfaza (Turath)
では、最後に同じくシモン・シャヘーンの中東名曲集から、オスマン・トルコ末期の音楽家メスード・ジェミルのサマーイ・ナハーヴァンドを聞きながら今回はお別れです。オスマン音楽だけでなく、アラブ音楽でもよく知られる名曲です。ロンガとかサマーイというのはアラブ音楽の形式名で、サマーイでは必ず10拍子(3+2+2+3)で書かれているのが特徴的です。ファラファザやナハーヴァンドはマカーム名で、どちらも短調の美しい旋律で日本人にも受けが良いように思います。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週
<Simon Shaheen / The Masterworks of the Middle Easr: Turath ~Sama'i Nahawand 8分12秒から抜粋>
Simon Shaheen - Sama'i Nahawand (Turath)
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