エジプト

2016年12月19日 (月)

エジプトの音楽 ハミス・エル・フィノ、アイシャ・レドゥアヌ他

ゼアミdeワールド37回目の放送、日曜夕方に終りました。21日20時半に再放送があります。よろしければ是非お聞き下さい。<>内がかけた音源です。

ウム・カルスームに続いてエジプトの音楽と言うことになりますと、彼女に曲を数多く提供したモハメド・アブデルワハブやリアド・アル・スンバティのウード弾き語りなどを紹介したいところですが、現在データのみで手元に現物がないので、往年のウード奏者ですが、ハミス・エル・フィノと言う人の録音からかけてみます。1964年の古い録音ですが、最近アメリカのSmithsonian FolkwaysからカスタムCDRで復活しています。(イラク出身でエジプトで活動しているナスィール・シャンマも来日歴もあり、取り上げたいアーティストですが、やはりデータのみですので、またの機会にします)

1976年に日本コロムビアからLP発売されていたこのKhamis El Finoの盤は、私が最初に聞いたエジプトの本格的なアラブ古典のウード独奏だったので、個人的には強烈な印象があります。ウードだけでなくダラブッカも現代では聞かないようなシンプルなリズムパターンで演奏していて、オリエンタル風味満点のライブ録音になっています。ジャケットもとてもオリエンタルで、私はこのトルコ帽を被って髭を生やし装飾の美しいウードを構えているジャケットを見ると、何故か南利明の往年のCMの名古屋弁「ハヤシもあるでョ~」を思い出します(笑) 当時は10代で、あのCMを見て差ほど経ってなかったからでしょう。

<Khamis El Fino / Music For The Classical Oud ~Selection No. 1 3分55秒>
Khamis El Fino Ali - Selection No. 1


続いてKhamis El Fino Aliがウード弾き語りで8つの愛の歌を演奏したという1974年のアルバムArabic Songs and Dancesから、Halewa Yabuya (She's Beautiful!)という曲をどうぞ。ウードだけでなく、素晴らしい歌声も披露しています。所々出てくる女性の甲高い叫び声は、ユーユーと言います。

<Khamis El Fino / Halewa Yabuya (She's Beautiful!) 3:52>
youtube無しのようです。

次に、ベルベル系モロッコ人の女性歌手アイシャ・レドゥアヌの歌唱を聞いてみましょう。93年のオコラ盤以来エジプトの古典音楽を中心にパリで活躍していて、この盤では19世紀のエジプトの古典音楽を歌っています。伴奏のアル・アドワール楽団はエジプト出身のカーヌーン奏者とカマン(ヴァイオリン)奏者、モロッコ出身のウード奏者とタンバリンに似た小型枠太鼓のリク奏者が雅やかな演奏で支えています。マカーム・ナハーヴァンドのワスラの導入部は、同じマカームのトルコのウシュクダラに少し似ています。その後のタクシームと、歌の出てくる部分まで抜粋してかけます。

<Aicha Redouane / Wala en Maqam Nahawand>
Maqams d'amour, Aicha Redouane, 15e FMA, Promo

別のプロモ映像ですが。

この後かけますウードとヴァイオリンの名手シモン・シャヘーンはパレスティナ人の演奏家で、シモンという名前から推測するに多分キリスト教徒だと思います。彼の演奏で、先ほど名前が出てきたモハメド・アブデルワハブのAl Hinnaという曲と、リアド・アル・スンバティのLonga Farahfazaを続けてかけてみましょう。
アブデルワハブの曲は、ベリーダンスでよく使われているように思います。シモン・シャヘーンがアブデルワハブの曲を取り上げた90年のインストアルバムからの一曲です。後半、ウードが即興で素晴らしいからみを聞かせます。
リアド・アル・スンバティは、ウード弾き語りでは渋い内省的な演奏を聞かせる人ですが、このLonga Farahfazaでは、打って変わって目が覚めるような華やかな器楽曲になっていて、コンサートの最初か最後に演奏されることが多いようです。

<Simon Shaheen / The Music of Mohamed Abdel Wahab ~Al Hinna 5分20秒>
Simon Shaheen- Bortuqal

この曲はないようなので、同アルバムの別な曲ですが。

<Simon Shaheen / The Masterworks of the Middle Easr: Turath ~Longa Farahfaza 3分16秒>
Simon Shaheen - Longa Farahfaza (Turath)


では、最後に同じくシモン・シャヘーンの中東名曲集から、オスマン・トルコ末期の音楽家メスード・ジェミルのサマーイ・ナハーヴァンドを聞きながら今回はお別れです。オスマン音楽だけでなく、アラブ音楽でもよく知られる名曲です。ロンガとかサマーイというのはアラブ音楽の形式名で、サマーイでは必ず10拍子(3+2+2+3)で書かれているのが特徴的です。ファラファザやナハーヴァンドはマカーム名で、どちらも短調の美しい旋律で日本人にも受けが良いように思います。
ゼアミdeワールド お相手は、ほまーゆんでした。有難うございました。ではまた来週

<Simon Shaheen / The Masterworks of the Middle Easr: Turath ~Sama'i Nahawand 8分12秒から抜粋>
Simon Shaheen - Sama'i Nahawand (Turath)

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2016年12月 6日 (火)

Coptic Nazareth

ナザレのコプト教会の鐘は、持続して鳴り続けるタイプで、ベツレヘム生誕教会の鐘とは随分違った感じでした。イスラエル北部に位置するナザレは、イエス・キリストが幼少期から長く過ごした土地と言われています。西アジア最大のカトリック聖堂の受胎告知教会や、聖ヨセフ教会、イエスがイザヤ書を朗読し自らがメシアだと語ったと新約聖書に記述があるシナゴーグ、イスラームの白いモスクなど、名所旧跡が沢山ありますが、エジプトにイスラームが伝わる前から存在したキリスト教会であるコプト教会もナザレにあり、バッタチャリアの録音は、そこでの録音でした。youtubeを調べると、非常に見事な朗唱を聞かせる映像がありました。

لحن طا شوري + الهيتنيات

انجيل الرعي الصالح-من كنيسة البشاره للاقباط الارثوذكس بالناصره

لحن الليلويا فاي بيبي

قداس اول سبت من الصوم الكبير - كنيسة البشاره للاقباط الارثوذكس

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2009年12月 9日 (水)

シナイのベドウィン音楽

シナイ半島のベドウィンが演奏する竪琴シムシミーヤですが、早速見つかりました。この楽器も、明らかにスーダン~エチオピア~東アフリカで見た「ダヴィデの竪琴」系だと思います。やはり、あのヴァントゥーラの詩篇唱演奏の悲愴なイメージとは程遠く、現在のベドウィンの音楽は底抜けに陽気です。手拍子の入り方はペルシア湾岸のバーレーン辺りの音楽も連想させますが、シーサイドの音楽は似てくるのかも知れません。音源は2本目のセレスチャル・ハーモニー盤以外に、Institut du monde arabeからもあったように記憶しています。
シナイやヨルダン辺りのベドウィン音楽を聞く時、イエス・キリストの頃のベドウィン(起源0年頃ですからイスラームではなかった訳ですが、ではユダヤ教徒だったのでしょうか?)の音楽はどんなだったのか想像してみるのも一興でしょう。シナイとナザレは割と近くですから、当時から音楽も似ていたのでは。

Bedouin Jerry Can Band - Ayman & Goma

右から2番目のひたすらかき鳴らされている楽器がシムシミーヤでしょう。

Traditional South Sinai Bedouins Song - Ba'ad Al 'Asaha

Bedouin Jerry Can Band performing at WOMADelaide 2009

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2009年12月 8日 (火)

シナイ半島

エジプトの東部に位置するシナイ半島と言えば、まず何より「モーセの十戒」が授けられたと言うシナイ山がある場所として有名ですが、アラビアのロレンスの舞台になった場所でもあり、シナイ山の麓にあるギリシア正教の聖カテリーナ修道院など、九州程の広さの半島に名所の点在する場所です。イスラームの先輩宗教である、ユダヤ教とキリスト教の名所が特に目立つ点は、特筆されるべきだと思います。住民はシナイ方言のアラビア語を話すベドウィン(アラブ遊牧民)も多く、伝統音楽では竪琴のシムシミーヤが知られています。youtubeも色々ありますが、その中からいくつか気になる映像を拾ってみました。音楽関係も見つかったら、また後日取り上げてみます。

Monastero di Santa Caterina. Sinai. Conservazione del mosaico della Trasfigurazione
聖カテリーナ修道院の珍しい映像。ここはエジプトですが、流れているのは確かにギリシア正教の歌です。

Codex Sinaiticus

シナイ写本のギリシア語による聖書。

Revealing God's Treasure - Mt. Sinai

Sinai - Moses' mountain

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2009年12月 7日 (月)

コプト教会の典礼

さて、カフカスを離れて一旦エジプトに戻り、クリスマスにかけて聖地エルサレムの周辺を巡ってみたいと思いますが、まずエジプトのコプト教会から。コプトは大分前(確か昨年末)にも一度取り上げましたが、7世紀にイスラームがエジプトに入ってくる前からある東方諸教会のキリスト教の一派。エジプトのアラビア名はミスル、ギリシア名はアイギュプトスで、後者から「エジプト」の呼名が派生した訳ですが、コプトもこのギリシア語の名から来ています。今日の一本目など、音楽的に聞く限りは、スーフィズムの儀礼などにも少し似ているように思います。

coptic hymn Epouro O King of peace + Lyrics

Rashi Ne

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2009年11月26日 (木)

800番も إنت عمري

記事数が今日で800になりました。アクセスは83000位で、これは多いのか少ないのかよく分かりませんが。カルスームの名曲インタ・オムリ إنت عمري は、今日までにしておきます。原文検索で出てきた映像です。

إنت عمري - اسماء يحيى - حفل كورال قصر التذوق

このユニフォームですから、宗教的に厳格な団体の演奏でしょうか。しかし、オリエンタルなリズムの躍動感はなかなか素晴らしいものがあります。

انت عمري...ام كلثوم

最後にカルスーム自身の映像を再度上げておきます。これだけ畳み掛けてアップしましたから、見ている方の記憶にもしっかり刻まれたことでしょう。

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2009年11月25日 (水)

サウディの歌手によるインタ・オムリ

今日もカルスームのインタ・オムリですが、サウディ・アラビア(湾岸)の男性歌手abadi al joharによるウード弾き語りで。サウディの歌手が歌うと、ストイックで幽玄な感じになります。淡々としたウードと歌は、原曲と少し異なる味わいですが、こちらも良いです。しかしこう見てくると、いかにアラブ諸国で愛されている歌かと言うのがよく分かります。
あるmp3のサイトに彼のプロフィールが出ていました。以下に引用しておきます。Ikhtaboutというのが気になります。後半は歌詞の講釈でしょうか。Abadi El Johar, of Saudi nationality, known as “Ikhtabout El Oud” for being the most accomplished oud player in the Gulf, is known for his own compositions and hits such as Awazel and Eyaunek.
Wash El Jadid (What is New) relates how a couple are complete strangers to each other whether together or far distances apart. However after experiencing loneliness he realises that his love for her is as for a stranger.

abadi al johar int 3omry

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2009年11月24日 (火)

更にインタ・オムリ Sarit Hadadとヴァイオリン・ソロ

エジプトの不世出の大歌手カルスームの屈指の名曲「インタ・オムリ」ですから、まだまだ映像があります。今日はイスラエルの女性歌手Sarit Hadadと、前にヴァイオリン枠でアップしたアラブ人(おそらく)ヴァイオリニストの演奏。名曲も色々な角度から眺めることで、違った魅力が見えてくるように思います。歌詞については13日の記事に一部アップしましたので、ご参照下さい。そのストレートな愛の詩は、民族を越えてストレートに琴線に触れてくるものだと思います。

M.R.K ||Sarit Hadad - Inta 3omri

これは凄い美人歌手、レバノン人かな、と思ってぐぐったら、サリット・ハダッドは、アゼルバイジャン系の山岳ユダヤ人(大分前、カフカスの時にJuhuroについては取り上げましが、東方系ユダヤ=ミズラヒームの一派)出身の人でした。MCがヘブライ語なので、変だなと思ってはいましたが(笑) イスラエルのユダヤ人アラブ音楽家の間でもカルスームやアブデルワハブの音楽は、古典的存在になっているという話は、会報に記事を書いて頂いた事もあったエルサレム在住のYさんから色々直に聞いていました。

Sarit Hadad - Inta Omri 'Hi-Res'

inta 3omri, um kolthoum

この人は歩き回って弾くので、見てるとちょっと酔いそうになりますが(笑)、特に後半のタクシーム?部分はなかなか聞かせます。

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2009年11月23日 (月)

インタ・オムリをレイラとシャンマの演奏で

昨日の一本目の女性歌手、フルネームではLEILA GOUCHIという人でした。モロッコの歌手なのかどうか、まだ不明ですが、普段はアラブ・ポップスを歌っている歌手のようです。ですから、昨日の歌やインタ・オムリのような古い歌を歌うのは、どちらかと言えば珍しいのでは。日本で例えるなら、最近の歌手が端唄・小唄や長唄、新内など三味線音楽の名残のあるナツメロを歌うようなものでしょうか。一つ大きく異なるのは、アラブでは比較的その差が連続していることでしょう。ポップスにもアラブのコブシが残っていることがほとんどだと思います。一方日本のポップスでは根っこから切れて、すっかり別物になってしまった感があります。特に80年代以降は顕著だと思います。いずれアラブでも日本と同じような道程を辿るのかどうかまだ分りませんが、ルーツの部分を残して欲しいと思うのは私だけでしょうか。
今月の13日の記事でアップしましたカルスームの名曲「エンタ・オムリ」(またはインタ・オムリ)ですが、このレイラさんの歌唱でありましたので、今日はそれを見てみたいと思います。併せてナスィール・シャンマが演奏した映像もありましたので一緒に上げておきます。

LEILA GOUCHI-INTA 3OMRI.flv

naseer shamma -inta aomri - anta 3omri

leila gouchi-Matkhalenich

レイラさんの歌うポップ・ナンバーですが、この曲はバルカン~ギリシア風に聞こえます。

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2009年11月19日 (木)

ワハブとワルダ

今日はちょっと珍しい映像が見つかりましたので、それを一本目に、2,3本目はワハブのウード曲と歌唱です。一本目は、アルジェリア出身の女性歌手ワルダとのスタジオでのリハーサル風景のようです。西洋風な楽団スタイルをアラブ音楽に持ち込んだのが誰なのか、調べれば分りそうにも思いますが、多分それはアブデルワハブだったように思います。彼は日本で例えるなら、古賀政男と山田耕筰と宮城道雄を足して3で割ったような存在だったのでは、などと想像してみたりもします。ワルダや楽団を指導する場面から、そんなことを思い浮かべました。彼は非常に影響力の強い作曲家兼演奏家でしたし、エジプトのルーツをしっかりと維持しながら近代的な音楽スタイルを確立しました。
しかし一つだけ、ここ数日見たように若い頃は二枚目俳優でもあった点は、全く日本の三氏とは違っていたかも知れません。

Warda and Mohamed Abdel Wahab In Studio

Ennahr El Khalid 1 sur 3 | النهر الخالد 1 من 3

ウード・ソロの曲としてよく耳にするこの曲も、アブデルワハブの作曲でした。

Mohamed Abdel Wahab - Set El Habyeb

これはアブデルワハブ本人のウード弾き語りのようです。艶っぽい歌だけでなく、ウードの細やかなテクニックも素晴らしいです。映画以外のアップ動画を見てみたいものですが、さすがに見つかりません。

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